特許第6383359号(P6383359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383359
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】CRZ1突然変異真菌細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/19 20060101AFI20180820BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20180820BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20180820BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   C12N1/19ZNA
   C12N15/31
   C12N15/63 Z
   C12P21/02 C
【請求項の数】14
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2015-537823(P2015-537823)
(86)(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公表番号】特表2015-532120(P2015-532120A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】US2013065443
(87)【国際公開番号】WO2014066134
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】61/716,670
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596129215
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジアーン,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ジユアーン,ジユイン
【審査官】 千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/145596(WO,A1)
【文献】 特表2004−501642(JP,A)
【文献】 特開2011−019521(JP,A)
【文献】 FEMS Yeast Res., 2011, Vol. 11, pp. 430-439
【文献】 Genes Dev., 1997, Vol. 11, No. 24, pp. 3432-3444
【文献】 J.Biotechnol., 2011, Vol. 154, No. 4, pp. 312-320
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能的CRZ1ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を欠いている単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞であって、ここで、前記ピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞は、ファーメンターまたはバイオリアクターにおいて、メタノール誘導後32℃で約90〜約110時間の間生存するという耐熱性表現型を有する、前記単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞
【請求項2】
内在性CRZ1遺伝子が突然変異、破壊、部分欠失または全欠失されている;または、CRZ1ポリペプチドの発現がCRZ1遺伝子の転写またはCRZ1遺伝子の翻訳を干渉することによって低減されているかまたはCRZ1ポリペプチドの分解が増加されている;または、CRZ1ポリペプチド活性が化学阻害剤によって阻害されている、請求項1の単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞。
【請求項3】
(i)内在性CRZ1遺伝子が:L33→STOP;Q214→STOP;L294→STOP;S298→STOP;E403→G;F406→S;F406→L:C411→F;およびK469→Nから成る群より選択される一または複数の突然変異を含むことにおいて、野生型CRZ1ポリペプチドと異なるポリペプチドをコードする;または
(ii)内在性CRZ1遺伝子が:a1407c;g1232t:t1216c;t1217c;a1208g;c893a;t881g;c640t;およびt98aから成る群より選択される一または複数の突然変異を含むことにおいて、野生型CRZ1遺伝子と異なるヌクレオチド配列を含んでいる;または
(iii)内在性CRZ1遺伝子が、それが機能的C末端ジンクフィンガードメインをコードしないことにおいて野生型CRZ1遺伝子と異なる、
請求項1〜2のいずれかの単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞。
【請求項4】
(i)一または複数の内在性ベータ‐マンノシルトランスフェラーゼ遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化または部分欠失または全欠失されている;
(ii)アルファ‐1,2マンノシダーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(iii)ホスホマンノシルトランスフェラーゼをコードする一または複数の内在性遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化または部分欠失または全欠失されている;
(iv)単一サブユニットオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(v)内在性ALG3遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化または部分欠失または全欠失されている;
(vi)エンドマンノシダーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(vii)二機能性UDP‐N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ/N‐アセチルマンノサミンキナーゼ、N‐アセチルノイラミン酸‐9‐リン酸シンターゼまたはCMP‐シアル酸シンターゼをコードする一または複数のポリヌクレオチドを含んでいる;
(viii)内在性ATT1遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化または部分欠失または全欠失されている;
(ix)内在性OCH1遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化または部分欠失または全欠失されている;
(x)ガラクトシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(xi)糖ヌクレオチド輸送体をコードするヌクレオチドを含んでいる;
(xii)シアリルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(xiii)アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいる;および/または
(xiv)ロテアーゼをコードする一または複数の内在性遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化および部分欠失または全欠失されている、
請求項1〜3のいずれかの単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞。
【請求項5】
求項1〜4のいずれかの単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞であって、異種ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む、前記ピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞
【請求項6】
該異種ポリペプチドが免疫グロブリンである、請求項1〜5のいずれかの単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞。
【請求項7】
(i)配列番号3に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、さらに、L33→STOP;Q214→STOP;L294→STOP;S298→STOP;E403→G;F406→S;F406→L:C411→F;およびK469→Nから成る群より選択される、一の突然変異を含む、または
(ii)配列番号2のヌクレオチド配列を含み、さらに、a1407c;g1232t:t1216c;t1217c;a1208g;c893a;t881g;c640t;およびt98aから成る群より選択される、一の突然変異を含む、
単離されたポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項7のポリヌクレオチドを含む単離ベクター。
【請求項9】
バイオプロセス発酵条件下で改善された生存能を有する単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞を製造するための方法であって:
(i)内在性CRZ1ポリペプチドをコードする遺伝子に突然変異を導入することであって、当該突然変異が以下から成る群より選択される、一の突然変異を有する変異CRZ1ポリペプチドに産生すること:
L33→STOP;Q214→STOP;L294→STOP;S298→STOP;E403→G;F406→S;F406→L:C411→F;およびK469→N;または
(ii)前記ポリヌクレオチドに突然変異a1407c;g1232t:t1216c;t1217c;a1208g;c893a;t881g;c640t;またはt98aを導入すること
を含み、
前記(i)または(ii)において、前記突然変異は、生物発酵プロセス条件下において、改善した生存率を有するピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞を生産し、ここで、当該改善した生存率は、ファーメンターまたはバイオリアクターにおいて、メタノール誘導後32℃で約90〜約110時間の間生存するという耐熱性表現型を含む前記方法。
【請求項10】
請求項の方法によって産生される単離真菌宿主細胞。
【請求項11】
前記ピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞に、同細胞内で内在性CRZ1遺伝子と相同的に組換えられ、かつ内在性CRZ1遺伝子を部分欠失または全欠失し、または内在性CRZ1遺伝子を破壊する異種ポリヌクレオチドを導入することを含む、請求項1〜のいずれかの単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞を作成する方法。
【請求項12】
請求項11の方法によって産生される単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞。
【請求項13】
(i)該異種ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを請求項1〜4、6、10および12のいずれかの単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞に導入すること;および
(ii)該ピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該ピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞を培養することおよび;さらに
(iii)該ピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含んでもよい、一または複数の異種ポリペプチドを製造するための方法。
【請求項14】
該異種ポリペプチドをコードする該異種ポリヌクレオチドが作動可能にメタノール誘導性プロモーターに結合され、かつ該単離ピキア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞がメタノール存在下で該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で培養される、請求項13の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年10月22日に出願された米国仮特許出願第61/716,670号の利益を主張し;該仮出願は、本明細書でその全体を参照することで援用される。
【0002】
本発明は、その使用方法と併せて、CRZ1突然変異対立遺伝子および該対立遺伝子を含むピキア・パストリス(Picka pastoris)等の真菌宿主細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
GlycoFi社は、ヒト様糖鎖修飾を有する組換え糖タンパク質を産生するためにピキア属(Pichia)を遺伝子操作した。しかしながら広範に渡る遺伝子組換えは、また細胞壁構造における根本的な変化も引き起こし、これらの糖操作株を発酵中に細胞溶解し易く、および細胞ロバスト性(頑強性)が低減し易くなった。これらの望ましくない形質は、実質的な細胞生存率の低下、ならびに発酵ブロスへの細胞内プロテアーゼ漏出の顕著な増加をもたらし、結果として組換え産物の収量および質の双方における低下をもたらした。単離真菌宿主細胞、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans);ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha);シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae);ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等は、真菌のグリコシル化経路におけるポリペプチドである機能的OCH1を欠いていて、温度感受性であることが知られている。例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)och1破壊株は42℃において温度感受性であり(Bates et al.,Outer Chain N‐Glycans Are Required for Cell Wall Integrity and Virulence of Candida albicnas(外鎖N‐グリカンは、カンジダ・アルビカンスの細胞壁完全性およびビルレンスのために必要とされる),The Journal of Biological Chemistry 281:90‐98(2006));ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)och1破壊株は45℃において温度感受性であり(Kim et al.,Functional Characterization of the Hansenula polymorpha HOC1,OCH1,and OCR1 Genes as Members of the Yeast OCH1 Mannosyltransferase Family involved in Protein Glycosylaton(タンパク質のグリコシル化に関わる酵母OCH1マンノシルトランスフェラーゼ・ファミリーのメンバーとしての、ハンゼヌラ・ポリモルファHOC1、OCH1およびOCR1遺伝子の機能的キャラクタリゼーション),The Journal of Biological Chemistry,281:6261‐6272(2006));シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)och1破壊株は37℃において温度感受性であり(Yoko‐o et al.,Schizosaccharomyces pombe och1encodes alpha‐1,6‐Mmannosyltransferase that is involed in outer chain elongation of N‐linked oligosaccharides(シゾサッカロミセス・ボンベoch1株は、N‐結合型オリゴ糖の外鎖伸長に関わるアルファ‐1,6‐マンノシルトランスフェラーゼをコードする),FEBS Letters 489:75‐80(2001));サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)och1破壊株は37℃において温度感受性であり(Nakayama et al.,OCH1 encodes a novel membrane bound mannosyltransferase:outer chain elongation of asparagine‐linked oligosaccharides(OCH1は、新規の膜結合性マンノシルトランスフェラーゼをコードする:アスパラギン結合オリゴ糖の外鎖伸長),EMBO J.11(7):2511‐9(1992));ならびにピキア・パストリス(Pichia pastoris)och1破壊株は37℃において温度感受性である(Choi et al.,Use of combinatorial genetic libraries to humanize N‐linked glycosylation in the yeast Pichia pastoris(酵母ピキア・パストリスにおけるN‐結合型グリコシル化をヒト化するためのコンビナトリアル遺伝子ライブラリの使用),Proc Natl Acad Sci USA.100(9):5022‐7(2003))。細胞培養において、och1真菌宿主細胞(例えば、ピキア属(Pichia)細胞)をよりロバスト性にするためのさらなる遺伝子操作は、価値があるであろう。
【0004】
ピキア属(Pichia)の発酵ロバスト性を増強するための遺伝子操作のための思いもかけない候補は、CRZ1、ジンクフィンガー転写因子である。CRZ1は、いくつかのS.セレビシエ(S.cerevisiae)原形質膜および細胞壁調節遺伝子を調節することが知られている(Cyert,Biochemical and Biophysical Research Communications 311:1143‐1150(2003))。CRZ1の突然変異に起因する原形質膜および細胞壁合成の混乱は、ピキア属(Pichia)細胞をより弱いロバスト性とすると予想されたであろう。S.セレビシエ(S.cerviseiae)CRZ1の公表されたキャラクタリゼーションは、機能的なCRZ1を欠くピキア属(Pichia)細胞が高温度ストレス下に置かれたとき、生存性およびロバスト性がより弱くなるであろう、と予想するように当業者を導いたであろう。(Matheos et al.,Genes & Development 11:3445‐3458(1997);Stathopoulos et al.,Genes & Development 11:3432‐3444(1997))。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、機能的なCRZ1ポリペプチドを欠く単離真菌宿主細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等のピキア属(Pichia))を提供し、例えば、ここで該細胞は、機能的CRZ1を発現する細胞と比較して発酵ロバスト性の増強および免疫グロブリン等の異種ポリペプチド産生の増加を示し、例えば、ここで内在性CRZ1は突然変異、破壊または部分的にまたは完全に欠失されていて;任意選択的に免疫グロブリン等の異種ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチド(例えば、メタノール誘導性プロモーター等のプロモーターに作動可能に結合されている)を含んでいる。本発明の一実施形態において、(i)内在性CRZ1は、L33→STOP;Q214→STOP;L294→STOP;S298→STOP;E403→G;F406→S;F406→L;C411→F;およびK469→N、内在性CRZ1の破壊、内在性CRZ1の全欠失、内在性CRZ1の部分欠失(例えば、CRZ1ポリペプチドの33aa‐末端、214aa‐末端、294‐末端、298‐末端を欠失している)から成る群より選択される一または複数の突然変異を含むポリペプチドをコードし;または(ii)内在性CRZ1は、a1407c;g1232t;t1216c;t1217c;a1208g;c893a;t881g;c640t;およびt98aから成る群より選択される一または複数の突然変異を含み;または(iii)内在性CRZ1は、機能的なC末端ジンクフィンガードメインをコードしない。本発明の一実施形態において、単離真菌宿主細胞は、また以下の特性の一または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9,10、11、12、13または14のいずれか)を含み:(i)ここで、一または複数の内在性ベータ‐マンノシルトランスフェラーゼ遺伝子が、突然変異、破壊、トランケート化または部分もしくは全欠失されている;(ii)アルファ‐1,2マンノシダーゼ、アルファ‐1,3マンノシダーゼまたはアルファ‐1,6マンノシダーゼをコードするポリヌクレオチドを含む;(iii)ここで、一または複数の内在性ホスホマンノシルトランスフェラーゼが、突然変異、破壊、トランケート化または部分もしくは全欠失されている;(iv)単一サブユニット性オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(例えば、リーシュマニア属種(Leishmania sp.)STT3D)を含む;(v)ここで、内在性ドリコールリン酸マンノース依存アルファ‐1,3‐マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、ALG3)が、突然変異、破壊、トランケート化または部分もしくは全欠失されている;(vi)エンドマンノシダーゼをコードするポリヌクレオチドを含む;(vii)二機能性UDP‐N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ/N‐アセチルマンノサミンキナーゼ、N‐アセチルノイラミン酸‐9‐リン酸シンターゼまたはCMP‐シアル酸シンターゼをコードする一または複数のポリヌクレオチドを含む;(viii)ここで、内在性ATT1遺伝子が、突然変異、破壊、トランケート化または部分的にもしくは完全に欠失されている;(ix)ここで、アルファ‐1,6‐マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、OCH1)が、突然変異、破壊、トランケート化または部分的にもしくは完全に欠失されている;(x)ガラクトシルトランスフェラーゼ、例えば、アルファ1,3‐ガラクトシルトランスフェラーゼまたはベータ1,4‐ガラクトシルトランスフェラーゼを含む;(xi)糖ヌクレオチド輸送体、例えば、UDP‐ガラクトースト輸送体(DmUGT)を含む;(xii)シアリルトランスフェラーゼ、例えば、アルファ‐2,6‐シアリルトランスフェラーゼ(MmST6−33)を含む;(xiii)アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、例えば、GNT1またはGNT2またはGNT4を含む;および/または(xiv)ここで、一または複数の内在性プロテアーゼ遺伝子(例えば、PEP4およびPRB1)が、突然変異、破壊または部分的にもしくは完全に欠失されている。本発明はまた、内在性CRZ1と相同的に組み換え、かつ内在性CRZ1を部分的にまたは完全に欠失させるまたは内在性CRZ1を破壊する、異種ポリヌクレオチドを細胞に導入することを含む、本発明の単離真菌宿主細胞を作成するための方法を、該方法によって産生される真菌宿主細胞と共に提供する。
【0006】
本発明はまた、例えば、a1407c、;g1232t;t1216c;t1217c;a1208g;c893a;t881g;c640tおよびt98aから成る群より選択される突然変異を含む配列番号2のヌクレオチド配列を含み、L33→STOP;Q214→STOP;L294→STOP;S298→STOP;E403→G;F403→S;F406→L;C411→FおよびK469→Nから成る群より選択される突然変異を含む配列番号3に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドも提供する。当該ポリヌクレオチドを含む単離されたベクターもまた、本発明の一部をなす。当該ヌクレオチドによってコードされる単離されたポリペプチドもまた、本発明の一部をなす。
【0007】
本発明はまた、ポリペプチドをコードする、L33→STOP;Q214→STOP;L294→STOP;S298→STOP;E403→G;F406→S;F406→L;C411→FおよびK469→Nから成る群より選択される突然変異を、真菌細胞中の内在性CRZ1遺伝子に導入することを含む、高温(例えば、32°)における改善された生存能を有する単離されたcrz1mutant真菌宿主細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等のピキア属(Pichia))を作成する方法も提供する。
【0008】
本発明はまた、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該単離されたcrz1mutant真菌宿主細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等のピキア属(Pichia))(例えば、本明細書記載のいずれか)に導入すること;および(ii)該細胞中の該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で(例えば、24℃で)宿主細胞を培養すること、および;(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチド(例えば、免疫グロブリンのポリペプチド)を産生する方法も提供する。本発明の一実施形態において、該異種ポリペプチドをコードする該異種ポリヌクレオチドは、メタノール誘導性プロモーターに作動可能に結合され、かつここで単離された該真菌宿主細胞は、メタノールの存在下に該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で培養される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】改善された発酵ロバスト性およびFc力価を示す耐熱性突然変異株。
図2A】突然変異誘発されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)株の系列。
図2B】突然変異誘発されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)株の系列。
図2C】突然変異誘発されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)株の系列。
図3】耐熱性突然変異株のN‐グリカンプロファイル。G0=GlcNacで終結するN‐グリカン;G1=単独のガラクトースで終結するN‐グリカン;G2=二重のガラクトースで終結するN‐グリカン;A1=単独のシアル酸で終結するN‐グリカン;A1H=A1ハイブリッド、混成構造を有する単独のシアル酸で終結するN‐グリカン;A2=二重のシアル酸で終結するN‐グリカン;M5=Man;M6+=Man6+
図4】囲んだ「+」印に相当する、Pp02g02g02120(CRZ1)における多重変異およびPp01g00680(ATT1)における二の変異が確認された耐熱性突然変異株の大規模シークエンシング。
図5】突然変異タンパク質Pp02g02120は、ストレス応答に関わるサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)CRZ1ジンクフィンガー転写因子と相同だった。種々の単離された突然変異PpCRZ1対立遺伝子を示す。「」は表示する変異の位置を示す。
図6】プラスミドpGLY12829。
図7】プラスミドpGLY12832。
図8】ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1欠失およびトランケート化のために構築されたDNAコンストラクト。
図9】ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1欠失およびトランケート化突然変異株は32℃における発酵ロバスト性の改善を示した。
図10】ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1欠失は34℃におけるatt1突然変異株における発酵ロバスト性を改善する。
【発明の詳細な説明】
【0010】
予想に反して、機能的CRZ1を欠くピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞は、耐熱性の向上およびロバスト性の増強を示した。
【0011】
菌株の特性を広範に改善するためにランダム突然変異誘発を実施し、いくつかの顕著に改善された発酵ロバスト性を有する耐熱性突然変異株であるピキア・パストリス(Pichia pastoris)株を同定した。非突然変異誘発糖操作親株が温度感受性の表現型を示し(Choi et al.2003)、32℃での誘導後40ないし60時間生存するのに対して、すべての突然変異株は32℃での誘導後90ないし110時間持続した。この延長された誘導期間により、これらの耐熱性株で発現される組換えタンパク質の収量および特性は顕著に向上した。この熱耐性および発酵ロバスト性向上の原因である突然変異を明らかにするために、独立して単離された9個の突然変異株に対するゲノムシークエンシングを実施し、突然変異株ごとに別個のオープンリーディングフレーム(ORF)内での非同義突然変異を確認した。驚くべきことにすべて9の突然変異株は、一遺伝子、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1のコーディング領域内に別個の突然変異を含んでいた。さらに重要なことにピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1突然変異は、3の突然変異株YGLY29010、YGL29031およびYGL29042に検出された唯一の非同義一塩基多様性であった。まとめるとこれらのゲノムシークエンシングの結果は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1遺伝子内の突然変異が耐熱性および発酵ロバスト性の表現型の原因であることを示している。さらに内在性CRZ1が突然変異した、従って機能的CRZ1タンパク質を欠く非突然変異誘発糖操作菌株は、同様に32℃での誘導後90〜110時間の生存能を示した。
【0012】
「CRZ1wt」真菌宿主細胞は野生型CRZ1を含む。
【0013】
「PpCRZ1」は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1である。
【0014】
「ScCRZ1」は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)CRZ1である。
【0015】
ピキア属(Picha)等の単離された真菌細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)の増殖に関する高温度とは、28℃、29℃または30℃以上、例えば、32℃である。
【0016】
異種ポリヌクレオチドとは、真菌宿主細胞に導入されたポリヌクレオチドであり、かつ異種ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドである。例えば、異種ポリヌクレオチドは、免疫グロブリン重鎖または免疫グロブリン軽鎖、例えば、軽鎖または重鎖可変ドメイン、および任意選択的に、例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント由来の、例えば、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab)2抗体フラグメント、Fv抗体フラグメント、一本鎖Fv抗体フラグメントまたはdsFv抗体フラグメント等の抗体の抗原結合フラグメント由来の抗体定常ドメインをコードし得る。当該抗体のいずれも、インスリン様増殖因子受容体1、VEGF、インターロイキン‐6(IL6)、IL6受容体、呼吸系発疹ウイルス(RSV)、CD20、腫瘍壊死因子アルファ、NFカッパB活性化受容体リガンド(RANKL)またはRANKLの受容体RANK、IgE、Her2、Her3または上皮成長因子受容体等のいかなるエピトープにも特異的に結合し得る。
【0017】
「内在性」遺伝子とは、遺伝子の染色体コピーである。
【0018】
本明細書で言及され得る遺伝子名の用語集は以下の通りである:
ScSUC2 S.セレビシエ(S.cerevisiae)インベルターゼ
OCH1 アルファ‐1,6‐マンノシルトランスフェラーゼ
K1MNN2‐2 K.ラクチス(K.lactis)UDP‐GlcNAc輸送体 糖ヌクレオチド輸送体
BMT1 ベータ‐マンノース‐トランスファー(ベータ‐マンノース除去) ベータ‐マンノシルトランスフェラーゼ
BMT2 ベータ‐マンノース‐トランスファー(ベータ‐マンノース除去)
BMT3 ベータ‐マンノース‐トランスファー(ベータ‐マンノース除去)
BMT4 ベータ‐マンノース‐トランスファー(ベータ‐マンノース除去)
MNN4L1 MNN4様1(電荷除去)
MmSLC35A3 UDP‐GlcNAc輸送体のマウスホモログ
PNO1 N‐結合型オリゴ糖のホスホマンノシル化(電荷除去)
MNN4 マンノシルトランスフェラーゼ(電荷除去)
ScGAL10 UDP‐グルコース4‐エピメラーゼ
XB33 ScKRE2リーダーに融合したトランケート化HsGalT1
DmUGT UDP‐ガラクトース輸送体
KD53 ScMNN2リーダーに融合したトランケート化DmMNSII
TC54 ScMNN2リーダーに融合したトランケート化RnGNTII
NA10 PpSEC12リーダーに融合したトランケート化HsGNTI
FB8 ScSEC12リーダーに融合したトランケート化MmMNS1A
MmCST マウスCMP‐シアル酸輸送体
HsGNE ヒトUDP‐GlcNAc2‐エピメラーゼ/N‐アセチルマンノサミンキナーゼ
HsCSS ヒトCMP‐シアル酸シンターゼ
HsSPS ヒトN‐アセチルノイラミン酸‐9‐リン酸シンターゼ
MmST6‐33 ScKRE2リーダーに融合したトランケート化マウスアルファ‐2,6‐シアリルトランスフェラーゼ
TrMDS1 分泌型T.リーセイ(T.reesei)MNS1
STE13 ゴルジ体ジペプチジルアミノペプチダーゼ
DAP2 液胞ジペプチジルアミノペプチダーゼ
ALG3 ドリコールリン酸マンノース依存アルファ(1‐3)マンノシルトランスフェラーゼ
STT3D オリゴサッカリルトランスフェラーゼ
CiMNS1 コクシジオイデス‐イミチスマンノシダーゼI
分子生物学
本発明においては、当該分野の技術範囲内で従来の分子生物学、微生物学および組換えDNA技術が使用し得る。本明細書で別途定義がない限り、本発明に関連して用いられる科学用語および専門用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。さらに文脈上他に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、かつ複数形の用語は単数形を含むものとする。一般的に、生化学、酵素学、分子および細胞生物学、微生物学、遺伝学およびタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションに関連して本明細書で用いられる専門語および技術は、当該技術分野において周知でありかつ通常用いられているものである。本発明の方法および技術は、別途指摘のない限り本明細書を通して引用され議論される、当該技術分野において周知の従来法に従って、および種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載された通りに一般的に実施される。例えば、James M.Cregg(Editor(編者)),Pichia Protocols(Methods in Molecular Biology)(ピキアのプロトコル(分子生物学の方法)),Humana Press(2010)、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験マニュアル),2nd ed(第2版).,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Ausubel et al,Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学のカレントプロトコル),Greene Publishing Associates(1992,and Supplements to 2002(2002年の補遺));Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(抗体:実験マニュアル),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990);Taylor and Drickamer,Introduction to Gllycobiology(糖鎖生物学序説),Oxford Univ.Press(2003);Worthington Enzyme Manual(ワージントン酵素マニュアル),Worthington Biochemical Corp.,Freehold,N.J.;Handbook of Biochemistry:Section A Proteins,Vol 1(生化学ハンドブック:セクションAタンパク質、第1巻),CRC Press(1976);Essentials of Glycobiology(糖鎖生物学綱要),Cold Spring Harbor Laboratory Press(1999)、Animal Cell Culture(動物細胞培養)(R.I.Freshney,ed.(編)(1986));Immobilized Cells And Enzymes(固定化細胞と固定化酵素)(IRL Press,(1986));B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(分子クローニング実践ガイド)(1984)を参照されたい。
【0019】
「ポリヌクレオチド」または「核酸」には、一本鎖形態、二本鎖形態またはその他の形態のDNAおよびRNAが含まれる。
【0020】
「ポリヌクレオチド配列」または「ヌクレオチド配列」は、DNAまたはRNA等の、核酸における一連の核酸のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも称される)であり、一連の二以上のヌクレオチドを意味する。本明細書で示すヌクレオチド配列を含むいかなるポリヌクレオチド(例えば、crz1mutant)も本発明の一部を成す。
【0021】
RNAまたはポリペプチド等の「コード配列」または発現産物を「コードする」配列とは、発現された時に産物(例えば、免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖等の異種ポリペプチド)の産生をもたらすヌクレオチド配列(例えば、異種ヌクレオチド)である。
【0022】
本明細書で用いる場合、用語「オリゴヌクレオチド」とは、ポリヌクレオチド分子とハイブリッド形成可能な、一般的にわずか約100ヌクレオチド(例えば、30、40、50、60、70、80または90)の核酸を表す。オリゴヌクレオチドは、例えば、32P‐ヌクレオチド、H‐ヌクレオチド、14C‐ヌクレオチド、35S‐ヌクレオチドまたはビオチン等の標識が共有結合されたヌクレオチドの取り込によって標識され得る。
【0023】
「タンパク質」、「ペプチド」または「ポリペプチド」(例えば、免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖等の異種ポリペプチド)は、二以上のアミノ酸の連結した列を含む。本明細書で示されるアミノ酸配列を含むいかなるポリペプチド(例えば、Crz1mutantポリペプチド)も、本発明の一部を構成する。
【0024】
「タンパク質配列」、「ペプチド配列」または「ポリペプチド配列」または「アミノ酸配列」は、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチド中の一連の二以上のアミノ酸を表す。
【0025】
用語「単離ポリヌクレオチド」または「単離ポリペプチド」には、細胞中または組換えDNA発現系中に通常見出される他の成分または任意の他の夾雑物から部分的にまたは完全に分離されるポリヌクレオチドまたはポリペプチドがそれぞれ含まれる。これらの成分には、制限されるものではないが、細胞膜、細胞壁、リボゾーム、ポリメラーゼ、血清成分および外来性ゲノム配列が含まれる。本発明の範囲には、本明細書で示される単離されたポリヌクレオチド(例えば、crz1mutant)および当該ポリヌクレオチドによってコードされる単離されたポリペプチドが含まれる。
【0026】
単離されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、実質的に分子の均質な組成物であるのが好ましいが、ある不均一性を含んでも良い。
【0027】
DNAの「増幅」には、用いる場合、DNA配列の混合物内で特定のDNA配列の濃度を増加させるためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用が含まれる。PCRの解説についてはSaiki,et al.,Science(1988)239:487を参照されたい。
【0028】
一般的に、「プロモーター」または「プロモーター配列」とは、細胞におけるRNAポリメラーゼを結合し(例えば、直接にまたは他のプロモーター結合性タンパク質もしくは物質によって)かつそれが作動可能に結合するコード配列の転写を開始する能力のあるDNA調節領域である。プロモーターに作動可能に結合されたcrz1mutantポリヌクレオチドは、本発明の一部を成す。また、プロモーターに作動可能に結合された異種ポリヌクレオチド(例えば、免疫グロブリンのポリペプチドをコードしている)を含む単離crz1mutant真菌宿主細胞も本発明の一部を成す。
【0029】
コード配列(例えば、異種ポリヌクレオチド、例えば、レポーター遺伝子または免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖のコード配列)が転写および翻訳調節配列(例えば、本発明のプロモーター)「に作動可能に結合して」、「の調節下に」、「に機能的に関連して」または「に作動可能に関連して」いるとその時、該配列は、該コード配列のRNA、好ましくはmRNAへのRNAポリメラーゼ媒介性転写を命令し、次にRNAはRNAスプライシングされ得て(イントロを含んでいる場合)しかも任意選択的に該コード配列によってコードされたタンパク質に翻訳され得る。
【0030】
本発明には、crz1mutantポリヌクレオチドを含むベクターまたはカセットが含まれる。異種ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含有するベクターは、また異種ポリペプチド(例えば、免疫グロブリン)の産生のために種々のcrz1mutant真菌宿主細胞においても使用し得る。用語「ベクター」には、該宿主を形質転換するために、および任意選択的に、導入された配列の発現および/または複製を促進するために、それによってDNAまたはRNA配列が該宿主細胞に導入され得るビヒクル(例えば、プラスミド)が含まれる。本明細書での使用に適したベクターには、宿主細胞(例えば、ピキア・パストリス(Picha pastoris))のゲノムへの核酸の導入を促進し得る、プラスミド、組込み可能なDNA断片および他のビヒクルが含まれる。プラスミドが最も普通に使用されるベクターの形態であるが、同様の機能を供給し、当該技術分野において知られているまたは知られるようになるベクターの他のすべての形態が、本明細書での使用に適している。例えば、Pouwels,et al.,Cloning Vectors:A Laboratory Manual(クローニングベクター:実験マニュアル),1985 and Supplements(補遺),Elsevier,N.Y.,およびRodriguez et al.(eds(編)),Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses(ベクター:分子クローニングベクター概説およびその使用),1988,Buttersworth,Boston,MAを参照されたい。当該ベクターは、任意選択的に異種ポリヌクレオチドに作動可能に結合された分泌シグナル(例えば、アルファ交配因子(α‐MF)プレ−プロリーダー配列)を含む。また、例えば、作動可能にプロモーターに結合した異種ポリヌクレオチド(例えば、免疫グロブリンのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)を含有するベクターを含む単離されたcrz1mutant真菌宿主細胞も本発明の一部を成す。
【0031】
作動可能にプロモーターに結合したポリヌクレオチド(例えば、異種ポリヌクレオチド、例えば、免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖をコードする異種ポリヌクレオチド)は、発現系において発現され得る。用語「発現系」とは、適当な条件下で、タンパク質または該ベクターによって運ばれ該宿主細胞に導入される核酸を発現できる、宿主細胞および適合性ベクターを意味する。通常の発現系には、真菌宿主細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))とプラスミドベクター、昆虫宿主細胞とバキュロウイルスベクター(Baculovirus vector)および哺乳動物宿主細胞とベクターが含まれる。
【0032】
用語「メタノール誘導」とは、該宿主細胞をメタノールに暴露することによって、本発明の宿主細胞中のメタノール誘導性プロモーターに作動可能に結合したポリヌクレオチド(例えば、異種ポリヌクレオチド)の発現を増加させることを表す。メタノール誘導性プロモーターに作動可能に結合したポリヌクレオチドを含有するcrz1mutantは、本発明の一部を成す。プロモーターコンストラクトを含むcrz1mutant真菌細胞をメタノールに暴露することにより、当該メタノール誘導性プロモーターに融合した異種ポリヌクレオチドの発現を誘導するための方法、およびコードされた異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該細胞を培養するための方法は、本発明の一部を成す。
【0033】
BLASTアルゴリズムに関する以下の参考文献は、本明細書で参照することにより援用される:BLAST ALGORITHMS(BLASTアルゴリズム):Altschul,S.F.,et al.,J.Mol.Biol.(1990)215:403‐410;Gish,W.,et al.,Nature Genet.(1993)3:266‐272;Madden,T.L.,et al.,Meth.Enzymol.(1996)266:131‐141;Altschul,S.F.,et al.,Nucleic Acids Res.(1997)25:3389‐3402;Zhang,J.,et al.,Genome Res.(1997)7:649‐656;Wootton,J.C.,et al.,Comput.Chem.(1993)17:149‐163;Hancock,J.M.,et al.,Comput.Appl.Biosci.(1994)10:67‐70;ALIGNMENT SCORING SYSTEMS(アラインメント・スコアリング・システム):Dayhoff,M.O.,et al.,“A model of evolutionary change in proteins.” in Atlas of Protein Sequence and Structure(タンパク質配列および構造に関する図譜における「タンパク質の進化的変化のモデル」),(1978)vol.5,suppl.3(補遺3).M.O.Dayhoff(ed(編)),pp.345‐352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.,et al.,“Matrices for detecting distant relatonships.”in Atlas of Protein Sequence and Structure(タンパク質配列および構造に関する図譜における「遠位関係検出のための行列」),(1978)vol.5,suppl.3(補遺3).“M.O.Dayhoff(ed(編).),pp.353‐358,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Altschul,S.F.,J.Mol.Biol.(1991)219:555‐565;States,D.J.,et al.,Methods(1991)3:66‐70;Henikoff,S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10915‐10919;Altschul,S.F.,et al.,J.Mol.Evol.(1993)36:290‐300;ALLIGNMENT STATISTICS(アライメント統計):Karlin,S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:2264‐2268;Karlin,S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:5873‐5877;Dembo,A.,et al.,Ann.Prob.(1994)22:2022‐2039;およびAltschul,S.F.”Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.“in Theoretical and Computational Methods in Genome Research(ゲノム研究における理論的およびコンピュータ的方法における「複数の明瞭な局所アライメントの統計的有意差の評価」)(S.Suhai,ed(編).),(1997)pp.1‐14,Plenum,New York。
【0034】
CRZ1
本発明は、当該方法で(例えば、突然変異、部分欠失または全欠失または遺伝子破壊で)突然変異された内在性CRZ1を含む単離真菌宿主細胞に加えて、突然変異(crz1mutantポリヌクレオチド)を含む単離されたCRZ1ポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド(crz1mutantポリペプチド)を含む。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1ポリヌクレオチドにおける当該突然変異の具体例は、以下の突然変異:a1407c;g1232t;t1216c;t1217c;a1208g;c893a;t881g;c640t;およびt98aの一または複数を有する、配列番号2のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。これらのCRZ1ポリヌクレオチドは、以下の突然変異:L33→STOP(終止コドン);Q214→STOP;L294→STOP;S298→STOP;E403→G;F406→S;F406→L;C411→F;およびK469→Nの一または複数を有する、配列番号3のアミノ酸配列を有するCRZ1ポリペプチドをコードする。当該変異型ポリヌクレオチドは、野生型の内在性CRZ1を変異型CRZ1と置換するために、内在性CRZ1染色体座の中へ導入され得る。
【0035】
本発明は、機能的C末端ジンクフィンガードメインを欠くCRZ1ポリペプチドをコードする突然変異(例えば、ナンセンス突然変異またはジンクフィンガードメインをトランケート化する欠失)を含む、いかなるCRZ1ポリヌクレオチドをも包含する。当該ポリペプチドもまた本発明の範囲内である。
【0036】
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1ポリペプチドのジンクフィンガードメインは、アミノ酸配列:SIYACSLCSKRFTRPYNLK SHLRTHADERPFQCSICGKAFARSHDRKRHEDLHSGERKYCCKGVLSDGVTTWGCEKRFARTDALGRHFKTECGKLC(配列番号3のアミノ酸376‐471)を含む。
【0037】
ランダム変異スクリーンにおいて確認された、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)CRZ1ポリペプチド(配列番号1)とピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1ポリペプチド(配列番号3)の間のBLASTP比較は、以下の通りである:

本発明は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)の突然変異株およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomydes cerevisiae)CRZ1ポリペプチドおよび当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)CRZ1ポリペプチドの具体例は、上に示すBLASTP比較においてまたは^で特記した位置に、配列番号1に示すアミノ酸配列に対する一または複数の変化を含む。
【0038】
CRZ1の相同性は、当該技術分野において既知である。CRZ1の具体例は、以下に示す。本発明の一実施形態において、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)CRZ1ポリペプチドまたはピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1ポリペプチドは、それぞれ配列番号1または3に対して少なくとも約90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)の配列類似性または配列相同性を含む。本発明の一実施形態において、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1ポリヌクレオチドは、配列番号2に対して少なくとも約90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)の配列相同性を含む。
【0039】
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)CRZ1野生型ポリペプチド
(配列番号1)
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1野生型オープンリーディングフレーム

(配列番号2)
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1野生型ポリペプチド
(配列番号3)
宿主細胞
本発明は、その遺伝的背景にさらなる突然変異を含有し得る単離されたcrz1mutant真菌宿主細胞を含む。「crz1mutant」真菌宿主細胞において(半数体にせよ二倍体にせよ)、内在性の染色体CRZ1遺伝子が、突然変異、破壊または部分的にまたは完全に欠失されているか、またはCRZ1タンパク質の発現が、何らの方法で(例えば、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA(SiRNA)等の干渉RNAによって)低減されているか、またはCRZ1ポリペプチドの活性が、化学的に(例えば、小分子阻害剤によって)不活性化されていて、従って該細胞は、CRZ1が突然変異または干渉等されなかった単離真菌宿主細胞と比較して、どんな程度にでも機能的CRZ1ポリペプチド濃度および/またはCRZ1活性を部分的にまたは完全に欠く。本発明の一実施形態において、該crz1mutant真菌宿主細胞は、高温または24℃において、完全なレベルのCRZ1を含む真菌宿主細胞よりも(例えば、ファーメンターまたはバイオリアクターにおいて)生存可能であり,例えば32℃において、例えば32℃での誘導の約90〜110時間までのあいだ生存可能である。本発明の一実施形態において、例えば、異種Fcポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む単離されたcrz1mutant真菌宿主細胞は(例えば、ファーメンターまたはバイオリアクターにおいて)、Fcポリペプチドをコードする当該異種ヌクレオチドを含むCRZ1野生型真菌宿主細胞よりも、顕著に多くの異種ポリペプチド(例えば、4倍または5倍以上)、例えば、Fcポリペプチドを発現する(当該crz1mutant真菌宿主細胞は本発明の範囲内である)。本発明の一実施形態において、例えば、異種Fcポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む単離されたcrz1mutant真菌宿主細胞は(例えば、ファーメンターまたはバイオリアクターにおいて)、CRZ1wt真菌宿主細胞のN‐グリカンプロファイルと実質的に同一のN‐グリカンプロファイルを有する、例えば、効率的にそのN‐グリカン、例えば、高レベルの末端シアル酸を有し、および/または77から84%の範囲のA2レベル、および/または4から7%のA1レベルを有する、FcN‐グリカンを効率的に修飾することのできる異種ポリペプチド、例えば、Fcポリペプチドを発現する(当該crz1mutant真菌宿主細胞は、本発明の範囲内である)。
【0040】
本発明の一実施形態において、本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞は、内在性の突然変異CRZ1ポリペプチドを含み、例えば、それは以下の突然変異:L33→STOP;Q214→STOP;L294→STOP;S298→STOP;E403→G;F406→S;F406→L;C411→F;およびK469→Nの一または複数を有する配列番号3のアミノ酸配列を含み;例えば、本発明の一実施形態において、単離crz1mutant真菌宿主細胞の突然変異内在性CRZ1ポリヌクレオチドは、以下の突然変異:a1407c;g1232t;t1216c;t1217c;a1208g;c893a;t881g;c640t;およびt98aの一または複数を有する配列番号2のヌクレオチド配列を含む。本発明の一実施形態において、本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞中で、内在性CRZ1はそれが変異またはトランケート化によって機能的C末端ジンクフィンガードメインを欠くように突然変異されている。本発明の一実施形態において、真菌宿主細胞の内在性CRZ1は、突然変異株のCRZ1、例えば本明細書で示されるナンセンス突然変異株、欠失突然変異株、全欠失突然変異株またはナンセンス突然変異を含む突然変異株を含む突然変異株等のCRZ1のいずれかとも置換された。
【0041】
単離crz1mutant真菌宿主細胞における内在性CRZ1遺伝子は、部分的に欠失され得るので、結果としてCRZ1が自然に生じるであろう染色体座内のCRZ1コード配列の一部だけを残す(例えば、ここでCRZ1ジンクフィンガードメインは部分的にまたは完全に欠失される);完全に欠失され得るので、結果としてCRZ1が自然に生じるであろう染色体座内にCRZ1コード配列をまったく残さない(例えば、ここでCRZ1は完全に欠失され栄養要求性マーカー等の他のポリヌクレオチドと置換される);破壊され得るので、結果としてCRZ1染色体遺伝子内に異種配列を挿入する;染色体遺伝子内の一または複数の箇所で突然変異され得る;CRZ1がそのように突然変異されていない細胞と比較して細胞内(例えば、その中に部分的にまたは完全に不活性化する突然変異がCRZ1ジンクフィンガードメイン内に導入される)においてより低いCRZ1発現レベルまたは活性となるように突然変異され得る;またはさもなければ、形はどうであれ部分的にまたは完全に不活性化され得る。別法として、相当量の機能的CRZ1ポリペプチドが細胞中で発現されないように、当該の内在性CRZ1遺伝子の調節領域が部分的にまたは完全に欠失され、破壊されまたは突然変異されうる。さらにCRZ1発現は、何らかの方法、例えば、アンチセンスCRZ1分子、SiRNA CRZ1分子を使用する発現の干渉によって、またはCRZ1タンパク質分解の増強によって、または小分子阻害剤を使用する化学的阻害によって低下または除去され得る。当該単離crz1mutant真菌宿主細胞は、本発明の一部である。
【0042】
本発明の範囲は、高温で「生存可能」であり、かつ発酵の間よりロバスト性である単離されたcrz1mutant真菌宿主細胞、ならびに本明細書で述べる当該細胞の使用を包含する。バイオリアクター/ファーメンター環境内の細胞培養液中の、例えば32℃等の高温での単離真菌宿主細胞の生存能は、本発明の一実施形態において、細胞培養液中における細胞溶解を測定することによって決定される。crz1mutant真菌宿主細胞溶解は、本発明の一実施形態において、顕微鏡的にまたは培養液の二本鎖DNA含量を測定することによって評価される。顕微鏡的評価は、培養液中に観察される細胞残屑量をスコア化することによって行われる。培養液中の細胞残屑は、細胞溶解の結果であり、従って細胞溶解に対するマーカーであり、培養液中での細胞の生存能を測定するための手法である。1、2、3、4または5のスコアが与えられる;5により最大の溶解、すなわち90%以上の細胞溶解を表す。crz1mutant真菌宿主細胞は、32℃での誘導後90ないし110時間のあいだ溶解に対しスコア5未満を示した。32℃で誘導されたcrz1mutant真菌宿主細胞を含む培養液は、90ないし110時間のあいだ30ミリグラム/ミリリットル以下の二本鎖DNAを有した。細胞が溶解するとき、二本鎖DNAは培地中に放出される;従って培養液の二本鎖DNA含量は、細胞溶解のマーカーであり、培養液中での細胞の生存能を決定するための手法である。二本鎖DNAは、二本鎖DNAに対する親和性により培養液中の二本鎖DNAに結合した蛍光染料(例えば、ビスベンズイミダゾール、ヘキスト33342、ヘキスト33258等のインドール誘導体染料または49,6‐ジアミジノ‐2‐フェニルインドール;エチジウムブロミドまたはヨウ化プロピジウム等のフェナントリジニウム染料;PicoGreen等のシアニン染料、YOYO‐1ヨウ化物、SYBR Green IまたはSYBR Gold;例えば、Cosa et al.,Photochemistry and Photobiology 73(6):585‐599(2001)を参照されたい)の含量を測定することを含む、当該技術分野において既知のいくつかの方法のいずれかを使用して測定し得る。培養液中の二本鎖DNAの含量は、次にこれに基づき決定され得る。その結果、顕微鏡的な5未満の溶解スコアおよび/または30ミリグラム/ミリリットル以下の二本鎖DNA含量を有する培養液中の細胞は、「生存可能」とみなされる。
【0043】
32℃での誘導後約90ないし約110時間のあいだ生存可能な単離真菌宿主細胞は、本明細書で「耐熱性の(temperature‐resistant)」または「耐熱性(temperature‐resistance)」表現型と表され得る。
【0044】
本発明には、異種ポリペプチド(例えば、リポーターまたは免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖)をコードする異種ポリヌクレオチド、ここで該異種ポリヌクレオチドは作動可能にプロモーターに結合していてもよく;ならびにその使用方法、例えば、該真菌宿主細胞中での該異種ポリペプチドの発現方法が含まれる。例えば、本発明には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをcrz1mutant真菌宿主細胞に導入することおよび(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下でcrz1mutant真菌宿主細胞を培養すること、任意選択的に、(iii)該crz1mutant真菌宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含み、任意選択的に一または複数のさらなる変化(例えば、内在性遺伝子および/または一または複数の他の遺伝子の発現に対する突然変異;例えば、本明細書で述べる通り、例えば発現されるポリペプチドのグリコシル化修飾を産生するための突然変異)を含む、単離されたcrz1mutant真菌宿主細胞(例えば、ピキア属(Pichia))において一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0045】
本発明の一実施形態においてcrz1mutant真菌宿主細胞は、またATT1における突然変異も含む。本発明の一実施形態においてcrz1mutant真菌宿主細胞は、ATT1における突然変異を含まず、例えば内在性ATT1は野生型である(例えば、該細胞は野生型の、機能的ATT1ポリペプチドを含む)、‐当該細胞およびその使用は、本明細書で述べる通り、本発明の一部である。
【0046】
本発明の単離真菌宿主細胞は、真菌界に属する細胞であり、例えば本発明の一実施形態において真菌宿主細胞は、出芽酵母および/または分裂酵母等の任意の酵母である。本発明の一実施形態において宿主細胞は、任意のメタノール資化性酵母である。メタノール資化性酵母は、メタノールを唯一の炭素源およびエネルギー源として利用し得る酵母菌種の小グループである。メタノール資化性酵母には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・アングスタ(Pichia angusuta)(ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)およびカンジダ・ボイディニー(Candida boidinii)が含まれる。本発明の一実施形態において宿主細胞は、任意のピキア属(Pichia)細胞、例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)(ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コクラメ(Picha koclamae)、ピキア・メンブラメファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・ミニュータ(Pichia minuta)(オガタエ・ミニュータ(Ogataea minuta)、ピキア・リンドネリ(Pichia lindneri))、ピキア・オプンチェ(Pichia opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(Picha thermotorerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・グエルカム(Pichia guerucuum)、ピキア・ピジペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スチプチス(Pichia stiptis)またはピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)等;サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス属種(Sassharomyces sp.)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロミセス属種(Kluyveromyces sp.)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニヅランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Asperugillus oryzae)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルックノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属種(Fusariumu sp.)、フザリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)およびニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)から成る群より選択される。本発明の特別な一実施形態において単離真菌宿主細胞は、当該用語からサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を除くという点を除いて上記に述べ通りである。
【0047】
本発明の一実施形態において、単離真菌宿主細胞は糖操作されている。本発明の一実施形態において当該細胞は、糖タンパク質を産生するために遺伝子改変されていて、ここでN‐またはO‐結合型グリコシル化は、例えば、OCH1、ALG3、PNO1および/またはBMT1、BMT2、BMT3、MBT4等のN‐グリコシル化に関わる遺伝子、またはPMT1、PMT2および/またはPMT4等のO‐グリコシル化に関わる遺伝子の不活性化または欠失によって、またはGnTI、GnTII、GalTおよび/またはSialT等のグリコシルトランスフェラーゼ、またはMNSIおよび/またはMNSII等のグリコシダーゼの異種発現によって、その天然型から修飾される。例えば本発明の一実施形態において、糖操作単離真菌宿主細胞は以下の特性:
(i)ここで一または複数の内在性ベータ‐マンノシルトランスフェラーゼ遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されている;
(ii)アルファ‐1,2マンノシダーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(iii)ここで一または複数の内在性ホスホマンノシルトランスフェラーゼが突然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されている;
(iv)単一サブユニット・オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(例えば、リーシュマニア属種(Leishmania sp.)STT3D)を含んでいる;
(v)ここで内在性ドリコールリン酸マンノース依存アルファ‐1,3‐マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、ALG3)が突然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されている;
(vi)エンドマンノシダーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(vii)二機能性UDP‐N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ/N‐アセチルマンノサミンキナーゼ、N‐アセチルノイラミン酸‐9‐リン酸シンターゼまたはCMP‐シアル酸シンターゼをコードする一または複数のポリヌクレオチドを含んでいる;
(viii)ここで内在性ATT1遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されている;
(ix)ここで内在性アルファ‐1,6‐マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、OCH1)が突然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されている;
(x)ガラクトシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(xi)糖ヌクレオチド輸送体をコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(xii)シアリルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいる;
(xiii)アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを含んでいるおよび/または
(xiv)ここで一または複数の内在性プロテアーゼ(例えば、PEP4およびPRB1)が然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されている、のいずれか一または複数を含む。本明細書において、糖操作単離真菌宿主細胞におけるCRZ1の突然変異が、温度感受性を逆転させること、培養中の細胞ロバスト性を増強すること、かつ乏しい産生性を逆転すること、すなわち当該細胞中での免疫グロブリン等の異種ポリペプチドの産生性を少なくとも部分的に増進することが明らかにされた。当該糖操作単離真菌宿主細胞は、本発明の一部である。CRZ1を突然変異させることまたは別な方法でCRZ1ポリペプチドの発現を低減させることによって糖操作単離真菌宿主細胞の温度感受性を逆転するための方法および/または発酵の間の細胞ロバスト性を増強するための方法もまた本発明の一部である。
【0048】
本明細書で用いる場合、用語「N‐グリカン」および「グリコフォーム」は、同じ意味で用いられ、N‐結合型オリゴ糖、例えば、ポリペプチドのアスパラギン残基へのアスパラギン‐N‐アセチルグルコサミン結合によって結合しているN‐結合型オリゴ糖を表す。N‐結合型糖タンパク質は、タンパク質内のアスパラギン残基のアミド窒素に結合するN‐アセチルグルコサミン残基を含む。糖タンパク質に見出される主な糖類は、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N‐アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N‐アセチルグルコサミン(GlcNAc)およびシアル酸(例えば、N‐アセチル−ノイラミン酸(NANA))である。
【0049】
N‐グリカンは、共通の五糖コアManGlcNAc(「Man」はマンノースを表し;「Glc」はグルコースを表し;および「NAc」はN‐アセチルを表し;GlcNAcはN‐アセチルグルコサミンを表す)を有する。N‐グリカンは、「トリマンノースコア」、「五糖コア」または「パウチマンノースコア」とも表されるManGlcNAc(「Man」)コア構造に付加される周辺糖(例えば、GlcNAc、ガラクトース、フコースおよびシアル酸)を含む分枝(アンテナ)の数によって異なる。N‐グリカンは、その分枝構成要素に従って分類される(例えば、高マンノース型、複合型または混成型)。「高マンノース」型N‐グリカンは、五以上のマンノース残基を有する。「複合」型N‐グリカンは、典型的には「トリマンノース」コアの1,3マンノースアームに結合した少なくとも一のGlcNAcおよび同コアの1,6マンノースアームに結合した少なくとも一のGlcNAcを有する。複合型N‐グリカンはまた、シアル酸または誘導体(例えば、「NANA」または「NeuAc」、ここで「Neu」はノイラミン酸を表しおよび「Ac」はアセチルを表す)により任意選択的に修飾されるガラクトース(「Gal」)またはN‐アセチルガラクトサミン(「GalNAc」)残基も有する。複合型N‐グリカンはまた、「二分枝」GlcNAcおよびコアフコース(「Fuc」)を含む鎖内置換基も有し得る。複合型N‐グリカンは、「トリマンノースコア」上に複数のアンテナも有し得て、しばしば「多アンテナ型グリカン」と表される。「混成」N‐グリカンは、トリマンノースコアの1,3マンノースアームの末端上に少なくとも一のGlcNAcおよびトリマンノースコアの1,6マンノースアーム上に0個以上のマンノースを有する。種々のN‐グリカンは、また「グリコフォーム」とも表される。「ペプチド:N‐グリカナーゼ(PNGase)」または「グリカナーゼ」とは、ペプチドN‐グリコシダーゼF(EC3.2.2.18)を表す。
【0050】
本発明の一実施形態において、ピキア属(Pichia)細胞等(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))の単離crz1mutant真菌宿主細胞は、分泌の指示をするシグナルペプチドを有するα‐1,2‐マンノシダーゼをコードする核酸を含有するように遺伝子改変される。例えば本発明の一実施形態においてcrz1mutant宿主細胞は、5.1ないし8.0、好ましくは5.9ないし7.5の間に至適pHを有する外来性α‐1,2‐マンノシダーゼ酵素を発現するように改変される。本発明の一実施形態において外来性酵素は、宿主細胞の小胞体またはゴルジ体を標的とし、そこで該酵素はManGlcNAc等のN‐グリカンをトリミングしてManGlcNAcを産する。米国特許第7,029,872号を参照されたい。本発明は、(i)異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、α‐1,2‐マンノシダーゼ宿主細胞に導入することおよび(ii)該細胞中で該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養することおよび、任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法を含む。本発明はまた、糖タンパク質上のN‐グリカンに関してアルファ‐1,6マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、OCH1)活性を示さない、crz1mutant真菌宿主細胞内でManGlcNAcグリコフォームを含む、N‐グリカン構造を含む異種組換え糖タンパク質を産生するための方法も包含し、該方法はcrz1mutantoch1真菌宿主細胞に、異種組換え糖タンパク質をコードするポリヌクレオチド、および前記宿主細胞のERまたはゴルジ体において至適活性を有するように選択されるアルファ‐1,2マンノシダーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドを導入するステップを含み、該酵素は(a)前記ERまたはゴルジ体においてpH5.1ないし8.0の間に至適活性を有するアルファ‐1,2マンノシダーゼ触媒ドメインを含み;(b)宿主細胞のERまたはゴルジ体に対するマンノシダーゼ酵素を標的とするために選択される触媒ドメインと通常は関連しない細胞の標的シグナルペプチドに融合されていて;および異種組換え糖タンパク質の発現に好ましい条件下で該真菌宿主細胞を培養するが、それによって、宿主細胞のERまたはゴルジ体を通る異種組換え糖タンパク質の発現および通過の際に、それに結合されるN‐グリカン構造の30モル%以上が、インビボでGlcNAcトランスフェラーゼIの基質として役立ち得るManGlcNAcグリコフォームを有する。
【0051】
ピキア属(Pichia)宿主細胞等(例えば、ピキア・パストリス(Picha pastoris))の本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞は、本発明の一実施形態において、β‐マンノシルトランスフェラーゼ遺伝子(例えば、BMT1、BMT2、BMT3および/またはBMT4)(米国特許第7,465,577号を参照されたい)の一または複数を欠失または破壊することによって、または干渉RNA、アンチセンスRNA等を使用してベータ‐マンノシルトランスフェラーゼの一または複数をコードするRNAの翻訳を抑制することによって、アルファ‐マンノシダーゼ抵抗性N‐グリカンを有する糖タンパク質を除去するために遺伝子改変されている。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、β‐マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、bmt1、bmt2、bmt3および/またはbmt4)宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0052】
本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞(例えばピキア属(Pichia)、例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris))にはまた、干渉RNA、アンチセンスRNA等を使用して、ホスホマンノシルトランスフェラーゼの一または複数を欠失または破壊すること、またはてホスホマンノシルトランスフェラーゼの一または複数をコードするRNAの翻訳を抑制することを含み得る、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ遺伝子PNO1およびMNN4B(例えば米国特許第7,198,921号および7,259,007号を参照されたい)の一つまたは双方を欠失または破壊することによって、ホスホマンノース残基を有する糖タンパク質を除去するように遺伝子改変された当該細胞も含まれる。本発明の一実施形態において当該真菌宿主細胞は、複合型N‐グリカン、混成型N‐グリカンおよび高マンノース型N‐グリカンから成る群より選択されるN‐グリカンを主として有する糖タンパク質を産生し、ここで複合型N‐グリカンは、本発明の一実施形態において、ManGlcNAc、GlcNAC(1‐4)ManGlcNAc、NANA(1‐4)GlcNAc(1‐4)ManGlcNAcおよびNANA(1‐4)Gal(1‐4)ManGlcNAcから成る群より選択され;混成型N‐グリカンは、本発明の一実施形態において、ManGlcNAc、GlcNAcManGlcNAc、GalGlcNAcManGlcNAcおよびNANAGalGlcNAcManGlcNAcから成る群より選択され;および高マンノース型N‐グリカンは、本発明の一実施形態において、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAcおよびManGlcNAcから成る群より選択される。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ(例えば、pno1および/またはmnn4b)宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0053】
本発明のピキア属(Pichia)宿主細胞(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris))等の単離crz1mutant真菌宿主細胞には、リーシュマニア属種(Leishmania sp.)の単一サブユニットオリゴサッカリルトランスフェラーゼSTT3Aタンパク質、STT3Bタンパク質、STT3Cタンパク質、STT3Dタンパク質またはその組み合せをコードする、WO2011/06389に記載される核酸等の核酸を含むように遺伝子改変された単離crz1mutant真菌宿主細胞が含まれる。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、リーシュマニア属(Leishmania)STT3A、リーシュマニア属(Leishmania)STT3B、リーシュマニア属(Leishmania)STT3Cおよび/またはリーシュマニア属(Leishmania)STT3D)宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0054】
本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))にはまた、例えば米国特許出願公開第US2005/0170452号に記載される、ドリコールリン酸マンノース依存アルファ(1‐3)マンノシルトランスフェラーゼ、例えば、ALG3をコードする核酸を除去するために遺伝子改変された単離crz1mutant真菌宿主細胞も含まれる。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、alg3宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0055】
本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞、例えば、該宿主細胞内の小胞体コンパートメントを標的とする、エンドマンノシダーゼ活性(例えば、ヒト(例えば、ヒトの肝臓)、ラットまたはマウスエンドマンノシダーゼ)を有するポリペプチドを発現するピキア属(Pichia)細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))等は、本発明の一部である。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、エンドマンノシダーゼ宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0056】
単離crz1mutant真菌宿主細胞、例えば、本発明のピキア属(Pichia)細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))等は、本発明の一実施形態において、該宿主細胞において組換えシアル化糖タンパク質を産生するように改変されており、例えば、ここで該宿主細胞は、(a)二機能性UDP‐N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ/N‐アセチルマンノサミンキナーゼ、N‐アセチルノイラミン酸‐9‐リン酸シンターゼおよびCMP‐シアル酸シンターゼをコードする一または複数のポリヌクレオチドをcrz1mutant真菌宿主細胞に形質転換すること;(b)CMP‐シアル酸トランスポーターをコードするポリヌクレオチドを該宿主細胞に形質転換すること;および(c)例えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae)Mnn2のヌクレオチド1‐108によりコードされる、細胞標的シグナルペプチドに融合される2,6‐シアリルトランスフェラーゼ触媒ドメインをコードするポリヌクレオチド分子を該宿主細胞に形質転換することを含む方法によって、Gal(1‐4)GlcNAc(1‐4)ManGlcNAcから成る群より選択されるグリコフォームを含む組換え糖タンパク質を産生するように選抜または改変されており;ここで宿主細胞の分泌経路を経由する組換え糖タンパク質の通過の際に、NANA(1‐4)Gal(1‐4)GlcNAc(1‐4)ManGlcNAcグリコフォームから成る群より選択されるグリコフォームを含む組換えシアル化糖タンパク質が産生される。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、二機能性UDP‐N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ/N‐アセチルマンノサミンンキナーゼ、N‐アセチルノイラミン酸‐9‐リン酸シンターゼ、CMP‐シアル酸シンターゼ、CMP‐シアル酸トランスポーター、2,6‐シアルリルトランスフェラーゼ宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0057】
さらに本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞、例えば、ピキア属(Pichia)細胞(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris))等は、本発明の一実施形態において、例えば、該糖タンパク質上に末端ガラクトース残基を有し、実質的にフコースおよびシアル酸残基を欠く、ガラクトシル化タンパク質を産生するために改変される。本発明の一実施形態において単離crz1mutant真菌宿主細胞は、β‐ガラクトシルトランスフェラーゼ活性をコードする単離核酸分子およびUDP‐ガラクトーストランスポート活性、UDP‐ガラクトースC4エピメラーゼ活性、ガラクトキナーゼ活性またはガラクトース‐1‐リン酸ウリジルトランスフェラーゼをコードする少なくとも一のヌクレオチドを含み、例えば、ここで該宿主細胞は、末端GlcNAc残基を有するN‐結合型オリゴ糖を産生するために遺伝子改変されており、および該宿主細胞中でUDP‐ガラクトースから糖タンパク質のN‐グリカンのN‐結合オリゴ糖分枝の末端GlcNAc残基上に、ガラクトース残基を転移する融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含んでおり、ここでN‐結合オリゴ糖分枝は、GlcNAcβ1,2‐Manα1;GlcNAcβ1,4‐Manα1,3、GlcNAcβ1,2‐Manα1,6、GlcNAcβ1,4‐Manα1,6およびGlcNAcβ1,6‐Manα1,6から成る群より選択され;ここで宿主細胞は、ドリキルリン酸マンノース:ManGlcNAc‐PP‐ドリキルα‐1,3マンノシルトランスフェラーゼ活性が低減または枯渇しており、およびここで宿主細胞は、一または複数のガラクトース残基を有する糖タンパク質を産生する。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0058】
本発明の一実施形態において本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞、例えば、ピキア属(Pichia)細胞(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris))等は、機能的OCH1タンパク質を欠いており、例えば、ここで内在性OCH1は突然変異されている。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant,och1宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0059】
本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞、例えば、ガラクトシルトランスフェラーゼ、例えばアルファ1,3‐ガラクトシルトランスフェラーゼまたはベータ1,4‐ガラクトシルトランスフェラーゼを発現するピキア属(Picha)細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))等は、本発明の一部である。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、ガラクトシルトランスフェラーゼ宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0060】
本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞、糖ヌクレオチド輸送体を発現するピキア属(Pichia)細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))等は、本発明の一部である。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、糖ヌクレオチド輸送体宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0061】
本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞、例えば、シアリルトランスフェラーゼを発現するピキア属(Pichia)細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))等は、本発明の一部である。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、シアリルトランスフェラーゼ宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0062】
本発明の単離crz1mutant真菌宿主細胞、例えば、アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、例えば、GNT1またはGNT2またはGNT4を発現するピキア属(Pichia)細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))等は、本発明の一部である。本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant、アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ宿主細胞に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。
【0063】
本明細書で用いる場合、用語「実質的に含まれていない(essentially free of)」は、糖タンパク質上の特定の糖残基、フコースまたはガラクトース等の欠如に関連するとき、糖タンパク質成分が当該残基を含有するN‐グリカンを実質的に欠くことを示すために用いられる。純度の面から表現すれば実質的に含まれていないとは、当該糖残基を含有するN‐グリカン構造の量が、10%を超えず、好ましくは5%未満、より好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満であることであり、ここでパーセンテージは重量またはモルパーセントによるものである。
【0064】
本明細書で用いる場合、糖タンパク質組成物がフコースまたはガラクトース等の特定の糖残基を「欠く(lack)」または「欠いている(is lacking)」ときは、検出可能な量の当該糖残基は、N‐グリカン構造上に存在しない。例えば、本発明の一実施形態において、本発明の宿主細胞によって産生される糖タンパク質組成物は、「フコースを欠き(lack fucose)」得るが、何故ならば該細胞はフコシル化N‐グリカン構造を産生するために必要とされる酵素を有さないからである。従って、用語「実質的にフコーが含まれていない(essentially free of fucose)」は、用語「フコースを欠いている(lacking fucose)」を包含する。しかしながら、たとえ該組成物がもとはフコシル化N‐グリカン構造を含有したとしても、または上記のようにわずかであるが検出可能な量のフコシル化N‐グリカン構造を含むとしても、組成物は「実質的にフコースが含まれていない」ことがあり得る。
【0065】
本発明の範囲は、片方だけの内在性染色体CRZ1遺伝子が突然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されていて、かつもう片方の内在性染色体CRZ1遺伝子は突然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されておらず、かつ機能的CRZ1ポリペプチドをコードする、二倍体の単離真菌宿主細胞を包含する。例えば、双方のCRZ1遺伝子の内在性染色体コピーが、突然変異、破壊、トランケート化または部分的にまたは完全に欠失されているために、機能的CRZ1ポリペプチドを欠く同質二倍体もまた本発明の一部である。
【0066】
タンパク質発現
本発明の範囲には、(i)該異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを当該crz1mutant宿主細胞(例えば、本明細書で述べる通り)に導入すること、および(ii)該細胞における該異種ポリペプチドの発現に好ましい条件下で、該細胞が生存可能である限りの間、該宿主細胞を培養すること、および任意選択的に、(iii)該宿主細胞から該異種ポリペプチドを単離することを含む、一または複数の異種ポリペプチドを産生するための方法が含まれる。真菌宿主細胞において異種ポリペプチドを発現するための方法は、一般的に知られかつ当該分野でありふれた方法である。
【0067】
本発明は、本明細書において述べる、液体培養培地中に懸濁されるいかなる真菌宿主細胞をも包含する。本明細書において述べる、単離真菌宿主細胞のいかなる溶菌液もまた本発明の範囲内である。
【0068】
真菌宿主細胞発現系のために使用される培養条件は、手元の個々の条件に依存して変動し得る。本発明の一実施形態において真菌宿主細胞は、振盪フラスコまたはファーメンター(例えば、1L、2L、5L、10L、20L、30L、50L、100L、200L、500L、1000L、10,000L容)中の液体培地中で増殖され得る。種々の増殖培地が真菌宿主細胞を培養するために使用し得る。本発明の一実施形態において該培地は、pH3ないし7(例えば、3、4、5、6または7)の間のpHである;本発明の一実施形態においてpHは、水酸化アンモニウム等の塩基により上昇される。本発明の一実施形態において温度は、約24℃または26℃または28℃または30℃または32℃または34℃に維持される。本発明の一実施形態において増殖培地中の溶存酸素は、約20%または30%に維持される。本発明の一実施形態において増殖培地は、酵母窒素源基礎培地(例えば、硫酸アンモニア添加;必須アミノ酸添加または無添加)、ペプトンおよび/または酵母エキスを含有する。種々のサプリメント、例えばビオチン、デキストロース、メタノール、グリセリン、カザミノ酸、L‐アルギニン塩酸塩、アンモニウムイオン(例えば、リン酸アンモニウム態)等が増殖培地に添加され得る。本発明の一実施形態において増殖培地は、酵母窒素源基礎培地、水、デキストロース、メタノールまたはグリセリン等の炭素源、ビオチンおよびヒスチジンを含む最小培地である。本発明の一実施形態において細胞培養液は、銅、ヨウ素、マンガン、モリブデン、ホウ素、コバルト、亜鉛、鉄、ビオチンおよび/または硫黄、例えばCuSO、NaI、MnSO、NaMoO、HBO、CoCl、ZnCl、FeSO、ビオチンおよび/またはHSO等の微量ミネラル/栄養素を含む。本発明の一実施形態において細胞培養液は、消泡剤(例えば、シリコン)を含む。
【0069】
本発明は、単離真菌crz1mutant宿主細胞(例えば、ピキア属(Pichia)、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等)に、例えば、プロモーター、例えば、メタノール誘導性プロモーターに作動可能に結合されている前記ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを導入すること、および
(i)該細胞がグリセリン等の非発酵性炭素源により増殖されるバッチフェーズ(例えば、グリセリンバッチフェーズ)中で、例えば非発酵性炭素源が枯渇するまで;
(ii)追加の非発酵性炭素源(例えば、グリセリン)が供給される添加バッチフェーズ(例えば、グリセリン添加バッチフェーズ)中で、例えば増殖制限速度で;および
(iii)該細胞がメタノールおよび、任意選択的に、追加のグリセリンの存在下で増殖されるメタノール添加バッチフェーズで、該宿主細胞を培養することを含む、異種ポリペプチド(例えば、免疫グロブリン鎖または抗体またはその抗体結合性フラグメント)を産生するための方法を包含する。
【0070】
本発明の一実施形態において、メタノール添加バッチフェーズ中のメタノール濃度は、メタノール約2グラム/リットルないしメタノール約5グラム/リットル(例えば2、2.5、3、3.5、4、4.5または5)に設定される。
【0071】
本発明の一実施形態において、バッチフェーズに先立って、最初の種培養が高密度(例えば、OD600が約2以上)に増殖され、次に種培養の増殖細胞が初期バッチフェーズの培養液に接種するために使用される。
【0072】
本発明の一実施形態において、添加バッチフェーズの後かつメタノール添加バッチフェーズの前に宿主細胞は、培養液リットル当たりメタノール約2mlの存在下で細胞が増殖される転換フェーズにおいて増殖される。例えば、該細胞は転換フェーズにおいて、メタノール濃度が約ゼロになるまで増殖され得る。
【0073】
真菌宿主細胞から単離された異種ポリペプチドは、本発明の一実施形態において精製される。もしも該異種ポリペプチドが該真菌宿主細胞から液体増殖培地に分泌されるならばポリペプチドは、増殖培地からの該真菌宿主細胞の除去を含むプロセスによって精製され得る。該培地からの該細胞の除去は、遠心分離によって行われ得て、該細胞は廃棄されおよび液体培地の上清は貯留される。もしも該異種ポリペプチドが分泌されないならば該液体培地は、該真菌宿主細胞から分離後に廃棄され、該細胞が保持される。その後真菌宿主細胞は、それから該異種ポリペプチドがさらに精製される粗細胞可溶化物を産生するために溶解され得る。
【0074】
異種ポリペプチドの精製は、本発明の一実施形態において、クロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーによって行われる。クロマトグラフィー精製には、イオン交換、例えば陰イオン交換および/または陽イオン交換、プロテインAクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が含まれ得る。精製には、該ポリペプチドを含む組成物のウイルス不活性化、沈殿および/または凍結乾燥が含まれる。
【0075】
[実施例]
この節は本発明をより深く説明することを意図しており、本発明をさらに限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に示すいかなる組成物または方法も本発明の一部をなす。
【0076】
[実施例1]
CRZ1突然変異の同定。
【0077】
実験方法
紫外線誘発突然変異、流加培養、IgG精製、N‐グリカンのキャラクタリゼーション(特徴づけ)、ならびに他のすべての分析アッセイは、前述の通りに行った(Barnard et al.2010;Jiang et al.2011;Potgieter et al.2009;Winston F2008)。別に明示する場合を除き、1Lのバイオリアクターによる発酵工程(fermentation run)は、MeOH導入の100〜120時間後に終了するように計画した。しかしながら、過剰な細胞溶解が観察された場合には、発酵工程は早めて終了した。細胞溶解は、顕微鏡検査によるか、または上清に放出される核DNAの量を測定するかによって定量した(Barnard,2010)。過剰な細胞溶解は、顕微鏡検査による90%以上の溶解細胞、またはPicogreenアッセイにより測定される上清中の30ミリグラム/ml以上のDNA濃度によって定義された。
【0078】
結果および考察
発酵ロバスト性の実質的な増強を示す耐熱性突然変異株。
【0079】
発酵ロバスト性の増強を備えるピキア属(Pichia)宿主菌株を特定するために発明者らは、温度感受性の欠陥を抑制する特定の第二部位突然変異が細胞ロバスト性の欠乏も補償し得るという理論的根拠の下に、温度感受性の糖操作菌株(YGLY12905、YGLY22835およびYGLY27890)を紫外線誘発突然変異し、耐熱性突然変異株を選択した。その耐熱性の表現型を確認した後にこれらの突然変異株は、1LのDasGipバイオリアクター中で標準的なMeOH添加バッチ工程を使用して発酵した。広範な発酵スクリーニングキャンペーンの後に発明者らは、発酵プロセスの間に細胞ロバスト性の顕著な増強を示す9個の突然変異株を特定した。図1に示す通り非突然変異誘発の対照菌株に対する培養プロセスは、32℃での誘導の約48時間における過剰な細胞溶解のために、終結しなければならなかった。対照的に突然変異株のすべては、発酵ロバスト性の顕著な改善を示した。YGLY29010、YGLY29030、YGLY29031およびYGLY29012は、約90時間発酵することが可能だった;YGLY28997、YGLY28998、YGLY17159、YGLY28999およびYGLY29042のすべては、32℃での誘導の100時間以上の間存続した。
【0080】
耐熱性突然変異株のタンパク質生産性およびN‐グリカンの品質評価。
【0081】
耐熱性突然変異株の5株(YGLY29010、YGLY29030、YGLY29031、YGLY29042およびYGLY29012)は、ヒトFcフラグメントを発現するYGLY27890に由来した(図2)。これらの耐熱性突然変異がFc生産性およびN‐グリカンの品質に関しどのような影響を及ぼしたかを評価するために発明者らは、32℃の1Lバイオリアクター由来のFcフラグメントを精製し、ブロス力価を定量し(図1)、さらに耐熱性突然変異株4株ならびにその非突然変異誘発の親株YGLY27890のN‐グリカンンのプロファイル(特性)を分析した(図3)。親株の対照と比較して突然変異株の4株(YGLY29010、YGLY29030、YGLY29031およびYGLY29042)は、産物力価において実質的な増加を示した:実際にYGLY29042およびYGLY29010はなんと約4〜5倍以上のFc産物を分泌した。対照的にYGLY29012由来の産物力価は、対照菌株の力価のわずか約50%であった。Fc産物由来のN‐グリカンに対し発明者らは、N‐グリカンプロファイルにおけるいかなる顕著な変化も観察しなかった(表3)。対照菌株YGLY27890と同様に(A2が83%およびA1が4%)すべての5株の突然変異株は、高レベルの末端シアル酸により、77から84%までの範囲のA2レベルおよび4から7%までのA1レベルにより、そのFcN‐グリカンを効果的に改変することができた。まとめるとこれらの結果は、YGLY29010、YGLY29030、YGLY290301およびYGLY29042によって獲得された紫外線誘発突然変異は、非相同的に発現されるそのヒトFcフラグメントを産生するための能力に悪影響を与えず、該突然変異は、N‐グリカンの品質に顕著な劣化ももたらさない、ということを明らかにした。
【0082】
耐熱性および発酵ロバスト性の増強の原因となる原因的突然変異を同定するためのゲノム配列決定。
【0083】
発酵中の細胞ロバスト性の維持に関わる分子機構をより理解するために発明者らは、これらの9株の耐熱性突然変異株、ならびに2株の非突然変異誘発の空の宿主菌株YGLY22812およびYGLY22835のゲノムを配列決定した。該突然変異株と該非突然変異誘発菌株の間のゲノム全域にわたる比較の後に発明者らは、これら9株の突然変異株のそれぞれにおいて、1ないし7の非同義突然変異(図4の「+」によって示した)を同定した。三株の突然変異株、YGLY29010、YGLY29031およびYGLY29042は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のCRZ1遺伝子に高いレベルの配列相同性を示す一の遺伝子Pp02g02120内に単一突然変異を含んでいた。驚くべきことには同じPpCRZ1遺伝子における別個の突然変異が、YGLY28997、YGLY28998、YGLY17159、YGLY28999、YGLY29030およびYGLY29012においても検出された。ScCRZ1は、ストレス応答に関わるカルシニューリン応答性ジンクフィンガー転写因子である。ジンクフィンガードメインは、PpCRZ1とScCRZ1の間で非常に良好に保存されており、双方ともc末端に位置している(上記のシーケンスアラインメントを参照されたい)。図5に図解した通り該耐熱性突然変異株から見出だされた4つのナンセンス、終止コドン変異は、ジンクフィンガーの上流に位置していたために、すべてがジンクフィンガードメインの無いトランケート化されたPpCRZ1フラグメントを発生させた。残り5つの突然変異株については、ミスセンス、アミノ酸置換突然変異を含み、それらのすべてはジンクフィンガードメインに位置し、それらの4つについては25ヌクレオチド内に密集していた。独立して単離された9株の耐熱性突然変異株がPpCRZ1遺伝子内に異なるナンセンスまたはミスセンス突然変異を含んでいたという発見は、これらのCRZ1突然変異が耐熱性および増強された発酵ロバスト性の表現型の原因であることを強く示唆した。さらに突然変異株の2株(yGLY17159およびyGLY28998)はまた、耐熱性および細胞ロバスト性において重要な役割を果たすことが以前に明らかにされている遺伝子であるPpATT1においてもさらなる突然変異を有していた。yGLY17159およびyGLY28998の双方が単離された最もロバスト性の突然変異株の一つであったと言う事実は、ATT1およびCRZ1突然変異の組合せが糖鎖ピキア属(Pichia)菌株における耐熱性および発酵ロバスト性の増強に対する相加作用または相乗作用を有し得ることを示唆した。
【0084】
PpCRZ1配列。
【0085】
1.ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CRZ1野生型オープンリーディングフレーム


(配列番号2)
2.yGLY28997から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:L33→STOP、突然変異したヌクレオチドは太字体である)
(突然変異t98aを含む配列番号2)
3.yGLY29012から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:Q214→STOP、突然変異したヌクレオチドは太字体である)


(突然変異c640tを含む配列番号2)
4.yGLY29010から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:L294→STOP、突然変異したヌクレオチドは太字体である)

(突然変異t881gを含む配列番号2)
5.yGLY29042から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:S298→STOP、突然変異したヌクレオチドは太字体である)

(突然変異c893aを含む配列番号2)
6.yGLY28998から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:E403→G、突然変異したヌクレオチドは太字体である)

(突然変異a1208gを含む配列番号2)
7.yGLY17159から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:F406→S、突然変異したヌクレオチドは太字体である)

(突然変異t1217cを含む配列番号2)
8.yGLY28999から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:F406→L、突然変異したヌクレオチドは太字体である)


(突然変異t1216cを含む配列番号2)
9.yGLY29030から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:C411→F、突然変異したヌクレオチドは太字体である)


(突然変異g1232tを含む配列番号2)
10.yGLY29031から単離されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)突然変異株CRZ1(コードする突然変異:K469→N、突然変異したヌクレオチドは太字体である)

(突然変異a1407cを含む配列番号2)
[実施例2]
指向的菌株改変による表現型の確認
本明細書で述べる通り、突然変異株それぞれの同じCRZ1遺伝子における独立した突然変異は、この転写因子の不活性化が観察された耐熱性および発酵ロバスト性表現型の原因であることを強く示唆した。この結論を確認するために図8に示す通り、5‐FOA対抗選択によりYGLY17108に由来する非突然変異誘発ura5栄養要求性ピキア属(Pichia)菌株であるYGLY21203において、CRZ1 ORFが完全に欠失されるか、または内在性CRZ1遺伝子がトランケート化されたバージョンと置換された。
【0086】
プラスミドpGLY12829(図6)は、CRZ1 ORFの直ぐ上流で、lacZ‐URA5‐lacZ URAブラスターによって伴われる、ALG3ターミネーターの前に1.5kbのゲノムDNAフラグメントをクローニングすることによって構築され、さらに次にCRZ1 ORFの最後の234bpおよび下流領域の1.7kbを含む2kbのゲノムDNAフラグメントに結合された。SfiI消化の後にこのCRZ1‐上流‐URAブラスター‐CRZ1‐下流DNAフラグメントは、非突然変異誘発宿主菌株(例えば、YGLY17108)の中に形質転換された。CRZ1上流および下流領域の双方における相同組換えによってこのURAブラスター‐カセットは、CRZ1のコーディング領域の85%を欠失させながら内在性CRZ1遺伝子を置換し、結果としてCRZ1完全ノックアウト突然変異株を作成した。CRZ1 ORFの正しい置換を確認するために、PCRプライマーとして以下のオリゴヌクレオチド:遺伝子置換の5´ジャンクションを確認するためにGTATGCGATATAGTGTGGA (配列番号4、CRZ1開始点の4,15435bp上流)およびTGGGGAGAAGGTACCGAAG(配列番号5、ALG3ターミネーター内);遺伝子置換の3´ジャンクションを確認するためにCACTACGCGTACTGTGAGCC(配列番号6、lacZ内)およびAGGATATCAAACCCGACCAG(配列番号7、CRZ1終止コドンの7,2045bp下流);さらに野生型CRZ1 ORFの欠落を確認するためにGACACATGCGAAATGTCCTG(配列癌号8、CRZ1終止コドンの120bp下流))およびTTGAGTTGGCAGCTTCTCAG(配列癌号9、CRZ1 ORF内、開始点の後1075bp)、を使用してゲノムDNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを実施した。プラスミドpGLY12832(図7)は、1.5kbのゲノムDNAフラグメントを、lacZ‐URA5‐lacZ URAブラスターによって伴われるALG3ターミネーターの前に(0.6kbの上流領域、CRZ1 ORFの最初の879bpおよび2の終止コドン)クローニングすることによって構築され、さらに次に、CRZ1 ORFの最後の下流234bpと下流領域の1.7kbを含む2kbのゲノムDNAフラグメントに結合された。pGLY12832(図7)のSfiIフラグメントと染色体CRZ1領域との間の相同組換え媒介性二重交叉は、内在性CRZ1 ORFを最初の294アミノ酸残基だけしか有さないCRZ1のトランケート化バージョンと置換した。
【0087】
DNA構築物が内在性CRZ1遺伝子を相当する欠失体またはトランケート化体と正確に置換したことを確認した後に、固形培地上35℃でおよびバイオリアクターの液体培地中32℃で増殖するその能力を検討した。これらのCRZ1Δトランケート化株および欠失突然変異株は、紫外線突然範囲誘発によって単離された元の突然変異株に観察された耐熱性表現型と、非常に類似した耐熱性表現型を示すことが確認された。
【0088】
次にトランケート化株および欠失突然変異株は、それらが32℃でも増強された発酵ロバスト性を示すか否かを検討するために、標準的なDasGip MeOH添加バッチ発酵工程(Hopkins et al.,2011)に置かれた。図9に示す通り対照菌株YGLY17108は重度の溶解を示し、32℃でのMeOH誘導の65時間内に生存できなくなった。対照的にCRZ1遺伝子の全欠失およびトランケート化の変異を持つ菌株は、発酵ロバスト性の顕著な増加を示し、MeOH誘導の130時間以上を成功裡に完了した。これらの結果は、完全にまたは部分的にCRZ1 ORFを欠失させることによるCRZ1の不活性化が、糖操作菌株の発酵ロバスト性を改善するために十分であることを明らかにした。さらにこれらの指向的遺伝子置換菌株によって示された表現型は、相当する紫外線誘発突然変異株によって示される表現型と密接に類似していて、CRZ1遺伝子内の突然変異が紫外線誘発突然変異株に観察された耐熱性および発酵ロバスト性の改善の原因であったことを説明している。
【0089】
ATT1遺伝子の不活性化は、菌株の発酵ロバスト性における劇的な改善をもたらした。CRZ1およびATT1の不活性化が非常に類似する表現型(すなわち、耐熱性および発酵ロバスト性の向上)を引き起こしたので発明者らは、CRZ1欠失がすでにATT1欠失突然変異を含む菌株の発酵ロバスト性をさらに改善するか否かを検討したいと思う。この目的を達成するために発明者らは、crz1、att1二重欠失突然変異株を構築し、DasGipバイオリアクター中34℃で標準的MeOH添加バッチ発酵工程を実施することによって、その発酵ロバスト性を試験した。この非常にストリンジェントな発酵条件下において、att1単一欠失菌株YGLY29128は、75時間のあいだ生存可能であった一方で、crz1、att1二重突然変異株は115時間以上のあいだ生存可能であった(図10)。これらの結果は、att1欠失およびcrz1欠失に由来する発酵ロバスト性の改善が相加的であり、しかもcrz1、att1二重突然変異株が単一突然変異株よりも高いレベルの発酵ロバスト性を示すことを明確に明らかにした。
【0090】
参考文献
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本発明は、本明細書で記載される具体的な実施例による範囲に限定されるものではない。実際に本発明の範囲には、本明細書で具体的に示される実施形態および本明細書では具体的に示されない他の実施形態が含まれる;本明細書で具体的に示される実施形態は、必ずしも網羅的であることを意図していない。本明細書で記載される変更に加えて種々の変更が、当業者にとって前述の記載から明白となるであろう。当該変更は、本特許請求の範囲に含まれると意図されている。
【0091】
特許、特許出願、文献、製品説明書およびプロトコルが本出願の至る所で引用されるが、その開示は全体が本明細書で参照することによってあらゆる目的に援用される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]