(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6383455
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】容器洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/04 20060101AFI20180820BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20180820BHJP
B08B 9/22 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
B08B3/04 A
B08B3/12 C
B08B9/22
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-65287(P2017-65287)
(22)【出願日】2017年3月29日
【審査請求日】2018年1月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592068635
【氏名又は名称】アクトファイブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 郁男
【審査官】
長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭59−9437(JP,B2)
【文献】
独国特許発明第232301(DE,C3)
【文献】
特開昭48−27876(JP,A)
【文献】
特公昭40−19073(JP,B1)
【文献】
特開2006−75768(JP,A)
【文献】
特開2000−185003(JP,A)
【文献】
特許第3262436(JP,B2)
【文献】
特開平8−296074(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3014995(JP,U)
【文献】
実開平1−124283(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/04
B08B 3/12
B08B 9/22
A47L 15/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 洗浄液が貯留される洗浄槽と、
b) 所定の直径を有する円筒形である回転子と、
c) 前記回転子に設けられ、前記回転子が回転する際、回転下端において洗浄対象容器の開口が上側を向き、回転上端において該開口が下側を向くように該洗浄対象容器を保持する容器保持部と、
d) 前記洗浄槽内に略水平に、前記直径よりも短い間隔で互いに平行に配置される第1ローラ及び第2ローラから成り、前記回転子が該第1ローラ及び該第2ローラ上に載置されて回転する際、前記容器保持部が前記回転子の回転下端に来たときに前記開口が前記洗浄槽内の前記洗浄液の液面よりも下となり、前記容器保持部が前記回転子の回転上端に来たときに前記開口が前記液面よりも上となるように前記回転子の前記洗浄槽に対する位置を決める位置決め手段と
を備えることを特徴とする容器洗浄装置。
【請求項2】
前記容器保持部を複数備えることを特徴とする請求項1に記載の容器洗浄装置。
【請求項3】
前記容器保持部が、前記回転子に固定された容器収容籠保持部と、洗浄対象容器の向きを保持して収容する籠であって該容器収容籠保持部に保持される容器収容籠から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器洗浄装置。
【請求項4】
前記容器収容籠が、容器を収容する容器収容部を複数備えることを特徴とする請求項3に記載の容器洗浄装置。
【請求項5】
さらに、前記洗浄槽内に貯留される洗浄液に超音波振動を付与する超音波振動子を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器洗浄装置。
【請求項6】
前記容器保持部が、前記回転子に固定された第1の籠である容器収容籠保持部と、該容器収容籠保持部に収容される第2の籠であって該容器収容籠保持部に収容された状態で洗浄対象容器の開口が前記回転子の回転下端において上側を向き、該開口が回転上端において下側を向くように該洗浄対象容器が収容される容器収容籠を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器洗浄装置。
【請求項7】
前記容器保持部が複数の区画に区切られていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内面及び外面に洗浄液を接触させることにより該容器を洗浄する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造メーカで容器を製造した際、容器の使用者が容器を使用した際、あるいは、容器の回収業者が使用済み容器を回収して再利用する際に、洗浄液を用いた容器の洗浄が行われる。洗浄液を用いた容器の洗浄方法の1つに、洗浄槽に貯留した洗浄液に容器を浸漬させることにより容器の表面、即ち容器の内面及び外面に洗浄液を接触させるものがある。その際、洗浄液に超音波振動を付与すると、洗浄液中に微細な泡が発生し、その泡が容器の表面の近傍で破裂することにより、容器の表面から汚れを浮き上がらせ、洗浄を促進することができる。
【0003】
特許文献1には、容器に限らず一般的な被洗浄物を洗浄する装置として、被洗浄物を収容し上部にフックを有する複数のバスケットと、バスケットをフックで吊り下げる複数のピンを有し水平な回転軸で回転する回転部と、回転軸よりもやや下のところまで回転部を洗浄液に浸漬させる洗浄槽を備える洗浄装置が記載されている。この装置では、バスケットに被洗浄物を収容したうえで、バスケットのフックを回転部のピンに掛け、回転部を回転させる。これにより、回転部が1回転する毎に、バスケットが洗浄槽内の洗浄液に浸漬され、洗浄液から引き上げられる、という動作が繰り返される。その際、バスケットが洗浄液に浸漬される毎に
バスケット内に洗浄液が流入し、バスケットが洗浄液から引き上げられる毎に
バスケット内から洗浄液が流出するため、バスケット内の被洗浄物の外面で洗浄液の移動が生じ、それにより該外面が効果的に洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06-296939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄装置は、容器の洗浄には適していない。例えば、容器の開口が上を向くように容器をバスケットに収容して該洗浄装置により上記操作を行うと、バスケットが洗浄液に最初に浸漬される際に容器内に洗浄液が流入するが、バスケットが洗浄液から引き上げられても、洗浄液が容器内から流出しないため、洗浄液の移動による洗浄は容器の内面では行うことができない。一方、容器の開口が下側を向くように容器をバスケットに収容すると、バスケットが洗浄液に浸漬される際に、容器内の空気のため洗浄液が容器内に流入することができず、容器の内面を洗浄することができない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、容器の外面及び内面を好適に洗浄することができる容器洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために成された本発明に係る容器洗浄装置は、
a) 洗浄液が貯留される洗浄槽と、
b)
所定の直径を有する円筒形である回転子と、
c) 前記回転子に設けられ、前記回転子
が回転する際、回転下端において洗浄対象容器の開口が上側を向き、回転上端において該開口が下側を向くように該洗浄対象容器を保持する容器保持部と、
d)
前記洗浄槽内に略水平に、前記直径よりも短い間隔で互いに平行に配置される第1ローラ及び第2ローラから成り、前記回転子が該第1ローラ及び該第2ローラ上に載置されて回転する際、前記容器保持部が前記回転子の回転下端に来たときに前記開口が前記洗浄槽内の前記洗浄液の液面よりも下となり、前記容器保持部が前記回転子の回転上端に来たときに前記開口が前記液面よりも上となるように前記
回転子の前記洗浄槽に対する位置を決める位置決め手段と
を備えることを特徴とする。
【0008】
容器保持部では、洗浄対象容器を、その開口が回転子の回転下端において上側を向き、回転上端において下側を向くように保持する。洗浄対象容器は、動かないように容器保持部に固定してもよいし、(固定はしないものの)回転子に対する向きが維持されるように保持してもよい。例えば、洗浄対象容器を、それよりもわずかに内部が大きく、籠等の、洗浄液が内部に流入・流出するような容器から成る収容部に洗浄対象容器を収容することにより、洗浄対象容器を固定することなく、回転子に対する洗浄対象容器の向きを維持することができる。洗浄対象容器は、典型的には、開口が回転子の回転軸を常に向くように容器保持部に保持する。但し、上記の回転下端及び回転上端での条件を満たすのであれば、洗浄対象容器は、開口が回転軸を向く方向から傾けて容器保持部に保持してもよい。
【0009】
位置決め手段は、容器保持部が回転子の回転下端に来たときに開口が洗浄液の液面よりも下となり、回転上端に来たときに開口が洗浄液の液面よりも上となるように、洗浄槽に対する回転子の位置を決めるものである。例えば、洗浄槽に貯留する洗浄液の液面の上限高さ及び下限高さを定めた場合には、位置決め手段は、回転下端において開口が該下限高さよりも下であって、回転上端において開口が該上限高さよりも上となる位置に回転子を固定しておけばよい。あるいは、位置決め手段は、洗浄槽に貯留する洗浄液の液面の高さに合わせて、上記条件を満たすように回転子を上下に移動させるようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る容器洗浄装置では、上記のように、容器保持部に洗浄対象容器を保持したうえで、洗浄槽に洗浄液を貯留すると共に位置決め手段によって回転子の洗浄槽に対する位置を決め、回転子を回転させることにより、容器保持部が回転子の回転下端に来たときには、洗浄対象容器は開口を含む全体が洗浄液に浸漬される。それと共に、開口が上側を向くため、該開口から洗浄対象容器内に洗浄液が流入する。さらに回転子が回転して容器保持部が回転上端に来たときには、洗浄対象容器は開口を含む全体が洗浄液から引き上げられる。それと共に、開口が下側を向くため、該開口から洗浄対象容器内の洗浄液が流出する。これら洗浄対象容器の洗浄液への浸漬及び洗浄液からの引き上げ、並びに洗浄対象容器内への洗浄液の流入及び洗浄対象容器内からの流出が、回転子が1回転する毎に繰り返される。
【0011】
このように、洗浄対象容器の洗浄液への浸漬及び洗浄液からの引き上げが繰り返されることにより、洗浄対象容器の外面で洗浄液の移動が生じ、それにより該外面が効果的に洗浄される。また、洗浄対象容器内への洗浄液の流入及び洗浄対象容器内からの流出が繰り返されることにより、洗浄対象容器の内面においても洗浄液の移動が生じて該内面が効果的に洗浄される。
【0012】
本発明に係る容器洗浄装置は、前記容器保持部を複数備えることが望ましい。これにより、複数の容器を同時に洗浄することができる。
【0013】
容器保持部には、前記回転子に固定された容器収容籠保持部と、洗浄対象容器の向きを保持して収容する籠であって該容器収容籠保持部に保持される容器収容籠から成るものを好適に用いることができる。容器洗浄装置の使用時には、洗浄液は容器収容籠の編み目を通って洗浄対象容器の外面に接触すると共に洗浄対象容器の開口から洗浄対象容器内に流入する。この構成によれば、容器収容籠が回転子から分離された状態で、該容器収容籠に洗浄対象容器を収容したうえで、容器収容籠を容器収容籠保持部に保持させることができる。容器収容籠に洗浄対象容器を収容する作業は、例えば製造メーカで洗浄対象容器を製造した際には洗浄対象容器の製造装置がある場所、洗浄対象容器の使用者が洗浄対象容器を使用した際にはその使用場所、洗浄対象容器の回収業者が使用済みの洗浄対象容器を回収した際には洗浄対象容器の使用場所や回収ステーション等の場所、といった容器洗浄装置が設置された場所以外のところで行うことができる。これらの場所で予め洗浄対象容器を容器収容籠に収容しておくことにより、容器洗浄装置では容器収容籠を容器収容籠保持部に保持させるだけで洗浄対象容器を容器保持部に保持させることができる。
【0014】
前記容器収容籠には、洗浄対象容器を収容する容器収容部を複数備えることが望ましい。これにより、複数の容器を一緒に取り扱うことができ、手間が掛からないうえに、1度に洗浄することができる容器の個数を多くすることができるため、効率が高くなる。また、前述のように容器洗浄装置が容器保持部(ここでは容器収容籠保持部と容器収容籠を組み合わせたもの)を複数備えることにより、1度に洗浄することができる容器の個数をさらに多くすることができ、効率が一層高くなる。
【0015】
本発明に係る容器洗浄装置はさらに、前記洗浄槽内に貯留される洗浄液に超音波振動を付与する超音波振動子を備えることができる。これにより、超音波振動子から洗浄液に超音波振動を付与し、容器の外面及び内面の洗浄を促進することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る容器洗浄装置によれば、容器の外面及び内面を好適に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る容器洗浄装置の一実施形態を示す概略正面図。
【
図2】本実施形態の容器洗浄装置における回転子の概略側面図。
【
図3】本実施形態の容器洗浄装置における容器収容籠の構成を示す側面図(a)及び下面図(b)。
【
図4】本実施形態の容器洗浄装置の動作を示す概略部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜
図4を用いて、本発明に係る容器洗浄装置の実施形態を説明する。
【0019】
(1) 本実施形態の容器洗浄装置10の構成
図1は、本実施形態の容器洗浄装置10の構成の概略を示す図である。容器洗浄装置10は、液面LHが所定の高さになるように洗浄液Lが貯留される洗浄槽11と、洗浄槽11内の後述の位置に配置された回転子12と、洗浄槽11内に設けられた第1ローラ141及び第2ローラ142と、洗浄槽11の底部に設けられた超音波振動子15を有する。なお、超音波振動子15は本発明の必須の構成要素ではなく、省略してもよい。液面LHは、例えば洗浄槽11の内面に印を付しておき、容器洗浄装置10の使用者がこの印の位置まで洗浄液Lを投入することにより、所定の高さとなるようにする。
【0020】
回転子12は、
図1の紙面に垂直な方向及び
図2の横方向に延びる仮想的な水平の回転軸121を中心に回転可能な円筒状のものであって、該回転軸121の周りに容器保持部13が6つ、π/3ラジアン(60°)間隔で配置されている。第1ローラ141及び第2ローラ142はいずれも略水平であって、回転子12の直径よりも短い間隔で互いに平行に配置されている。回転子12は、回転軸121を第1ローラ141及び第2ローラ142に平行な方向に向けて、それら第1ローラ141及び第2ローラ142の上に載置されている。第1ローラ141及び第2ローラ142はそれぞれ、互いに同方向に回転させるモータ(図示せず)が、それらと同軸の円柱状の棒材を介して接続されており、第1ローラ141及び第2ローラ142を回転させると、それらに載置された回転子12が仮想的な回転軸121を中心に逆方向に回転するようになっている。前記モータは洗浄槽11の外に設けられ、棒材は洗浄槽11の側壁を貫通しており、棒材と洗浄槽11の側壁の間には、洗浄液Lの漏出を防止するシール(図示せず)が設けられている。回転子12並びに第1ローラ141及び第2ローラ142の高さ方向の位置については後述する。
【0021】
容器保持部13は、回転子12に固定された容器収容籠保持部131と、容器収容籠保持部131に出し入れ可能に保持される容器収容籠132から成る。
【0022】
容器収容籠保持部131はそれ自体が直方体状の籠になっており、その籠の中に容器収容籠132が収容される。
図2に示すように、回転子12の軸方向の端部のうち回転軸121の前記他方の端部側にある容器収容籠保持部131の直方体の1面には、容器収容籠132を出し入れする籠搬出入口1311が設けられている。籠搬出入口1311には開閉可能な籠の網製の蓋(図示せず)が設けられている。籠搬出入口1311が設けられた面以外の容器収容籠保持部131の5面は、固定された籠の網で覆われている。容器収容籠保持部131の高さ方向の位置は後述する。
【0023】
容器収容籠132は、
図3(a)の側面図及び(b)の下面図に示すように直方体状であって、下から見ると内部が網状の仕切り1321によって複数の容器収容部1322に仕切られている。仕切り1321同士の間隔は、洗浄対象容器Cの幅よりもわずかに広い程度であり、それゆえ、容器収容部1322内では洗浄対象容器Cは横方向にほとんど移動することがない。容器収容部1322の下面は籠の網で覆われているのに対して、上面は容器搬出入口1323となっており、該容器搬出入口1323から容器収容部1322に洗浄対象容器Cを出し入れすることができる。容器収容籠132に洗浄対象容器Cを収容する際には、全ての洗浄対象容器Cの開口COの向きを真上向き又は真下向きのいずれかに揃えておく(
図3では開口COを下向きとした)。容器収容籠132を容器収容籠保持部131に収容する際には、該容器収容籠保持部131が回転上端にあるときに開口COが真下側を向くようにする。
【0024】
このように容器収容籠132を容器収容籠保持部131に収容すると、洗浄対象容器Cは容器収容部1322の横方向には前述の理由によりほとんど移動することがなく、縦方向には容器収容籠保持部131の上下の網によって移動が規制される。このように洗浄対象容器Cが保持されることにより、洗浄対象容器Cの回転子12に対する相対的な向きは、回転子12を回転させてもほぼ変化しない。そして、回転子12が半回転して容器収容籠保持部131が回転下端に達すると、容器収容籠132内の洗浄対象容器Cは、回転子12に対する洗浄対象容器Cの向きが維持され、回転子12の半回転に対応して、容器収容籠132内の洗浄対象容器Cの開口COは真上側を向く。
【0025】
回転子12は、洗浄槽11に液面LHが所定の高さになるように洗浄液Lを貯留した状態で、容器保持部13が回転子12の回転下端に来たときに容器保持部13内の洗浄対象容器Cの開口CO(
図1中で符号COLを付したもの)が液面LHよりも下(すなわち洗浄液L内)となり、容器保持部13が回転上端に来たときに開口CO(
図1中で符号COHを付したもの)が液面LHよりも上(すなわち洗浄液L外)となるように、高さ方向の位置決めがなされている。実際には、この回転子12の高さ方向の位置は、第1ローラ141及び第2ローラ142の位置により定まる。従って、これら第1ローラ141及び第2ローラ142が上記位置決め手段に該当する。このような条件を満たす範囲内であれば、回転子12の高さ方向の位置は任意に定めることができるが、洗浄対象容器Cが洗浄液Lに晒される時間を長くするために、回転子12の高さは低い(液面LHは高い)方が望ましい。本実施形態では、回転子12の回転軸121の回転中心が液面LHよりも下側になるように回転子12の位置を定めている。
【0026】
なお、ここでは液面LHを1つの位置に定めたが、液面LHの高さは上限高さと下限高さの間の許容範囲内で使用者が任意に定めるようにしてもよい。その場合には、回転下端において開口COが該下限高さよりも下であって、回転上端において開口COが該上限高さよりも上となる位置に回転子12が配置されるようにすればよい。これにより、液面LHが許容範囲内のどの位置にある場合でも、開口COは回転下端では液面LHよりも下となり、回転上端では液面LHよりも上となる。
【0027】
その他、洗浄槽11の上部には上蓋112が設けられており、下部には洗浄液排出口113が儲けられている。洗浄液Lは上蓋112を開放して洗浄槽11内に投入し、使用済みの洗浄液Lは洗浄液排出口113から排出する。
【0028】
(2) 本実施形態の容器洗浄装置10の動作
容器洗浄装置10の動作を説明する。まず、使用者は、複数の洗浄対象容器Cをその開口COが真上向き又は真下向きに揃うように容器収容籠132の各容器収容部1322に1個ずつ収容する(
図3)。このように洗浄対象容器Cを収容した容器収容籠132を6個用意する。
【0029】
次に、回転子12を洗浄槽11の外に出した状態で、6つの容器収容籠保持部131のうちの1つが回転上端に達するように回転子12を回転させ、当該容器収容籠保持部131の籠搬出入口1311から容器収容籠保持部131に、容器収容籠132に収容された洗浄対象容器Cの開口COが真下向きになるように該容器収容籠132を収容する(
図2)。同様の操作を、回転子12を1/6回転ずつさせながら、6つの容器収容籠保持部131の全てに対して行う。これにより、洗浄対象容器Cが容器保持部13に保持される。なお、ここでは容器収容籠132の容器搬出入口1323が開放されていることを前提として、容器収容籠132の上下方向の向きを変えることなく、回転子12を1/6ずつ回転させることにより、常に容器搬出入口1323が真上向き(洗浄対象容器Cの開口COが真下向き)となるようにした。容器搬出入口1323に固定可能な蓋を設けた場合には、回転子12を回転させることなく、各容器収容籠保持部131の傾きに合わせて容器収容籠132を傾けて該容器収容籠保持部131に収容することができる。
【0030】
次に、洗浄槽11の上蓋112を開放し、回転子12を洗浄槽11内の第1ローラ141及び第2ローラ142の上に載置する。続いて、上側の開口部から洗浄槽11内に、所定の液面LHまで洗浄液Lを投入する。なお、洗浄液は予め所定の液面LHまで投入されていてもよい。その後、上蓋112を閉鎖する。
【0031】
そして、図示せぬモータにより、第1ローラ141及び第2ローラ142を同方向に回転させることにより、回転子12をそれらローラとは逆方向に回転させる。それと共に、超音波振動子15を振動させ、洗浄液L中に微細な泡を生成する。
【0032】
これにより、容器保持部13に保持された洗浄対象容器Cに対して、洗浄液Lに浸漬され、洗浄液L内を移動し、洗浄液Lからの引き上げられるという動作が、回転子12が1回転する毎に繰り返される。これにより、洗浄対象容器Cの外面で洗浄液Lが移動し、該外面が洗浄される。また、洗浄液L内において、超音波振動子15により生成された微細な泡が洗浄対象容器Cの外面の近傍で破裂することにより、該外面から汚れが浮き上がり、該外面の洗浄が促進される。
【0033】
それと共に、洗浄対象容器Cの内面は以下のように洗浄される。容器保持部13が回転子12の回転下端に来たとき(
図4(a))には、開口COが洗浄液L内にあり、真上側を向いている。そのため、洗浄槽11内の洗浄液Lが洗浄対象容器C内に流入する。一方、容器保持部13が回転子12の回転上端に来たとき(
図4(b))には、開口COが洗浄液L外にあり、真下側を向いている。そのため、洗浄対象容器C内の洗浄液Lが洗浄対象容器C外に流出する。流出した洗浄液Lは、洗浄槽11内の洗浄液Lが貯留されたところに落下する。これらの動作は回転子12が1回転する毎に繰り返される。これにより、洗浄対象容器Cの内面で洗浄液Lが移動し、該内面が洗浄される。また、超音波振動子15により生成された微細な泡が洗浄対象容器Cの内面の近傍で破裂することにより、該内面から汚れが浮き上がり、該内面の洗浄が促進される。
【0034】
なお、実際には、容器保持部13が回転下端に達するよりも前の、回転軸121よりも下側に達した時点で、開口COは液面LHよりも下側にあって水平よりも上側を向くため、洗浄対象容器C内に洗浄液Lが流入し始める。また、容器保持部13が回転上端に達するよりも前の、開口COが液面LHよりも上側に達した時点で、開口COは水平よりも下側を向くため、洗浄対象容器C内の洗浄液Lは流出し始める。
【0035】
本発明は上記の実施形態には限定されない。例えば、容器保持部13は、回転子12に直接固定してもよい。また、容器保持部13に固定される洗浄対象容器Cの向きは、本実施形態では回転上端において開口COが真下(回転下端では開口COが真上)を向くようにしたが、回転上端において開口COが水平よりも下側(回転下端では開口COが水平よりも上側)を向いていればよい。
【0036】
本実施形態では、第1ローラ141及び第2ローラ142を用いて、回転子12を仮想的な回転軸121を中心に回転させたが、回転子12に実体的な回転軸を設け、該回転軸をモータで回転させることで回転子12を回転させるようにしてもよい。また、本実施形態では、回転軸121を水平に配置したが、回転軸121の向きは厳密に水平にする必要はなく、多少傾斜していてもよい(略水平)。例えば、回転軸121が水平から10°程度傾いていても、本発明の作用効果を奏するため、許容される。
【符号の説明】
【0037】
10…容器洗浄装置
11…洗浄槽
112…上蓋
113…洗浄液排出口
12…回転子
121…回転軸
13…容器保持部
131…容器収容籠保持部
1311…籠搬出入口
132…容器収容籠
1321…仕切り
1322…容器収容部
1323…容器搬出入口
141…第1ローラ
142…第2ローラ
15…超音波振動子
C…洗浄対象容器
CO…洗浄対象容器の開口
COH…容器保持部13が回転上端に来たときの開口の位置
COL…容器保持部13が回転下端に来たときの開口の位置
L…洗浄液
LH…洗浄液の液面
【要約】 (修正有)
【課題】容器の外面及び内面を好適に洗浄することができる洗浄装置を提供する。
【解決手段】容器洗浄装置10は、洗浄液が貯留される洗浄槽11と、略水平の回転軸121の回りに回転可能な回転子12と、洗浄対象容器Cの開口COが回転子の回転下端において上側を向き、回転上端において下側を向くように洗浄対象容器を保持する容器保持部13と、容器保持部が回転子の回転下端に来たときに開口が洗浄槽内の洗浄液Lの液面LHよりも下となり、容器保持部が回転子の回転上端に来たときに開口が液面よりも上となるように回転子の洗浄槽に対する位置を決める位置決め手段とを備える。回転子を回転させると、洗浄対象容器の外面で洗浄液が移動して該外面が洗浄されると共に、回転下端において上側を向いた開口から洗浄液が洗浄対象容器内に流入し、回転上端において下側を向いた開口から洗浄液が洗浄対象容器外に流出するため、洗浄対象容器の内面が洗浄される。
【選択図】
図1