【実施例】
【0013】
実施形態の実施例に係る通信サービスシステムについて説明する。実施例に係る通信サービスシステムの構成は
図10に示す通信サービスシステム10の構成と同様である。無線通信装置A01は、無線網A02を介して上位サーバA03との間のデータ伝送を行う無線通信端末と、電力メータや自動販売機などのデータ端末装置(DTE)とを備える。
まず、実施例に係る通信サービスシステム(サービスシステム)を実現するための具体的な実施手段である、「装置情報によるサービスシステム参入」、「グループ分けと各グループに割当られた無線通信装置の送信許可タイミングの考え方」、「無線通信装置のグループ分けの方法」、「グループ分け結果の通知と応答」について説明する。
【0014】
<装置情報によるサービスシステム参入>
装置情報によるサービスシステム参入について
図3及び
図7を用いて説明する。
図3は実施例に係る通信サービスシステムの無線通信装置〜無線網〜上位サーバー間シーケンスを示す図である。
図7は実施例に係る通信サービスシステムの装置情報の例を示す図である。
無線通信装置A01〜無線網A02〜上位サーバーA03間でサービスを提供するための通信路を確立するために、位置登録処理(ステップ301)、無線リンク/データリンク接続処理(ステップ302)が実施される。それに引続いて、サービスシステムに対する参入処理(ステップ312)が実施される。サービスシステム参入処理(ステップ312)は、具体的には、無線通信装置A01から上位サーバーA03への装置情報の送信(ステップ303)をトリガとして、上位サーバーA03での無線通信装置A01のグループ判定及び設定制御情報の作成(ステップ304)、作成した設定制御情報(初期設定制御情報)の無線通信装置A01に対する送信(ステップ305)が実施される。
【0015】
無線通信装置A01から上位サーバーA03に送信される装置情報について
図7を用いて説明する。装置情報とは、機器情報、接続情報、移動性種別、提供を受けるサービスの特性を含むサービス種別、アプリケーションデータ種別等により構成される情報である。機器情報は、例えば機種、機器ID、機器Ver、機器状態などを含む。接続情報は、データ接続方式や自装置のIPアドレスなどを含む。移動性種別は、例えば固定設置、低速移動、高速移動のような、無線通信装置の移動環境に関わる情報である。アプリケーションデータ種別は、サービスの提供を受けるための実行アプリケーションが扱うデータの周期性、即時性、データ容量などを含む。アプリケーションデータ種別はそのアプリケーションが取扱うデータが複数種ある場合に、その特性によって、複数のデータ種別を定義することも可能である。
図7ではアプリケーションが取扱うデータはn種ある場合を示している。
【0016】
<無線通信装置のグループ分けの方法について>
無線通信装置のグループ分けの方法について
図8を用いて説明する。
図8は実施例に係る通信サービスシステムのグループ分け概念を示す図である。
無線通信装置A01が送信する装置情報に基づいて、無線通信装置A01のグループ分けを行うために、装置情報内に含まれる移動性種別、サービス種別及びアプリケーションデータ種別の各パラメータ(装置報告値)により、個別のスコアを付与し、そのトータルのスコアにより、グループを決定する。装置報告値はデータ端末装置から無線通信端末に送られる。なお、
図3に示すシーケンスにおいて、装置報告値がデータ端末装置から無線通信端末に送られる以外は、無線通信装置A01の動作は無線通信端末の動作である。
【0017】
図8では、トータルのスコアがより大きい場合はグループDと判定され、より小さい場合はグループAと判定される場合の例として示されている。つまり、スコアが大きいほど送信開始許可頻度が少ないということになる。
【0018】
まず、移動性種別とその個別スコアについて説明する。移動性種別については、固定設置、低速移動、高速移動の3つの場合が定義されているが、固定設置の場合はセルの移動などの周辺の無線環境の変化が少ないと考えられるので、それに伴う無線制御データを含むデータの送信も少ないと考えられる。一方、高速移動の場合は、セルの移動など周辺の無線環境の変化が多く、それに伴うデータの送信も多いと考えられる。上述したそのデータ発生契機に応じた送信開始とすることができるようにするためには、高速移動する無線通信装置A01はより送信開始許可タイミングが多いグループに割り当てられるべきであり(スコア「小」)、また、固定設置の無線通信装置A01は送信開始許可タイミングが少ないグループに割り当てられても(スコア「大」)影響は少ないというように考えることができる。よって、
図8の例では個別スコアの最高点は5点、最低点は1点としているので、固定設置は5点、高速移動は1点というようにそのスコアを決定する。
【0019】
次に、サービス種別とその個別スコアについて説明する。無線通信装置A01が提供を受けるサービスの特徴により、スコアを決定する。例えば
図8に示すようなサービスの特徴でスコアを決定する。すなわち、無線通信装置A01が社会インフラに関わる機器等であり、公共性が非常に高いサービス提供に適用される場合は、その通信サービスシステムで取り扱うデータは、相対的に重要度が高いと考えることができるので、社会インフラ系サービス提供に適用される無線通信装置A01はより送信開始許可タイミングが多いグループに割り当てられるべきである(スコア「小」)。また、個別のユーザーシステムに関わる機器であり、公共性が相対的に高くないサービス提供に適用される場合は、その通信サービスシステムで取り扱うデータは、相対的に重要度が低いと考えて、個別のユーザーシステムに適用される無線通信装置A01は送信開始許可タイミングが少ないグループに割り当てられても(スコア「大」)影響は少ないというように考えることができる。個別のユーザーシステムにおいても、通信サービスシステムで取扱うユーザー数等により、大規模システム、あるいは小規模システムというように分類し、大規模システムをスコア「中」、小規模システムをスコア「大」というようにすることも可能である。
【0020】
次に、アプリケーションデータ種別とその個別スコアについて説明する。無線通信装置A01が提供を受けるサービスを実行するためのアプリケーションが取扱うデータの特徴により、スコアを決定する。例えば、
図8に示すようなアプリケーションデータの特徴でスコアを決定する。すなわち、データの周期性、即時性、データ容量等をパラメータとしてスコアを決定する。データの周期性に着目すると、短周期でデータが発生するような特徴をもつアプリケーションデータの場合は、より送信開始許可タイミングが多いグループに割り当てられるべきであり(スコア「小」)、長周期でデータが発生するような特徴を持つアプリケーションデータの場合は、より送信開始許可タイミングが少ないグループに割り当てられても(スコア「大」)影響は少ないというように考えることができる。データの即時性に着目すると、即時性が高いデータが発生するような特徴をもつアプリケーションデータの場合は、より送信開始許可タイミングが多いグループに割り当てられるべきであり(スコア「小」)、即時性が低いデータが発生するような特徴を持つアプリケーションデータの場合は、より送信開始許可タイミングが少ないグループに割り当てられても(スコア「大」)影響は少ないというように考えることができる。データの容量に着目すると、相対的に容量が小さいデータが発生するような特徴をもつアプリケーションデータの場合は、より送信開始許可タイミングが多いグループに割り当てても(スコア「小」)、システム資源を占有する可能性は低いと考えられ、逆に大容量のデータが発生するような特徴を持つアプリケーションデータの場合は、より送信開始許可タイミングが少ないグループに割り当てる(スコア「大」)ことで、システム資源占有による他の無線通信装置A01に与える影響を軽減することができる。また、上述したように、アプリケーションデータ種別はそのアプリケーションが取扱うデータが複数種ある場合に、その特性によって、複数のデータ種別を定義することも可能である。
【0021】
以上のように個別のスコアを付与するが、最終的にはその取扱いデータ種別ごとにトータルスコアを算出する。
図8の例では個別スコアの最高点は5点、最低点は1点としているが、例えばパラメータとしている内容により重みをつけるために、あるパラメータについては最高点10点、または20点とすることで、トータルスコア算出時にその寄与度を変更することも可能である。さらにトータルスコアにより、そのデータ種別ごとのグループ判定を行う。
図8の例では、
スコア5〜10:グループA
スコア11〜15:グループB
スコア16〜20:グループC
スコア21〜25:グループD
としているので、データ#1についてはグループD、データ#kについては、グループC、データ#nについてはグループBと判定される。
【0022】
<グループ分けと各グループに割当られた無線通信装置の送信許可タイミングの考え方について>
グループ分けと各グループに割当られた無線通信装置の送信許可タイミングの考え方について
図4及び
図8を用いて説明する。
図4は実施例に係る通信サービスシステムのグループ割り当ての概念を示す図である。
上述したように、
図8の例ではA〜Dの4つのグループ分けられている例を示しているが、無線通信装置A01は割当てられたグループにより、送信タイミングが異なる。これを
図4を用いて説明する。
実施例に係る通信サービスシステムにおいては、各無線通信装置A01をグループに分け、かつ、当該グループに割当られた無線通信装置用の通信タイミングを設けることで、通信タイミングの分散制御を実現する。あるグループに対する送信開始許可区間を「タイミングブロック」と定義する。無線通信装置A01は割当てられたタイミングブロックにおいて、「タイミングブロック長t<s>」で示される時間、通信開始が許可される。タイミングブロックは通信サービスシステムにおいて決定したグループパターン(例えば
図4の場合、A→B→A→C→A→B→A→D→A→B→A→C→A→B→A)によって、許可グループが切替えられる。また、一連のグループパターンが周期的に繰返されるように構成され、その繰返し周期を「グループパターン周期」と定義する。すなわち、グループ化される無線通信装置A01は、「グループパターン」「タイミングブロック長」「グループパターン周期」により自装置の通信開始タイミングを判断することが可能となる。また、周期の起点タイミングとしては、例えば各正時(毎時00分00秒)とするというような取り決めをすることにより、複数の無線通信装置A01が共通の「タイミングブロック」を認識することが可能となる。
【0023】
図4はグループパターンとしてA→B→A→C→A→B→A→D→A→B→A→C→A→B→Aとなっている例を示しているが、許可ブロック数としては、以下の通りである。
グループA:8
グループB:4
グループC:2
グループD:1
すなわち、グループAは送信開始許可頻度がより多く、グループDはより少ないというような構成としている。無線通信装置A01の移動性種別、サービス種別、アプリケーションデータ種別等により適切にグループ分けを行うことで、通信開始タイミングを分散しかつそのデータ発生契機に応じた送信開始とすることができるようにする。
【0024】
<グループ分け結果の通知と応答>
グループ分け結果の通知と応答について
図3、
図9A及び
図9Bを用いて説明する。
図9Aは実施例に係る通信サービスシステムの設定制御情報の例を示す図である。
図9Bは実施例に係る通信サービスシステムの設定制御応答の例を示す図である。
上述のように決定したグループを無線通信装置A01に通知するために、上位サーバーA03から設定制御情報を無線通信装置A01に送信する(ステップ305)。
図9Aに示すように、設定制御情報は、機器設定情報、タイミングブロック割当情報、グループ割当の結果を通知するためのグループ割当情報などにより、構成される。機器設定情報は、無線通信装置A01に対して設定や制御を行うための設定制御コマンドを含む。タイミングブロック割当情報は、グループパターン周期、タイミングブロック長、グループパターン、タイミングブロック割当更新タイミング(時刻)等を含む。上位サーバーA03からの設定制御情報を受信した無線通信装置A01は、設定制御情報を自装置内に保存し、設定内容の反映を行う(ステップ306)。そして、
図9Bに示すように、設定された機器設定情報、タイミングブロック割当情報及びグループ割当情報の各情報に対してのack情報を含む設定制御の応答を作成し、上位サーバーA03に送信する(ステップ307)。
【0025】
実施例では、無線通信装置A01が装置情報を上位サーバーA03に送信して上位サーバーA03が装置情報に基づいてグループ判定を行っているが、無線装置A01が上位サーバーA03からグループ判定の基準を受信して無線装置A01が自身が有する装置情報に基づいてグループ判定を行ってもよい。この場合、設定制御情報にはグループ割当情報が不要となる。なお、無線通信装置A01はグループ判定結果を上位サーバーA03に通知する場合は、設定制御応答にグループ判定結果を含めて上位サーバーA03に送信するようにする。
【0026】
<グループパターン/グループ割当の変更>
無線通信装置全体の参入状況を考慮して実施されるグループパターン/グループ割当の変更について
図3及び
図5を用いて説明する。
図5は実施例に係る通信サービスシステムのグループパターンの変更を示す図である。
また、無線通信装置A01にサービスの提供を行っている通信サービスシステムに参入している他無線通信装置の数や、実行しているアプリケーションの変化により、通信サービスシステム全体のグループ割当のバランスが変わってくることが考えられる。このような場合に備えて、グループパターンの変更やグループ割当の変更を可能とすることもできる。グループパターンの変更は例えば
図5に示すように、グループBに割当てられた装置が増加した場合は、
図4ではグループC及びDの割当としていたタイミングブロックの一部をグループB及びC用に割当を変更するというようなタイミングブロック割当情報の更新を行う。また、グループパターン周期を2倍にするというようなタイミングブロック割当情報の更新を行う。更新した内容の通知には、
図3の破線313に示すように、設定制御情報の更新(ステップ308)、更新した設定制御情報の無線通信装置A01への送信(ステップ309)、無線通信装置A01での受信、更新保持、及び反映(ステップ310)、更新結果応答のための設定制御応答(ステップ311)にて実施する。ステップ309,310,311ではそれぞれステップ305,306,309と同様な処理が行われる。無線通信装置A01での反映に関しては、タイミングブロック割当情報内のタイミングブロック割当更新タイミングにより通知されるので、そのタイミングにて自装置内への設定反映を実施する。各無線通信装置A01は、時刻を管理しておき、更新タイミングが通知されることにより、一斉にそのグループ割当を変更することが可能である。
【0027】
<無線通信装置の動作>
本実施例に係る無線通信装置の動作フローについて
図1、
図2、
図6及び
図9Aを用いて説明する。
図1は実施例に係る通信サービスシステムの無線通信装置の電源供給直後の立上げ時の動作フロー図である。
図2は実施例に係る通信サービスシステムの無線通信装置の通常動作における動作フロー図である。
図6は実施例に係る通信サービスシステムのタイミングブロックにおけるタイミング分散の概念を示す図である。
【0028】
図1に示すように、無線通信装置A01に電源が供給されると、無線通信装置A01自身の初期化処理を実行する(ステップ101)。次に無線通信装置A01が在圏可能な無線網A02のセルサーチを行い、報知用のチャネルから無線網情報を取得する(ステップ102)。この無線網情報には例えば無線網A02で管理されている無線網タイミング、時刻情報、当該セル固有の無線パラメータ、セル識別情報、周辺セル情報などが含まれている。次に無線通信装置A01が提供を受けたい通信サービスシステムに参入した実績があるか否かを確認(ステップ103)する。
【0029】
まず、参入実績が無い場合(ステップ103でNoへ分岐する場合)は、引続き位置登録処理(ステップ107、ステップ301)、無線リンク/データリンク接続処理を実施する(ステップ108、ステップ302)。さらに上述したように、通信サービスシステムに参入するために、装置情報の送信を実施する(ステップ109、ステップ303)。無線通信装置A01からの装置情報を基に、上位サーバーA03では当無線通信装置A01のグループ判定を実施し、初期設定制御情報を作成、無線通信装置A01に向けて送信する。無線通信装置A01では、当該初期設定制御情報を受信する(ステップ110)。ステップ109及びステップ110により、無線通信装置A01のサービスシステムに対する参入処理が完了する。また、受信する当該初期設定制御情報は、自装置内に保持され、かつ設定及び制御が自装置に反映される(ステップ111、ステップ306)。そして、当該初期設定制御情報に含まれるタイミングブロック割当情報、及びグループ割当情報に基づいて、自装置の送信開始が許可されるタイミング(自装置送信開始タイミング)を算出し(ステップ112)、通常処理へ移行する。(ステップ113)
一方、既に参入実績がある場合(ステップ103でYesへ分岐する場合)は、既に自装置内に設定制御情報が保持されており、タイミングブロック割当情報、グループ割当情報が既知となっている。そこで、当該タイミングブロック割当情報、当該グループ割当情報を基に、前記自装置送信開始タイミングの算出方法と同様に、位置登録開始タイミングを算出する(ステップ104)。位置登録開始タイミングの算出方法としては、例えば、上述した
図9Aの設定制御情報のグループ割当情報のデータ#1のグループが、無線通信装置A01のデフォルトグループであるとして取扱って、そのタイミングを算出することができる。そして、算出した位置登録開始タイミングの到来を監視し(ステップ105)、位置登録開始タイミングが到来した時、位置登録を開始するが、同一グループに割当てられた複数の無線通信装置A01の位置登録開始タイミングを分散できるように、タイミング遅延処理を実施する(ステップ106)。
【0030】
ここで、タイミング遅延処理について、
図6を用いて説明する。上述したように、タイミングブロックはタイミングブロック長:t<s>時間を持っているので、その時間内での分散処理を実施する。位置登録開始タイミングが到来する時、無線通信装置A01において例えば乱数を発生させて、その乱数に基づいたタイミング遅延時間(td)を設ける。または、装置ID(機器ID)に基づいたタイミング遅延時間(td)を設ける。このタイミング遅延時間(td)経過後、実際の位置登録処理を実施し(ステップ107、ステップ301)、引続いて無線リンク/データリンク接続処理を実施する(ステップ108、ステップ302)。ステップ109〜113までの処理については、前述と同様であり、システム再参入処理(ステップ114)を実施し、自装置の送信開始タイミングを改めて算出し、通常処理へ移行する。
【0031】
図2を用いて通常処理時の動作について説明する。通常処理に移行後、無線通信装置A01から上位サーバーA03への送信要求検出時、及び無線網A02経由でのデータ着信時(受信要求検出)にデータ送受信処理を実施する。この送信要求及び受信要求を検出する場合(ステップ201)、まず、送信要求か受信要求かを確認し(ステップ202)、送信の場合にはデータカテゴリ/アプリケーションデータ種別を確認する(ステップ209)。ここで、データカテゴリについて説明する。無線通信装置A01が扱うデータとしては、
(1)無線網内の移動管理、無線資源管理のための無線状態制御に関わるデータ:無線制御データカテゴリ
(2)装置情報、設定制御及び応答に関わるデータ:サービスシステム制御データカテゴリ
(3)サービスを受けるためのアプリケーションが送受信するデータ:アプリケーションデータカテゴリ
などがある。データカテゴリ/アプリケーションデータ種別の確認とは、上述したように、アプリケーションデータ種別はそのアプリケーションが取扱うデータが複数種ある場合に、その特性によって、複数のデータ種別を定義することが可能であり、またそれ以外に、上記(1)や(2)のデータを含めて、自装置送信開始タイミングがデータ毎に異なる場合に、どの開始タイミングを適用すべきかを判断することである。データカテゴリ/アプリケーションデータ種別の確認により、自装置送信開始タイミング算出処理で算出したタイミングから、適用すべき自装置開始タイミングが選択されるので、そのタイミングの到来を監視する(ステップ210)。そして、選択した自装置開始タイミングが到来する時、立上げ時と同様のタイミング遅延処理を実施する(ステップ211)。このタイミング遅延時間経過後、無線リンク/データリンク接続処理を実施し(ステップ212)、引続いて実際のデータ送信を実施する(ステップ213)。
【0032】
なお、上記(1)及び(2)については、あらかじめシステムでそのグループを決めておくか、又は
図8の例データ#1(default)と同様のグループとするというような方法も可能である。また、
図7の装置情報の例や、
図8のグループ分けの概念の説明においては具体的に記載していないが、これらも(アプリケーション)データ種別の中に含めて、(アプリケーション)データ種別内の各パラメータ適切にして、装置情報として送信し、上位サーバーA03にてグループ分けの対象とすることも可能である。さらには、「グループなし」のデータ種別を定義して、任意のタイミングで送信開始可能なデータカテゴリ、またはアプリケーションデータ種別を設けることも可能である。
【0033】
一方ステップ202で受信と判断する場合は、データ受信のための無線リンク/データリンク接続処理を実施し(ステップ203)、データ受信を実施する(ステップ204)。引続いて受信データのデータカテゴリを確認し(ステップ205)、サービスシステム制御データと判断する場合には、受信した設定制御情報を保持更新、及び反映を実施する(ステップ206)。そして、必要に応じて自装置送信開始タイミングを更新する(ステップ207)。なお、ステップ206、207の処理については、立上げ動作時と同様の処理を実施する。ステップ205で無線制御データ及びアプリケーションデータと判断する場合には、その受信した無線制御データ及びアプリケーションデータに応じた処理を実施する(ステップ208)。
【0034】
<停電/復電後の動作>
次に大規模災害などで停電等により広範囲のエリアにわたり無線通信装置A01への電源供給が途絶えてた後、復電により、一斉に無線通信装置A01への電源供給が行われた場合の動作について説明する。無線通信装置A01は、当該通信サービスシステムへの参入実績があれば、上述した<無線通信装置動作>の参入実績がある場合の動作となる。すなわちステップ104の位置登録開始タイミング算出処理において、タイミングブロック割当情報、グループ割当情報が既知となっているので、一斉に位置登録を開始することはなく、電源供給が行われた無線通信装置A01はそれぞれ自装置が既に保持しているタイミングブロック割当情報、グループ割当情報を基に、それぞれのタイミングで位置登録を実施することになり、結果としてサービスシステム内の無線通信装置A01の通信タイミングが分散されることとなる。
【0035】
実施例によれば、無線通信装置の通信タイミングを分散させることができるので、大規模災害などで停電が生じ、通信サービスシステム配下の無線通信装置が復電を契機に一斉に通信を開始するような場合でも、システム処理が輻輳し、システムダウンなどの障害に至ることを低減することができる。
【0036】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。