特許第6383404号(P6383404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383404ウレタン−イソシアヌレートを作製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383404
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ウレタン−イソシアヌレートを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/09 20060101AFI20180820BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20180820BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20180820BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   C08G18/09 020
   C08G18/30 020
   C08J5/00CFF
   C09D175/04
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-505512(P2016-505512)
(86)(22)【出願日】2014年3月21日
(65)【公表番号】特表2016-521298(P2016-521298A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】US2014031520
(87)【国際公開番号】WO2014160616
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/805,967
(32)【優先日】2013年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】カオル・アオウ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン・カルロス・メディーナ
(72)【発明者】
【氏名】ラジェッシュ・ピー・パラドカー
(72)【発明者】
【氏名】ドワイト・ディー・ラザム
【審査官】 柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03494888(US,A)
【文献】 特開昭59−120615(JP,A)
【文献】 特開昭62−013424(JP,A)
【文献】 特表2006−527295(JP,A)
【文献】 秋葉 光雄,ポリウレタンの劣化と安定化,日本接着学会誌,日本,2004年,vol40,No.6,p241-252
【文献】 Ivan Javni, Wei Zhang, Zoran S.Petrovic,Soybean Oil Based Polyisocyanurate Cast Resins,Journal of Applied Polymer Science,2003年,Vol 90,3333-3337
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
C08J 5/00
C09D 175/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを作製するための方法であって、
a)少なくとも1つのイソシアネート三量化触媒の存在下で、芳香族ポリイソシアネート、またはイソシアネート指数が少なくとも2.00である、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと最大200のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのポリオールとの混合物を硬化させて、少なくとも100℃のガラス転移温度を有するポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを形成することと、
b)ステップa)で形成された前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを70℃〜180℃の温度で150kPa〜5000kPaの圧力下において少なくとも部分的に液体の形態である水に曝露することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
ステップa)が、膨張剤の存在なしに実行されて、少なくとも750kg/m3の密度を有するポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを生成する、請求項1に記載の前記方法。
【請求項3】
ステップa)が、膨張剤の存在なしに実行されて、少なくとも950kg/m3の密度を有するポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを生成する、請求項2に記載の前記方法。
【請求項4】
ステップb)の後に、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーが、少なくとも750kg/m3の密度を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の前記方法。
【請求項5】
ステップb)の後に、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーが、少なくとも950kg/m3の密度を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の前記方法。
【請求項6】
ステップa)において、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと最大200のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのポリオールとの混合物が、少なくとも1つのイソシアネート三量化触媒及び少なくとも1つのウレタン触媒の存在下で硬化されて、ポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを形成する、請求項1〜5のいずれかに記載の前記方法。
【請求項7】
前記イソシアネート指数が、2.5〜6である、請求項1〜6のいずれかに記載の前記方法。
【請求項8】
ステップa)において取得される前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーの前記ガラス転移温度が、150〜225℃である、請求項1〜7のいずれかに記載の前記方法。
【請求項9】
ステップa)が、前記芳香族ポリイソシアネート、または少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの前記混合物を基材の表面にコーティングし、前記基材の表面上の前記芳香族ポリイソシアネートまたは前記混合物を硬化させて、その上のコーティングを形成することによって実行される、請求項1〜8のいずれかに記載の前記方法。
【請求項10】
ステップa)が、前記ポリイソシアヌレート、または少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの前記混合物を繊維強化材に適用し、次に、前記ポリイソシアネートまたは前記混合物を前記強化材の存在下で硬化させて、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマー中に包埋され、かつそれらによって共に結合される前記繊維強化材を含む、繊維相を含む繊維強化複合体を形成することによって実行される、請求項1〜8のいずれかに記載の前記方法。
【請求項11】
ステップb)における前記温度が、100〜130℃である、請求項1〜10のいずれかに記載の前記方法。
【請求項12】
ステップb)が、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーの前記ガラス転移温度を少なくとも5℃上昇させるのに十分な時間の間で実行される、請求項1〜11のいずれかに記載の前記方法。
【請求項13】
ステップb)が、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーをその目的とする用途において使用する間実行される、請求項1〜12のいずれかに記載の前記方法。
【請求項14】
ステップb)が、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーをその目的とする用途において使用するのとは別に、別個の製造ステップとして実行される、請求項1〜13のいずれかに記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン−イソシアヌレートポリマー及びそれらを作製するための方法に関する。
【0002】
フェノールホルムアルデヒド樹脂は、1世紀以上にわたって使用されている。これらの材料は、非常に硬い有機ポリマーである。それらは、例えば、回路板、多くの種類の電気積層板、天板、軸受けにおいて、ブレーキパッド、制輪子、及びクラッチ板等の摩擦面における結合材において、ビリヤード及びスヌーカーボールを作製するため、またそれらの硬度が望ましい特質となる他の用途において使用される。
【0003】
これらのポリマーは、残留ホルムアルデヒドをしばしば含有し、それらは、その使用可能期間中ガスを放出し得、かつ曝露問題を生み出し得る。こういった理由から、代替材料の発見が強く要望されている。しかし、フェノールホルムアルデヒドの種類の硬度に匹敵し得る他の有機ポリマーはほとんどない。
【0004】
いくつかの用途において、フェノールホルムアルデヒド樹脂は、高温、加圧、及び水分の条件に置かれる。これらの用途の例として、例えば、高温水及び/または高温蒸気用の導管として使用される複合材料、特定の海中の用途、及び使用中、蒸気または高温水に曝露される材料用のコーティングが挙げられる。これらの条件下で、この樹脂は、特性の損失を示す。それはまた、周囲の水分へと質量を失う場合がある。例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂は、高温水中に浸漬されるとき、分解物が水中に浸出し、水を乳白色に変えることがしばしば見られる。これらの用途にとって、ポリマー特性をより良好に維持する代替ポリマーが、望ましいであろう。
【0005】
一態様において、本発明は、イソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを作製する方法であり、
a)少なくとも1つのイソシアネート三量化触媒の存在下で、芳香族ポリイソシアネート、またはイソシアネート指数が少なくとも2.00である、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと最大200のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのポリオールとの混合物を硬化させて、少なくとも100℃のガラス転移温度を有するポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを形成することと、
b)ステップa)で形成されたポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを少なくとも70℃の温度で超大気圧下において水に曝露することと、を含む。
【0006】
驚くべきことに、本方法のステップa)において形成されるポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーは、高温水への曝露ステップb)中で直面する条件に対して高い耐性がある。多くの事例において、ポリイソシアネートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーのガラス転移温度は、高温水曝露ステップの結果として実際に上昇することが分かった。この効果は、極めて驚くべきことであり、容易には説明がつかない。それは、フェノールホルムアルデヒド樹脂の性能とも反する。
【0007】
高温水曝露ステップb)は、ポリマーをその目的とする用途において使用する間、及びその最終的な使用とは無関係な別個の製造ステップとして実行され得る。
【0008】
本方法のステップa)において、ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーは、芳香族ポリイソシアネート、または芳香族ポリイソシアネートとポリオールとの混合物を硬化させることによって生成される。
【0009】
芳香族ポリイソシアネートは、好ましくは約1.9〜4、及びより好ましくは2.0〜3.5の平均イソシアネート官能基数を有する。平均イソシアネート当量は、約80〜160、より好ましくは120〜150であり得る。例示的なポリイソシアネートには、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、4,4’ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、及び4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートが含まれる。例えば、尿素、ウレタン、カルボジイミド、ビウレット、アロファネート、及びウレトンイミン連鎖部を有する前述のいずれの誘導体も有用である。好ましいポリイソシアネートは、いわゆる「ポリマーMDI」生成物と呼ばれるMDIを含み、それらはMDIとポリメチレンポリフェニルイソシアネートとの混合物、ビウレット及び/またはアロファネート修飾「液体」MDI生成物等のMDIの誘導体、ならびに例えば、尿素、ウレタン、カルボジイミド、ビウレット、アロファネート、及びウレトンイミン連鎖部を有する他のMDI誘導体である。
【0010】
芳香族ポリイソシアネートは、それ自体で硬化し得るが、概して、芳香族ポリイソシアネートと1つ以上のポリオールとの混合物を硬化させることが好ましい。先の事例において、イソシアネート指数は、少なくとも2であり、少なくとも2.1、少なくとも2.5、または少なくとも3.0等の任意のより高い値であり得る。本明細書において、イソシアネート指数は、ポリオール/イソシアネート配合物中のイソシアネート官能基の活性水素に対する化学量論比である。イソシアネート指数の上限は、ポリオールが存在する場合、例えば、最大10、最大6、最大5、または最大4であってもよい。
【0011】
ポリオール(複数可)は、最大200のヒドロキシル当量を有する。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル当量は、45〜160、及びより好ましくは80〜160である。ポリオールは、好ましくは、1分子当たり2〜8個のヒドロキシル基、より好ましくは1分子当たり3〜6個のヒドロキシル基を含有する。
【0012】
好適なポリオールの例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、ショ糖、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。さらに、前述のいずれの有用なアルコキシレートも、最大200、好ましくは最大160のヒドロキシル当量を有する。アルコキシレートは、好ましくは、プロピレンオキシド及び/またはエチレンオキシドをそれぞれポリオールに添加することによって形成される。
【0013】
アニリン、トルエンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の、最大200、好ましくは45〜160、及びより好ましくは、80〜160のヒドロキシル当量を有するアンモニアのアルコキシレート、または第1級もしくは第2級アミン化合物もまた有用である。
【0014】
最大200、好ましくは最大160のヒドロキシル当量を有するポリエステルポリオールもまた有用である。
【0015】
ポリイソシアネートまたはポリイソシアネート/ポリオール混合物は、イソシアネート三量化触媒の存在下で硬化される。ポリオールが存在する場合、ウレタン触媒、すなわち、イソシアネートとヒドロキシル基との反応のための触媒が三量化触媒に加えて使用され得る。ウレタン触媒は、ポリオールが第1級ヒドロキシル基を一切有しないとき、特に好ましい。
【0016】
三量化触媒は、例えば、アルカリ金属フェノラート、アルカリ金属アルコキシド、カルボン酸アルカリ金属、四級アンモニウム塩等の強塩基を含む。中でもアルカリ金属三量化触媒は、p−ノニルフェノラートナトリウム、p−オクチルフェノラートナトリウム、p−tert−ブチルフェノラートナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、グリシンN−[(2−ヒドロキシ−5−ノニルフェニル)メチル]−N−メチル−モノナトリウム塩、p−ノニルフェノラートカリウム、p−オクチルフェノラートカリウム、p−tert−ブチルフェノラートカリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、グリシンN−[(2−ヒドロキシ−5−ノニルフェニル)メチル]−N−メチル−モノカリウム塩、p−ノニルフェノラートセシウム、p−オクチルフェノラートセシウム、p−tert−ブチルフェノラートセシウム、ギ酸セシウム、酢酸セシウム、プロピオン酸セシウム、酪酸セシウム、2−エチルヘキサン酸セシウム、及びグリシンN−[(2−ヒドロキシ−5−ノニルフェニル)メチル]−N−メチル−モノセシウム塩である。中でも有用なアンモニウム塩は、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸、(2−ヒドロキシプロピル)ギ酸トリメチルアンモニウム等である。N,N′,N”−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン等のアミノフェノール化合物もまた有用な三量化触媒である。1−エチル、2−メチル−酢酸イミダゾリウム、1,3−ジ−tert−ブチル−酢酸イミダゾリニウム、1,3−ジアダマンチル−酢酸イミダゾリウム、1,3−ジイソプロピル−酢酸イミダゾリウム1,3−ジ−tert−ブチル−酢酸イミダゾリウム、1−ブチル−3−メチル酢酸イミダゾリウム等、及び米国第2011/0201709A1号に開示されるその他のイミダゾリウムまたはイミダゾリニウム塩も、三量化触媒として使用され得る。アルカリ金属及びアンモニウム化合物は、概して好ましい。
【0017】
ウレタン触媒の例として、種々のアミン、スズカルボン酸塩;有機スズ化合物;三級ホスフィン;様々な金属キレート;塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマス、塩化ビスマス等の強酸の金属塩等が挙げられる。アミン及びスズ触媒が、概して好ましい。アミン触媒は、好ましくはアミン水素を含有しない。
【0018】
代表的なアミン触媒として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン、4,4’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−セチルN,N−ジメチルアミン、N−ココ−モルホリン、N,N−ジメチルアミノメチルN−メチルエタノールアミン、N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチルビス(アミノエチル)エーテル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)N−イソプロパノールアミン、(N,N−ジメチル)アミノ−エトキシエタノール、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7、N,N−ジモルホリノジエチルエーテル、N−メチルイミダゾール、ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミノ−2−プロパノール、テトラメチルアミノビス(プロピルアミン)、(ジメチル(アミノエトキシエチル)(ジメチルアミン)エチル)エーテル、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ビス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン、1,2−エチレンピペリジン、及びメチル−ヒドロキシエチルピペラジンが挙げられる。
【0019】
有用なスズ含有触媒の例として、2−エチルヘキサン酸第一スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメルカプチド、ジアルキルスズジアルキルメルカプト酸、酸化ジブチルスズ、ジメチルスズジメルカプチド、メルカプト酢酸ジメチルスズジイソオクチル等が挙げられる。
【0020】
三量化触媒は、例えば、ポリイソシアネート及びポリオール(存在する場合)を合わせた重量に基づいて、0.01〜5重量部の量で存在し得る。好ましい量は、同じ基準において、0.05〜1部である。さらにより好ましい量は、同じ基準において、0.1〜0.5部である。
【0021】
ウレタン触媒は、存在するとき、典型的には、三量化触媒について記載されたような量で存在する。
【0022】
種々の任意の成分は、本方法のステップa)中、反応混合物中に含まれ得る。これらは、例えば、少なくとも5の縦横比(最長対最短の直交方向の比)を有する繊維及び削片等の強化材を含む。これらの繊維及び削片は、例えば、本方法のステップa)及びb)において直面する温度で、非溶融性及び熱安定性がある(ポリアミド繊維等)、ガラス、雲母、他のセラミック繊維及び削片、カーボン繊維、有機ポリマー繊維等の無機材料であり得る。別の有用な任意の成分は、低縦横比の粒状充填剤である。かかる充填剤は、例えば、本方法のステップa)及びb)において直面する温度で、非溶融性及び熱安定性がある砂、粘土、他のミネラル、または有機ポリマーであり得る。かかる粒状充填剤は、100μm未満の粒径(ふるい分け方法による測定)を有する。
【0023】
反応混合物は、1分子当たり2つ以上のエポキシ基を有する化合物を意味するエポキシ樹脂も含有し得る。エポキシ当量は、例えば、150〜500または170〜250であり得る。エポキシ樹脂の例として、ポリフェノールのグリシジルエーテルが挙げられるが、他の種類の物質も使用され得る。エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート(複数可)、及びポリオール(複数可)を合わせた重量の最大40パーセント、好ましくは最大25パーセントの量で存在し得る。
【0024】
さらに他の有用な任意の成分には、着色料、殺生物剤、紫外線安定剤、他の防腐剤、抗酸化剤、界面活性剤等が含まれる。
【0025】
膨張剤を含むことは可能であるが、本発明において、反応混合物から膨張剤を除去することが好ましい。したがって、ステップa)において形成されるポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーは、好ましくは、少なくとも500kg/m、好ましくは少なくとも750kg/m、及びさらにより好ましくは少なくとも950kg/mの密度を有する、実質的に非細胞性ポリマーである。ポリマーの密度は、本方法のステップb)中、わずかに変化することが分かった。したがって、好ましい実施形態において、本方法のステップb)から取得されるポリマーも、少なくとも500kg/m、好ましくは少なくとも750kg/m、及びさらにより好ましくは少なくとも950kg/mの密度を有する、実質的に非細胞性である。
【0026】
芳香族ポリイソシアネート(複数可)、またはそれらとポリオール(複数可)との混合物は、本発明の第1のステップにおいて硬化される。かかる重合を実行するための方法は、当技術分野において既知である。概して、上述の反応物質及び触媒は組み合わされ、次にイソシアネート基の三量化が進行する高温に熱される。高温は、例えば、少なくとも50℃、最大180℃であり得る。
【0027】
この第1の重合ステップから取得されるポリマーのガラス転移温度は、少なくとも100℃であり、かつ250℃の高さであり得る。最も典型的には、ステップa)後のガラス転移温度は、140〜225℃、特に150〜210℃の範囲になる。
【0028】
本発明の目的のために、ガラス転移温度は、1ヘルツの振動周波数及び20℃〜200℃の3℃/秒での加熱走査速度において、動的機械的熱分析(DMTA)によって測定される。損失正接曲線のピークに対応する温度を、試験された標品のガラス転移温度(T)として解釈する。
【0029】
重合ステップa)は、種々の方法において実行され得る。成形生成物が所望される場合、反応混合物は、好適な成形型中に導入され、その中で硬化され得る。反応混合物は、基材の表面上でコーティングを形成するために、任意の好適な基材の表面上に適用され得、その上で硬化され得る。反応混合物は、複合体を形成するために、基材材料または強化材料を含浸させるのに使用され得、次に基材の存在下で硬化され得る。
【0030】
この重合ステップa)は、2つ以上のサブステップにおいて実行され得る。例えば、反応混合物は、第1のサブステップにおいてそれがゲル化する時点まで硬化され得、前述の高いガラス転移温度ポリマーの発生をもたらす次の硬化サブステップ前に処置及び/またはさらに形づくられ得る半固体または固体材料を形成するのに十分なまでにその硬化を進める。この方法は、例えば、種々の種類の強化複合体を形成するために好適である。この方法は、成形生成物を作製するためにも適している。反応混合物は、ポリマーを永続的な歪みまたは損傷無しに離型できるのに十分な強度をそれが取得するまで成形型中で重合され得、その後、成形型外で後硬化させて、重合ステップを完了する。
【0031】
ステップa)において取得されるポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーは、少なくとも70℃の温度で超大気圧下において水に曝露される。このステップ(ステップb))中の温度は、180℃の高さであってもよいが、好ましくは160℃を超えず、より好ましくは最大140℃である。このステップ中の好ましい温度は、100〜130℃である。圧力は、1大気圧(101.325kPa)を超え、任意のより高い値で有り得る。しかし、典型的には、100大気圧(約10,000kPa)を超える圧力は、追加の利点を提供しない。圧力は、例えば、150kPa〜5000kPa、または200kPa〜5000kPaに及び得る。
【0032】
ステップb)において、水は、液体または気体の形態で提供され得る。気体として提供される場合、その空気は、好ましくは、水で飽和されるか、または超飽和される。水を少なくとも部分的に液体として提供することが好ましい。温度が、100℃以上である場合、超大気圧が、水を少なくとも部分的に液体として維持するのに十分であることが好ましい。
【0033】
本方法のステップb)の処置時間は、例えば、1時間〜数日またはそれ以上に及び得る。ステップb)は、材料の使用中、無期限に実行され得る。ステップb)が、別個のステップとして実行される場合、それは、例えば、1時間〜15日の間、12時間〜10日のより好ましい間で実行され得る。好ましい実施形態において、ステップb)は、ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーのガラス転移温度を少なくとも5℃上昇させるのに十分な時間の間で実行される。
【0034】
本方法のステップb)は、別個の生成ステップとして、すなわち、ポリマーをその目的とする用途において使用するのとは別に及びその前に実行される製造ステップとして実行され得る。しかし、多くの事例において、ステップb)は、ポリマーの通常使用の中で実行される。例えば、ポリマーは、本方法のステップb)の要件を満たす高温、超大気湿度、または超大気水分条件の下で使用され得る。前述のように、水が気体の形態である場合、その気体は、好ましくは、水で飽和されるかまたは超飽和される。かかる最終使用の例として、例えば、加圧滅菌可能コーティング、高温水性液用の配管または他の導管(例えば、海中生成導管)、化学的処理配管、冷水導管、または本生成物が高温及び高湿度の条件、もしくは液体の水に曝露される他の用途が挙げられる。
【0035】
本発明の驚くべき特徴は、ステップa)において形成されるポリマーが、ステップb)において見られるように、水及び高温への曝露時の物理的特性の損失に対して非常に耐性があるということである。多くの場合、ポリマーのガラス転移温度は、実際にはステップb)中に上昇し、これは非常に驚くべき、かつ予想外のことである。例えば、いくつかの実施形態においてガラス転移温度は、5℃以上、10℃以上、及び30℃も、50℃も、またはさらに70℃も上昇し得る。ガラス転移温度におけるこの上昇は、容易には説明がつかない。ガラス転移温度が、本ステップ中に上昇しない場合でさえも、それはほぼ一定を保つか、または低下しても、最大10℃以下、または5℃以下等、わずかである傾向がある。典型的には、ステップb)後に取得されるポリイソシアヌレートまたはポリイソシアヌレート−ウレタンポリマーは、少なくとも150℃、160〜250℃の値のガラス転移温度を有し、特に典型的には160〜220℃である。
【0036】
ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーは、いくつかの実施形態において、基材上のコーティングとして形成される。基材は、大きなブロックから繊維まで、例えば、砂粒子等の粒子状までの範囲の、任意の便宜的なサイズ及び幾何学的形状であり得る。かかる粒状基材は、ふるい分け方法によって測定される少なくとも100μmの粒径を有する。ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーのコーティングは、前述したように反応混合物を基材の表面(複数可)に適用し、その反応混合物が基材表面(複数可)上にある間に、上述のステップa)及びb)を実行することによって形成され得る。かかるコーティング操作は、(より大きな基材に好適な)成形型において実行され得るか、または基材の表面に反応混合物を適用するための様々な噴霧、塗装、または他のコーティング技術を使用して実行され得る。基材は、それらを反応混合物中に浸漬することによってコーティングされ得る。
【0037】
コーティングされた粒子を形成するために、反応混合物は、上述されたものを含む任意の便宜的な方法を使用して基材粒子に適用され得る。次に、本方法のステップa)は、重合を実行する前に、反応混合物でコーティングされた粒子を分離することによって、及び/または反応混合物が硬化する際、望まれない凝集を防ぐために基材粒子を撹拌することによって実行され得る。凝集されたまたは部分的に凝集された塊を形成するために、反応混合物によってコーティングされた粒子上でステップa)を実行することも可能であり、この塊は、その後、ステップa)またはステップb)が完了した後に別個の断片に砕かれる。
【0038】
幅広い種類の材料が、かかる基材として使用され得る。必要なことは、基材がコーティングプロセスの条件下で固体であること、及び基材が硬化反応の条件下で溶解、または不所望に分解、または反応しないことのみである。基材は、反応混合物の1つ以上の成分と反応して、基材とコーティングとの間の結合を形成し得る。基材の例は、例えば、金属、セラミック材料、砂、粘度、岩、石、他の有機ポリマー、木または他の植物材料、様々な複合体材料、及び同様物を含む。コーティングの厚さは、例えば、特定の用途にとって所望であるような、0.1μm〜15cm以上の範囲であり得る。特定の用途において、コーティングの厚さは、100μm〜2.5mm、または250μm〜1mmであり得る。
【0039】
本発明の他の実施形態において、前述された反応混合物は、繊維強化材に適用され、次に繊維強化複合体を形成するために、ステップa)を実行することよって重合される。かかる事例における繊維強化複合体は、ポリマー相、及び繊維強化材を含む繊維相を有する。繊維相は、反応混合物を重合することによって(ステップa)形成されたポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマー相中に包埋され、かつそれらによって共に結合される。かかる繊維強化複合体は、例えば、特に高温水性液用、しかしまた種々の気体及び液体を含む他の流体用の導管として、回路板用の基材として、車両、工作機械、機械化された装置等の構造体の構成要素として有用である。かかる複合体を作製する上で、ステップb)は、複合体の通常使用中に実行され得、この事例において、かかる使用は、本明細書に記載されるような温度、圧力、及び水分の条件に複合体をかける。あるいは、ステップb)は、別個の製造ステップとして実行され得る。
【0040】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供され、その範囲を限定するものではない。全ての部及びパーセンテージは、別途示されない限り、重量による。
【実施例】
【0041】
ポリイソシアヌレート(実施例9)及びポリイソシアヌレート−ポリウレタンポリマーは、以下の一般的な方法において調製される。
【0042】
ステップa)に関して、ポリオール(有る場合)を、高速ラボラトリー混合器(FlackTek SpeedMixer)の混合カップ中に満たす。次に、触媒(複数可)をポリオール中に添加し、800rpmで5秒間、その後2000rpmで10秒間完全に混合する。続いて、ポリイソシアネートを混合カップ中に添加し、同じ混合条件で他の成分と混合する。離型剤(STONER E236離型)で前もって噴霧しておいた直径14cm及び深さ0.5cmの円形鋼成形型上に得られた反応混合物を移す。各事例における反応混合物の量は、約50グラムである。離型するのに十分な程反応混合物が硬化するまで、それを加熱せずに硬化させる。続いて、各事例において得られた成形物を、以下に示される時間及び温度の条件の下、空気中で後硬化させる。
【0043】
試料を各成形物質から切り取る。いくつかの試料を動的機械的熱分析(DMTA)にかける。1秒−1の振動周波数及び3℃/分の加熱速度を用いてDMTA測定を行う。各事例において、損失正接曲線のピークとしてガラス転移温度を取る。貯蔵弾性率を50℃及び121℃で測定する。
【0044】
ステップb)をステップa)で作製された成形物質から切り取られた試料上で実行する。Parr反応器中で、試料を脱イオン水中に浸漬する。その上部空間を500psi(3450kPa)まで窒素で満たし、3回放出して、残留酸素を一掃した。次に、その上部空間を再度500psi(3450kPa)まで窒素で満たし、封止した。続いて、封止した反応器を7日間121℃に熱する。反応器の内容物を室温にする。その後、試料を取り出し、前述のようにDMTA分析にかけるまで50℃のオーブン内で脱イオン水中に浸す。DMTA分析直前に、試料を50℃の水浴から取り出す。ガラス転移温度を測定し、50℃及び121℃の両方における貯蔵弾性率G′も同様にする。
【0045】
以下の実施例において使用される材料は以下の通りである。
ポリオールAは、85のヒドロキシル当量を有するポリ(プロピレンオキシド)トリオールである。
ポリオールBは、1,4−ブタンジオールである。
ポリオールCは、グリセリンである。
ポリオールDは、トリメチロールプロパンである。
ポリイソシアネートAは、136.5のイソシアネート当量及び3.0のわずかなイソシアネート官能基数を有するポリマーMDIである。
ポリイソシアネートBは、131.5のイソシアネート当量及び2.3のわずかなイソシアネート官能基数を有するポリマーMDIである。
ポリイソシアネートCは、134のイソシアネート当量及び2.7のわずかなイソシアネート官能基数を有するポリマーMDIである。
三量化触媒Aは、エチレングリコール中の(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩溶液であり、DABCO(登録商標)TMR触媒としてAir Products and Chemicalsから入手可能である。
三量化触媒Bは、エチレングリコール中の酢酸カリウムの溶液である。それは、Polycat(登録商標)46触媒としてAir Products and Chemicalsから入手可能である。
三量化触媒Cは、三量化触媒のブレンドであり、PEL−CAT9887−EとしてEle Corporationから入手可能である。
三量化触媒Dは、三量化触媒のブレンドであり、PEL−CAT9887−GとしてEle Corporationから入手可能である。
ウレタン触媒Aは、DABCO(登録商標)T−12としてAir Products and Chemicalsによって販売されるジブチルスズジラウレート触媒である。
ウレタン触媒Bは、ジプロピレングリコール中のトリエチレンジアミンの33%重量溶液である。
エポキシ樹脂は、180のエポキシ当量を有するビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0046】
実施例1及び比較試料A、B、及びC
実施例1、ならびに比較試料A、B、及びCの配合及び試験結果は、表1に記載される。
【0047】
【表1】
【0048】
比較試料A、B、及びCは、三量化触媒が無い状態において、変化するイソシアネート指数の影響を示す。見られるように、イソシアネート指数の変化は後硬化試料のガラス温度にほとんど影響を有しない。各事例において、ガラス転移温度は、後硬化時間における著しい違い及び後硬化温度におけるより小さな違いにも関わらず、162〜166℃の小さな範囲内で低下する。比較試料B(それは比較試料A及びCと比較可能である)の高いガラス転移温度は、比較試料Bにおいて用いられた比較的軽度の後硬化条件が、ほぼ完全な硬化を達成するのに十分であることを示す。
【0049】
高湿度老化の影響は、121℃におけるG′及びガラス転移温度の変化によって示される。最良の比較試料(C)において、ガラス転移温度は150℃未満まで降下(23℃の損失)し、G′は、約70%低減される。比較試料A及びBの成績は、それよりもさらに悪い。
【0050】
実施例1の成績は、全く異なる。高湿度老化後、実施例1の材料のガラス転移温度は、現に上昇し、極めて実質的には203℃まで上昇する。この値は、どの他の試料よりも、より適切に言えばそれらの高湿度老化前よりもはるかに高い。121℃G′も上昇し、これは比較試料の作用に反する。
【0051】
実施例2〜9及び比較試料D
実施例2〜9及び比較試料Dの配合及び試験結果は、表2に記載される。
【0052】
【表2】
【0053】
比較試料Dを、1.50指数、及び三量化触媒の存在下で作製する。この指数において、ガラス転移温度及び121℃G′の大きな損失が高湿度老化後に見られる。対照的に、実施例2〜8の各々において、ガラス転移温度は、高湿度老化後に上昇する。いくつかの実例において、これらの実施例の121℃G′値は、対応する後硬化試料の121℃G′値よりもより高く、他の実例においてはより低い。しかし、全ての事例において、それらは比較試料Dよりもはるかに高く、そうでない場合、通常は1桁近く高い。実施例9は、ポリイソシアヌレート−ウレタンではなくポリイソシアヌレートであるという点において、他と異なる。この実施例は、後硬化後に、特に高いガラス転移温度を発生させる。高湿度老化後、ガラス転移温度のある程度の損失が見られるが、それにも関わらず、ガラス転移温度は、どの他の試料よりも高いままである。
【0054】
実施例10〜14
実施例10〜14の配合及び試験結果は、表3に記載される。
【0055】
【表3】
【0056】
前述の実施例の通り、高湿度老化ステップ後、ガラス転移温度は、比較的小さなG′の低下を伴って上昇する。G′は、実施例13では実際には上昇する。
【0057】
実施例15〜19
実施例10〜14の配合及び試験結果は、表3に記載される。
【0058】
【表3】
【0059】
ガラス転移温度は、実施例15を除く各事例において高湿度老化ステップ後に上昇する。これらの試料は、G′の上昇を示す。
なお、本発明には以下の実施形態が包含されることとする。
[1]イソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを作製するための方法であって、
a)少なくとも1つのイソシアネート三量化触媒の存在下で、芳香族ポリイソシアネート、またはイソシアネート指数が少なくとも2.00である、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと最大200のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのポリオールとの混合物を硬化させて、少なくとも100℃のガラス転移温度を有するポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを形成することと、
b)ステップa)で形成された前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを少なくとも70℃の温度で超大気圧下において水に曝露することと、を含む、前記方法。
[2]ステップa)が、膨張剤の存在なしに実行されて、少なくとも750kg/m3の密度を有するポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを生成する、[1]に記載の前記方法。
[3]ステップa)が、膨張剤の存在なしに実行されて、少なくとも950kg/m3の密度を有するポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを生成する、[2]に記載の前記方法。
[4]ステップb)の後に、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーが、少なくとも750kg/m3の密度を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の前記方法。
[5] ステップb)の後に、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーが、少なくとも950kg/m3の密度を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の前記方法。
[6]ステップa)において、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと最大2.0のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのポリオールとの混合物が、少なくとも1つのイソシアネート三量化触媒及び少なくとも1つのウレタン触媒の存在下で硬化されて、ポリウレタン−イソシアヌレートポリマーを形成する、[1]〜[5]のいずれかに記載の前記方法。
[7]前記イソシアネート指数が、2.5〜6である、[1]〜[6]のいずれかに記載の前記方法。
[8]ステップa)において取得される前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーの前記ガラス転移温度が、150〜225℃である、[1]〜[7]のいずれかに記載の前記方法。
[9]ステップa)が、前記芳香族ポリイソシアネート、または少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの前記混合物を基材の表面にコーティングし、前記基材の表面上の前記芳香族ポリイソシアネートまたは前記混合物を硬化させて、その上のコーティングを形成することによって実行される、[1]〜[8]のいずれかに記載の前記方法。
[10]ステップa)が、前記ポリイソシアヌレート、または少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの前記混合物を繊維強化材に適用し、次に、前記ポリイソシアネートまたは前記混合物を前記強化材の存在下で硬化させて、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマー中に包埋され、かつそれらによって共に結合される前記繊維強化材を含む、繊維相を含む繊維強化複合体を形成することによって実行される、[1]〜[8]のいずれかに記載の前記方法。
[11]ステップb)における前記温度が、最大180℃である、[1]〜[10]のいずれかに記載の前記方法。
[12]ステップb)における前記温度が、100〜130℃である、[11]に記載の前記方法。
[13]ステップb)における前記圧力が、150kPa〜5000kPaである、[1]〜[12]のいずれかに記載の前記方法。
[14]ステップb)において、前記水が、少なくとも部分的に液体の形態である、[1]〜[13]のいずれかに記載の前記方法。
[15]ステップb)が、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーの前記ガラス転移温度を少なくとも5℃上昇させるのに十分な時間の間で実行される、[1]〜[14]のいずれかに記載の前記方法。
[16]ステップb)が、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーをその目的とする用途において使用する間実行される、[1]〜[15]のいずれかに記載の前記方法。
[17]ステップb)が、前記ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン−イソシアヌレートポリマーをその目的とする用途において使用するのとは別に、別個の製造ステップとして実行される、[1]〜[16]のいずれかに記載の前記方法。