(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383411
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】多孔性のシリコン層を連続的に製造する装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3063 20060101AFI20180820BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20180820BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20180820BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
H01L21/306 L
H01L21/68 A
H01L31/04 400
H01L21/306 B
【請求項の数】25
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-519788(P2016-519788)
(86)(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公表番号】特表2016-540369(P2016-540369A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2014070804
(87)【国際公開番号】WO2015049205
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2017年1月12日
(31)【優先権主張番号】102013219886.8
(32)【優先日】2013年10月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504174917
【氏名又は名称】フラウンホッファー−ゲゼルシャフト・ツァー・フォデラング・デル・アンゲワンテン・フォーシュング・エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーバー シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】リンデクーゲル シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンツ シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】パブロヴィッチ レジーナ
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−539324(JP,A)
【文献】
特開2003−092285(JP,A)
【文献】
特表2012−515453(JP,A)
【文献】
特開2008−025030(JP,A)
【文献】
特開平07−254729(JP,A)
【文献】
特開2010−129630(JP,A)
【文献】
特開平10−081998(JP,A)
【文献】
特開2000−349319(JP,A)
【文献】
特開2010−251647(JP,A)
【文献】
特開平09−116181(JP,A)
【文献】
特開2007−281448(JP,A)
【文献】
特開平08−333696(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/071239(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306−21/3063、21/308、
21/465−21/467、21/67−21/683、
31/04−31/06、51/42、
C23F 1/00− 4/04、
C25D 5/00− 7/12、
C25F 1/00− 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンから作られたワークピースあるいはシリコンコーティングを有するワークピースに、一側エッチングにより多孔性シリコン層を連続的に製造する装置であって、
前記ワークピースを連続的に搬送する少なくとも一つの搬送装置と、
電解液と、エッチングされるべきワークピースの一面のみを前記電解液で湿潤することができるように配置されたカソードとを備える一つより多いエッチング室と、
エッチングされない面上の接点ユニットを介してワークピースと電気的に接触されるアノードとを備え、
前記エッチング室は、ワークピースの下方に配置されている多孔性シリコン層を連続的に製造する装置。
【請求項2】
前記カソードは、平坦な電極、電極金網、個々の電極ワイヤ又はその組み合わせ、および、プラチナ、ニッケル合金および/又はガラス質のカーボンから成るカソードの材料のグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
エッチングされるべきワークピースの面に対する少なくとも一つのカソードの間隔は、1乃至500mmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至2の1項に記載の装置。
【請求項4】
エッチングされるべきワークピースの面に対する少なくとも一つのカソードの間隔は、10乃至100mmの範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つのアノードは、摺動接触、転動接触、又は回転接触として構成され、該少なくとも一つのアノードの材料は、プラチナ、ニッケル合金、耐腐食ステンレススチール、チタン、アルミニウム、グラファイトおよび/又はガラス質のカーボンから成ることを特徴とする請求項1乃至4の1項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのアノードの接点ユニットは、露出された接点材料が電解液又はその反応蒸気と接触しないように、保護ガスで浄化されることを特徴とする請求項1乃至5の1項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのアノードの接点ユニットは、露出された接点材料が電解液又はその反応蒸気と接触しないように、エア又は窒素で浄化されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
装置が、表面処理、リンス又は乾燥のための更なる調整又は後処理ユニットに接続されることを特徴とする請求項1乃至7の1項に記載の装置。
【請求項9】
装置が、多孔性シリコン層を熱的に再構成するために、ワークピースの温度制御のための温度又はパワー制御を有する更なるユニットおよび前側の少なくとも加熱部分の制御ガス雰囲気をエアロックによって発生する装置に接続されることを特徴とする請求項1乃至8の1項に記載の装置。
【請求項10】
前記熱的に再構成するユニットが、多孔性シリコン層を再構成するのに必要な温度を調整する平面又は集光ランプを有し、該ランプは、ハロゲンランプ、LEDランプ又は半導体レーザのグループから選択されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ワークピースは、シリコンから作られ前側と後側とを有する平坦なディスクであり、前記搬送装置は、前記平坦なディスクの水平搬送を行い、エッチングされるべき面は、平坦なディスクの前側であり、電解液と接触しない後側は、接点ユニットを介してアノードと電気的に接触されることを特徴とする請求項1乃至10の1項に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの搬送装置は、ローラ搬送、エア/流体クッション搬送又は摺動搬送から成るグループから選択されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ワークピースが、シリコンインゴットの円筒体であり、前記搬送装置が前記円筒体の回転を行い、エッチングされるべき面は前記円筒体の外面であり、前記円筒体は、エッチングされない面の接点ユニットを介してアノードと電気的に接触されることを特徴とする請求項1乃至10の1項に記載の装置。
【請求項14】
前記カソードは、凹面を有し、カソードが前記円筒体の外面領域に対して均一な間隔を有するように、該カソードの前記凹面の曲率は、前記円筒体の外面領域の曲率に適合されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
シリコンから作られたワークピースあるいはシリコンコーティングを有するワークピースに、一側エッチングにより多孔性シリコン層を連続的に製造する方法であって、少なくとも一つのワークピースを、電解液とカソードを備える一つより多いエッチング室を通過させて該ワークピースの面がエッチングされるように少なくとも一つの搬送装置によって案内し、エッチングされるべき面のみが電解液で湿潤され、ワークピースがエッチングされない面上の接点ユニットを介してアノードに電気的に接触され、この結果として、表面の電気化学的エッチングが可能とされ、前記エッチング室は、ワークピースの下方に配置されている多孔性シリコン層を連続的に製造する方法。
【請求項16】
前記電気化学的エッチングが、0.1乃至1000mA/cm2のエッチング電流で実行されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電気化学的エッチングが、5乃至500mA/cm2のエッチング電流で実行されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電解液は、フッ化水素酸および少なくとも一種類のアルコール又は界面活性剤、エタノール、アセト窒化物、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、酢酸、および界面活性剤、シロキサンおよびポリアルキレンオキシド重合体の混合物を備えることを特徴とする請求項15乃至17の1項に記載の方法。
【請求項19】
前記電解液の対流が泡の形成を避けるために行われることを特徴とする請求項15乃至18の1項に記載の方法。
【請求項20】
シリコンから作られたワークピースあるいはシリコンコーティングを有するワークピースには、電子欠落(孔)を生じさせるために光が放射され、該光は、200nmおよび1200nmとの間の波長を有することを特徴とする請求項15乃至19の1項に記載の方法。
【請求項21】
シリコンから作られたワークピースあるいはシリコンコーティングを有するワークピースには、電子欠落(孔)を生じさせるために光が放射され、該光は、400nmおよび1100nmとの間の波長を有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ワークピースは、平坦なディスク、50μm乃至500mmの厚さを有し前側と後側とを有するシリコンから作られ前側と後側とを有するシリコンディスクであり、前記平坦なディスクは、前記平坦なディスクの搬送が水平に行われ、前記平坦なディスクの前側が、エッチングされ、該平坦なディスクは、エッチングされない領域における接点ユニットを介してアノードと電気的に接触されることを特徴とする請求項15乃至21の1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ワークピースが、シリコンインゴットの円筒体であり、前記搬送装置が円筒体の回転を行い、エッチングされるべき面が、円筒体の外面領域であり、前記円筒体は、エッチングされない面の接点ユニットを介してアノードと電気的に接触されることを特徴とする請求項15乃至21の1項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1乃至12の1項に係る装置が用いられることを特徴とする請求項15乃至23の1項に記載の方法。
【請求項25】
PVセル又はSi−Li電池又はSi−エア電池の電極を製造するための請求項1乃至14の1項に記載の装置の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンから作られたワークピース又はシリコンコーティングを有するワークピースに多孔性のシリコン層(一層又は多層)を連続的に製造する装置および方法に関する。これにより、本発明に係る方法は、一側エッチング方法に基づいており、ワークピースを搬送装置によって水平に案内し、ワークピースの前側を、電解液とカソードとを備える少なくとも一つのエッチング室を通してエッチングする。この方法は、特に、PVセル(太陽電池)の製造に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
多孔性のシリコンは、マイクロシステム技術のすべてに用いられる材料であり、センサの例に用いられている。太陽光発電のため、多孔性シリコンが、例えば、ブラッグリフレクタのための多重積層として、又はエピタキシープロセッサのための核形成層であって続いて分離される機械的に脆弱な二重層として、種々の適用に検討されてきた。
【0003】
多孔性シリコンから作られた層の製造は、当初、無電流エッチングによって行われた。この点について、二つの異なる方法が、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0004】
特許文献2には、ウエハの下側がエッチングソルーション(エッチング液)に接触されてメニスカスが形成される方法が記載されている。ウエハの下側は、全工程時間に亘ってエッチング液と連続的に接触する。特許文献1には、ウエハの下側とエッチング液との間に連続的な接触がない方法が記載されている。エッチング液は、回転搬送ローラの特定の輪郭によってウエハの下側に配置されるが、ウエハは、同時に水平方向に徐々に移動される。ウエハの下側には液膜が形成される。
【0005】
エッチング反応によって、とりわけ、窒素酸化物(NOxガス)が生成され、この窒素酸化物は、工程モジュールのガス室に一部通過してエッチング液で部分的に溶解される。フッ化水素酸蒸気と結合した窒素酸化物は、HF(フッ化水素酸)プロポーション(比率)によって、シリコン、特に、例えば、エミッタの如き高度ドープシリコン、同様に、燐酸ケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩にエッチング影響を及ぼす。エミッタ側の所望でないエッチングを避けるため(不均一のため)、反応蒸気を工程室から吸出すか又は添加剤がガス形成を回避するために工程の媒体に添加される。
【0006】
特許文献3には、一側エッチング工程の前に所定量の水がウエハの上側に適用される方法が記載されている。この水は、フッ化ウエハ面(燐酸あるいはホウケイ酸塩ガラス)に亘って拡散され、これによって、エッチング蒸気に抗して保護する層が形成される。
【0007】
特許文献4には、一側エッチング方法が記載され、この方法では、希釈されたフッ化水素酸の処理を進行後、エッジ隔離工程中、面が疎水化されるか又は疎水のままであるように、気相の組成が工程の媒体によって影響される。尚、酸性媒体のみが記載されている。
【0008】
同様に、エミッタの後側エッチングを企図する反応蒸気を用いることができる。このような方法が特許文献5に記載されている。エミッタ側ができるだけ均一にエッチングされるためには反応蒸気が相応して吸出され、又は不活性ガスが、工程媒体を介して気相に添加して供給され、又はHF又はオゾンの如き反応ガスが、添加して供給される。任意に、後続エッチング工程の調整能力を改善するために、液体として、又は気相において、好ましくは、HFおよびオゾンによる追加のエッチングステップが、エミッタの後方エッチングのために行われることが指摘されている。高度ドップの最上エミッタ層を除去する結果として、生成された電荷キャリアの表面再結合が減少され従って太陽電池の効率が向上されるので、均一に制御された後方エッチングをエミッタに行うことが要望されている。通常では、エッジ隔離とエミッタ後側エッチングとは、異なるエッチング液で二つの別個の工程モジュールおいて実行されている。提案されているエッチング媒体は酸性である。
【0009】
最近、無電流エッチングは、ほとんど全体的に、フッ化水素酸およびエタノールを含む電解液の電気化学的エッチングに置換されている。すべての電気化学的エッチングでは、カソードおよびアノードが二つのウエハ面と接触され、これは、金属-半導体接点によって直接にあるいは金属/グラファイト-電解液-半導体接点によって間接に行われる。上記従来技術から知られた更なる変形は、二つの電極の一つの接触がウエハのエッジで行われることを提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第10 2005 062 528号明細書
【特許文献2】ドイツ特許第103 13 127号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第10 2009 050 845号明細書
【特許文献4】ドイツ特許出願公開第10 2008 037 404号明細書
【特許文献5】国際公開 WO2011/035748A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、ウエハの形状に適合するすべてのユニットは、共通して、ウエハを、全面上に、あるいは大きな複雑さのみをもってエッチングすることができない欠点を有する。接触が、例えばクランプによってエッジにおいてなされる場合、ウエハの接触領域がエッチングされないままでなければならない。しかしながら、接触が面によってなされる場合には、ウエハ又は電解液接点には、少なくとも一側に電解液の漏れを避けるためのシールリングと短絡回路とが設けられる。減少した処理能力に加えて対処することは、ウエハを変更する前に、有毒な電解液を複雑な態様で除去しなければならないことである。
【0012】
従って、エッチング面が、実際に、ウエハのエッジの周りに巻き込むことなく、一側に形成される多孔性シリコンを製造する方法が求められている。絶対的に言えば、例えば、太陽電池の如き平坦な部品に適用するために必須なことは、この目的のためきわめて高い処理能力を可能とする装置にある。光発電、例えば、ウエット化学工程に用いられる工程ユニットは、現時点で、1時間当り約1000個のウエハの処理能力を有する。
【0013】
更なる問題点は、使用される電極が、腐食防止のために、貴金属、一般にはプラチナ、又は超密なカーボン(所謂、ガラス質カーボン)から形成されなければならないことである。現存するユニットは、全て、平坦な電極のために設計されている。これは、静的態様で保持されたウエハが層均一化のため、できるだけ均一のある電気分野でエッチングされなければならないからである。高処理能力ユニットのために、電極材料の必要な量は、コストを高めることを推進し、これは非経済的な工程に導くことになる。
【0014】
多孔性シリコン層を製造する回転コンテナで生ずる静的な方法又は装置は、更なる挑戦として、形成された水素の泡によってエッチングされるべき面が電気的に邪魔されることである。この問題は、通常、電解液の強度な対流又は垂直(縦)の工程配置によって解決される。
【0015】
上記従来技術で発生している問題点から開始して、本発明の目的は、多孔性層を、一側の全面に亘って製造し、無視し得るほど小さいエッジの巻き込みのみを行い、シールリングによる接点電極の分離を必要としない方法を提供することである。本発明の更なる目的は、相応する装置のスケーラビリティ(可変能力)を達成し且つ多層のエッチング工程を簡易に実行することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置および請求項13の特徴を有する方法によって達成される。更なる従属項が有益な改良を明記している。請求項21では、本発明に係る用途が明記されている。
【0017】
本発明によれば、シリコンから作られたワークピースあるいはシリコンコーティングを有するワークピースに、一側エッチングにより多孔性シリコン層を連続的に製造する装置が提供される。この装置は、以下の構成を含む。
―前記ワークピースを連続的に搬送する少なくとも一つの搬送装置、
―電解液とエッチングされるべきワークピースの一面のみを前記電解液で湿潤することができるように配置されたカソードとを備える少なくとも一つのエッチング室、
―エッチングされない面上の接点ユニットを介してワークピースと電気的に接触されるアノード。
【0018】
好ましくは、エッチング室はワークピースの下方に配置されている。従来技術によれば、コーティング中、不均一さを避けるため何らかの泡を頂部で放出することができるように、エッチング室は、これまで、常時ワークピースの上方に配置されてきた。意外にも、サンプル搬送によりおよび部分的にも本発明に係る配置によるエッチング室内の電解液の強制対流によって、均一なエッチングが可能であるように、エッチングされるべきワークピースの側面に泡を配置することを止めることが確立することができた。その結果、エッチング室がワークピースの上方に配置された従来技術のように複雑なシーリングを排除することができる経済的なエッチング室の使用を可能にする。本発明に係るこの変形の更なる利点は、互いに間隔をあけて搬送される個別のワークピースを機械加工することができる上、エンドレス(無端)ワークピースを従来技術に基づいて用いることができる。更なる利点は、本発明に係るこの変形がワークピースの形状について新しい可能性を実現できることにある。エッチング室をワークピースの上方に配置する場合、ランニングベルトの幅が狭い限界値内で特定され、ワークピースの幅を、本発明に係る方法の場合にきわめて変化可能である。更なる利点は、本発明に係るワークピースの下方に配置されたエッチング室によって、明確なシーリング面が存在しないが、これに対し、電解液コンテナとエッチングされるべきワークピースの側面との間の間隔を設定することができることにある。このギャップは、ポンプによって作動される電解液のオーバーフローによって閉じられる。このことは、また、粗面、波状面又は曲面を有するワークピースを接近させることができる。
【0019】
シリコンコーティングを有するワークピースのため、ワークピース自体を任意の材料から選択することができる。従って、ワークピースは、好ましくは、50μmと500mmとの間の厚みを有することができ、このワークピースは、ウエハとして、又は固体スラブとして、又はその両方を有することができる。これによって、特にシリコンから作られたワークピースは、好ましくは、0.1Ωcm以下の特定の抵抗で高度にドープされる。
【0020】
この結果、本発明に係る装置は、ワークピースがそれを通過するときに電気化学的にエッチングされる多孔性シリコン層の製造方法を可能とする。従って、エッチングは一側におよび好ましくは全面に亘って行われる。それによって、本発明に係る装置を、高スループットレート(高処理率)でワークピースの一側処理に用いられるユニット、例えば、連続電気メッキプラントに基づくことができる。
【0021】
本発明に係る装置の更なる重要な利点は、ワークピース上のシール要素を全体的に省略することができ、ユニットをより簡易に扱うことができることにある。
【0022】
本発明に係る装置は、搬送方向におけるエッチング電流密度の不均一さがワークピースの各点から生じて平均アウトされるため、この不均一さが補償されるので、きわめて均一な厚みのある多孔性シリコン層を可能にさせる。
【0023】
好ましくは、平坦な電極又は電極金網がカソードとして用いられる。しかし、好ましくは、搬送方向に対し垂直に配置されたカソードの如く個々の電極ワイヤを同様に用いることができる。これによって、カソードの材料は、好ましくは、プラチナ、ニッケル合金および/又はガラス質カーボンから成る。
【0024】
従って、エッチングされるべきワークピースの面に対するカソードの間隔は、好ましくは、1乃至500mm、特に好ましくは、10乃至100mmの範囲で選択される。
【0025】
少なくとも一つのアノードは、好ましくは、摺動接点、転動接点又は回転接点として構成される。これによって、少なくとも一つのアノードの材料は、好ましくは、プラチナ、ニッケル合金、耐腐食ステンレススチール、チタン、アルミニウム、グラファイトおよび/又はガラス質のカーボンから作られている。
【0026】
更なる好ましい実施例は、少なくとも一つのアノードの接点ユニットが保護ガスで浄化されることを提供する。ここでは、好ましくは、エア又は窒素が保護ガスとして用いられる。このように、露出された接点材料が電解液の蒸気又は反応蒸気に接触していないことが可能となる。この変形は、特に、可燃性成分、例えば、可燃性界面活性剤を有する電解液が用いられるときに有効である。
【0027】
本発明に係る装置を、好ましくは、他の調整又は後処理ユニットに接続することができる。ここでは、面処理のユニット、リンスしまたは乾燥するユニットが特に関連する。特に、これは、ワークピースの面を作成する無電流ダメージエッチング又はワークピースの後処理のための超高純度水リンスユニット又は乾燥ユニットに関連することができる。
【0028】
好ましい実施例において、本発明に係る装置は、多孔性シリコン層の熱的再構成のための更なるユニットに接続される。このような熱的再構成ユニットは、好ましくは、ワークピースの温度-制御のための温度又はパワー制御を有する。同様に、このユニットは、前側の少なくとも加熱部分に制御されたガス雰囲気を生成する装置を含む。これは、例えば、エアロックによって形成される。熱的再構成ユニットは、好ましくは、多孔性シリコン層の再構成に必要な温度を調節するための平面又は集光ランプを有する。これによって、このランプは、好ましくは、ハロゲンランプ、LEDランプ又は半導体レーザから選択される。
【0029】
方法の更なる好ましい実施例では、ワークピースは、平坦なディスクであり、特に、シリコンから作られ、前側と後側とを有し、搬送装置は、平坦なディスクの水平搬送を行い、エッチングされるべき面は、平坦なディスクの前側であり、電解液と接触しない後側は、接点ユニットを介してアノードと電気的に接触される。
【0030】
搬送装置は、好ましくは、ローラ搬送、エア/流体クッション搬送又は摺動搬送に関する。
【0031】
本発明に係る更なる実施例は、ワークピースが円筒体、特に、シリコンインゴットであり、搬送装置が円筒体の回転を行う。エッチングされるべき面は、円筒体の外面領域であり、円筒体は、エッチングされない面の接点ユニットを介してアノードと電気的に接触される。
【0032】
カソードが凹面を有し、カソードが円筒体の外面領域に対して均一な間隔を有するように、カソードの凹面の曲率は、円筒体の外面領域の曲率に適合するようになされている。
【0033】
本発明によれば、シリコンから作られたワークピースあるいはシリコンコーティングを有するワークピースに、一側エッチングにより多孔性シリコン層を連続的に製造する方法であって、少なくとも一つのワークピースを、電解液とカソードとを備える少なくとも一つのエッチング室を通過させて該ワークピースの面がエッチングされるように少なくとも一つの搬送装置によって案内し、エッチングされるべき面のみが電解液で湿潤され、ワークピースがエッチングされない面上の接点ユニットを介してアノードに電気的に接触され、この結果として、前記表面の電気化学的エッチングが可能とされる多孔性シリコン層を連続的に製造する方法が提供される。
【0034】
好ましくは、エッチング室は、ワークピースの下方に配置されている。
【0035】
これによって、電気化学的エッチングが、0.1乃至1000mA/cm
2、好ましくは、5乃至500mA/cm
2のエッチング電流で実行されることが好ましい。
【0036】
好ましくは、一つより多いエッチング室を用いるとき、これらエッチング室は、好ましくは、異なる多孔率および厚さで多層システムを形成するために、異なる大きさのエッチング電流および/又は異なる電解質混合物で作動される。
【0037】
更に、一つより多いエッチング室を用いるとき、これらエッチング室は、好ましくは、より厚い層を作成し又はユニットの処理能力を高めるために、等しい大きさのエッチング電流および同じ電解質混合物で作動される。
【0038】
電解液は、好ましくは、フッ化水素酸および少なくとも一種類のアルコール又は界面活性剤、特に、エタノール、アセト窒化物、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、酢酸、および界面活性剤、例えば、シロキサンおよびポリアルキレンオキシド重合体の混合物を備える。しかし、また、更なる添加剤を含むことができる。
【0039】
好ましくは、泡の形成を避けるため電解液の対流が行われる。
【0040】
本発明に係る方法の好ましい実施例において、ワークピースは、電子欠落(孔)を生じさせるために光が放射され、この光は、200nmおよび1200nmとの間、特に好ましくは400nmおよび1100nmとの間の波長を有する。好ましくは、ワークピースの一側エッチングは、全体の面に亘って行われる。
【0041】
本発明に係る上述された装置は、光(太陽)セル(電池)、Si−Li(シリコン−リチウム)電池又はSi−エア(シリコン−エア)電池の製造のために用いられる。
【0042】
本発明に係る主題は、この明細書に示された特定の実施例に限定されることなく、以下の図面および例示を参照して詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】本発明に係るエッチング機の基本的原理を示す図である。
【
図5】本発明に係る装置の好ましい改良を示す図である。
【
図6】本発明に係る装置の更なる好ましい形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(実施例)
図1は、電解液コンテナ6、カソード2、電流源1から成るエッチングユニットの実施例を示す。ワークピース3、代表的には、シリコンウエハが、例えば、O-リングによってエッチングユニット上にシールされる。アノード4が、直接には固体接点(例えば、プラチナ)あるいは間接には図示しない更なる電解液コンテナを介してワークピースに接触されている。多孔性シリコン層を製造するため、エッチング電流が、カソード2およびアノード4を介してワークピースに印加され、その大きさおよび時間は、積層される層の数および多孔率による。再構成後に切り離すことができる多孔性シリコンの二重層を製造するため、次のパラメータが適切である。
【0045】
・層1(低多孔層、約30%多孔率):エッチング電流密度10mA/cm
2、エッチング時間60秒、電解液50%エタノール+50%フッ化水素酸
・層2(高多孔層、約60%多孔率):エッチング電流密度200mA/cm
2、エッチング時間5秒、電解液50%エタノール+50%フッ化水素酸
【0046】
図2は、本発明に係るエッチング機の基本的原理を示す。ワークピース3は、シールされた状態でエッチングユニットに接続されていないが、電解液と接触するように適切な搬送装置7に取付けられている。アノード接点4を、回転/転動接点として、あるいは摺動接点として取付けることができる。
図2は、アノードにおける発火源を避けることができる保護ガス浄化装置を示していない。このエッチング工程は、以下の態様で実行される。
【0047】
エッチング電流が、カソード2およびアノード4を介してワークピースに印加される。エッチングされるべきワークピースの側を電解液で湿潤するように、電解液5の液面高さが、例えば、適切なポンプ装置によりあるいは侵入深度に基づいて調節される。電解液は、好ましくは、エッチング工程で生成される水素をエッチングされるべき面から運び去るように移動される。エッチング工程中、ワークピースは、搬送装置7によって、電解液に沿って方向8に移動される。この移動によって、搬送装置に生じ得る不均一性が補償される。復帰搬送後にはスイッチオフされたエッチングユニットで、あるいはスイッチオンされたエッチングユニットで、ワークピースをエッチングユニット上に繰り返し通過することによって、多重層のエッチングを実行することができる。シーケンスに基づいてエッチング電流を変えることにより、異なる層の積層を製造することができる。ワークピースを出入するとき、エッチング結果の変動を避けるため、ワークピース上のエッチング電流密度が常時一定のままであるようにエッチング電流を動的に適合させることができる。
【0048】
本発明に係るエッチング工程を、例示のため以下の態様で実行することができる。
【0049】
ワークピースは、エッチングユニットの外部で作成され、エッチング電流の生成のため必要な電圧が電極に加えられる。ワークピースは、搬送ユニットによる移動に設定され、エッチングユニット上で連続的に移動される。その後、電解液によって汚染された表面が脱イオン化水でリンスする(すすぐ)ことによって汚染が除去され、例えば、ファン、あるいは、例えば、赤外またはマイクロ波放射によって乾燥される。
【0050】
適切なエッチングパラメータは、以下の通りである。
・低多孔層、約30%多孔率のため:エッチング電流密度10mA/cm
2、搬送方向における電極の移動領域60cm、送り速度60cm/分、電解液50%エタノール+50%フッ化水素酸
・高多孔層、約60%多孔率のため:エッチング電流密度200mA/cm
2、搬送方向における電極の移動領域5cm、送り速度60cm/分、電解液50%エタノール+50%フッ化水素酸
【0051】
図3は、本発明に係る更なる装置を示す。一つの平坦なカソードの代わりに、この装置のカソードは、電気的に平行に接続された複数の個別のカソード2から形成されている。概述すると、個別のカソードは、搬送方向に対する均一なエッチング率を保証するために、搬送方向に対して垂直なワークピースの幅に沿って延びるように構成されている。
【0052】
図4は、連続的に接続された複数のエッチングユニット(1,2、5、6)が設けられた本発明に係る装置の一形態を示す。個々のエッチングユニットは、互いに独立に作動することができる。このため、多孔率および厚さが異なる層を一工程で製造することができる。
【0053】
例えば、水素で熱処理後、分離し得る二重積層を製造するエッチング工程を以下の態様で実行することができる。
【0054】
ワークピースは、エッチングユニットの外側で作成され、エッチング電流を生成するのに必要な電圧が第一および第二のエッチングユニットの両方の電極に加えられる。ワークピースは、搬送装置の移動に設定され、エッチングユニット上で連続的に移動される。その後、電解液によって汚染された面が脱イオン化水でリンスする(すすぐ)ことによって汚染除去され、例えば、ファンによって、あるいは赤外線又はマイクロ波放射によって乾燥される。適切なエッチングパラメータは、以下の通りである。
【0055】
・エッチング室1(低多孔性層、約30%多孔率のため):エッチング電流密度10mA/cm
2、搬送方向における電極の移動領域60cm、送り速度60cm/分、電解液50%エタノール+50%フッ化水素酸
・エッチング室2(高多孔性層、約60%多孔率のため):エッチング電流密度200mA/cm
2、搬送方向における電極の移動領域5cm、送り速度60cm/分、電解液50%エタノール+50%フッ化水素酸
【0056】
エッチングユニットを有する本発明に係る方法の場合のように、この実施例ではまたワークピースを出入するときにエッチング電流を変えることによって層の性質を一定に保持することができるか、又は同じあるいは異なる性質の多重層を二つのエッチングユニット上に往復移動することによって製造することができる。
【0057】
同様に、同じエッチングパラメータを有するエッチングユニットの多重配列によって同じ層厚さを有する装置の処理能力を高めることができ、あるいはその層を同じ処理能力でより厚くするように製造することができる。
【0058】
これらの目的のため、例えば、光学的なブラッグリフレクタを製造するために、本発明に係る装置には、二つのエッチングユニットより多い、例えば16個のユニットを設けることができる。
【0059】
図5は、エッチングユニットの前後に機能ユニットが取付けられた本発明に係る装置の好ましい改良を示す。例えば、ワークピースのエッチングをクリーニングするクリーニングユニット9が、搬送方向でエッチングユニット(1、2、5、6)の前方に配置され、また、例えば、搬送方向でエッチングユニットの後にワークピースを汚染除去するように脱イオン化水で作用するリンスユニット11、ワークピースを乾燥し且つ多孔性シリコン多層を再構成する乾燥・再構成ユニット13、および薄いシリコン層に切り離す更なる分離ユニット14が設けられている。これに相応する工程は以下の態様で実行される。
【0060】
クリーニングユニット9には、例えば、硝酸、フッ化水素酸、および脱イオン化水の混合物であって溢流(オーバフロー)式ポンプで作動される研磨シリコンエッチングが充填される。必要なら、次の多孔性シリコンエッチングユニットに入るときにワークピースが清浄面を有するように、シリコンエッチングに続いて脱イオン化水を有するリンス装置を接続することができる。
【0061】
リンスユニット11を脱イオン化水でスプレーするリンスユニットとして構成することができる。乾燥・分離ユニット13には、例えば、ハロゲンランプまたはクオーツ放射器に基づく加熱ユニットを設けることができる。還元雰囲気を形成するため、ユニットには、例えば、エアロックによって水素含有ガス(例えば、アルゴン中5%水素又は100%水素)を有するパージ装置を設けることができ、エアロックは、公知の技術であり、ユニット13の端部に当初から配置されてユニット13内における還元雰囲気を外部雰囲気から分離する。分離ユニットは、ワークピースに向いた部分において例えば100mbar(ミリバール)の低圧に設定され、搬送速度8と同じ周速度で回転する。
【0062】
ワークピースは、先ず、クリーニングユニット9上に搬送されて、先の行程において存在し得るあるいは残存する結晶損傷が除去される。ワークピースは一体のリンス装置において脱イオン化水で汚染除去される。
図4において述べられた装置のパラメータを有するエッチングユニット(1、2、5、6)を通過させることによって、分離層が製造される。汚染除去されたワークピースは、リンスユニット11に案内され、脱イオン化水でスプレーすることによって汚染除去される。湿潤されたワークピースは、先ず、乾燥・再構成ユニットに連続して供給されたエア/ガスの流れおよび熱によって乾燥される。高温で、多孔性シリコン層が再構成され、結果として、分離性能が得られる。分離ユニットを通すとき、層は、機械的な作用、例えば、低圧の吸引によってワークピースから分離され、更なる適切な処理(
図5に示されていないが、例えば、巻き上げること、キャリア基板上に接着すること、静電仮基板に堆積すること)のために供給される。そこで、ワークピースを開始点に再度戻して、工程に再び供給することができる。
【0063】
この工程のための可能な工程パラメータは、以下の通りである。
−搬送速度8:60cm/分
−クリーニングユニット9の接触長さ:100cm、例えば、1分のエッチング時間と40秒のリンス時間とを形成する
−リンスユニット11の接触長さ:40cm、40秒のリンス時間を形成する
−乾燥・再構成ユニット:接触長さ240cm、そのうち、加熱/冷却ゾーン60cm、再構成ゾーン120cmである。これは、1分の加熱時間、2分の再構成時間、1分の冷却時間を形成する。再構成ゾーンの温度:摂氏1200度(多孔性シリコン層で測定された)、加熱ゾーン雰囲気:100%水素
【0064】
図6は、更なる好ましい形態として、機能ユニットが前後に取付けられた円筒形の回転ワークピースを有する本発明に係る装置を示す。このワークピース3、例えば、円筒形のシリコン単結晶体は、その長手方向軸線周りに回転できるように取付けられている。アノードは、多孔性シリコン層を損傷し得る結晶体の面の後方の損傷が残らないように構成される。例えば、結晶体の端面の摺動接触として、円周面の転動接触として、又は結晶体の長手方向軸線に沿う孔における協働する回転又は摺動接触として、アノードが構成されている。エッチングユニットは、適切なオーバーフローまたはシーリングエレメントによって結晶体の円周面に沿って配置され、電解液が、所定の態様で、結晶面/円周面に接触される。続いて、搬送/回転方向8において、汚染除去するためのリンスユニット11(例えば吸引を有するスプレーリンスユニット)と、多孔性シリコン層を乾燥し再構成するための乾燥・再構成ユニット13とが配置されている。再構成された層は、分離ユニット14で、例えば、機械的作用を通して連続的に分離され得る。搬送方向において分離ユニット14後に配置されるエッチング・リンスユニット10によって、ワークピースの面をシリコンエッチング工程のために調整することができる。
【0065】
エッチングユニットを含む機能ユニットの適切な電極間隔およびその間隔の適正によって結晶の直径の変化を補償することができる。
【0066】
この装置で可能な方法を、以下の態様で実行することができる。
【0067】
できるだけ均一な表面、例えば、0.01mmに正確に形成され結晶損傷がないシリコン円筒体が、中心に設けられ機械的取付けのための軸線を有する孔と該孔に挿入されたアノード接点とを有するワークピースとして役立つ。多孔性シリコンエッチングユニットには、電解液が充填され、溢流(オーバフロー)式ポンプで作動される。リンスユニット11、乾燥・再構成ユニット13、および分離ユニット14は、それらのパラメータで作動される。エッチングユニット10には、エッチング研磨シリコンが充填されるようにされ、工程においてオーバーフローで作動される。
【0068】
20cm/分の周囲速度を有し同時にエッチング電流が活性化された搬送装置8によって結晶が設定される。エッチングユニットにおいて、多孔性二重層が製造され、この多孔性二重層は、更なる連続回転で、リンスユニットにおいて汚染除去され、乾燥・再構成ユニット13において乾燥され再構成される。分離ユニット14によって、層は機械的作用によって分離され更なる使用のため供給される。天然(加工前)の結晶面と多孔性シリコン層の残存物との間の結晶面の搬送領域が調整ユニット10に到達すると同時に、この調整ユニットが満たされ、この結果、結晶面が更なるエッチングのため再調整される。続いて、結晶面が調整ユニット10と第一のエッチングユニット6との間のリンスユニット11において汚染除去される。恒久的な回転によって、結晶シリコンの準エンドレス帯を分離することができる。
【0069】
この工程のための可能な工程パラメータは、以下の通りである。
−搬送速度8(円周速度):20cm/分
−クリーニングユニット9の接触長さ:10cm、30秒のエッチング時間を形成する
−リンスユニット11の接触長さ:10cm、30秒のリンス時間を形成する
−乾燥・再構成ユニット:接触長さ20cm、これは、1分の工程時間を形成する。再構成ゾーンの温度:摂氏1200度(多孔性シリコン層で測定された)、加熱領域の雰囲気:100%水素
−エッチング室1(低多孔層、約30%多孔率のため):エッチング電流密度10mA/cm
2、搬送方向における電極の活性領域20cm、電解液50%エタノール+50%フッ化水素酸
−エッチング室2(高多孔層、約60%多孔率のため):エッチング電流密度200mA/cm
2、搬送方向における電極の活性領域2cm、電解液50%エタノール+50%フッ化水素酸
【符号の説明】
【0070】
1:電流源/カソード接点
2:カソード
3:シリコンワークピース
4:アノード/アノード接点
5:電解液
6:エッチングコンテナ
7:搬送ユニット
8:搬送方向
9:エッチングタンク
10:エッチング調整
11:リンスユニット
12:脱イオン化水―スプレー/又はオーバーフローリンスユニット
13:乾燥・再構成ユニット
14;分離ユニット