(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本発明のフルメトリン含有活性物質保持体(成形品)の有効性評価の結果を示す。グラフは本発明のフルメトリン含有活性物質保持体またはプラセボ使用時におけるダニの死亡率を示す。
【0011】
さらなる実施形態において本発明は:
2.‐フルメトリン、クマホスおよびアミトラズから選択される0.1ないし30重量%の殺ダニ活性物質
‐1ないし30重量%のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドまたはジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール
‐および任意選択的にさらなるアジュバントおよび添加剤を含む、ポリ塩化ビニルに基づく固形成形品であって、該成形品が0.5から20nmの厚さを有しかつ6〜9mmの直径を有する開口部を含む前記の成形品に関する。
【0012】
成形品は、可能な限り低いミツバチ毒性を有する殺ダニ活性物質を含む。言及され得る適切な殺ダニ活性物質は:シミアゾール、エトキサゾル、フルバリネートおよび特にフルメトリン、クマホスおよびアミトラズである。
【0013】
成形品は、いずれの場合も殺ダニ活性物質を、固形製剤の全重量に基づいて通常0.1から30重量%、好ましくは0.2から20重量%、特に好ましくは0.5から15.0重量%の濃度で含む。より好ましい濃度は、種々の殺ダニ活性物質の使用によって変動する:
フルメトリン:0.1ないし5重量%、特に好ましくは0.5ないし2重量%または、さらに特に好ましい実施形態により、0.5ないし2.5重量%
クマホス:6ないし12重量%、特に好ましくは5ないし10重量%または、さらなる実施形態により、5ないし20重量%、特に好ましくは7ないし15重量%
エトキサゾル:6ないし12重量%、特に好ましくは5ないし10重量%、
フルバリネート:6ないし12重量%、特に好ましくは5ないし10重量%、
アミトラズ:1ないし10重量%、特に好ましくは2ないし6重量%、
シミアゾール:1ないし10重量%、特に好ましくは2ないし6重量%。
【0014】
本発明の成形品は、C
8‐C
12‐脂肪酸を含むグリセロールエステルまたはプロピレングリコールエステルを含む;これらは好ましくは脂肪族の非分枝飽和脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸またはラウリン酸等である。これらのエステルにおいて、アルコールの基礎をなすすべてのヒドロキシル基は好ましくはエステル化しており、すなわちエステルはプロピレングリコールジエステルまたはトリグリセリドである。言及し得る当該エステルの好ましい例は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(ミグリオール(Miglyol) 812)およびジカプリン酸/ジカプリン酸プロピレングリコールである。本発明の成形品は、C
8‐C
12‐脂肪酸を含むグリセロールエステルまたはプロピレングリコールエステルを、1から30重量%、好ましくは5ないし25重量%、特に好ましくは7ないし25重量%、非常に特別に好ましくは15ないし25重量%の量で含む(それぞれの混合物の合計重量に基づく)。カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(ミグリオール 812、販売元Sasol Germany GmbH/Witten、CAS番号73398‐61‐5)はまた、MCT(中鎖トリグリセリド)の名称でも知られている。ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール(ミグリオール 840、販売元Sasol/Witten、CAS番号68583‐51‐7)はカプリル酸およびカプリン酸のプロピレングリコールジエステルであり、それはドイツ薬局方9(DAB9)においてプロピレングリコールオクタン酸/デカン酸と記載されている。通常の品質の二のエステルにおいては、少量のC
6‐およびC
12‐脂肪酸もエステル化されている。H.P.Fiedler,Lexikon der Hilfsstoffe(補助物質事典),Editio Cantor Verlag Aulendorf,4
th revised and expanded edition(第4版・補訂版),1996,Vol.2,p.1008/1009における項目「ミグリオール 812−天然油脂(Neutraloel)」および「ミグリオール 840」を参照されたい。
【0015】
ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコールを含む本発明の成形品が好ましい。
【0016】
成形品用の適切な保持体または保持台は、原則として可撓性の熱可塑性ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン)またはポリビニル樹脂である。ポリ塩化ビニルのホモポリマー(PVC)を用いるのが特に有利である。
【0017】
適切な場合、本発明の成形品は、固形のポリ塩化ビニル樹脂を可塑化するために一般的に使用される通常の可塑剤をさらに含み得る。適切なさらなる可塑剤の例は、リン酸エステル類、および例えばアジピン酸ジイソブチルおよびアジピン酸‐n‐ブチル等のアジピン酸エステル類である。他のエステル類、例えば、アゼライン酸、マレイン酸、リシノール酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、セバシン酸、ステアリン酸およびトリメリット酸および複合線状ポリエステル、高分子可塑剤およびエポキシ化大豆油等もまた使用され得る。好ましいのはアジピン酸エステル類、特にアジピン酸ジ‐n‐ブチルである。さらなる可塑剤は、4から45重量%、好ましくは10ないし40重量%の量で用いられる。
【0018】
例えば、エポキシ化大豆油は、好ましくは組成物全体に基づいて1から5重量%、特に好ましくは1ないし3重量%の濃度で用いられる。
【0019】
好ましい実施形態に従って用いられるさらなる可塑剤は、1から30重量%、好ましくは7ないし22重量%の濃度の、C
2‐
8‐ジカルボン酸のジ‐C
1‐
6‐アルキルエステル、特にアジピン酸ジ‐n‐ブチルである。これらの場合、C
8‐C
12‐脂肪酸を含むグリセロールエステルまたはプロピレングリコールエステルおよびC
2‐
8‐ジカルボン酸のジ‐C1‐6‐アルキルエステルは、好ましくは合計5ないし35重量%の濃度で含まれる。
【0020】
可塑剤の合計量、すなわちさらなる可塑剤の量に加えてのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドまたはジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコールの量は、50重量%、好ましくは45重量%、特に好ましくは35重量%を超えるべきではない。それ故に可塑剤の合計量は、組成物全体の約5ないし50重量%、好ましくは15ないし45重量%、特に好ましくは15ないし35重量%の範囲である。さらに特に好ましい実施形態に従って、可塑剤の合計量は、組成物全体の40重量%を超えず、この場合可塑剤の合計量は15ないし40重量%を占める。
【0021】
他の通常の成分、例えば、安定剤、滑沢剤、解除剤、充填剤および着色剤等は、成形品にさらに含まれ得る;一般的にそれらは、組成物の基本的な性質を実質的に変更しない。
【0022】
適切な安定剤は、紫外線照射および押出等の加工中の望ましくない劣化からテープ剤を保護する抗酸化剤および作用剤である。エポキシ化大豆油等のいくつかの可塑剤は、同時に安定剤として作用する。
【0023】
使用し得る滑沢剤は、例えば、ステアリン酸またはその塩(ステアリン酸塩)または低分子量ポリエチレンである。ステアリン酸を使用するのが好ましい。これらの成分は、組成物全体の通常5重量%まで、好ましくは3重量%までの濃度で用いられる。
【0024】
別段の定めのない限りパーセンテージは、混合物全体に基づく重量パーセントを意味するものとみなされる。「混合物全体」とは、適切な方法によってその後成形される完成組成物である。
【0025】
成形品は、好ましくは溶融押出、押出または射出成形によって調製される。
【0026】
成形品を調製するための加工法の選択は、原則的に高分子の保持体のレオロジー特性および所望の成形品の形状に技術的に依存する。加工法は、加工技術に従ってまたは成形特性に従って分類され得る。加工技術の場合、製造過程は、これらの製造過程において通過するレオロジー的な状態に基づいて分類され得る。従って、粘性高分子保持体に対しては、鋳造、圧縮、射出成形およびスプレッディング・オンが考慮され、一方、粘弾性ポリマーの場合には、射出成形、押出、カレンダー加工、ローリングおよび適切な場合は二―ディングが考慮される。成形の特性に従って分類すると本発明の成形品は、鋳造、浸漬、圧縮、射出成形、押出、カレンダー加工、打ち抜き加工、曲げ加工、熱成形等によって調製され得る。固形の基礎保持体のコーチングもまた考慮される。成形品は、最後の仕上げによってその機能的な要求に順応し得る。
【0027】
これらの加工法は、それ自体知られており、これ以上の詳細な説明を必要としない。
【0028】
本発明の固形成形品は、通常0.5から20mm、好ましくは0.5ないし10mm、特に好ましくは1ないし5mm、非常に特別に好ましくは1ないし3mmの物質
厚さを有する。
【0029】
養蜂箱は、異なる形状で販売され、異なる材料から構成され得る。養蜂箱とは、本明細書ではいずれの場合にも一のミツバチコロニーにとっての住居を意味するものと理解されたい。本発明の成形品は、好ましくは通常の養蜂箱の入り口と一致し、一種の錠を形作る形状を有する。成形品は開口部を有し、養蜂箱を離れおよび養蜂箱に戻るときに、ミツバチがこの開口部を通り抜けざるをえないように形作られている。開口部は、通常5から9mm、好ましくは6ないし8mm、特に好ましくは6.5ないし7.5mmの直径を有する。養蜂箱の適切な通気を確保するために、開口部全体で養蜂箱当たり5から26cm
2、好ましくは10ないし15cm
2の面積を占めるべきである。結論は、養蜂箱(一の入口を有する)当たり約10ないし100の開口部、好ましくは15ないし80の開口部、特に好ましくは15ないし60、非常に特別に好ましくは25ないし40、特別に20ないし30の開口部が存在すべきであるということである。開口部の数およびサイズは、養蜂箱が極端な温度においてさえ適切に通気されるように、および開口部が例えば死滅したドローン(雄バチ)を除去するために機械的な障害物とならないように選択されねばならない。
【0030】
本発明の成形品の形状およびサイズは、成形品が通常の養蜂箱の入口と一致するように選択されるべきである。例えば、成形品は、1から10cmの高さ、好ましくは1.5ないし4cm、特別に2ないし4cmまたは特別に1.5ないし2.5cmの高さおよび10から50cmの幅、好ましくは15ないし40cmの幅を有する長方形であり得る。
【0031】
実際に使用される場合、本発明の成形品は、養蜂箱に戻りまたは離れるときに、ミツバチが錠形状の成形品の中の開口部を通り抜けなければならないように、それ自体既知の方法で養蜂箱に装着され得る。成形品を養蜂箱または台に取り付けるために、例えば、釘、画鋲、ねじまたは接着剤等の締付具を使用し得る。他の装置、例えば、本発明の成形品が案内装置に挿入される装置もまた便利である。また便利なのは、本発明の成形品が簡単に取り付けられる適切な台である;台は成形品と共に養蜂箱に容易に取り付けられるように同様に構築される。
【0032】
驚いたことに、本発明の成形品は、成形品が上記の通り養蜂箱の入口に取り付けられるときに、ミツバチにおけるミツバチヘギイタダニ(Varroa mite)に対して顕著な活性を示す。
【0033】
本発明の成形品は、ミツバチが成形品を十分に許容するという事実のために優れている。成形品を通り抜けるとき、ミツバチヘギイタダニ(Varroa mite)は、直ちにまたは一定期間が経過した後に死滅する。仮にダニが直ちに死滅しないとしても、通例、少なくともダニがさらに繁殖するのを防止することが可能であろう。ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコールの使用は、ミツバチによる成形品の許容性を改善するという指標がある。化学的類似性のために、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドもまたミツバチによる許容性を改善すると思われる。
【0034】
フルメトリンを含む本発明の成形品は、特に効果的であるという指標がある。ミツバチは、ミツバチヘギイタダニ(Varroa mite)による寄生に対してどのみちフルメトリンによって防御されると思われる。すなわち、本発明のフルメトリン含有成形品を通り抜けたミツバチは、ミツバチヘギイタダニ(Varroa mite)の寄生に対する暫くの間継続する一定の防御を提供されるという指標がある。
【0035】
さらにジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール自体もまた、ミツバチヘギイタダニ(Varroa mite)の寄生からミツバチを防御するという指標がある。これはまた、カプリン酸/カプリン酸トリグリセリドにも当てはまると推定される。
【0036】
さらなる実施形態に従って、さらに上記した通り、それ故に本発明は、いかなる殺ダニ活性物質をも含まない成形品に関する。
【0037】
殺ダニ活性物質を含まないこれらの成形品を通り抜けるミツバチは、ミツバチヘギイタダニ(Varroa mite)の寄生に対する一定の防御を提供されることが期待される。
【0038】
ミツバチは東洋種ミツバチ(Apis cernana)および、特に西洋種ミツバチ(Apis mellifera)である。
【0039】
ミツバチヘギイタダニ(Varroa mite)は、特にミツバチヘギイタダニ(Varroa destructor)である。
【0040】
本発明の成形品の機能は、ミツバチが開口部を通り抜けると言う事実に特に基づいているので、特にミツバチの採食期間に成形品を用いることが理にかなっている。しかしながら、採食期間外に成形品を取り除くことは必ずしも必要とされない。
【0041】
本発明の成形品を用いる場合、耐性の発生を避けるために、異なる作用機構を有する活性物質を含む成形品を交互に用いることが推奨される。
【0042】
[実施例]
[実施例1]
組成物:
フルメトリン 2.5重量%
アジピン酸ジ‐n‐ブチル 8.9重量%
プロピレングリコール(オクタン酸/デカン酸)(ミグリオール 840) 20重量%
エポキシ化大豆油 1.1重量%
ステアリン酸 2重量%
PVC 64.5重量%
二酸化チタン 1重量%
調製法:
ミキサー中で、二酸化チタンおよびPVCの混合物をアジピン酸ジ‐n‐ブチル、プロピレングリコール(オクタン酸/デカン酸)、エポキシ化大豆油およびフルメトリンの混合物と混合する。混合物が均一となるまで加熱しながら混合を継続する。加熱が活性物質/可塑剤混合物のPVCへの移行を促進する。後続のステアリン酸の均一な分布の後に、混合物は所望の厚さの成形品を与えるようにそれ自体知られている方法により加工される。
【0043】
養蜂箱における使用に適した成形品を調製した。これらの成形品は以下の寸法を有する:
長さ:15cm、幅:3cm、厚さ:2mm。
【0044】
成形品は、それぞれ7mmの直径を有する15の開口部を含む。
【0045】
[実施例2]
組成物:
クマホス 7.5重量%
アジピン酸ジ‐n‐ブチル 8.9重量%
プロピレングリコール(オクタン酸/デカン酸)(ミグリオール 840) 20重量%
エポキシ化大豆油 1.1重量%
ステアリン酸 2重量%
PVC 59.5重量%
二酸化チタン 1重量%
ミキサー中で、二酸化チタン、PVCおよびクマホスの混合物をアジピン酸ジ‐n‐ブチル、プロピレングリコール(オクタン酸/デカン酸)およびエポキシ化大豆油の混合物と混合する。混合物が均一となるまで加熱しながら混合を継続する。加熱が活性物質/可塑剤混合物のPVCへの移行を促進する。後続のステアリン酸の均一な分布の後に、混合物は所望の厚さの成形品を与えるようにそれ自体知られている方法により加工される。
【0046】
養蜂箱における使用に適した成形品を調製した。これらの成形品は以下の寸法を有する:
長さ:15cm、幅:3cm、厚さ:2mm。
【0047】
成形品は、それぞれ7mmの直径を有する15の開口部を含む。
【0048】
[実施例3ないし16]
本発明の固形成形品の調製のために適したさらなる組成物は、実施例3ないし12および14ないし16として以下の表に記す。実施例13はプラセボ製剤である。
【表1】
【表2】
【0049】
(表中、成分含量は重量%で記す)
実施例3ないし16の組成物は、実施例1の組成物と同様に調製され得る。別法として、PVC、二酸化チタンおよび酸化鉄顔料を加熱しながら(60℃)混合し、次にステアリン酸を除く残りの成分の溶液を調製し、熱いPVC/顔料混合物と混合する。最後に、さらに撹拌、加熱しながらステアリン酸も添加し、均一な組成物を調製し、組成物は冷却後にさらに加工され得る。
【0050】
完成組成物は、例えば実施例1に示す通りの本発明の固形成形品を調製するために使用し得る。
【0051】
生物学的実施例:
[実施例A]
養蜂箱の入口でPVC製の本発明のフルメトリン含有活性物質保持体(成形品)の有効性を評価するために、2012年4月6日にツァンダー(Zander)養蜂箱中の繁殖期の12のミツバチコロニーには、いずれの場合にも、直径7mmの30の開口部を備え、ミツバチが活性物質保持体の開口部を通ってのみ養蜂箱に出入りすることが出来るように入口に配置された、長さ約15cm、幅約2.5cmおよび厚さ約2mmの2の活性物質保持体を与えた。いずれの場合にも3のコロニーには、それぞれ3%、4%および5%のフルメトリン含量を有する活性物質保持体(それぞれ実施例16、15および14)を与えた。三のミツバチコロニーは、対照コロニーとして機能し、活性物質不含保持体を装着した。4月6日と5月2日の間に死滅したダニは、養蜂箱のハニカム台の下で養蜂箱の底全体を覆い、それを通して落下するダニは通過することが出来るがミツバチは通過することができない金属格子によってのみ覆われた挿入物を用いて毎日記録した。
【0052】
種々の処理群およびコロニーに対して記録したすべてのダニの死亡率は、以下の表1に集計する。A、BおよびCと名付けた行は、いずれの場合も一のミツバチコロニーに対するパーセントでの効果を含んでいる(括弧内のnは死滅ダニ数(n Varroa))。観察期間にわたるダニの死亡率の経過は、選択されたコロニーについてグラフ表示する(
図1)(3%群における低い全死亡率のために、グラフ表示は省略した)。データは、フルメトリン含有活性物質保持体によるミツバチのコロニー処理の殺ダニ効果を支持する。
【表3】