【文献】
電子情報通信学会,電子情報通信学会「知識の森」,日本,電子情報通信学会,2011年,1群−9編−2章,p.9-p.10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該システムは、前記加重補間ネットワークに通信可能に接続されるデシメーションユニットを更に備え、該デシメーションユニットは、デシメーション係数を受信し、そして該デシメーション係数に従って前記再サンプリング超音波データストリームからデータサンプルを削除してデシメート超音波データストリームを生成する、
請求項6に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
本発明の原理の理解を促す目的のために、図面に示す実施形態について参照しており、特定の用語は、同じものを説明するために使用されている。それにもかかわらず、本発明の範囲の限定は意図されないと解される。本発明が関連する当業者であれば通常思いつくように、記載された装置、システム及び方法に対する任意の変更及び更なる修正、並びに本発明の原理の更なる適用が完全に意図され、本発明の範囲内に含まれる。例えば、集束システムは、心臓血管イメージングに関して説明されるが、これは、この用途に限定されるものではないことが分かる。このシステムは、同様に、制限された腔内の画像化を必要とする任意の用途に適する。特に、一実施形態に関して説明される特徴、構成要素及び/又はステップは、本発明の他の実施形態に関して説明される特徴、構成要素及び/又はステップと組み合わせてもよいことが完全に企図される。しかし、簡潔にするために、これらの組合せの多数については個別に繰り返して説明しない。
【0030】
図1は、本発明の態様に係る血管内超音波(IVUS)画像化システム100の概略模式図である。本発明のいくつかの実施形態では、IVUS画像化システム100は、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)固体IVUSイメージングシステムである。いくつかの実施形態では、IVUS画像化システム100は、CMUT又はPZT固体IVUSイメージングシステムである。IVUSイメージングシステム100は、カテーテル、ガイドワイヤ若しくはガイドカテーテルなどのIVUS装置102、患者インタフェースモジュール(PIM)104、IVUS処理システム又はコンソール106、及び/又はモニタ108を備えることができる。
【0031】
高レベルでは、IVUS装置102は、装置の先端付近にあるトランスデューサ複合体110から超音波エネルギーを放射する。超音波エネルギーは、トランスデューサ複合体110を取り囲む環境内の構造によって反射される。また、トランスデューサ複合体110は、反射波を受信し測定する。
【0032】
PIM104は、トランスデューサ複合体110の動作を制御するように、IVUSコンソール106とIVUS装置102との間で信号の通信を促進する。これは、IVUSコンソール106にトランスデューサ複合体110で検出されたエコーデータを転送することを含む。この点で、PIM104は、受信したエコーデータを転送し、いくつかの実施形態では、コンソール106にデータを送信する前にエコーデータの予備的処理を実行する。このような実施形態の例では、PIM104は、データの増幅、フィルタリング及び/又は集計を実行する。また、実施形態では、PIM104は、トランスデューサ複合体110内の回路を含めた装置102の動作をサポートするために、高及び低電圧直流電源を供給する。
【0033】
IVUSコンソール106は、PIM104によりトランスデューサ複合体110からエコーデータを受信し、そしてデータを処理してトランスデューサ複合体110の周囲の環境の画像を作成する。また、コンソール106は、モニタ108に画像を表示することもできる。
【0034】
いくつかの実施形態では、IVUS装置は、ヴォルカノ社から入手できるEagleEye(登録商標)カテーテル及び米国特許第7846101号に開示されているもの(その全体を本明細書で引用により援用する)などの従来の固体IVUSカテーテルに類似するいくつかの特徴を有する。例えば、IVUS装置102は、装置102の遠位端にトランスデューサ複合体110を備え、かつ、装置102の長手方向の本体に沿って延在する伝送線束112を備える。伝送線束112は、PIMカプラ114において装置102の近位端で終了する。PIMカプラ114は、伝送線束112をPIM104に電気的に接続させ、かつ、IVUS装置102をPIM104に物理的に連結する。実施形態では、IVUS装置102は、ガイドワイヤ出口ポート116を更に備える。したがって、いくつかの例では、IVUS装置は迅速交換カテーテルである。ガイドワイヤ出口ポート116は、装置102を管120に通すために、ガイドワイヤ118を遠位端に向かって挿入するのを可能にする。管120は、画像化できる生体内にある天然及び人工の流体で満たされた又は取り囲まれた構造を表し、例えば、限定されないが、肝臓、心臓、腎臓、胆嚢、膵臓、肺を含めた臓器;導管;腸;脳、硬膜嚢、脊髄及び末梢神経を含めた神経系構造;尿路並びに身体の血液又は他の系内にある弁などの構造が挙げられる。天然構造を画像化することに加えて、画像は、心臓弁、ステント、シャント、フィルタ又は身体内に設置された他の装置、例えば、ガイドワイヤ又はガイドカテーテル(ただしこれらに限定されない)などの人工構造物を画像化することを含むことができる。実施形態では、IVUS装置102は、遠位先端部の近くに膨張可能なバルーン部分122を備える。バルーン部分122は、IVUS装置の長さに沿って移動しかつ膨張ポート(図示せず)で終了するダクトに開口している。バルーン122は、膨張ポートを介して選択的に膨張及び収縮できる。
【0035】
IVUS処理システム106は、IVUS装置102と連動して動作して狭い通路内から高解像度画像を生成するように設計されている。現在の技術水準と比較してIVUSイメージング装置の性能を向上させるために、本発明の実施形態は、広い帯域幅(>100%)及び球状集束開口を与えるPMUTなどの高度なトランスデューサ技術を取り入れる。この広い帯域幅は、短い超音波パルスを生成して径方向での最適な解像度を達成するために重要であり、また、球状集束開口は、横方向及び上方向の次元で最適な解像度を与える。PMUT及び他の高度な超音波トランスデューサ技術が提供する改善された解像度は、良好な診断精度を促進させ、異なる組織型を識別する能力を高め、そして血管内腔の境界を正確に把握する能力を高める。また、本発明の実施形態は、より効率的でかつより経済的な部品を利用しつつ焦点解像度を向上させ、ノイズ及びアーチファクトを減少させ、しかも解像度及びフレームレートの増加を実現する、IVUS処理システム106内での改善された焦点エンジンを提供する。
【0036】
超音波データを収集する方法を、
図2、
図3、
図4を参照して説明する。
図2は、本発明の態様に係る超音波データを生成する方法200のフロー図である。方法200のステップの前、その間及びその後に追加のステップを与えることができ、また、説明されたステップの一部をこの方法の他の実施形態と交換し又は排除することができると解される。
図3及び
図4は、本発明の態様に係るトランスデューサ複合体110の一部分の径方向断面図である。
【0037】
トランスデューサ複合体110はトランスデューサ302のアレイを収容しており、そのうちの13個を
図3に示している。トランスデューサ302は、開口304a、304b及び304cを含む開口304にグループ化される。いくつかの実施形態では、各トランスデューサ302は、1個以上の開口304の一部とすることができる。例えばトランスデューサ302cは、開口304a、304b及び304cに含まれる。非限定的な例として、示された実施形態では、各開口304は、9個のトランスデューサ302を備える。他の開口幅が企図される。例えば、更なる実施形態は、8、10、12、14、16、又は32個のトランスデューサ302を含む開口304を有する。実施形態では、開口304は、128個のトランスデューサ302を含む。
【0038】
ブロック202及び
図3を参照すると、開口304及び該開口内の関連トランスデューサ302が特定されている。これは、どの特定のトランスデューサを開口の各端部に配置するのかを決定することを含むことができる。
図3を参照すると、例示開口304aについて、トランスデューサ302aが第1端部にあり、トランスデューサ302iが第2端部に配置される。ブロック204において、初期の放射及び受信トランスデューサが指定される。放射及び受信トランスデューサのグループ化をAラインと呼ぶ。Aライン内では、複数の放射トランスデューサ及び複数の受信トランスデューサは、一緒に作用するように構成できる。さらに、いくつかの実施形態では、トランスデューサは、放射及び受信トランスデューサの両方として指定できる。したがって、代表的な発射では、トランスデューサ302aは、初期放射トランスデューサと初期受信トランスデューサの両方である。
【0039】
ブロック206において、指定された放射トランスデューサ(本例では、トランスデューサ302a)又は複数のトランスデューサを、超音波エネルギーを放射するように始動させる。超音波エネルギーの一部(例えば、矢印306によって示される線に沿って方向付けられた部分)は、トランスデューサ複合体110を取り巻く環境に位置する標的構造308によって反射する。ブロック208において、指定された受信トランスデューサ(本例では、トランスデューサ302a)又は複数のトランスデューサは、反射した超音波エコーを受信する(矢印310aで示す)。本発明の目的のために、トランスデューサによる受信行為は、超音波エコーなどのエネルギーインパルスを経験すること、受信されたインパルスを電位などの信号に変換すること、変換された信号を送信すること、変換された信号を測定すること及び/又は他の好適な受信ステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の放射エミッタを一組として発射する。複数のトランスデューサを一組として発射すると、より強力な超音波送信が生じる。特に、比較的小さな放射トランスデューサを使用する実施形態及び/又は比較的長い距離を画像化する実施形態(ただしこれらに限定されない)では、より強い放射は信号対雑音比を改善させる。同様に、いくつかの実施形態では、複数の受信トランスデューサを一組として受信するように設定する。この複数トランスデューサのグループは、単独で作用する個々のトランスデューサよりも良好な結像特性を有する強力な電位を生成することができる。
【0040】
図示した実施形態では、一連の発射を、一連の受信トランスデューサを使用して各放射トランスデューサについて生じさせる。受信トランスデューサは、歩行パターンに応じてステップスルーされる。前方歩行を示すことができる例示歩行パターンは、トランスデューサを任意の第1の方向に進める(例えば、トランスデューサ302a〜302b〜302cまで)。後方歩行は、トランスデューサを第1の方向とは反対の方向に進める(例えば、トランスデューサ302c〜302b〜302aまで)。他の歩行パターンは、複数の方向を利用し、トランスデューサをスキップし、トランスデューサを繰り返し、トランスデューサをグループ化し及び/又は任意の他の好適なパターンに従って動作する。受信サイクルが完了したら、次の放射トランスデューサを選択する。
【0041】
したがって、ブロック210で、現在の受信トランスデューサ又は複数のトランスデューサが歩行パターンにおける最終トランスデューサであるかどうかが決定される。いくつかの典型的なパターンでは、そのパターンにおける最終トランスデューサは、開口の端でのトランスデューサである(例えば、開口304aについてのトランスデューサ302a及び/又はトランスデューサ302i)。いくつかの典型的なパターンでは、最終受信トランスデューサは、放射トランスデューサである。受信トランスデューサがそのパターンにおける最終トランスデューサでない場合には、ブロック212で、次の受信トランスデューサ又は複数のトランスデューサが歩行パターンに従って指定される。前方歩行パターンに従う
図3に示す実施形態では、トランスデューサ302bが次の受信トランスデューサとして指定される。
【0042】
ブロック212から、ブロック206及び208の送信及び受信の連続を、新たに指定されたエミッタとレシーバのペアを使用して繰り返す。
図3の例示実施形態では、トランスデューサ302aからの放射(矢印306で示す)は、標的構造308によって反射する。反射を受信しトランスデューサ302bで変換する(矢印310bで示す)。次の反復で、トランスデューサ302aからの放射をトランスデューサ302cで受信する(矢印310cで示す)。これは、前方歩行パターンが、開口304aにおける最終受信トランスデューサであるトランスデューサ302iに達するまで進行する(矢印310iで示す)。こうして、放射トランスデューサ302aのための受信サイクルを完了させる。
【0043】
受信サイクルが完了すると、この方法は、ブロック210からブロック214に進み、そこで、放射トランスデューサ又は複数のトランスデューサがエミッタ歩行パターンに応じて最終放射トランスデューサであるかどうかが決定される。いくつかの実施形態では、そのパターンにおける最終放射トランスデューサは、開口の端にあるトランスデューサである。放射トランスデューサが最終トランスデューサでない場合は、ブロック216において、次の放射トランスデューサが指定される。いくつかの実施形態では、これは、同様に、レシーバ歩行パターンのアスペクトを修正することを含む。受信トランスデューサの歩行パターンを、例えば前方歩行パターンから後方歩行パターンに切り替えることにより、切り替えてもよい。また、新たな受信トランスデューサを指定することもできる。例えば、受信トランスデューサは、放射トランスデューサが変化する場合には、トランスデューサ302iから302aに変更できる。他の実施形態は、受信シーケンスに対して更に変更を取り入れる。
【0044】
ここで
図4を参照すると、例示実施形態では、トランスデューサ302bは、次の放射トランスデューサと指定され、そしてレシーバ歩行パターンを後方歩行パターンに切り替える。この実施形態では、指定された受信トランスデューサ302iは変わらないままである。ブロック206において、放射トランスデューサ302bは、超音波放射を生じさせ(矢印406で示す)、これは、標的構造308によって反射しかつトランスデューサ302iによって受信される(矢印410iで示す)。後方歩行パターンのため、次の反復で、トランスデューサ302bからの放射は、トランスデューサ302h(矢印410hで示す)によって受信され、その後トランスデューサ302g(矢印410gで示す)によって受信される。この方法は、最終放射トランスデューサが受信サイクルを完了するまで継続し、そして、いくつかの実施形態では、開口内の放射トランスデューサ及び受信トランスデューサのAラインの組合せが使い尽くされる。
【0045】
指定された放射トランスデューサのために受信トランスデューサをステップスルーする観点から方法200を開示することは純粋に任意であることが分かる。いくつかの実施形態では、受信トランスデューサが指定され、方法200は、新たな受信トランスデューサを指定する前に、一連の放射トランスデューサのシーケンスを介して進行する。さらに、
図3〜4を参照して開示されたエミッタ及びレシーバ歩行パターンが、説明を明確にするため選択された例である。他の歩行パターンも企図されかつ提供される。
【0046】
図から分かるように、例示的な9個のトランスデューサ開口304のそれぞれについて、81個のトランスデューサの組合せ(又はA−ライン)が存在する。いくつかの実施形態では、Aラインの発射数を、Aラインデータが相反性を示すと仮定することによって減少させる。言い換えれば、トランスデューサ302aよって放射されかつトランスデューサ302iによって受信された信号は、トランスデューサ302iによって放射されかつトランスデューサ302aによって受信される信号のための好適な代替物である。したがって、いくつかの実施形態では、それぞれの逆数Aライン対に対して1つのみのAラインを生成する。
【0047】
図5は、本発明の態様に係るトランスデューサ複合体110の開口
図500である。
図5は、トランスデューサペア(Aライン)と関連する開口との関係及び隣接する開口間の関係を示す図である。図から分かるように、
図5の開口
図500は、Aライン発射の数を減らすために、データの逆数的(相互的)性質を活用する。例示実施形態では、N個のトランスデューサ及びiの初期トランスデューサ指数を有する開口について、トランスデューサT
iによって生成された信号は、T
iとT
i+N-1との間にある各トランスデューサにより受信される。後のトランスデューサT
i+1によって生成された信号は、T
i+1とT
i+N-1との間にある各トランスデューサによって受信されるが、必ずしもT
iによって受信されるわけではない。というのは、T
iからT
i+1への好適な代替データが存在するからである。したがって、T
i+N-1によって生成された信号は、T
i+N-1で受信されるが、必ずしも他のトランスデューサで受信されるわけではない。
図5との関連で言えば、第1の例示の9個のトランスデューサ開口は、トランスデューサT
A〜T
Iを備え、三角形502aで表される。トランスデューサT
Aによって生成された信号は、トランスデューサT
A〜T
Iによって受信される。トランスデューサT
Bにより生成された信号は、トランスデューサT
B〜T
Iなどによって受信される。図から分かるように、発射パターンは、81回の代わりにわずか45回の発射を取り入れる。これは、開口データセットを取得するために要する時間を測定可能な程度に短縮できる。
【0048】
図6は、本発明の態様に係るトランスデューサ複合体110の一部の径方向断面図である。いくつかの実施形態では、データ収集は、複数の開口304についてのデータを同時に収集することによって促進される。前述したように、各トランスデューサは、複数の開口の一部であってもよく、それに応じて、それぞれのAライン(トランスデューサの組み合わせ)は、複数の開口の一部であってもよい。トランスデューサ302b〜302iで受信されたトランスデューサ302bからのAラインは、開口304a及び304bの一部である。トランスデューサ302bからトランスデューサ302jまでの単一の追加Aライン測定610jは、放射トランスデューサ302bに関して両方の開口についての完全なデータセットを提供するのに十分である。したがって、ある実施形態では、トランスデューサ302bの発射パターンは、開口304a及び304bの両方に必要なデータを生成する。
【0049】
再度
図5を参照すると、例示的な第1の9個のトランスデューサ開口は、三角形502aで示されるように、トランスデューサT
A〜T
Iを備える。第2隣接開口は、三角502bで示されるように、トランスデューサT
B〜T
Jを備える。したがって、実施形態では、放射トランスデューサT
Bの受信サイクル中に、受信トランスデューサT
Jのために追加の発射を実行する。これは、第1及び第2開口502a及び502bについてのデータを生成する。さらに、放射トランスデューサT
Cのための受信サイクルは、第1及び第2開口502a及び502b並びに三角形502cによって表される第3のものについてのデータを生成するために、受信トランスデューサT
C〜T
Kを備える。換言すれば、N個のトランスデューサ及びiの初期トランスデューサ指数を有する所定の開口について、トランスデューサT
iによって生成された信号は、T
iとT
i+N-1との間にある各トランスデューサで受信される。トランスデューサT
i+1によって生成された信号は、T
i+Nが第1開口に含まれていないという事実にもかかわらず、T
i+1とT
i+Nとの間にある各トランスデューサで受信される。このシーケンスは、所定の開口についての完全なデータセットが収集されるまで継続し、その時に、部分データがN−1の他の開口のために収集されることになる。いくつかの実施形態は、複数の開口に関連するデータの同時収集を活用して開口処理を並行して実行する。一例として、トランスデューサT
cについての信号データを、開口502a、502b及び502cに使用する。したがって、いくつかの実施形態では、トランスデューサT
cについての信号データを、開口502a、502b及び502cのために同時に処理することができる。
【0050】
図7は、本発明の態様に係る複数の開口304についての超音波データを同時に収集する方法700のフロー図である。方法700のステップの前、その間及びその後に追加のステップを与えることができ、説明されたステップの一部を方法700の他の実施形態と交換する又は排除することができることが分かる。ブロック702を参照すると、開口304及び該開口内の関連のトランスデューサ302が特定される。これは、開口の各端部に位置するトランスデューサを識別することを含むことができる。ブロック704において、初期放射及び受信トランスデューサを指定する。一実施形態では、開口の端部にあるトランスデューサは、第1放射及び第1受信トランスデューサの両方として指定される。ブロック706では、指定された放射トランスデューサ又は複数のトランスデューサは、超音波エネルギーを放射するように始動される。ブロック708では、指定された受信トランスデューサ又は複数のトランスデューサは、反射した超音波エコーを受信し、そして受信エネルギーをエコーデータに変換する。ブロック710で、このエコーデータを、指定されたトランスデューサを収容する開口などの複数の開口での処理のために提供する。
【0051】
ブロック712において、指定された受信トランスデューサが歩行パターンでの最終トランスデューサがあるかどうかが決定される。受信トランスデューサが歩行パターンにおける最終トランスデューサでない場合には、ブロック714において、次の受信トランスデューサ又は複数のトランスデューサをそのパターンに応じて指定する。このような実施形態では、第1方向へ進めることを前方歩行と指定するのに対し、第2方向へ進めることを後方歩行と指定する。ブロック706及び708の発射及び受信連続を、新たに指定された送信機と受信機のグループを使用して繰り返す。
【0052】
ブロック712において、受信トランスデューサがそのパターンにおける最終トランスデューサである場合には、受信サイクルを放射トランスデューサについて完了させる。受信サイクルが完了すると、この方法は、ブロック712からブロック716に進み、ここで、現在の放射トランスデューサがエミッタ歩行パターンにおける最終トランスデューサであるどうかが判定される。そうでない場合には、ブロック718において、次の放射トランスデューサ又は複数のトランスデューサが指定される。ブロック718で、次の受信トランスデューサ又は複数のトランスデューサは、レシーバ歩行パターンに従って、同様に指定できる。いくつかの実施形態では、ブロック720において、歩行パターンを変更する(例えば、前方歩行と後方歩行との間で交互に)。次に、この方法はブロック714に進む。
【0053】
開口の最終放射トランスデューサが受信サイクルを完了するまで、方法700は継続する。これが生じるときに、方法700はブロック716からブロック722に進み、そこで、開口のための集束Aラインのデータを送信する。次に、方法700はブロック718に進み、そこで、放射及び受信トランスデューサがインクリメントされ、そしてデータ収集をその後の開口について実行する。このデータ収集方法が第1(最初の)開口データセットを収集するための時間を改善しない場合であっても、複数の開口に関連するデータの同時収集のため、その後の開口データセットを得るために必要な時間を短縮することができる。
【0054】
指定された放射トランスデューサのために受信トランスデューサをステップスルーする観点から方法700を開示することは純粋に任意であることが分かる。いくつかの実施形態では、受信トランスデューサを指定し、そして方法700は、新たな受信トランスデューサを指定する前に、一連の放射トランスデューサを通して進む。さらに、開示された歩行パターンは、説明を明確にするために選択された例である。他の歩行パターンが企図され、提供される。
【0055】
図8は、本発明の態様に係る経時受信トランスデューサエコーデータ802のグラフ図である。多くの実施形態では、アナログトランスデューサエコーデータ802をデジタル領域での更なる処理のためにデジタル化する。ライン804によって示されるように、デジタル化は、所定時間内における離散点でアナログデータサンプルを取得することを含む場合が多い。このデジタル化は、IVUS装置102内、PIM104内、IVUS処理システム106内で及び/又は別のIVUS部材内における別の好適な位置で実行できる。いくつかの実施形態では、デジタル化は、固定クロックレートデジタイザを用いて行われる。これは、時間の増分値当たりの定数のデジタルサンプルを生成する。しかし、メモリ、処理リソース及び処理時間は、エコーデータが受信トランスデューサに到達し、かつ、他の場所にはほとんど又は全く到達しないと予想される期間中にエコーデータを頻繁にサンプリングすることによって低減できる。したがって、いくつかの実施形態では、デジタル化は、可変周波数デジタイザを使用して実行される。これは、デジタル化されたエコーデータのサンプル数を減少させることができ、かつ、エコーデータを処理するためのシステム要件を減少させることができる。
【0056】
図8を参照すると、エコーデータについてのサンプリングパターンは、受信トランスデューサによって生成される信号が関連しない初期期間806を含むことができる。したがって、初期期間806中のサンプルを省略することができる。例えば、この初期期間806は、超音波放射の反射がまだ到着していない時間に相当する場合があるため、あらゆる測定値はバックグラウンドノイズである。また、サンプリングパターンは、エコーデータ802を様々な周波数でサンプリングする1以上のアクティブ期間808及び810を含むこともできる。実施形態では、信号データが関連性の低い第1アクティブ期間808中に、データは、第2アクティブ期間810中よりも相対的に低い周波数でサンプリングされる。多くの要因がデータの関連性に影響を与える可能性がある。例えば、目的の範囲外の集束範囲に相当する期間は、関連性の低いものであることができる。更なる例として、エミッタがピーク出力に達する前に生成されたデータに相当する期間は、減少した信号対雑音比を示すため、関連性が低い。このサンプリングパターンは、これらの関連性の要因などを説明することができる。様々な実施形態では、アクティブ期間808及び810のタイミング及び持続時間並びにアクティブ期間中のサンプリングレートは、サンプルサイズとデータ品質とのバランスをとるように選択される。
【0057】
可変周波数サンプリングは、可変周波数オシレータを利用して実施できる。このような実施形態では、デジタイザ設計の単純さは、見込まれる欠点に対してバランスをとらなければならない。例えば、可変周波数オシレータは、複雑な制御ロジックを必要とする場合があり、固定周波数オシレータよりも多くの電力を必要とする場合があり、固定周波数オシレータよりも多くの熱を発生させる場合があり、しかも信頼性を低下させる場合がある。
【0058】
図9a及び
図9bは、本発明の態様に係る可変クロックレートデジタイザの概略図である。
図9aのデジタイザ900は、固定レートオシレータ902及びバンプマップ生成器904を内蔵する。デジタイザ900は、アナログエコーデータ906を単独で又はエコーデータ906を生成するために使用されるAラインのトランスデューサ構成908と共に受信する。例えば、トランスデューサ構成908は、エコーデータ906を生成したAライン又はエミッタ/レシーバのペアを示すことができる。トランスデューサ構成908から、バンプマップ生成器904は、エコーデータについてのサンプリングパターンを決定する。
【0059】
サンプリングパターンは、トランスデューサ複合体110の幾何学的形状(例えば、弧度、トランスデューサの間隔、エミッタとレシーバとの間の距離、信号線の長さなど)、トランスデューサの特性(例えば、発射遅延、感度など)、開口の特性(例えば、幅、トランスデューサ複合体上の位置など)及び/又は到達時間、信号品質、信号の関連性などに影響を与える他の関連する要因に基づくことができる。例示実施形態では、エミッタ及びレシーバの両方として機能する単一のトランスデューサを有するAラインは、さらに間隔の開いたトランスデューサペアよりも標的構造への及びそれからの短い距離を有することができる。それに応じてサンプリングパターンを構成することができる。別の例示実施形態では、サンプリングパターンは、製造のばらつきに相当する。様々な他の実施形態では、サンプリングパターンの時間的位置は、エコーデータを受信する時間に影響を与える測定されかつ計算された他の影響に相当する。
【0060】
いくつかの実施形態では、サンプルの総数は、基準Aラインによって決定される。このような一実施形態では、基準Aライン用バンプマップは、合計3000のサンプルを特定する。実施形態では、他の関連Aライン用のバンプマップは、全サンプルの同じ数を特定するが、時間の配置は変更できる。
【0061】
このサンプリングパターンを使用して、開口内の様々なAラインから収集されたエコーデータ906を整列させることができる。いくつかの実施形態では、これは、Aライン間でのエコーデータ906の時間的アライメントを実行するために初期期間806を含めてサンプリングパターンの期間を選択することにより実行される。いくつかの実施形態では、サンプリングパターンの期間のサンプルレートは、エコーデータの時間的アライメントを実行するために計算される。
【0062】
バンプマップ生成器904は、サンプリングパターンに対応するバンプマップ910を作成する。いくつかの実施形態では、バンプマップ910は、バイナリデータ(複数の0及び1)を含み、ここで、1は、アナログデータのサンプルが対応するクロックパルスで得られるはずであることを示し、0は、新たなサンプルが対応するクロックパルスでは得られないはずであることを示す。別の実施形態では、1は、新たなサンプルが対応するクロックパルスで得られるはずではないこと、及びその逆を示す。
【0063】
固定レートオシレータ902によって生成されるバンプマップ910及びクロックは、アナログ・デジタル変換器912に提供される。アナログ・デジタル変換器912は、クロックとバンプマップ910との組合せによって決定されるクロックレートでアナログエコーデータをサンプリングする。いくつかの実施形態では、バンプマップ910はクロックをマスクする。例えば、バンプマップ910及びクロックは、アナログ・デジタル変換器912内のANDゲートへの入力として供給できる。ANDゲートの出力は、アナログエコーデータをサンプリングするためにアナログ・デジタル変換器912によって使用されるサンプルクロックとして機能することができる。このように、アナログ・デジタル変換器912は、デジタル化されたエコーデータ914を、クロックとバンプマップ910との組合せによって決定されるサンプル周波数を有するアナログエコーデータ906から生成する。
【0064】
また、
図9bのデジタイザ950は、固定レートオシレータ902及びバンプマップ910も内蔵する。デジタイザ950は、指摘されている場合を除き、デジタイザ900と実質的に類似する。違いの一つは、デジタイザ950が、固定レートオシレータ902によって生成されたクロックに基づいて固定周波数でサンプリングするアナログ・デジタル変換器912を内蔵していることである。固定レートオシレータと同様に、固定周波数のアナログ・デジタル変換器は、複雑さが少ない場合があり、エネルギー消費が少ない場合があり、熱の生成が少ない場合があり、及び/又は可変レートの変形例よりも信頼性が高い場合がある。したがって、デジタイザ950は、サイズ、複雑さ及び/又は電力消費を低減でき、かつ、別の設計と比較して信頼性が向上できる。
【0065】
アナログ・デジタル変換器912は、固定レートデジタル化エコーデータ952を生成し、これをバンプマップ910に従ってレート変換器954によって可変レートデジタル化データ956に変換する。その際に、レート変換器954は、固定レートデータ952に対してダウンサンプリング、アップサンプリング、補間及び/又は他の修正を実行することができる。したがって、いくつかの実施形態では、レート変換器954は、固定レートデジタル化エコーデータ952からのサンプルを破棄して可変レートデジタル化エコーデータ956を生成する。いくつかの実施形態では、レート変換器は再サンプリングし、そしてそれによって固定レートデジタル化エコーデータ952にサンプルを追加する。いくつかの実施形態では、レート変換器は、固定レートデジタル化エコーデータ952のサンプルからの値を補間して可変レートデジタル化エコーデータ956を生成する。
【0066】
図10は、本発明の態様に係る可変レートデジタル化超音波データを生成する方法1000のフロー図である。追加のステップを、方法1000のステップの前、その間、及びその後に与えることができ、また、説明されたステップの一部を方法1000の他の実施形態と交換し又は排除することができることが分かる。ブロック1002を参照すると、アナログエコーデータをAライントランスデューサのグループから受信する。このアナログエコーデータは、Aラインのトランスデューサ302あるいは増幅器、フィルタ、信号調整器及び/又は他の好適なインタフェースシステムから直接受信できる。ブロック1004では、固定周波数基準クロックを受信する。基準クロックの周波数は、可変レートデジタル化データの生成中に使用される最大のサンプリング周波数に対応することができる。ブロック1006において、Aラインのいくつかの側面を特定するトランスデューサ構成が受信される。このトランスデューサ構成は、Aラインのトランスデューサ、トランスデューサ複合体110の形状、トランスデューサの特性、開口の特性、及び/又はエコーデータの時間的特性を決定することができる他の関連する要因を特定することができる。
【0067】
ブロック1008では、バンプマップは、トランスデューサ構成から決定される。バンプマップは、デジタル化エコーデータのサンプリング間隔を特定し、そしてこれを使用して、アナログエコーデータがサンプリングされない初期間隔、エコーデータを減少周波数でサンプリングするアクティブ間隔、エコーデータを増加周波数でサンプリングするアクティブ間隔及び他の重要な時間間隔を特定することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、これらの間隔は、エコーデータが期待される期間中にサンプリングレートを増大させるように選択される。他の場所でのサンプル数を減らすことによって、バンプマップは、データの取り扱いと集束とのためのメモリ、処理リソース、クロック速度及び消費電力を低減することができる。いくつかの実施形態では、バンプマップは、複数のAライン間のサンプル総数を調整する。例えば、全サンプルは基準Aラインによって設定でき、また、開口内の他のAラインについてのバンプマップは、基準合計に従ってもよい。いくつかの実施形態では、バンプマップを使用してAラインにわたるエコーデータの時間的アライメントを実行する。
【0069】
いくつかの実施形態では、バンプマップは、一連のバイナリデータ(複数の0及び1)を含み、ここで、1は、アナログデータのサンプルが対応するクロックパルスで得られるはずであることを示し、0は、新たなサンプルが対応するクロックパルスでは得られないはずであることを示す。別の実施形態では、1は、新たなサンプルが対応するクロックパルスで得られるはずであることを示す。
【0070】
ブロック1010において、アナログのエコーデータを基準クロック及びバンプマップに応じてデジタル化して可変レートデジタルエコーデータを生成する。いくつかの実施形態では、バンプマップを使用して基準クロックをゲートし、かつ、サンプリングのための可変レートクロックを生成する。更なる実施形態では、アナログデータをまず基準クロック周波数でサンプリングすることによってデジタル化し、そしてこの固定周波数データを、バンプマップに従ってダウンサンプリング、アップサンプリング、補間及び/又はそうでなければ修正する。バンプマップを利用することにより、デジタルエコーデータセットを、データの品質に悪影響を与えることなく、かつ、複雑な制御ロジックを必要とする場合があり、固定周波数均等物よりも多くの電力を必要とする場合があり、しかも低下した信頼性を実証する場合がある可変周波数装置を使用することなく減少させることが可能になる。
【0071】
図11は、本発明の態様に係るトランスデューサ複合体110の集束開口304の断面図である。開口データが収集されたら、該データは、数学的集束処理を受けることができる。集束は、Aライントランスデューサの組合せから収集されたデータを調節し組み合わせることによって画像品質を改善する。集束の効果は、開口304内の所定位置からの幅狭放射であってトランスデューサ複合体110上の所定位置で受信されたものを、トランスデューサ302が実際にこれらの位置に存在するかどうか又はこのような幅狭放射を生成することができるかどうかにかかわらずシミュレートするデータセットにAラインデータを組み合わせることである。いくつかの実施形態では、複数の集束Aラインが開口304ごとに生成される。様々な集束Aラインを、トランスデューサ複合体110の表面から異なる角度に向けることができる。例えば、集束は、Aライン1102a、1102b及び1102cについてのデータを生成することができる。これら様々な集束Aラインは、集束Aラインデータの様々なフレーバと呼ぶこともできる。いくつかの実施形態では、焦点の計算は、範囲に影響を受けやすい。例えば、所定の集束Aライン(例えば、Aライン1102a)は、範囲1104aのための因子の一方のセット、1104bのための別のセット及び1104cのための別のセットを使用して計算できる。更なる非限定的な例では、所定の集束Aラインは、2、4、5、6及び9を含めた、範囲1104の他の数に対して計算される。実施形態では、範囲1104の数は、測定された(集束しない)Aラインのために収集したサンプルの数である。範囲の他の好適な数が提供される。したがって、集束は、範囲、フレーバ及び/又は生成される集束Aラインの他の側面で割った計算のセットを含むことができる。
【0072】
集束の処理は、データの時空間アライメント(径方向集束、すなわち矢印1106で示された径方向)並びにデータの空間的アライメント(方位角度集束、すなわち矢印1108で示される方位角方向)を含むことができる。第1のタイプのアライメント、すなわち時空間アライメントは、飛行時間型調整を含むことができる。Aライン間の異なる飛行経路のため、受信エコーは、異なる時間にトランスデューサに到達する場合がある。飛行時間型調整は、これらの信号を開口内の他のAラインの信号に整列させる時間内に受信応答をシフトさせる。第2のタイプのアライメント、すなわち空間的アライメントは、振幅バランス及びアポダイゼーションを含むことができる。振幅バランスの一つのタイプは、トランスデューサの特性に基づいて、振幅調整を受信応答に適用する。例えば、トランスデューサは、斜めの角度に向けた信号に対する感度が低下している場合がある。こうして、指向性増幅率を、放射トランスデューサに対する受信トランスデューサの位置に基づいて決定することができる。更なる例では、製造のばらつきに起因する場合のあるものなどの感度の低いトランスデューサを補正するために調整を加えることができる。アポダイゼーションは、別のタイプの振幅加重であり、これを使用してイメージングプロセスからのグレーティング及びサイドローブ効果並びに他のアーチファクトを低減することができる。アポダイゼーションは、時間窓のいずれかの側での受信応答の振幅を漸減させることを含むことができる。これは、その窓のピーク中における応答性を強調する。代表的なアポダイゼーション加重としては、ボックスカー、ハン、ハミング、余弦、ルートレイズ余弦及び半余弦ウィンドウ関数が挙げられる。
【0073】
図12は、本発明の態様に係る集束システム1200の概略図である。集束システム1200の一部は、IVUS処理システム106、患者インタフェースモニタ(PIM)104及び/又はIVUS画像化システム100の他の構成要素に取り入れられることができる。様々な実施形態では、集束システム1200は、開口304内のトランスデューサ302からAラインデータを集束して開口304についての集束データセットを生成する。集束システム1200は、Aラインデータステアリングインタフェース1204を介してAラインデータ1202を受け取る。いくつかの実施形態では、インタフェース1204は、トランスデューサ複合体110からAラインデータ1202を受信する。いくつかのこのような実施形態では、Aラインインタフェース1204は、トランスデューサ複合体110のトランスデューサ302から直接データを受信する。いくつかの実施形態では、Aラインインタフェース1204は、データバッファなどのメモリサブシステム、アナログ・デジタル変換器、アナログ及び/又はデジタルアンプ、フィルタ、信号調整器、及び/又は他の好適なインタフェースシステムからデータを受信する。Aラインデータステアリングインタフェース1204は、適切な飛行時間型(TOF)調整ユニット1206に受信したデータを向ける。
【0074】
飛行時間型調節ユニット1206は、Aラインデータを時間内に整列させる。例示実施形態では、集束システム1200は、開口内の各Aラインのための飛行時間型調整ユニット1206を備えるが、明確化のために4つしか示されていない。他の実施形態は、わずか1つの飛行時間型調整ユニット1206を組み込む。飛行時間型調整ユニット又はその複数のユニット1206は、オフセットに従って時間内で信号をシフトさせることによってAラインデータを整列させる。いくつかの実施形態では、ユニット1206によって適用される特定のオフセットは、トランスデューサ複合体110の形状(例えば、弧度、トランスデューサの間隔、エミッタとレシーバとの間の距離、信号線の長さなど)、トランスデューサの特性(例えば、発射遅延、感度など)、開口の特性(例えば、トランスデューサ複合体上の幅、位置など)及び/又は到達時間に影響を及ぼす他の関連要因に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、例えば、集束Aラインが距離範囲1104又はフレーバに基づいて複数の計算に分割される場合、個別の飛行時間オフセットを、各特定の集束範囲1104又はフレーバのために供給する。いくつかの実施形態では、飛行時間オフセットは、予め決定された値を利用することに加えて又はその代わりに、ピーク検出などの方法により、入ってくるAラインのデータの分析によって決定される。オフセットを適用した後に、整列Aラインデータをアポダイゼーションユニット1208に供給する。
【0075】
アポダイゼーションユニット1208は、グレーティング及びサイドローブの影響を補正するために振幅加重のセットを適用する。このような加重は、典型的には、時間窓のいずれかの側での受信応答の振幅を漸減させ、ボックスカー、ハン、ハミング、余弦、平方根二乗余弦、半余弦窓関数及び/又は他の好適なアポダイゼーション関数などのアポダイゼーション関数から導出できる。また、アポダイゼーションユニット1208は、トランスデューサ特性に基づいて振幅調整を実行することもできる。例えば、振幅調整は、感度の低下したトランスデューサを補正することができる。得られた整列及びアポダイズデータを合計ユニット1210に供給し、これは、非集束Aラインからのデータを追加して開口についての集束Aラインデータを生成する。
【0076】
図13は、本発明の態様に係る開口エンジン1300の概略図である。開口エンジン1300の部分を、IVUS処理システム106、患者インタフェースモニタ(PIM)104、及び/又はIVUSイメージングシステム100の他の構成要素に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、開口エンジン1300は、集束計算の並列性を強化して集束スループットを改善する。システム1200の集束とは対照的に、開口エンジン1300は、実行合計ユニット1306及び効率化インタフェースを並列化アーキテクチャと共に内蔵する。図示した実施形態では、開口エンジン1300は、集束AラインデータのN回の並列計算を実行し、そのうちの3つが示されている。更なる実施形態は、TOFとアポダイゼーションユニット1304と実行合計ユニット1306とについて、他の数を取り入れてフレーバの他の数を生成する。例えば、このような一実施形態では、開口エンジン1300は、単一のTOF及びアポダイゼーションユニット1304と単一の実行合計ユニット1306とを備える。
【0077】
開口エンジン1300は、集束のために生Aラインデータを受信する。このデータは、トランスデューサ複合体110、メモリサブシステム、アナログ・デジタル変換器、アナログ及び/若しくはデジタルアンプ、フィルタ、信号調整器、並びに/又は他の好適なインタフェースシステムから受信できる。その後、受信Aラインデータ1302を、1以上の飛行時間(TOF)及びアポダイゼーションユニット1304に分配する。図示した実施形態では、各ユニット1304は、集束Aラインのデータのサブセットに対応する。様々な例では、これらのサブセットは、範囲及び/又はフレーバによって分割されるが、明らかに他の分割も与えられる。各TOF及びアポダイゼーションユニット1304は、TOF調整1308及びアポダイゼーション係数1310のセットを受信する。このセット内のTOF調整1308及びアポダイゼーション係数1310の値は、TOF及びアポダイゼーションユニット1304に割り当てられた集束Aラインデータのサブセットに基づいて決定できる。例えば、TOF調整1308及びアポダイゼーション係数1310の第1セットは、第1フレーバ及び範囲の組合せに相当することができる。次に、ユニット1304は、TOF調整因子1308に従ってAラインデータサンプルを時間内に整列させることができ、かつ、アポダイゼーション係数1310に従ってアポダイゼーション関数及び/又は振幅バランスを適用することができる。
【0078】
1以上のTOF及びアポダイゼーションユニット1304によって生成される整列及びアポタイズAラインデータを、対応する実行合計ユニット1306に入力する。実行合計ユニット1306は、開口を構成するAラインについての整列及びアポダイズデータを追加する。実行合計ユニット1306が十分なデータを蓄積した場合には、ユニット1306は、集束Aラインデータ1312を生成する。このデータ1312は、開口についての合計集束Aラインデータのサブセットであることができる(例えば、フレーバ及び/又は範囲を選択する)。複数のTOF及びアポダイゼーションユニット1304及び実行合計ユニット1306を設けることによって、開口エンジン1300は、こうしてデータ1312の複数のサブセットを同時に生成することができる。
【0079】
並列化の利点に加えて、このアーキテクチャの別の利点は、いくつかの実施形態では、Aラインのデータがデータステアリングインタフェースなしに任意の数のTOF及びアポダイゼーションユニット1304に分配されることである。この効率化された(streamlined)インタフェースは、各データサブセットを生成するための回路(関連するTOF及びアポダイゼーションユニット1304及び実行合計ユニット1306を含む)を、個別のコンピューティングハードウェア装置(例えば、汎用プロセッサ、グラフィック処理ユニット、ASIC、FPGA、DSP、マイクロコントローラなど)に実装するのを可能にすることができる。代わりに、いくつかの実施形態では、複数のデータサブセットを計算するための回路が単一のコンピューティングハードウェア装置に実装される。さらに、いくつかの実施形態では、ステアリング回路の排除により、完全開口エンジン1300を、単一のコンピューティングハードウェア装置に実装することが可能になる。このように、本発明は、複数のフレーバ、範囲又は他の分割に対応する集束Aラインデータセットを同時に生成することのできるスケーラブル開口エンジン1300を提供し、かつ、単一のチップ並びに複数のチップの実装を可能にする効率的なインタフェースを提供する。
【0080】
図14は、本発明の態様に係るTOF及びアポダイゼーションユニット1400の概略図である。TOF及びアポダイゼーションユニット1400は、
図13を参照して開示されたような開口エンジン1300での使用に好適である。TOF及びアポダイゼーションユニット1400は、
図12を参照して説明したものと実質的に同様の飛行時間型調整ユニット1206及びアポダイゼーションユニット1208を備える。TOF及びアポダイゼーションユニットは、予備TOF再サンプルユニット1402及び/又は予備アポダイゼーション再サンプルユニット1404を備えることができる。様々な実施形態では、再サンプルユニット1402及び1404は、アップサンプリング又はダウンサンプリングによってデータを調整するために使用される。
【0081】
予備TOF再サンプルユニット1402は、
図9を参照して開示されたAラインデータの可変レートデジタル化及び/又は可変レート変換を実行することができる。このような実施形態では、予備TOF再サンプルユニット1402は、サンプリングパターンを示すバンプマップ910を受信することができる。サンプリングパターンは、トランスデューサ複合体110の幾何学的形状(例えば、弧度、トランスデューサの間隔、エミッタとレシーバとの間の距離、信号線の長さなど)、トランスデューサの特性(例えば、発射遅延、感度など)、開口の特性(例えば、トランスデューサ複合体上の幅、位置など)及び/又は到達時間、信号品質、関連信号などに影響を及ぼす他の関連因子に基づくことができる。サンプリングパターンにおけるサンプルの総数は、基準Aラインに基づいて決定できる。例えば、関連Aラインについてのバンプマップは、同じ合計サンプル数を有するサンプリングパターンを指定することができるが、時間内での配置を変更することができる。また、サンプリングパターンは、開口内の様々なAラインから収集したエコーデータを整列させることもできる。サンプリングパターンを指定するバンプマップ910を受信する代わりに、予備TOF再サンプルユニット1402は、バンプマップ910を決定するために使用されるパラメータを受信することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、予備TOF再サンプルユニット1402は、Aラインデータの有効サンプルレートを増加させることによって、飛行時間型調整の精度を向上させるために使用される。再サンプリングは、より高いデータレートに関連付けられた高度なハードウェア要件なしに、より高いサンプリングレートの利点のいくつかを達成する。また、予備TOF再サンプルユニット1402を使用して、TOF調整ユニット1206で加えられる調整に加えて又はその代わりに飛行時間型調整を加えることもできる。
【0083】
例示的な実施形態では、200メガサンプル/秒でサンプリングされるAラインデータは、予備TOF再サンプルユニット1402で受信される。この予備TOF再サンプルユニット1402は、Aラインデータを4倍で再サンプリングし、それによってTOF調整ユニット1206に800メガサンプル/秒でサンプリングされたAラインデータを提供する。任意の好適な再サンプリングフィルタを含む任意の好適な再サンプリングアルゴリズムを使用してデータを再サンプリングすることができる。再サンプリングアルゴリズムは、当業者に知られている。再サンプリングアルゴリズムの非限定的な例としては、線形補間、ラグランジュ補間、キュービックスプライン補間、多相補間及び/又は他の好適なアルゴリズムが挙げられる。このような実施形態では、予備TOF再サンプルユニット1402は、再サンプリングレートを特定する再サンプル係数1406、再サンプリングアルゴリズムのための係数及び/又は他の再サンプリング構成データのセットを受信する。
【0084】
Aラインのデータの完全なアップサンプリングを実行する代わりに、いくつかの実施形態では、予備TOF再サンプリングユニット1402は、補間された位相シフトを実行する。補間された位相シフトは、入力データと同じサンプルレートで出力データを生成するが、ただしサンプルが時間内でのシフトに対応するようにシフトした時間で生成する。例えば、4倍補間位相シフトは、0°、90°、180°及び270°の位相シフトを生成することができる。時間の整数値(例えば、1、2、3、4、5、6など)でのサンプルでAラインデータを入力したとすると、90°の位相シフトは、同じサンプルレートで、ただし1.25、2.25、3.25、4.25など倍数での振幅値に対応するサンプルでのAラインデータ出力を生成するであろう。これらの中間の振幅値は、任意の好適な再サンプリングアルゴリズムを使用して計算できる。180°の位相シフトは、同じサンプルレートで、ただし1.5、2.5、3.5、4.5などでの振幅値に対応するサンプルで出力Aラインデータを生成するであろう。270°の位相シフトは、1.75、2.75、3.75、4.75などでの値に対応する出力Aラインデータを生成するであろう。この位相シフトは、より高いデータレートなしにデータ粒度の増加をもたらす。更なるデータ粒度を与えるために、(180°、90°、0°、270°、180°、0°)などの位相シフトシーケンスを使用して、入力と同じサンプルレートで、ただし1.5、2.25、3、4.75、5.5、6などの倍数での振幅値に対応するサンプルで出力Aラインデータを生成することができる。様々な実施形態では、補間は、低いクロック周波数、低減したデータステアリング、減少した回路の複雑さ及び/又は減少したメモリ要件などのより低いビットレートの利点を保持する。さらに、図から分かるように、この位相シフトは、飛行時間型調整の一部として組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかのAラインの構成について、この位相シフトは、データを整列させるのに十分であり、それによって、更なる飛行時間型調整は必要とされない。別の利点は、いくつかの実施形態は、所定の集束ステップがデータ粒度の増大の恩恵を受けるのに対し、他はその恩恵を受けないことである。したがって、単一の補間位相シフトを行うことで、アップサンプリング処理、その後のダウンサンプリング処理を回避することができる。
【0085】
更なるデータ粒度を与えるために、いくつかの実施形態では、位相シフトは、各サンプルについて変更できる。例えば、位相シフトシーケンス(180°、90°、0°、270°、180°、0°)を使用して、入力と同じサンプルレートで、ただし1.5、2.25、3、4.75、5.5、6の倍数での振幅値に対応するサンプルで出力Aラインデータを生成することができる。
【0086】
様々な実施形態では、予備TOF再サンプルユニット1402は、再サンプリングレートを特定し、位相シフトを特定し、補間アルゴリズムについての係数を特定し及び/又は他の再サンプリング構成データを特定する再サンプリング係数1406のセットを受信する。いくつかの実施形態では、予備TOF再サンプルユニット1402は、
図9a及び
図9bを参照して説明した固定・可変レートエコーデータ変換を実行する。このような実施形態では、再サンプル係数1402は、バンプマップ910及び/又はバンプマップ910を決定することができる構成データを含むことができる。
【0087】
予備アポダイゼーション再サンプルユニット1404は、予備TOF再サンプルユニット1402に関して説明したのと実質的に同様のアップサンプリング及び/又は補間位相シフトを実行することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、予備アポダイゼーション再サンプルユニット1404は、飛行時間型調整エコーデータのダウンサンプリングを実行する。集束は、補間によって生じた精度向上による利益を受けることができるのに対し、アポダイゼーション及び加重はその利益を受けることができない。いくつかの実施形態では、アポダイゼーション精度は、最終画像の解像度に部分的に基づく閾値を越えた任意のサンプルレートでは改善されない。
【0088】
図15は、本発明の態様に係る血管内超音波イメージングシステム100によって生成される超音波画像1500の説明図である。当業者であれば、画像1500から、トランスデューサ複合体110、血管1502の境界、プラーク1504、血液1506及び/又は関心のある他の構造を含む構造を識別することができる。画像1500を含むデジタル画像は、ピクセル1508のセットから構成されている(明瞭にするために拡大されている)。ピクセル1508は均一な色及び輝度の領域であるため、ピクセルについて色及び/又は強度を決定するのに必要な量を超えるデータを、最終画像1500に影響を与えることなく破棄することができる。仮想的Aライン(例えば、破線1510によって表されるAライン)について、どれだけ多くのピクセル1508を交差させるのか及びそれに応じてどれだけ多くのサンプルを必要とするのかについて決定することができる。いくつかの実施形態では、サンプリングレートは、ピクセルあたりのサンプルの比に基づいて決定される。このような一実施形態では、Aラインデータは、ピクセル当たり1個のサンプルの割合でサンプリングされる。ピクセルについてのサンプルの比に基づくサンプリングを、ピクセル単位再サンプリング又はピクセルを意識した再サンプリングということができる。最終画像ピクセル単位再サンプリングには影響を及ぼさないサンプルを省略することで、コンピューティングハードウェア、例えばアポダイゼーションユニット1208を減少させることが可能になる。というのは、操作されるデータセットがより小さくなるからである。これは、改善された効率、システムサイズの低下及びコストの低減をもたらすことができる。実施形態では、ピクセルごとのサンプリングにより、ミッドレンジの画像化システムが高解像度画像(このようなものは高精細ディスプレイのために構成される)を生成することが可能になる。
【0089】
画像1500は極座標データセットのデカルト表現であるときに、Aラインとピクセルとの交点を計算でき、あるいはデカルト座標及び/又は極近似のセットを使用することができる。デカルト近似は、角度に基づいて各Aラインについてのサンプルの固有数を決定するために三角法原理に依存することができる。ピクセルの行又は列(例えば、水平及び垂直Aライン)に対して垂直に向かうラインは、ピクセルの最も少ない数と交差するのに対し、垂直なAラインに対して45°に向かうラインは、最も多く交差することが想定できる。したがって、デカルト近似を使用するいくつかの実施形態では、垂直なAラインは、サンプルの第1数を有するように再サンプリングされるのに対し、他のAラインについてのサンプル数は、垂直Aラインに対する角度に基づくことになる。例示の極近似では、各集束Aラインは、同じサンプル数で再サンプリングされる。特定のサンプルの数は、典型的なAラインで決定される。典型的なAラインは、最も多くの交差、平均(平均又は中央値)交差数又は他の好適な交差数を有するAラインとすることができる。これらの例示近似は限定ではなく、他の好適な近似を利用する実施形態が企図され、提供される。例えば、いくつかの実施形態では、面積基準近似は、Aラインのうち、画像1500についての総ピクセル数を配分し、ここで、Aライン当たりのサンプル数は、集束Aラインの総数で割った画像中の総ピクセル数に相当する。
【0090】
いくつかの実施形態では、動作パラメータが変更されたときにピクセル対サンプルの関係を再評価する。例えば、視野を大きくすると、画像当たりのサンプル数を増加させることができるのに対し、画像におけるピクセル数は同じままである。したがって、ピクセル対サンプル比は、視野の変化として再計算できる。他の動作パラメータは、収集された又は集束されたサンプルの数、画像の解像度及び/又は目標サンプル対ピクセル比に影響を及ぼす場合がある。
【0091】
図16は、本発明の態様に係る経時的受信トランスデューサエコーデータ1600のグラフ図である。トランスデューサエコーデータ1600は、ライン1602によって示されるように時間内において離散点でサンプリングされる。このデジタル化は、IVUS装置102内、IVUS処理システム106内、PIM104内で及び/又は別のIVUS部品内の他の好適な位置で実行できる。図示した実施形態では、時間1602における点を最終画像の解像度に基づいて決定する。例えば、時間1602における点を、1:1などのピクセル当たりのサンプルの比率に基づいて決定する。いくつかの実施形態では、サンプルは、固定間隔ではなく、その代わりに1以上のピクセルに対するAラインのアライメントに相当する。
【0092】
図14を再び参照すると、実施形態では、予備アポダイゼーション再サンプルユニット1404は、再サンプリングレート、補間係数、位相調整、サンプル数、画像又はディスプレイ解像度、ピクセル当たりのサンプルの比及び/又は他のサンプリング構成データを含むことができる再サンプル係数1408のセットを受信する。予備アポダイゼーション再サンプルユニット1404は、再サンプル係数1408に従って飛行時間型調整データを再サンプリングし、アポダイゼーションユニット1208にこの再サンプルデータを提供する。例えば、
図12を参照して実質的に説明したように、その後、アポダイゼーションユニット1208は、再サンプリングされたAラインデータについてアポダイゼーション及び振幅修正を実行することができる。
【0093】
当業者であれば、再サンプリングを含めた(ただしこれに限定されない)追加の処理が、アポダイゼーションユニット1208によって生成される調整Aラインデータについて実行できることが分かるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、ピクセルを意識した再サンプリングを調整Aラインデータに対して実行する。これは、後の画像形成ステップに必要な処理を減らすことができる。別の例として、いくつかの実施形態では、フィルタリングをアポダイゼーションユニット1208によって生成された調整Aラインデータに対して実行する。更なる処理ステップは、当業者に公知であろう。
【0094】
図17は、本発明の態様に係る再サンプリング装置1700の概略図である。再サンプリング装置1700は、
図14を参照して説明したように、予備飛行時間再サンプルユニット1402及び/又は予備アポダイゼーション再サンプルユニット1404での使用に好適である。図示した再サンプリング装置1700は、多相補間装置の一種である。再サンプリング装置1700は、Aラインデータのセットなどの入力データストリーム1702を受信し、これを遅延要素1704のセットを介して配信して遅延データストリームのセットを生成する。図示した実施形態では、遅延要素1704は、遅延データのセットを生成するために連鎖されている。いくつかの実施形態では、連鎖の実施は、ネットワークを構成する個々の遅延要素1704のサイズ及び/又は複雑さを減少させる。他の実施形態では、別個の並行な遅延要素1704を使用してそれぞれの遅延の大きさについてよりうまく制御することを可能にする。
【0095】
加重要素1706は、遅延データストリームのセットに加重係数を適用し、得られた加重データストリームを、合計要素1708によって合計して再サンプリングデータストリーム1710を生成する。遅延要素1706によって適用された加重係数は、再サンプリングデータストリーム1710と入力データストリーム1702との関係を決定する。いくつかの実施形態では、再サンプリング装置1700は、帯域通過、低域及び/又は高域フィルタリングなどのフィルタリング機能を実行する。このような一実施形態では、サンプリング装置1700は、シンク関数から導出された加重係数を利用してローパスフィルタ処理を実行する。これは、いくつかの再サンプリング方法によって導入された高周波ノイズを除去するために有用である。また、再サンプリング装置1700を使用して部分的な位相シフトを実行することもできる。例えば、加重係数は、0°、90°、180°及び/又は270°の位相シフトを実行するように選択できる。一実施形態では、再サンプリング装置1700は、トランスデューサ複合体110の形状、トランスデューサの特性、開口の特性及び/又は他の関連要因に基づいて選択された位相シフトに対応する加重係数を受信する。
【0096】
図18は、本発明の態様に係る再サンプリングネットワーク1800の概略図である。再サンプリングネットワーク1800は、
図14を参照して説明したような予備飛行時間型再サンプルユニット1402及び/又は予備アポダイゼーション再サンプルユニット1404での使用に好適である。再サンプリングネットワーク1800は、
図17に関して説明した再サンプリング装置1700などの1個以上の再サンプリング装置1700を備えることができる。再サンプリング装置1700は、それぞれ、入力データストリーム(例えば、入力Aラインデータストリーム)及び加重係数1802のセットを受信する。加重係数1802のセットは、装置1700間で異なる場合がある。また、再サンプリングネットワーク1800は、再サンプリングデータストリームのどれを出力データストリームとして選択するのかを決定するマルチプレクサ1804を備える。このように、マルチプレクサ1804は、入力データストリームの異なる加重及び再サンプリングバージョン間で選択する。
【0097】
例示実施形態では、再サンプリングネットワーク1800は、4個の再サンプリング装置1700を備える。Aライントランスデューサのペアに対応するデータストリームを、再サンプリング装置1700で加重係数1802のセットとともに受信する。加重係数の4つのセットは、データストリームのサンプル期間に対して0°、90°、180°及び270°の位相シフトに相当する。したがって、再サンプリング装置1700は、4つの位相シフトに相当する加重再サンプリングデータストリームを生成する。マルチプレクサ1804を使用して、トランスデューサ複合体110の形状、トランスデューサの特性、開口の特性及び/又は他の関連要因などの要因に基づいて出力に適切な位相シフトを選択する。実施形態では、位相シフトシーケンスをマルチプレクサ1804に供給し(例えば、180°、90°、0°、270°、180°、0°に相当するシーケンス)、そしてマルチプレクサ1804によって使用して入力と同じサンプルレートで、ただし1.5、2.25、3、4.75、5.5、6の倍での振幅値に相当するサンプルで出力Aラインデータを生成する。
【0098】
このような再サンプリングネットワーク1800は、
図14の予備TOF再サンプルユニット1402に関連して説明した予備TOF再サンプリングを実行できる。入力データストリームと同じサンプリング周波数を有する入力データストリームの位相シフトバージョンを生成することによって、再サンプリングネットワーク1800は、より高いサンプリング周波数に関連したデータハンドリングオーバーヘッドの増加なしにアップサンプリングの大きなデータ粒度を与える。その結果は、データ精度の改善された軽量で効率的なデータパスである。
【0099】
図19は、本発明の態様に係る超音波データを再サンプリングする方法1900のフロー図である。追加のステップを方法1900のステップの前、その間、及びその後に与えることができ、説明されたステップの一部を方法1900の他の実施形態と交換し又は省略することができることが分かる。ブロック1902を参照すると、超音波エコーデータストリームを受信する。この超音波エコーデータストリームは、Aラインエコーデータに相当することができる。ブロック1904において、超音波データを第1遅延量で遅延させて第1遅延データストリームを生成する。ブロック1906では、第1加重値を、第1加重データストリームを生成するために第1遅延データストリームに加える。第1加重値は、補間フィルタの一部であってもよい。例えば、加重値はシンク関数に基づくことができる。第1加重値は、位相シフト成分を含むことができる。
【0100】
ブロック1908において、超音波データを第2遅延量で遅延させて第2遅延データストリームを生成する。ブロック1910において、第2加重値を第2遅延データストリームに適用する。第1加重値と同様に、この第2値は、補間フィルタに基づく成分及び/又は位相シフトに基づく成分を有することができる。ブロック1912において、第1及び第2加重のデータを追加して再サンプリング超音波データストリームを生成する。いくつかの実施形態では、ブロック1902〜1912の処理手順を並行して複数回実行して複数の再サンプリング超音波データストリームを生成する。再サンプリングデータストリームは、トランスデューサ複合体110の幾何学的形状、トランスデューサの特性、開口の特性及び/又は他の関連要因などのアナログデータストリームを生成したAラインの一側面に従って複数のストリームから選択できる。図から分かるように、この方法は、より高いサンプリングレートの負担なしに、データ粒度の増大を実現する。
【0101】
図20は、本発明の態様に係る開口エンジン1300を利用して集束データを生成する方法2000のフロー図である。追加のステップを、方法2000のステップの前、その間、及びその後に与えることができ、説明されたステップの一部を方法2000の他の実施形態と交換すること又は省略することができることが分かる。ブロック2002を参照すると、Aラインエコーデータを受信する。ブロック2004において、予備飛行時間型再サンプリングを、再サンプリング係数の第1セットに従って実行することができる。再サンプリング係数は、算出される集束Aラインデータの範囲及び/又はフレーバに部分的に依存する場合があり、及び/又はAラインデータを生成したトランスデューサ若しくは複数のトランスデューサの構成に部分的に依存する場合がある。再サンプリング係数は、バンプマップを指定することができる又はバンプマップを決定することができる構成データを含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、予備飛行時間型再サンプリングは、
図10の方法1000に実質的に開示されているように、可変レートデジタル化データを生成するためにバンプマップを作成しかつ適用することを含む。同様に、いくつかの実施形態では、予備飛行時間型再サンプリングは、
図19の方法1900に実質的に開示されているように、位相シフトあり又はなしでの補間及び再サンプリングを含む。
【0102】
ブロック2006において、飛行時間型調整は、飛行時間オフセットに従ってAラインデータについて実行される。飛行時間オフセットは、トランスデューサ複合体の形状、トランスデューサの特性、開口の特性及び/又は他の関連要素に相当することができる。また、飛行時間オフセットは、算出されるフレーバ及び/又は範囲に相当することができる。ブロック2008において、予備アポダイゼーション再サンプリングを再サンプリング係数の第2セットに従って飛行時間型調整データに対して実行することができる。様々な実施形態において、再サンプリング係数の第2セットは、トランスデューサ複合体の幾何学的形状、トランスデューサの特性、開口の特性、算出されるフレーバ及び/又は範囲、及び/又は他の関連要因に依存する。ブロック2010において、アポダイゼーションをアポダイゼーション係数のセットに従ってAラインデータに対して実行する。様々な実施形態では、アポダイゼーション係数は、トランスデューサ複合体の幾何学的形状、トランスデューサの特性、開口の特性、算出されるフレーバ若しくは範囲、及び/又は他の関連要因に依存する。ブロック2012において、集束Aラインデータを開口割り当てに従って生成する。
【0103】
図21は、本発明の態様に係る集束システム2100の概略図である。集束システム2100の部分を、IVUS処理システム106、患者インタフェースモニタ(PIM)104及び/又はIVUSイメージングシステム100の他の構成要素に組み込むことができる。集束システム2100は、飛行時間型調整、増幅、アポダイゼーション及び合計などの開口処理タスクを実行する複数の開口エンジン1300を備える。好適な例示開口エンジン1300は、
図13〜18を参照して開示された開口エンジン1300を備える。図示の実施形態では、集束システム2100は、N個の開口エンジン1300を備え、そのうちの5個が示されている。いくつかの実施形態では、集束システム2100に含まれる開口エンジン1300の数は、開口304内のトランスデューサ302の数と同等である。
【0104】
集束計算を、集束エンジン1300に開口を割り当てることにより開口に従って分割することができる。そうするために、開口エンジン1300は、エンジン制御装置2102から開口の割り当てを受信する。開口の割り当ては、エンジン1300が処理すべき開口を指定し、それに応じて集束計算に使用すべき受信Aラインデータの一部を指定する。受信Aラインデータは、トランスデューサ複合体、メモリサブシステム、アナログ・デジタル変換器、アナログ及び/又はデジタルアンプ、フィルタ、信号調整器、及び/又は他の好適なインタフェースシステムから受信できる。いったん受信されたら、AラインデータをAラインデータバス2104上に配置し、それによって、各開口エンジン1300に分配される。受信データの一部のみが各開口、すなわち各開口エンジン1300に関連し得る。しかし、いくつかの実施形態では、開口エンジン1300は、データバス2104を介して、Aラインの全て又は実質的に全てのデータを受信する。その後、エンジン1300は、受信した開口割り当てに従ってバス2104からデータを引き出す。様々な実施形態では、割り当てられた開口の一部ではないAラインのデータを破棄することができ、省略することができ、無視することができ、適用されたゼロ値係数を有することができ、及び/又は別のカリング処理を受けることができる。このアーキテクチャの利点の一つは、エンジン1300でのデータ選択が、バス2104での複雑なデータステアリング又はフィルタリング回路の必要性を回避することである。電位配線、レイアウト及び電力の利点に加えて、ルーティング及びステアリング回路を省略することで、より柔軟な実施が可能になる。例えば、様々な実施形態は、開口エンジン1300、複数の開口エンジン1300、及び/又は全体的な集束システム2100は、汎用プロセッサ、グラフィック処理ユニット、ASIC、FPGA、DSP、マイクロコントローラ又は他の好適なコンピューティング装置などの単一の個別のコンピューティングハードウェア装置に実装される。
【0105】
開口の割り当てに加えて、エンジン制御装置2102は、開口エンジン1300に、再サンプル係数、TOF調整、アポダイゼーション係数及びAラインのデータを処理するために使用される他のパラメータを与えることもできる。いくつかの実施形態では、エンジン制御装置2102は、バンプマップを生成するために使用されるトランスデューサ構成のセットを備える。また、エンジン制御装置2102は、バンプマップ自体を備えることもできる。いくつかの実施形態では、エンジン制御装置2102は、エミッタ/トランスデューサペアによって相互参照されるアポダイゼーション係数を含むアポダイゼーション係数テーブルを備える。いくつかの実施形態では、エンジン制御装置2102は、エミッタ/トランスデューサペアによって相互参照される飛行時間オフセットを含む飛行時間オフセットテーブルを備える。いくつかの実施形態では、エンジン制御装置2102は、再サンプリングレートのセットを備える。アポダイゼーション係数テーブル内のアポダイゼーション係数と、テーブル内の飛行時間オフセットと、再サンプリングレートとを含むこれらの提供されたパラメータは、トランスデューサ複合体110の幾何学的形状、トランスデューサの特性、開口の特性及び/又は飛行時間に影響を与える他の関連する要因に基づいて決定できる。再サンプリングレートは、表示ユニットのピクセル当たりのサンプルの比に基づいて決定できる。一つの例示的な比は1:1であるが、他の比率も意図され、提供される。
【0106】
図から分かるように、集束システム2100のアーキテクチャは、システム2100が複数の開口を並行に処理することを可能にする。開口エンジン1300は、Aラインデータが到達したときに処理し、そして任意の開口エンジン1300が割り当てられた開口についての完全Aラインデータセットを受信した後に、エンジン1300は、その開口についての集束Aラインデータを出力することができる。次に、開口エンジン1300はフラッシュされ、そして別の開口についてAラインデータを収集し、そして処理するのを開始することができる。エンジン1300に対する開口のこのラウンドロビン割り当ては、無駄なアイドル状態のリソースなしに高い利用度を与える(いくつかの実施形態では、エンジンの完全な利用)。
【0107】
図22は、本発明の態様に係る複数の開口を集束するための方法2200のフロー図である。追加のステップを、方法2200のステップの前、その間、及びその後に与えることができ、説明されたステップの一部を方法の他の実施形態と交換し又は省略することができることが分かる。方法2200は、
図21に関して開示した集束システム2100などのシステムを使用する実施に好適である。
【0108】
ブロック2202において、開口304のセットを、開口エンジン1300のセットに割り当てる。いくつかの実施形態では、開口のセット内の開口の数は、該エンジンセットを有するエンジンの数に相当し、これはさらに、開口304のそれぞれにおけるトランスデューサ302の数に相当する。例えば、9個のトランスデューサ開口を取り入れる実施形態では、9個の隣接する開口を9個の開口エンジン1300に割り当てる。この例では、開口1を開口エンジン1に割り当て、開口2を開口エンジン2に割り当てる(以下同様)。ブロック2204において、開口の1個以上内にあるトランスデューサ302についての超音波データセットを開口エンジン1300に提供する。データセットは、受信トランスデューサから直接得ることができ、又はメモリサブシステム、アナログ・デジタル変換器、アナログ及び/又はデジタルアンプ、フィルタ、信号調整器、及び/又は他の好適なインタフェースシステムなどの仲介を介して得ることができる。超音波データセットは、それが割り当てられた開口には関連のない可能性がある場合であっても開口エンジン1300に提供される。この例を続けると、第1放射トランスデューサの受信の組合せの全てに相当する第1データセットは、たまたま開口1のみに関連する。参考のため、
図5を再び参照すると、例示第1放射トランスデューサは、開口502aの一部であるトランスデューサT
Aに類似する。
図22のブロック2206では、開口エンジン1300のいずれが集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有するかどうかが判断される。この例では、最初のパスでは、エンジンのいずれも集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有していない。したがって、方法2200は、ブロック2204に戻り、そこで別の超音波データセットを与える。この例では、第2超音波データセットは、開口1及び2に関連する。参考までに、例示第2放射トランスデューサは、開口502a及び502bの一部である
図5のトランスデューサT
Bに類似する。この時点で、いずれの開口も集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有していない。
【0109】
この例では、この処理を第9反復まで繰り返す。第9反復では、例示開口エンジン1は集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有し、例示開口エンジン2は、8〜9個の放射トランスデューサについてのデータを有し、開口エンジン3は、7〜9個のトランスデューサについてのデータを有している(以下同様)。ブロック2208において、十分なデータを有する開口エンジンは集束Aラインデータセットを生成する。ブロック2210において、集束Aラインデータセットを生成した開口エンジンは、保存されたデータを消去する。ブロック2212において、消去済み開口エンジンを次の開口に割り当てる。この例では、開口エンジン1を開口10に割り当てる。この方法は、ブロックに2204戻り、そこで、別の超音波データセットを与える。この例を続けると、その際、開口エンジン2は、開口2についての集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有する。それに応じて、開口エンジン2は集束Aラインデータセットを生成し、フラッシュされ、そして開口11に割り当てられる。開口のこのラウンドロビン割り当ては、利用可能な開口エンジン1300の高い利用度を可能にする。
【0110】
上記のように構造的集束は、様々な空間角度及び位置からのAラインを組み合わせる。これらの角度及び空間的相違のため、飛行時間型調整は、時間内のサンプルを整列させるために実行できる。その後、Aラインを指向角に従って加重し、そして合計することができる。加重合計は、フィルタ操作であると理解できる。このように、加重は、サンプル当たり又はゾーン単位でかつ加重係数がAラインで変化する間に行われる。
【0111】
構造的集束に加えて、超音波集束システムは、動きを検出する能力を有することができる。画像形成領域の動きを決定する方法の一つはパワーフローである。パワーフローアルゴリズムの例はChromaFlo(登録商標)(ヴォルカノ社の商標)である。散乱体の反射強度を測定するための集束空間的Aラインデータとは対照的に、パワーフローアルゴリズムは、散乱体の流量及びスペクトル強度を決定するために時間的Aラインデータを集束することができる。言い換えると、開口内の複数の集束Aラインの代わりに、単一のAラインを発射させ、複数回撮影する。発射間におけるAラインの信号の変化を散乱の動きに相関させることができる。多くの実施形態では、パワーフローイメージングに使用されるAラインは、複数の放射トランスデューサと複数の受信トランスデューサとを含むことに留意すべきである。エミッタ及びレシーバは同時に動作し、これらは信号対雑音比を改善することができる。
【0112】
一連のAライン発射についての時間内変化を決定するために、データを加重し、そして合計することができる。加重係数は、範囲成分のみならず時間成分を有することができる。例えば、適用される加重は、典型的な血流速度などの変化の予想レートに連動する整合フィルタを備えることができる。これは、血流の典型的な動きを強調しかつ生物学的環境における一般的な他の動きを強調しない効果を有する。この例では、フィルタの出力振幅は、流量及び散乱強度に相関する。散乱体が同様の強度のものであるとすると、フィルタの出力は、レート変化又は速度に比例し、所定の血管断面積に対して、流量を導出することができる。流量の導出に加えて、加重データは、正常な流れパターン並びにプラーク負荷、ステント付着不良からの血管流れを確立するのに有用である。これらの問題は、患者の健康に重大であると認められる。
【0113】
パワーフロー加重及び合計処理は、空間モードで動作する開口エンジン、例えば集束システム2100のエンジン1300によって実行されるアポダイゼーション及び実行合計に直接的に類似する。この開口エンジンは集束空間的シリーズには限定されないため、いくつかの実施形態では、集束システム2100のエンジン制御装置2102は、パワーフローモードで開口エンジン1300の一つ以上を動作させるように構成される。いくつかの実施形態では、Aラインの時系列は、飛行時間型調整を必要としないため、開口エンジン又は複数の開口エンジン1300の飛行時間型調整ユニットは、このモードでバイパスされる。実施形態は、空間的集束及び時間的集束の両方をサポートする集束システム2100を有する実施形態は、コンピューティングリソースの有意な増加なしに機能を追加することができる。このように、開口エンジン1300の柔軟性を活用して、追加コストなしに追加の機能を与えることができる。
【0114】
図23は、本発明の態様に係る集束システム2300の概略図である。集束システム2300の部分を、IVUS処理システム106、患者インタフェースモニタ(PIM)104、及び/又はIVUSイメージングシステム100の他の構成要素に組み込むことができる。特に指摘した場合を除き、集束システム2300は、
図21を参照して開示された集束システム2100と実質的に同じである。いくつかの実施形態では、各開口エンジン1300に1個の開口304を割り当てることが有益であることが実証できるのに対し、他の実施形態は、別の構成の恩恵を受ける。例えば、開口を、複数の開口エンジンにわたる集束範囲又はAラインフレーバで分割することができる。図示した実施形態では、開口エンジン1300を備える集束システム2300は、ペアにグループ化され(例えば、開口エンジン1−A及びエンジン1−B)るが、任意の大きさのグループも企図される。集束システム2300は、開口内のトランスデューサ数に相当するグループ数を含むことができる。グループの開口エンジン1300は、まとめて、開口304についての完全集束Aラインデータセットを生成することができる。したがって、各開口エンジン1300は、全データの一部を生成する。この処理を、任意の好適な分割によってグループ内の開口1300エンジン間で配分できる。いくつかの実施形態では、各開口エンジン1300は、完全集束Aラインデータセットにおける全フレーバのサブセットに対応するデータを生成する。いくつかの実施形態では、各開口エンジン1300は、完全集束Aラインデータセットにおける全範囲1104のサブセットに相当するデータを生成する。いくつかの実施形態では、各開口エンジン1300は、完全集束Aラインデータセットにおける全フレーバ及び範囲のサブセットに相当するデータを生成する。
【0115】
したがって、エンジン制御装置2102は、開口エンジン1300のそれぞれに開口の少なくとも一部を割り当てる。開口エンジン2102は、開口割り当てを使用してAラインデータバス2104からの関連データを識別し処理する。開口の割り当てに加えて、エンジン制御装置2102は、開口エンジン1300に、再サンプル係数、TOF調整、アポダイゼーション係数及びAラインデータを処理するために使用される他のパラメータを与えることができる。
【0116】
この開口の分割は、様々な実施形態において様々な利点を与える。いくつかの実施形態では、集束エンジンのサブセットを処理するように構成された開口エンジン1300は、開口エンジン1300が完全集束データセットを生成するように構成された設計よりも物理的に小型である。この小型開口エンジンは、小型で少し性能が低い回路装置上に実装できる。これは、コスト削減及び省電力化につながる可能性がある。このような一実施形態では、開口エンジン1300は、小型で、低コストでエネルギー効率のよいFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)上で実装できる。いくつかの実施形態では、この小型開口エンジン1300は、それぞれの入力及び出力の近くに配置でき、それによってシステム性能を向上させることができる。いくつかの実施形態では、小型開口エンジン1300は、IVUS装置102内、例えばトランスデューサ複合体110内又は伝送線束112内に収容できる。これを「ワイヤ上」処理と呼ぶことができる。
【0117】
図24は、本発明の態様に係る階層的に構成された集束システム2400の概略図である。特に示した場合を除き、集束システム2400は、
図21及び23に関して開示された集束システムと実質的に同じである。集束システム2400は、開口エンジンの1以上の階層レベルを組み込むが、そのうちの2つの階層レベルが図示されている(第1レベルエンジン2402及び第2レベルエンジン2404で示す)。更なる実施形態は、3、4及び8並びに他のレベル数を含めて階層的な開口エンジンの他の数を使用する。Aラインデータを、第1レベル開口エンジン2402に供給する。
図21のエンジン制御装置2102と実質的に同様であってもよいエンジン制御装置2406は、第1レベル開口エンジン2402にサブ開口(開口内にあるAラインのサブセット)に割り当てることができる。サブ開口をここで及び他の場所で共アレイと呼ぶことができる。サブ開口への開口の様々な分割が意図される。例えば、開口を、放射トランスデューサ、受信トランスデューサ及び/又は他の好適な識別子によって分割できる。開口は、さらに、焦点範囲及び/又はAラインフレーバによって第1レベルエンジン2402間で分割できる。さらに、第1レベルエンジンは、補間、デシメーション、再サンプリング、飛行時間型調整、アポダイゼーション、合計及び/又は他の集束処理などの集束処理のサブセットのみを割り当てることができる。例示実施形態では、第1レベル開口エンジンを割り当てて飛行時間型調整を実施するが、サブ開口内の焦点範囲のサブセットでのアポダイゼーションは実行しない。その他の分割も企図され、提供される。
【0118】
第1レベル開口エンジン2402は、実質的に開口エンジン1300が開口割り当てに従って割り当て集束タスクを実行するときに、サブ開口割り当てに従って割り当て集束タスクを実行する。その後、この第1レベル開口エンジン2402は、第2レベル開口エンジン2404に部分集束データを提供することができる。この第2レベル開口エンジン2404は、補間、デシメーション、再サンプリング、飛行時間型調整、アポダイゼーション、合計、及び/又は他の焦点処理を含めた更なる集束処理を実行することができる。いくつかの実施形態では、第2レベルエンジンは、エンジン制御装置2406から開口の割り当てを受信し、そしてそれに応じて第2レベル集束処理を実行する。部分集束データは、集束システム2400の最終階層レベル(図示した実施形態では、開口エンジン2404の第2のレベル)に到達するまで開口エンジンの階層レベルを介して伝播する。最終階層レベルの開口エンジンは、開口についての完全集束Aラインデータを生成する。
【0119】
階層間での処理負担を一部分割するため、1階層レベルの開口エンジン(例えば、エンジン2402)は、別のレベルのエンジン(例えば、エンジン2404)と同一、類似又は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、集束システム2400の全ての開口エンジンは、
図13〜18に関連して説明したものの開口エンジン特性である。これは実施において均一性及びシンプルさを与える。更なる実施形態、特に開口エンジンが集束処理のサブセットを実行する場合の実施形態では、開口エンジンは、関連の回路をしか備えないため、レベル間で構造が異なる。例えば、第1レベルの開口エンジンは、フィルタを適用することによってデータを調整して信号対ノイズ比を向上させることができる。このようなフィルタとしては、バンドパスフィルタ、励起パルスに連動した整合フィルタ、及び当業者に公知の他のフィルタが挙げられる。この調整を後のレベル開口エンジンで繰り返す必要がない場合には、回路を省略してもよく、電力及び回路面積を節約することができる。この特殊化は、エンジンがより小型で、より効率的で、より経済的なコンピューティング装置に実装されることを可能にし、また開口エンジンを単一の装置に組み合わせることを可能にすることができる。集束システム2400の構造は、開口エンジンの並列処理の利点を活用すると共に、物理的制限、アルゴリズム制限及び任意の1個の開口エンジンの機能を制約する可能性のある他の制限を適応させることができる。
【0120】
例えば、いくつかの実施形態において、開口エンジンを実施するために選択された装置は、全開口を集束するためにコンピューティングリソースを保持していなくてもよい。サブ開口に従って集束タスクを分割することで、データ及び処理をより効果的に配分し分散させることが可能になる。いくつかの実施形態では、飛行時間型調整のデータベースなどの共有リソースの近くの回路をグループ化することによってパフォーマンスが改善される。したがって、いくつかの実施形態では、いくつかの開口エンジンは、飛行時間型回路のみを含み、それに応じてグループ化される。他のエンジンは、アポダイゼーションなどの他のタスクを実行するための他の回路を有することができ、同様にそれに応じてグループ化できる。
【0121】
いくつかの実施形態では、第1レベル開口エンジン2402などの開口エンジンのレベルは、第2レベル開口エンジン2404などの他のレベルのものから物理的に離れている。これらの実施形態は様々な形態をとる。このような一実施形態では、第1レベル開口エンジン2402は、IVUS装置102内、例えばトランスデューサ複合体110内又は伝送線束112内に配置される。これを「ワイヤ上」処理と呼ぶことができる。ワイヤ上処理は、IVUS装置102とIVUSシステム100の残りの部分との間のインタフェースを単純化することができる。また、ワイヤ上処理は、トランスデューサ複合体110に近いAラインデータ信号をデジタル化し、それによってライン損失及び伝導ノイズを低減することもできる。いくつかの物理的に分離した実施形態では、第1レベル開口エンジン2402は、無菌領域内に位置するシステムの一部であるのに対し、第2レベル開口エンジン2404は、隣接する観察領域内などの無菌領域の外側に位置する。これは、無菌境界と交差するワイヤの数を減少させることができる。第1及び第2レベル開口エンジンが無線通信媒体を介して通信する関連する実施形態では、汚染につながる潜在的な経路をさらに減少させることができる。いくつかの実施形態では、第1レベル開口エンジン2402は、無菌パッケージの一部である。無菌パッケージは、化学的、放射線、熱、及び殺菌の他のモードを受けることができる無菌製造のために設計でき、及び/又は使い捨て可能とすることができる。
【0122】
図25は、本発明の態様に係る階層的集束を実行するための方法2500のフロー図である。追加のステップを、方法2500のステップの前、間、及び後に設けることができ、説明されたステップの一部をこの方法の他の実施形態で置き換え又は省略することができることが分かる。方法2500は、
図24に関して説明した階層的集束システム2400などのシステムを使用した実施に好適である。
【0123】
ブロック2502において、サブ開口のセットを第1レベル開口エンジン2402のセットに割り当てる。実施形態では、サブ開口の割り当ては、エンジン制御装置2406によって実行される。各割り当ては、集束タスクのサブセット、焦点範囲のサブセット、Aラインフレーバのサブセット及び/又は他の好適な分割基準でサブ開口をさらに分けることができる。ブロック2504において、開口のセットを第2レベル開口エンジン2404のセットに割り当てることができる。実施形態では、この開口の割り当ては、エンジン制御装置2406によって実行される。各開口の割り当ては、集束タスクのサブセット、焦点範囲のサブセット、ラインフレーバのサブセット及び/又は他の好適な分割基準によって開口をさらに分けることができる。例示実施形態では、9個の隣接9トランスデューサ開口のそれぞれを、3個のサブ開口に分ける。したがって、3個の第1レベル開口エンジンは、第1開口の三分の一(それぞれサブ開口1個全部)で様々な集束タスクを実行するように割り当てられ、3個の第1レベル開口エンジンは、第2開口の3個のサブ開口に割り当てられる(以下同様)。ブロック2506において、開口の1個以上内のトランスデューサ302についての超音波データセットを開口エンジン2402に与える。ブロック2508において、第1レベル開口エンジン2402のいずれが部分集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有するかどうかが判断される。この判断は、各第1レベルエンジン2402を別々に分析することによって及び/又はグループ分析によって行うことができる。グループ分析は、関連集束タスクを割り当てられた他の第1レベルエンジンが部分集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有するかどうかを決定することを含むことができる。例えば、このデータの生成は、開口内のサブ開口間で同期できる。このような一実施形態では、ブロック2508の決定は、開口内のサブ開口を割り当てられたエンジンのそれぞれが部分集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有するまでこの方法をブロック2510に進めない。
【0124】
エンジン2402が集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有しない場合に、方法2500はブロック2506に戻り、そこで別の超音波データセットが与えられる。1個以上のエンジン2402が集束Aラインデータセットの割り当て部分を生成するのに十分なデータを有したら、この方法はブロック2510に進み、そこで、十分なデータを有する第1レベル開口エンジン又は複数のエンジン2402は、それぞれのデータセットを生成する。ブロック2512において、データを生成した第1レベルエンジン2402は、保存されたAラインデータを消去する。ブロック2514において、消去された第1レベルエンジンは、エンジン制御装置2406により、次のサブ開口が割り当てられる。
【0125】
ブロック2516において、部分集束Aラインデータセットを第2レベル開口エンジン2404によって受信する。ブロック2518において、任意の第2レベル開口エンジン2404が集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有するかどうかを決定する。そうでない場合には、方法はブロック2506に進み、そこで追加のAラインデータが受信される。一方、第2レベル開口エンジン2404が各割り当てデータセットを生成するのに十分なデータを有する場合には、ブロック2520において、上記集束データが生成される。ブロック2522において、データセットを生成した第2レベル開口エンジン2404は、記憶された部分集束データを削除する。ブロック2522において、次のサブ開口を、エンジン制御装置2406によってこの削除第2レベル開口エンジン2404に割り当てることができる。この方法は、ブロック2506に戻り、そこで別の超音波データセットが与えられる。
【0126】
これまで、実施形態をRFモードのデータ処理の文脈で説明してきた。しかしながら、本発明の原理は、ベースバンドデータ処理の実施形態にも同様に当てはまる。簡潔に言えば、ベースバンドデータ処理は、Aラインエコーデータなどの高周波信号をダウンミックスして複合的な低周波信号のセットを生成する。得られた信号は低い特性周波数を有するため、デジタルサンプリングレートを低減させることができる。
【0127】
トランスデューサ302は、特性中心周波数fで音響パルスを放射する。超音波用途では、代表的な中心周波数は、典型的には2MHz〜50MHzの範囲である。しかし、この範囲をかなり超える周波数が企図され、提供される。また、放射されたパルスは、比帯域幅bwのガウス振幅エンベロープ内の他の周波数も含む。点散乱体によって生成されかつ受信トランスデューサ302によって受信された反射パルスは、次式で概算できる:
【数1】
ここで、
φ
tはエミッタ指向性、すなわち放射トランスデューサと点散乱体との間の入射角であり、
φ
rはレシーバ指向性、すなわち点散乱体と受信トランスデューサとの間の入射角であり、
Aは、散乱強度及び弾性波の分散に依存する定数であり、
kは波数であり、
【数2】
であり、
【数3】
であり、そして
【数4】
すなわち、特定のトランスデューサからの放射についての代表的な近似値である。
【0128】
パルスは、受信トランスデューサによって時間変動電圧に変換され、そして得られた信号を余弦信号(cos(ωt))とミキシングして同相信号を生成する:
【数5】
【0129】
その後、この信号をローパスフィルタ処理して高周波成分を除去する。同様に、正弦波(sin(ωt))と混合することによって、直交信号を生成する:
【数6】
【0130】
また、この信号をローパスフィルタリングする。いくつかの実施形態では、これら2つを組み合わせて、複素包絡線とトランスデューサによって受信されたエコーの相とを含む複素振幅D(r,t)を形成させる。
【数7】
【0131】
更なる実施形態では、同相成分及び直交成分を集束処理中に別々のチャネルとして保持する。集束が完了したら、複素包絡線及び位相を導出することができる:
【数8】
【0132】
複素包絡線は、典型邸には構造イメージングで使用される。この相は、組織分類、歪みイメージング及びフローイメージングなどの用途で使用できる。
【0133】
画像化されるフィールドは、変動強度及び密度分布の点散乱体のアマルガムとして大まかに近似できる。各散乱体は、エコー及び結果のデータを生成し、直線的に組み合わせる。集束処理は、関心のある点での散乱体の寄与を分離することにより空間内の特定の点で散乱体密度/強度を測定する。ベースバンド環境では、これは、信号を複素集束係数で乗算することによって各送信・受信ペアで記録された信号の位相を回転させることによって達成できる。複素振幅信号の位相角はエコー経路の形状に大きく依存する(音の不均一な速度のため影響を無視する)ため、予測可能である。係数の位相は、関心領域内の散乱体からのエコーがそれぞれ送受信の組合せのために整列した位相となるように選択できる。位相回転後、信号を合計することができる。焦点での散乱体によるエコーは一貫して追加するのに対し、媒体における別の場所から到達するエコーは追加しない。得られた信号は、焦点での散乱体密度/強度の尺度である。
【0134】
図26a及び26bは、本発明の態様に係るベースバンド変調器の概略図である。図から分かるように、ベースバンド変換は、デジタル又はアナログデータ信号のいずれかを用いて実行できる。まず
図26aを参照すると、ベースバンド変調器2600は、アナログAラインデータを受信する。受信Aラインデータは、トランスデューサ複合体110、アナログ増幅器、フィルタ、信号調整器及び/又は他の好適なインタフェースシステムから受信できる。同相変調器2602は、着信データと余弦波信号(cos(ωt))とをミキシングして同相信号を生成する。得られた信号をローパスフィルタ2606に通す。同様に、直交変調器2604は、着信データと正弦波信号(sin(ωt))とをミキシングして直交信号を生成する。この信号をローパスフィルタ2606に通す。
【0135】
集束処理は、Aラインデータから個々の散乱体により生じたエコー信号を分離し、それによって所定の場所で散乱密度を測定しようとする。ベースバンド環境では、これは、受信Aラインデータの同相成分及び直交成分をシフトしかつ整列させる時間で実行できる。当業者であれば、RFの実施形態に関連して開示されたベースバンド時間シフトと飛行時間型調整との間の類似性を認識するであろう。ベースバンドの実施形態では、時間シフトは、2つの異なるステップで実施できる。位相回転器2610を使用して1未満のサンプルの度単位でアナログデータをシフトさせることができる。例えば、180°の位相シフトは、サンプリング間隔の半分の時間で着信Aラインデータをシフトすることができる。位相回転器2610によって使用される位相シフト値2608は、トランスデューサ複合体110の幾何学的形状、トランスデューサの特性、開口の特性及び/又は到達時間に影響を与える他の関連要因に基づくことができる。1を超えるサンプルのタイムアライメントは、例えば参照
図9a及び
図9bで説明したように、バンプマップを使用して実行できる。同時に、位相回転器2610及びバンプマップ変換器2620はRFドメインにおいて飛行時間型補正を補足し又は置き換えることができる。
【0136】
図26aの実施形態では、アナログ同相及び直交信号を、位相シフト値2608に従って位相回転器2610によって位相調整し、1個以上のアナログ・デジタル変換器2612によってデジタル化し、そしてバンプマップ変換器2620によって再サンプリングしてデジタル化ベースバンドAラインデータを生成する。様々な関連する実施形態において、アナログ・デジタル変換器及びバンプマップ変換器2620を可変クロックレートデジタイザに統合する。
【0137】
図26aの実施形態とは対照的に、アナログ・デジタル変換は、先にベースバンドデータフローで実行できる。
図26bは、ベースバンドデータ処理の大部分をデジタル化データについて実行する実施形態を示す。
図26bのベースバンド変調器2650は、特に記載した場合を除き、
図26aのベースバンド変調器2600と実質的に同様である。図示した実施形態では、アナログAラインデータは、アナログ・デジタル変換器2614によって受信され、そこでデジタル化される。受信Aラインデータは、トランスデューサ複合体110、アナログ増幅器、フィルタ、信号調整器及び/又は他の好適なインタフェースシステムから受信できる。デジタル化Aラインデータは、デジタル同相2602及び直交変調器2604に与えられる。変調された信号は、デジタルローパスフィルタ2606に与えられる。フィルタリングされた信号は、位相シフト値2608に従って位相回転器2610で回転される。
【0138】
いくつかの実施形態では、合計された信号のサンプリング周波数をデシメータ2616によって減少させる。これは、
図26a及び26bの両方の実施形態によって利用できるベースバンドのデータ処理に対する利点のため、精度の有意な損失なしに実行できる。同相及び直交信号を形成するプロセスは、Aラインデータストリームを中心周波数によってダウンミキシングする。その結果は、より低い有効周波数の信号である。この低周波数信号は、半帯域幅を加えた中心周波数の代わりに半帯域幅に比例したサンプリングレートを使用してデジタル化できる。ナイキスト・レート、すなわちエイリアシングを回避するのに必要な最小サンプリングレートは、最も高い関心周波数の2倍であるため、サンプル数の減少はかなりのものになる場合がある。それに応じて、減少サンプリングレートは、バス速度、データストレージ要件、クロック周波数、消費電力及び/又は他の集束のステップに必要な処理ハードウェアを減少させることができる。
【0139】
デシメーション後、1個以上のバンプマップ変換器2620は、同相及び直交ベースバンドデータをシフトする更なる時間を行う。デシメーション及びバンプマップ変換は、単一プロセスの一部として実行できることが分かるであろう。したがって、いくつかの実施形態では、バンプマップ変換器2620は、デシメーションのみならず時間シフトを実行するように構成されたバンプマップを受信する。更なる実施形態では、バンプマップ変換器2620は、前にデータフローに配置されたアナログ・デジタル変換器2614に統合されている。このような実施形態では、バンプマップを介した時間調整を、変調、フィルタリング及び位相シフト前に実行する。これら及び他の構成は、本発明の範囲内に包含される。
【0140】
図27は、本発明の態様に係るベースバンド開口エンジン2700の概略図である。ベースバンド開口エンジン2700の部分を、IVUS処理システム106、患者インタフェースモニタ(PIM)104及び/又はIVUSイメージングシステム100の他の構成要素に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、ベースバンド開口エンジン2700は、処理スループットを向上させるためにIVUSシステム100で使用される並列化集束エンジンを設けて複数の開口の同時処理を活用する。多くの態様において、ベースバンド開口エンジン2700は、
図13〜18に関連して開示された開口エンジン1300と実質的に同様である。
【0141】
ベースバンド開口エンジン2700は、直交データ成分2701及び/又は同相データ成分2702を含むことができるベースバンドAラインデータを受信する。このデータは、トランスデューサ複合体110、メモリサブシステム、アナログ・デジタルコンバータ、アナログ及び/又はデジタルアンプ、フィルタ、信号調整器、及び/又は他の好適なインタフェースシステムから受信できる。受信されたAラインデータは、ベースバンドユニット2704に提供される。好適なベースバンドユニットは、
図23a及び23bに関して記載されたものを含む。ベースバンドユニット2704は、フィルタリング、受信位相シフト値2706に従う位相回転、複素合計、アナログ・デジタル変換及び/又は
図23a及び23bに関して説明した受信Aラインデータ2702に対するバンプマップを使用した再サンプリングを適用することができる。
【0142】
予備アポダイゼーション再サンプルユニット2708を組み込んだ実施形態では、ベースバンドAラインデータは、アナログ及び/又はデジタル形式で供給でき、かつ、別個の同相と直交成分として及び/又は2成分の複素合計として供給できる。アナログベースバンドAラインデータが提供されると、再サンプルユニット2708は、アナログデータをデジタル化することができる。また、デジタルAラインデータの再サンプリングも、再サンプルユニット2708によって実行することができる。このように、いくつかの実施形態の再サンプルユニット2708は、
図14の予備アポダイゼーション再サンプリングユニット1404とかなり類似していてもよい。様々な実施形態では、再サンプリングとしては、完全アップサンプリング及び補間位相シフトなどのアップサンプリング、及び/又はデシメーションなどのダウンサンプリングが挙げられる。再サンプリングアルゴリズムは、当業者に公知である。再サンプリングアルゴリズムの非限定的な例としては、線形補間、ラグランジュ補間、キュービックスプライン補間、多相補間及び/又は他の好適なアルゴリズムが挙げられる。予備アポダイゼーション再サンプルユニット2708は、再サンプル係数2712のセットに基づいてデジタルAラインデータを再サンプリングすることができる。再サンプル係数2712は、再サンプリングレートを特定することができ、再サンプリングアルゴリズムを特定することができ、再サンプリングアルゴリズムの係数を供給することができ、及び/又は他の再サンプリング構成データを供給することができる。いくつかの実施形態では、所定の上限を超えるサンプリングレートは、最終集束画像の品質を改善しない。このような実施形態では、上限は、最終画像の解像度又はピクセル数によって部分的に決定される。したがって、予備アポダイゼーションユニットは、ピクセル当たりのサンプルの比率に応じてデシメーション処理を実行することによってベースバンドAラインデータのサンプリング周波数を減少させることができる。例えば、ピクセル当たりのサンプルの比率は1:1とすることができる。
【0143】
上で開示したように、サンプリング周波数を減少させることで、より効率的なアーキテクチャを得ることができる。いくつかの実施形態では、ダウンサンプリングは、より低いバス速度、より少ないデータバッファリング、減少したクロック周波数、データ格納用の低いメモリ要件、及び/又は低減された電力包絡線を可能にする。また、減少したデータ処理要件は、汎用プロセッサ、グラフィック処理ユニット、ASIC、FPGA、DSP及びマイクロコンピュータなどのコンピューティング装置のうちハードウェアのより柔軟な分割を可能にすることもできる。これらの利点は、データパイプラインでの改善された効率に限定されない。また、データセットの減少は、複合アポダイゼーションユニット2710などの機能回路のサイズ及び複雑さを低減させ、追加のサイズ、電力及びコストの削減を与えることができる。
【0144】
複合アポダイゼーションユニット2710は、ベースバンドユニット2704及び/又は予備アポダイゼーション再サンプルユニット2708からベースバンドAラインデータを受信し、かつ、
図12に関連して開示されたアポダイゼーションユニット1208と同様に、サイドローブ効果及び格子効果といった影響を低減するために加重された振幅バランス及び/又はアポダイゼーション関数を実行することができる。アポダイゼーション関数としては、ボックスカー、ハン、ハミング、余弦、半余弦窓関数及び/又は他の好適なアポダイゼーション関数が挙げられる。いくつかの実施形態では、複合アポダイゼーションユニット2710は、指向性振幅調整、感度調整及び/又は他の振幅変更を適用する。これらは、1以上のアポダイゼーション係数2714によって特定できる。ベースバンドAラインデータは同相及び直交成分のセット又はこれらの成分の複素合計であることができるため、供給されたアポダイゼーション係数2714は、同相及び直交値のセットを含むことができ、及び/又は複素数値を含むことができる。
【0145】
得られたアポダイズベースバンドAラインデータを実行中の合計ユニット2716に供給し、そこで開口内の他のAラインについてのアポダイズベースバンドAラインデータと共に付加される。適切なデータを処理し合計したときに、開口についての集束Aラインデータ2718を生成することができる。集束Aラインデータ2718は、ベースバンド又はRFの形式であることができ、かつ、別個の同相及び直交成分として又はこれらの成分の複素合計として表すことができる。
【0146】
図28は、本発明の態様に係る集束ベースバンド開口の方法2800のフロー図である。追加のステップを方法2800のステップの前、その間、及びその後に与えることができ、説明されたステップの一部を方法2800の他の実施形態と交換し又は排除することができることが分かる。ブロック2802を参照すると、開口の割り当て及びAラインデータが受信される。開口の割り当ては、割り当てられた開口に関連する受信Aラインデータの一部を指定する。ブロック2804において、ベースバンド変調を少なくとも指定Aラインデータについて実行する。ベースバンド変調は、同相成分及び直交成分を別々又は複素合計として生成する。ブロック2806において、位相変調を、位相変調値に従って変調Aラインデータに対して実行する。
【0147】
ブロック2808において、予備アポダイゼーション再サンプリングを、再サンプリング係数のセットに従って位相変調Aラインデータについて実行できる。ブロック2810において、複合アポダイゼーションをベースバンドAラインデータに対して実行する。予備アポダイゼーション再サンプリングを行ういくつかの実施形態では、アポダイゼーション(アポダイゼーション及び振幅変調を含む)をブロック2808で生成された再サンプリングデータに対して実行する。代わりの実施形態では、アポダイゼーションをブロック2806の位相変調ベースバンドデータに対して実行する。ブロック2812では、集束Aラインデータを開口割り当てに従って生成する。
【0148】
図29は、本発明の態様に係るベースバンド集束システム2900の概略図である。集束システム2900をIVUS処理システムに組み込むことができる。ベースバンド集束システム2900は、
図21を参照して開示された集束システム2100と実質的に同様である。ベースバンド集束システム2900は、位相回転、増幅、アポダイゼーション及び合計などの開口処理タスクを実行する多数のベースバンド開口エンジン2700を備える。好適な代表的ベースバンド開口エンジン2700としては、
図27を参照して開示されたエンジンが挙げられる。図示した実施形態では、集束システム2900は、N個のベースバンド開口エンジン2700を備え、そのうちの5個が示されている。いくつかの実施形態では、ベースバンド集束システム2900に含まれるベースバンド開口エンジン2700の数は、開口304内のトランスデューサ2700の数と同等である。この構造は、ベースバンド集束システム2900が複数の開口を並行して処理することを可能にする。
【0149】
集束計算は、集束エンジン2700に開口を割り当てることにより開口に応じて分割できる。そうするために、開口エンジン2700は、
図21のエンジン制御装置2102と実質的に同様であってよいエンジン制御装置2902から開口割り当てを受信する。開口の割り当ては、エンジン2700が処理すべき開口を指定し、それに応じて集束計算に使用される受信Aラインデータの一部を指定する。受信Aラインデータを、Aラインデータバス2104に配置し、そして各開口エンジン2700に分配する。受信Aラインデータは、トランスデューサ複合体110、メモリサブシステム、アナログ・デジタル変換器、アナログ及び/又はデジタルアンプ、フィルタ、信号調整器、及び/又は他の好適なインタフェースシステムから受信できる。受信データの一部のみが各開口、すなわち各開口エンジン2700に関連する。したがって、開口エンジン2700は、開口割り当てを使用してAラインデータバス2104からの関連データを識別し処理する。様々な実施形態では、割り当てられた開口の一部ではないAラインデータを破棄することができ、省略することができ、無視することができ、適用されたゼロ値係数を有することができ、及び/又は別のカリング処理を受けることができる。このアーキテクチャの利点の一つは、エンジン2700でのデータの選択がバス2104上での複雑なデータステアリング又はフィルタ回路の必要性を回避することである。電位配線、レイアウト及び電力の利点に加えて、ルーティング及びステアリング回路の省略は、より柔軟な実施を可能にする。例えば、様々な実施形態では、開口エンジン2700、複数の開口エンジン2700及び/又は全集束システム2900は、汎用プロセッサ、グラフィック処理ユニット、ASIC、FPGA、DSP、マイクロコントローラ又は他の好適なコンピューティング装置といった単一の個別のコンピューティングハードウェア装置で実施される。
【0150】
開口の割り当てに加えて、エンジン制御装置2902は、開口エンジン2700に、再サンプル係数、位相シフト値、アポダイゼーション係数及びAラインデータを処理するために使用される他のパラメータを与えることもできる。任意の開口エンジン2700が割り当て開口についてのAラインデータセットを受信すると、このエンジン2700は、その開口についての集束Aラインデータを生成する。次に、開口エンジン2700はフラッシュされ、かつ、他の開口についてのAラインデータを収集し処理することを開始できる。エンジン2700に対する開口のこのラウンドロビン割り当ては、無駄なアイドルリソースなしで高い使用率を与える。
【0151】
図30は、本発明の態様に係る複数の開口を集束するための方法3000のフロー図である。追加のステップを方法3000のステップの前、その間及びその後に与えることができ、説明されたステップの一部をこの方法の他の実施形態と交換し又は除去することができることが分かる。方法300は、
図29に関して開示したベースバンド集束システム2900などのシステムを使用した実施に好適である。
【0152】
ブロック3002において、開口304のセットをベースバンド開口エンジン2700のセットに割り当てる。いくつかの実施形態では、この割り当ては、エンジン制御装置2902によって実行される。いくつかの実施形態では、開口のセット内の開口の数は、エンジンのセットを有するエンジンの数に相当し、これはさらに開口304の各トランスデューサ302の数に相当する。ブロック3004において、開口の1個以上内のトランスデューサ302についての超音波データセットを、ベースバンド開口エンジン3006に提供する。このデータセットは、エコーデータから直接得ることができ、又はメモリサブシステム、アナログ・デジタル変換器、アナログ及び/又はデジタルアンプ、フィルタ、信号調整器、及び/又は他の好適なインタフェースシステムなどの仲介物によって得ることができる。超音波データセットは、割り当てられた開口に関連しない可能性があったとしても、ベースバンド開口エンジン2700に提供できる。
【0153】
ブロック3006では、開口エンジン2700のうち任意のものが集束Aラインデータセットを生成するのに十分なデータを有するかどうかが決定される。ブロック3008において、十分なデータを持つ開口エンジンは集束Aラインデータセットを生成する。ブロック3010において、集束Aラインデータセットを生成した開口エンジンは、保存されたデータが削除される。ブロック3012において、削除された開口エンジンは、次の開口が割り当てられる。この方法は、ブロック3004に戻り、そこで別の超音波データセットが与えられる。
【0154】
IVUS装置102を利用する方法3100を、
図31を参照しかつ再度
図1を参照して開示する。
図31は、本発明の実施形態に係るIVUS装置102を利用する方法のフロー図である。追加のステップを方法3100のステップの前、その間及びその後に与えることができ、説明されたステップの一部をこの方法の他の実施形態と交換し又は除去することができることが分かる。
【0155】
図31のブロック3102及び
図1を参照すると、このシステムの典型的な環境及び用途の例示例において、外科医は、血管構造120内にガイドワイヤ118を配置する。ガイドワイヤ118を、ガイドワイヤ118の配置前、その間又はその後のいずれかにIVUS装置102の遠位端の少なくとも一部に通す。
図31のブロック3104を参照すると、ガイドワイヤ118を配置したら、IVUS装置102をガイドワイヤにわたって前進させる。ブロック3106を参照すると、トランスデューサ複合体110を作動させる。伝送線束112を介してPIM104からトランスデューサ複合体110に送信された信号は、複合体110内のトランスデューサに特定超音波波形を放射させる。この超音波波形は、血管構造120によって反射する。
図31のブロック3108を参照すると、この反射は、複合体110内のトランスデューサによって受信され、伝送線束112による送信のために増幅される。エコーデータは、伝送線束112上に配置され、そしてPIM104に送信される。PIM104は、エコーデータを増幅し、及び/又はいくつかの例では、予備的な前処理を実行する。
図31のブロック3110を参照すると、PIM104は、エコーデータをIVUSコンソール106に再送する。
図31のブロック3112を参照すると、IVUSコンソール106は、受信したエコーデータを集めそして組み立てて、モニタ108上での表示用の血管構造120の画像を作成する。いくつかの例示的な用途では、IVUS装置は、トランスデューサ複合体110が動作しているときに、画像化される血管構造120の領域を越えて前進させ、そして引き戻して、それによって血管構造120の長手方向を露出させ画像化する。一定速度を確保するために、いくつかの例では引き戻し機構を使用する。典型的な引き戻し速度は、0.5mm/秒であるが、ビーム形状、サンプル速度、及びシステムの処理能力に基づいて他の速度も可能である。いくつかの実施形態では、装置102は、膨張可能なバルーン部分122を備える。治療手順の一部として、この装置を、血管構造120内の狭窄(狭窄部)又は閉塞プラークに隣接して配置し、そして血管構造120の制限区域を広げるために膨張させることができる。
【0156】
当業者であれば、上記装置、システム及び方法を様々に変更できることが分かるであろう。したがって、当業者であれば、本発明が包含する実施形態は、上記特定の例示実施形態に限定されるものではないことが分かるであろう。その点で、例示実施形態を示し説明してきたが、広範囲の修正、変更及び置換が上記開示において意図される。このような変形を、本発明の範囲から逸脱することなく、上記のものになすことができると解される。したがって、特許請求の範囲は広くかつ本発明と一致する態様で解釈することが妥当である。
【0157】
本発明は、主として超音波イメージングに関するものであるが、本明細書に開示されたシステムは、任意の種類のフェーズドアレイデータの集束によく適している。これは、超音波トランスデューサ、無線周波数トランスデューサ及びX線トランスデューサによって生成され収集されたデータを含む。このような用途としては、断層撮影が挙げられる(例えば、CT(コンピュータ断層撮影)、マイクロCT、PET(陽電子放射断層撮影)及びマイクロPET)。医療画像化を越えて、セルラ通信、衛星通信、衛星画像、レーダーLADAR及び他の技術で集束を行うことができる。当業者は、これら及び他の学問分野にわたる本発明の原理の応用を認識するであろう。