【文献】
ELKOHOLY YEHYA MAHMMOUD,STUDIES WITH 2-BENZOTHIAZOLYLACETONITRILE: 以下省略,PHOSPHORUS, SULFUR AND SILICON AND THE RELATED ELEMENTS,米国,TAYLOR & FRANCIS INC.,2002年 1月 1日,V177 N1,P115-122
【文献】
Database REGISTRY,2012年 4月30日,1208698-89-8, 888125-72-2, 888124-32-1, 1371237-94-3等、Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 18 July 2017
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3−[4,5−ジメチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
3−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−4−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−4−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
3−[5−シクロプロピル−4−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[4,5−ジメチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
3−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
(1SR,2SR)−2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸;
(1RS,2SR)−2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸;
2−[4,5−ジメチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
5−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸;
4−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸;及び
(R)−1−[4,5−ジメチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ピロリジン−2−カルボン酸
から選択される請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−4−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;及び
2−[4,5−ジメチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸
から選択される請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;及び
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−4−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸
から選択される請求項1〜14及び16のいずれか1項に記載の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における治療又は予防に有用な有機化合物、特に、例えば、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、慢性腎疾患、非アルコール性脂肪性肝炎及び癌の治療又は予防のための脂肪酸結合タンパク質(FABP)4及び/又は5インヒビター、より具体的には、二重FABP 4/5インヒビターに関する。
【0002】
本発明は、式(I):
【化1】
[式中、
R
1及びR
2は、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルキルアルキル、置換アリール、置換アリールアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリールアルキル、置換アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル及びカルボキシから独立に選択され、ここで、置換アリール、置換アリールアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換ヘテロアリール及び置換ヘテロアリールアルキルは、R
14、R
15及びR
16で置換されており、そしてここで、置換アミノカルボニルは、窒素原子上で、H、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル及びアルコキシアルキルから独立に選択される1〜2個の置換基で置換されており;
R
3は、置換アリール、置換アリールアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールアルキルであって、ここで、置換アリール、置換アリールアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換ヘテロアリール及び置換ヘテロアリールアルキルは、R
17、R
18及びR
19で置換されており;
R
4は、H又はアルキルであり;
R
5及びR
6は、H、アルキル及びシクロアルキルから独立に選択され;
R
7は、H、アルキル又はシクロアルキルであり;
Aは、NR
8又はCR
9R
10であり;
Eは、NR
11又はCR
12R
13であり;
R
8及びR
11は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル又はハロシクロアルキルアルキルから独立に選択され;
R
9、R
10、R
12及びR
13は、H、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル又はシクロアルキルから独立に選択されるか;あるいは
R
5及びR
12は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリールを形成し、ここで、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールは、R
20で置換されており、そして更にR
21及び/又はR
22で置換されていてもよく、ここでR
5及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換アリール又は置換ヘテロアリールを形成する場合には、R
6及びR
13は、存在しないか;あるいは
R
8及びR
12は、これらが結合している窒素及び炭素原子と一緒になって、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリールを形成し、ここで、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールは、R
20で置換されており、そして更にR
21及び/又はR
22で置換されていてもよく、ここでR
8及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換ヘテロアリールを形成する場合には、R
13は、存在しないか;あるいは
R
9及びR
11は、これらが結合している窒素及び炭素原子と一緒になって、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリールを形成し、ここで、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールは、R
20で置換されており、そして更にR
21及び/又はR
22で置換されていてもよく、ここでR
9及びR
11が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換ヘテロアリールを形成する場合には、R
10は、存在しないか;あるいは
R
9及びR
12は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリールを形成し、ここで、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールは、R
20で置換されており、そして更にR
21及び/又はR
22で置換されていてもよく、ここでR
9及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換アリール又は置換ヘテロアリールを形成する場合には、R
10及びR
13は、存在しないか;あるいは
R
10及びR
13は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリールを形成し、ここで、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールは、R
23で置換されており、そして更にR
24及び/又はR
25で置換されていてもよく、ここでR
10及びR
13が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換アリール又は置換ヘテロアリールを形成する場合には、R
9及びR
12は、存在しないか;あるいは
R
10及びR
13は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、二重結合を形成し;
R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
23、R
24及びR
25は、H、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ及びアミノ(窒素原子上で、H、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル及びアルコキシアルキルから独立に選択される1〜2個の置換基で置換されている)から独立に選択され;
nは、0又は1である]で示される新規な化合物、又は薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0003】
FABP4(aP2)及びFABP5(mal1)は、脂肪酸結合タンパク質ファミリーのメンバーである。FABPは、水性の細胞質環境において脂肪酸のシャペロンとして作用し、かつ、細胞内コンパートメント間の移動を容易にする14〜15KDaのタンパク質である。これまでに、このファミリーで組織特異的な発現パターンを有する少なくとも9種類のメンバーが同定されている。FABP4は、主に脂肪及びマクロファージにおいて発現されるが、その他の細胞タイプにおいても発現される。一方で、FABP5は、広範な組織及び器官において発現される。FABPは、脂肪酸の異なる細胞コンパートメントへの移動に関与しており、そのために、脂肪細胞における脂質貯蔵、ミトコンドリアにおける脂肪酸酸化、ERシグナル伝達、脂肪酸依存性の遺伝子発現、細胞質酵素活性の調節、炎症反応のモジュレーション及びロイコトリエン合成などの重要な細胞機能に関係している。マウスにおいて血漿FABP4は脂肪組織によって分泌され、肥満症において分泌はデレギュレーションされるが、抗体による血漿FABP4のインビボ遮断によってインスリン感受性は改善される。
【0004】
ヒトでは、いくつかの遺伝学的証拠から、FABP4及びFABP5が代謝性疾患においてある役割を担っていることが支持されている。遺伝子発現を50%減少させるFABP4プロモーター(SNPT−87C)の突然変異は、心血管疾患(CVD)及び2型糖尿病(T2D)のリスクの低下と血漿トリグリセリド(TG)の低下に関連している。FABP5遺伝子の2つの突然変異−1つは、5’UTR(rs454550)の突然変異、1つは、プロモーター(nSNP)の突然変異は、それぞれ、T2Dの増加(OR4.24)及びリスクの減少(OR 0.48)と関連する。また、アテローム性動脈硬化プラークのマクロファージのFABP4タンパク質及びmRNAレベルが、プラークの不安定性及びCV死と関連していることが示された。最後に、多くの刊行物で、FABP4及びFABP5の血漿レベルと代謝性疾患の重症度との間に関連性があることが報告されている。FABP4の血漿レベルの上昇は、アテローム性脂質異常症、内皮機能の低下、内膜中膜(IM)厚の増加、代謝症候群、肥満症及びインスリン抵抗性IRと関連している。FABP5の血漿レベルの上昇は、代謝症候群と関連している。
【0005】
マウスの遺伝学的及び薬理学的研究は、ヒトでの証拠を概ね裏付けている。FABP4及びFABP5の機能喪失が、インスリン感受性を改善し、グルコースを低下させ、そして、アテローム性動脈硬化症を防ぐことが実証された。高脂肪食を与えたFABP4ノックアウトマウスは、脂肪中のFABP5の代償性アップレギュレーションによって調節されて代謝が改善した。高脂肪(HF)食を与えたFABP5遺伝子欠失マウスは体重が減少し、グルコース及びインスリン耐性が改善した。FABP4/FABP5二重ノックアウトマウスは、高血糖、インスリン抵抗性及び肝臓脂肪変性を強く予防した。また、ApoE欠損背景では、FABP4及びFABP5の欠失は、アテローム性動脈硬化症の発症を高度に予防し、寿命を延ばした。特異的なFABP4インヒビター(BMS309403)は、ob/obマウスでのクランプ研究において、肝臓のグルコース産生の低下、筋肉及び脂肪におけるグルコースの取り込みの増加ならびに肝臓脂肪変性の低下を示したが、体重及びエネルギー消費に変化は認められなかった。また、ApoEKOマウスにおいて、アテローム性動脈硬化プラークの形成が減少したことが示された。二重FABP4/5インヒビター(J. Lipid Res. 2011, 52, 646に記載される化合物3)は、HF食が与えられたマウスにおいて、血漿トリグリセリド及び遊離脂肪酸の減少を示したが、インスリン及びグルコース耐性の改善は認められなかった。
【0006】
本発明の目的は、式(I)の化合物ならびにそれらの前述の塩及びエステル、治療活性物質としてのそれらの使用、前記化合物の製造のためのプロセス、中間体、医薬組成物、前記化合物、それらの薬学的に許容しうる塩又はエステルを含有する医薬、病気の治療又は予防のための、とりわけ、2型糖尿病、代謝症候群、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、炎症、脂肪変性及び/又は線維化を伴う肝疾患、例えば、非アルコール性脂肪肝疾患、特に、非アルコール性脂肪性肝炎、肥満症、リポジストロフィー、例えば、遺伝性及び医原性のリポジストロフィー、癌、血管内皮増殖及び血管新生によって支持される眼疾患、例えば、黄斑変性症及び網膜症、肺疾患、例えば、喘息、気管支肺異形成症及び慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス、慢性腎疾患、例えば、血管炎、巣状糸球体硬化症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、多発性嚢胞腎及び薬物又は毒物誘発性の慢性尿細管間質性腎炎、慢性炎症性及び自己免疫性炎症性疾患、子癇前症ならびに多嚢胞性卵巣症候群の治療又は予防における前記化合物、塩又はエステルの使用、ならびに2型糖尿病、代謝症候群、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、炎症、脂肪変性及び/又は線維化を伴う肝疾患、例えば、非アルコール性脂肪肝疾患、特に、非アルコール性脂肪性肝炎、肥満症、リポジストロフィー、例えば、遺伝性及び医原性のリポジストロフィー、癌、血管内皮増殖及び血管新生によって支持される眼疾患、例えば、黄斑変性症及び網膜症、肺疾患、例えば、喘息、気管支肺異形成症及び慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス、慢性腎疾患、例えば、血管炎、巣状糸球体硬化症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、多発性嚢胞腎及び薬物又は毒物誘発性の慢性尿細管間質性腎炎、慢性炎症性及び自己免疫性炎症性疾患、子癇前症ならびに多嚢胞性卵巣症候群の治療又は予防のための医薬の製造のための前記化合物、塩又はエステルの使用である。
【0007】
本発明の化合物は、FABP4及び/又は5インヒビター、より特定には、二重FABP4及び5インヒビターである。また、本発明の式(I)のいくらかの特定の化合物は、FABP3及び/又は1と比較して選択的なFABP4及び/又は5インヒビターでもある。
【0008】
用語「アルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を示す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ及びtert−ブトキシが含まれる。特定のアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ及びイソプロポキシが含まれる。より特定のアルコキシ基は、メトキシである。
【0009】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、アルコキシ基により置換されているアルキル基を意味する。典型的なアルコキシアルキル基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル及びエトキシプロピルを包含する。特定のアルコキシアルキル基は、メトキシメチル及びメトキシエチルを包含する。更に特定のアルコキシアルキル基は、メトキシエチルである。
【0010】
用語「アルコキシカルボニル」は、式:−C(O)−R’[式中、R’は、アルコキシ基である]の基を意味する。アルコキシカルボニル基の例は、R’が、メトキシ、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ及びtert−ブトキシである基を包含する。特定のアルコキシカルボニル基は、R’が、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシである基を包含する。更に特定のアルコキシカルボニル基では、R’は、メトキシ又はエトキシである。
【0011】
用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子の、特に1〜7個の炭素原子の、更に特定して1〜4個の炭素原子の一価の直鎖又は分岐の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルを意味する。特定のアルキルは、メチルである。
【0012】
用語「アルキルシクロアルキル」は、シクロアルキル基であって、シクロアルキル基の少なくとも1個の水素原子が、アルキル基により置換されているシクロアルキル基を意味する。アルキルシクロアルキルの例は、メチル−シクロプロピル、ジメチル−シクロプロピル、メチル−シクロブチル、ジメチル−シクロブチル、メチル−シクロペンチル、ジメチル−シクロペンチル、メチル−シクロヘキシル及びジメチル−シクロヘキシルを包含する。特定のアルキルシクロアルキル基は、メチル−シクロプロピル及びジメチル−シクロプロピルを包含する。
【0013】
用語「アルキルシクロアルキルアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、アルキルシクロアルキル基により置換されているアルキル基を意味する。アルキルシクロアルキルアルキルの例は、メチル−シクロプロピルメチル、ジメチル−シクロプロピルメチル、メチル−シクロプロピルエチル、ジメチル−シクロプロピルエチル、メチル−シクロブチルメチル、ジメチル−シクロブチルメチル、メチル−シクロブチルエチル、ジメチル−シクロブチルエチル、メチル−シクロペンチルメチル、ジメチル−シクロペンチルメチル、メチル−シクロペンチルエチル、ジメチル−シクロペンチルエチル、メチル−シクロヘキシルメチル、ジメチル−シクロヘキシルメチル、メチル−シクロヘキシルエチル、ジメチル−シクロヘキシルエチル、メチル−シクロヘプチルメチル、ジメチル−シクロヘプチルメチル、メチル−シクロヘプチルエチル、ジメチル−シクロヘプチルエチル、メチル−シクロオクチルメチル、ジメチル−シクロオクチルメチル、メチル−シクロオクチルエチル及びジメチル−シクロオクチエチルを包含する。
【0014】
用語「アミノ」は、−NH
2基を意味する。
【0015】
「アミノカルボニル」という用語は、式:−C(O)−NH
2の基を意味する。
【0016】
用語「アリール」は、6〜10個の炭素環原子を含む一価の芳香族炭素環式の単環又は二環系を意味する。アリール部分の例は、フェニル及びナフチルを包含する。特定のアリール基は、フェニルである。
【0017】
用語「アリールアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、アリール基により置換されているアルキル基を意味する。アリールアルキルの例は、フェニルメチル及びフェニルエチルを包含する。
【0018】
用語「カルボニル」は、−C(O)−基を意味する。
【0019】
用語「カルボキシ」は、−C(O)OH基を意味する。
【0020】
用語「シクロアルケニル」は、3〜8個の環炭素原子の一価の不飽和非芳香族単環式又は二環式炭化水素基を意味する。特定のシクロアルケニル基は、単環式である。シクロアルケニル基の例は、シクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルを包含する。
【0021】
用語「シクロアルキル」は、3〜10個の環炭素原子の一価の飽和単環式又は二環式炭化水素基、特に3〜8個の環炭素原子の一価の飽和単環式炭化水素基を意味する。二環式とは、2個の炭素原子を共通に有する2個の飽和又は部分飽和炭素環からなることを意味する。特定のシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、置換ビシクロ[2.2.2]ヘプタニル及び置換ビシクロ[2.2.2]オクタニルである。
【0022】
R
1、R
2、R
17、R
18及びR
19の場合には、シクロアルキルの特定の例は、シクロプロピルである。
【0023】
R
9及びR
12により、これらが結合している炭素原子と一緒に形成されるシクロアルキルの場合には、シクロアルキルの特定の例は、シクロペンチル、シクロヘキシル及びビシクロ[2.2.2]オクタニルである。
【0024】
用語「シクロアルキルアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、シクロアルキル基により置換されているアルキル基を意味する。シクロアルキルアルキルの例は、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルプロピル及びシクロペンチルブチルを包含する。
【0025】
用語「ハロアルコキシ」は、アルコキシ基であって、アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子が、同一であるか又は異なるハロゲン原子により置換されているアルコキシ基を意味する。用語「ペルハロアルコキシ」は、アルコキシ基であって、アルコキシ基の全ての水素原子が、同一であるか又は異なるハロゲン原子により置換されているアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシの例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、トリフルオロメチルエトキシ、トリフルオロジメチルエトキシ及びペンタフルオロエトキシを包含する。特定のハロアルコキシ基は、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ及びトリフルオロメチルエトキシである。
【0026】
用語「ハロアルコキシアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ハロアルコキシ基により置換されているアルキル基を意味する。ハロアルコキシアルキルの例は、フルオロメトキシメチル、ジフルオロメトキシメチル、トリフルオロメトキシメチル、フルオロエトキシメチル、ジフルオロエトキシメチル、トリフルオロエトキシメチル、フルオロメトキシエチル、ジフルオロメトキシエチル、トリフルオロメトキシエチル、フルオロエトキシエチル、ジフルオロエトキシエチル、トリフルオロエトキシエチル、フルオロメトキシプロピル、ジフルオロメトキシプロピル、トリフルオロメトキシプロピル、フルオロエトキシプロピル、ジフルオロエトキシプロピル及びトリフルオロエトキシプロピルを包含する。特定のハロアルコキシアルキルは、2,2−ジフルオロエトキシエチルである。
【0027】
用語「ハロアルコキシカルボニル」は、式:−C(O)−R’[式中、R’は、ハロアルコキシ基である]の基を意味する。ハロアルコキシカルボニル基の例は、式:−C(O)−R’[式中、R’は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、トリフルオロメチルエトキシ、トリフルオロジメチルエトキシ又はペンタフルオロエトキシである]の基を包含する。
【0028】
用語「ハロアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、同一であるか又は異なるハロゲン原子により置換されているアルキル基を意味する。用語「ペルハロアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の全ての水素原子が、同一であるか又は異なるハロゲン原子により置換されているアルキル基を意味する。ハロアルキルの例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメチルエチル及びペンタフルオロエチルを包含する。特定のハロアルキル基は、トリフルオロメチル及びトリフルオロエチルである。
【0029】
用語「ハロシクロアルキル」は、シクロアルキル基であって、シクロアルキル基の少なくとも1個の水素原子が、同一であるか又は異なるハロゲン原子、特にフルオロ原子により置換されているシクロアルキル基を意味する。ハロシクロアルキル基の例は、フルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピル、フルオロシクロブチル及びジフルオロシクロブチルを包含する。
【0030】
用語「ハロシクロアルキルアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ハロシクロアルキルにより置換されているアルキル基を意味する。ハロシクロアルキルアルキル基の例は、フルオロシクロプロピルメチル、フルオロシクロプロピルエチル、ジフルオロシクロプロピルメチル、ジフルオロシクロプロピルエチル、フルオロシクロブチルメチル、フルオロシクロブチルエチル、ジフルオロシクロブチルメチル及びジフルオロシクロブチルエチルを包含する。
【0031】
用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、本明細書では互換的に使用されており、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。特定のハロゲンは、クロロ及びフルオロである。更に特定のハロゲンは、フルオロである。
【0032】
用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5〜12個の環原子の一価の芳香族複素環式単環又は二環系を意味する。ヘテロアリール部分の例は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、又はキノキサリニルを包含する。特定のヘテロアリール基は、オキサジアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル又はピリミジニルである。更に特定のヘテロアリール基は、[1,2,4]−オキサジアゾリル、チアゾリル及びチアジアゾリルである。
【0033】
R
1及びR
2の場合には、特定のヘテロアリール基は、チアジアゾリルである。
【0034】
R
3の場合には、特定のヘテロアリール基は、チアゾリル、[1,2,4]−チアジアゾリル及び[1,2,4]−オキサジアゾリルである。
【0035】
用語「ヘテロアリールアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ヘテロアリール基により置換されているアルキル基を意味する。
【0036】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、N、O及びSから選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、4〜9個の環原子の一価の飽和又は部分不飽和の単環又は二環系を意味する。二環式とは、2個の環原子を共通に有する2個の環からなることを意味し、即ち、2個の環を分離する橋は、単結合又は1個若しくは2個の環原子の鎖のいずれかである。単環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、4,5−ジヒドロ−オキサゾリル、オキセタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−チエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、アゼパニル、ジアゼピニル、ホモピペラジニル、又はオキサゼパニルである。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、3−オキサ−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、又は3−チア−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分不飽和ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ−オキサゾリル、テトラヒドロ−ピリジニル、又はジヒドロピラニルである。ヘテロシクロアルキル基の更に特定の例は、オキセタニルである。
【0037】
用語「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ヘテロシクロアルキル基により置換されているアルキル基を意味する。
【0038】
用語「ヒドロキシ」は、−OH基を意味する。
【0039】
用語「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基であって、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ヒドロキシ基により置換されているアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキルの例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシメチルプロピル及びジヒドロキシプロピルを包含する。特定の例は、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルである。
【0040】
「オキソ」という用語は、=O基を意味する。
【0041】
用語「薬学的に許容しうる塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にも又はその他の点でも望ましくないことはない塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸(特に、塩酸)及び酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなどの有機酸と形成される。また、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を付加させることにより調製することもできる。無機塩基から誘導される塩は、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩などを包含する。有機塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂などの塩が含まれるが、これらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容しうる塩は、塩酸塩、メタンスルホン酸塩及びクエン酸塩である。また、式(I)の化合物の特定の薬学的に許容しうる塩は、ナトリウムおよびカリウム塩である。
【0042】
「薬学的に許容しうるエステル」は、一般式(I)の化合物の官能基を誘導化して、in vivoで親化合物に再変換することができる誘導体を提供することができることを意味する。そのような化合物の例としては、生理学的に許容しうる、代謝的に不安定なエステル誘導体、例えば、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル及びピバロイルオキシメチルエステルが含まれる。また、in vivoで一般式(I)の親化合物を生成することができる代謝的に不安定なエステルと類似する、一般式(I)の化合物の任意の生理学的に許容しうる等価体も本発明の範囲内である。
【0043】
用語「保護基」(PG)は、合成化学において従来それに用いられる意味で、化学反応を別の保護されていない反応部位で選択的に行うことができるように、多官能性化合物中の反応部位を選択的にブロックする基を表す。保護基は、適切な時点で除去することができる。典型的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基又はヒドロキシ保護基である。特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及びベンジル(Bn)である。
更に特定の保護基は、tert―ブトキシカルボニル(Boc)及びフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。より特定の保護基は、tert―ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0044】
式(I)の化合物は数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ化合物のようなエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ化合物又はジアステレオ異性体ラセミ化合物の混合物の形態で存在することができる。
【0045】
Cahn-Ingold-Prelog順位則に従って、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置をとることができる。
【0046】
また、本発明のある実施態様は、本明細書に記載される式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩又はエステル、特に、本明細書に記載される式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩、より具体的には、本明細書に記載される式(I)の化合物である。
【0047】
本発明の更なる実施態様は、R
1及びR
2が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリール、置換アミノカルボニル及びアルコキシカルボニルから独立に選択され、ここで、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールが、R
14、R
15及びR
16で置換されており、そしてここで、置換アミノカルボニルが、窒素原子上で、H、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル及びアルコキシアルキルから独立に選択される1〜2個の置換基で置換されている、本明細書に記載される式(I)の化合物である。
【0048】
本発明の特定の実施態様は、R
1及びR
2が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリール、置換アミノカルボニル及びアルコキシカルボニルから独立に選択され、ここで、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールが、R
14、R
15及びR
16で置換されており、そしてここで、置換アミノカルボニルが、窒素原子上で、アルキルから独立に選択される2個の置換基で置換されている、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0049】
本発明の特定の実施態様は、R
1が、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリール、置換アミノカルボニル及びアルコキシカルボニルであり、ここで、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールが、R
14、R
15及びR
16で置換されており、そしてここで、置換アミノカルボニルが、窒素原子上で、H、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル及びアルコキシアルキルから独立に選択される2個の置換基で置換されている、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0050】
本発明の更なる実施態様は、R
1が、アルキル又はシクロアルキルである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0051】
本発明の別の更なる実施態様は、R
2が、H、アルキル、ハロアルキル又はシクロアルキルである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0052】
本発明の別の実施態様は、R
2が、アルキル又はハロアルキルである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0053】
本発明の別の特定の実施態様は、R
1及びR
2が、H、アルキル又はシクロアルキルから独立に選択される、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0054】
本発明はまた、R
1及びR
2が、アルキルである、本明細書に前記の式(I)の化合物に関する。
【0055】
本発明の更に特定の実施態様は、R
3が、置換アリール又は置換ヘテロアリールであり、ここで、置換アリール及び置換ヘテロアリールが、R
17、R
18及びR
19で置換されている、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0056】
本発明のより特定の実施態様は、R
3が、R
17、R
18及びR
19で置換されている、ヘテロアリールである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0057】
また本発明のある実施態様は、R
3が、ピロリジニル、置換[1,2,4]−オキサジアゾリル、オキサゾリル、置換チアゾリル、置換[1,2,4]チアジアゾール−5−イル、又はピリミジニルであり、ここで、置換[1,2,4]−オキサジアゾリル、置換[1,2,4]チアジアゾール−5−イル及び置換チアゾリルが、R
17で置換されている、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0058】
また本発明のある実施態様は、R
3が、ピロリジニル、置換[1,2,4]−オキサジアゾリル、オキサゾリル、置換チアゾリル又はピリミジニルであり、ここで、置換[1,2,4]−オキサジアゾリル及び置換チアゾリルが、R
17で置換されている、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0059】
本発明はまた、R
3が、置換[1,2,4]−オキサジアゾリル又は置換[1,2,4]チアジアゾール−5−イルであり、ここで、置換[1,2,4]−オキサジアゾリル及び置換[1,2,4]チアジアゾール−5−イルが、R
17で置換されている、本明細書に前記の式(I)の化合物に関する。
【0060】
本発明の別の実施態様は、R
3が、R
17で置換されている、[1,2,4]−オキサジアゾリルである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0061】
本発明の更に特定の実施態様は、R
4が、Hである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0062】
本発明の特定の実施態様は、R
7が、Hである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0063】
また本発明のある実施態様は、Aが、CR
9R
10である、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0064】
本発明の更に特定の実施態様は、Eが、CR
12R
13である、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0065】
本発明の更に特定の実施態様は、Aが、NR
8である場合には、Eが、CR
12R
13である、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0066】
本発明の更に特定の実施態様は、Eが、NR
11である場合には、Aが、CR
9R
10である、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0067】
本発明はまた、R
9及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリールを形成し、ここで、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールが、R
20で置換されており、そして更にR
21及び/又はR
22で置換されていてもよく、ここでR
9及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換アリール又は置換ヘテロアリールを形成する場合には、R
10及びR
13が、存在しない、本明細書に前記の式(I)の化合物に関する。
【0068】
本発明の別の実施態様は、R
9及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、R
20で置換されている、シクロアルキルを形成する、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0069】
本発明の別の実施態様は、R
9及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロペンチル、シクロヘキシル又はビシクロ[2.2.2]オクチルを形成する、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0070】
本発明はまた、R
9及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロペンチル又はシクロヘキシルを形成する、本明細書に前記の式(I)の化合物に関する。
【0071】
また本発明のある実施態様は、R
10及びR
13が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、二重結合を形成する、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0072】
また本発明のある実施態様は、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
23、R
24及びR
25が、H、アルキル、ハロアルキル及びシクロアルキルから独立に選択される、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0073】
本発明の別の実施態様は、R
14が、シクロアルキルである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0074】
本発明の特定の実施態様は、R
17が、H、アルキル、ハロアルキル又はシクロアルキルである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0075】
本発明の別の特定の実施態様は、R
17が、アルキル又はシクロアルキルである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0076】
本発明の更に特定の実施態様は、R
17が、シクロアルキルである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0077】
本発明のより特定の実施態様は、R
18、R
19、R
20、R
21及びR
23が、Hである、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0078】
また本発明の特定の実施態様は、nが、0又は1である、本明細書に前記の式(I)の化合物である。
【0079】
本発明の更に特定の実施態様は、
R
1及びR
2が、H、アルキル、ハロアルキル及びシクロアルキルから独立に選択され;
R
3が、R
17で置換されている、ヘテロアリールであり;
R
4が、Hであり;
R
7が、Hであり;
Aが、CR
9R
10であり;
Eが、CR
12R
13であり;
R
9及びR
12が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、R
20で置換されている、シクロアルキルを形成し;
R
10及びR
13が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、二重結合を形成し;
R
17が、H、アルキル、ハロアルキル又はシクロアルキルであり;
R
20が、Hであり;
nが、0である、本明細書に前記の式(I)の化合物、又は薬学的に許容しうる塩である。
【0080】
本明細書に前記の式(I)の化合物の特定の例は、
2−(3−フェニル−チオフェン−2−イルカルバモイル)−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
5−[(3−カルボキシ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボニル)−アミノ]−3−メチル−4−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
2−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
3−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
3−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
3−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[4−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
3−[4−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
3−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−5−オキセタン−3−イル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−5−オキセタン−3−イル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−4−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
5−[(2−カルボキシ−シクロペンタ−1−エンカルボニル)−アミノ]−4−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルエステル;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−ジメチルカルバモイル−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[4−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−(5−ジメチルアミノ−[1,2,4]チアジアゾール−3−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;及び
薬学的に許容しうるその塩から選択される。
【0081】
また本明細書に前記の式(I)の化合物の特定の例は、
3−[4,5−ジメチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
3−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−4−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−4−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
3−[5−シクロプロピル−4−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[4,5−ジメチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
3−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボン酸;
(1SR,2SR)−2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸;
(1RS,2SR)−2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸;
2−[4,5−ジメチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
5−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸;
4−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸;
(R)−1−[4,5−ジメチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ピロリジン−2−カルボン酸;及び
薬学的に許容しうるその塩から選択される。
【0082】
本明細書に前記の式(I)の化合物の更に特定の例は、
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−4−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[4,5−ジメチル−3−(3−メチル−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;及び
薬学的に許容しうるその塩から選択される。
【0083】
また本明細書に前記の式(I)の化合物の更に特定の例は、
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸;
2−[5−シクロプロピル−3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−4−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸;及び
薬学的に許容しうるその塩から選択される。
【0084】
本明細書に前記の式(I)の化合物の製造方法は、本発明の目的である。
【0085】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施することができる。本発明の合成は、以下の一般的スキームに示される。本反応及び生じた生成物の精製を実施するために必要な技能は、当業者には知られている。エナンチオマー又はジアステレオ異性体の混合物が反応中に生成する場合には、これらのエナンチオマー又はジアステレオ異性体は、本明細書に記載されるか又は当業者に公知の方法、例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化などにより分離することができる。出発物質又は式(I)の化合物の一方が、1種以上の反応工程の反応条件下で安定でないか又は反応性である、1個以上の官能基を含有する場合には、その重要な工程の前に当技術分野において周知の方法を適用して、適切な保護基を導入することができる。このような保護基は、文献に記載される標準法を用いて、合成の後の段階で除去することができる。本プロセスの以下の説明に使用される置換基及び添え字は、本明細書に与えられる意味を有する。
【0086】
本文には以下の略語が使用される:
AcCl=塩化アセチル、tert−BuOH=tert−ブチルアルコール、CDI=N,N’−カルボニルジイミダゾール、CHCl
3=クロロホルム、CH
2Cl
2=ジクロロメタン、CH
3CN=アセトニトリル、Cs
2CO
3=炭酸セシウム、DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、DCC=N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン(Huenig塩基)、DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、DMA=N,N−ジメチルアセトアミド、DME=1,2−ジメトキシエタン、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO=ジメチルスルホキシド、EDCI=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、ESI=エレクトロスプレーイオン化、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、Et
2O=ジエチルエーテル、h=時間、HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、HCl=塩酸、H
2O=水、HOBt=1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、K
2CO
3=炭酸カリウム、KF=フッ化カリウム、KHCO
3=重炭酸カリウム、LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、LiOH=水酸化リチウム、MeOH=メタノール、MgSO
4=硫酸マグネシウム、min.=分、MPLC=中圧液体クロマトグラフィー、MS=質量スペクトル、向山試薬=ヨウ化2−クロロ−又は2−ブロモ−1−メチルピリジニウム、Na
2SO
4=硫酸ナトリウム、NaClO
2=亜塩素酸ナトリウム、NaCN=シアン化ナトリウム、NaH=水素化ナトリウム、NaHCO
3=重炭酸ナトリウム、NaH
2PO
4=リン酸二水素ナトリウム、NaOEt=ナトリウムエトキシド、NaOH=水酸化ナトリウム、NaOMe=ナトリウムメトキシド、NEt
3=トリエチルアミン、NH
4Cl=塩化アンモニウム、NH
4OAc=酢酸アンモニウム、Pd(Ph
3P)
4=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、RT=室温、TBAF=フッ化テトラブチルアンモニウム、TBTU=O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、THF=テトラヒドロフラン、TBME=tert−ブチルメチルエーテル、TFA=トリフルオロ酢酸、TLC=薄層クロマトグラフィー。
【0087】
一般式(IA)(式中、R
4は、Hであり、R
7は、アルキル又はシクロアルキルであり、Aは、CR
9R
10であり、Eは、CR
12R
13であり、そしてnは、0である)、(IB)(式中、R
4は、アルキルであり、R
7は、アルキル又はシクロアルキルであり、Aは、CR
9R
10であり、Eは、CR
12R
13であり、そしてnは、0である)、(IC)(式中、R
4及びR
7は、Hであり、Aは、CR
9R
10であり、Eは、CR
12R
13であり、そしてnは、0である)及び(ID)(式中、R
4は、アルキルであり、R
7は、Hであり、Aは、CR
9R
10であり、Eは、CR
12R
13であり、そしてnは、0である)の化合物は、例えば、スキーム1に略述されるように調製することができる。
【0088】
2−アミノチオフェン(II)(市販されているか、又は文献の手順によるか若しくはスキーム4〜6に記載されるように調製されるかのいずれか)のジカルボン酸モノエステル(1)(市販されているか、又は文献の手順により調製されるかのいずれか)でのアシル化によって、それぞれ化合物(IA)及び(IB)が得られる(工程a)。このタイプのアミドカップリングは、文献に広く報告されており、例えば、CDI、DCC、HATU、HOBT、TBTU又は向山試薬のようなカップリング試薬の使用により、適切な溶媒、例えば、DMF、DMA、CH
2Cl
2又はジオキサン中で、場合により塩基(例えば、NEt
3、DIPEA(Huenig塩基)又はDMAP)の存在下で達成することができる。あるいは、カルボン酸(1)は、例えば、塩化チオニルでの、無溶媒で又は場合によりCH
2Cl
2のような溶媒中での処理により、その酸塩化物に変換することができる。この酸塩化物と2−アミノチオフェン(II)との、CH
2Cl
2又はDMFのような適切な溶媒及び塩基、例えば、NEt
3、Huenig塩基、ピリジン、DMAP又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミド中での、0℃〜溶媒又は溶媒混合物の還流温度の範囲の温度での反応によって、それぞれ化合物(IA)及び(IB)が生成する(工程a)。
【0089】
あるいは化合物(IB)は、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、−OSO
2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホナート))、−OSO
2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート))又は−OSO
2アリール(例えば、トシラート(p−トルエンスルホナート))のような適切な脱離基である、R
4X型の化合物による、適切な溶媒中の適切な塩基(例えば、DMF中の水素化ナトリウム)を用いた0℃〜溶媒の沸点の間の温度での化合物(IA)のアルキル化により調製できる(工程b)。
【0090】
2−アミノチオフェン(II)のカルボン酸無水物(2)(市販されているか、又は当技術分野で公知の方法により入手可能であるかのいずれか)による適切な溶媒(例えば、Et
2O、THF、ジオキサン、DMF又はCH
3CN)中でのアシル化によって、化合物(IC)及び(ID)が得られる。この反応は、NEt
3、Huenig塩基、DMAP、DBU又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのような適切な塩基の存在下で実施できる(工程c)。
【0091】
化合物(IC)はまた、式(IA)の化合物中の置換基R
7が、開裂可能なアルキル基である場合には、化合物(IA)から調製することができる(工程d)。塩基性下の(IA)中のエステル官能基の開裂(例えば、メタノール、H
2O若しくはTHF又は前記溶媒の混合物のような極性溶媒中での水酸化リチウム又はナトリウムによるメチル又はエチルエステルの開裂)又は酸性条件下での同開裂(例えば、テトラヒドロフラン中の濃塩酸又はイソプロパノールのようなアルコールなどの適切な溶媒中でのギ酸を用いたtert−ブチルエステルの開裂)によって、化合物(IC)が得られる(工程d)。更なるエステル類は、特に限定されないが、例えば、当業者に公知の方法によって開裂できるアリル又はベンジルエステルを包含する。
【0092】
化合物(IB)はまた、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、−OSO
2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホナート))、−OSO
2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート))又は−OSO
2アリール(例えば、トシラート(p−トルエンスルホナート))のような適切な脱離基である、化合物:R
7Xによる、適切な溶媒中の適切な塩基(例えば、DMF中の水素化ナトリウム)を用いた0℃〜溶媒の沸点の間の温度での(ID)のアルキル化によって、化合物(ID)から調製することができる(工程e)。
【0093】
化合物(IC)はまた、文献(例えば、L. Aurelio et al., J. Med. Chem. 2010, 53(18), 6550-6559)に記載の手順を適用した、例えば、THF又はH
2OとEtOH中のNaOHのような適切な塩基及び溶媒を用いることによるイミドの開裂により、中間体(3)から調製することができる(工程g)。
【0094】
化合物(ID)はまた、式(IB)の化合物中の置換基R
7が、開裂可能なアルキル基である場合には、前記の方法を用いて化合物(IB)から調製することができる(工程h)。
【0095】
中間体(3)は、上記の条件下でのカルボン酸無水物(2)でのアシル化を介して、R
4が水素である、2−アミノチオフェン(II)のアシル化により得ることができる(工程f)。
【化2】
【0096】
化合物(IA)〜(ID)の代替合成法は、スキーム2に示される。当業者であれば、この変換が、適用される反応条件下で安定であり、かつ反応性でない基及び置換基、特にR
7で置換されているエステル官能基を持つ化合物のみに適用可能であることを認めよう。
【0097】
R
aが、例えば、メチル、エチル又はtert−ブチル基のような開裂可能な基である、α−シアノエステル(4)、アルデヒド(R
1又はR
2=H)又はケトン(5)及び元素硫黄を、モルホリンのような塩基の存在下で、EtOHのような適切な溶媒中で用いるGewald反応によって、チオフェン中間体(6)が得られる(工程a)。
【0098】
当技術分野で公知の方法及び文献(Y. Huang et al., Chem Biol. Drug Des. 2010, 76, 116-129)に記載される方法を適用したアセチル基のような適切な保護基によるアミン官能基の保護と、これに続くエステルの開裂によって、酸中間体(7)が得られる(工程b、c)。
【0099】
中間体(7)は、文献(例えば、K. Gewald et al., Z. Chem. 1967, 7(5), 186-187; H. Luetjens et al., J. Med. Chem. 2003, 46(10), 1870-1877; S. Takada, J. Med. Chem. 1988, 31(9), 1738-1745; WO2005/044008)の手順により、例えば、銅及びキノリンを高温で用いることにより脱カルボキシル化することができ、中間体(8)が得られる(工程d)。
【0100】
当業者に公知の方法及び文献に記載される方法を適用した(8)中の保護基の除去によって、2−アミノチオフェン(9)が生成する(工程e)。
【0101】
スキーム1の下に略述される条件を用いて、市販されているか、又は文献の手順により調製されるかのいずれかの、ジカルボン酸モノエステル(1)による中間体(9)のアシル化によって、中間体(10)が得られる(工程f)。
【0102】
文献(例えば、WO2005/044008)の手順を用いた、例えば、THF中のヨウ素又は酢酸中の一塩化ヨウ素を用いた中間体(10)のヨウ素化により、中間体(11)が生成する(工程g)。
【0103】
(11)の、例えば、有機ホウ素、−スズ又は−亜鉛試薬:R
3Mとのクロスカップリング反応によって、化合物(IA)が得られる(工程h)。このタイプの反応は、広く文献に記載されている(例えば、N. Miyaura (ed.), "Cross-coupling reactions: A practical guide", Curr. Topics Chem. 219)。例えば、(11)の、(置換)アリール−又はヘテロアリール−ボロン酸:R
3−B(OH)
2又はボロン酸エステル:R
3−B(OR’)
2(例えば、ピナコール又はトリメチレングリコールエステル、市販されているか、又は例えば、"oronic Acids - Preparation and Applications in Organic Synthesis and Medicine" by Dennis G. Hall (ed.) 1st Ed., 2005, John Wiley & Sons, New Yorkに記載されている文献の手順を用いて調製されるかのいずれか)との、適切な溶媒(例えば、ジオキサン、DME、H
2O、トルエン、DMF又はこれらの混合物)中で適切な触媒(例えば、ジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)CH
2Cl
2付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)又はトリフェニルホスフィンを含む酢酸パラジウム(II))、及び適切な塩基(例えば、Na
2CO
3、NaHCO
3、KF、炭酸カリウム又はNEt
3)を用いた、室温〜溶媒又は溶媒の混合物の沸点との間の温度での反応によって、化合物(IA)が生成する(工程h)。このタイプの鈴木反応は、広く文献に記載されており(例えば、A. Suzuki, N. Miyaura, Chem. Rev. 1979, 95, 2457-2483; A. Suzuki, J. Organomet. Chem. 1999, 576, 147-168; V. Polshettiwar et al., Chem. Sus. Chem. 2010, 3, 502-522)、当業者に周知である。あるいは、アリール−又はヘテロアリール−トリフルオロホウ酸塩:R
3BF
3Kは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)又はジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)CH
2Cl
2付加物のようなパラジウム触媒を、炭酸セシウム又はリン酸カリウムのような適切な塩基の存在下で、トルエン、THF、ジオキサン、H
2O又はこれらの混合物のような溶媒中で、室温〜溶媒又は溶媒混合物の沸点との間の温度で適用する、クロスカップリング反応に使用することができる。
【0104】
化合物(IA)はまた、(11)を(置換)アリール−又はヘテロアリールスズ試薬:R
3−SnR
3(R=例えば、Me又はn−Bu;市販されているか、又は文献の手順により調製されるかのいずれか)と、適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド又はジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)CH
2Cl
2付加物)の存在下で、適切な溶媒(例えば、THF、ジオキサン、DMF若しくはHMPA又はこれらの混合物)中で、室温〜溶媒又は溶媒混合物の沸点との間の温度で、場合により塩化リチウムの存在下で反応させることによって、合成することができる。このタイプのStilleカップリングは、広く文献に記載されており(例えば、J. K. Stille, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1986, 25, 508-524)、当業者に周知である(工程h)。
【0105】
あるいは、化合物(IA)は、(11)の、(置換)アリール−又はヘテロアリール亜鉛ハロゲン化物:R
3−ZnX(X=Cl、Br又はI)(市販されているか、又は文献に記載される方法により合成されるかのいずれか)との、THF又はDMAのような適切な溶媒中のニッケル(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0))又はパラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))を用いる、室温〜溶媒の沸点との間の温度範囲での反応によって合成することができる。このタイプの根岸カップリングは、広く文献に記載されており(例えば、"Name Reactions for Homologations-Part I: Negishi cross-coupling reaction", Li, J. J., Corey, E. J., Eds.; Wiley & Sons, Hoboken, NJ, 2009, 70-99; G. Organ, Eur. J. Org. Chem. 2010, 4343-4354)、当業者に周知である(工程h)。
【0106】
次に化合物(IA)は、スキーム1の下に記載されるとおり化合物(IB)〜(ID)へと更に変換できる(工程i、j、k)。
【0107】
化合物(IB)はまた、中間体(12)の、有機ホウ素、−スズ又は−亜鉛試薬:R
3Mとの、上記のカップリング条件を用いるクロスカップリング反応によって調製することができる(工程m)。
【0108】
中間体(12)は、例えば、中間体(11)の、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、−OSO
2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホナート))、−OSO
2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート))又は−OSO
2アリール(例えば、トシラート(p−トルエンスルホナート))のような適切な脱離基を意味する、アルキル化剤:R
4−Xによる、THF又はDMFのような適切な溶媒中の適切な塩基、例えば、水素化ナトリウムを用いたアルキル化により入手可能である(工程l)。
【化3】
【0109】
中間体(9)からの化合物(IC)の代替合成法は、スキーム3に示される。
【0110】
スキーム2の下に記載されるとおり調製される、2−アミノチオフェン中間体(9)の、カルボン酸無水物(2)(市販されているか、又は参考文献に記載される方法により若しくは当技術分野で公知の方法により入手可能であるかのいずれか)による、適切な溶媒(例えば、Et
2O、THF、ジオキサン、DMF又はCH
3CN)中でのアシル化によって、中間体(13)が得られる。この反応は、NEt
3、Huenig塩基、DMAP、DBU又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのような適切な塩基の存在下で実施することができる(工程a)。
【0111】
文献(例えば、WO2005/044008)の手順による、例えば、THF中のヨウ素又は酢酸中の一塩化ヨウ素を用いた中間体(13)のヨウ素化によって、中間体(14)が生成する(工程b)。
【0112】
中間体(14)の、有機ホウ素、−スズ又は−亜鉛試薬:R
3Mとの、スキーム2の下に記載されるカップリング条件を用いるクロスカップリング反応によって、中間体(3)が得られ(工程c)、スキーム1の下に記載される反応条件を用いて、これを更に化合物(IC)へと変換することができる(工程d)。
【化4】
【0113】
R
4がHである、2−アミノチオフェン(IIa)、R
4がメチルである、(IIb)、及びR
4がアルキル又はシクロアルキルである、(IIc)の構築の一例は、スキーム4に示される。
【0114】
置換2−アミノチオフェン(IIa)の合成法は、広く文献に記載されている。特に、α−メチレンカルボニル化合物(環式又は非環式ケトン又はアルデヒド)、元素硫黄、塩基(例えば、NEt
3、モルホリン)及びα−活性化ニトリル(例えば、α−シアノエステルからはR
3がエステル基である化合物に至り、マロノニトリルからはR
3がシアノである化合物が得られるか、又はアリール−若しくはヘテロアリールアセトニトリルからはR
3がアリール若しくはヘテロアリールである化合物に至る)の間のワンポット多成分縮合であるGewald反応は、多置換2−アミノチオフェンの合成にしばしば適用される(例えば、K. Gewald et al., Angew. Chem. 1961, 73(3), 114-114; K. Gewald et al., Chem. Ber. 1965, 98, 3571-3577; K. Gewald et al., Monatsh. Chem. 1988, 119, 985-992; R. W. Sabnis et al., J. Het. Chem. 1999, 36, 333-345; H. Zhang et al., Synthesis 2004, 18, 3055-3059; M. Sridhar et al., Tetrahedron Lett., 2007, 48(18), 3171-3172; Z. Puterova et al., Arkivoc 2010(i), 209-246; T. Wang et al., Synlett 2010, 1351-1354; DE2627935; WO2005/044008; WO2009/033581)。
【0115】
市販されている適切に置換されたアセトニトリル(16)、アルデヒド(R
1又はR
2=H)又はケトン(本発明ではここで、R
1及びR
2が、一緒に環を形成せず、かつR
1又はR
2のいずれかが、場合により一置換されたメチル基を表す)(5)及び元素硫黄をモルホリンのような塩基の存在下で用いる、上記のGewald反応によって、2−アミノチオフェン(IIa)が生成する(工程a)。
【0116】
アセトニトリル誘導体(16)が市販されていない場合には、これらは、Xが、塩素、臭素、−OSO
2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホナート))、−OSO
2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート))又は−OSO
2アリール(例えば、トシラート(p−トルエンスルホナート))のような適切な脱離基である、化合物(15)から、DMSO又はDMFのような適切な溶媒中0℃〜溶媒の沸点の間の温度でのシアン化ナトリウム又はカリウムによる、求核置換により調製することができる(工程f)。このタイプの反応は、当業者に公知であり、文献に記載されている(例えば、M. Katkevics, Synlett 2011, 17, 2525-2528; R. Gomez et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2011, 21(24), 7344-7350; F. Fache et al., Eur. J. Org. Chem. 2011, 30, 6039-6055; US2012/0015999)。R
3が、例えば、アルキル、シクロアルキル、クロロアルキル又は場合により置換されているアリール置換基を3位(R
b)に有する、1,2,4−オキサジアゾール環である場合には、アセトニトリル誘導体(16)は、アミドキシム(17)(市販されているか、又は例えば、アルキル、シクロアルキル、クロロアルキル又はアリールニトリルとヒドロキシルアミンとの文献、例えば、WO2005/082859; WO2005/0076347; WO2008/093960の手順と類似の反応により調製されるかのいずれか)及び市販されている1−シアノアセチル−3,5−ジメチルピラゾール(18)から文献(例えば、I. O. Zhuravel et al., Synthetic Commun. 2008, 38(21), 3778-3784; A. V. Borisov et al., J. Comb. Chem. 2009, 11(6), 1023-1029)の手順により調製することができる(工程g)。
【0117】
2−アミノチオフェン(IIa)の、ヨウ化メチル又は硫酸ジメチルによる、CH
3CN中の炭酸カリウム(場合によりヨウ化カリウムの存在下)又はDMF中のCsCO
3のような適切な塩基及び溶媒を用いるアルキル化によって、R
4がメチル基である、化合物(IIb)が得られる(工程b)。この反応を加速するためにマイクロ波照射を適用することができる。あるいは、化合物(IIa)は、(IIa)の、オルトギ酸トリエチルとの反応と、これに続く生じたエトキシメチレンアミノ−チオフェン中間体の、EtOHのような適切な溶媒中のNaBH
4のような適切な還元剤による還元によって、化合物(IIb)へと変換することができる。両方のタイプの反応は、文献に記載されており(例えば、WO2008/154221; WO2011/100838; I.C. Gonzalez et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14(15), 4037-4043)、当業者には知られている(工程b)。
【0118】
2−アミノチオフェン(IIb)及び(IIc)は、(IIa)から、例えば、最初に(IIa)のアミン官能基を、アセチル又はtert−ブトキシカルボニル(Boc)基のような適切な保護基で、当技術分野で公知の方法及び文献に記載される方法により保護して、中間体(19)を得ることによって、調製することができる(工程c)。
【0119】
中間体(19)の、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、−OSO
2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホナート))、−OSO
2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート))又は−OSO
2アリール(例えば、トシラート(p−トルエンスルホナート))のような適切な脱離基を意味する、アルキル化剤:R
4−Xによる、適切な塩基、例えば、水素化ナトリウムを、THF又はDMFのような適切な溶媒中で用いるアルキル化によって、中間体(20)が得られる(工程d)。
【0120】
当業者に公知の方法及び文献に記載される方法を適用した、中間体(20)中の保護基の除去によって、それぞれ2−アミノチオフェン(IIb)及び(IIc)が得られる。このタイプの反応もまた、文献に発表されている(例えば、WO2005/044008; P. J. Scammels et al., Org. Biomol. Chem. 2011, 9(13), 4886-4902)(工程e)。
【化5】
【0121】
あるいは2−アミノチオフェン(IIa)〜(IIc)はまた、中間体(8)からスキーム5により調製することができる。
【0122】
例えば、スキーム2の下に記載されるように調製された中間体(8)の、文献(例えば、WO2005/044008)の手順による、例えば、THF中のヨウ素又は酢酸中の一塩化ヨウ素を用いるヨウ素化によって、中間体(21)が生成する(工程a)。
【0123】
中間体(21)の、有機ホウ素、−スズ又は−亜鉛試薬:R
3Mとの、スキーム2の下に記載されるカップリング条件を用いるクロスカップリング反応によって、中間体(19)が得られる(工程b)。
【0124】
当業者に公知の方法を適用する(19)中の保護基の除去によって、2−アミノチオフェン(IIa)が生成し(工程c)、スキーム4の下に記載される手順により、これを更に化合物(IIb)へと変換することができる(工程d)。
【0125】
中間体(19)は、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、−OSO
2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホナート))、−OSO
2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート))又は−OSO
2アリール(例えば、トシラート(p−トルエンスルホナート))のような適切な脱離基を意味する、アルキル化剤:R
4−Xとの、THF又はDMFのような適切な溶媒中の適切な塩基、例えば、水素化ナトリウムを用いる反応によって、中間体(20)へと変換することができる(工程e)。
【0126】
当業者に公知の方法及び文献に記載される方法を適用する、中間体(20)中の保護基の除去によって、それぞれ2−アミノチオフェン(IIb)及び(IIc)が得られる。
【0127】
【化6】
【0128】
アリールカルボン酸前駆体から構築できる、R
3が、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールである、2−アミノチオフェンはまた、(7)のようなチオフェンカルボン酸中間体から調製することができ、そして(7)は、例えば、スキーム2の下に記載される方法により合成することができる。カルボン酸からの複素環系の合成は、広く文献に記載されており、そして当業者に周知である。R
3が、3−置換1,2,4−オキサジアゾール環である一例は、スキーム6に示される。
【0129】
(7)の、置換N’−ヒドロキシカルボキシイミドアミド(22)(市販されているか、又は例えば、文献の手順、例えば、WO2005/082859; WO2005/0076347; WO2008/093960と同様に、R
23CN型のニトリルとヒドロキシルアミンとの反応により調製されるかのいずれか)との、標準カップリング条件を適用する、例えば、DMFのような適切な溶媒中でEDCIをHOBT又はHATUと一緒に用いる反応(工程a)と、例えば、THF中のTBAFを用いる、生じる中間体(23)の環化によって、中間体(24)が生成する(工程b)。
【0130】
当業者に公知の文献の方法を用いる中間体(24)中の保護基の開裂によって、中間体(25)が生成する(工程c)。
【0131】
中間体(24)の、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、−OSO
2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホナート))、−OSO
2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート))又は−OSO
2アリール(例えば、トシラート(p−トルエンスルホナート))のような適切な脱離基を意味する、アルキル化剤:R
4−Xとの、THF又はDMFのような適切な溶媒中の適切な塩基、例えば、水素化ナトリウムを用いる反応によるアルキル化によって、中間体(26)が生成する(工程d)。
【0132】
中間体(27)は、中間体(26)から、文献の手順を用いる保護基の除去により調製することができる(工程f)。あるいは、例えば、スキーム4の下に記載される方法を用いる、中間体(25)のアルキル化により、中間体(27)が得られる(工程e)。
【0133】
【化7】
【0134】
AがNR
8であり、EがCR
12R
13であり、そしてnが0又は1である、一般式(I)の化合物は、例えば、スキーム7により調製することができる。詳細には、式(IE)(式中、R
4は、Hであり、そしてR
7は、アルキル又はシクロアルキルである)、(IF)(式中、R
4及びR
7は、Hである)、(IG)(式中、R
4は、Hであり、R
7は、アルキル又はシクロアルキルであり、そしてR
8は、Hである)、(IH)(式中、R
4は、アルキルであり、R
7は、アルキル又はシクロアルキルであり、そしてR
8は、Hである)、(IJ)(式中、R
4、R
7及びR
8は、Hである)、(IK)(式中、R
4は、アルキルであり、そしてR
7及びR
8は、Hである)、(IL)(式中、R
4は、H又はアルキルであり、R
7は、アルキル又はシクロアルキルであり、そしてR
8は、アルキルである)、及び(IM)(式中、R
4及びR
7は、Hであり、そしてR
8は、アルキルである)の化合物。
【0135】
R
4がHである、2−アミノチオフェン(IIa)中のアミノ基は、例えば、(IIa)をホスゲン又はその置換体(例えば、クロロギ酸トリクロロメチル(「ジホスゲン」)又は炭酸ビス(トリクロロメチル)(「トリホスゲン」))と、THF又はCH
2Cl
2のような適切な溶媒中で、場合によりピリジン又はNEt
3のような塩基の存在下で反応させることにより、イソシアナート官能基に変換することができ、中間体(28)が生成する(工程a)。このタイプの変換は、当技術分野において周知であり、そして広く文献に記載されている(例えば、G. N. Anilkumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2011, 21(18), 5336-5341; DE3529247; WO2011/140527; WO2011/123937)。
【0136】
イソシアナート(28)の、適切に置換されたα−又はβ−アミノ酸(R
7は、Hである)又はエステル(R
7は、アルキル又はシクロアルキルである)(29)(nは0又は1である、市販されているか、又は当技術分野で公知の方法により合成される)との、トルエン、DMF又はCH
2Cl
2のような適切な溶媒中で、場合によりNEt
3又はHuenig塩基のような適切な塩基の存在下での反応により、それぞれ化合物(IE)及び(IF)が得られる(工程b)。イソシアナートへの第1級又は第2級アミンの付加は、文献に記載されており(例えば、W. J. McClellan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2011, 21(18), 5620-5624; J. Regan et al., J. Med. Chem. 2002, 45(14), 2994-3008; US4314842; WO2006/067385)、当業者に周知である。
【0137】
あるいは化合物(IF)は、式(IE)の化合物中の置換基R
7が開裂可能なアルキル基である場合には、スキーム1の下に記載される方法を用いて、化合物(IE)から合成することができる(工程c)。
【0138】
2−アミノチオフェン(II)は、イソシアナート(30)(市販されているか、又は当技術分野で公知の方法により合成されるかのいずれか)と、トルエン、DMF又はCH
2Cl
2のような適切な溶媒中で、場合によりNEt
3又はHuenig塩基のような適切な塩基の存在下で反応させることにより、それぞれ化合物(IG)及び(IH)を得ることができる(工程d)。
【0139】
化合物(IG)及び(IH)中のR
7が開裂可能なエステル基である場合には、当技術分野で公知の手順及び公開された手順を適用して、これを開裂することにより、それぞれ化合物(IJ)及び(IK)が生成できる(工程e)。
【0140】
化合物(IL)は、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、−OSO
2アルキル(例えば、メシラート(メタンスルホナート))、−OSO
2フルオロアルキル(例えば、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート))又は−OSO
2アリール(例えば、トシラート(p−トルエンスルホナート))のような適切な脱離基である、R
8X型の化合物による、適切な溶媒中の適切な塩基(例えば、DMF中の水素化ナトリウム)を用いて0℃〜溶媒の沸点の間の温度での化合物(IH)のアルキル化により合成することができる(工程f)。
【0141】
化合物(IL)中のR
7が開裂可能なエステル基である場合には、当業者に公知の手順及び文献に記載される手順を適用して、これを開裂することにより、化合物(IM)が生成できる(工程g)。
【0142】
【化8】
【0143】
化合物(IN)(式中、Aは、CR
8R
9であり、Eは、NR
11であり、nは1であり、そしてR
7は、アルキル又はシクロアルキルである)、及び化合物(IO)(式中、Aは、CR
8R
9であり、Eは、NR
11であり、nは、1であり、そしてR
7は、Hである)は、例えば、スキーム8に示されるとおり調製することができる。
【0144】
化合物(IN)は、例えば、2−アミノチオフェン(II)の、適切に置換された(アルコキシカルボニルメチル−アミノ)−酢酸又は(シクロアルコキシカルボニルメチル−アミノ)−酢酸誘導体(31)(市販されているか、又は当技術分野で公知の方法により合成されるかのいずれか)による、文献の手順及びスキーム1の下に記載される方法を用いたアシル化によって、合成することができる。
【0145】
化合物(IN)中のR
7が開裂可能なエステル基であるならば、当業者に公知の手順及び文献に記載される手順を適用して、これを開裂することにより、化合物(IO)が生成できる(工程b)。
【0146】
【化9】
【0147】
また本発明のある実施態様は、上記と同義の式(I)の化合物を調製するためのプロセスであって、
a)式(V)の化合物の存在下での式(II)の化合物の反応;
【0148】
【化10】
b)式(VI)の化合物の存在下での式(II)の化合物の反応;
【0149】
【化11】
c)式(VIII)の化合物の存在下での式(II)の化合物の反応;又は
【0150】
【化12】
d)式(IX)の化合物の存在下での式(II)の化合物の反応;
【0151】
【化13】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、上記と同義であり、そしてR
7は、アルキル又はシクロアルキルであり、そして工程a)では、Aは、CR
9R
10であり、工程b)では、Aは、CR
9R
10であり、Eは、CR
12R
13であり、そしてnは、0であり、工程c)では、R
4は、Hであり、そしてAは、NR
8であり、そして工程d)では、R
4は、Hであり、Aは、NR
8であり、Eは、CR
12R
13であり、そしてnは、1である]を含むプロセスである。
【0152】
また本発明の更なる好ましい実施態様は、式(VI)の化合物の存在下での式(II)の化合物の反応を含む、上記と同義の式(I)の化合物を調製するためのプロセスであって、
【0153】
【化14】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びnは、上記と同義であり、そして、Aは、CR
9R
10であり、そしてEは、CR
12R
13である]。詳細には溶媒、特にCH
3CN、THF又はEt
2Oの存在下で、塩基の存在下又は非存在下で、特にDMAP、DIPEA又はDBUの存在下で、0℃〜還流温度の間、特にRT〜還流温度の間に含まれる温度でのプロセスである。
【0154】
また、本発明の一つの目的は、治療活性物質として使用するための、本明細書に記載される式(I)の化合物である。
【0155】
同様に、本発明の一つの目的は、本明細書に記載される式(I)の化合物及び治療上不活性な担体を含む医薬組成物である。
【0156】
本発明によれば、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容しうる塩及びエステルは、2型糖尿病、代謝症候群、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、肝疾患、肥満症、リポジストロフィー、癌、眼疾患、肺疾患、サルコイドーシス、慢性腎疾患、慢性炎症及び自己免疫性炎症性疾患、子癇前症ならびに多嚢胞性卵巣症候群の治療又は予防のために使用することができる。
【0157】
特定の肝疾患は、炎症、脂肪変性及び/又は線維化を伴う肝疾患、例えば、非アルコール性脂肪肝疾患、より特定には、非アルコール性脂肪性肝炎である。
【0158】
特定のリポジストロフィーは、遺伝性及び医原性のリポジストロフィーである。
【0159】
特定の眼疾患は、血管内皮増殖及び血管新生によって支持される眼疾患、特に、黄斑変性症及び網膜症である。
【0160】
特定の肺疾患は、喘息、気管支肺異形成症及び慢性閉塞性肺疾患である。
【0161】
特定の慢性腎疾患は、血管炎、巣状糸球体硬化症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、多発性嚢胞腎及び薬物又は毒素誘発性の慢性尿細管間質性腎炎である。
【0162】
本発明は、また、2型糖尿病、代謝症候群、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、肝疾患、肥満症、リポジストロフィー、癌、眼疾患、肺疾患、サルコイドーシス、慢性腎疾患、慢性炎症及び自己免疫性炎症性疾患、子癇前症ならびに多嚢胞性卵巣症候群の治療又は予防のための、本明細書に記載される式(I)の化合物の使用に関する。
【0163】
本発明は、特に、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、癌、慢性腎疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の治療又は予防のための、本明細書に記載される式(I)の化合物の使用に関する。
【0164】
本発明は、また、非アルコール性脂肪性肝炎の治療又は予防のための、本明細書に記載される式(I)の化合物の使用に関する。
【0165】
本発明の特定の実施態様は、2型糖尿病、代謝症候群、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、肝疾患、肥満症、リポジストロフィー、癌、眼疾患、肺疾患、サルコイドーシス、慢性腎疾患、慢性炎症及び自己免疫性炎症性疾患、子癇前症ならびに多嚢胞性卵巣症候群の治療又は予防のための、本明細書に記載される式(I)の化合物である。
【0166】
本発明の別の特定の実施態様は、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、癌、慢性腎疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の治療又は予防のための、本明細書に記載される式(I)の化合物である。
【0167】
また、本発明の特定の実施態様は、非アルコール性脂肪性肝炎の治療又は予防のための、本明細書に記載される式(I)の化合物である。
【0168】
本発明は、また、2型糖尿病、代謝症候群、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、肝疾患、肥満症、リポジストロフィー、癌、眼疾患、肺疾患、サルコイドーシス、慢性腎疾患、慢性炎症及び自己免疫性炎症性疾患、子癇前症ならびに多嚢胞性卵巣症候群の治療又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載される式(I)の化合物の使用に関する。
【0169】
本発明は、特に、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、癌、慢性腎疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の治療又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載される式(I)の化合物の使用に関する。
【0170】
また、本発明のある実施態様は、非アルコール性脂肪性肝炎の治療又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載される式(I)の化合物の使用である。
【0171】
また、本発明の一つの目的は、2型糖尿病、代謝症候群、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、肝疾患、肥満症、リポジストロフィー、癌、眼疾患、肺疾患、サルコイドーシス、慢性腎疾患、慢性炎症及び自己免疫性炎症性疾患、子癇前症ならびに多嚢胞性卵巣症候群の治療又は予防のための方法であり、該方法は、有効量の本明細書に記載される式(I)の化合物を投与することを含む。
【0172】
本発明の別の目的は、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、癌、慢性腎疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の治療又は予防のための方法であり、該方法は、有効量の本明細書に記載される式(I)の化合物を投与することを含む。
【0173】
また、本発明のある実施態様は、非アルコール性脂肪性肝炎の治療又は予防のための方法であり、該方法は、有効量の本明細書に記載される式(I)の化合物を投与することを含む。
【0174】
また、本発明のある実施態様は、リポジストロフィーの治療又は予防のための方法であり、該方法は、有効量の本明細書に記載される式(I)の化合物を投与することを含む。
【0175】
また、本発明の特定の実施態様は、記載するプロセスのいずれか1つに従って製造される、本明細書に記載される式(I)の化合物である。
【0176】
アッセイ手順
ヒトFABP4(huFABP4)及び/又はヒトFABP5(huFABP5)に対する化合物の活性を、テルビウム(Tb)時間分割蛍光エネルギー移動(TR−FRET)アッセイでプロファイリングした。このアッセイは、Bodipy標識脂肪酸と、テルビウム標識抗His6タグ抗体に結合しているHis6タグ化FABPタンパク質(huFABP4は、社内で、E.Coliで発現させて精製し、huFABP5は、Cayman Chemical Co.(カタログ番号10010364)から購入した)の直接結合をモニタリングする。アッセイは、リガンドがFABPタンパク質に結合したときのテルビウムドナー分子からアクセプターBodipy部分への反映されたエネルギー移動を読み取る。最終リガンド濃度(125nM)から各タンパク質のKdを概算した。
【0177】
化合物のストックDMSO溶液(1.8mM)を、100%DMSOで10種の濃度に3倍段階希釈した(50μM〜0.003μMの最終化合物濃度)。これらの化合物の希釈物1μlとBodipy標識脂肪酸(Bodipy FL C11、カタログ番号D3862、Invitrogen)(100%DMSO中4.5μM)1μlを、384ウェル黒色ポリプロピレンプレート(Thermo Matrix、カタログ番号4344)のウェル中で連続的にピペッティングした。次に、FABP4又はFABP5タンパク質を加えた(25mM Tris(pH7.5)、0.4mg/ml γ−グロブリン、1mM DTT、0.012%NP40中64nMのタンパク質28μl、最終タンパク質濃度:50nM)。アッセイブランクはリガンドを含むが、タンパク質は含まない。中性コントロールはリガンドを含むが、化合物は含まない。検出試薬(Tb抗His6抗体、Columbia Biosciences、TB−110、25mM Tris(pH7.5)、0.4mg/ml γ−グロブリン中24nMのAb溶液6μl、最終Tb抗His6Ab濃度:4nM)を加えた後、プレートを1000rpmで1分間スピンした。室温で30分間振とうしながらインキュベーションした後、プレートをEnvision読取機(Perkin Elmer、吸光波長:340nm、発光:490nm及び520nm、時間遅延:100μs;時間ウィンドウ:200μs、50フラッシュ)を用いて読み取った。
【0178】
最終アッセイ条件は、全最終アッセイ容量36μl中、50nM FABPタンパク質、125nM Bodipy標識脂肪酸、0.009%(vol/vol)NP40、5.5%(vol/vol)DMSOであった。アッセイは、三連で実施した。
【0179】
相対蛍光単位(RFU)比(520nm×10000/488nm)を使用して、阻害率を計算した:100−(RFU比:化合物−ブランク)/(中性コントロール−ブランク)×100。次に、これらの阻害率値を、4パラメーターロジスティックモデル(Hillシグモイド用量反応モデル)を用いて用量反応曲線にフィッティングした。IC50は、タンパク質活性が中性コントロールの場合と比較して50%阻害される化合物濃度を表す。
【0180】
【表1】
【0181】
本明細書に記載される式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩又はエステルは、0.000001μM〜1000μMのIC
50(FABP4阻害)値を有し、特定の化合物は、0.000005μM〜500μMのIC
50値を有し、更なる特定の化合物は、0.00005μM〜5μMのIC
50値を有する。
【0182】
本明細書に記載される式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩又はエステルは、0.000001μM〜1000μMのIC
50(FABP5阻害)値を有し、特定の化合物は、0.000005μM〜500μMのIC
50値を有し、更なる特定の化合物は、0.00005μM〜50μMのIC
50値を有する。
【0183】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、(例えば、医薬調製物の形態で)医薬として使用することができる。この製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で)、鼻内(例えば、鼻内スプレーの剤形で)又は直腸内(例えば、坐剤の剤形で)のように、内服することができる。しかし、投与はまた、筋肉内又は静脈内のように、非経口的に(例えば、注射剤の剤形で)達成することができる。
【0184】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機補助剤と共に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用のそのような補助剤として使用することができる。
【0185】
軟ゼラチンカプセル剤に適切な補助剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体物質及び液体ポリオールなどである。
【0186】
液剤及びシロップ剤の製造に適切な補助剤は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、ブドウ糖などである。
【0187】
注射剤に適切な補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0188】
坐剤に適切な補助剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半固体又は液体ポリオールなどである。
【0189】
更には、本製剤は、保存料、可溶化剤、増粘性物質、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。これらはまた、更に他の治療有用物質を含有することができる。
【0190】
用量は、広い範囲内で変化させることができ、当然ながら、各特定症例における個々の要求に合わせることができる。一般に、経口投与の場合には、好ましくは1〜3回の個々の用量(例えば、同量からなってよい)に分割した、体重1kgあたり約0.1mg〜20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg〜4mgの1日用量(例えば、一人あたり約300mg)が、適切であろう。しかし、本明細書においての上限値は、必要が示されれば、これを超えられることは明らかであろう。
【0191】
本発明によれば、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容しうる塩及びエステルは、2型糖尿病関連微小血管合併症(特に限定されないが、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパシー及び糖尿病性腎症など)、冠動脈疾患、肥満症及び基礎炎症性疾患、慢性炎症及び自己免疫性−炎症性疾患の治療又は予防のために使用することができる。
【0192】
本発明は、実施例により以降説明されるが、これらは限定性を持つものではない。
【0193】
調製例では、エナンチオマーの混合物として得られるが、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載される方法又は当業者に公知の方法、例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化により分離することができる。
【実施例】
【0194】
全ての実施例及び中間体は、特に断りない限りアルゴン雰囲気下で調製した。
【0195】
実施例1
2−(3−フェニル−チオフェン−2−イルカルバモイル)−シクロペンタ−1−エンカルボン酸
【0196】
【化15】
3−フェニル−チオフェン−2−イルアミン(73mg、417μmol、中間体(1.1))、NEt
3(84.3mg、116μL、833μmol)及び1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物(144mg、1.04mmol)を脱水THF(3mL)に溶解した。この緑黄色の懸濁液をRTで週末にわたり撹拌して濾過した。この濾液を真空で濃縮して、残渣を分取HPLC(MeOH/H
2O(0.1%ギ酸を含む))により精製して、標題化合物を黄色の油状物として得た(47mg、32%、推定純度90%)。MS(ESI):m/z=312.2[M−H]
−。
【0197】
実施例2
5−[(3−カルボキシ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2−カルボニル)−アミノ]−3−メチル−4−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
【化16】
CH
3CN(7mL)中の5−アミノ−3−メチル−4−(4−メチルチアゾール−2−イル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(61mg、227μmol、中間体(1.2))の溶液に、DMAP(55.5mg、455μmol)及びビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(40.5mg、227μmol、CAS RN 151813-29-5)を加えた。RTで3時間撹拌後、この反応混合物を65℃で一晩撹拌した。この反応混合物をEtOAc及び1M HCl水溶液で抽出して、有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過して蒸発させた。この化合物を、CH
2Cl
2:MeOHの混合物(20:1 v/v)を溶離液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。褐色の固体。MS(ESI):m/z=447.1[M+H]
+。
【0198】
実施例3
2−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸
【化17】
CH
3CN(8mL)中の4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルアミン(100mg、425μmol、中間体(1.3))の溶液に、DBU(129mg、127μL、850μmol)及び1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物(64.6mg、467μmol、CAS RN 3205-94-5)を加え、この暗色の溶液を65℃で18時間撹拌した。この反応混合物を真空下で濃縮して、残渣を、MeOH:H
2O(0.1%ギ酸を含有する)の勾配(80:20〜98:2)での分取HPLC(Gemini NXカラム)により精製した。黄色の固体(69mg、44%)。MS(ESI):m/z=374.117[M+H]
+。
【0199】
表1の実施例は、表1にリストされる2−アミノチオフェン及びカルボン酸無水物試薬を使用して、実施例3に使用される方法により調製した。
【0200】
【表2】
【0201】
実施例4
2−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸
【化18】
Et
2O(3mL)中の4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルアミン(85mg、361μmol、中間体(1.3))の溶液に、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(55.0mg、361μmol、CAS RN 2426-02-0)及びDMAP(2.21mg、18.1μmol)を加えた。この反応混合物をRTで18時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。残渣を、MeOH:H
2O(0.1%ギ酸を含有する)の勾配(80:20〜98:2)での分取HPLC(Gemini NXカラム)により精製した。明黄色の固体(17mg、12.1%)。MS(ESI):m/z=388.133[M+H]
+。
【0202】
表2の実施例は、表2にリストされる2−アミノチオフェン及びカルボン酸無水物試薬を使用して、実施例4に使用される方法により調製した。
【表3】
【0203】
実施例5
2−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸
【化19】
ジオキサン(3mL)中の2−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸メチルエステル(80mg、181μmol、中間体(7))の溶液に、H
2O(3mL)及びLiOH一水和物(9.51mg、227μmol)を加え、生じた透明溶液をRTで8時間撹拌した。この反応混合物を1M HCl水溶液100mL及びEtOAc 100mL上に注ぎ入れて、層を分離した。水層を2度目にEtOAc 100mLで抽出した。有機層を、食塩水100mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮した。この化合物を、CH
2Cl
2:MeOHの勾配(100:0〜80:20)で溶出するMPLC(Flashmaster)システムを用いた20gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。黄色の固体(57mg、74%)。MS(ESI):m/z=428.088[M+H]
+。
【0204】
実施例6
2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸
【化20】
THF(2.5mL)中の3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−5−メチル−チオフェン−2−イルアミン(75mg、339μmol、中間体(1.8))の溶液に、LiHMDS(678μL、678μmol、THF中1M溶液)を−78℃で加え、生じた反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。次に、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物(46.8mg、339μmol、CAS RN 3205-94-5)を−78℃で加えた。この反応混合物が20℃まで温まるのを待ち、この温度で2時間撹拌した。この反応混合物を1M HCl水溶液30mL及びEtOAc 30mL上に注ぎ入れて、層を分離した。水層を2度目にEtOAc 30mLで抽出した。有機層を、食塩水30mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮した。この生成物を、MeOH:H
2O(0.1%ギ酸を含有する)の勾配(80:20〜98:2)での分取HPLC(Gemini NXカラム)により精製した。黄色の固体(52mg、42.7%)。MS(ESI):m/z=360.101[M+H]
+。
【0205】
表3の実施例は、表3にリストされる2−アミノチオフェン及びカルボン酸無水物試薬を使用して、以下の精製方法の1つを適用しながら、実施例6に使用される方法により調製した:方法P1:分取HPLC、溶離液MeOH:H
2O(0.1%ギ酸を含有する)(勾配80:20〜98:2);方法P2:MPLC、溶離液CH
2Cl
2:MeOH(勾配100:0〜95:5);方法P3:分取HPLC、溶離液CH
3CN:H
2O(勾配50:50〜95:5);方法P4:分取HPLC、溶離液CH
3CN:H
2O(勾配20:80〜98:2);方法P5:有機層の蒸発後に沈降。
【0206】
【表4】
【0207】
中間体
一般手順A:2−アミノチオフェンの調製
方法A1:Boc保護2−アミノチオフェンの開裂
Boc保護2−アミノチオフェン(0.5mmol)をジオキサンに溶解(5%溶液)して、ジオキサン中の4M HCl(10mmol)を加える。TLCが反応の終了を示すまで、この溶液をRTで撹拌する。この粗反応混合物を真空で濃縮することにより、所望の化合物を得て、これを更に精製することなく次の工程に使用する。
【0208】
方法A2:ワンポットGewald反応
MeOH中のアルデヒド又はケトン(5mmol)の溶液(5%溶液)に、複素環アセトニトリル誘導体(5mmol)、モルホリン(12.5mmol)及び元素硫黄(5.5mmol)を加え、この反応混合物を65℃で一晩撹拌する。室温まで冷却後、反応混合物をEtOAc及び半飽和NH
4Cl溶液で抽出する。有機層をNa
2SO
4及び活性炭で乾燥し、蒸発させて、この化合物を、n−ヘプタン:EtOAcの勾配を溶離液として使用するカラム50gでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0209】
方法A3:Knoevenagel付加物の閉環
EtOH(20mL)中のKnoevenagel付加物(1.5mmol)の溶液に、DBU(3.75mmol)及び硫黄(1.5mmol)を加える。この反応混合物を65℃で2時間撹拌し、次に10% NaHCO
3水溶液(30mL)及びEtOAc(30mL)上に注ぎ入れる。層を分離して、水層を2度目にEtOAc(30mL)で抽出する。有機層は、食塩水30mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。この化合物は、n−ヘプタン:EtOAcの勾配で溶出するMPLCシステム(CombiFlash Companion, Isco Inc.)を用いた20gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0210】
方法A4:2−アミノチオフェン上のエステルからオキサジアゾールへの変換
EtOH(5mL)中の3−(メチル又はエチル)エステル置換2−アミノチオフェン(3.0mmol)の溶液に、N’−ヒドロキシ−アルキル−又は−シクロアルキル−カルボキシイミドアミド(3.0mmol)及びNaOEt溶液(EtOH中の21重量%溶液、3.0mmol)を加えて、TLC又はLC−MSにより反応の終了が示されるまで、この反応混合物を70℃で撹拌する。反応の進行に応じて、別のバッチのN’−ヒドロキシシクロプロパンカルボキシイミドアミド及びナトリウムエトキシド溶液を加えてもよい。この反応混合物を10% NaHCO
3水溶液30mL及びEtOAc 30mL上に注ぎ入れ、層を分離する。水層を2度目にEtOAc 30mLで抽出して、有機層を、食塩水30mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。この生成物を、MeOH:H
2O(0.1%ギ酸を含有する)の勾配での分取HPLC(Gemini NXカラム)により精製する。
【0211】
方法A5:マイクロ波を用いる2−アミノチオフェン上のエステルからオキサジアゾールへの変換
EtOH(4mL)中の3−(メチル又はエチル)エステル置換2−アミノチオフェン(2mmol)の溶液に、N’−ヒドロキシ−アルキル−又は−シクロアルキル−カルボキシイミドアミド(2mmol)及びNaOEt溶液(EtOH中の21重量%溶液、2mmol)を加える。LC−MSが変換の終了を示すまで(典型的には30分)、この反応混合物にマイクロ波加熱(120℃)を適用する。この反応混合物を10% NaHCO
3水溶液30mL及びEtOAc 30mL上に注ぎ入れ、層を分離する。水層を2度目にEtOAc 30mLで抽出して、有機層を、食塩水30mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。この化合物を、n−ヘプタン:EtOAcの勾配(100:0〜60:40)で溶出するMPLC(Flashmaster)システムを用いる20gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0212】
方法A6:マイクロ波条件を用いるワンポットGewald反応
EtOH(1.5mL)中のアルデヒド又はケトン(1mmol)の溶液に、複素環アセトニトリル誘導体(1mmol)、硫黄(1mmol)及びN−メチルモルホリン(1mmol)を加え、この反応混合物をマイクロ波オーブン中120〜150℃で30分間加熱し、次に10% NaHCO
3水溶液30mL及びEtOAc 30mL上に注ぎ入れ、層を分離する。水層を2度目にEtOAc 30mLで抽出する。有機層を、食塩水30mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して蒸発させる。この化合物を、n−ヘプタン:EtOAcの勾配で溶出するMPLCシステム(CombiFlash Companion, Isco Inc.)を用いる20gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0213】
方法A7:改良ワンポットGewald反応
EtOH(7mL)中のアルデヒド又はケトン(3mmol)の溶液に、複素環アセトニトリル誘導体(3mmol)及び元素硫黄(3mmol)を加え、この反応混合物を50℃で30分間撹拌する。次に、モルホリン(180mmol)を10分かけて滴下により加える。この反応混合物を50℃で1.5時間撹拌し、次に10% NaHCO
3水溶液30mL及びEtOAc 30mL上に注ぎ入れ、層を分離する。水層を2度目にEtOAc 30mLで抽出して、有機層を、食塩水30mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。この化合物を、n−ヘプタン:EtOAcの勾配で溶出するMPLCシステム(CombiFlash Companion, Isco Inc.)を用いる20gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0214】
表4の中間体は、表4にリストされる出発物質を用いて、上記の方法により調製した:
【表5】
【0215】
一般手順B:Knoevenagel付加物の調製
方法B1:トルエン(9mL)中のケトン又はアルデヒド(3mmol)の懸濁液に、ヘテロシクリル−アセトニトリル及びNH
4OAc(6mmol)を加える。この反応混合物を100℃で18時間撹拌し、次に10% NaHCO
3水溶液(30mL)及びEtOAc(30mL)上に注ぎ入れ、層を分離する。水層を2度目にEtOAc(30mL)で抽出して、有機層を、食塩水(30mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。この化合物を、n−ヘプタン:EtOAcの勾配で溶出するMPLC(Flashmaster)システムを用いる20gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0216】
表5の中間体は、表5にリストされる出発物質を用いて、上記の方法により調製した:
【表6】
【0217】
一般手順C:シアノメチル−オキサジアゾールの調製
方法C1:ジオキサン(150mL)中のN’−ヒドロキシ−アルキル−又は−シクロアルキル−カルボキシイミドアミド(50mmol)の溶液に、3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−オキソプロパンニトリル(55mmol)を加える。この反応混合物を還流温度で3時間撹拌し、次に真空下で濃縮する。この化合物を、n−ヘプタン:EtOAcの勾配で溶出するMPLCシステム(CombiFlash Companion XL, Isco Inc.)を用いる330gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0218】
方法C2:CH
3CN(10mL)中のNaCN(30mmol)の懸濁液に、15−クラウン−5(10mmol、CAS RN 33100-27-5)を加え、この懸濁液をRTで45分間撹拌する。この混合物に、CH
3CN(5mL)中の5−(クロロメチル)−3−置換1,2,4−オキサジアゾール(5mmol)の溶液を30分かけて滴下により加える。この明黄色の懸濁液をRTで3時間撹拌し、次にH
2O 100mL及びEtOAc 100mL上に注ぎ入れ、層を分離する。水層を2度目にEtOAc 100mLで抽出して、有機層を、食塩水100mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。この化合物を、n−ヘプタン:EtOAcの勾配で溶出するMPLCシステム(CombiFlash Companion, Isco Inc.)を用いる50gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0219】
表6の中間体は、表6にリストされる出発物質を用いて、上記の方法により調製した。
【表7】
【0220】
中間体(4)
(3−フェニル−チオフェン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0221】
【化21】
3−フェニル−チオフェン−2−カルボン酸(200mg、979μmol)、NEt
3(99.1mg、136μL、979μmol)及びジフェニルホスホリルアジド(275mg、215μL、999μmol)をtert−BuOHに溶解した。この溶液を85℃で5時間、続いてRTで一晩撹拌した。生成した懸濁液を濾過し、フィルターケーキを少量のtert−BuOHで洗浄した。濾液を、EtOAcで希釈し、H
2O及び食塩水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥して、真空で濃縮した。この粗物質を、フラッシュクロマトグラフィー(0%〜18%、n−ヘプタン中EtOAc)により精製して、標題化合物を黄色の固体として得た(0.122g、45%)。MS(ESI):m/z=276.2[M+H]
+。
【0222】
中間体(5)
3−フェニル−チオフェン−2−カルボン酸
【0223】
【化22】
3−フェニル−チオフェン−2−カルバルデヒド(0.527g、2.8mmol)をCH
3CN(12.4mL)に希釈して、この溶液を10℃に冷却した。H
2O(0.54mL)中のNaH
2PO
4(47mg、0.392mmol)及び過酸化水素(1.36g、1.2mL、14.0mmol、水中35重量%溶液)の溶液を加え、続いてH
2O(1.89mL)中のNaClO
2(0.166g、1.83mmol)の溶液を5分かけて加えた。生じた二相系を10℃で2時間激しく撹拌した。撹拌をRTで一晩続けた。10℃に冷却してNa
2SO
3を添加することにより、この反応をクエンチした。次にこの反応混合物をNa
2SO
3の水溶液上に注ぎ入れた。少量のH
2Oを加えることにより透明な二相系が生じた。5M HCl水溶液でpH1まで酸性化後、懸濁液が生成したため、これを濾過した。この固体をH
2Oで洗浄して、高真空下で乾燥することにより、標題化合物を白色の固体として得た(0.532g、92%)。MS(ESI):m/z=203.1[M−H]
−。
【0224】
中間体(6)
3−フェニル−チオフェン−2−カルバルデヒド
【0225】
【化23】
3−ブロモチオフェン−2−カルバルデヒド(3g、1.67ml、14.8mmol、CAS RN 930-96-1)をDME(180mL)に溶解して、生じた溶液を排気して、アルゴンで3回パージした。Pd(Ph
3P)
4(512mg、443μmol)を加え、この反応フラスコを再びアルゴンでパージして、RTで15分間撹拌を続けた。次に2M Na
2CO
3水溶液(14.8mL、29.5mmol)を加え、続いてフェニルボロン酸(1.98g、16.2mmol)を加えた。再び反応フラスコをアルゴンでパージして、反応混合物を80℃に加熱して6.5時間撹拌した。溶媒の蒸発後、残渣をEt
2O及びH
2Oにとり、層を分離した。有機層を、Na
2SO
4で乾燥し、濾過して蒸発させた。この粗残渣をCH
2Cl
2及びn−ヘプタンに懸濁して、固体を濾別した。濾液を蒸発させて、粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(勾配EtOAc/n−ヘプタン、0%〜10%)により精製した。生成物含有画分をプールして、分取HPLCにより更に精製することによって、標題化合物を黄色の油状物として得た(0.939g、34%)。MS(ESI):m/z=189.2[M+H]
+。
【0226】
中間体(7)
2−[4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロペンタ−1−エンカルボン酸メチルエステル
【0227】
【化24】
シクロペンタ−1−エン−1,2−ジカルボン酸モノメチルエステル(50.0mg、294μmol、T. Yoshimutsu, T. Tanaka et al., Heterocycles 2009, 77(1), 179 - 186と同様に調製)に、DMF(2.15mg、2.28μL、29.4μmol)及び塩化チオニル(699mg、429μL、5.88mmol)を加え、この溶液を30分間加熱還流した。この反応混合物を真空下で濃縮して、残渣をトルエンで3回希釈し、続いて蒸発させることにより塩化チオニルを完全に除去した。残渣をCH
2Cl
2(2mL)に溶解して、この溶液をCH
2Cl
2(3mL)中の4−シクロプロピル−5−メチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルアミン(85mg、294μmol、中間体(1.4))及びDIPEA(76.0mg、103μL、588μmol)の溶液に加え、この明褐色の溶液をRTで18時間撹拌した。この反応混合物を10% NaHCO
3水溶液30mL及びEtOAc 30mL上に注ぎ入れ、層を分離した。水層を2度目にEtOAc 30mLで抽出した。有機層を、食塩水30mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮した。この化合物を、n−ヘプタン:EtOAcの勾配(100:0〜75:25)で溶出するMPLC(Flashmaster)システムを用いる20gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。明黄色の固体(88mg、67.8%)。MS(ESI):m/z=442.104[M+H]
+。
【0228】
表7の中間体は、表7にリストされる出発物質を用いて、中間体(7)の下に記載される方法により調製した。
【表8】
【0229】
実施例7
trans−2−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸
【化25】
tert−ブチルメチルエーテル(2mL)中の3−(3−シクロプロピル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチルチオフェン−2−アミン(0.08g、340μmol、中間体(1.5))の溶液に、trans−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(62.9mg、408μmol、CAS RN 14166-21-3)を加え、この透明溶液を19時間加熱還流した。この反応混合物を蒸発させて、生成物を、MeOH:H
2O(0.1%ギ酸を含有する)の勾配(20:80〜98:2)を用いる分取HPLC(Gemini NXカラム)により精製した。無色の固体(0.1g;75.5%)。MS(ESI):m/z=390.15[M+H]
+。
【0230】
表8の実施例は、表8にリストされる2−アミノチオフェン及びカルボン酸誘導体試薬を用いて、実施例7に使用される方法により調製した。
【表9】
【0231】
実施例8及び9
5−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸、及び
4−[3−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチル−チオフェン−2−イルカルバモイル]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸
【化26】
ジオキサン(3mL)及びH
2O(3mL)中の5−(3−(3−シクロプロピル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−4,5−ジメチルチオフェン−2−イルカルバモイル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸エチル(272mg、652μmol、中間体(7.1))の懸濁液に、LiOH一水和物(15.6mg、652μmol)を加え、この反応混合物を室温で6時間撹拌した。次に別のバッチのLiOH一水和物(7.8mg、326μmol)を加えた。この粘性の黄色の懸濁液を蒸発させた。残渣をH
2O(およそ3.5mL)に懸濁して、1M HCl水溶液(3mL)で処理した。この混合物をEtOAcで2回抽出した。有機層を、食塩水で1回洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過して蒸発させた。残渣を、CH
2Cl
2:MeOHの勾配(100:0〜90:10)で溶出するMPLCシステム(CombiFlash Companion XL, Isco Inc.)を用いる50gカラムでの2回のシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。(EtOH+0.5%ギ酸):n−ヘプタンの無勾配混合物(40:60)を用いた分取HPLC(Chiralpak-ADキラルカラム)により、所望の異性体を得た。
最初の溶出異性体(実施例8):明黄色の固体(44mg、17.3%)。MS(ESI):m/z=390.11[M+H]
+。
2番目の溶出異性体(実施例9):ロウ状の黄色の固体(80mg、収率31.5%)。MS(ESI):m/z=390.11[M+H]
+。
【0232】
中間体(8)
4−(エトキシカルボニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸
無水酢酸(5.19g、4.8mL、50.9mmol)、DIPEA(6.58g、8.89mL、50.9mmol)及びギ酸ナトリウム(5.19g、76.3mmol)の混合物をRTで1時間撹拌した。DMF(50mL)中の5−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸エチル(8.6g、25.4mmol;WO2010038167により調製)の溶液を滴下により加え、続いて酢酸パラジウム(II)(286mg、1.27mmol)及びLiCl(3.24g、76.3mmol)を加えた。RTで1.5時間撹拌後、この黒色の懸濁液を2M HCl水溶液(100mL)及びEtOAc(100mL)上に注ぎ入れ、層を分離した。水層をEtOAc(100mL)で2回抽出した。有機層を、H
2Oで2回及び食塩水で1回洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、シリカゲルで処理して蒸発させた。この化合物を、CH
2Cl
2:MeOHの勾配(100:0〜80:20)で溶出するMPLCシステムを用いる120gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。明褐色の油状物(4.14g;81.3%)。MS(ESI):m/z=199.06[M−H]
−。
【0233】
実施例10
(R)−1−[4,5−ジメチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルカルバモイル]−ピロリジン−2−カルボン酸
【化27】
CH
2Cl
2(10mL)中の5−(2−イソシアナト−4,5−ジメチル−チオフェン−3−イル)−3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール(178mg、0.615mmol)の溶液に、D−プロリン(142mg、1.23mmol)及びトリエチルアミン(0.128mL、0.923mmol)を25℃で加え、この反応混合物を25℃で12時間撹拌した。この反応混合物をCH
2Cl
2(20mL)で希釈して、2N HCl水溶液(15mL)、続いてH
2O(20mL)で洗浄した。有機層を、Na
2SO
4で乾燥し、濾過して蒸発させた。残渣を、CH
2Cl
2:MeOHの勾配(100:0〜95:5)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製することにより、所望の化合物をオフホワイト色の固体として得た(120mg、48%)。MS(ESI):m/z=403.4[M−H]
−。
【0234】
中間体(9)
5−(2−イソシアナト−4,5−ジメチル−チオフェン−3−イル)−3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール
THF(4mL)中の4,5−ジメチル−3−(3−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−イルアミン(165mg、0.627mmol、中間体(1.22))の溶液に、トリホスゲン(149mg、0.501mmol)を加え、この反応混合物を25℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させることにより、所望の化合物が無色の固体(178mg、98%)として生成したが、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0235】
表9の実施例は、表9にリストされる2−アミノチオフェン及びカルボン酸無水物試薬を用いて、実施例4に使用される方法により調製した。
【表10】
表10の中間体は、表10にリストされる出発物質を用いて、それぞれ前記の方法A7及びA3により調製した。
【表11】
【0236】
表11の中間体は、表11にリストされる出発物質を用いて、前記の方法B1により調製した。
【0237】
【表12】
【0238】
一般手順D:シアノメチル−チアジアゾールの調製
無水THF(15mL)中の5−クロロ−3−アルキル−[1.2.4]チアジアゾール(6mmol)の溶液に、無水CH
3CN(12mmol)を加え、この溶液を0℃に冷却する。次にLiHMDS(12mmol、THF中1M溶液)をこの温度で滴下により加え、この反応混合物を25℃で5時間撹拌する。飽和NH
4Cl水溶液(20mL)で反応をクエンチして、EtOAc(各30mL)で3回抽出する。合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過して蒸発させた。残渣を、EtOAc:n−ヘプタンの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得たが、これは、更に精製することなく次の工程に使用することができる。
【0239】
表12の中間体は、表12にリストされる出発物質を用いて、上記の方法により調製した。
【0240】
【表13】
【0241】
例A
式(I)の化合物は、それ自体公知のやり方で、以下の組成の錠剤の製造用の活性成分として使用することができる:
1錠当たり
活性成分 200mg
微結晶性セルロース 155mg
トウモロコシデンプン 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
20mg
425mg
【0242】
例B
式(I)の化合物は、それ自体公知のやり方で、以下の組成のカプセル剤の製造用の活性成分として使用することができる:
1カプセル当たり
活性成分 100.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
乳糖 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム
0.5mg
220.0mg