(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、別のシ−ト束が前記載置台上のシ−ト束に加えられたことで前記検出手段の検出結果に基づいて求められる前記載置台と前記取込手段との開き量が所定の閾値を超えたときに、前記取込手段によるシ−ト材の取込動作を停止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシ−ト材取込装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
<実施例1>
図1は本実施例におけるシート材搬送装置の上視図であり、
図2は本実施例におけるシート材搬送装置を右側から見た側面図である。
【0019】
図1および
図2に示すようにシート材搬送装置1は、複数枚のシート材13aからなるシート束13をシート材13aの重なり方向を略水平方向に向けた状態、すなわち、シート束13を立姿勢の状態で載置する載置台2を備える。なお、本実施例では、シート束13を略垂直に立てているが、シート材13aの重なり方向を略水平方向とする本実施例には、シート材13aを、垂直を0°として概ね40°まで傾けて立てた場合も含まれるものとする。
【0020】
押圧板3は、シート束13の端部が載置台2の載置面2Cに当接するよう、シート束13を押し付ける。押圧板3は、載置台上でシート束13を給紙ローラ5に対して押圧する押圧手段として機能する。押圧板3の開き量を検知するために、エンコーダセンサユニット170が押圧板3の端部に取り付けられている。シート束13が載置台2上にない状態では、押圧板3は、不図示の付勢機構によって給紙ローラ5に密着している状態に維持される。これを初期状態とする。このように、付勢機構は、押圧板3をその一端部側で回動させる駆動部として機能する。
【0021】
シート束13を載置台2上に積載すると、シート束13の厚み量に比例して押圧板3の開き量が変化する。押圧板3の回転軸下にはエンコーダセンサユニット170が設置されており、押圧板3の回転に同期してスリット板70が回転する。スリット板70に設けられたスリットがエンコーダ71中の発光素子から受光素子への光路を遮断したり透過したりすることで、エンコーダ71がエンコーダパルスを出力する。
【0022】
図2に示すように回転体6a、6bの軸10a、10bには、プーリ8、9が固着されている。プーリ8、9は、ベルト11を介して互いに連結されている。また回転体6aは整合用モータにギアで繋がっている。よって、整合用モータが回転することで、回転体6aを回転するとともに、さらに回転力がプーリ8、9およびベルト11を介して回転体6bに伝達され、回転体6bも回転する。
【0023】
プーリ9には、突出部12a、12bが周方向に互いに略180°離間して設けられている。突出部12a、12bは、プーリ9の回転に伴って回転する。プーリ9が半回転するたびに突出センサ7を遮光する。突出部12a、12bがプーリ9の一定の回転周期で突出センサ7の光路を遮ると、突出センサ7は、遮光されたことを示す電気信号を不図示の制御部に送出する。制御部は、突出センサ7からの電気信号に基づき回転体6a、6bの回転位置を検知する。シート材搬送装置1が待機状態のとき、回転体6a、6bは、
図2に示すように、載置台2の載置面2Cから突出せず、載置面2Cの下方に退避した位置で停止している。このとき、回転体6a、6bの羽部となる突出部12a、12bは、突出センサ7の光路を遮るようになっており、これにより制御部は、回転体6a、6bが待機位置にあると判断する。
【0024】
遮光されたことを示す電気信号は、回転体6a、6bが180°回転するごとに突出センサ7から出力される。よって、電気信号が入力されるたびに、カウンタをリセットすれば、カウンタのカウント値は、回転体6a、6bの具体的な回転位置を示すことになる。なお、カウンタをリセットせずに、カウント値から回転位置を求めることも可能である。また、カウント値に関数やテーブルを予め用意しておき、これに適用すれば、載置台2Cに対する角部の突出量が得られる。関数やテーブルは、シミュレーションや実験によって予め求めておくものとする。なお、回転体6a、6bのどちらかにエンコーダユニットを設けても、回転位置や突出量は得られる。エンコーダユニットが出力するエンコーダパルスをカウンタでカウントすれば、そのカウント値は回転位置を示すことになる。
【0025】
載置台2に載置されたシート材13aは、シート束13の整合動作の完了後、給紙ローラ5によって給紙され、給紙されたシート材13aは、フィードローラ51およびリタードローラ52により搬送路に搬送される。このようにこれらのローラは、載置台2Cからシート材13aを装置本体の内部に取り込む取込手段として機能する。搬送路にはイメージセンサが設けられている。これにより、シート材13aの画像が読み取られる。画像読取装置は、パーソナルコンピュータに接続して使用されるイメージスキャナであってもよいし、あるいは、バッテリー等で駆動する携帯型スキャナ、スタンドアロンのスキャナ、複写機や複合機のイメージリーダであってもよい。
【0026】
シート材13aが重なって給紙された場合は、リタードローラ52により1枚ずつのシート材13aに分離された状態でフィードローラ51により搬送路に搬送される。このとき、押圧板3はシート束量に比例して開いている。
【0027】
給紙ローラ5とフィードローラ51およびリタードローラ52との間には、突き当て部2Bとシャッター4が設けられている。突き当て部2Bとシャッター4には、シート束13の整合動作の際に、シート束13の搬送方向の端部が突き当たる。これにより、シート束13の搬送方向の端部が揃い、シート材13aの斜行が抑制される。シャッター4の近くには、載置台2に載置されているシート材13aを検知するシート材検知センサ20が設けられている。
【0028】
<制御系>
図3はシート材搬送装置1の制御系を示すブロック図である。操作部180は、ユーザが搬送操作または整合操作等の指示を受け付けたり、制御部からの情報を表示したりする。通信部100は、不図示の外部装置からの搬送操作または整合動作の指示を受信したり、イメージセンサ140が読み取った画像を外部装置に送信したりする。搬送用モータ130は、給紙ローラ5、フィードローラ51、リタードローラ52等の各種可動部材を駆動する。搬送用モータ130や、給紙ローラ5、フィードローラ51は、シート束13のシート材13aを搬送する搬送手段として機能する。
【0029】
シート束を整合する整合用モータ190は、シート束13を整合させるための回転体6a、6bを回転させる。制御部110は、各種センサから受信した検知信号に基づいて、すなわち、操作パネル上からのスタート信号に基づいて、モータなどを駆動する。たとえば、制御部110は、エンコーダセンサユニット170からエンコーダパルスを受信することで、押圧版の開き量の情報を取得する。具体的に、制御部110は、入力されたエンコーダパルスをカウントすることにより、初期状態からの押圧板3の変化量を検知することが可能となる。制御部110は、押圧板3の変化量から載置台2に積載されたシート束13の量を算出する。制御部110は、シート束13の量が閾値よりも多いと判定すると、整合用モータ190のトルクを上げる。シート束13の量が多くなると、回転体6a、6bを駆動する整合用モータ190にかかる負荷が増えるためである。すなわち、制御部110は、最適なトルクに設定することにより、整合動作の最適化を図ることができる。一方、制御部110は、シート束13の量が閾値以下であると判定すると、整合用モータ190のトルクを下げる。シート束13の量が減少すると、整合用モータ190にかかる負荷が減るためである。シート束13の量に応じて、回転体6a、6bのトルクを変更することで、無駄な消費電力の削減を可能とすることができる。なお、ここでは、整合用モータ190のトルクを変更したが、たとえば、整合用モータ190の駆動時間、回転速度などの各種駆動条件を変更することで、シート束の整合を適切に制御することができる。このように、制御部110は、押圧板3によるシート材13aの押圧位置に基づいて整合手段の動作を制御する制御手段として機能する。なお、制御部110は、操作部180の操作時点での押圧板3によるシート材13aの押圧位置に基づいて整合手段の動作を制御してもよい。
【0030】
制御部110は、シート束13の量が閾値よりも多いと判定すると、整合時間を長く設定してもよい。これは、シート束13の先端と底部の整合に時間がかかるためである。一方、シート束13の量が閾値よりも少ないと判定すると、整合時間を短く設定してもよい。シート束13の量が少なければ、シート束の先端と底部の整合に時間がかからないためである。ここで、整合時間とは、回転体6a、6bを駆動する時間のことである。なお、制御部110は、シート束13の量に比例して整合用モータ190のトルクや整合時間を調整してもよい。このように、シート束13の量に応じて整合時間を変更することで、整合時間を必要最低限の時間に削減できる。そのため、ユーザは、整合動作時に必要以上に拘束されることがなくなり、ユーザの利便性を向上することができる。
【0031】
ところで、押圧板3の開き量検知手段としては、エンコーダセンサユニット170に限定する趣旨のものではなく、超音波素子によりシート束13までの距離を測定することで、開き量(距離)を検知してもよいし、押圧板3を付勢する押圧バネの引き戻し量を検知することで、押圧板3の開き量を取得してもよい。なお、この押圧板3は、後述するシート束13の整合動作が開始される際、制御部110が整合用モータ190を制御することで、シート材13aを押さえる位置から離間して退避位置に移動してもよい。
【0032】
制御部110は、突出センサ7からの検知信号に基づいて回転体6a、6bの回転位置を検知する。シート材検知センサ20は、発光素子150から出力した光がシート材13aで反射し、その反射光を受光素子160で受光することで、シート材13aを検知する。
【0033】
<整合処理>
図4に示すように載置台2の下方位置には、整合手段を構成する振動部材としての2つの回転体6a、6bがシート材搬送方向において互いに離間して配置されている。
図4では回転体6a、6bは、断面矩形状に形成されている。回転体6a、6bが回転することで、その外周部の一部(角部60、61、62、63)が載置面2Cから突出するようになっている。これにより、載置面2Cに載置されたシート束13を上下に振動させる。回転体6a、6bは、角部60、61、62、63がシート束13を突き当て部2Bに突き当てる方向に回転している。つまり、シート束13の先端部が突き当て部2Bとシャッター4に突き当たるまで、シート束13を突き当て部側に前進させる。これらにより、載置台2に載置されたシート束13の先端部および底部を同時に揃えることができる。このように、本実施例では、押圧板3と、載置台2の載置面2cと、シート束13を振動させる振動部材(角部60、61、62、63)と、給紙ローラ5によるシート束13の取込方向先端部が突き当たる突き当て部2Bとで形成される整合空間において、振動部材の振動をシート束13に伝達してシート束が整合される。
【0034】
次に、
図5を用いて、シート材搬送装置1におけるシート束13の整合条件である整合制御設定の決定方法に関して説明する。
【0035】
S101で、制御部110は、回転体6aの角部60、61、62、63が載置台2の載置面2Cから突出しているどうかを判定する。たとえば、制御部110は、突出センサ7からの検知信号が角部の突出を意味する信号であるかどうかを判定する。上述したように、突出センサ7から遮光を示す信号を受信するとカウンタをリセットし、カウント値から回転体6a、6bの角部60、61、62、63が載置台2の載置面2Cから突出しているどうかを判定できる。これは、回転体6a、6bに対して突出部12a、12bが固定されているためである。なお、回転体6aと回転体6bの角部60、61、62、63の突出状態はベルト11によって同期している。角部60、61、62、63が載置台2の載置面2Cから突出しているどうかを判定する理由は次のとおりである。シート材搬送装置1の電源が入っていない状態で、回転体6a、6bがなんらからの要因により回転してしまい、角部60、61、62、63が載置台2の載置面2Cから突出していることがある。この状態でシート材13aの搬送を開始してしまうと、シート束13は載置面2Cに対して傾いてしまうことがある。この場合、シート材13aが破損したり、磁気インク文字の正確な読取りが行えなくなったりする。そこで、本実施例では、角部60、61、62、63が載置台2の載置面2Cから突出しないように制御することにする。角部60、61、62、63が載置台2の載置面2Cから突出していなければ、S103に進む。角部60、61、62、63が載置台2の載置面2Cから突出していれば、S102に進む。
【0036】
S102で、制御部110は、整合用モータ190を回転させ、S102に戻る。これにより、角部60、61、62、63が載置台2の載置面2Cから突出していなくなれば、制御部110は、整合用モータ190を停止して、S103に進む。
【0037】
S103で、制御部110は、シート材検知センサ20がシート材13a(シート束13)を検知しているかどうかを判定する。ユーザがシート束13(シート材13a)を載置台2にセットすると、シート材検知センサ20がシート束13を検知し、シート束検知信号が制御部110に入力される。シート束13が検知されると、S104に進む。なお、制御部110は、これと並行して、エンコーダセンサユニット170からのエンコーダパルスをカウントし、押圧板3の回転量、あるいは開き量を取得、すなわち、押圧板3の押圧位置に関する情報を取得する。
【0038】
S104で、制御部110は、押圧板3の回転量からシート束13の束量を求める。制御部110は、予め押圧板3の回転量をシート束13の束量に変換するための関数またはテーブルを備えているものとする。押圧板3の回転量はシート束13の束量に比例すると考えられる。このように、エンコーダセンサユニット170や制御部110は、載置台に載置されているシート束の量を検知する検知手段として機能している。
【0039】
S105で、制御部110は、束量をもとに整合時間、整合用モータ190の回転トルクおよび回転速度等の整合制御設定(整合条件)を決定する。制御部110は、束量を整合時間、回転トルク、回転速度に変換するための関数またはテーブルを備えているものとする。なお、この関数またはテーブルは、シート材13のサイズ(例:A4、B5)ごとに用意されており、操作部から入力されたサイズに応じて制御部110が関数やテーブルを切り替えてもよい。なお、駆動源(整合用モータ190)のトルク、回転速度および整合処理を継続して実行する時間である整合時間とのうち少なくとも1つだけでもよいし、これらを2つ以上組み合わせて、整合制御設定としてもよい。このように、制御部110は、検知手段が検知したシート束の量に応じて整合条件を決定する決定手段として機能している。
【0040】
S106で、制御部110は、整合開始条件が満たされたかどうかを判定する。整合開始条件とは、たとえば、操作部180や通信部100から整合動作の開始指示が入力されたことである。なお、S106を省略してもよい。つまり、整合指示がきたのかどうかの判定を行わず、直ぐに決定した設定で整合動作を開始してもよい。
【0041】
S107で、制御部110は、整合時間を計時するためのタイマーをスタートさせるとともに、整合用モータ190の駆動を開始する。制御部110は束量に適した回転トルクと回転速度で整合用モータ190を駆動することで、回転体6a、6bを回転させてシート束13を振動させる。このように、整合用モータ190や回転体6a、6bは、決定した整合条件にしたがって載置台に載置されたシート束13(シート材13a)を整合させる整合手段として機能している。
【0042】
S108で、制御部110は、タイマーのカウント値を整合時間と比較することで、整合時間が経過したかどうかを判定する。整合時間が経過すると、整合用モータ190の動作を停止する。このように、整合処理が終了すると、シート束13は整合した状態となる。
【0043】
本実施例では、シート束13を回転体6a、6bを用いて上下方向と搬送方向に振動させる構成を採用した。しかし、載置面2Cを斜めに設置し、上下方向にのみシート束13を振動させる構成を採用してもよい。
【0044】
たとえば
図6に示すように、載置台2の載置面2Cを振動させる駆動源としてソレノイド80を採用してもよい。つまり、ソレノイド80の引き込む力によって、載置台2の載置面2Cを振動させる。ソレノイド80の横方向の動きをメカ機構によって上下方向の振動に変換してもよい。
【0045】
また、
図7に示すように、高速で振動するピエゾ素子81を採用してもよい。載置台2の載置面2Cの一点を振動させることで、載置面2Cの全体が振動し、載置面2Cに積載されたシート束13も振動する。これにより、シート束13の整合を行ってもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施例ではシート束13を載置台2に載置し、操作部180の整合開始スイッチをONに操作するだけで、シート束13の整合制御設定が自動で決定される。すなわち、シート束13の量に応じて好適な整合制御設定が決定されるため、ユーザが手動で設定を決定する場合と比較し、あるいは、全てのシート束において同じ条件で整合する場合と比較して、より効率的にシート束13を整合できる。これにより、整合時間が長すぎてユーザが拘束される時間がながくなってしまったり、整合時間が短すぎてシート束13の整合が未完のまま搬送が開始されてしまったりといった問題を解決することができる。
【0047】
さらに、シート束13を上下方向に振動させながら搬送方向に移動させる振動部材と、搬送方向に移動するシート束13の先端部が突き当たる突き当て部2Bを備えている。これにより、上下方向に繰り返し振動することでシート材13aが重力方向にばらばらに落ちるためシート束13の底部が揃いやすくなる。また、搬送方向に移動したシート束13の先端が突き当て部2Bに繰り返し当たるため、シート束13の先端が揃うようになる。よって、シート束13の底部と搬送方向の先端部の両方を同時に揃えることが可能となる。
【0048】
また押圧板3の移動量(回転量、あるいは開き量)から載置台2に積載されたシート束13の束量を算出し、束量に応じて振動強度(回転トルクや回転速度)を調整できる。束量に適した整合条件でシート束13の整合動作を行うことができるため、効率良くシート束を整合することが可能となる。
【0049】
さらに、載置台2に載置されたシート束13の振動動作として回転体6a、6bを採用することで、効率良くかつ高速にシート束13を振動させることができる。つまり、シート束13を細かく振動させることができるため、シート束の底部から効率よく整合することができる。
【0050】
<実施例2>
本実施例では、シート材13aの取込(給送)あるいは搬送中に別のシート束を継ぎ足されたときの整合処理について説明する。なお、すでに説明した個所には同一の参照符号を付与することで説明を簡潔化する。ここでいうシート束またはシートの継ぎ足しとは、たとえば、シートの給送動作が開始される前、あるいは、シートの給送動作が開始された後などにおいて、ユーザが載置台2にシート束またはシートを挿入すること、あるいは、別途、シート束の供給装置を設けて自動的に載置台2にシート束またはシートを挿入することを含むものとする。
【0051】
図8を用いて、シート材13aの搬送中にシート束の継ぎ足しあった場合のシーケンスについて説明する。S201で、制御部110はシート材13aの搬送を開始するために、搬送用モータ130の駆動を開始する。なお、制御部110は、シート材13aの搬送中もエンコーダセンサユニット170からエンコーダパルスを取得して、押圧板3の開き量(シート束13の束量)を監視しているものとする。
【0052】
S202で、制御部110は、シート束の継ぎ足しが有ったかどうかを判定する。たとえば、制御部110は、押圧板3の開き量が増加する方向に所定の閾値を超えて開き量が増加したかどうかを判定する。シート搬送動作中に、シート束13を載置台2に追加すると、シート束13の厚み量に比例して押圧板3の開き量が変化する。そこで、制御部110は、シート材13aの搬送を開始したときの開き量(初期開き量)をメモリに記憶して保持し、初期開き量と現在の開き量と差分が予め定められた閾値を超えているかどうかを判定してもよい。なお、押圧板3の開き量に代えて、それから求めたパラメータ(シート束量)を用いてもよい。シート束の継ぎ足しがあれば、S203に進み、シート束の継ぎ足しがなければ、S211に進む。このように、制御部110は、検知手段が検知したシート束の量から、載置台に別のシート束が追加されたかどうかを判定する判定手段として機能している。
【0053】
なお、シート束の継ぎ足しがあったときは、直ちに、制御部110は、搬送用モータ130を停止してもよい。シート束の継ぎ足しによって、整合済みのシート束が乱されてしまうことがある。そこで、継ぎ足されたシート束を含むすべてのシート束について整合処理が完了するまでは、搬送用モータ130を停止しておいてもよい。ただし、載置台2に残されているシート束のうち鉛直方向で最も下に位置するシート材13aから搬送されること、および、載置台2に残されているシート束のうち鉛直方向で最も上に位置するシート材13aの上にシート束が継ぎ足されることを考慮すると、最も下に位置するシート材13aまでもが乱されることはまれであろう。そこで、本実施例では、この時点ではまだ搬送を継続することにする。なお、シート取り込み中にシートまたはシート束の継ぎ足しがあった場合には、シート取り込み動作を一時的に停止するか、または完全に停止させるのがよい。停止後は、シート材取込動作を続けるか、シート束整合動作を行うかを装置本体あるいは外部装置のディスプレイに選択画面を表示してユーザ選択させるようにするのがよい。また、継ぎ足しがある前のシート束の取り込みが終わった段階で一時的に停止し、継ぎ足しされたシート束の整合動作を実行するようにしてもよい。これにより、整合処理により正しい姿勢となったシートについて精度よく取り込み動作を実行することができる。このように、制御部110は、取込手段によるシート材13aの取り込み中において押圧板3によるシート材13aの押圧位置の変化が生じた場合には、取込手段によるシート材取込動作を変更してもよい。
【0054】
S203で、制御部110は、シート束の継ぎ足しが開始されてから一定期間にわたり待機する。押圧板3が開かれた直後は押圧板3の開き量は安定しないと考えられる。シート束13が完全に載置台2に載置されていないからである。そこで、押圧板3の開き量が安定するまで、一定期間待機してもよい。
【0055】
S204で、制御部110は、押圧板3の開き量からシート束量を求め、シート束量から整合用モータ190の整合制御設定を更新する。整合制御設定の求め方は、S105と同様である。このように、制御部110は、載置台に別のシート束が追加されたと判定手段が判定すると、別のシート束と載置台に残っていたシート束との総量に応じて整合条件を更新する更新手段として機能している。なお、継ぎ足したシート束のみ整合を行うようにしてもよい。この場合、整合制御設定は、継ぎ足されたシート束の量のみを算出し、算出したシート束の量に適した整合制御条件を設定するが、本発明はこれに限定されない。
【0056】
ここで、押圧板3の位置変化量に応じたシート整合条件は、予めメモリに記憶され保存される。たとえば、給送または搬送の動作中において、シート束が継ぎ足された場合、押圧板3の位置(押圧位置)が開く方向に変化する。その押圧板3の変化量がある所定の変化量(閾値)を越えた場合、制御部110は継ぎ足しのため意図的に押圧板3が開かれたと判断する(継ぎ足しありと判定する)。そして、制御部110は押圧板3の変化量がある所定の変化量(たとえば、閾値)を越える前の押圧板3の開き位置(初期開き位置)を予めメモリに記憶し保存しておく。制御部110は、継ぎ足しありと判断したとき、シート束が継ぎ足された後の押圧板3の開き位置(継ぎ足し後開き位置)、すなわち、押圧板3の新たな押圧位置をメモリに記憶して保存する。これにより、制御部110は、継ぎ足し後に開き位置を示す数値から初期開き位置を示す数値を減算することで、継ぎ足された際の押圧板3の変化量(つまり押圧位置の変動量)を認識する。そして、制御部110は、この押圧板3の位置変化量に応じたシート整合条件をメモリから読込み、シート整合条件を選定する。これにより、制御部110は、適切なシート束整合動作を実行してもよい。ここで、制御部110は、押圧板3の開き位置に応じたシート整合条件テーブルを、予めメモリに記憶して保存しておくことで、押圧板3の位置変化量に応じた適切なシート束整合動作を直ぐに導き出してもよい。なお、押圧板3の開き位置は細かく設定されてもよい。この場合、整合条件テーブルを多く持つほど、シート整合条件をより適切化することが可能となる。たとえば、制御部110は、給送または搬送の動作中においてシート束が継ぎ足されたと判断すると、シート束が継ぎ足された後の押圧板3の位置に対応した整合条件テーブルから、シート束の整合条件を読み出す。制御部110は、次にシート束が継ぎ足される前の位置に対応した整合条件テーブルからシート束の整合条件を読み出す。制御部110は、読み出した、シート束継ぎ足し前後のシート束の整合条件から、継ぎ足されたシート束分に相当するシート束整合条件を算出することで、適切なシート束整合条件を決定してもよい。
【0057】
図8に戻り、S205で、制御部110は、整合開始条件が満たされたかどうかを判定する。整合開始条件とは、たとえば、操作部180や通信部100から整合動作の開始指示が入力されたことである。ユーザの指示に応じて整合動作を行うか否か選択することが可能となる。整合開始条件が満たされていなければ、S211に進む。整合開始条件が満たされていれば、S206に進む。
【0058】
S206で、制御部110は、搬送用モータ130を停止し、シャッター4を閉じる。
【0059】
S207で、制御部110は、整合制御設定にしたがって整合用モータ190の駆動を開始する。たとえば、整合時間を計時するためのタイマーをスタートさせる。
【0060】
S208で、制御部110は、整合動作を開始してからの経過時間(タイマーのカウント値)が予め設定された整合時間を超えたかどうかを判定する。カウント値が整合時間を超えると、S211に進む。
【0061】
S211で、制御部110は、搬送終了条件が満たされたかどうかを判定する。搬送終了条件とは、たとえば、操作部180より停止命令が入力されたこと、シート材検知センサ20がシート材を検出できなくなったことである。搬送終了条件が満たされると、制御部110は、搬送処理を終了する。搬送終了条件が満たされていなければ、S202に戻り、制御部110は、搬送処理を再開する。
【0062】
このようにシート束を継ぎ足された際に自動で整合制御設定が更新されるため、搬送動作を安定して継続することができる。もし、シート束を継ぎ足されたときに整合動作を実行しなければ、継ぎ足されたシート材が斜行してしまうことがある。本実施例であれば、シート束13の束量に応じて設定が更新されて整合動作が実行されるため、シート材13aの斜行などを抑制できる。
【0063】
<実施例3>
実施例3では、搬送中にシート束の継ぎ足しが発生した際に、継ぎ足されたシート束のみ整合を行える制御を加えたことに特徴がある。
図9を用いて実施例3について説明する。なお、すでに説明した個所には同一の参照符号を付与することで説明を簡潔化する。
【0064】
図9を用いて、搬送中に継ぎ足し給紙があった際のシーケンスについて説明する。S301ではシートが搬送中である。その後、上述したS202で搬送中に継ぎ足し給紙が検知されると、S203に進み、さらにS305に進む。
【0065】
S305で、制御部110は、即時整合開始条件が満たされたかどうかを判定する。即時整合開始条件とは、たとえば、操作部180や通信部100から整合動作の開始指示が入力されたことである。これにより、継ぎ足されたシート束についてユーザの指示に応じてすぐに整合するか、整合済みのシート束について搬送処理が終わってから継ぎ足されたシート束を整合するかを選択できるようになる。なお、制御部110は、操作部180の表示装置に別のシート束について整合をすぐに実行するかどうかを問い合わせるメッセージを出力し、メッセージに対する回答を受け付けてもよい。制御部110は、操作部180の入力装置によって受け付けられた回答にしたがって、載置台2に残っていたシート束の搬送が終了してから別のシート束について整合を実行するかどうかを判断してもよい。このように、制御部110は、載置台に残っていたシート束の搬送が終了してから別のシート束について整合を実行するかどうかを判断する判断手段として機能している。即時整合開始条件が満たされていれば、S308に進む。S308で、制御部110は、継ぎ足された別のシート束と載置台に残っていたシート束との総量に応じて整合条件を更新する。よって、制御部110は、載置台2に残っていたシート束の搬送が終了する前に別のシート束と載置台に残っていたシート束とをまとめて整合すると判断したときには、継ぎ足された別のシート束と載置台に残っていたシート束との総量に応じて整合条件を更新して、更新した整合条件にしたがって、別のシート束を整合するよう各部を制御することになる。その後、S206で、制御部110は、給紙動作を一旦停止し、S207で、整合済みのシート束と継ぎ足されたシート束とをまとめて整合する。
【0066】
一方、S305で、即時整合開始条件が満たされていなければ、S306に進む。S306で、制御部110は、整合済みのシート束についてすべて搬送が終了したかどうかを判定する。たとえば、制御部110は、シート束が継ぎ足される直前の束量V1と、継ぎ足された後の束量(元からあった整合済みシート束と追加されたシート束の総量)V2との差分から、追加されたシート束の束量V3を求める。さらに、制御部110は、現在の束量を監視し、現在の束量が追加されたシート束の束量V3に一致したときに、整合済みシート束がすべて搬送されたと判定する。搬送が終了していなければ、S307に進み、搬送を継続し、S306に進む。整合済みのシート束についてすべて搬送が終了すると、S308に進む。
【0067】
S308で、制御部110は、整合制御設定を更新する。制御部110は、継ぎ足されたシート束について束量を求め、それに応じて、整合制御設定を決定する。つまり制御部110は、載置台2に残っていたシート束の搬送が終了してから別のシート束について整合を実行すると判断したときには、継ぎ足された別のシート束の量に応じて整合条件を更新する。その後、S206に進む。S206以降の処理はすでに説明したとおりである。
【0068】
実施例3によれば、搬送中にシート束が継ぎ足されたときに、整合済みのシート束を含めて整合をすぐに実行するか、整合済みのシート束の搬送が終了した後で継ぎ足されたシート束のみを整合するかをユーザが選択できるようになる。たとえば、整合済みのシート束が100枚で継ぎ足されたシート束が10枚であれば、110枚のシート束を整合処理するよりも、10枚のみを整合処理した方が整合処理に必要となる消費電力を削減できるようになる。また、整合済みのシート束の搬送を優先させたいときにも、整合済みのシート束の搬送が終了した後で継ぎ足されたシート束のみを整合することは利点がある。たとえば、複数のユーザが存在する環境において、整合済みのシート束と、継ぎ足されたシート束とでユーザが異なることもある。この場合、先にシート材搬送装置を利用していたユーザは、後からシート材搬送装置を利用するユーザによって邪魔されることを望まないであろう。よって、このような環境においても、実施例3は有用であろう。
【0069】
上述した実施例1〜3では、シート材の重なり方向を略水平方向とした状態、すなわち、縦置き仕様の載置台を有するシート材搬送装置(シート材取込装置)を例示して説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、シート束の載置の仕方は、縦置きに限らず、平置き(シート材の面方向を略水平方向とした状態の置き方)仕様の載置台であってもよく、あるいは傾斜した載置台にシートを載置するようにしてもよい。これらの場合には、シート束の整合手段として、たとえば、載置台全体をシート載置面に沿って振動させるように構成してもよいし、シート束の端部を揃えるためにシート載置台上に立設された規制板をシート載置面に沿って振動させるようにしてもよい。また、シートの取り込みは、シート載置面側から一枚ずつ行うようにシート載置面側に取込ローラを配置してもよいし、シート束の最上面に当接される取込ローラ(たとえば、ピックアップローラ等)を採用することも可能である。前者の場合、シート束の最上面側に押圧板を配置することが可能であり、後者の場合、シート載置面が押圧板の役割を担うようにしてもよい。いずれにしても、シート材の取込構造については、上述した実施例1〜3に限定されない。本発明は、上述した構造を採用して、継ぎ足し量を検出し、その継ぎ足し量に基づいてシート束の整合動作を制御するようにすることも可能である。
【0070】
本発明は、上述したチェックスキャナに限定されず、様々なシートの給送装置に適用可能である。以下、シートを当該シート面に沿って給送するシートスルー型給送装置を例示して説明する。
【0071】
図10には、装置本体211の上部から下部に向かってシートを給送(搬送)するタイプのシート給送装置(シート搬送装置)を示す。シート束が載置されるトレイ221は、
図11に示すように、水平方向に対して傾斜して設けられている。詳細には、トレイ221は、装置本体211の本体部211aに固定された固定板221aと、この装置本体211に対して回動自在に支持されたシート受部材である中板221bとを有している。固定板221aは、装置本体211上部に設けた給紙口(
図10)から斜め上方に延出するように設けられている。また、固定板221aのシートを載置する表面には、
図10に示すように、スライド部材221cを、幅方向(
図11ないし
図14の表裏方向)に移動自在に設けている。このスライド部材221cは、シートの幅方向両端部に当接してシートの位置を規制する規制部材として機能する。すなわち、シートサイズに応じてスライド部材221cをシートに近づけるように移動して、載置されたシート束の幅方向の位置を規制できるようにしている。
【0072】
また、中板221bは、シート束を後述する搬送ローラ(送りローラとも言う)222に近づけるために可動する板部材、たとえば、鋼板や合成樹脂により構成された板状の部材である。中板221bは、固定板221aの搬送ローラ222によるシート搬送方向下流(
図11ないし
図14の斜め下方)に配置されている。そして、幅方向両端部に設けた突起部221e(
図2ないし
図4)を、装置本体211に設けた支持孔に嵌合することにより、装置本体211に回転自在に支持されている。これら突起部221eと支持孔とで回転支持部を構成する。すなわち、中板221bは、上述した固定板221aのシート給送方向における先端部側において、突起部221eを支点として可動し、中板221bの先端部でシート束を搬送ローラ222に付勢してシートの給送開始位置を形成する。また、このような中板221bは、装置本体211の上部において可動範囲を有している。中板221bは、
図11に示すように、後述する分離ローラ223に対向する部分において、壁部Hが設けられている。この壁部Hは、シート束がトレイ221に載置されたとき、シート束の先端部が当接される当接部となる。そして、中板221bの先端部は、この当接部(壁部H)に沿って搬送ローラ222に向かって移動するよう構成されている。
【0073】
また、
図11〜
図14に示すように、中板221bと装置本体211との間には、シート受部材付勢手段であるばね221fが配置されている。そして、中板221bのシートを載置する表面側と逆の裏面にばね221fを弾性的に当接させ、このばね221fにより中板221bを、
図11に示すように、搬送ローラ222に向けて付勢している。このばね221fによる付勢力は、中板221bに設けた後述するローラ224と搬送ローラ222とでシートを挟んでシートを搬送できるように、設計的に定められる。
【0074】
装置にシート束Sが搭載された場合には、たとえば、
図13に示す通り、シート束先端が不揃いの状態で設置される。このような状態で搬送動作が始まると搬送ローラ222に均一な力が加わらず紙詰まりや、斜行が発生してしまうことが懸念される。そこで、装置本体211に設けられた支持孔に勘合された突起部221eを中心にして、不図示の中板221bの駆動手段を使用し、中板221bを搬送ローラ222に近づけたり遠ざけたり(接近ないし退避)するように振動させることが可能となっている。
【0075】
図14に示す通り、複数のシートが積載された状態で、中板221bをある一定の速度で振動させることでシート束Sは重力方向に微小に上下運動し、シート束Sの先端が壁部Hに当接して揃ってくる。このような整合処理によってシート束Sの先端が揃うことで搬送中のシートの紙詰まりなど、搬送不良を未然に避けることが可能となる。
ところで、中板221bの位置検知センサ227は、中板221bの位置を検出することが可能で、検出信号からシート束Sが設置されてから搬送された枚数を算出することが可能となっている。また位置検知センサ227は、中板221bの挙動(位置変化または位置の変化量)も検出することが可能となっている。シート搬送(取込)途中にシート束Sが継ぎ足された際の中板221bの挙動を位置検知センサ227が検知して、継ぎ足し給紙の有無、またはシートの継ぎ足し量を検知することが可能となる。なお、シート束が継ぎ足された場合、中板221bは、装置本体211側に一時的に退避するが、継ぎ足されたシート束の存在によって、給送中のシートに姿勢変動は実質的に殆ど生じないことからシートの給送動作を中断することなく継ぎ足しが完了する仕組みとなっている。
【0076】
本実施例においては、光学的なフォトセンサを使用し、受光側が検知する信号をもとに中板221bの位置を検出する。中板221b位置検知センサ227が中板221bに近づいた場合、受光レベルは強くなり、逆に離れると受光レベルが弱くなる。
【0077】
検出方法に関しては、上記方法に限ったものでなく、中板221bの位置が検出できる方法、センサであればこれに限った話ではない。
【0078】
搬送ローラ222は、装置本体211のカバー部に設けられ、不図示の駆動源であるモータにより回転駆動される。そして、中板221上(シート受部材上)のシートと当接してこのシートを図示しないシート搬送方向の下流側に配置される情報読取部(たとえば、画像読取部や画像形成部(印刷部)等)に向けて搬送する。なお、本実施例の場合、搬送ローラ222は、トレイ221の幅方向中央部に対向する位置に配置している。
【0079】
また、トレイ221の搬送ローラ222によるシート搬送方向下流で、搬送ローラ222と対向する位置には、分離ローラ223が設けられている。分離ローラ223は、後述するローラ224と搬送ローラ222によるシート搬送方向に隣接した位置に、搬送ローラ222との間でシートを挟持するように配置されている。したがって、このような分離給送前にシート束を整合させておくことは、給送安定性の面から非常に有効である。つまり、本実施例のように、中板221bを搬送ローラ222との間で振動させることにより、シート束Sの整合を給送開始前に実施することが可能となる。これにより、異なるサイズのシートを束ねたものや、不揃いのシート束Sをセットしても、給送開始前に、中板221bを振動させるだけで、シートのセット姿勢が揃うため、その後のシート給送ないし搬送の信頼性を向上させることができる。また、本実施例のように、シート取込中にシート束Sが追加(継ぎ足し)された場合でも、その状況を検知できる。そのため、たとえば、整合済みのシート束Sの給送が終わったタイミング、あるいは、継ぎ足されたタイミングで適宜、整合動作を実施してもよい。これにより、その後のシート取込時、あるいはシート取込後の搬送においてシートの破損などのトラブルを未然に防止することができる。なお、シート束の継ぎ足しを検知した時点で一時的にシートの取込処理を中断して、整合済みのシート束の給送が終わったタイミングで整合処理を実施するようにしてもよいし、整合済みのシート束を含めて整合処理を実施するようにしてもよい。
【0080】
本実施例のシート給送装置では、
図15に示すように、ピックアップローラ50が、シート積載台53上に積載したシート束を搬送路内部に運び込む。さらに、フィードローラ51とリタードローラ52がシート束上面からシートを分離して、一枚ずつシートを給送する。
【0081】
また、本実施例のシート分離機構55は、
図16、
図17に示す通り、摺動部54を中心に、移動可能となっている。シート積載台53上に積載したシート束Sの厚みに応じてシート分離機構55の位置が変更される。摺動部54の軸部分にエンコーダ56などの回転位置を検出することが可能な検出機構が設けられてもよい。これによりピックアップローラ50の位置や、ピックアップローラ50の位置変化量を検出することが可能となる。
【0082】
本実施例においては、エンコーダ56のフォトインタラプタが検知する信号をもとにピックアップローラ50の位置を検出する。シート分離機構55が上下方向に動くことで、フォトインタラプタからはパルス波形が出力され、パルス波形を検出することで、シート分離機構55の位置変位を検出することが可能となる。
【0083】
給紙動作が始まると、ピックアップローラ50はシート束Sの上面のシートから、順次搬送路内部にシートを給送する。ピックアップローラ50によって搬送路入口に移動したシートはフィードローラ51とリタードローラ52により、一枚ずつ分離されて給紙される。
【0084】
給紙動作が継続して行われている途中に、シート束の継ぎ足しを行おうとすると、シート積載台53上に設置されているシート束Sは軽く持ち上げられ、シートが継ぎ足される。この際、ピックアップローラ50の位置がシート束の膨らみに応じて変位する。またシート束を継ぎ足すために、シート積載台53上に設置されたシート束Sを上に持ち上げる動作が発生するため、シート分離機構55は一度大きく上げられた後に、少し下がって安定する。その後搬送が継続されれば、上記説明の通り少しずつシート束の厚みが薄くなり、給紙動作が継続される。
【0085】
給紙動作中にシート束の継ぎ足しがあった際に、ピックアップローラ50の位置が変位すると、摺動部54は連動して回転し、回転に伴ったパルスがエンコーダ56から発生する。このパルス数をカウントすることで、シート分離機構55の位置が分かり、パルス周期を計測することで瞬間的な変化量を求めることできる。給紙動作中にある周期で、一定以上のパルス出力があると、シートが継ぎ足されたと判断することが可能となる。
【0086】
給紙動作中にシートが継ぎ足されたと判断した場合、不図示の搬送制御部は継ぎ足されたところで一度搬送動作を止めてもよいし、一度搬送動作を止めた後に、シート振動手段を使用して、シート束を振動させ先端を整合させることが可能となっている。
【0087】
なお、上述した実施例のシート給送装置では、シート積載台53上のシート束Sを整合するための整合手段を設けることが可能である。この場合の整合手段は、たとえば、
図18ないし
図20に示したようなストッパー40を振動させる手段となる。この場合には、シート積載台53を装置本体に対して傾斜させることでシート束の先端を揃える上で効果的である。
【0088】
図18が示すように、ストッパー40は、給紙動作中にシート積載台53下内部に隠れている。
図19や
図20が示すように、ストッパー40は、給紙動作が終わると搬送路入口にでてきて、シート束Sが搬送路内部に入り込まないように制限をかけている。
【0089】
このストッパー40は不図示の駆動手段により、上下方向に駆動可能となっており、シート束Sの先端がストッパー40に触れている状態でストッパー40を高速に上下動作させる。これによりシート束Sを小刻みに動作させてシート束Sの先端を均一に揃えることが可能となっている。
【0090】
本実施例のシート給送装置では、
図15に示すように、ピックアップローラ50が、シート積載台53上に積載したシート束を搬送路内部に運び込む。さらに、フィードローラ51とリタードローラ52がシート束上面からシートを分離して、一枚ずつシートを給送する。
【0091】
また、本実施例のシート分離機構55は、
図16、
図17に示す通り、摺動部54を中心に、移動可能となっている。シート積載台53上に積載したシート束Sの厚みに応じてシート分離機構55の位置が変更される。摺動部54の軸部分にエンコーダ56などの回転位置を検出することが可能な検出機構が設けられてもよい。これによりピックアップローラ50の位置や、ピックアップローラ50の位置変化量を検出することが可能となる。
【0092】
本実施例においては、エンコーダ56のフォトインタラプタが検知する信号をもとにピックアップローラ50の位置を検出する。シート分離機構55が上下方向に動くことで、フォトインタラプタからはパルス波形が出力され、パルス波形を検出することで、シート分離機構55の位置変位を検出することが可能となる。
【0093】
給紙動作が始まると、ピックアップローラ50はシート束Sの上面のシートから、順次搬送路内部にシートを給送する。ピックアップローラ50によって搬送路入口に移動したシートはフィードローラ51とリタードローラ52により、一枚ずつ分離されて給紙される。
【0094】
給紙動作が継続して行われている途中に、シート束の継ぎ足しを行おうとすると、シート積載台53上に設置されているシート束Sは軽く持ち上げられ、シートが継ぎ足される。この際、ピックアップローラ50の位置がシート束の膨らみに応じて変位する。またシート束を継ぎ足すために、シート積載台53上に設置されたシート束Sを上に持ち上げる動作が発生するため、シート分離機構55は一度大きく上げられた後に、少し下がって安定する。その後搬送が継続されれば、上記説明の通り少しずつシート束の厚みが薄くなり、給紙動作が継続される。上述した構成の場合、ピックアップローラ50は、シート取込手段としての役割の他、シート継ぎ足し検知手段としての機能も有する。なお、実際に継ぎ足された量は、上述したようなピックアップローラ50によって間接的に検知できる。よって、シート取込中であっても、継ぎ足した分だけが検出可能である。このため、本実施例では、シートの継ぎ足しに基づいて、整合処理が実行されてもよい。すなわち、シートの継ぎ足しをピックアップローラの変位で間接的に検知し、このピックアップローラの変位量に基づいて、整合処理が可能となる。
【0095】
給紙動作中にシート束の継ぎ足しがあった際に、ピックアップローラ50の位置が変位すると、摺動部54は連動して回転し、回転に伴ったパルスがエンコーダ56から発生する。このパルス数をカウントすることで、シート分離機構55の位置が分かり、パルス周期を計測することで瞬間的な変化量を求めることできる。給紙動作中にある周期で、一定以上のパルス出力があると、シートが継ぎ足されたと判断することが可能となる。
【0096】
給紙動作中にシートが継ぎ足されたと判断した場合、不図示の搬送制御部は継ぎ足されたところで一度搬送動作を止めてもよいし、一度搬送動作を止めた後に、シート振動手段を使用して、シート束を振動させ先端を整合させることが可能となっている。すなわち、ここでは、ピックアップローラの変位によってシートが継ぎ足されたか否かを判断し、その判断によって、その後のシート取込動作を制御することが可能である。
【0097】
なお、上述した実施例のシート給送装置では、シート積載台53上のシート束Sを整合するための整合手段を設けることが可能である。この場合の整合手段は、たとえば、
図18ないし
図20に示したようなストッパー40を振動させる手段となる。この場合には、シート積載台53を装置本体に対して傾斜させることでシート束の先端を揃える上で効果的である。
【0098】
図18が示すように、ストッパー40は、給紙動作中にシート積載台53下内部に隠れている。
図19や
図20が示すように、ストッパー40は、給紙動作が終わると搬送路入口にでてきて、シート束Sが搬送路内部に入り込まないように制限をかけている。
【0099】
このストッパー40は不図示の駆動手段により、上下方向に駆動可能となっており、シート束Sの先端がストッパー40に触れている状態でストッパー40を高速に上下動作させる。これによりシート束Sを小刻みに動作させてシート束Sの先端を均一に揃えることが可能となっている。
【0100】
図21ないし
図24は本実施例のシート給送装置をシート束S1の給紙方向において後端側から先端側を見た様子を示している。つまりこの様子はシート給送装置の給紙口を搬送方向の上流側から下流側を見た様子である。
図21ないし
図24に示すように、シート積載トレイ410がピックアップローラ400に対して昇降することにより、給送位置が規定される。すなわち、
図21に示すように、シート束S1が載置されたシート積載トレイ410を上昇させて、シート束S1をシート積載トレイ410とピックアップローラ400とで挟み込む。この状態で、ピックアップローラ400を回転させることにより、シート束S1の最上位シートから1枚ずつ分離してシートが取り込まれる。
【0101】
シート積載トレイ410は、図示しない昇降手段によって独立駆動可能な上段トレイ411および下段トレイ412で構成されている。上段トレイ411および下段トレイ412は上下方向に分離される。上段トレイ411の下面側と下段トレイ412の上面側とが重なり合うようにそれぞれの形状が形成されている。詳細には、下段トレイ412の上面側に複数の凹溝412a〜412dが設けられている。この凹溝412a〜412dに対して上段トレイ411を構成する支持部411a〜411dがそれぞれ埋め込まれる。
【0102】
図22に示すように、上段トレイ411の位置を固定したまま上段トレイ411から下段トレイ412が分離されてもよい。つまり、この状態では、ピックアップローラ400と上段トレイ411との間でシート束を把持しながら給送可能である。さらに、
図23に示すように、下段トレイ412が上段トレイ411から退避する方向(図中下側方向)に降下するため、下段トレイ412にシート束S2を積載可能となる。
【0103】
このように、シート積載トレイ410は、上段トレイ411と下段トレイ412とに分離され、上段トレイ411を使ってシートの給送を行いながら、下段トレイ412用のシート積載スペースを形成することが可能となる。なお、本実施例のシート給送装置では、ピックアップローラ400の押圧(付勢)に対して上段トレイ411側でシートを支持する手段が設けられる。これは、シートに対してピックアップローラ400からの送り力を確実に伝達するためには、シートがピックアップローラ400に対して付勢されていることが必要だからである。そのため、本実施例では、上段トレイ411のうちピックアップローラ400に対向する部分において、図示しない装置本体側(シート積載トレイ410の一端側を支持する装置本体側)からシート支持部413が出し入れ可能に設けられている。このシート支持部413は、下段トレイ412の上昇動作時においては装置本体側に退避させる。これはシート支持部413を退避させなければ、シート支持部413邪魔になって上段トレイ411と下段トレイ412とを合体させられなくなってしまうためである。なお、このシート支持部413は、上述した上段トレイ411と共に、少なくとも上昇させることが可能な構成となっている。
【0104】
このように、本実施例のシート給送装置は、上述した上段トレイ411および下段トレイ412に2分割されたシート積載トレイ410を採用している。つまり、上段トレイ411および下段トレイ412が実質的に一体型トレイとなって昇降可能な構成(
図21)が実現されるとともに、相互に分離して独立して昇降可能な構成(
図22)も実現される。これにより、シート給送装置を不必要に大型化させることなく、シートの積載収容量を飛躍的に増やすことが可能となる。
【0105】
また、本実施例のシート給送装置では、
図24に示すように、上段トレイ411上のシート束の給送が終わった後、上段トレイ411を上昇させて、ピックアップローラ400に物理的に干渉しない待機スペースに待機させることが可能となる。さらに、下段トレイ412の上昇によって下段トレイ412上に追加で積載されたシート束S2をピックアップローラ400に当接させることが可能となる。その結果、下段トレイ412上からのシートの給送動作が実現される。
【0106】
なお、上述した本実施例のシート給送装置では、シート積載トレイ410(上段トレイ411と下段トレイ412とが一体構成の場合)上のシート束を整合するための整合手段を設けることが可能である。この場合の整合手段は、たとえば、シート積載トレイ410を振動させる構成を設ければよい。その場合には、シート積載トレイ410を装置本体に対して傾斜させることがシート束の先端を揃える上で効果的である。
【0107】
また、シート積載トレイ410が分離した場合、すなわち、上段トレイ411から下段トレイ412を降下させ、追加のシート束S2を下段トレイ412上に載置した後、この下段トレイ412だけを選択的に振動させるように構成して、シート束S2の整合処理を実施するようにしてもよい。これにより、上段トレイ411側では、シートの取り込みが行われ、下段トレイ412側では、シートの取り込み前の整合処理(準備動作)を独立して行うことが可能となる。
【0108】
なお、上記整合処理は、上段トレイ411または/および下段トレイ412にシートの幅方向両端部または一端部を規制する規制部をトレイ面上でシートの取込方向と直交する方向にスライド可能に設けて、この規制部を使って、シート束の幅方向を含めて整合処理を実施するようにしてもよい。また、このような規制部を設ける場合、上段トレイ411または下段トレイ412を振動させる構成とする代わりに、規制部のスライド機構(可動手段)を小刻みに動作させてシート束の幅方向に整合処理を実施するようにしてもよい。
【0109】
また、本発明は、上述した分離型のトレイを採用する場合、さらに上段トレイの形状を適宜変更することによっても、スムーズな継ぎ足しを実現することができる。具体的には、上段トレイのうちピックアップローラに対向する領域に貫通孔を設けて、上段トレイがピックアップローラに当接しないようにする。このとき、上段トレイの貫通孔は、上段トレイを上昇させる(ピックアップローラに近づける)と、貫通孔がピックアップローラの周囲を通過し、これによって、ピックアップローラよりも上方側に上段トレイが退避する。一方、上段トレイは、幅方向両端部で装置本体に昇降可能に連結され、その連結部よりも幅方向内側には、貫通孔を挟み込む一対の可動片を設ける。この一対の可動片は、上記連結側に退避する位置と、上記ピックアップローラに対向する位置との間でスライド移動可能に設けられる。これにより、上段トレイをピックアップローラの上方側に退避するときは、一対の可動片が連結部側に移動する。ピックアップローラによって上段トレイの上にあるシートを取り込む場合には、ピックアップローラに対向する領域に一対の可動片が移動して、ピックアップローラの押圧を受ける部分が形成される。これにより安定したシートの取りこみ動作を実現することができる。なお、上記の場合、一対の可動片におけるピックアップローラ側の上面は、上段トレイのピックアップローラ側の上面と実質的に同一面を構成してもよい。これにより、一対の可動片をシートの載置面に沿った移動を実現することができる。
【0110】
なお、上述した各実施例については、整合処理を主体として説明を行った。しかし、本発明はこれに限定されない。たとえば、載置台からシート材を装置本体の内部に取り込む取込手段を制御手段によって制御するに際し、制御手段が、載置台に対するシートの継ぎ足しを検知して、上記取込手段の動作を制御してもよい。たとえば、シートが継ぎ足された場合、制御手段は、シートの取込動作を一時停止して、その後、自動、あるいはユーザ操作に基づいて取込動作を再開してもよい。この場合、制御手段は、取込動作の再開前に、上述した各実施例のような整合処理を自動あるは手動で実施してもよいが、整合処理を行わなくてもよい。なお、取込手段の制御または整合手段の制御を手動で制御手段に指示するには、シート取込装置あるいはこれが実装されたシート処理装置において、装置動作制御のための操作部を設ければよい。制御手段は、操作部からユーザ操作を受け付けることにより当該制御を開始する。あるいは、上記シート取込装置またはシート処理装置に通信可能に接続された情報処理装置(コンピュータ等)のユーザインタフェースから指示が入力されてもよい。具体的には、情報処理装置がディスプレイなどに制御画面を表示し、その制御画面を通じてユーザ操作を受け付けて、その操作に基づく指示情報を、接続されたシート取込装置またはシート処理装置に伝達する。これにより、シート取込装置またはシート処理装置が動作してもよい。このようにシートが継ぎ足された場合でも、その後のシート取込手段によるシート取込、またはシート搬送を良好に行うことができる。ここでいうシート取込手段とは、上述したピックアップローラが挙げられるが、これに限定されず、シート送りローラをシート取込手段としてもよいし、あるいはこのシート送りローラに対向する分離ローラを含めたシート分離給送手段をシート取込手段としてもよい。
【0111】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神および範囲から離脱することなく、様々な変更および変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0112】
本願は、2012年12月17日提出の日本国特許出願特願2012−275070号を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。