(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の教示に従って構成された、組織を係合する医療装置を含む医療システムの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に類似した平面図であるが、外部構造を点線で示し、内部のセクションを実線で示す、部分断面である。
【
図3】
図3は、
図1に示されている医療システムおよび医療装置の側面図である。
【
図4】
図4は、
図3に類似した側面図であるが、外部構造を点線で示し、内部構造を実線で示す、部分断面である。
【
図5】
図5は、
図1〜
図4に示されている医療システムの一部である医療装置の側面図である。
【
図6】
図6は、
図1〜
図5に示されている医療システムおよび医療装置の一部を構成するハウジングの正面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示されているハウジングの斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1〜
図5に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図1〜
図5に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す側面図である。
【
図12】
図12は、
図1〜
図5に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す部分断面平面図である。
【
図13】
図13は、
図1〜
図4に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す部分断面平面図である。
【
図14】
図14は、
図1〜
図4に示されている医療システムおよび医療装置の動作を示す部分断面平面図である。
【
図17】
図17は、
図1の医療システムおよび医療装置の一部を構成する把持ジョーの代替の実施形態の斜視図である。
【
図18】
図18は、
図1の医療システムおよび医療装置の一部を構成する把持ジョーの代替の実施形態の斜視図である。
【
図19】
図19は、
図1の医療システムおよび医療装置の一部を構成する駆動装置の代替の実施形態の平面図である。
【
図20】
図20は、駆動ワイヤに取り付けられて示されている
図19の駆動装置の斜視図である。
【
図22b】
図22bは、
図22aの医療装置の一部を構成する、ストリップに取り付けられて示されている
図19の駆動装置の平面図である。
【
図23】
図23は、
図1に示されている医療装置の別の代替の実施形態の平面図である。
【
図26】
図26は、
図1に示されている医療システムおよび医療装置の一部を構成する駆動装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図27】
図27は、
図1に示されている医療システムおよび医療装置の一部を構成する駆動装置の別の実施形態の端面図である。
【
図31】
図31は、
図1に示されている医療システムおよび医療装置の別の実施形態の断面図である。
【
図32】
図32は、
図1に示されている医療システムおよび医療装置の別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される用語「近位」および「遠位」は、使用者に対する基準点を示すことを目的としている。特に、本明細書において、用語「遠位」および「遠位側に」は、使用者から通常は遠い位置、方向、または向きを指し、用語「近位」および「近位側に」は、使用者に対して通常は近い位置、方向、または向きを指すものとする。また、「ストリップ(strip)」とは細長く伸びた板状の部材をいう。
【0014】
組織T(
図11)に係合する医療装置40を有する例示的な医療システム20が、
図1〜
図4に示されている。医療システム20および装置40は、通常は、内視鏡(不図示)または他の検査鏡のワーキングチャネルを介して動作できるような大きさおよび構造であるが、医療システム20および装置40は、単独で使用しても良いし、または他の細長い装置、例えば、カテーテル、光ファイバー可視化システム、および針などと共に使用しても良い。通常は、医療システム20は、医療装置40への選択的な接続およびその動作のために、細長いカテーテル24の遠位端部23内に摺動可能に収容された駆動ワイヤ22を含む。本明細書にさらに詳細に説明されるように、医療装置40は、通常は、組織Tに係合するように第1のジョー44および第2のジョー46が回動可能に接続されたハウジング42を備えている。通常は、ジョー44、46は、把持鉗子を形成するように示されているが、これらのジョーは、組織をクリップするため、例えば、開口を閉じるため、または止血目的で使用するためのものである。したがって、本発明の教示に従って、ジョーの形状および構造が、様々な形態をとり、多くの目的および機能に役立ち得ることを理解されたい。
【0015】
医療システム20では、駆動ワイヤ22は、カテーテル内24に摺動可能に延在する。用語「ワイヤ」は、駆動ワイヤ22を指すために使用するが、長手方向の力を一定距離(例えば、典型的な内視鏡処置、腹腔鏡処置、および同様の処置に必要とされる距離)に亘って伝達することができる任意の細長い制御部材を使用することができ、制御部材には、プラスチックロッドもしくはチューブ、および単一フィラメントワイヤもしくはマルチフィラメントワイヤ、メタルロッドなどが含まれることを理解されたい。駆動ワイヤ22はまた、回転/捻りの力を近位端部から遠位端部に適切に伝達して医療装置40およびジョー44、46を回動させることもできるべきであり、従って現在は、駆動ワイヤ22は、ニチノール(例えば、ニチノールワイヤ)または他の超弾性合金から形成されることが好ましい。連結ブロック26が、カテーテル24の遠位端部23内に摺動可能に収納されており、この連結ブロック26は、駆動ワイヤ22を内部に摺動可能に収納する孔28を画定している。連結ブロック26の外面は、凹部27を備えており、2つのピン30(例えば、ステンレス鋼ワイヤから形成された)が、カテーテル24に接続され、凹部27内に配置されて、連結ブロック26の長手方向の移動を制限する。
【0016】
駆動ワイヤ22の遠位端部が、駆動ワイヤ22よりも大きく、かつ連結ブロック26の孔28よりも大きい遠位ヘッド32を画定している。本明細書で後に説明するように、遠位ヘッド32は、カテーテル24内で連結ブロック26を摺動させて医療装置40を医療システム20から取り外すために使用される。また、
図1〜
図4に示されているように、医療装置40のハウジング42は、内部空間43を画定する環状部材である。ハウジング42の近位端部は、連結ブロック26と選択的に接続するために内部空間43内でこの連結ブロック26の遠位端部を摩擦保持する。
【0017】
ハウジング42の内部通路43はまた、第1および第2のジョー44、46、ならびに駆動ワイヤ22をこれらのジョー44、46に相互接続するために使用される駆動装置48も収容している。
図1、
図2、および
図5に最も良く示されているように、駆動装置48は、駆動ワイヤ22の拡大遠位ヘッド32を収容する大きさのソケット50を画定している近位部分を有する。ソケット50の近位側入口部において、2つの可撓性ロックタブ52が形成されており、これらのロックタブ52は、駆動装置48の残りの部分に対して回動してソケット50のサイズを拡大または縮小する。ロックタブ52は、別個に形成して、駆動装置48に回動可能に取り付けても良いし、または駆動装置48と一体に形成しても良く、ロックタブ52の径方向内側および径方向外側の回動を可能にするように曲がる弾性材料から形成される。駆動装置48の遠位部分は、ジョー44、46に係合して作動させるためのラック54を画定している。図示されている実施形態では、ラック54は、中心背骨部(central spine)56を備え、この背骨部56の両側から歯58が突き出ている。背骨部56の一側における一組の歯58が、通常は第1のジョー44を作動させ、この背骨部56の他側における他の組の歯58が、第2のジョー46を作動させる。ラック54は、ジョー44、46と相互作用する唯一組の歯または他の歯付き構造を備えても良いことを理解されたい。
【0018】
図5に最も良く示されているように、第1および第2のジョー44、46は、組織を把持して係合するように構成された遠位端部60、62を備え、これらの遠位端部60、62は、通常は、参照によりその全容が本明細書に組み入れられる2008年12月31日出願の米国仮特許出願第61/141,934号明細書に開示されているような鉤爪形を有する。第1および第2のジョー44、46の近位端部64、66はそれぞれ、一連の歯を有するピニオン68、70を備えている。ピニオン68、70の歯は、駆動装置48のラック54の歯と噛合しているため、駆動装置48の長手方向の移動により、第1および第2のジョー44、46が互いに対して回動する。通常は、駆動装置48の遠位側への移動により、第1および第2のジョー44、46は互いに離れる外側に回動し、駆動装置48の近位側への引き戻しにより、第1および第2のジョー44、46は互いに向かって内側に回動する。ピン80が、ジョー44、46をハウジング42に回動可能に接続するためにこれらのジョーの近位端部に受容されている。回動可能な接続部を形成する他の構造も使用することもでき、好ましくは、回動可能な接続部は、ピニオン68、70に対して中心に配置される。
【0019】
ジョー44、46がハウジング42に回動可能に取り付けられているのに加えて、第1および第2のジョー44、46は、ハウジング42に摺動可能にも取り付けられている。
図6および
図7(そして
図1〜
図4と共に)に最も良く示されているように、ハウジング42は、第1のジョー44の第1のガイド面82、および第2のジョー46の第2のガイド面84を画定している。
図3に示されているように、第1および第2のガイド面82、84は、ハウジング42の対向する面に形成された細長いスロット82a、82b、84a、84bによって形成されており、これにより、ハウジング42の肉厚が露出されてガイド面として機能する。スロット82a、82bは、第1のジョー44の接続ピン80を受容するように整合しており、同様にスロット84a、84bも、第2のジョー46の接続ピン80を受容するように整合している。スロットの端部、例えば、
図7に示されている遠位端部92、94は、ジョー44、46のハウジング42に対する長手方向の移動を制限する働きをする。ジョー44、46の近位端部64、66は、第1および第2のジョー44、46をハウジング42に対して摺動可能かつ回動可能に接続するために使用されるピン80(
図1、
図2、および
図3)を受容する開口72、74を備えている。
【0020】
図6および
図7から分かるように、ハウジング42は、その内部において駆動装置48の長手方向の移動を案内する第3のガイド面86を画定している。図示されている実施形態のガイド面86は、C形の溝として形成された左ガイド面86aおよび右ガイド面86bを備えている。
図7に示されているように、第3のガイド面86は、狭い近位側の幅から広い遠位側の幅に移行して、その移行部に肩88を画定しており、これについては
図13および
図14を参照して詳細に後述する。
【0021】
また、
図6に示されているように、ハウジング42の内部通路43が、ハウジングの遠位端部を貫通しており、この内部通路内に第1および第2のジョー44、46を収容することができる。加えて、
図1および
図2に示されているように、ハウジング42は、対向するスロット45を画定しており、これらのスロット45は、第1および第2のジョー44、46が径方向外側に回動するときに、これらのジョーがこれらのスロット45を通過できる大きさである。したがって、第1および第2のジョー44、46がハウジング42の内部通路43内に完全にまたは部分的に収容されているときに、ハウジング42が、第1および第2のジョー44、46の回動を防止する役割を果たすことが
図1および
図2からも明らかである。ハウジングを形成するのに適したプラスチックには、限定されるものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(EPTFE)、ポリエチレンエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン(高密度、中密度、または低密度)が含まれ、適切な金属には、ステンレス鋼、ニチノール、および同様の医療グレードの金属および合金が含まれる。
【0022】
ここで、
図8〜
図12を参照して、医療装置40の動作を説明する。
図8に示されているように、第1および第2のジョー44、46は、ハウジング42内に実質的に収容された格納位置で示されている。適用例によっては、ジョー44、46の遠位端部60、62は、その格納位置で、ハウジング42の遠位端部から僅かに突き出ても良いし、またはハウジング42内に完全に収容されても良い。駆動ワイヤ22が遠位側(
図8の頁の右側)に移動すると、遠位ヘッド32が駆動装置48に係合し、駆動装置48およびジョー44、46がハウジング42内を遠位側に摺動する。長手方向の移動に対する抵抗が、ジョー44、46の回動に必要な力よりも小さいため(あるいは、ジョー44、46がハウジング42内にあるときは、ハウジング42がジョー44、46の回動を防止し得るため)、(たとえ駆動装置48のラック54が、ジョー44、46の近位端部64、60におけるピニオン68、70に噛合していても)駆動装置48およびジョー44、46は、回動の前に長手方向に摺動する。既に述べたように、この長手方向の移動は、ジョー44、46をハウジング42に摺動可能かつ回動可能に接続するピン80を受容する第1および第2のガイド面82、84によって案内される。
【0023】
図9に示されているように、第1および第2のジョー44、46は、これらのジョーがハウジング42の遠位端部から実質的に突き出た延出位置を有し、これらの近位端部64、66は、ハウジング42の遠位端部に近接している。したがって、駆動ワイヤ22、従って駆動装置48のさらなる遠位側への前進により、ピニオン68がラック54の歯58に対して回動することが分かるであろう。
図10に最も良く示されているように、第1および第2のジョー44、46は、組織を受け取る位置まで互いに径方向外側に回動する。注目すべきは、ハウジング42の遠位端部のスロット45の存在により、ジョー44、46が、完全に90度回動することができ、従ってジョー間の角度が少なくとも180度になる。スロット45の大きさの変更ならびにラック54およびピニオン68、70の構造によって、第1および第2のジョー44、46を互いに対してさらに離れる方向に回動させることができることを理解されたい。
【0024】
図10に示されている組織を受け取る構造で、医療装置40およびそのジョー44、46を、組織Tに近接して配置することができる。
図11に示されているように、組織Tを第1および第2のジョー44、46間に配置して、これらのジョー44、46を、
図9に示されている元の位置に向かって回動させることができる。組織Tは、単層として示されているが、多層でもジョー44、46間にクリップすることができる。通常は、駆動ワイヤ22および駆動装置48の近位側への引き戻しにより、第1および第2のジョー44、46が、再び回動して組織Tをこれらの間に把持する。
図12に示されているように、駆動ワイヤ22および駆動装置48の近位側へのさらなる引き戻しにより、ジョー44、46が、近位方向(
図12の頁の左側)かつ長手方向に移動する。
【0025】
医療装置40が、クリップとして機能して組織Tに対するその把持を維持する、または2層の組織の互いに対するクリップを維持するために、ジョー44、46を所定の位置にロックして、医療システム20の駆動ワイヤ22を、医療装置40から取り外すことができる。
図13に示されているように、第3のガイド面86(駆動装置48を案内する)は、近位部分86pおよび遠位部分86dを備えている。第3のガイド面86の近位部分86pは、第3のガイド面86の遠位部分86dの幅よりも広い幅(
図13の頁において上と下との間を測定)を有する。既に述べたように、第3のガイド面86は、ハウジング42の対向する表面またはC形の溝形材86a、86bによって形成されている。近位部分86pと遠位部分86dとの間の移行部は、肩88、すなわちハウジング42の対向する側面における2つの肩88a、88bを画定している。肩88a、88bは、駆動装置48に設けられたロックタブ52に係合する大きさおよび位置にある。
【0026】
図13に示されているように、駆動装置48が、第3のガイド面86の遠位部分86d内に位置するときは、ロックタブ52が、径方向内側に押圧されて駆動ワイヤ22と強く摩擦係合している。言い換えれば、遠位ヘッド32を収容するように駆動装置48によって形成されたソケット50は、ロックタブ52の内側への湾曲によって狭くなった入口部を有する。好ましくは、ロックタブ52は、弾性変形するのではなく塑性変形し、このタブ52は、装置の最初の組立の際に遠位ヘッド32の周りに内側に向かって曲がり、従って第3のガイド面86の遠位部分86dの大きさになることができる。
図13に示されているこの状態では、駆動ワイヤ22は、駆動装置48、従って第1および第2のジョー44、46に強く係合している。
【0027】
駆動ワイヤ22および駆動装置48が、例えば、
図12に示されているように組織を把持した状態で近位側に引き戻されると、駆動装置48の近位端部が、ロックタブ52の外側への放射状の移動を可能にする広い幅を有する第3のガイド面86の近位部分86p内に収容される。したがって、
図14に示されている状態では、ロックタブ52は、駆動ワイヤ22の遠位ヘッド32に緩く取り外し可能に結合することができる。ただし、ジョー44、46の近位側への引き戻しは、ハウジング42の遠位端部に係合する組織Tによって、または第1および第2のガイド面82、84を画定しているスロット82a、82b、84a、84bの近位端部にピン80が当接することによって制限される。したがって、ジョー44、46および駆動装置48の近位側への引き戻しがこのように制限されると、駆動ワイヤ22およびその遠位ヘッド32をさらに近位側に移動させて、遠位ヘッド32を駆動装置48のソケット50から引き抜くことができる。また、この動作を用いて、ロックタブ52を径方向外側にさらに曲げることができる。駆動ワイヤ22に対する適度な遠位方向の力により、遠位ヘッド32がロックタブ52内を近位側に移動して、これらのロックタブ52が径方向外側に塑性変形する。組織Tの自然の弾性が、ジョー44、46をハウジングからその延出位置に向かって引っ張ろうとする場合、ロックタブ52、54が、ハウジング42の第3のガイド面の肩88a、88bに当接して、ジョー44、46のさらなる遠位側への移動を防止する。
【0028】
ここで
図15および
図16を参照すると、駆動ワイヤ22および遠位ヘッド32がなおさらに近位側に引き戻されると、拡大遠位ヘッド32が、カテーテル24の遠位端部23内に摺動可能に嵌合された連結ブロック26に当接する。駆動ワイヤ22に対する十分な近位側への力が、連結ブロック26とハウジング42の近位端部との間の摩擦嵌合に打ち勝つと、
図16に示されているように、連結ブロック26が近位側(
図15および
図16の頁の右側)に移動して、連結ブロック26が管状コネクタ24内に格納される。駆動ワイヤ22および連結ブロック26を近位側に引きながら、カテーテル24を使用してハウジング42に反対の力を加えることができる。したがって、駆動ワイヤ22、カテーテル24、および連結ブロック26を、医療装置40から完全に取り外すことができ、従って、組織Tが第1および第2のジョー44、46間にクリップされて生体内に維持された状態でこれらのジョー44、46およびハウジング42が残置される。連結ブロック26は、ピン30によってカテーテル24の遠位端部24に維持され、このピン30は、凹部27内に配置されて、連結ブロック26の近位端部および遠位端部に係合して連結ブロック26の長手方向の移動を制限する。
【0029】
細長いカテーテル24(または他の細長い管状部材、例えば、シース、チューブ、または検査鏡など)は、駆動ワイヤ22を摺動可能に収容し、システム20の近位端部まで駆動ワイヤ22に沿って近位側に延び、かつ体内の任意の所望の位置に装置40を配置するのに適した長さを有する一方、駆動ワイヤ22およびカテーテル24の近位端部は、医療従事者が使用するために体外に位置している。駆動ワイヤ22とカテーテル24の相対的な移動を制御する操作ハンドル(不図示)は、当該技術分野で周知であり、システム20の近位端部で使用することができる。
【0030】
把持ジョー44、46を形成する別の実施形態および方法が、
図17〜
図18に示されている。前の実施形態のジョーは、一般に、機械加工されたものであったが、ジョー44、46は、スタンピングによっても形成することができる。好ましくは医療用ステンレス鋼である金属平板を、
図17に示されている形状144にスタンピングする。この形状は、組織を把持および係合するための、
図18に示されている形状に後に曲げることができるやや細い遠位端部160を有する。遠位端部160はまた、用途によって、鋸歯状または他の形状もしくは縁機能(edge feature)を有するようにスタンピングすることもできる。近位端部164は、一般に、歯車168につながっている2つアーム166を備えている。
図18に示されているように、歯車168は、シート144の平面に垂直な平面に延在するように、把持されて約90度曲げられる。歯車168はまた、ガイドピンを受容するための貫通孔172も備えている。この実施形態のジョー44、46は、1つのアーム166と1つの歯車168とからも形成できることを理解されたい。
【0031】
駆動装置148および駆動ワイヤ122の別の実施形態が
図19〜
図22に示されている。駆動装置148は、一般に、2つのロックタブ152によって形成されたソケット150を備えている。この実施形態では、ロックタブの近位部分は、既に述べたようにハウジング42の第3のガイド面86に係合するように横方向外側に傾斜した斜めの肩154を画定している。ロックタブ152はまた、横方向内側に突き出てソケット150を遠位部分150dと近位部分150pに分ける内側突出部153も備えている。駆動装置148は同様に、中心背骨部156および両側の歯158を備えている。この実施形態では、駆動装置148の遠位端部166は、本明細書で詳細に後述するように内側に突き出た2つのフランジ170によって画定されたポケット168を備えている。2つのフランジ170は、ポケット168の遠位側面に沿って延び、このポケット168にアクセスするための間隙をこれらのフランジ170間に開けている。
【0032】
図20および
図21に示されているように、駆動ワイヤ122のこの実施形態は、この駆動ワイヤ122の遠位端部が、図示されているように半円形状、好ましくは、180度〜360度の弧をなすように曲げられて形成された遠位ヘッド132を備えている。したがって、遠位ヘッド132は、ロックタブ152の内側突出部153を受容する大きさの開口133を画定していることが分かる。図示されているように、ソケット150の遠位部分150dは、湾曲遠位ヘッド132の最遠位部を受容する一方、遠位ヘッド132の近位部分は、ソケット150の近位部分150pを通過して近位側に延びている。上記したように、ロックタブ152は、ここでは、塑性変形するように構成されているため、
図19に示されているように形成されて駆動ワイヤ122に接続されると、タブ152は、径方向内側に曲がって、突出部153をソケット132の開口133内に固定する。この状態では、ロックタブ152の外部肩154は、さらに変形することなく、第3のガイド面86、より具体的には第3のガイド面86の遠位部分86d内に適合する大きさである。
【0033】
図22aおよび
図22bに示されているように、医療装置140の別の実施形態は、ハウジング142、前の実施形態と同様の把持アーム144、146を備えているが、この実施形態では、別の駆動装置148および追加の付勢要素、すなわち付勢ストリップ190を備えている。
図22bに最も良く示されているように、駆動装置148の遠位端部166は、ポケット168内に付勢ストリップ190を収容している。フランジ170は、図示されているように内側かつ近位側に曲げられて金属ストリップ190にしっかりと係合して、この金属ストリップ190を駆動装置148に固定している。付勢ストリップ190は、好ましくは、弾性材料のシートから形成された薄いストリップであり、より好ましくは、例えば、ステンレス鋼、ニチノール、または生体適合性の他の超弾性合金から形成された金属ストリップである。したがって、駆動装置148が近位側に移動してジョー144、146が閉じられると、付勢ストリップ190が、
図22aに点線で示されているようにV字型またはU字型に強制的に変形されることを理解されたい。すなわち、付勢ストリップ190は、その自然の付勢されていない構造では直線形状を有し、V字型に曲げられると、ジョー144、146に対して径方向外側の力を加える。この付勢力が、ジョー144、146の円滑な回動および開位置と閉位置との間の移行を実現する。また、付勢ストリップ190は、V字型またはU字型形状として形成された最初の付勢されていない位置を有することができ、径方向内側の付勢力を加えるようにジョー144、146に取り付けることもできることを理解されたい。金属ストリップ190の自由端192は、ジョー44、46を単純に押圧するが、これらのジョー44、46に固定または固着されてはいない。
【0034】
図23を参照すると、同様にハウジング242およびこのハウジング242に摺動可能に取り付けられた対向するジョー244、246を備えている医療装置240の別の実施形態が示されている。ハウジング242は、同様に、ジョー244、246の運動を案内する第1および第2のガイド282、284を備えている。しかしながら、この実施形態では、各ジョー244、246はそれぞれ、付勢ストリップ290a、290bを備えている。ストリップ290a、290bの遠位端部291は、好ましくは接着剤、半田、溶接、または他の既知の結合技術によって、好ましくはジョー244、246の遠位端部でこれらのジョー244、246の外面に固着される。
図24および
図25に最も良く示されているように、ハウジング240は、その対向する側面に2つの外部溝294(1つが
図24および
図25に示されている)を備え、これらの外部溝294は、閉じた/格納された構造では、ハウジングの外面と面一となるように弾性ストリップ290a、290bを受容する大きさである。ストリップ290a、290bの近位端部293は、ベース295と交差バー296によって形成されたT字型である。ベース295は、ハウジング240を貫通して形成された小さめのスロット296を貫通している。スロット296は、溝294と同一に延びている。交差バー296は、ハウジング240の内部に沿って移動し、ストリップ290とハウジング240との間の摺動可能な接続を維持する。したがって、ストリップ290a、290bの近位端部293が、溝294およびそのスロット296を介してハウジング240に摺動可能かつ回動可能に取り付けられ、ストリップ290a、290bが、図示されているように把持ジョー44、46と共に、
図24に示されている閉位置と
図25に示されている開位置との間で運動することができることが分かるであろう。
【0035】
ここで
図26〜
図30を参照すると、駆動装置348の別の実施形態が示されている。
図26および
図27に最も良く示されているように、駆動装置348は、同様に、2つのロックタブ352によって形成されたソケット350を備え、このソケット350は、内側突出部353および外部肩354を有し、これにより、ソケット350が遠位部分353と近位部分350pとに分けられている。駆動装置の前の実施形態とは異なり、この実施形態では、遠位部分は、Z字型の歯付きラックを画定している。一般に、中心プレート356は、前の実施形態の中心背骨部56、156の代わりを果たし、このプレート356は、ハウジング342(
図29)の長手方向の平面に対して平行な平面に延在する。中心プレート356の平面はまた、駆動装置348の近位側の半分(すなわち、ソケット350およびタブ352を含む)の平面に対して直交している。歯の第1の組358aは、中心プレート356から外側に第1の方向に突き出ており、歯の第2の組358bは、中心プレート356から外側に第2の方向に突き出ている。第1の方向と第2の方向は、通常は、互いに反対方向であり、歯の第1の組358aおよび第2の組358bは、中心プレート356の相互に反対側の端部から延びている。歯の組358a、358bはそれぞれ、それらの周囲に延在する2つの外側フレーム360によって中心プレート356に固定されている。
【0036】
したがって、
図28から最も良く示されているように、医療装置340は、第1および第2の把持ジョー344、346を備え、これらの把持ジョー344、346はそれぞれ、それらの本体から直角に突き出るように曲げられた近位端部366および歯車の歯368を備えている。したがって、歯の第1の組358aは、第2のジョー346の歯車368を受容し、歯の第2の組358bは、第1のジョー344の歯車368を受容する。注目すべきは、ジョー344、346の近位端部366を、図示されているように横方向/直角方向に曲げることにより、1つのピン380を両方の歯車368に通すことができ、従って両方のジョー344、346によってこのピン380が共有される。したがって、なおさらに、ハウジング342は、
図29に示されているように、ハウジング342の各側面の1つのスロットによって形成された、1つのピン380の両端部を受容する1つのガイド面382のみを備えることができる。したがって、第1および第2のジョー344、346が、1つのガイド面382(ジョーガイド面)およびガイドスロットを共有するため、これらのジョー344、346の協調動作および円滑な開閉が保証されることが分かるであろう。
【0037】
また、
図29に示されているように、スロット357は、中心プレート356に形成され、ピン380およびジョーガイド面382に整合しており、駆動装置348がジョー344、346に対して前方に移動するとピン380を受容する。上記説明し、
図30に示されているように、ピン380(ジョー344、346の近位端部366と歯車368によって共有されている)が、1つのジョーガイド面382の遠位端部に当接しても、駆動装置348が、遠位側に移動し続けて、この駆動装置348のラック/歯358a、358bを介して歯車368が回転することによって、ジョー344、346が回動する。
【0038】
図31〜
図33を参照すると、医療システム420および医療装置440の別の実施形態が示されている。この実施形態では、医療システム420は、同様に駆動ワイヤ422を備え、この駆動ワイヤ422は、その遠位端部が図示されている形状に曲げられて形成された遠位ヘッド432を有する。医療システム420はまた、カテーテルアタッチメント430も備え、このカテーテルアタッチメント430は、一般に、カテーテル24の遠位端部に接続される管状部材であり、連結ブロック426を摺動可能に受容するために使用される。カテーテルアタッチメント430は、制御ワイヤ422および連結ブロック426へのアクセスを可能にする一対の開口434を備えており、それぞれ引用により全容が本明細書中に組み込まれている、本願と同時出願の米国仮特許出願第61/391,878号明細書および本願と同時出願の米国仮特許出願第61/391,875号明細書に詳細に説明されているように、器具を使用して、連結ブロック426を格納位置および延出位置に保持することができる。
【0039】
医療装置440は、連結ブロック426によってカテーテル24およびそのカテーテルアタッチメント430に取り外し可能に接続されたハウジング442を備えている。ハウジング442は、駆動装置448を介して駆動ワイヤ422に接続された一対のジョー444を摺動可能に受容する。前の実施形態と同様に、駆動装置448は、駆動ワイヤ422の遠位ヘッド432に解除可能に係合する、ロックタブ452によって画定されたソケット450を備えている。駆動装置448の遠位部分は、既に説明したようにジョー444の回動を駆動することができる歯車またはラックを画定する複数の歯458を備えている。駆動装置448の遠位端部466は、付勢ストリップ490を固定係合するために使用されるフランジによって画定されたポケットを備えている。ハウジング442は、ジョー444の長手方向の移動および回動を案内する一対のガイド面またはスロット482をさらに画定している。
【0040】
この実施形態では、ジョー444およびハウジング442は、完全に格納された位置(図示)では、ジョー44が、ハウジング442の遠位端部から遠位側に(少なくとも部分的に)突き出るように構成されている。
図32に最も良く示されているように、遠位ヘッド432がロックタブ452を押圧されると、ロックタブ452が外側に塑性変形してハウジングの肩446に係合して、ジョー444が完全に格納される。このようにして、ハウジング442の長さを短くすることができ、同様にジョー444を案内するハウジング442のガイドスロット482も短くすることができる。また、ジョー444の遠位端部が、鋸歯445または組織の把持に役立ち得る他の構造を備えていることが
図32から分かる。
【0041】
また、この実施形態では、前の全ての実施形態と同様に、駆動ワイヤ422は、(例えば、システム20/420の近位操作端部から)回転力およびトルクを遠位ヘッド432および駆動装置448を介してジョー444に伝達できることにも留意されたい。したがって、医療装置440を、駆動ワイヤ422の回転によって回転させることができる、すなわちジョー444、ジョーピン(例えば、80)、ハウジング442、および駆動装置448の全てが単一体としてカテーテル24に対して回転する。また、ハウジング442を、(例えば、これらの間の摩擦によって)連結ブロック426に対して回転しないように接続することもでき、連結ブロック426を、カテーテルアタッチメント430(または、カテーテルアタッチメント430が使用されない場合はカテーテル、例えば、24)内で回転させることもできる。したがって、ジョー444の向きを、駆動ワイヤ422の近位端部の回転によって回転させて、ジョーを、把持またはクリップされるべき組織または材料に向きを合わせることができる。中実ニチノールワイヤから駆動ワイヤ422を形成することにより、医療装置440の回転に適したトルクを伝達することができることが分かった。
【0042】
また、完全に格納された位置でジョー444がハウジング442から少なくとも部分的に突き出るようにすることにより、ジョー444の向きを可視化できるため、ジョー444を組織の周りで開閉する前にジョー444を容易に回転させることができることも分かった。なおさらに、組織がハウジング442の遠位端部に当接する前に、さらなる組織をジョー444内に収納することができる。ジョー444がハウジング442から突き出る距離は、用途によって変更することができる、すなわちジョー444の遠位端部とハウジング442の遠位端部との間に適した空間を確保するべく、組織の厚みまたは組織に対して行われる処置の種類に合わせることができる。
【0043】
本発明の様々な実施形態の上記説明は、例示および説明のために示したものである。開示した正確な実施形態に本発明が網羅される、または正確な実施形態に本発明が限定されることを意図するものではない。上記の教示から、多数の変更または変形が可能である。上述の実施形態は、本発明の原理を最も良く示す例として選択し、記載したものであり、本発明を実際に適用することにより、当業者が、様々な実施形態、および特定の用途に適すると考えられる様々な変更が加えられた実施形態に本発明を利用することができる。このような変更形態および変形形態はすべては、添付の特許請求の範囲が公正に、法的に、かつ衡平的に認められる範囲に従って解釈したときに、この特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内である。