特許第6383401号(P6383401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383401
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】折畳み家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 9/16 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   A47B9/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-252389(P2016-252389)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-102620(P2018-102620A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111867
【氏名又は名称】パール金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】高波 文雄
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−40224(JP,U)
【文献】 実開昭61−28433(JP,U)
【文献】 実公昭40−33142(JP,Y1)
【文献】 実公昭40−33143(JP,Y1)
【文献】 特開2001−314238(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0271649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/02、9/16、9/18
A47B 43/00、91/00
A47C 3/20、3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚杆を交差させて中間交差部を枢結したクロス脚部を左右に対向配置し、対向するクロス脚部の両上端間若しくは両下端間を連結する前方及び後方の連結横杆と、クロス脚部における前記前後方の連結横杆を連結している脚杆の前後端間を連結する着脱横杆を設けて構成する折畳み脚を備えた折畳み家具において、着脱横杆を後方の脚杆に回動自在に枢支すると共に、先端部を前方連結横杆の係止受部に係止可能とした鉤状に形成してなり、前方連結横杆を対向クロス脚部間に回動自在に枢支すると共に、着脱横杆が係止される箇所となる係止受部を、枢支軸位置が偏心位置で、且つ所定角度回動した際に、上面高さ及び上面形状が同一となる断面形状に形成したことを特徴とする折畳み家具。
【請求項2】
着脱横杆が、後方連結横杆と一体である天板を兼ねて形成された請求項1記載の折畳み家具。
【請求項3】
クロス脚部の上下両端に、所定の前後方連結横杆及び着脱横杆を設けてなる請求項1又は2記載の折畳み家具。
【請求項4】
クロス脚部及びクロス脚部に対応する着脱横杆及び前後方連結横杆を多段に設けてなる請求項1乃至3記載の何れかの折畳み家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の脚杆の中間交差部を枢結したクロス脚部を左右対向位置に備えて折畳み可能とし、且つクロス脚部の交差角度の変更によって高さを変更できる折畳みのテーブルや棚等の折畳み家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中間交差部を枢結したクロス脚部を備え、折畳みと共に高さ調整可能とした構造は、一般的にクロス脚部の係止位置を選択できるようにしているものである。
【0003】
例えば特許文献1には、テーブルスタンドにおいて対向クロス脚部の上端間を連結する前後横杆を伸縮自在に形成すると共に所定位置で固定できる構造が開示されている。また特許文献2には、作業台などに使用される昇降台においてクロス脚部の前方下部横杆の基台への係止位置(連結個所)を鋸歯状に形成し天板への連結箇所スライド自在とした構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−151977号公報。
【特許文献2】特開2014−4673号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クロス脚部の前後間隔(交差角=前後横杆長)を変更して固定する手段は、前記の各特許文献に開示されているように、位置変更のための脚連結個所を多段係止構造に形成しているもので、必ずしも製造容易な簡易な構造とはいえない。そこで本発明は簡単な構造で高さ変更可能とした折畳み家具を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載に係る折畳み家具は、脚杆を交差させて中間交差部を枢結したクロス脚部を左右に対向配置し、対向するクロス脚部の両上端間若しくは両下端間を連結する前方及び後方の連結横杆と、クロス脚部における前記の前後方の連結横杆を連結している脚杆の前後端間を連結する着脱横杆を設けて構成する折畳み脚を備えた折畳み家具において、着脱横杆を後方の脚杆に回動自在に枢支すると共に、先端部を前方連結横杆の係止受部に係止可能とした鉤状に形成してなり、前方連結横杆を対向クロス脚部間に回動自在に枢支すると共に、着脱横杆が係止される箇所(係止受部)を、枢支軸位置が偏心位置で、且つ所定角度回動した際に、上面高さ及び上面形状が同一となる断面形状に形成したことを特徴とするものである。
【0007】
而して前記の折畳み脚は、クロス脚部を開脚し、前方連結横杆に着脱横杆の先端部分を係止してクロス脚部の開口を阻止してクロス状態を維持し、前後左右の横杆上に所定の板部(テーブル卓板、椅子座板、踏み板)を載置若しくは装着して所定の家具として使用される。また前方連結横杆の係止受部と着脱横杆の先端部分(鉤状係止部)の係止を解除することで、クロス脚部の折り畳みが可能となる。特に本発明は、前方連結横杆に見受けた係止受部の断面形状(例えば点対称形状)及び枢支軸位置(例えば点対称中心点よりずれた位置)を特定したもので、前方連結横杆を所定角度回動させると、前方連結横杆の係止受部の前方突出位置が異なり、且つ前後左右の横杆面が変化することがない(=水平状態を維持する)ので、そのまま鉤状係止部を前方連結横杆の係止受部に係止することで、異なるクロス脚部の開脚角度(=クロス脚部の高さ:クロス脚部の開脚幅)とすることができる。従って前方連結横杆の回動位置の選択で家具の高さを変更できるものである。
【0008】
また本発明の請求項2記載に係る折畳み家具は、特に着脱横杆が、後方連結横杆と一体である天板を兼ねて形成されたものであり、特に所定の板部(テーブル卓板、椅子座板、踏み板)を載置若しくは装着せず、そのまま家具として使用できるものである。
【0009】
また本発明の請求項3記載に係る折畳み家具は、クロス脚部の上下端の各端部間にも所定の前方連結横杆及び着脱横杆を設けてなるもので、クロス脚部のクロス状態維持(使用時の家具の安定性)が図られる。
【0010】
また本発明の請求項4記載に係る折畳み家具は、クロス脚及びクロス脚に対応して着脱横杆及び前方連結横杆を多段に設けてなるもので、例えば家具が折畳み棚であれば、多段構成の棚を備えた家具とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成は上記のとおりで、クロス脚部を採用した折畳み家具において、回動可能とした前方連結横杆に所定断面形状の係止受部を設け、この係止受部と着脱横杆の鉤状係止部の組み合わせという簡単な構造で、クロス脚部の高さの変更を可能としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の全体斜視図で(イ)が低位置状態(ロ)が高位置状態を示す。
図2】同前方連結横杆と鉤状係止部の説明図。
図3】同使用状態の側面図及び正面図(低位置使用時)。
図4】同図(高位置使用時)。
図5】同折畳み状態の斜視図
図6】同別例(多段構成)の使用状態の側面図及び正面図(高位置使用時)
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施形態を、家具が折畳み棚とした例について説明する。実施形態の折り畳み棚は、クロス脚1と天板2と前方連結横杆3で構成される。
【0014】
クロス脚(1A,1B)は、左右対向配置されるクロス脚部1a,1bからなり、各クロス脚部1a,1bは、脚杆11を交差させ、中間交差部で枢結(枢結部12)したものである。
【0015】
天板(=着脱横杆:2A,2B)は、クロス脚部1a,1bの各上下端間を連結するように二段に構成するもので、特に基端側は、後述する後方連結横杆3bと一体にして、脚杆11の後方端間に回動自在に架設連結するもので、前端部には矩形鉤状に垂設した鉤状係止部21に形成したものである。
【0016】
連結横杆(3a,3b)は、対向する左右のクロス脚部1a,1bの上下の各前後端間に回動自在に架設するもので、特に前方連結横杆3aは、全体を係止受部の形状に形成したものである。即ち断面形状を矩形(例えば水平方向が長手方向となる長方形)とし、且つ枢支軸31の位置を、中心点(点対称の中心位置)Pよりも水平方向に寸法lずらした位置に設けたものである。
【0017】
而してクロス脚1Aを開脚し、上下の前方連結横杆3aを上下同一回動位置とし、上下の各天板2A,2Bの各鉤状係止部21を、それぞれ前記の上下の前方連結横杆3aに係止すると、クロス脚1Aの開口が阻止されて、使用状態となるものである。
【0018】
特に前方連結横杆3aの回動位置の選択によって天板2の高さ(=クロス脚1Aの高さ:クロス脚1Aの開脚幅)を変更できるものである。図1(イ)及び図2(イ)に示すように、前方連結横杆3aを、その中心Pが枢支軸31よりも後方に位置させて天板2A,2Bを係止した場合と、図1(ロ)及び図2(ロ)に示すように、前方連結横杆3aを、その中心Pが枢支軸31よりも前方に位置させて天板2A,2Bを係止した場合とでは、前者は図3に示すようにクロス脚の幅L1で高さH1の使用状態となり、後者は図4に示すようにクロス脚の幅L2で高さH2の使用状態となる。
【0019】
枢支軸31が中心点Pからのズレた長さlの2倍の2l=(L1−L2)がクロス脚の開脚幅の変位となり、H1<H2となるので、二つの高さ位置を選択できることになるものである。勿論係止を解除すると通常の物品と同様に、図5に示すように折り畳みが可能である。
【0020】
更に図6に示すようにクロス脚を多段(1A,1B)に構成すると共に、合わせて天板も多段(2A,2B,2C)に形成するようにしても良い。
【0021】
また前記実施形態は、矩形断面の前方連結横杆3aの例を示したが、例えば正八角形で中心よりずれた位置に枢支軸を設けるか、或いは一般的な多角形以外でも図2(ハ)に示す嵌合突部31を設けた前方連結横杆3´を採用し、合わせて鉤状係止部21にも嵌合凹部22を形成する等、前方連結横杆と鉤状係止部の形状は任意に定められるものである。
【符号の説明】
【0022】
1A,1B クロス脚
1a,1b クロス脚部
11 脚杆
12 枢結部
2A,2B,2C 天板(=着脱横杆)
21 鉤状係止部
22 嵌合凹部
3a,3´ 前方連結横杆
3b 後方連結横杆
31 枢支軸
32 嵌合突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6