(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記メソポーラスナノ粒子の気孔度は、前記メソポーラスナノ粒子に対して7〜35体積%の気孔が含まれているものである、請求項1に記載の方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物。
前記メソポーラスナノ粒子の形態は、球状、板状形、および針状形を含む群より選択されたいずれか1つ以上の形態である、請求項1に記載の方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物。
ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板;および
前記方向性電磁鋼板の表面に形成された絶縁被膜
を含み、
前記絶縁被膜は、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子;0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber);0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子;30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子;および30〜60重量%のリン酸塩を含むものである、
表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板。
ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板を準備する段階と、
中空型ナノ粒子、セラミックナノファイバー(Nanofiber)、メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、コロイダルシリカナノ粒子、および金属リン酸塩を混合して、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を製造する段階と、
前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を前記方向性電磁鋼板の表面に塗布する段階と、
前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物が表面に塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階と、
表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板を得る段階とを含み、
前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物は、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子、0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber)、0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子、および30〜60重量%の金属リン酸塩を含むものである、
表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板を準備する段階は、
鋼スラブを準備する段階と、
前記鋼スラブを熱間圧延して、熱延板を製造する段階と、
前記熱延板を冷間圧延して、冷延板を製造する段階と、
前記冷延板を脱炭焼鈍して、脱炭焼鈍された鋼板を得る段階と、
前記脱炭焼鈍された鋼板に焼鈍分離剤を塗布し、最終焼鈍する段階とを含むものである、
請求項24に記載の表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
中空型ナノ粒子、セラミックナノファイバー(Nanofiber)、メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、コロイダルシリカナノ粒子、および金属リン酸塩を混合して、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を製造する段階において、
前記メソポーラスナノ粒子は、
気孔形成剤およびメソポーラスナノ粒子前駆体をエタノール溶媒に投入して、混合する段階と、
前記混合された溶液にアンモニア水を添加して、pHを10〜12に調節する段階と、
前記pH調節された溶液を加熱する段階と、
ナノサイズの気孔が形成されたナノ粒子を得る段階とを含んで製造されたものである、
請求項24に記載の表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
前記気孔形成剤は、ポリメチルメタクリレート(poly(methylmethacrylate)、PMMA)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンオキシド(poly(ethylene oxide))、およびポリプロピレンオキシド(poly(propylene oxide))を含む群より選択された少なくとも1種である、請求項27に記載の表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
前記メソポーラスナノ粒子前駆体は、テトラエチルオルトシリケート(tetraethly orthosilicate)、テトラメチルオルトシリケート(tetramethyl orthosilicate)、アルミニウムトリアルコキシド(aluminium tri alkoxide)、マグネシウムアルコキシド(magnesium alkoxide)、およびチタニウムテトラアルコキシド(titanium tetraalkoxide)を含む群より選択された少なくとも1種である、請求項27に記載の表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
前記pH調節された溶液を加熱する段階は、50〜70℃の温度範囲に加熱して、4〜6時間行うものである、請求項27に記載の表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
中空型ナノ粒子、セラミックナノファイバー(Nanofiber)、メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、コロイダルシリカナノ粒子、および金属リン酸塩を混合して、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を製造する段階において、
前記金属リン酸塩は、
金属水酸化物水溶液を製造する段階と、
前記製造された金属水酸化物水溶液にリン酸を投入して、混合する段階と、
前記混合溶液を撹拌する段階と、
金属水酸化物およびリン酸(H3PO4)の化学的な反応による化合物を得る段階と
を含んで製造されたものである、請求項24に記載の表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
前記方向性電磁鋼板コーティング組成物が塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階は、250〜950℃の温度範囲で行うものである、請求項24に記載の表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
前記方向性電磁鋼板コーティング組成物が塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階は、30秒〜70秒間行うものである、請求項24に記載の表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明者らは、ボロン(B)またはバナジウム(V)を単独で含むか、これらを全て含む方向性電磁鋼板を高温焼鈍することによって、前記指摘された磁気的特性および磁気変形の問題を改善しようとする。
【0013】
同時に、中空型ナノ粒子およびメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子を含む方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物によって、前記指摘された磁気変形の問題をさらに改善しようとする。
【0014】
具体的には、本発明の一実施形態では、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子、0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber)、0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子、および30〜60重量%の金属リン酸塩を含む、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を提供することができる。
【0015】
本発明の他の実施形態では、ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板、およびその表面に前記組成物による絶縁被膜が形成された電磁鋼板を提供することができる。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態では、前記のように表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板を製造する方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施形態では、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子;0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber);0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子;30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子;および30〜60重量%のリン酸塩;を含む、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を提供する。
【0018】
具体的には、前記中空型ナノ粒子に関する説明は、次の通りである。
【0019】
前記中空型ナノ粒子は、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、およびMgOを含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0020】
前記中空型ナノ粒子の粒径は、50〜300nmであってもよい。
【0021】
前記中空型ナノ粒子の内径は、30〜280nmであってもよい。
【0022】
一方、前記セラミックナノファイバーに関する説明は、次の通りである。
【0023】
前記セラミックナノファイバーは、TiO
2、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、MgO、およびLi
4Ti
5O
12を含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0024】
前記セラミックナノファイバーの直径は、5〜100nmであってもよい。
【0025】
他方、前記メソポーラスナノ粒子に関する説明は、次の通りである。
【0026】
前記メソポーラスナノ粒子は、SiO
2、Al
2O
3、MgO、およびTiO
2を含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0027】
前記メソポーラスナノ粒子の粒径は、1〜800nmであってもよい。
【0028】
前記メソポーラスナノ粒子の気孔度は、前記メソポーラスナノ粒子に対して7〜35体積%の気孔が含まれているものであってもよい。
【0029】
前記メソポーラスナノ粒子の形態は、球状、板状形、および針状形を含む群より選択されたいずれか1つ以上の形態であってもよい。
【0030】
さらに他方、前記金属リン酸塩に関する説明は、次の通りである。
【0031】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであってもよい。
【0032】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであり、前記金属水酸化物は、Sr(OH)
2、Al(OH)
3、Mg(OH)
2、Zn(OH)
2、Fe(OH)
3、およびCa(OH)
2を含む群より選択された少なくとも1種であってもよい。
【0033】
具体的には、前記金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであり、金属水酸化物の金属原子は、リン酸のリンと置換反応して単一結合、二重結合、または三重結合を形成してなるものであり、未反応自由リン酸(H
3PO
4)の量が30%以下の化合物からなるものであってもよい。
【0034】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであり、前記リン酸に対する前記金属水酸化物の重量比率は1:100〜30:100で表されるものであってもよい。
【0035】
本発明の他の実施形態では、ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板;および前記方向性電磁鋼板の表面に形成された絶縁被膜;を含み、前記絶縁被膜は、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子;0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber);0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子;30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子;および30〜60重量%のリン酸塩;を含むものである、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板を提供する。
【0036】
この時、前記表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の被膜張力(A、MPA)は、前記方向性電磁鋼板の一面積あたりの前記絶縁被膜の重量(B、g/m
2)に対する比率であって、0.20≦A/B≦2.50(2≦B≦5)、具体的には0.63≦A/B≦1.17(2≦B≦5)で表されるものであってもよい。
【0037】
同時に、前記絶縁被膜中の各成分に関する説明は、次の通りである。
【0038】
前記中空型ナノ粒子は、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、およびMgOを含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0039】
前記中空型ナノ粒子の粒径は、50〜300nmであってもよい。
【0040】
前記中空型ナノ粒子の内径は、30〜280nmであってもよい。
【0041】
前記セラミックナノファイバーの直径は、5〜100nmであってもよい。
【0042】
前記メソポーラスナノ粒子は、SiO
2、Al
2O
3、MgO、およびTiO
2を含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0043】
前記メソポーラスナノ粒子の粒径は、1〜800nmであってもよい。
【0044】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであってもよい。
【0045】
具体的には、前記金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであり、金属水酸化物の金属原子は、リン酸のリンと置換反応して単一結合、二重結合、または三重結合を形成してなるものであり、未反応自由リン酸(H
3PO
4)の量が30%以下の化合物からなるものであってもよい。
【0046】
本発明のさらに他の実施形態では、ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板を準備する段階と、中空型ナノ粒子、セラミックナノファイバー(Nanofiber)、メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、コロイダルシリカナノ粒子、および金属リン酸塩を混合して、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を製造する段階と、前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を前記方向性電磁鋼板の表面に塗布する段階と、前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物が表面に塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階と、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板を得る段階とを含み、前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物は、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子、0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber)、0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子、および30〜60重量%の金属リン酸塩を含むものである、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
【0047】
この時、前記準備された方向性電磁鋼板の平均結晶粒の大きさは、15〜35mmであってもよい。
【0048】
また、ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板を準備する段階は、鋼スラブを準備する段階と、前記鋼スラブを熱間圧延して、熱延板を製造する段階と、前記熱延板を冷間圧延して、冷延板を製造する段階と、前記冷延板を脱炭焼鈍して、脱炭焼鈍された鋼板を得る段階と、前記脱炭焼鈍された鋼板に焼鈍分離剤を塗布し、最終焼鈍する段階とを含むものであってもよい。
【0049】
一方、中空型ナノ粒子、セラミックナノファイバー(Nanofiber)、メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、コロイダルシリカナノ粒子、および金属リン酸塩を混合して、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を製造する段階に関する説明は、次の通りである。
【0050】
前記メソポーラスナノ粒子は、気孔形成剤およびメソポーラスナノ粒子前駆体をエタノール溶媒に投入して、混合する段階と、前記混合された溶液にアンモニア水を添加して、pHを10〜12に調節する段階と、前記pH調節された溶液を加熱する段階と、ナノサイズの気孔が形成されたナノ粒子を得る段階とを含んで製造されたものであってもよい。
【0051】
前記気孔形成剤は、ポリメチルメタクリレート(poly(methylmethacrylate)、PMMA)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンオキシド(poly(ethylene oxide))、およびポリプロピレンオキシド(poly(propylene oxide))を含む群より選択された少なくとも1種であってもよい。
【0052】
前記メソポーラスナノ粒子前駆体は、テトラエチルオルトシリケート(tetraethly orthosilicate)、テトラメチルオルトシリケート(tetramethyl orthosilicate)、アルミニウムトリアルコキシド(aluminium tri alkoxide)、マグネシウムアルコキシド(magnesium alkoxide)、およびチタニウムテトラアルコキシド(titanium tetraalkoxide)を含む群より選択された少なくとも1種であってもよい。
【0053】
前記pH調節された溶液を加熱する段階は、50〜70℃の温度範囲に加熱して、4〜6時間行うものであってもよい。
【0054】
また、前記金属リン酸塩は、金属水酸化物水溶液を製造する段階と、前記製造された金属水酸化物水溶液にリン酸を投入して、混合する段階と、前記混合溶液を撹拌する段階と、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物を得る段階とを含んで製造されたものであってもよい。
【0055】
一方、前記方向性電磁鋼板コーティング組成物が塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階は、250〜950℃の温度範囲で行うものであってもよい。
【0056】
前記方向性電磁鋼板コーティング組成物が塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階は、30秒〜70秒間行うものであってもよい。
【発明の効果】
【0057】
本発明の一実施形態では、磁気変形に起因する騒音を低減させるのに優れた方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を提供することができる。
【0058】
本発明の他の実施形態では、方向性電磁鋼板中のBまたはVによって優れた磁気特性を確保しながらも、絶縁被膜によって騒音の低減効果に優れた、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板を提供することができる。
【0059】
本発明のさらに他の実施形態では、前記特性を有する、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0062】
本発明の一実施形態では、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子;0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber);0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子;30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子;および30〜60重量%の金属リン酸塩;を含む、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を提供する。
【0063】
これは、磁気変形に起因する振動を効果的に減衰するコーティング剤であって、方向性電磁鋼板の表面上に絶縁被膜を形成する用途に使用できる組成物に相当する。
【0064】
方向性電磁鋼板の騒音は、磁気変形に起因する振動から誘発されるため、騒音特性を改善するためには、鋼板に引張応力を付与することによって、90°磁区を減少させる方法がある。
【0065】
本発明の一実施形態で提供される方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物の場合、中空型ナノ粒子を含むことによって、1)従来の湿式コーティング方式の場合、引張応力の付与による騒音改善効果の不十分さ、後膜の厚さにコーティングすることによる変圧器の占積率および効率が悪くなる問題、2)従来の真空蒸着コーティング方式による商業的な生産の困難さと絶縁特性が低下する問題を全て解消することができる。
【0066】
具体的には、前記中空型ナノ粒子は、内部が中空であり(hollow)、このような空き空間を囲む皮が存在する形態のナノ粒子を意味する。この形態は、高分子(polymer)または無機物を原料物質として用いてナノ粒子を合成した後、表面にシェル(shell)を形成した後、選択的に、前記シェルの内部に存在するナノ粒子のみを除去することによって合成される。
【0067】
前記中空型ナノ粒子は、前述のように内部に大きな空き空間が存在するので、磁気変形が発生すると、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動増幅を抑制できるため、変圧器の騒音を改善するのに効果的である。また、これは、無機酸化物として耐熱性に優れて変圧器の製造に適合し、大量生産が容易であるという利点がある。
【0068】
したがって、前記中空型ナノ粒子によって、磁気変形に起因する騒音誘発およびコーティング相溶性低下の問題を同時に解消することができる。
【0069】
この時、前記中空型ナノ粒子のみを用いる場合、被膜張力がやや劣化する問題が誘発される可能性があり得るが、前記セラミックナノファイバーによってかかる点を補完することができる。
【0070】
同時に、前記メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子は、ナノ(nano)サイズの気孔が表面に分布している形態のナノ粒子を意味する。これに関連して、一般に、ナノ多孔性物質は、その気孔の大きさに応じて、マイクロポーラス(2μm以下の気孔サイズの場合)、メソポーラス(2〜50nmの気孔サイズの場合)、そしてマクロポーラス(50nm以上の気孔サイズの場合)に分類される。
【0071】
前記メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子の形態は、高分子(polymer)などの物質を混合してナノ粒子を製造した後、熱処理によって前記ナノ粒子内の炭素成分のみを除去して、前記ナノ粒子の表面にナノ(nano)サイズの気孔を形成させることによって合成される。
【0072】
前記メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子は、比表面積が大きく、微細な気孔があるので、絶縁被膜の絶縁特性を改善することができ、これによって、組成物塗布量が低減されて絶縁被膜の厚さを減少させられるだけでなく、製造単価を節約でき、変圧器の占積率を向上させるという利点がある。
【0073】
一方、前記中空型ナノ粒子およびメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子は、互いに化学的に結合して粒子の大きさが不均一になり得、塊に凝集される場合には、斑模様で現れる表面欠陥および不良な被膜密着性を誘発する可能性があり得る。この点については、前記金属リン酸塩を含むことによって、かかる誘発可能性があり得る副反応を未然に防止することができる。
【0074】
前記コロイダルナノシリカは、比表面積が大きく化学反応性に優れて他の添加物と混用性が卓越であり、コーティング後の熱処理工程で表面が美しく表面粗さに優れた製品を得ることができる。
【0075】
以下、本発明の一実施形態で提供される方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物に関して詳細に説明する。
【0076】
まず、前記中空型ナノ粒子に関する説明は、次の通りである。
【0077】
前記中空型ナノ粒子は、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、およびMgOを含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0078】
前記中空型ナノ粒子の粒径は、50〜300nmであってもよい。前記中空型ナノ粒子の粒径が50nm未満の場合には、比表面積が増加し、組成物の安定性が低下して大量生産に不適であり、300nm超過の場合には、表面粗さが粗くなって表面欠陥が発生し得るので、前記範囲に限定する。
【0079】
前記中空型ナノ粒子の内径は、30〜280nmであってもよい。前記中空型ナノ粒子の内径が30nm未満の場合には、磁気変形に起因する振動の減衰機能が低下する問題がある。280nm超過の場合には、これを方向性電磁鋼板に適用して加工する時、前記中空型ナノ粒子が破壊されやすい問題が発生し得るので、前記範囲に限定する。
【0080】
一方、前記セラミックナノファイバーに関する説明は、次の通りである。
【0081】
前記セラミックナノファイバーは、TiO
2、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、MgO、およびLi
4Ti
5O
12を含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0082】
前記セラミックナノファイバーの直径は、5〜100nmであってもよい。前記セラミックナノファイバーの直径が5nm未満の場合には、前記組成物によって形成された絶縁被膜の張力付与能に劣る問題があり、100nm超過の場合には、前記組成物中の均一な分散が難しい問題が発生し得るので、前記範囲に限定する。
【0083】
他方、前記メソポーラスナノ粒子に関する説明は、次の通りである。
【0084】
前記メソポーラスナノ粒子は、SiO
2、Al
2O
3、MgO、およびTiO
2を含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0085】
前記メソポーラスナノ粒子の粒径は、1〜800nmであってもよい。前記メソポーラスナノ粒子の粒径が1nm未満の場合には、製造単価が急激に増加して大量生産に不適であり、800nm超過の場合には、表面粗さが粗くなって変圧器の占積率が低下する問題が発生し得るので、前記範囲に限定する。
【0086】
前記メソポーラスナノ粒子の気孔度は、前記メソポーラスナノ粒子に対して7〜35体積%の気孔が含まれたものであってもよい。仮に、7体積%未満の場合には、絶縁特性を改善する効果がわずかな問題が発生し得、35体積%超過の場合には、前記組成物中の均一な分散が難しい問題が発生し得るので、前記範囲に限定する。
【0087】
前記メソポーラスナノ粒子の形態は、球状、板状形、および針状形を含む群より選択されたいずれか1つ以上の形態であってもよい。
【0088】
さらに他方、前記金属リン酸塩に関する説明は、次の通りである。
【0089】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであってもよい。
【0090】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであり、前記金属水酸化物は、Sr(OH)
2、Al(OH)
3、Mg(OH)
2、Zn(OH)
2、Fe(OH)
3、およびCa(OH)
2を含む群より選択された少なくとも1種以上であってもよい。
【0091】
具体的には、前記金属水酸化物の金属原子は、リン酸のリンと置換反応して単一結合、二重結合、または三重結合を形成してなるものであり、未反応自由リン酸(H
3PO
4)の量が30%以下の化合物からなるものであってもよい。
【0092】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであり、前記リン酸に対する前記金属水酸化物の重量比率は1:100〜30:100で表されるものであってもよい。
【0093】
仮に、30:100の重量比率を超えて前記金属水酸化物が含まれる場合には、前記化学的な反応が完了せず沈殿物が生じる問題が発生し得、1:100の重量比率未満で前記金属水酸化物が含まれる場合には、耐食性に劣る問題が発生し得るので、前記のように範囲を限定する。
【0094】
本発明の他の実施形態では、ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板;および前記方向性電磁鋼板の表面に形成された絶縁被膜;を含み、前記絶縁被膜は、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子;0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber);0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子;30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子;および30〜60重量%のリン酸塩;を含むものである、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板を提供する。
【0095】
これは、前記方向性電磁鋼板の組成中、特にボロン(B)またはバナジウム(V)を単独で含むか、これらを全て含むことによって、優れた磁気的特性を保有しながらも、前記絶縁被膜によって、磁気変形に起因する騒音誘発の問題およびコーティング相溶性低下の問題を同時に解消することができる、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板に相当する。
【0096】
以下、本発明の一実施形態で提供する、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板に関してより詳細に説明することとし、前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜に含まれている各成分の特徴および利点は上述した通りであるので、省略する。
【0097】
より具体的には、前記準備された方向性電磁鋼板に含まれている各元素の含有量を限定する理由を、次のように説明する。
【0098】
ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素または元素ら:0.005〜0.05重量%
前記ボロン(B)および前記バナジウム(V)は、全て結晶粒界の偏析元素であって、結晶粒界の移動を妨げる元素に相当する。この特性によって、結晶粒に対する成長抑制剤として{110}<001>方位の結晶粒の生成を促進し、二次再結晶がよく発達するように誘導するので、結局、これらの元素は、結晶粒の大きさを制御するのに重要な役割を果たすことができる。
【0099】
仮に、前記ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素または元素らの含有量が0.005重量%未満の場合には、抑制剤としての役割を果たしにくく、0.05重量%を超える場合には、結晶粒界の偏析が激しく起きて鋼板の脆性が大きくなることによって、圧延時に板破断が発生する。これは、前記のように範囲を限定する理由となる。
【0100】
シリコン(Si):2.6〜4.3重量%
前記シリコン(Si)は、鋼板の比抵抗を増加させて鉄損を減少させる役割を果たすが、その含有量が2.6重量%未満の場合には、鋼の比抵抗が小さくなって鉄損特性が劣化するだけでなく、高温焼鈍時に相変態区間が存在して二次再結晶が不安定になる問題があり、4.3重量%超過の場合には、脆性が大きくなって冷間圧延が難しくなる。これは、前記のように範囲を限定する理由となる。
【0101】
アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%
前記アルミニウム(Al)は、最終的に、AlN、(Al、Si)N、(Al、Si、Mn)N形態の窒化物になって抑制剤として作用できる成分であり、その含有量が0.020重量%未満と少なすぎる場合には、このような抑制剤としての十分な効果を期待できず、0.040重量%超過の場合には、前記窒化物が過度に粗大に析出および成長して抑制剤としての効果を期待できなくなる。これは、前記のように範囲を限定する理由となる。
【0102】
マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%
前記マンガン(Mn)は、前記シリコン(Si)と類似の役割を果たす元素であって、比抵抗を増加させて鉄損を減少させる効果があり、前記シリコン(Si)と共に窒素と反応して(Al、Si、Mn)Nの析出物を形成することによって、一次再結晶粒の成長を抑制し、これから二次再結晶を起こすのに重要な役割を担当する。
【0103】
しかし、その含有量が0.20重量%を超える場合には、熱間圧延途中にオーステナイト相変態を促進するため、一次再結晶粒の大きさを減少させ、これから二次再結晶を不安定にする問題が発生する。そこで、前記マンガン(Mn)の含有量は、0.20重量%以下に限定する必要がある。
【0104】
また、前記マンガン(Mn)は、オーステナイトを形成する元素であって、熱間圧延時にオーステナイト分率を高めて析出物の固溶量を多くし、再析出時に析出物を微細化し、MnSの形成による一次再結晶粒が過大になりすぎるのを防止する効果がある。したがって、0.01重量%以上の適切な含有量を含む必要がある。
【0105】
一方、方向性電磁鋼板の騒音は、磁気変形に起因する振動から誘発されるので、騒音特性を改善するためには、鋼板に高温焼鈍後の結晶粒の大きさを微細化して90°磁区を減少させる方法がある。しかし、従来知られた方向性電磁鋼板の製造方法による場合、結晶粒の大きさが大きくて不均一で、騒音の改善効果が不十分である。そこで、前記組成の絶縁被膜を前記方向性電磁鋼板の表面に導入した。
【0106】
具体的には、前記表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の被膜張力(A、MPA)は、前記方向性電磁鋼板の一面積あたりの前記絶縁被膜の重量(B、g/m
2)に対する比率であって、0.20≦A/B≦2.50(2≦B≦5)、具体的には0.63≦A/B≦1.17(2≦B≦5)で表されるものであってもよい。
【0107】
具体的には、前記Aで表される被膜張力は、絶縁被膜組成物を方向性電磁鋼板の表面に塗布および乾燥して試験片を製造し、前記試験片の一面に腐食防止コーティング紙を圧着させた後、水酸化ナトリウムと水を混合して製造された溶出溶液に90℃の温度条件で20秒間浸漬させて前記試験片の一面の絶縁コーティングを除去し、乾燥した後、試験片の反りの程度に応じて測定されたものであって、その単位はMPaであり、前記方向性電磁鋼板の一面積あたりの前記絶縁被膜の重量(B、g/m
2)との関係において前記範囲を満足する時、騒音、占積率、および絶縁特性の最適条件を導出することができる。この効果は、後述する実施例により裏づけられる。
【0108】
前記のように被膜張力(A)および絶縁被膜の重量(B)を制御することによって、方向性電磁鋼板の騒音、占積率、および絶縁特性の最適条件を導出することができ、これは、後述する実施例を通じて十分に裏付けられる。
【0109】
ただし、前記A/Bの値が0.20未満の場合、方向性電磁鋼板の絶縁および騒音特性に劣り、変圧器などの製品として生産するのに不十分である。同時に、前記A/Bの値が2.50超過の場合には、占積率が低くなって効率的な変圧器の製作が難しくなる。そこで、前記のようにA/Bの範囲を限定する。
【0110】
同時に、前記絶縁被膜中の各成分に関する説明は、次の通りであり、その詳細な説明は先に記述した通りであるので、省略する。
【0111】
前記中空型ナノ粒子は、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、およびMgOを含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0112】
前記中空型ナノ粒子の粒径は、50〜300nmであってもよい。
【0113】
前記中空型ナノ粒子の内径は、30〜280nmであってもよい。
【0114】
前記セラミックナノファイバーの直径は、5〜100nmであってもよい。
【0115】
前記メソポーラスナノ粒子は、SiO
2、Al
2O
3、MgO、およびTiO
2を含む群より選択された少なくとも1種以上の酸化物からなるものであってもよい。
【0116】
前記メソポーラスナノ粒子の粒径は、1〜800nmであってもよい。
【0117】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物からなるものであってもよい。
【0118】
前記金属リン酸塩は、金属水酸化物の金属原子は、リン酸のリンと置換反応して単一結合、二重結合、または三重結合を形成してなるものであり、未反応自由リン酸(H
3PO
4)の量が30%以下の化合物からなるものであってもよい。
【0119】
本発明のさらに他の実施形態では、ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素を0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなるものである、方向性電磁鋼板を準備する段階と、中空型ナノ粒子、セラミックナノファイバー(Nanofiber)、メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、コロイダルシリカナノ粒子、および金属リン酸塩を混合して、方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を製造する段階と、前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を前記方向性電磁鋼板の表面に塗布する段階と、前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物が表面に塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階と、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板を得る段階とを含み、前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物は、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子、0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber)、0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子、および30〜60重量%の金属リン酸塩を含むものである、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
【0120】
これは、先に説明した優れた特性を有する、表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法に相当する。
【0121】
前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物、前記絶縁被膜の特徴および利点は上述した通りであるので、省略し、その他の事項について詳細に説明する。
【0122】
具体的には、前記準備された方向性電磁鋼板の平均結晶粒の大きさは、15〜35mmであってもよい。
【0123】
これは、前記方向性電磁鋼板がボロン(B)またはバナジウム(V)を単独で含むか、これらを全て含むものであるからであり、従来商用化された方向性電磁鋼板に比べてその結晶粒の大きさが微細化された範囲に相当し、これによって、方向性電磁鋼板の優れた磁気的特性を達成できるのである。
【0124】
ここで、高温焼鈍後の平均結晶粒の大きさを限定した理由は、平均結晶粒の大きさが15mm未満の場合には、磁束密度が劣るので、変圧器などの製品として生産するのに十分でないからである。そして、平均結晶粒の大きさが35mmを超える場合には、むしろ磁気変形が激しくなる問題が発生する。
【0125】
以下、本発明の一実施形態に係る組成物の絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
【0126】
まず、ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素または元素らを0.005〜0.05重量%含み、シリコン(Si):2.6〜4.3重量%、アルミニウム(Al):0.020〜0.040重量%、マンガン(Mn):0.01〜0.20重量%を含み、残部はFeおよびその他不可避不純物からなる鋼スラブを準備する。その後、前記鋼スラブを熱間圧延して、熱延板を製造する段階と、前記熱延板を冷間圧延して、冷延板を製造する段階と、前記冷延板を脱炭焼鈍して、脱炭焼鈍された鋼板を得る段階と、前記脱炭焼鈍された鋼板に焼鈍分離剤を塗布し、最終焼鈍する段階とを含むことで、再結晶が完了した方向性電磁鋼板を準備する。この時、スラブを熱間圧延する前に、まず、1200℃以下に加熱することができ、熱間圧延後に製造された熱延板を焼鈍することができ、脱炭焼鈍後または脱炭焼鈍と同時に窒化処理を施すことができ、この工程は通常の工程に従うので、詳細な製造条件はその説明を省略する。
【0127】
このように、本発明の一実施形態に係る組成を有するスラブを熱間圧延−冷間圧延−脱炭焼鈍−最終高温焼鈍する一連の工程において、前記最終焼鈍後の平均結晶粒の大きさは15〜35mmの範囲を満たすように工程条件を制御することが好ましい。
【0128】
前記脱炭焼鈍時、冷間圧延された鋼スラブを800〜900℃に維持された炉(Furnace)中に投入した後、露点温度および酸化能を調節し、水素、窒素、およびアンモニアの混合気体雰囲気で脱炭浸窒および一次再結晶焼鈍を同時に行うことができる。
【0129】
以降、MgOが主成分の焼鈍分離剤に蒸留水を混合してスラリーを製造し、ロール(Roll)などを用いて前記スラリーを前記脱炭焼鈍された鋼スラブに塗布した後、最終焼鈍することができる。
【0130】
前記最終焼鈍時、一次均熱温度は600〜800℃、二次均熱温度は1100〜1300℃とし、昇温区間の速度は10〜20℃/hrとすればよい。また、前記二次均熱温度までは、窒素25体積%および水素75体積%の混合気体雰囲気とし、前記二次均熱温度に到達した後には、100体積%の水素気体雰囲気で15時間維持した後、炉冷(furnace cooling)すればよい。
【0131】
以上のように、平均結晶粒の大きさが制御された方向性電磁鋼板に対して絶縁被膜を形成するために、その表面を前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物でコーティングする。これに関連して、前記方向性電磁鋼板用絶縁被膜組成物を製造する段階に関する説明は、次の通りである。
【0132】
前記メソポーラスナノ粒子は、気孔形成剤およびメソポーラスナノ粒子前駆体をエタノール溶媒に投入して、混合する段階と、前記混合された溶液にアンモニア水を添加して、pHを10〜12に調節する段階と、前記pH調節された溶液を加熱する段階と、中空サイズの気孔が形成されたナノ粒子を得る段階とを含んで製造されたものであってもよい。
【0133】
前記気孔形成剤は、ポリメチルメタクリレート(poly(methylmethacrylate)、PMMA)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンオキシド(poly(ethylene oxide))、およびポリプロピレンオキシド(poly(propylene oxide))を含む群より選択された少なくとも1種であってもよい。
【0134】
前記メソポーラスナノ粒子前駆体は、テトラエチルオルトシリケート(tetraethly orthosilicate)、テトラメチルオルトシリケート(tetramethyl orthosilicate)、アルミニウムトリアルコキシド(aluminium tri alkoxide)、マグネシウムアルコキシド(magnesium alkoxide)、およびチタニウムテトラアルコキシド(titanium tetraalkoxide)を含む群より選択された少なくとも1種であってもよい。
【0135】
前記pH調節された溶液を加熱する段階は、50〜70℃の温度範囲に加熱して、4〜6時間行うものであってもよい。前記温度および時間範囲で加熱する場合、前記メソポーラスナノ粒子前駆体から、ナノサイズの気孔が形成されたナノ粒子が生成できる。
【0136】
また、前記金属リン酸塩は、金属水酸化物水溶液を製造する段階と、前記製造された金属水酸化物水溶液にリン酸を投入して、混合する段階と、前記混合溶液を撹拌する段階と、金属水酸化物およびリン酸(H
3PO
4)の化学的な反応による化合物を得る段階とを含んで製造されたものであってもよい。
【0137】
一方、前記方向性電磁鋼板コーティング組成物が塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階は、250〜950℃の温度範囲で行うものであってもよい。仮に、950℃を超える場合には、生成された絶縁被膜に亀裂が発生することがあり、250℃未満の場合には、生成された絶縁被膜が十分に乾燥せず耐食性および耐候性に問題が発生し得るので、前記のように範囲を限定する。
【0138】
前記方向性電磁鋼板コーティング組成物が塗布された方向性電磁鋼板を熱処理する段階は、30秒〜70秒間行うものであってもよい。仮に、70秒を超える場合には、生産性が低下する問題が発生し得、30秒未満の場合には、耐食性および耐候性に問題が発生し得るので、前記のように範囲を限定する。
【実施例】
【0139】
以下、本発明の好ましい実施例および試験例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0140】
実施例1
まず、シリコン(Si)を3.2重量%、アルミニウム(Al):0.03重量%、およびマンガン(Mn):0.08重量%を含有し、ボロン(B)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つの元素(以下、添加元素という)を0.005〜0.05重量%含有する鋼スラブを準備した。この時、前記添加元素の具体的な含有量は、下記表1の製造例1〜4による。
【0141】
前記鋼スラブを1150℃で220分間加熱した後、2.3mmの厚さに熱間圧延して、熱延板を製造した。
【0142】
前記熱延板を1120℃まで加熱した後、再び温度を920℃として90秒間維持した後、水に急冷して酸洗した後、0.23mmの厚さに冷間圧延して、冷延板を製造した。
【0143】
前記冷延板を860℃に維持された炉(Furnace)中に投入した後、露点温度および酸化能を調節し、水素、窒素、およびアンモニアの混合気体雰囲気で脱炭浸窒および一次再結晶焼鈍を同時に行って、脱炭焼鈍された鋼板を製造した。
【0144】
以降、MgOが主成分の焼鈍分離剤に蒸留水を混合してスラリーを製造し、ロール(Roll)などを用いて前記スラリーを前記脱炭焼鈍された鋼板に塗布した後、最終焼鈍した。
【0145】
前記最終焼鈍時、一次均熱温度は700℃、二次均熱温度は1200℃とし、昇温区間の速度は15℃/hrとした。また、1200℃までは窒素25体積%および水素75体積%の混合気体雰囲気とし、1200℃を到達した後には、100体積%の水素気体雰囲気で15時間維持した後、炉冷(furnace cooling)した。
【0146】
これにより、最終焼鈍工程までを終えた方向性電磁鋼板を得ることができた。
【0147】
その後、3重量%の中空型シリカ粒子、0.7重量%のシリカナノファイバー、5重量%のメソポーラス球状シリカナノ粒子、40重量%のコロイダルシリカナノ粒子、および51.3重量%のリン酸アルミニウムとリン酸ストロンチウムが1:1混合された絶縁被膜組成物を塗布量(前記方向性電磁鋼板の一面積あたりの前記絶縁被膜の重量)が3.3g/m
2となるように塗布した後、870℃の温度条件で55秒間それぞれ熱処理した。
【0148】
これにより、絶縁被膜が形成された各方向性電磁鋼板を得ることができた。
【0149】
実施例1の試験例:磁気特性および騒音特性評価
実施例1に対して、前記添加元素の有無およびその具体的な含有量に応じた磁気特性および騒音特性を評価しようとした。
【0150】
1.7T、50Hzの条件で、実施例1による各方向性電磁鋼板を製造して発明例1〜4と表し、それぞれに対して磁気特性および騒音特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0151】
これと対比されるように、表1の比較例1〜5により別途の方向性電磁鋼板を製造し、前記条件で磁気特性および騒音特性を評価して、その結果も表1に併せて示した。
【0152】
電磁鋼板の磁気特性は、通常W17/50とB8を代表値として使用する。W17/50は、周波数50Hzの磁場を1.7Teslaまで交流で磁化させた時に現れる電力損失を意味する。ここで、Teslaは、単位面積あたりの磁束(flux)を意味する磁束密度(Flux Density)の単位である。B8は、電磁鋼板の周囲を巻取った巻線に800A/mの大きさの電流量を流した時、電磁鋼板に流れる磁束密度の値を示す。
【0153】
一般的な騒音(Noise)は、国際規定IEC61672−1に基づいて音圧(空気の圧力)を時間領域から取得し、周波数応答データに変換した後、これを、可聴帯域の応答性(A−加重デシベル、A−weighted decibels)を反映して可聴帯域の騒音[dBA]として評価する。
【0154】
本発明の実施例で選択した騒音評価方法は、国際規定IEC61672−1と同一に評価するが、音圧の代わりに電磁鋼板の震え(振動)データを取得して、騒音換算値[dBA]として評価する。電磁鋼板の震えは、周波数50Hzの磁場を1.7Teslaまで交流で磁化させた時、レーザドップラー方式を活用して、非接触式で時間に応じて振動パターンを測定する。
【0155】
【表1】
【0156】
表1によれば、比較例1より、発明例1〜4の磁気特性および騒音特性が非常に優れていることを確認できる。これは、前記添加元素を含む鋼スラブを熱間圧延−冷間圧延−脱炭焼鈍−最終焼鈍する一連の工程を経て、前記最終焼鈍後の平均結晶粒の大きさが15〜35mmの範囲に微細化されることによって現れる効果であることを推論することができる。
【0157】
ただし、前記添加元素の含有量が過度に少ない比較例2は、前記範囲を超える大きさの結晶粒が生成され、前記添加元素の含有量が過度に多い比較例3〜5の場合には、前記範囲に及ばない大きさの結晶粒が生成されて、磁気特性および騒音特性を改善できないことを確認できる。
【0158】
これにより、前記添加元素を含有する方向性電磁鋼板に対して、高温焼鈍後の結晶粒の大きさを前記範囲に制御する場合、磁気特性および騒音特性に優れていることが分かる。
【0159】
実施例2
(絶縁被膜組成物の製造)原料物質として、中空型ナノ粒子としては中空型シリカナノ粒子を、セラミックナノファイバー(Nanofiber)としてはアルミナ(Al
2O
3)ナノファイバーを、メソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子としてはメソポーラスシリカを、金属リン酸塩としてはリン酸アルミニウムおよびリン酸マグネシウムが1:1の重量比率で混合された溶液を準備し、コロイダルシリカナノ粒子も準備した。
【0160】
この時、表2に記録された発明例A1〜A10による組成で前記原料物質を混合して、各絶縁被膜組成物を製造した。
【0161】
(方向性電磁鋼板の絶縁被膜の形成)シリコン(Si)3.2重量%、アルミニウム(Al):0.02重量%、およびマンガン(Mn):0.7重量%を含有し、添加元素を0.04重量%含有し、最終焼鈍されて一次被膜を有する、0.27mm厚さの方向性電磁鋼板(300x60mm)を供試材として準備した。発明例A1〜A10による各絶縁被膜組成物の塗布量(前記方向性電磁鋼板の一面積あたりの前記絶縁被膜の重量)が2.7g/m
2となるように塗布した後、920℃の温度条件で45秒間それぞれ熱処理した。これにより、絶縁被膜が形成された各方向性電磁鋼板を得ることができた。
【0162】
実施例2に対する試験例:絶縁性および騒音特性評価
実施例2に対して、絶縁被膜の組成による表面品質、絶縁性、および騒音特性を評価しようとした。
【0163】
1.7T、50Hzの条件で、前記実施例2による方向性電磁鋼板の絶縁性および騒音特性を評価し、その結果を表2に示した。
【0164】
これと対比されるように、表2の比較例A0、および比較例A1〜A7により別途の方向性電磁鋼板を製造し、前記条件で絶縁性および騒音特性を評価して、その結果も表2に併せて示した。
【0165】
表面品質は、5%、35℃、NaCl溶液に8時間試験片のサビ発生の有無を評価するものであって、サビ発生面積が5%以下の場合に優秀、20%以下の場合に良好、20〜50%若干不良、50%以上では不良と表した。
【0166】
絶縁性は、ASTM A717国際規格により、Franklin測定器を活用してコーティング上部を測定した。
【0167】
騒音特性は、前記実施例1に対する試験例と同一の方式で評価した。
【0168】
【表2】
【0169】
表2によれば、比較例A0より、発明例A1〜A10の表面品質が概ね優れており、絶縁性および騒音特性が非常に改善されたことを確認できる。これは、比較例A0に比べて、中空型ナノ粒子、セラミックナノファイバー(Nanofiber)、およびメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子をさらに含む絶縁被膜組成物によって達成された効果であることを推論することができる。
【0170】
ただし、比較例A1〜A7の結果を考慮する時、前記物質の含有量を適切に制御する必要がある。これは、前記物質が果たす役割に関連するものであり、前記発明例A1〜A10によれば、0.1〜7重量%の中空型ナノ粒子、0.1〜5重量%のセラミックナノファイバー(Nanofiber)、0.1〜5重量%のメソポーラス(Mesoporous)ナノ粒子、30〜60重量%のコロイダルシリカナノ粒子、および30〜60重量%のリン酸塩を含むことが適切と評価される。
【0171】
これにより、前記添加元素を含有する方向性電磁鋼板に対して、絶縁被膜の成分および組成を前記のように制御する場合、絶縁性および騒音特性に優れていることが分かる。
【0172】
実施例3
(絶縁被膜組成物の製造)セラミックナノファイバー(Nanofiber)としてはTiO
2ナノファイバーを、金属リン酸塩としてはリン酸アルミニウムを準備した点を除いて、発明例A6と同一の原料物質を準備した。組成で前記原料物質を混合して、各絶縁被膜組成物を製造した。
【0173】
(方向性電磁鋼板の絶縁被膜の形成)シリコン(Si)3.4重量%を含有し、アルミニウム(Al):0.04重量%、およびマンガン(Mn):0.20重量%を含有し、添加元素を0.05重量%含有し、最終焼鈍されて一次被膜を有する、0.22mm厚さの方向性電磁鋼板(600x100mm)を供試材として準備した。発明例B1〜B5による各絶縁被膜組成物の塗布量(前記方向性電磁鋼板の一面積あたりの前記絶縁被膜の重量)が2.0g/m
2となるように塗布した後、870℃の温度条件で60秒間それぞれ熱処理した。これにより、絶縁被膜が形成された各方向性電磁鋼板を得ることができた。
【0174】
実施例3に対する試験例:最適条件の騒音、占積率、および絶縁性評価
実施例3に対して、最適条件の騒音、占積率、および絶縁性を示す絶縁被膜の組成を評価しようとした。
【0175】
1.7T、50Hzの条件で、前記実施例3による方向性電磁鋼板の絶縁性、占積率、および騒音特性を評価し、その結果を表3に示した。
【0176】
これと対比されるように、表3の比較例B1〜B4により別途の方向性電磁鋼板を製造し、前記条件で絶縁性、占積率、および騒音特性を評価して、その結果も表3に併せて示した。
【0177】
具体的には、各方向性電磁鋼板を920℃で45秒間乾燥すると、各コーティングされた面は、コーティング剤によって引張応力が付加されて一方向に反り、この反りの程度を測定して被膜張力を評価した。
【0178】
また、各方向性電磁鋼板の表面に圧延直角方向にレーザ磁区微細化処理を施して、絶縁性、占積率、および騒音特性(1.7T、50Hzの条件)をそれぞれ測定した。
【0179】
【表3】
【0180】
表3によれば、比較例B1〜B4に比べて、絶縁性および騒音特性が非常に改善され、占積率も概ね優れていることを確認できる。これは、絶縁被膜組成物の被膜張力(A)および塗布量(B)を0.20≦A/B≦2.50(2≦B≦5)で制御することによって達成された効果であることを推論することができる。
【0181】
さらに、発明例B3およびB4で騒音特性が特に優れている点を考慮する時、絶縁被膜組成物の被膜張力(A)および塗布量(B)を0.63≦A/B≦1.17(2≦B≦5)で制御することによって、さらに優れた効果が得られると評価される。
【0182】
これにより、前記方向性電磁鋼板の被膜張力および絶縁被膜組成物の塗布量を制御して、方向性電磁鋼板の騒音、占積率、および絶縁特性の最適条件を導出できることが分かる。
【0183】
試験例:1000kVA変圧器の占積率および騒音特性評価
本発明の一実施形態に係る組成物を用いて表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板に関連して、1000kVA変圧器の製造時、占積率および騒音特性を評価した。
【0184】
シリコン(Si)3.2重量%を含有し、アルミニウム(Al):0.03重量%、およびマンガン(Mn):0.12重量%を含有し、添加元素を0.03重量%含有し、仕上げ焼鈍された一次被膜を有する板厚さ0.22mmの方向性電磁鋼板に対して、絶縁被膜組成物は発明例A2およびA3によるものを選択し、それぞれ被膜張力(A、MPa)および被膜塗布量(B、g/m
2)を0.63≦A/B≦1.17(2≦B≦5)の範囲となるように生産して、レーザ磁区微細化処理を実行した後、1000kVA変圧器を製作して、1.7T、60Hzの条件で評価した結果を表4に示した。
【0185】
この時、発明例A2による絶縁被膜組成物を適用した1000kVA変圧器は発明例C1、発明例A3による絶縁被膜組成物を適用した1000kVA変圧器は発明例C2と表した。
【0186】
これと対比されるように、A/Bが2.75の比較例Cに対しても、同一の評価を行った後、表4に記録した。
【0187】
【表4】
【0188】
表4によれば、0.63≦A/B≦1.17(2≦B≦5)で制御する場合、1000kVA変圧器の占積率および騒音特性が全て優れていることが分かる。
【0189】
試験例:1500kVA変圧器の占積率および騒音特性評価
本発明の一実施形態に係る組成物を用いて表面に絶縁被膜が形成された方向性電磁鋼板に関連して、1000kVA変圧器の製造時、占積率および騒音特性を評価した。
【0190】
シリコン(Si)3.18重量%を含有し、仕上げ焼鈍された一次被膜を有する板厚さ0.22mmの方向性電磁鋼板に対して、絶縁被膜組成物は発明例A3によるものを選択し、これを被膜張力(A、MPa)および被膜塗布量(B、g/m
2)を0.63≦A/B≦1.17(2≦B≦5)の範囲となるように生産して、レーザ磁区微細化処理を実行した後、1500kVA変圧器を製作して、設計磁束密度に応じて60Hzの条件で評価した結果を
図1および表5に示した。
【0191】
この時、発明例A3による絶縁被膜組成物を適用した1500kVA変圧器は発明例D1と表した。
【0192】
これと対比されるように、A/Bが2.65の比較例Dに対しても、同一の評価を行った後、
図1および表5に記録した。
【0193】
【表5】
【0194】
図1および表5によれば、0.63≦A/B≦1.17(2≦B≦5)で制御する場合、1500kVA変圧器も占積率および騒音特性が全て優れていることが分かる。
【0195】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。そのため、以上に記述した実施例はあらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。