(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383459
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】フェライトコア、誘導性部品、および誘導性部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/26 20060101AFI20180820BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20180820BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20180820BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20180820BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
H01F27/26 130W
H01F27/255
H01F37/00 N
H01F17/04 F
H01F41/02 D
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-105337(P2017-105337)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2017-220668(P2017-220668A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】10 2016 209 693.1
(32)【優先日】2016年6月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507125295
【氏名又は名称】スミダ・コンポーネンツ・アンド・モジュールズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・フントハンマー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・グリュブル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート・ロット
【審査官】
五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−35723(JP,A)
【文献】
特開2008−198740(JP,A)
【文献】
特開2010−80517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/26
H01F 17/04
H01F 27/255
H01F 37/00
H01F 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ寸法、幅寸法および高さ寸法を有するヨーク本体(110)を備えるフェライトコア(100)であって、前記長さ寸法、前記幅寸法および前記高さ寸法は互いに垂直に配向され、前記長さ寸法は、前記高さ寸法および/または前記幅寸法よりも大きく、前記ヨーク本体(110)の側面(116)には、その中に、位置決め構造(112)と、前記位置決め構造(112)とは異なる位置合わせ構造(114)とが設けられており、前記位置決め構造および前記位置合わせ構造(112,114)は、前記長さ寸法に沿って前記長さ寸法の5%〜75%だけ離間されていることを特徴とする、フェライトコア。
【請求項2】
前記位置決め構造(112)は、円錐形または円筒形または多面体の凹部として構成される、請求項1に記載のフェライトコア(100)。
【請求項3】
前記位置合わせ構造(114)は、細長い凹部として構成される、請求項1または請求項2に記載のフェライトコア(100)。
【請求項4】
前記細長い凹部は、前記長さ方向に沿って延在する、請求項3に記載のフェライトコア(100)。
【請求項5】
前記位置決め構造(112)および/または前記位置合わせ構造(114)の前記凹部は、深さ寸法(e1,e2)を有し、前記深さ寸法は、前記深さ寸法に垂直な前記位置決め構造(112)および/または前記位置合わせ構造(114)の凹部の最大寸法よりも小さい、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載のフェライトコア(100)。
【請求項6】
前記位置決め構造(112)は、前記側面(116)の領域の中心の周りにおいて前記長さ寸法の10%の範囲に配置されている、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のフェライトコア(100)。
【請求項7】
前記位置決め構造(112)および前記位置合わせ構造(114)は、前記長さ寸法の40〜50%の範囲で離間している、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のフェライトコア(100)。
【請求項8】
支持構造(130)と、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のフェライトコア(100)と、前記フェライトコア(100)上の少なくとも1つの巻線(W)とを含む誘導性部品であって、前記フェライトコア(100)は前記支持構造(130)によって保持され、前記位置決め構造(112)は、前記支持構造(130)上に設けられた位置決め要素(134)と係合し、前記位置合わせ構造(114)は、前記支持構造(130)上に設けられた位置合わせ要素(136)と係合する、誘導性部品。
【請求項9】
前記位置決め要素(134)および前記位置合わせ要素(136)は、各々、円筒形または円錐形または多面体のピンとして構成される、請求項8に記載の誘導性部品。
【請求項10】
前記位置決め要素(134)と前記位置合わせ要素(136)との間の接続方向に沿って、前記位置合わせ構造(114)は、前記接続方向と垂直な側面(116)における前記位置合わせ構造(114)のさらなる寸法よりも大きい寸法を有する、請求項8または請求項9に記載の誘導性部品。
【請求項11】
誘導性部品を製造する方法であって、
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のフェライトコア(100)を提供することと、
支持構造(130)上に前記フェライトコア(100)を配置することと、
前記フェライトコア(100)の上に少なくとも1つの巻線(W)を配置することとを備え、
前記支持構造(130)上に前記フェライトコア(100)を配置することは、前記位置決め構造(112)を、前記支持構造(130)上に設けられた位置決め要素(134)と係合させること、および前記位置合わせ構造(114)を、前記支持構造上に設けられた位置合わせ要素(136)と係合させること、または、
取付装置(150)によって前記支持構造(130)上に前記フェライトコア(100)を配置することを含み、前記取付装置(150)は、適切な態様で前記位置決め構造(112)および前記位置合わせ構造と係合する位置決め要素(156)および位置合わせ要素(158)を備える、誘導性部品を製造する方法。
【請求項12】
前記位置合わせ構造(114)が前記位置合わせ要素(136,158)と係合される前に、前記位置決め構造(112)は前記位置決め要素(134,156)と係合される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記位置決め要素(134,156)および前記位置合わせ要素(136,158)は、各々、円筒形または円錐形または多面体のピンとして構成される、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記位置決め要素(134,156)と前記位置合わせ要素(136,158)との間の接続方向に沿って、前記位置合わせ構造(114)は、前記接続方向と垂直な側面における前記位置合わせ構造(114)のさらなる寸法よりも大きい寸法を有する、請求項11〜請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前文に記載のフェライトコアと、そのようなフェライトコアを含む誘導性部品と、そのような誘導性部品を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、誘導性部品はコイルを有し、コイルは少なくとも1つの巻線を有する磁性コアによって規定されることが多い。誘導性部品の例は、チョークおよびトランスである。
【0003】
誘導性部品の磁性コアは、鉄粉末またはフェライトなどの強磁性材料から構成されることが多く、磁場を誘導する役割を果たしながら、巻線間の磁気結合および個々の巻線の巻回間の磁気結合を同時に増加させ、巻線は、平らなワイヤ、丸いワイヤ、撚られたワイヤまたは箔のワイヤによって規定された、銅またはアルミニウムのような導電性材料からなる。
【0004】
トランスおよびチョークは類似の構造設計を有するが、異なる適用分野で使用される。通常、チョークは、電線の高周波電流を低減するための低インピーダンスコイルであり、パワーエレクトロニクスおよび高周波技術において、電気および電子機器の電源の分野で使用されている。しかし、トランスは、通常、交流電圧を増加または減少させる役割を果たし、トランスの入力端子および出力端子は、通常はガルヴァニック絶縁されている。
【0005】
現代の適用例における電子および電気回路によって達成されるべき要求は、異なる電圧源への柔軟な調整とともに、より小さい損失および最大容量と組み合わせて電気および電子構成要素のよりコンパクトな構造設計を提供するために、ますます小型化を必要とする。多くの用途では、たとえば、電気および電子回路ユニットの動作は電源電圧の変動とは無関係であることが望ましい。
【0006】
しかしながら、小型化によって引き起こされる課題は、個々の部品の製造における損失および公差が可能な限り低く保たれるか、または大部分が補償される場合にのみ、満足に扱うことができる。誘導性部品に関する限り、これは、幾何学的寸法および物理的パラメータ(たとえば、インダクタンス、熱伝導など)など、これらの構成要素に対して予め定められた特性の変動が可能な限り小さく、換言すれば、所定の目標値からの逸脱が可能な限り小さいことを意味する。
【0007】
誘導性部品またはモジュールの多くの用途において満たされなければならない要求は、誘導性部品/モジュールが、ベースまたは支持プレートおよび/または他の構成要素に対して可能な限り正確に位置決めおよび/または位置合わせされなければならないことである。誘導性部品/モジュールの正確な位置決めおよび/または位置合わせがなければ、誘導性部品/モジュールの電気的特性に関して許容可能な公差を得ることは不可能である。さらに、製造中の個々の誘導性部品/モジュールの不正確な位置決めおよび/または位置合わせは、その後の取付けプロセスでの取付け上の問題、たとえば隣接する構成要素との衝突に至る可能性がある。
【0008】
誘導性部品の製造において発生する(そして全ての最適化にもかかわらず避けられない)製造誘発公差のさらなる例は、フェライト材料で形成されたコア本体の長さ公差である。フェライトコアの製造においては、通常粉末状のフェライト材料を所望の形状にプレス成形し、その後の温度工程で焼結する。熱的に条件づけられる長さの変化(物質/材料の温度変化に応じたその寸法の変化に対する挙動は、物質固有の材料定数である熱膨張係数によって記述される)のため、焼結プロセスにおいて±2.5%の公差が予想されなければならない。
【0009】
DE 10 2014 205 044 A1は、強磁性材料からなり、長さ寸法および幅寸法を有するクロスヨークを備える、コア本体を示す。幅寸法に対する長さ寸法の比率は、ここでは1より大きい。コア本体は、クロスヨークから離れるように横方向に延在方向に沿って延在し、延在方向は長さ寸法および幅寸法に対して垂直に向けられる、コア脚部をさらに備える。また、クロスヨークには、クロスヨークの後面に形成される位置合わせ凹部が設けられている。後面は、少なくとも1つのコア脚部に対向するクロスヨーク側に配置されている。
【0010】
上記の従来技術を基礎にして、フェライトコアと、そのフェライトコアを用いた誘導性部品と、そのような誘導性部品の製造方法とが提供され、フェライトコアは、可能な限り製造公差とは無関係に可能な限り高い精度で位置決めされ、位置合わせされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE 10 2014 205 044 A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の局面によれば、上記の目的は、長さ寸法、幅寸法および高さ寸法を有するヨーク本体を備えるフェライトコアであって、長さ寸法、幅寸法および高さ寸法は互いに垂直に配向され、長さ寸法は、高さ寸法および/または幅寸法よりも大きい、フェライトコアによって達成される。ヨーク本体の側面には、位置決め構造と、位置決め構造とは異なる位置合わせ構造とが設けられており、位置決め構造および位置合わせ構造は、長さ寸法に沿って長さ寸法の5%〜75%だけ離間されている。位置合わせとは、ここでは、部品の互いの関係における適切な位置決めまたは調整状態を意味する。
【0013】
例示的な実施形態によれば、位置決め構造は、円錐形または円筒形または多面体の凹部として構成される。これにより、位置決め構造をフェライトコアにおいて凹部として容易に実現することができ、フェライトコアに損傷を与える危険なしにフェライトコアに容易に設けることができる。
【0014】
さらに例示的実施の形態によれば、位置合わせ構造は細長い凹部として構成される。その、より有利なさらなる展開によれば、細長い凹部は長さ寸法に沿って延在する。細長い凹部として構成された位置合わせ構造によって、連続製造における複数のフェライトコアについての長さ寸法の公差とは独立して、位置合わせ構造を提供することが可能である。
【0015】
さらなる例示的実施の形態によれば、位置決め構造の凹部および/または位置合わせ構造の凹部は、深さ寸法を有し、それは、深さ寸法に垂直な位置決め構造および/または位置合わせ構造の凹部の最大寸法よりも小さい。したがって、動作中のフェライトコア内の磁束誘導に対する影響の程度が可能な限り小さくなる有利な位置決めおよび/または位置合わせ構造が提供される。
【0016】
別の例示的実施の形態によれば、位置決め構造は、側面の領域の中心の周りにおいて長さ寸法の10%までの範囲内に配置される。これは、連続製造における位置決めのための有利な基準点であり、フェライトコアは可能な限り高い精度で位置決めされ得る。
【0017】
さらなる例示的実施の形態によれば、位置決め構造および位置合わせ構造は、長さ寸法の40%〜50%だけ離間されている。これにより、位置合わせに関して改善された精度が可能になる。
【0018】
本発明のさらなる局面によれば、支持構造と、上記局面によるフェライトコアと、フェライトコア上の少なくとも1つの巻線とを備える誘導性部品が提供される。フェライトコアはここでは支持構造上に保持され、位置決め構造は、支持構造上に設けられた位置決め要素と係合し、位置合わせ構造は、支持構造上に設けられた位置合わせ要素と係合する。このようにして、支持構造に対するフェライトコアの正確な位置決めおよび位置合わせを伴う誘導性部品が提供される。
【0019】
例示的な実施形態によれば、位置決め要素および位置合わせ要素は、各々円筒形または円錐形または多面体のピンとして構成される。したがって、位置決め要素および位置合わせ要素を容易に実現することができる。
【0020】
さらなる例示的実施の形態によれば、位置合わせ構造は、位置決め要素と位置合わせ要素との間の接続方向に沿って、接続方向と垂直な側面における位置合わせ構造のさらなる寸法よりも大きい寸法を有する。これにより、接続方向に沿って、考えられ得る公差に関係なく、正確な位置合わせが可能になる。
【0021】
本発明のさらなる局面によれば、上記局面による誘導性部品を製造する方法が提供される。この方法は、上記の局面に従うフェライトコアを提供することと、支持構造上にフェライトコアを配置することと、フェライトコアの上に少なくとも1つの巻線を配置することとを備える。支持構造上にフェライトコアを配置することは、位置決め構造を、支持構造上に設けられた位置決め要素と係合させること、および位置合わせ構造を、支持構造上に設けられた位置合わせ要素と係合させること、または取付装置によって支持構造上にフェライトコアを配置することを含み、取付装置は、適切な態様で位置決め構造および位置合わせ構造と係合する位置決め要素および位置合わせ要素を含む。
【0022】
例示的な実施形態によれば、位置合わせ構造が位置合わせ要素と係合される前に、位置決め構造を位置決め要素と係合させてもよい。したがって、ヨーク本体が最初に位置決めされ、そこでヨーク本体がさらなるヨーク本体および/または支持構造に対して位置合わせされる。
【0023】
さらなる例示的実施の形態によれば、位置決め要素および位置合わせ要素は、各々円筒形または円錐形または多面体のピンとして構成される。このようにして、位置決めおよび位置合わせのための有利な要素が提供される。
【0024】
さらなる例示的実施の形態によれば、位置合わせ構造は、位置決め要素と位置合わせ要素との間の接続方向に沿って、接続方向と垂直な側面における位置合わせ構造のさらなる寸法よりも大きい寸法を有する。
【0025】
上述した局面および実施形態は、ここで、添付の図面に基づいて、さまざまな例示的なさらなる展開に関して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】いくつかの例示的な実施形態によるフェライトコアの斜視図である。
【
図1c】本発明の例示的な実施形態による、フェライトコアおよび支持構造を含む構成の拡大図の概略断面図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による取付装置の概略斜視図である。
【
図3a】本発明のさまざまな実施形態による位置決め構造および/または位置合わせ構造の概略斜視図である。
【
図3b】本発明のさまざまな実施形態による位置決め構造および/または位置合わせ構造の概略斜視図である。
【
図3c】本発明のさまざまな実施形態による位置決め構造および/または位置合わせ構造の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、長さ方向Lに沿って長さ寸法を、幅方向Bに沿って幅寸法を、高さ方向Hに沿って高さ寸法を有するヨーク本体110を有するフェライトコア100の斜視図を概略的に示す。ヨーク本体110は、たとえば、ロッドの形状を有し、長さ寸法対高さ寸法の比および長さ寸法対幅寸法の比は、1未満(<1)であってもよい。例示的な実施例によれば、長さ寸法は、幅寸法および/または高さ寸法の少なくとも2倍または3倍または5倍または10倍であってもよい。特定の例示的な実施形態によれば、以下のことが当てはまり得る:
長さ寸法>幅寸法=高さ寸法、
長さ寸法>幅寸法>高さ寸法、または
長さ寸法>高さ寸法>幅寸法。
【0028】
ヨーク本体110の側面116には、位置決め構造112と、位置決め構造112とは異なる位置合わせ構造114とが設けられており、それらは長さ方向Lに沿って(特に長さ寸法に沿って)距離aだけ離間されている。例示的な実施形態によれば、前記距離aについて以下のことが当てはまる:長さ寸法の5%<a<長さ寸法の75%。特別な例示的な例の場合、前記距離aは、長さ寸法の5%と長さ寸法の50%との間の範囲内にあってもよい。特別な例によれば、距離aは、長さ寸法の25%から長さ寸法の50%の範囲内、たとえば長さ寸法の30%から長さ寸法の40%の範囲内にある。
【0029】
例示的な実施形態によれば、側面116は、フェライトコア100の後側面であってもよい。例示的な一例によれば、側面116に対向する側面は、
図1aに破線で示すように、少なくとも1つの脚部122をその上に配置してもよい。少なくとも1つの脚部122は、ヨーク本体110と一体的に形成されてもよい。代替的に、少なくとも1つの脚部122をヨーク本体110に接着してもよい。
【0030】
図1bは、
図1aによるヨーク本体110の、長さ方向Lおよび高さ方向Hによって規定され位置決め構造112および位置合わせ構造114を通って延びる平面内における断面図を示す。
【0031】
図1bに示す例示的な実施形態によれば、位置決め構造112および位置合わせ構造114は、各々、側面116に凹部として構成されてもよい。これは、本発明の限定を表すものではなく、位置決め構造112および/または位置合わせ構造114は、突出部、スタッド、突き出しピン、バルジなどの、側面116から突出する構造として構成されてもよい。
【0032】
本発明の例示的な実施形態によれば、位置決め構造112は、円錐形または円錐台形の凹部として構成されてもよい。代替的に、位置決め構造112は、円筒形の凹部として構成されてもよい。これは、本発明の限定を意味するものではなく、位置決め構造は、代わりに、角錐形状の凹部として、または、非常に一般的に、多角形の断面を有する凹部、すなわち形状が多面体の凹部として構成することもできる。
【0033】
本発明の例示的な実施形態によれば、位置合わせ構造114は、細長い凹部として構成されてもよい。これは、位置合わせ構造114の幅方向Bに沿った延在寸法が、位置合わせ構造114の長さ方向Lに沿った延在寸法よりも小さいことを意味する。例示的な例では、長さ寸法(すなわち、長さ方向Lに沿った寸法)対幅寸法(すなわち、幅方向Bに沿った寸法)の比に従った位置合わせ構造114の寸法のアスペクト比は、2を超えてもよく、たとえば5を超えてもよく、またはさらなる例として、10を超えてもよい。これにより、ヨーク本体110を幅方向Bに沿って少ない故障許容で正確に位置合わせすることができる。特に、位置決め構造112を回転中心とする回転方向の公差は、位置合わせ構造114に対する小さなアスペクト比によって実現される。したがって、位置決め構造112によるヨーク110の正確な位置決めに加えて、位置決め構造112に対して、位置合わせ構造114を通る回転中心に対する方位位置合わせに関して、高い精度を達成することが可能である。
【0034】
図1bによれば、位置合わせ構造114は、長さ方向Lに延在寸法を有し、それは参照記号「b」によって示されている。フェライトコア100の支持構造(
図1bには図示せず)、たとえばプリント回路基板または取付装置(
図1bには図示せず)に対する位置決めおよび位置合わせに関して以下に説明するように、焼結中に生じる長さ収縮によるヨーク本体110の公差は、延在寸法bによって補償することができる。
【0035】
図1bによれば、位置決め構造112は、位置決め構造112の底部に、
図1bの参照符号「c」で示される長さ方向Lの延在寸法を有する。直接、側面116の表面における、長さ方向Lに延びる位置決め構造112の延在寸法は、
図1bにおいて参照符号「d」によって示される。位置決め構造112のテーパ状の凹部の場合、位置決め構造112の(高さ方向に沿った)深さが増加するにつれて、位置決め構造112の延在寸法が減少してもよい(c<d)。これは限定を表すものではない。いくつかの代替的実施形態(図示せず)によれば、c=dが成り立ってもよい。
【0036】
それぞれの例示的な実施形態によれば、たとえば次のことが当てはまり得る:a>b>d。
【0037】
例示的な実施形態によれば、たとえば、次のことが当てはまり得る:b/a<0.5(たとえばb/a<0.3またはb/a<0.2またはb/a<0.15)。加えてまたは代替的に、次のことが当てはまり得る:c/b<0.5(たとえばc/b<1/3および/または0.4>c/b)。加えてまたは代替的に、次のことが当てはまり得る:d/b<0.5(たとえばd/b<1/3および/または0.4>d/b>0.25)。加えてまたは代替的に、次のことが当てはまり得る:c/d<1(たとえばc/d<0.8および/または0.5<c/d<0.8)。
【0038】
例示的な実施形態によれば、誘導性部品(図示せず)におけるフェライトコア100の動作中に、ヨーク本体110内の磁力線プロファイルに及ぼす可能性のある影響が最小限になるように、位置決め構造の深さ(
図1bでは、参照記号「e2」で示される)が選択されてもよい。同様に、磁性構成要素(図示せず)におけるフェライトコア100の使用中に、ヨーク本体110内の磁力線プロファイルに及ぼす可能性のある影響が最小限になるように、(
図1bの参照符号「e1」で示される)位置合わせ構造114の深さが選択されてもよい。「最小限の可能性」は、10%未満、5%未満または1%未満の故障公差であってもよい。特別な例によると、次のことが当てはまり得る:e1=e2。これは、本発明の限定を表すものではなく、位置決め構造112および位置合わせ構造114の異なる深さ、すなわちe1≠e2を選択することが可能である。そのいくつかの特別な例では、次のことが当てはまり得る:e2>e1。
【0039】
側面116の反対側に位置する側面118には、少なくとも1つの脚部が配置されてもよく:例示的な実施形態では、
図1bの破線および一点鎖線によって示されるように、2つの側方脚部122および/または中央脚部124が設けられてもよい。少なくとも1つの脚部122,124は、フェライトコア100を提供するための焼結によってヨーク本体110と一体的に形成されてもよい。代替的に、脚部は、ロッド形状のヨーク本体110上に接着されてもよい。
【0040】
本発明の例示的な実施形態によれば、ヨーク本体110は、その上に、少なくとも1つの巻線Wを設けられてもよい。巻線Wは、たとえば、フェライトコア100の位置決めおよび位置合わせの前に、支持構造(図示せず)および/またはさらなるフェライトコア(図示せず、フェライトコア100と同様に構成することができる)上に配置することができる。
【0041】
図1cは、ヨーク本体110が、プリント回路基板、電子基板などの支持構造130上にどのように位置決めされ、位置合わせされるかを示す。支持構造130の、側面116に面する表面132上において、支持構造130は、その上に、ヨーク本体110を支持構造130上に位置合わせおよび位置決めするための要素を設けられている。具体的には、位置決め構造112との係合に入るための位置決め要素134と、位置合わせ構造114との係合に入るための位置決め要素136とが、前記表面132上に形成される。例示的な一例によれば、位置決め要素134は、位置決め構造112と正確に嵌合するように構成される。
図1cに示す例示的な実施形態の断面図では、位置決め要素134は、支持構造の表面132から突出する円筒形または円錐形または多面体のピンとして構成されてもよい。
【0042】
本発明の例示的な実施形態によれば、表面132には、位置決め要素134と同様に、円筒形または円錐形または多面体のピンとして表面132から突出する位置合わせ要素136が付加的に形成されている。位置決め構造112と位置決め要素134との間の正確に嵌め合う相補性が、支持構造130上のヨーク本体110の非常に正確な位置決めを達成することを可能にする一方で、支持構造130上のヨーク本体110の非常に正確な位置合わせが、位置合わせ要素136を位置合わせ構造114と係合させることによって達成される。位置合わせ構造114(
図1参照)の延在寸法bは、製造プロセスによって引き起こされるヨーク本体110の長さ寸法における公差の補償を可能にする。したがって、支持構造130の表面132上のヨーク本体110の正確な位置決めおよび位置合わせが、線熱膨張等により引き起こされるヨーク本体110の長さ寸法における製造公差に関係なく与えられる。
【0043】
本発明の例示的な実施形態によれば、位置決め構造112は、ヨーク本体110の表面116の領域の中心に構成されてもよい。代替的に、位置決め構造112は、側面116の領域の中心の周りにおいて長さ寸法の10%の範囲内に配置されてもよい。
【0044】
例示的な実施形態によれば、位置決め構造112および位置合わせ構造114は、側面116に長さ方向Lに沿って配置される。
【0045】
例示的な実施形態によれば、位置合わせ構造114は、位置決め構造112に対して位置決め要素134と位置合わせ要素136との間の接続方向に沿って配置され、接続方向において、接続方向と垂直な特に幅方向Bにおける、側面116の位置合わせ構造114のさらなる寸法よりも大きい寸法を有する。
【0046】
図1cを参照して、誘導性部品の製造方法を説明する。この方法によれば、ヨーク本体110を含むフェライトコア100が提供される。フェライトコア100は、その上に、少なくとも1つの巻線Wが設けられていてもよい。フェライトコアは支持構造130上に配置され、支持構造130上にフェライトコア100を配置することは、位置決め構造112を、支持構造130上に設けられた位置決め要素134に係合させるステップと、位置合わせ構造114を、支持構造130上に設けられた位置合わせ要素136に係合させるステップとを含む。
【0047】
例示的な実施形態によれば、位置合わせ構造114が位置合わせ要素136と係合される前に、位置決め構造112が位置決め要素134と係合される。代替的に、位置合わせ構造が位置合わせ要素と係合されるときに、位置決め構造を位置決め要素と正確に係合させてもよい。
【0048】
図2は、フェライトコア(たとえば、
図1a〜
図1cによるフェライトコア100)を製造するための誘導性部品の製造に使用するのに適した取付装置150の斜視図を概略的に示す。取付装置150は、底部領域154にフェライトコア(たとえば
図1a〜
図1cによるフェライトコア100)の位置決めおよび位置合わせのための要素が形成されてもよいトラフ形状凹部152を備えてもよい。特別な例によれば、取付装置150は、たとえば取手および/または吸着アタッチメントなどの保持構造または把持構造(図示せず)を有するトラフ形状またはカップ形状の要素を含んでもよく、取付装置を手動または機械的に位置決めすることができる。
【0049】
例示的な実施形態によれば、フェライトコア上の相補的な位置決めおよび位置合わせ構造との係合に入るように、位置決め要素156および位置合わせ要素158を取付装置150の底部領域154に設けてもよい。例示的な実施形態によれば、位置決め要素156および位置合わせ要素158は、たとえば
図1cに関して支持構造130に関連して上述した位置決めおよび位置合わせ要素134および136と同様に、各々円筒形または円錐形または多面体のピンとして構成されてもよい。トラフ形状凹部152は、ヨーク本体(たとえば、
図1a〜
図1cのヨーク本体110)を(
図1a〜
図1cに関して上述したヨーク本体110と同様の)別のヨーク本体に対して位置決めし位置合わせさせるために、詳細には示されていない取付装置150の一部として使用されてもよい。そうする際に、ヨーク本体はトラフ形状凹部152内に受け入れられてもよく、位置決め要素156および位置合わせ要素158は相補的な位置決め構造および位置合わせ構造と係合されてもよい(たとえば、
図1a〜
図1cの112および114参照)。したがって、トラフ形状凹部152内の、したがって、取付装置150に対する、ヨーク本体の正確な位置決めおよび位置合わせが正確に規定される。
【0050】
図3a〜
図3cを参照して、位置決め要素および/または位置合わせ要素の例示的な実施形態について、より詳細に説明する。
【0051】
図3aは、支持構造(図示せず)または取付装置(図示せず)の表面162上に形成された位置決めおよび/または位置合わせ要素160を示す。位置決めおよび/または位置合わせ要素160は、
図3aに従って円筒形ピンとして構成される。
【0052】
図3bは、支持構造(図示せず)または取付装置(図示せず)の表面172に形成された位置決めおよび/または位置合わせ要素170を示す。位置決めおよび/または位置合わせ要素170は、
図3bに従って、円錐形または円錐台形のピンとして構成される。
【0053】
図3cは、支持構造(図示せず)または取付装置(図示せず)の表面182上に形成された位置決めおよび/または位置合わせ要素180を示す。位置決めおよび/または位置合わせ要素180は、
図3cに従ってくさび形のピンとして構成される。これは限定を意味するものではなく、ピン180は、一般的な多面体、たとえば四面体、角錐、切頭角錐など、およびそれらの組み合わせとして構成されてもよい。
【0054】
前述のさまざまな実施形態に関して説明された支持構造は、本発明の例示的な実施例によれば、ベースプレートまたは担持体として構成されてもよい。たとえば、ベースプレートは担持体として働いてもよい。それに加えて、またはこれに代えて、支持構造はハウジングを備えてもよい。たとえば、ベースプレートは、少なくともフェライトコアまたはフェライトコアを有する誘導性部品が少なくとも部分的に導入されるハウジングの一部を表してもよい。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態によれば、支持構造は射出成形プラスチック部品として構成されてもよく、位置決めおよび位置合わせ要素はここでは実現が容易である。代替的に、押出成形によって形成してもよい。特殊な例によれば、支持構造は、射出成形部品として形成されたベースプレートとして構成されていてもよいし、少なくとも対応して形成されたベースプレートを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 フェライトコア、110 ヨーク本体、112 位置決め構造、114 位置合わせ構造、116 ヨーク本体の側面。