(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る美容装置を前記
図1ないし
図10に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る美容装置1は、使用者の顔における眼及び眼周囲部の正面側に装着され、眼及び眼周囲部の皮膚を被覆して配置される装置本体部10と、この装置本体部10の眼に対向する側に設けられる熱伝導性材料製の伝熱部20と、装置本体部10の眼に対向する部位の周囲部分に着脱可能として配設され、眼の周囲の皮膚の被覆対象部分外縁に接触可能とされる断熱材製のスペーサ30と、この伝熱部近傍の所定箇所に配設される多孔質材製の液保持部材40と、伝熱部20に対し熱伝導可能に接触して装置本体部10に内蔵される熱源部50とを備える構成である。
【0029】
前記装置本体部10は、左右一体のゴーグル状に使用者の左右の眼及び眼の周囲を前方から覆う形状として形成され、左右端部から後頭部側へ回したバンド部11の締め付け力で使用者の眼前に装着保持されるか、又は、使用者が仰向けに寝た姿勢で眼前に載置保持される構成である。
【0030】
この装置本体部10は、プラスチック等からなる硬質の筐体を有しており、その顔面に対向する側には、鼻の形状に合わせて凹部が設けられ、顔面へのフィット性を高めた形状とされる。この装置本体部10の内部には、前記熱源部50の他、制御部12等の電気回路や電源としての電池13が配設される。なお、この装置本体部10には、バイブレータ等の振動源を内蔵して、眼の正面側に装着して温熱付与等に使用する際に、合わせて皮膚70に振動を付加可能とすることもできる。
【0031】
また、装置本体部10における上面側には、使用者の入力操作を受けて美容に係る作動のON、OFFや作動の種類、強弱等を切換える操作部14が配設される。この操作部14としては、電源のON、OFFを切替える電源スイッチ14aと、伝熱部20の温度変化など装置作動状態を切替えるモード切替スイッチ14bが配設される。
【0032】
この装置本体部10については、熱源部50における温度変化の影響が、熱伝導により装置本体部の表面に直接及ぶことのないように、筐体は熱を伝えにくい素材製とするのが好ましい。
そして、装置本体部10における使用者の左右の眼及びその周囲の皮膚に対向する部位には、伝熱部20がそれぞれ配設される(
図2参照)と共に、この伝熱部20の周囲には、伝熱部20に対してメッシュ体である液保持部材40を保持する枠状のスペーサ30が着脱可能とされる(
図3、
図4参照)。
【0033】
前記伝熱部20は、金属等の良熱伝導性を有する材質からなり、中央部分に眼やまぶたとの接触を避けるための凹部21を設けられる一方で、眼の周りの皮膚70に面接触可能な緩やかな曲面を組み合わせた略板形状とされ、装置本体部10における眼とその周りの皮膚に対向する部位に配設される構成であり、液保持部材40を設けない場合には、眼の周りの皮膚70に直接当接させて用いられる。伝熱部20は、装置本体部10内で熱源部50と熱伝導可能に連結されており、熱源部50の伝熱部寄り部位が発熱状態の場合は温度が上昇し、吸熱状態の場合は温度が低下する仕組みである。
【0034】
そして、伝熱部20を用いて眼の周りの皮膚を温めたり冷やしたりする場合には、使用者が本装置を眼前に保持された状態とし、また制御部12に基づいて熱源部50が発熱又は吸熱する状態へ移行可能とされた上で、伝熱部20を直接眼の周りの皮膚70に接触させる(
図7参照)か、伝熱部20の近傍に水等のミスト用液を保持した液保持部材40をスペーサ30と共に配設(
図6参照)した上で、熱源部50を作動させて、伝熱部20の温度変化を直接、又は雰囲気やミストの温度の変化として、皮膚で感じる状態とする。
【0035】
前記スペーサ30は、断熱性のあるシリコンゴム製とされて装置本体部10の眼対向部位における伝熱部20の周囲に着脱可能として配設され、装置本体部10に取り付けた状態では、眼の周囲の皮膚の被覆対象部分外縁に接触可能となる構成である。スペーサ30は、これを取付けた装置本体部10を眼及び眼周囲部の正面側に位置させて装置を装着使用する状態で、眼の周囲の皮膚にほぼ密着し、装置本体部10の伝熱部20と眼及び眼の周囲の皮膚との間に、ほぼ密閉された空間を生じさせる構成である(
図6参照)。
そして、この空間部分に対し、ミスト生成部としての伝熱部20が、液保持部材40の保持するミスト用液を蒸発させることで、ミストが空間部分に浮遊して皮膚を湿らせる状態を得られる仕組みである。
【0036】
このスペーサ30が取外された装置本体部10についても、眼及び眼周囲部の正面側に位置させて装置としての使用が可能であり、その場合、伝熱部20は、眼の周囲部分の皮膚に伝熱可能に直接接触して、皮膚に接した伝熱部20が皮膚を直接温めたり冷やしたりすることができる仕組みである。この伝熱部20が眼の周囲の皮膚に直接接触する場合も、伝熱部20の凹部21により、伝熱部20と眼との間には隙間が生じ、眼やまぶたと伝熱部20は直接接触しないようにされる(
図7参照)。
【0037】
前記液保持部材40は、シート状の多孔質体、より具体的には、網目状に多数の孔を有するメッシュ体とされ、メッシュ体各部の孔にミスト用液(例えば、水)を保持可能な構成である。この液保持部材40は、スペーサ30の伝熱部位置に対応した左右の開口部分に配設されて、スペーサ30の装置本体部10への取付け状態で、伝熱部20と眼との間に位置しつつ伝熱部20近傍に配設されて、ミスト用液を蒸発可能に保持する構造とされる。特に、この液保持部材40の眼周囲部下側正面に位置する部位が、伝熱部20に添う配置とされ、伝熱部20から熱を伝えられる構成である。
【0038】
液保持部材40に対し、ミスト生成部としての伝熱部20が、液保持部材40各部の孔に保持されたミスト用液を加熱することで、ミスト用液が蒸発してミスト(スチーム)が生成され、このミストが空間部分に浮遊する状態となる仕組みである。
【0039】
前記熱源部50は、通電により吸熱及び発熱するデバイスであり、金属等からなる伝熱部20に対し熱伝導可能に接触して装置本体部10に内蔵される構成である。具体的には、熱源部50自体は、公知のペルチェ素子を用いたものであり、詳細な説明を省略する。この熱源部50は、装置本体部10内で制御部12と電気的に接続されており、操作に基づいて通電状態を調整される。
【0040】
熱源部50は、通電により温度を変化させる一方の面を、伝熱部20と接触させた状態で、制御部12による制御の下、伝熱部20と接する面側を発熱状態又は吸熱状態として、伝熱部20を温める、又は冷やすことで、伝熱部20に接触する使用者の皮膚70又は周囲の雰囲気を温め、又は冷やす仕組みである。
【0041】
熱源部50は、伝熱部20の中心より下部寄りとなる部位で伝熱部20と接しており、この伝熱部の熱源部50と接する部位は、伝熱部20における使用者の眼周囲部下側正面にちょうど位置する部位、すなわち、液保持部材40を用いる場合にこの液保持部材が接近し、且つ、眼の下側の皮膚に直接接触可能となる部位、の近傍に位置することから(
図6、
図7参照)、伝熱部20を通じての熱源部50と液保持部材40又は皮膚70との間の熱移動を効率よくスムーズに行わせることができ、ミストの生成や、接触する伝熱部による皮膚の加温又は冷却を、いずれも迅速に実行させられる。
【0042】
なお、熱源部50をなすペルチェ素子は、吸熱により伝熱部20を冷却する場合、伝熱部20から遠い反対側を逆の発熱状態とし、この発熱側の温度を上昇させるため、適切な放熱で過剰な温度上昇を抑えられるように、ヒートシンク15やファン(図示を省略)等の放熱用の機構を併設している。冷却使用の長時間化等により放熱が間に合わなくなり、素子の許容可能な最高温度に達した場合には、制御部12により熱源部50の冷却に係る作動は、安全のため停止する仕組みである。
【0043】
前記制御部12は、装置本体部10に内蔵され、使用者の操作部14への入力操作を受けて、熱源部50への通電による伝熱部20における温度変化を、それぞれ制御するものである。
制御部12は、伝熱部から皮膚への温度の伝わり方や伝熱部の温度の異なる複数の作動モードを設定しており、本実施形態においては、ミストを発生させる場合は、加温のみのモードと、加温の後、冷却を行うモードを、伝熱部を直接皮膚に接触させる場合は、加温のみのモードと、冷却のみのモード、並びに加温と冷却を交互に行うモードを、それぞれ実行制御可能となっている。
【0044】
加温のみのモードでは、制御部12は熱源部50を伝熱部側において発熱状態となるよう通電制御する。また、冷却のみのモードでは、制御部12は熱源部50を伝熱部側において吸熱状態となるよう通電制御する。一方、加温の後、冷却を行うモードや、加温と冷却を交互に行うモードでは、制御部12は熱源部50を所定時間発熱状態とした後、通電状態を切替えて、伝熱部側で吸熱状態となるよう制御し、伝熱部20の温度を低下させる。
【0045】
これら各モードの切替えは、操作部14のモード切替スイッチ14bに対する使用者の入力操作に基づいて行われる。美容装置10の電源投入直後、使用者が最初にモード切替スイッチ14bを操作すると、制御部12は複数のモードのいずれかを実行可能な状態となる。
【0046】
また、制御部12は、各モードに対応して熱源部50に通電する場合に、この通電による熱源部の発熱又は吸熱に伴って伝熱部が温度変化する度合いの調整を、操作部14に別途設けた温度調整用のスイッチに対する使用者の入力操作に基づいて行うようにしてもよい。
【0047】
次に、本実施形態に係る美容装置の使用状態について説明する。前提として、使用者が美容装置1を使用する姿勢に合わせて、必要に応じ装置保持用の部品が用いられるものとする。すなわち、使用者が顔を上に向けた姿勢となって美容装置を顔の上に載せて使用する場合以外の、装置単独では使用者の眼前への保持が困難な場合には、バンド部11が併用され、バンド部11の締付け力で装置を保持するものとする。
【0048】
そして、ミストを用いて皮膚の加温又は冷却を行う場合には、使用者はあらかじめ液保持部材40にミスト用液を十分に保持させた状態としてから、液保持部材40をスペーサ30に取付け、さらにこの液保持部材40を一体化したスペーサ30を装置本体部10に取り付けておく(
図4参照)。
【0049】
使用者は、最初に、スペーサ30を取り付けた装置本体部10を眼の正面側に位置させて装着し、スペーサ30を眼の周りの皮膚に密着するようにして、眼とその周囲の皮膚の前方にスペーサ30と装置本体部10に囲まれて閉じた空間が生じた状態とする(
図6参照)。それから、使用者は操作部14を操作してミストを発生させつつ加温のみ行うモード又は加温と冷却の組合せのモードのいずれかを選択すると、制御部12は熱源部50を作動させて伝熱部のある側を発熱状態に移行させる。
【0050】
熱源部50が発熱により伝熱部20の温度を上昇させ、液保持部材40に保持されたミスト用液にも熱が加わるようになると、ミスト用液が蒸発してミストとなる(
図8、
図9参照)。この発生したミストが眼の前方の閉じた空間で十分な量に達すると、ミストが眼の周りの皮膚に次々に接触するようになり、皮膚がミストにより温熱を付与される状態となる。そして、眼の前方の閉じた空間内は、ミストの存在により湿潤状態が維持されており、皮膚に潤いを与える状態を維持したまま、皮膚を温めることができる。
【0051】
使用者が、加温の後に冷却を行う作動モードを選択操作していた場合には、伝熱部20の温度上昇に伴ってミストが十分発生した状態から、制御部12による制御に基づき、熱源部50が新たに吸熱状態に移行し、伝熱部20の温度を低下させることとなる。伝熱部20の温度が下がることで、ミスト用液の蒸発によるミスト供給は停止し、温度低下した伝熱部20との接触で空間内の雰囲気温度も低下する(
図9参照)。雰囲気中に浮遊するミストは、冷えた伝熱部20との接触や雰囲気温度の低下に伴って、その温度を低下させ、一部は凝集しより大きな液滴となる。こうした温度の低下したミストや液滴が皮膚に接することで、皮膚は冷たさを感じる。
【0052】
熱源部50の発熱状態から吸熱状態への切替のタイミングは、発生したミストが自然に冷えて凝集し、液滴となる前の、適量のミストが空間を浮遊する状態のうちに実行し、吸熱状態に移行して伝熱部が十分冷えた後でも、一部のミストが空間に残る状態となるようにするのが好ましい。
こうしてミストで皮膚周囲の雰囲気の湿り状態を保ち、皮膚の潤いを維持したまま、温感とは異なる冷感特有の、引締め等の作用を皮膚に与えて、皮膚の活性化が図れることとなる。
【0053】
装置が作動状態となってからあらかじめ設定された所定時間(例えば、10分)が経過する、又は、使用者が操作部14で作動モードを他に切替えるか電源をOFF状態とすると、制御部12により熱源部50への通電が停止し、発熱状態又は吸熱状態が終了する。この後、使用者は眼の正面側に保持されている装置本体部10を外す。そして、使用者は、液保持部材40を用いた場合はこれをスペーサ30から取り外した上で、残留するミスト用液を除去して清浄化し、次の使用に備えるようにするのが望ましい。
【0054】
一方、伝熱部20を用いて皮膚への直接的な加温又は冷却を行う場合には、使用者は、あらかじめ装置本体部10からスペーサ30を外した状態とし、伝熱部20が皮膚に当接可能とする(
図3、
図7参照)。
【0055】
使用者は、最初に、装置本体部10を眼の正面側に位置させて装着し、伝熱部20を眼の周りの皮膚に密着するようにする。この場合、伝熱部20のちょうど眼に対向する部位は凹部21となっているため、眼の前方には隙間が生じて、眼やまぶたは伝熱部20に当たらず、眼に違和感を与えない仕組みである(
図7参照)。装着後、使用者は操作部14を操作して、直接の加温、冷却、又は、加温と冷却の交互実行、のいずれかのモードを選択する。
【0056】
操作部14で加温のみ行うモードが選択操作された場合、制御部12は熱源部50を作動させて伝熱部のある側を発熱状態に移行させる。熱源部50が発熱により伝熱部20の温度を上昇させると、眼の周りの皮膚にも熱が伝わり、皮膚が温熱を付与される状態となる。
【0057】
また、使用者が操作部14を操作して冷却のみ行うモードを選択した場合、制御部12は熱源部50を吸熱状態とし、伝熱部20の温度を低下させる。皮膚70は伝熱部20と軽く接触しており(
図7参照)、低い温度となる伝熱部20により皮膚70は熱を奪われ、温度が低下して冷感が生じることとなる。こうして、伝熱部20と接する部位の皮膚70が冷却され温度を低下させることにより、皮膚70が引き締まるなど、皮膚70に冷却特有の効果を与えられることとなる。
【0058】
この他、使用者が操作部14により加温と冷却を交互に行うモード(
図10参照)を選択した場合、制御部12は熱源部50の伝熱部側を所定時間発熱状態とし、伝熱部20を通じて眼の周りの皮膚への加温を行う。この後、熱源部50を吸熱状態とし、伝熱部20の温度を低下させ、伝熱部20と接触している皮膚70を冷却する。こうした加温と冷却が交互に繰り返されることで、皮膚70に対し温冷の温度変化に基づく効果を与えられることとなる。
【0059】
装置が作動状態となってからあらかじめ設定された所定時間が経過する、又は、使用者が操作部14で電源をOFF状態として皮膚の加温や冷却を中断すると、制御部により熱源部50への通電が停止し、発熱状態又は吸熱状態が終了する。この後、装置の使用を完全に終える場合、使用者は眼の正面側に保持されている装置本体部10を外す。使用の後、使用者は伝熱部20表面を清浄化し、次の使用に備えるようにするのが望ましい。
【0060】
このように、本実施形態に係る美容装置は、スペーサ30で液保持部材40を支持して、熱源部50で生じさせた熱を伝熱部20を介して液保持部材40のミスト用液に伝え、温められたミストを生じさせ、ミストで眼の周囲の皮膚を温める状態と、液保持部材40を設けず、伝熱部20を直接眼の周りの皮膚に接触させ、皮膚を温める状態とを選択可能とすることから、使用状況に応じて加温状態を選択でき、ミストで眼の周囲の皮膚を温める場合には、眼の周囲に湿分の十分に存在する環境を維持した状態で温熱効果を与えることができ、眼の周囲の皮膚で潤いを確実に保持しながら血行を促進して美容効果を向上させられる。一方、使用者の皮膚に直接伝熱部20を当接させて温熱を付与する場合は、液保持部材40やミスト用液を用意する手間が不要となり、簡易且つ速やかに温熱付与を実行でき、リラックス感を損なうことなく温熱による美容効果を得られる。
【0061】
なお、前記実施形態に係る美容装置において、ミストを発生させず、伝熱部20で皮膚への直接的な加温や冷却を行う場合には、装置本体部10にスペーサ30を取付けずに用いて、伝熱部20を眼の周囲(上下左右)の皮膚にそれぞれ接触させる構成としているが、これに限られるものではなく、伝熱部20を、眼の周囲部分のうち少なくとも眼より下側の部分の皮膚に接触可能に配設する構成としてもかまわない。こうして伝熱部が直接接して加温や冷却を行う皮膚として、いわゆる目もとで特に目立つ眼の下側部分の皮膚を少なくとも対象とすれば、加温や冷却による美容効果を期待できる。
【0062】
この場合、液保持部材40をスペーサ30に取付けて併用する際にも、伝熱部20における眼の周囲部分のうち少なくとも眼より下側の部分の皮膚に対向する部位が、最も皮膚側に近付く状態となることで、液保持部材40における使用者の眼の下側部分の正面に位置する部位が、確実に伝熱部20に添う配置となって、伝熱部20の熱をより効率よく受取ることとなり、この部位でミスト用液を効率よく温めて蒸発させ、生成したミストをそのまま上方へ向かわせて眼の周囲の皮膚各部に適切に到達させることができ、皮膚へ効率よくミストを供給してミストによる美容効果を確保できる。
【0063】
また、前記実施形態に係る美容装置において、熱源部50を発熱及び吸熱可能なデバイスとして、この熱源部50を作動させ、伝熱部20を通じミストを発生させて、あるいは伝熱部20で皮膚に直接的に温度変化をもたらして、皮膚に対し加温や冷却を行える構成としているが、これに限らず、熱源部を作動により温度上昇のみ生じさせるものとして、ミストで又は伝熱部20から直接に、皮膚の加温のみ行える構成とすることもできる。
この場合、熱源部としては、例えば、通電により発熱する公知のヒータを配設して、ヒータから伝熱部側への熱伝導を生じさせる構成としてもよく、単純な機構に基づく簡略な装置構成として低コスト化が図れる。
【0064】
また、前記実施形態に係る美容装置において、ミストを発生させず、伝熱部20で皮膚への直接的な加温又は冷却を行うために、液保持部材40を用いない場合には、装置本体部10にスペーサ30を取り付けないままで、装置本体部10を眼の正面側に位置させて装置の装着を行う構成としているが、これに限らず、伝熱部20で皮膚への直接的な加温又は冷却を行い、液保持部材40を用いない場合でも、
図11に示すように、液保持部材を支持するものとは別のスペーサ31を装置本体部10に取り付けるようにする構成とすることもできる。
【0065】
この場合、装着状態で眼の周りの皮膚に接する伝熱部20の周囲にスペーサ31が位置して、伝熱部同様に皮膚に接することから、装置と皮膚との接触面積が増えて装着が安定し、使用者がどのような姿勢でも、装置がずれることなく眼前に保持されることとなる。また、接触面積が増えて力が分散される分、装置が肌に食い込むようなこともなく、接触が緩やかで装着感も優れたものとなる。
【0066】
また、前記実施形態に係る美容装置においては、ミスト生成部として、伝熱部20が液保持部材40に保持されたミスト用液を加熱して蒸発させ、ミストを発生させる構成としているが、これに限らず、伝熱部と異なるミスト生成部を設ける構成とすることもできる。例えば、ミスト用液を保持する液保持部材の近傍に、ミスト生成部として超音波振動子を配設し、伝熱部を通じて温めた又は冷やしたミスト用液に対し、超音波振動子を作動させてミストを生じさせる構成としてもかまわない。
【0067】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る美容装置において、装置本体部10に取り付けられるスペーサ30は、装置を眼前に装着使用する状態で、その厚みにより装置本体部と眼の周囲の皮膚との間に所定の間隔を与えて、装置本体部10の伝熱部20と眼及び眼の周囲の皮膚との間に、ほぼ密閉された空間を生じさせる点以外、特別な機能を付与されない構成としているが、この他、
図12に示すように、スペーサ32における、装置本体部10への取付状態で使用者の眼より下側に位置する部分に、中空部33を設けると共に、この中空部33のあるスペーサ32の眼より下側の部分における、使用者の皮膚及び装置本体部10に接触しない上面部分の一又は複数箇所に、中空部33に通じる貫通孔部33aを設けて、液滴を流入させて溜める液滴受部とすることもできる。
【0068】
この場合、液保持部材43を伝熱部20近傍に配設してミストを生成する状態で、液滴として流れ落ちるミスト由来の液分を、貫通孔部33aを通じてスペーサ32の中空部33内部に流入させ、こうした液分を中空部33に貯溜可能となる。こうして、ミスト生成状態でミストが冷えて液滴となったものをスペーサ32の中空部33に流入させて溜めることで、ミスト由来の液分が皮膚や装置内周面を伝ってそのまま装置外部に流れ出るのを抑えられ、使用者の眼の周囲以外の部位や使用者の周囲に液分が達して悪影響を及ぼす事態を未然に防止できる。
【0069】
なお、ミスト由来の液分を流入させるスペーサ32の中空部33に、液保持部材の一部を延長配設し、液分を液保持部材に移行させて、伝熱部により加熱可能な状態であらためて液保持部材に保持させる構成とすることもでき、液分を再びミスト生成に有効に利用できる。また、このような構成において、ミスト由来の液分を貯溜可能なスペーサの中空部の容量を一定量確保して、中空部にミスト用液を導入、貯溜した際に所定時間連続してミストを発生可能とすることもでき、この場合、装置を眼前に装着して前記実施形態同様に使用する他、装着せずに装置を作動させて、発生したミストを装置のある室内空間にそのまま拡散させる、いわゆる加湿器として使用することもできる。
【0070】
液滴受部としては、中空部33に限られるものではなく、スペーサにおける、装置本体部への取付状態で使用者の眼より下側に位置する部分で、ミスト由来の液滴を流入させて溜め、外部に流れ出るのを防止できる構成であればよく、より簡略な凹部や溝部としたり、スペーサと別部材との組合せで液分の貯溜領域を生じさせるようなものでもかまわない。
【0071】
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係る美容装置において、液保持部材40はスペーサ30に一体に取付けられて伝熱部近傍に支持される構成としているが、これに限らず、
図13に示すように、液保持部材として、容易に取り替え可能な多孔質シート体を用いると共に、こうした液保持部材44を枠状のスペーサ34と伝熱部20又は装置本体部10との間に挟み込んで支持固定する構成とすることもできる。
【0072】
この場合、スペーサ34の装置本体部10への取付けに際し、ミスト用液を染み込ませ保持させた液保持部材44を、スペーサ34と伝熱部20又は装置本体部10との間に挟み込むようにして伝熱部20近傍に位置させられ、液保持部材44を簡略な支持状態で伝熱部近傍に位置させて伝熱部20からの熱でミストを発生可能となり、液保持部材44の配置に係る装置本体部10及びスペーサ34の構造をさらに簡略化してコストダウンが図れると共に、液保持部材44の伝熱部近傍への配設や液保持部材44へのミスト用液導入を容易に行え、使用者にとって取扱いやすく、使い勝手を向上させられる。
【0073】
なお、スペーサは、多孔質シート体である液保持部材44の周縁部を押えるなどして、液保持部材44を伝熱部20に添わせる配置で支持できるものであれば、スペーサは完全に装置本体部10から分離されて、装置本体部10に対し取付け取外し可能な構成に限られるものではなく、
図14ないし
図16に示すように、スペーサ35、36、37が装置本体部に傾動可能に蝶着あるいは軸支されて一体化され、スペーサ35、36、37を装置本体部に対し開閉可能として、スペーサ35、36、37と装置本体部間に液保持部材44を挟み込んで支持する構成とすることもできる。そして、このようにスペーサを装置本体部に対し開閉可能とする構成とする場合、例えば、スペーサ35を左右二分割構造とし中心の鼻前位置で装置本体部16に蝶着又は軸支する構成(
図14参照)や、スペーサ36を左右二分割構造として左右端部でそれぞれ装置本体部17に蝶着又は軸支して観音開き状に開閉する構成(
図15参照)や、スペーサ37をその上端部又は下端部で装置本体部18に蝶着又は軸支して上下に開閉する構成(
図16参照)等を採用することができる。
【0074】
さらに、上記各例のように、液保持部材44をスペーサ35、36、37と装置本体部との間に挟み込むようにして支持する構造を用いる場合に、液保持部材44を用いずに伝熱部20で皮膚への直接的な加温や冷却を行う際には、液保持部材44が介在しない状態のスペーサ位置がより装置本体部10寄りとなるようにして、伝熱部位置を相対的に皮膚寄りとし、スペーサ34が装置本体部10に取付けられたままでも、伝熱部20を直接皮膚に接触させられる構成とすることもでき、伝熱部20による直接的な皮膚への加温又は冷却の際にスペーサ34を取外す手間が省けると共に、伝熱部20の周囲にスペーサ34が位置して、伝熱部同様に皮膚に接することから、装置と皮膚との接触面積が増えて装着が安定し、ずれにくくなる上、接触に伴う皮膚への圧力が分散され、装置が皮膚に食い込まず装着感も優れたものにできる。
【0075】
(本発明の第4の実施形態)
前記第1の実施形態に係る美容装置において、液保持部材40を支持するスペーサ30は装置本体部10に対し取付け取外し可能として、ミスト発生のために液保持部材40を用いる場合はスペーサ30を装置本体部10に取り付けた状態とし、伝熱部20を直接皮膚に接触させる場合はスペーサ30を装置本体部10から取外した状態とする構成としているが、これに限らず、第4の実施形態として、
図17に示すように、スペーサ38を装置本体部19に対し進退して突出量調整可能に突出配設される枠状部材として、スペーサ38を装置本体部19と一体化し、ミスト発生のために液保持部材45を用いる場合は、装置本体部19に対し所定量突出させたスペーサ38に液保持部材45を取り付けた状態とし、伝熱部20を直接皮膚に接触させる場合は装置本体部19に対しスペーサ38を退行させて伝熱部20が皮膚と接触可能な状態を得る構成とすることもできる。
【0076】
詳細には、前記装置本体部19は、前記第1の実施形態と同様、左右一体のゴーグル状に使用者の左右の眼及び眼の周囲を前方から覆う形状として形成される構成であり、異なる点として、眼に対向する部位に略枠状のスペーサ38を進退可能に組み込まれる構成を有するものである。
【0077】
前記スペーサ38は、断熱性のあるシリコンゴム製枠状体とされて、装置本体部19の眼対向面側における伝熱部20周囲に、装置本体部19に対し進退して突出量調整可能に突出配設され、装置本体部19からの突出状態で使用者の眼の周囲の皮膚における被覆対象部分外縁に接触可能とされる構成である。
この装置本体部19における、スペーサを一体に組み込まれる点以外の構成については、前記第1の実施形態と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0078】
装置本体部19からスペーサ38をあらかじめ設定された所定量突出させ(
図17(A)参照)、装置本体部19を眼及び眼周囲部の正面側に位置させて装置を装着使用する状態では、前記第1の実施形態同様、スペーサ38は眼の周囲の皮膚にほぼ密着し、装置本体部19の伝熱部20と眼及び眼の周囲の皮膚との間に、ほぼ密閉された空間を生じさせる。そして、この空間部分に対し、伝熱部20が、液保持部材45の保持するミスト用液を蒸発させることで、ミストが空間部分に浮遊して皮膚を湿らせる状態を得られる仕組みである。
【0079】
前記液保持部材45は、スペーサ38の装置本体部19からの突出状態(
図17(A)参照)で、このスペーサ38の開口部分に対し取付け取外し可能とされ、スペーサ38への取付け状態で、伝熱部20と眼との間に位置しつつ伝熱部20近傍に配設されて、ミスト用液を蒸発可能に保持する構造とされる。液保持部材45そのものは、前記第1の実施形態同様、網目状に多数の孔を有するメッシュ体とされ、このメッシュ体各部の孔にミスト用液を保持する仕組みである。
【0080】
一方、液保持部材45を用いない場合で、スペーサ38を退行させ突出量を抑えた装置本体部19についても(
図17(B)参照)、眼及び眼周囲部の正面側に位置させて装置としての使用が可能であり、その場合、伝熱部20は、眼の周囲部分の皮膚に伝熱可能に直接接触して、皮膚に接した伝熱部20が皮膚を直接温めたり冷やしたりすることができる仕組みである。
【0081】
このように、本実施形態に係る美容装置は、装置本体部19から突出するスペーサ38で液保持部材45を支持して、熱源部50で生じさせた熱を伝熱部20を介して液保持部材45のミスト用液に伝え、温められたミストを生じさせ、ミストで眼の周囲の皮膚を温める状態と、液保持部材45を設けず、スペーサ38を退行させて伝熱部20を直接眼の周りの皮膚に接触させ、皮膚を温める状態とを選択可能とすることから、前記第1の実施形態と同様に、使用状況に応じて加温状態を選択でき、ミストで眼の周囲の皮膚を温める場合には、眼の周囲に湿分の十分に存在する環境を維持した状態で温熱効果を与えることができ、眼の周囲の皮膚で潤いを確実に保持しながら血行を促進して美容効果を向上させられる。一方、使用者の皮膚に直接伝熱部20を当接させて温熱を付与する場合は、液保持部材45やミスト用液を用意する手間が不要となり、簡易且つ速やかに温熱付与を実行でき、リラックス感を損なうことなく温熱による美容効果を得られる。