(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
<液晶表示装置10の構成>
以下、本発明に係る表示装置の一実施形態である液晶表示装置について、
図1から
図7に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態1に係る液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0016】
本実施形態1の液晶表示装置10(表示装置)は、
図1に示すように、アンテナ1、チューナー2、映像処理部3、表示制御部4、エリアアクティブ制御部5、液晶駆動部6、液晶パネル7、バックライト駆動制御部8(制御部)及びバックライト9を備えている。このうち、表示制御部4、エリアアクティブ制御部5、液晶駆動部6及びバックライト駆動制御部8は、制御装置50を構成している。
【0017】
液晶パネル7は、(m×n)個の画素が二次元配置されている。画素には、赤色光を透過するR表示素子、緑色光を透過するG表示素子、及び、青色光を透過するB表示素子が含まれる。R表示素子、G表示素子及びB表示素子は、行方向に並べて配置され、これら3個の表示素子が1個の画素を形成する。なお、本実施形態1では、液晶パネル7は3色の例として挙げるが、4色あるいはそれ以上の色数であってもよい。
【0018】
また、液晶パネル7の表示画面は、複数個、例えば(i×j)個のパートに分割されている。なお、ここでの「パート」の語は、表示画面の一部を指し示すために便宜的に定義したものである。
【0019】
液晶駆動部6は、液晶パネル7の駆動回路である。液晶駆動部6は、エリアアクティブ制御部5から出力された、液晶パネル7の駆動に用いる表示用データ(以下、液晶データと称する)に基づき、液晶パネル7に対して表示素子の光透過率を制御する信号(電圧信号)を出力する。液晶駆動部6から出力された電圧は、液晶パネル7の表示素子内の画素電極(図示せず)に書き込まれ、表示素子の光透過率は画素電極に書き込まれた電圧に応じて変化する。
【0020】
バックライト9は、液晶パネル7の背面側に設けられ、液晶パネル7の背面にバックライト光を照射する。バックライト9は、光源として、二次元状に配置された複数個のLEDを有している。これらLEDは、液晶パネル7の表示画面の(i×j)個に分割されたパートのそれぞれに対応するように、所定数個で一組になっている。一組になった所定数個のLEDは、LEDユニットを構成する。すなわち、1個のパートに1個のLEDユニットが対応づけられる。
【0021】
バックライト駆動制御部8は、バックライト9の各LEDをPWM(Pulse Width Modulation)制御により点灯駆動する駆動回路である。バックライト駆動制御部8は、エリアアクティブ制御部5から出力された、バックライト9の駆動に用いるバックライト制御用データ(以下、LEDデータと称することがある)に基づき、各LEDの輝度を制御する信号(SPI(シリアル・ペリフェラル・インターフェイス)信号)をバックライト9に対して出力する。
【0022】
バックライト駆動制御部8は、更に、PWM制御により駆動している各LEDのうち、予め設定した任意のパターンに配置されているLEDのデューティ比(以下、LED_DUTYと称する)を検出し、検出したLED_DUTYに応じて、バックライト9に供給する電力を制御している。このバックライト9の電力制御についての詳細は後述する。
【0023】
エリアアクティブ制御部5は、表示制御部4によって生成された入力画像に基づき、液晶パネル7に含まれるすべての表示素子の光透過率を求め、求めた光透過率を表す上記液晶データを生成する。そして、エリアアクティブ制御部5は、生成した液晶データを、液晶駆動部6に対して出力する。
【0024】
また、エリアアクティブ制御部5は、表示制御部4によって生成された入力画像に基づき、(i×j)個のパートに分割された液晶パネル7の表示画面のそれぞれのパートについて、当該パートに対応したLEDユニットに含まれるLEDの輝度を求める。具体的には、エリアアクティブ制御部5は、バックライト9に含まれるすべてのLEDの輝度を求め、求めたLEDの輝度を表す上記LEDデータを生成する。そして、エリアアクティブ制御部5は、生成したLEDデータを、バックライト駆動制御部8に対して出力する。
【0025】
表示制御部4は、前段の映像処理部3によって算出された、映像信号の1フレーム分の画像の平均輝度(APL)及び輝度分布から、入力画像を生成し、生成した入力画像をエリアアクティブ制御部5に出力する。
【0026】
映像処理部3は、アンテナ1で受信された電波からチューナー2によって抽出された映像信号から、1フレーム分の画像の平均輝度(APL)と輝度分布を算出し、算出したAPLと輝度分布を表示制御部4に出力する。
【0027】
<バックライト駆動制御部8>
図2は、バックライト駆動制御部8の概略構成ブロック図である。バックライト駆動制御部8の詳細を、
図2を用いて説明する。
【0028】
バックライト駆動制御部8は、
図2に示すように、マイコン81とドライバIC82とを有する。マイコン81は、エリアアクティブ制御部5が出力した上記LEDデータを得て、当該LEDデータを基にして、点灯させるバックライト9のLEDに接続しているドライバIC82をPWM制御により駆動する。
【0029】
つまり、バックライト駆動制御部8は、バックライト9の各LEDのデューティ比(LED_DUTY)を映像信号に応じて制御している。
【0030】
ここで、
図3は、液晶パネル7において、画面中央部71が他の領域よりも明るい映像信号を表示している例を示している。
【0031】
図4は、バックライト9におけるLEDユニット92内に設定されたLED_DUTY読み込みエリア93(
図4中の(1)〜(12))の一例を示す図である。このLED_DUTY読み込みエリア93は、LEDユニット92において予め設定された位置に配置されたLEDによって構成されている。
【0032】
図3に示すように、液晶パネル7の画面中央部71が他の部分よりも明るい映像信号が入力されている場合、映像処理部3によって求めたAPLや輝度分布から画面上の画面中央部71に対応するLEDに電力が集中するように、バックライト9が駆動制御される。この場合、
図4に示すバックライト9の中央部91に配置されるLEDに電力が集中するようにバックライト9が駆動制御される。
【0033】
<バックライト駆動制御部8の動作>
以下に、バックライト駆動制御部8の動作例を説明する。
【0034】
バックライト駆動制御部8は、エリアアクティブ制御部5から得た上記LEDデータに対して電力リミッタ制御を行い、LED_DUTYを決定する。
【0035】
つまり、バックライト駆動制御部8は、APLと電力リミッタ制御により電力が一定になるよう制御するため、APLが大きくなるほど1箇所に集中できる電力が小さくなる。
【0036】
上記のような制御では、例えば
図3に示す画像(例えば8bit階調で255、APLで25%)が入力された場合、画面中央部71のみ電力が集中し、
図4に示すバックライト9にける中央部91のLEDや駆動回路部の温度が上昇してしまう。
【0037】
これを回避するため、電力リミッタのリミット値を示す閾値(第1の閾値)(任意に設定可能:本実施の形態では、閾値を35%とする)以下のAPL(例えば30%)で、且つ、入力階調の輝度分布から一定値以上の高階調信号が入力されていると認められた場合(例えば10bit階調で800以上)に、LED_DUTYの監視を始める条件とする。もし上記の閾値以上のAPLを持つ映像信号が入力された場合は電力を一定にする制御が働いてLED_DUTYが制限されるため、監視を行う必要はない。
【0038】
上記の閾値(任意に設定可能)以下のAPL(例えば30%)で、且つ、入力階調の輝度分布から高階調信号が入力されていることを判断するのは、表示制御部4である。そして、表示制御部4は、判断した結果をバックライト駆動制御部8に出力するよう構成されている。つまり、表示制御部4は、表示映像において、電力が集中する可能性があると判断した場合に、その判断結果をバックライト駆動制御部8に出力する構成となっている。
【0039】
そして、バックライト駆動制御部8は、表示制御部4から判断結果を受け付けた後、検出したLEDのデューティ比(監視しているLED_DUTY)が、一定時間、予め設定した閾値(以下、第2の閾値sdutyと記載する:任意に設定可能)以上であるとき、バックライト9に供給している電力を下げるように制御すると共に、別のある一定時間、予め設定した別の閾値(以下、第3の閾値tdutyと記載する:任意に設定可能)未満であるとき、バックライト9に供給している電力を上げるように制御している。
【0040】
なお、LED_DUTYが第2の閾値sduty以上である場合のLEDの明るさを第3の明るさ、第3の閾値tduty未満である場合のLEDの明るさを第2の明るさと本明細書では定義し、バックライト駆動制御部8による制御を受ける前のLED_DUTYである場合のLEDの明るさを第
1の明るさと定義する。
【0041】
<LED_DUTYの監視>
バックライト駆動制御部8におけるLED_DUTYの監視について説明する。
【0042】
バックライト駆動制御部8は、電力が集中する可能性があると判断された画像を表示するパートに対応するLED_DUTY読み込みエリア93内に構成されたLEDに接続されているドライバIC82のLED_DUTYを、マイコン81により監視する。
【0043】
なお、LED_DUTY読み込みエリア93は、表示画面の分割されたパートに対して30%(上記で決定したAPL)以上の面積を確保すれば任意の映像に対して対応可能である。
【0044】
そして、マイコン81は、LEDのON_DUTYが、ある一定期間(任意に設定可能)、sduty以上である場合に、電力を下げるようドライバIC82を制御すると共に、別のある一定期間(任意に設定可能)、tduty未満である場合に、電力を上げるようドライバIC82を制御する。ここで、sdutyは、バックライト駆動制御部8による制御を受ける前のLED_DUTYよりも小さい。
【0045】
これにより、常時温度を監視する場合と比較して負荷が少なく効率的に制御を行うことが可能であり、且つ温度センサが不要であることから安価にシステムを構成することが可能である。
【0046】
<LED_DUTY制御(LEDデューティ制御)>
次に、液晶表示装置10におけるLED_DUTY制御について、
図5に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。なお、
図5に示すフローチャートに記載の各パラメータについては、表1に示す。
【0048】
表1において、areaidは、LEDエリアブロックアドレスを示す。すなわち、液晶パネル7の各パートに対応するバックライト9におけるLEDエリア(LED_DUTY読み込みエリア93)のアドレス(配置位置)を示す。液晶パネル7の各パートに対応するバックライト9におけるLEDエリアを
図4に示す。
図4では、一例として、二次元的に配置した複数のLEDを、横6個×縦10個のLEDエリアに分割した場合を示す。横6個×縦10個のLEDエリアのうち、
図4中に示す12個のLEDエリアが、LED_DUTY読み込みエリア93である。
【0049】
表1において、rdutyは、areaidで指定したLED_DUTY読み込みエリア93のLED_DUTYを読み込んだ値を示す。
【0050】
表1において、sduty[i]は、LED_DUTYの閾値(第2の閾値)を示す。iは、読み込むエリア番号を示す。
【0051】
表1において、tduty[i]は、LED_DUTYの別の閾値(第3の閾値)を示す。iは、読み込むエリア番号を示す。
【0052】
表1において、areast[i]は、LED_DUTY読み込みエリア93のsdutyを超えた累積数を示す。iは、読み込むエリア番号を示す。
【0053】
表1において、ust[i]は、areast[i]の上限値を示す。iは、読み込むエリア番号を示す。
【0054】
表1において、lst[i]は、areast[i]の下限値を示す。iは、読み込むエリア番号を示す。
【0055】
表1において、GSPointは、LED_DUTYの上限値を示す。
【0056】
表1において、mindutyは、LED_DUTYの下限値を示す。
【0057】
表1において、cdutyは、LED_DUTYの変化量を示す。
【0058】
表1において、ctimeは、LED_DUTYのリード間隔(秒)を示す。
【0059】
まず、
図5に示すように、areaidの書込みが行なわれる(ステップS11)。ここでは、バックライト9の全LEDエリアのうち、LED_DUTY読み込みエリア93の1つのアドレスがマイコン81に書き込まれる。
【0060】
続いて、ステップS11において書き込まれたareaidで指定したLED_DUTY読み込みエリア93のLED_DUTYの読込みが行なわれる(ステップS12)。
【0061】
次いで、ステップS11において得られるLED_DUTYの読込み値(rduty)が、LED_DUTY読み込みエリア93毎に設定されたsduty(任意に設定可能)以上であるか否かを判断する(ステップS13)。
【0062】
ステップS13において、LED_DUTYの読込み値(rduty)がsduty以上である場合はステップS14に移行し、sduty未満である場合はステップS15に移行する。
【0063】
ステップS14では、累積回数(areast)をインクリメントする。ここでは、累積回数(areast)に「1」をインクリメントする。
【0064】
ステップS15では、LED_DUTYの読込み値(rduty)が、LED_DUTY読み込みエリア93毎に設定されたtduty(任意に設定可能)以上であるか否かを判断する。LED_DUTYの読込み値(rduty)がtduty未満である場合はステップS16に移行し、LED_DUTYの読込み値(rduty)がtduty以上である場合は、ステップS17に移行する。
【0065】
ステップS16では、累積回数(areast)をデクリメントする。ここでは、累積回数(areast)から「0.5」をデクリメントする。
【0066】
その後、全エリア(area)の読込みが完了したか否かを判断する(ステップS17)。ここで、全エリア(area)の読込みが完了したと判断されるまで、ステップS11〜ステップS16までの処理が繰り返され、全エリア(area)の読込みが完了したと判断されれば、ステップS18に移行する。
【0067】
ステップS18では、累積回数(areast)が各LED_DUTY読み込みエリア93に対して予め設定された上限値(ust:任意に設定可能)と一致しているか否かを判断する。累積回数(areast)が上限値(ust)と、全てのLED_DUTY読み込みエリア93のうちの1箇所のLED_DUTY読み込みエリア93でも一致していると判断された場合はステップS19に移行し、累積回数(areast)が上限値(ust)と全てのLED_DUTY読み込みエリア93(全箇所)において一致していないと判断された場合はステップS20に移行する。
【0068】
ステップS19では、GSPoint(LED_DUTYの上限値)を減少させる。具体的には、GSPointから予め設定した変化量(cduty)を引いた値を新しいGSPointとして設定し、ステップS22に移行する。
【0069】
ステップS20では、areastが各LED_DUTY読み込みエリア93に対して予め設定された下限値(lst:任意に設定可能)よりも小さいか否かを判断する。areastが全てのLED_DUTY読み込みエリア93(全箇所)において下限値(lst)よりも小さいと判断された場合はステップS21に移行し、areastが全てのLED_DUTY読み込みエリア93のうちの1箇所のLED_DUTY読み込みエリア93でも下限値(lst)以上であると判断された場合はステップS22に移行する。
【0070】
ステップS21では、GSPoint(LED_DUTYの上限値)を増加させる。具体的には、GSPointに予め設定した変化量(cduty)を加えた値を新しいGSPointとして設定し、ステップS22に移行する。
【0071】
ステップS22では、ドライバIC82による次のLED_DUTY読み取りまでの間待って、再びステップS11〜ステップS21までの処理を行う。このようにして、上記の処理を繰り返す。
【0072】
上記の処理は、バックライト駆動制御部8において行われる。
【0073】
バックライト駆動制御部8は、
図5に示す処理のステップS19から出力されるLED_DUTY、すなわち上限値が減算されたLED_DUTYがドライバIC82に入力されると、バックライト9に供給する電力を低減するように制御する。反対に、
図5に示す処理のステップS21から出力されるLED_DUTY、すなわち上限値が加算されたLED_DUTYがドライバIC82に入力されると、バックライト9に供給する電力を増加するように制御する。
【0074】
<電力低減処理>
ここで、バックライト駆動制御部8は、
図5に示す処理のステップS19から出力されるLED_DUTY、すなわち上限値が減算されたLED_DUTYがドライバIC82に入力されると、バックライト9に供給する電力を低減するように制御する。
【0075】
以下に、バックライト駆動制御部8による制御の効果について、
図6に基づいて説明する。
【0076】
図6は、バックライト駆動制御部8による制御を受ける前のLED_DUTY(
図6の入力duty)と、バックライト駆動制御部8による制御を受けたLED_DUTY(
図6の出力duty)との関係を示したグラフ図である。
図6は、グラフの横軸を時間、グラフの縦軸をLED_DUTYとしており、入力dutyとしてLED_DUTY「100」が連続して入力されている場合のバックライト駆動制御部8による制御を受けて出力されるLED_DUTYの値を示している。
【0077】
図6において(i)で示す状態は、制御がかかっていない状態であり、入力duty値「100」が出力duty値となっている状態である。
図6において(i)で示す状態では、累積回数(areast)が増加している状態であり、累積回数(areast)が上限値(ust)に達するまで、ステップS11からステップS17が繰り返されて累積回数(areast)が増加している状態である。
【0078】
次に、累積回数(areast)が上限値(ust)に達する(ステップS18のYES)と、
図6において(ii)で示す状態が始まる。
図6において(ii)で示す状態では、GSPointから変化量(cduty)を引いた新しいGSPointが設定され(ステップS19)、出力dutyが下がっている状態である。
図6において(ii)で示す状態は、LED_DUTYの読込み値(rduty)がtdutyを下回るまで繰り返される。
【0079】
そして、LED_DUTYの読込み値がtdutyを下回ったところで、
図6において(iii)で示す状態が始まる。
図6において(iii)で示す状態では、累積回数(areast)が減少している状態である。そして、全箇所において累積回数(areast)が下限値(lst)を下回るまで繰り返される。
【0080】
全箇所において累積回数(areast)が下限値(lst)を下回ると、
図6において(iv)で示す状態が始まる。
図6において(iv)で示す状態では、GSPointに変化量(cduty)を加えた新しいGSPointが設定される(ステップS19)。
図6において(iv)で示す状態は、LED_DUTYの読込み値(rduty)がsdutyに達するまで繰り返される。
【0081】
そして、LED_DUTYの読込み値(rduty)がsdutyに達すると、
図6において(v)で示す状態が始まる。
図6において(v)で示す状態では、出力dutyがsdutyに維持されている状態である。
図6において(v)で示す状態では、累積回数(areast)が増加している状態である。
図6において(v)で示す状態は、累積回数(areast)が上限値(ust)に達するまで継続する。
【0082】
そして、累積回数(areast)が上限値(ust)に達すると、GSPointから変化量(cduty)を引いた新しいGSPointが設定され(ステップS19)、出力dutyが下がっている状態になり、先述の
図6において(ii)で示す状態が始まる。以降も、入力dutyが「100」である限り、先述の
図6の(iii)〜(v)の状態が繰り返される。
【0083】
ここで、本実施形態1では、累積回数(areast)が増加するステップS14では、インクリメントする値が「1」である。これに対して、ステップS16においてデクリメント値は「0.5」である。このように、本実施形態1では、累積回数(areast)をデクリメントする値をインクリメントする値よりも小さく設定している。これにより、累積回数(areast)が下限値(lst)を下回るまでの時間(点灯期間)(
図6のT1)が、累積回数(areast)が上限値(ust)に達するまでの時間(点灯期間)(
図6のT2)よりも長くなる。これにより、バックライト9の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0084】
図7は、GSPointが上限値(例えば最大階調4095)よりも小さい場合の入力LED階調(入力duty)と、出力LED階調(出力duty)の関係を表している。
図7の(a)は
図7の(b)よりもGSPointが小さい場合を示す。先述のように、累積回数(areast)が上限値(ust)に達すると、GSPointを下げることによって、出力dutyを下げる。出力dutyを上げるときも同様で、GSPointを上げることによって、出力dutyを上げる。ここで、制御がかかっていないときは、GSPointは上限値(ust)のままであるところ、制御がかかることによって、GSPointが下がっているとき(上限値の4095ではないとき)は
図7の(a)及び(b)に示すGSSlope2が発生し、横軸に示す入力LED階調(入力duty)に対して、制御がかかった出力LED階調(出力duty)が出力される(縦軸)。なお、GSSlope2の傾きは任意に設定可能である。
【0085】
以上の電力低減処理をおこなうバックライト駆動制御部8を具備した本実施形態1の液晶表示装置10によれば、常時温度を監視する場合と比較して負荷が少なく効率的に制御を行うことが可能である。このように、LEDの温度上昇を動的に制御することにより、LEDの発光効率や寿命の低下を抑えることができる。
【0086】
また、LED駆動回路(バックライト駆動制御部8)における半導体デバイス(ドライバIC82等)の温度上昇も低減させることが可能となる。
【0087】
しかも、温度センサが必要ないので、液晶表示装置を安価に構築することが可能となる。
【0088】
また、本実施形態1の液晶表示装置10によれば、LEDの温度上昇を動的に制御するにあたって、LED_DUTYの閾値を1つだけでなく、2つ(sduty及びtduty)を定めている。これにより、電流を下げるレベルを最小限におさえることができる。そのため、実映像の輝度の低下を抑えることができ、ハイダイナミックレンジ(HDR)方式による制御のメリットを充分に生かすことができる。
【0089】
なお、本実施形態1では、ステップS14において累積回数(areast)にインクリメントする値を「1」としており、ステップS16において累積回数(areast)にデクリメントする値を「0.5」としているが、本発明はこの値に限定されるものではなく、任意に設定可能である。これら数値の設定を変更することにより、dutyを下げている時間と、上げている時間を調整することができる。これにより、温度にマージンができるため、その分、LED_DUTYの閾値(sduty及びtduty)を全体的に高く設定することができる。すなわち、電流制御が働いていても輝度低下を最小限に抑えることができる。
【0090】
なお、本実施形態1では、制御装置50のみではなく、液晶パネル7及びバックライト9等を含めた液晶表示装置10全体を挙げて説明している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、上述の制御装置50を一態様とする制御装置としてもよい。
【0091】
すなわち、本発明の一態様は、液晶パネル7と、上記液晶パネル7の背面側に配され、複数のLEDを有したバックライト9とを制御する制御装置50であって、映像信号から算出された1フレーム分の画像の平均輝度と輝度分布とから、上記液晶パネル7の駆動に用いる表示用データと、上記バックライト9の駆動に用いるバックライト制御用データとを生成する表示制御部4と、上記バックライト制御用データに基づいて、各上記LEDをPWM制御により点灯駆動すると共に、上記複数のLEDのうち、予め設定したパターン上に配置されたLEDについてデューティ比を検出し、検出したLEDのデューティ比に応じて、上記バックライト9に供給される電力を制御するバックライト駆動制御部8とを備え、表示制御部4は、上記平均輝度が予め設定した第1の閾値以下であり、上記輝度分布から一定値以上の高階調信号が上記映像信号に含まれていると判断した場合、この判断結果をバックライト駆動制御部8に出力し、バックライト駆動制御部8は、表示制御部4から上記判断結果を受け付けると、検出したLEDのデューティ比が、一定時間、予め設定した第2の閾値(sduty)以上であるとき、バックライト9に供給している電力を下げるように制御し、検出したLEDのデューティ比が、上記一定時間とは異なる一定時間、予め設定した第3の閾値(tduty)未満であるとき、上記バックライト9に供給している電力を上げるように制御し、バックライト9に供給している電力を下げる時間T1が、バックライトに供給している電力を上げる時間T2よりも長くなるように制御する、制御装置50であると換言することができる。
【0092】
なお、本発明は、バックライトに具備され得る従来周知の光源であればLEDに限らない。また、本発明は、バックライトのLEDの明るさの調整を、デユーティを変更することによって実現しているが、明るさの調整はこれに限らない。
【0093】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0094】
本実施形態2と上述の実施形態1とは、LED_DUTY制御の内容、具体的にはバックライト駆動制御部8の電力低減処理の内容が相違するのみであり、それ以外においては同じである。
【0095】
本実施形態2の液晶表示装置のLED_DUTY制御について、
図8に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。なお、
図8に示すフローチャートに記載の各パラメータのうち、表1にないものについては、表2に示す。
【0097】
表2において、counter[i]は、LED_DUTYを読み込んだ値(rduty)が入力dutyである累積数(以下、カウンタ値と記載する)を示す。iは、読み込むエリア番号を示す。
【0098】
表2において、αは、LED_DUTY読み込みエリア93のsdutyを超えた累積数(areast)にインクリメントする値を示す。
【0099】
表2において、βは、LED_DUTY読み込みエリア93のsdutyを超えた累積数(areast)にインクリメントする値を示す。
【0100】
図8に示すフローチャートを説明すると、まず、
図8のステップS11及びステップS12は、実施形態1の
図5のステップS11及びステップS12である。
【0101】
次いで、ステップS11において得られるLED_DUTYの読込み値(rduty)が、実際入力されているduty(入力duty)と同一であるか否かを判断する(ステップS13)。これにより、制御が効いている状態なのか否かを判断する。LED_DUTYの読込み値(rduty)が入力dutyと同一であればステップS14に移行し、同一でなければステップS15に移行する。
【0102】
ステップS14では、カウンタ値(counter)を0とする。
【0103】
ステップS15では、カウンタ値(counter)をインクリメントする。ここでは、カウンタ値(counter)に「1」をインクリメントする。
【0104】
ステップS16では、カウンタ(counter)が予め設定していた値「1000」以上であるか否かを判断する。カウンタ(counter)が1000以上であればステップS17に移行し、カウンタ(counter)が1000未満であればステップS18に移行する。
【0105】
ステップS17では、α=−0.5、β=+1に設定する。
【0106】
ステップS18では、α=−1、β=+1を設定する。
【0107】
ステップS19は、実施形態1のステップS13と同一で、ステップS11において得られるLED_DUTYの読込み値(rduty)が、LED_DUTY読み込みエリア93毎に設定されたsduty以上であるか否かを判断する。
【0108】
ステップS19において、LED_DUTYの読込み値(rduty)がsduty以上である場合はステップS20に移行し、sduty未満である場合はステップS21に移行する。
【0109】
ステップS20では、累積回数(areast)をインクリメントする。ここでは、累積回数(areast)に、ステップS17またはステップS18において設定したα値をインクリメントする。これは、αが負の場合、αの絶対値をデクリメントすると表現してもよい。
【0110】
ステップS21では、LED_DUTYの読込み値(rduty)が、LED_DUTY読み込みエリア93毎に設定されたtduty以上であるか否かを判断する。LED_DUTYの読込み値(rduty)がtduty未満である場合はステップS22に移行し、LED_DUTYの読込み値(rduty)がtduty以上である場合は、ステップS23に移行する。
【0111】
ステップS22では、累積回数(areast)をインクリメントする。ここでは、累積回数(areast)に、ステップS17またはステップS18において設定したβ値をインクリメントする。
【0112】
その後、全エリア(area)の読込みが完了したか否かを判断する(ステップS23)。ここで、全エリア(area)の読込みが完了したと判断されるまで、ステップS11〜ステップS22までの処理が繰り返され、全エリア(area)の読込みが完了したと判断されれば、ステップS24に移行する。
【0113】
ステップS24では、実施形態1の
図5のステップS18と同じく、累積回数(areast)が各LED_DUTY読み込みエリア93に対して予め設定された上限値(ust:任意に設定可能)と一致しているか否かを判断する。累積回数(areast)が上限値(ust)と1箇所のLED_DUTY読み込みエリア93でも一致していると判断された場合はステップS25に移行し、累積回数(areast)が上限値(ust)と全箇所において一致していないと判断された場合はステップS27に移行する。
【0114】
ステップS25では、カウンタ値(counter)をインクリメントする。ここでは、カウンタ値(counter)に「1」をインクリメントする。
【0115】
ステップS26では、GSPoint(LED_DUTYの上限値)を減少させる。具体的には、GSPointから予め設定した変化量(cduty)を引いた値を新しいGSPointとして設定し、ステップS29に移行する。
【0116】
ステップS27では、実施形態1の
図5のステップS20と同じく、areastが各LEDエリアに対して予め設定された下限値(lst:任意に設定可能)よりも小さいか否かを判断する。areastが全箇所において下限値(lst)よりも小さいと判断された場合はステップS28に移行し、areastが1箇所でも下限値(lst)以上であると判断された場合はステップS29に移行する。
【0117】
ステップS28では、実施形態1の
図5のステップS21と同じく、GSPoint(LED_DUTYの上限値)を増加させる。具体的には、GSPointに予め設定した変化量(cduty)を加えた値を新しいGSPointとして設定し、ステップS29に移行する。
【0118】
ステップS29では、ドライバIC82による次のLED_DUTY読み取りまでの間待って、再びステップS11からステップS28までの処理を行う。このようにして、上記の処理を繰り返す。
【0119】
上記の処理は、バックライト駆動制御部8において行われる。
【0120】
図9は、バックライト駆動制御部8による制御を受ける前のLED_DUTY(
図9の入力duty)と、バックライト駆動制御部8による制御を受けたLED_DUTY(
図9の出力duty)との関係を示したグラフ図である。
図9は、グラフの横軸を時間、グラフの縦軸をLED_DUTYとしており、入力dutyとしてLED_DUTY「100」が連続して入力されている場合のバックライト駆動制御部8による制御を受けて出力されるLED_DUTYの値を示している。
【0121】
図9に示すように、本実施形態2によれば、LED_DUTYの制御を始めて暫くの間は、温度にマージンがあるため、dutyを下げている時間と上げている時間とを等しくし(
図9のT3)、カウンタ値(counter)が一定のレベル(本実施形態2では「1000」)に達した後、すなわち一定時間が経過して温度が上がってくる段階では、dutyを下げている時間(
図9のT1)が上げている時間(
図9のT2)よりも長くなるようにしている。これにより、温度にマージンができるため、その分、sduty及びtdutyを全体的に高く設定することができる。すなわち、電流制御が働いていても輝度低下を最小限に抑えることができる。なお、
図9の時間T2と時間T3の長さは等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0122】
なお、α及びβの数値は可変であり、また、ステップS16における判断に用いるパラメータ(
図8の例では「1000」)も3つ以上の区分を設けて判断してもよい。例えば、初期段階としてカウンタ値(counter)が500以下であればα=−1、β=+1とし、中期段階としてカウンタ値(counter)が500を超え且つ1000未満であればα=−0.5、β=+1とし、後期段階としてカウンタ値(counter)が1000以上であればα=−0.5、β=+1.5としてもよい。
【0123】
このようにすれば、初期段階で温度にマージンがある場合にはdutyを下げている時間と上げている時間を等しくし、中期段階で温度が上がってくるとdutyを下げている時間を上げている時間よりも僅かに長くし、後期段階で温度が更に上がってくるとdutyを下げている時間を更に長くすることができる。このように3つ以上の区分を設けた場合であっても、温度にマージンができ、sduty及びtdutyを全体的に高く設定することができる。
【0124】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、
図10から
図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0125】
<液晶表示装置10Aの構成>
図10は、本実施形態3に係る液晶表示装置10Aの概略構成を示すブロック図である。
【0126】
図10に示す液晶表示装置10Aは、上述の実施形態1の
図1に示す液晶表示装置10に、サーミスタ20を追加した構成となっている。従って、サーミスタ20及びサーミスタ20に関連する部材を除く他の部材についての詳細な説明は省略する。なお、サーミスタ20は、表示制御部4、エリアアクティブ制御部5、液晶駆動部6及びバックライト駆動制御部8と共に、制御装置50´に構成される。
【0127】
本実施形態3の液晶表示装置10AのLED_DUTY制御では、LEDユニット92周辺温度あるいはバックライト9の筐体内の温度を、サーミスタ20を用いて参照し、温度値によって、dutyの下げ量、すなわちtdutyを調整する。
【0128】
図11は、サーミスタ20の配置例を示す図である。
図11では、サーミスタ20がバックライト9の中央部付近の4隅に配置されている例を示している。なお、サーミスタ20の配置位置については特に限定されるものではない。
【0129】
サーミスタ20による検出値は、バックライト駆動制御部8に送られる。
【0130】
<LED_DUTY制御>
本実施形態3の液晶表示装置10AのLED_DUTY制御について、
図12に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。なお、
図12に示すフローチャートに記載の各パラメータのうち、表1及び表2にないものについては、表3に示す。
【0132】
表3において、rtempは、areaidで指定したLED_DUTY読み込みエリア93の温度の読込み値を示す。
【0133】
表3において、htempは、第1の温度閾値を示す。
【0134】
表3において、ltempは、第2の温度閾値を示す。
【0135】
表3において、hcdutyは、LED_DUTYの第1の変化量を示す。
【0136】
表3において、mcdutyは、LED_DUTYの第2の変化量を示す。
【0137】
表3において、lcdutyは、LED_DUTYの第3の変化量を示す。
【0138】
表3において、γは、LED_DUTYの変化量を示す。
【0139】
図12に示すフローチャートを説明すると、まず、
図12のステップS11からステップS25は、実施形態2の
図8のステップS11からステップS25である。
【0140】
ステップS25に続くステップS26´では、
図12に示すステップS30からステップS36に沿ったフローに基づいて得られるLED_DUTYの変化量(減少量)を用いる。
【0141】
そこで、以下に、
図12に示すステップS30からステップS36に沿ったフローを説明する。
【0142】
まず、
図12に示すように、サーミスタ値(測定値)が読み込まれる(ステップS31)。
【0143】
次いで、ステップS32では、読み込みまれたサーミスタ値(rtemp)が、予め設定していた第1の温度閾値(htemp)以上であるか否かを判断する。ここで、第1の温度閾値(htemp)は、任意に設定可能であり、比較的高温の値である。ステップS32において、サーミスタ値(rtemp)が第1の温度閾値(htemp)以上である場合はステップS33に移行し、第1の温度閾値(htemp)未満である場合はステップS34に移行する。
【0144】
ステップS33では、γ=hcdutyを設定する。
【0145】
ステップS34では、前段のステップS32において第1の温度閾値(htemp)未満であると判断されたサーミスタ値(rtemp)について、第2の温度閾値(ltemp)以上であるか否かを判断する。ここで、第2の温度閾値(ltemp)は、任意に設定可能であり、第1の温度閾値(htemp)に比べて低温の値である。ステップS34において、サーミスタ値(rtemp)が第2の温度閾値(ltemp)以上である場合はステップS35に移行し、第2の温度閾値(ltemp)未満である場合はステップS36に移行する。
【0146】
ステップS35では、γ=mcduty(第1の)を設定する。
【0147】
ステップS36では、γ=lcdutyを設定する。
【0148】
ステップS26´では、GSPoint(LED_DUTYの上限値)を減少させる。具体的には、ステップS33、ステップS35またはステップS36から得られたγ値(LED_DUTYの変化量)をGSPointから引いた値を新しいGSPointとして設定し、ステップS29に移行する。
【0149】
なお、ステップS27からステップS29は、実施形態2のステップS27からステップS29と同じである。
【0150】
上記の処理は、バックライト駆動制御部8において行われる。
【0151】
ここで、ステップS33において設定するhcduty(LED_DUTYの第1の変化量)、ステップS35において設定するmcduty(LED_DUTYの第2の変化量)、及び、ステップS36において設定するlcduty(LED_DUTYの第3の変化量)は、次の関係;
hcduty>mcduty>lcduty
を満たす。すなわち、サーミスタ値(rtemp)が高温であるほど、LED_DUTYの下げ量を大きくしている。
【0152】
図13は、バックライト駆動制御部8による制御を受ける前のLED_DUTY(
図13の入力duty)と、バックライト駆動制御部8による制御を受けたLED_DUTY(
図13の3種類の出力duty)との関係を示したグラフ図である。
図13は、グラフの横軸を時間、グラフの縦軸をLED_DUTYとしており、入力dutyとしてLED_DUTY「100」が連続して入力されている場合のバックライト駆動制御部8による制御を受けて出力されるLED_DUTYの値を示している。
【0153】
図13に示すように、本実施形態3によれば、サーミスタ値を3ランクに分けて、ランクに応じて出力dutyの下げ量の大きさを設定している。すなわち、出力dutyのtdutyをランクに応じて設定している。なお、出力dutyのsdutyは、それぞれのランクのtdutyから等しい上げ量となるように設定される。
【0154】
このように本実施形態3の液晶表示装置10AのLED_DUTY制御では、周辺温度に応じて、輝度の下げ量を異ならせることにより、より細かな輝度制御をおこなうことができる。
【0155】
なお、本実施形態3の
図13では、実施形態2の
図9と同様に、制御開始から暫く経過した時点から輝度を下げている時間を、輝度を上げている時間よりも長くなるように設定している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、実施形態3において説明したサーミスタ値(rtemp)に応じた輝度の下げ量の設定を、実施形態1においても採用することができる。
【0156】
〔実施形態4〕
上述の実施形態3では、サーミスタ値(rtemp)に応じて輝度の下げ量を設定する態様について説明したが、サーミスタ値(rtemp)を参照したLED_DUTY制御は、この態様に限定されるものではない。
【0157】
例えば、本実施形態4として、
図14に示すLED_DUTY制御を、実施形態3において説明した液晶表示装置10Aを用いておこなうことも可能である。具体的には、本実施形態4では、サーミスタ値が低い場合には、輝度を下げている時間を比較的短時間にする一方、サーミスタ値が高い場合には、輝度を下げている時間を、サーミスタ値が低い場合に比べて長時間にする態様である。
【0158】
図14は、本実施形態4においてバックライト駆動制御部8による制御を受ける前のLED_DUTY(
図14の入力duty)と、バックライト駆動制御部8による制御を受けたLED_DUTY(
図14の3種類の出力duty)との関係を示したグラフ図である。
図14は、グラフの横軸を時間、グラフの縦軸をLED_DUTYとしており、入力dutyとしてLED_DUTY「100」が連続して入力されている場合のバックライト駆動制御部8による制御を受けて出力されるLED_DUTYの値を示している。
【0159】
図14に示すように、本実施形態4によれば、サーミスタ値を3ランクに分けて、ランクに応じて出力dutyを下げている時間を設定している。すなわち、サーミスタ値が高い、つまり高温である場合、温度を下げるべく、出力dutyをtdutyとする時間が長く(
図14中の時間Ta)なるようにする。また、サーミスタ値が高すぎず低すぎない、つまり中温である場合は、出力dutyをtdutyとする時間を、高温の場合に比べて短くする(
図14中の時間Tb)。また、サーミスタ値が低い、つまり低温である場合は、出力dutyをtdutyとする時間、中温の場合に比べて更に短くする(
図14中の時間Tc)。なお、出力dutyをsdutyとする時間は、温度に関係なく等しくすればよい。
【0160】
このように、本実施形態4によれば、温度が高ければ高いほど、dutyを下げている時間を長くすることにより、より細かな輝度制御をおこなうことができる。
【0161】
〔実施形態5〕
上述の実施形態3では、サーミスタ値(rtemp)に応じて輝度の下げ量を設定する態様について説明したが、サーミスタ値(rtemp)を参照したLED_DUTY制御は、この態様に限定されるものではない。
【0162】
例えば、本実施形態5として、
図15に示すLED_DUTY制御を、実施形態3において説明した液晶表示装置10Aを用いておこなうことも可能である。具体的には、本実施形態5では、サーミスタ値が低い場合には、復帰する輝度値、すなわちsdutyを高くする一方、サーミスタ値が高い場合には、sdutyを、サーミスタ値が低い場合に比べて低くする態様である。
【0163】
図15は、本実施形態5においてバックライト駆動制御部8による制御を受ける前のLED_DUTY(
図15の入力duty)と、バックライト駆動制御部8による制御を受けたLED_DUTY(
図15の3種類の出力duty)との関係を示したグラフ図である。
図15は、グラフの横軸を時間、グラフの縦軸をLED_DUTYとしており、入力dutyとしてLED_DUTY「100」が連続して入力されている場合のバックライト駆動制御部8による制御を受けて出力されるLED_DUTYの値を示している。
【0164】
図15に示すように、本実施形態5によれば、サーミスタ値を3ランクに分けて、ランクに応じて、出力dutyのsdutyをランクに応じて設定している。なお、出力dutyのtdutyは、それぞれのランクであっても互いに等しくすればよい。
【0165】
このように本実施形態5のLED_DUTY制御では、周辺温度に応じて、復帰する輝度値を異ならせることにより、より細かな輝度制御をおこなうことができる。
【0166】
なお、
図15では、実施形態2の
図9と同様に、制御開始から暫く経過した時点から輝度を下げている時間を、輝度を上げている時間よりも長くなるように設定している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、サーミスタ値(rtemp)に応じたsdutyの設定を、実施形態1においても採用することができる。
【0167】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る制御装置は、
複数の光源(LED)を有したバックライト9とを制御する制御装置50であって、
映像信号から得た画像の輝度情報に応じて設定される上記光源(LED)の明るさを所定の明るさ以上に設定した状態を維持した際に第1の明るさに上記光源を点灯し、所定の時間を経過した場合に、上記第1の明るさよりも低い第2の明るさ(tduty)での点灯と第3の明るさ(sduty)での点灯とを繰り返す制御部(バックライト駆動制御部8)を備え、
上記第2の明るさ(tduty)は上記第3の明るさ(sduty)よりも低く、
上記第2の明るさ(tduty)での点灯期間(時間T1)は上記第3の明るさ(sduty)での点灯期間(時間T2)よりも長いことを特徴としている。
【0168】
上記の構成によれば、常時温度を監視する従来構成と比較して負荷が少なく効率的に制御を行うことが可能である。このように、光源(例えばLED)の温度上昇を動的に制御することにより、光源の発光効率や寿命の低下を抑えることができる。
【0169】
また、温度センサが必要ないので、制御装置を安価に構築することが可能であり、ひいては制御装置を備えると共に液晶パネル及びバックライトを備える液晶表示装置を安価に構築することが可能となる。
【0170】
また、上記の構成によれば、光源の温度上昇を動的に制御するにあたって、明るさの閾値を1つだけでなく、2つ(第2の閾値及び第3の閾値)を定めている。これにより、電流を下げるレベルを最小限におさえることができる。そのため、実映像の輝度の低下を抑えることができ、ハイダイナミックレンジ(HDR)方式による制御のメリットを充分に生かすことができる。
【0171】
本発明の態様2に係る制御装置50は、上記態様1において、
上記第2の明るさ(tduty)での点灯及び上記第3の明るさ(sduty)での点灯は、上記光源のデューティを変更することによりおこなう。
【0172】
本発明の態様3に係る制御装置50は、上記態様1または2において、
上記制御部(バックライト駆動制御部8)は、上記所定の時間を経過する前は、上記第2の明るさ(tduty)での点灯と上記第3の明るさ(sduty)での点灯とを互いに同じ長さの期間で繰り返してもよい。
【0173】
上記の構成によれば、バックライトの駆動を開始してから暫くの間は、バックライトの温度は低い状態であるため、その期間は、上記第2の明るさ(tduty)での点灯期間と上記第3の明るさ(sduty)での点灯期間とを互いに同じ長さにする。これにより、上記第2の明るさ(tduty)での点灯期間(時間T1)を上記第3の明るさ(sduty)での点灯期間(時間T2)よりも長くすることによる、実映像の輝度低下を抑制することができる。
【0174】
本発明の態様4に係る制御装置50は、上記態様1から3の何れかにおいて、
上記バックライト9の温度を測定するサーミスタ20を更に備え、
上記制御部(バックライト駆動制御部8)は、
上記サーミスタ20による測定値に基づいて、上記第2の明るさ(tduty)及び上記第3の明るさ(sduty)を設定する構成であってもよい。
【0175】
上記の構成によれば、サーミスタ20による測定値が(所定値よりも)低ければ、バックライトに供給する電力の下げ量、すなわち輝度の下げ量を少なくし、サーミスタ20による測定値が(所定値よりも)高ければ、バックライトに供給する電力の下げ量、すなわち輝度の下げ量を多くする。これにより、細かな輝度制御を実現できる。
【0176】
本発明の態様5に係る制御装置50は、上記態様1から3の何れかにおいて、
上記バックライト9の温度を測定するサーミスタ20を更に備え、
上記制御部(バックライト駆動制御部8)は、
上記サーミスタ20による測定値に基づいて、上記第2の明るさ(tduty)での点灯期間(時間T1)を設定する構成であってもよい。
【0177】
上記の構成によれば、サーミスタ20による測定値が(所定値よりも)低ければ、時間を短くし(時間Tc)、サーミスタ20による測定値が(所定値よりも)高ければ、時間を長くする(時間Ta、時間Tb)ことにより、細かな輝度制御を実現できる。
【0178】
本発明の態様6に係る制御装置50は、上記態様1から3の何れかにおいて、
上記バックライト9の温度を測定するサーミスタ20を更に備え、
上記制御部(バックライト駆動制御部8)は、
上記サーミスタ20による測定値に基づいて、当該測定値が低いほど上記第3の明るさ(sduty)を高く設定する構成であってもよい。
【0179】
上記の構成によれば、サーミスタ20による測定値が(所定値よりも)低ければ、上記第3の明るさであるバックライトに供給する電力の上限値を上げることにより、実映像の輝度低下を抑制することができる。
【0180】
本発明の態様7に係る液晶表示装置10,10Aは、
上述した構成の制御装置50と、液晶パネル7と、複数の光源(LED)を有した上記バックライト9とを備えていることを特徴としている。
【0181】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。