(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記境界線部分(13)の両端部に設けた切欠部(15, 15)が、前記座面載置部(11)又は背面部(12)の何れか一方の側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自転車のチャイルドシート用クッション。
前記座面載置部(11)及び背面部(12)のそれぞれの厚みを約20mm〜32mmの範囲としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車のチャイルドシート用クッション。
【背景技術】
【0002】
従来より、自転車に取り付けるチャイルドシートとしては、後部座席に固定するタイプのものやハンドル部に固定するタイプのものが存在しており、現在では、ハンドル中央部がU字形状に湾曲し、そのU字形状湾曲部分にチャイルドシートが予め設置されたものも存在している。
【0003】
このようなチャイルドシートのクッションとしては下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
このクッションは、使用者の膝裏部又は腿裏部を保護できるものであって、チャイルドシートの座面と略同一又はやや小さい大きさを有し、これをチャイルドシートの座面に載置した際の前方端の両側部分に膨出部を形成したものである。
【0004】
この膨出部がチャイルドシートに腰掛ける幼児の膝裏部又は腿裏部に適合するのである。
クッションの平面視形状は略ハート形状であり、クッションの内部には低反発ウレタンフォームが充填され、クッションの両側縁部にはチャイルドシートに取り付けるための伸縮部材の両端を縫着している。これによって伸縮部材を裏面側又は表面側の何れの側にも配置させることができるため、表側及び裏側の何れの側をも上面側に配置できる。更にクッションの側縁部の適宜位置には取付用の紐状部材を2本設けたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで現在においては、チャイルドシートとしては非常に大型でデラックスなものが開発され、後部荷台に取り付ける後部チャイルドシートにあっては、その全体が幼児の体を包み込むような形態を有する合成樹脂製のものから成り、上下に高さ調整可能なヘッドレストが設けられたものが存在する。
【0007】
そして、このようなデラックス装備のチャイルドシートにあっては、幼児の身体を保持するためのシートベルトも装備されており、従来はそのシートベルトも3点支持タイプのものであったが、現在では2011年の改正SG基準により3点乃至5点支持タイプのものが規格化され、着席する幼児の股部の部分にも配設されるシートベルトが標準的なものとなっている。
他方、ハンドル中央部がU字形状に湾曲した部分に予め取り付けられている前部チャイルドシートにおいてもシートベルトが設備されているものである。
【0008】
そこで、本発明においては、これらシートベルトが装備された前部又は後部チャイルドシートの何れのタイプのものにも簡単に載置し、適合させて使用できるクッションを提供することをその課題とし、とりわけ上記シートベルトと干渉しない、つまり、シートベルトの取り付け又は取り回しに支障が生じないクッションを提供することをその第一の課題としている。
【0009】
また、そのクッションのサイズも当然のこととしてシートベルトと干渉しないものを提供する必要があり、また、その載置・装備に際して簡単に載置・装備でき、且つ前部又は後部チャイルドシートの何れのものにも良好に適合できるものを提供することも本発明の課題となる。
しかも、上記機能を発揮させるための構造を創案することも本発明の課題となる。
勿論、本発明の本来の機能及び作用であるクッション性の向上という課題もその基本課題である。
【0010】
更には、上記チャイルドシートにあっては、その本体部が合成樹脂製で、その座面及び背凭れ面の表面にはゴム素材からなるクッション材が設けられているのであるが、このゴム製クッション材と密着することとなる本発明に係るクッションの裏面との相性について考慮することも本発明の課題となるのである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車に取り付けられたチャイルドシートの座面及び背凭れ面に装備できるクッションにおいて、このクッションは、チャイルドシートの座面に載置される座面載置部と、チャイルドシートの背凭れ面に接する背面部とからなり、前記座面載置部及び背面部には、それぞれの表地と裏地との間で裏地側に配置された可撓性を有する板状の芯材と表地側に配置されたクッション材とが内装されており、これらの座面載置部と背面部とは両者の境界線部分で折曲自在に形成され、前記座面載置部及び背面部の上記構造により、前記境界線部分で座面載置部と背面部との表面同士を接合する方向に折曲すると、座面載置部と背面部の表面同士が離反する方向に作用し、前記境界線部分の両端部分には切欠部を設け、これらの切欠部にチャイルドシートに設けられたシートベルトが挿通でき、
前記座面載置部及び背面部の表地が柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂製生地からなり、前記座面載置部及び背面部の裏地が合成樹脂製生地と合成繊維製生地との接合生地からなり、合成樹脂製生地が内側に合成繊維製生地が外側に配されたものからなり、表地と裏地の周縁部及び境界線部分が高周波溶着されて座面載置部と背面部とが形成されることを特徴とする自転車のチャイルドシート用クッションである。
【0012】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記境界線部分の両端部に設けた切欠部が、前記座面載置部又は背面部の何れか一方の側に設けられていることを特徴とする自転車のチャイルドシート用クッションである。
【0013】
(削除)
【0014】
本発明の第
3のものは、上記第1
又は第2の発明において、前記座面載置部及び背面部のそれぞれの厚みを約20mm〜32mmの範囲としたことを特徴とする自転車のチャイルドシート用クッションである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1のものにおいては、座面載置部と背面部とからなり、これら両者が境界線部分で折曲可能に形成され、座面載置部及び背面部のぞれぞれは、表地と裏地との間で裏地側に配置された芯材と表地側に配置されたクッション材とが内装されているために、適宜厚みを有することとなる。
【0016】
この厚みにより、境界線部分で座面載置部と背面部の表面同士を接合する方向に折曲しても、これら両者の表面同士は接合しにくい状態となるのである。
即ち、これら両者の表面は、これら両者の表面同士を接合しようとすると、内部に内装されたクッション材と芯材の存在により、離反する方向に作用するのである。
【0017】
換言すると、この離反する方向の作用により、座面載置部と背面部とは、チャイルドシートの座面と背凭れ面とに載置、装備する際に、極めて良好に所定角度を維持してチャイルドシートに装着できるのである。
即ち、チャイルドシートに本発明に係るクッションを載置し、装着する際に、背面部が前方方向に、つまり座面載置部の方に倒れてしまうことが全くなくなるのである。
【0018】
これにより、本発明においては、チャイルドシートに幼児を乗せる際に、背面部が前方に倒れ込まないために、幼児を乗せ易いという効果が生まれるのである。
つまり、背面部が前方に倒れ込んでしまうと、幼児を着座させる際に、乗せ難いという問題を解消することができるのである。
このようにして、本発明に係るクッションは、チャイルドシートに簡単に極めて良好にチャイルドシートの座面及び背凭れ面に載置し、装備することができ、且つ、幼児を乗せ易いという効果を発揮することとなるのである。
【0019】
また、本発明に係るクッションには、その境界線部分の両端部分に切欠部を設けており、この切欠部にチャイルドシートのシートベルトを挿通させることが容易にでき、これによりシートベルトと干渉することがなくなり、シートベルトを表側に容易に導出でき、シートベルトの取り付け及び取り回しに何ら支障が生じないこととなるのである。
【0020】
本発明の第
1のものにおいては、座面載置部及び背面部のそれぞれの表地及び裏地の素材を限定したものである。
即ち、座面載置部及び背面部の表地をPVC(ポリ塩化ビニル)やPPE(ポリフェニレンエーテル)等の合成樹脂製生地から形成し、他方、座面載置部及び背面部の裏地をPVCやPPE等の合成樹脂製生地とナイロンやポリエステル等の合成繊維製生地との接合生地から形成し、合成樹脂製生地を内側に合成繊維製生地を外側に配したものから形成したのである。
これにより、表地と裏地の周縁部及び境界線部分を高周波溶着して座面載置部と背面部とを容易に形成することができることとなるのである。
【0021】
また、裏地の外表面が合成繊維製生地から形成されているために、チャイルドシートの表面に設けられたゴム製クッション材と密着しても特に問題は生じないものとなる。
この裏地を表地と同様に合成樹脂製素材から形成するとチャイルドシートの表面に設けられたゴム製クッション材との密着による劣化も生じ、本発明はこれを防止できる。
【0022】
本発明の第2のものにおいては、クッションの境界線部分の両端部に設けた切欠部の位置をより限定したものである。
即ち、当該切欠部を座面載置部又は背面部の何れか一方の側に設けたものである。
チャイルドシートのシートベルトは、幼児の両肩部と両腰部とから延長するように設けられている。
この両腰部から延長する腰部シートベルトにあっては、メーカーの異なるチャイルドシートにおいて、座面の背凭れ側から延長するタイプのもの、或いは、背凭れ面の基端から延長するタイプのもの等両タイプのものが存在している。
これらの異なるタイプのものに適合し易くするために、本発明においては、この切欠部を座面載置部側又は背面部側の何れか一方に設けたのである。
【0023】
これにより、境界線部分の座面載置部側に切欠部が設けられたものにあっては、チャイルドシートのシートベルトが座面側に設けられたものに対応でき、他方、境界線部分の背面部側に切欠部が設けられたものにあっては、チャイルドシートのシートベルトが背凭れ面側に設けられたものに対応できるのである。
更に、本発明においては、座面載置部と背面部とは、これらを逆様にして使用することも可能であるので、これら座面載置部又は背面部の何れか一方に切欠部を設けておけば、両タイプのチャイルドシートに対応させることができることとなるのである。
【0024】
本発明の第
3のものにおいては、座面載置部の厚みと背面部の厚みを所定範囲に限定したものである。
これにより、本発明に係るクッションのクッション性を向上させ、良好なクッション性能を維持させ、且つ、座面載置部と背面部との表面同士を接合する方向に境界線部分で折曲しても両表面同士が接合し難い形態としたものである。
【0025】
このように、座面載置部と背面部の表面同士を接合する方向に境界線部分で折曲しても両表面同士が接合しにくく、相互に離反する方向に作用するのは、内部にクッション材と芯材が内装されているためであり、この内部のクッション材と芯材の存在により、表側と裏側のクッション性が異なることが理由と考えられる。
【0026】
本発明においては、上記した通り、座面載置部と背面部の両表面同士が接合し難い構成としたが、当該クッションを使用しないときには、これを二つ折にしてゴムバンド等により括って収納することができる。
この場合には、座面載置部と背面部の裏地側を接合するように二つ折するのであるが、この裏地側は表地側と異なり、可撓性を有する板状の芯材が内装されているために、表地側と異なって、比較的に二つ折りし易い構成となっている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るクッションの全体を示し、その(A)が表面側を示す平面図、その(B)が側面図である。
【0029】
本実施形態に係るクッション10は、平面視略矩形形状を有する座面載置部11と背面部12とから成り、これら両者の境界線部分13において折曲自在に形成されている。
境界線部分13の両端部の背面部12側には、切欠部15、15が設けられている。
この切欠部15は、後に説明するが、自転車の後部荷台又はハンドル部に取り付けられたチャイルドシートの腰部シートベルトを挿通させるために設けたものである。
【0030】
この切欠部15は、境界線部分13の両端部の座面載置部11の側に設けることもできるし、境界線部分13の両端部で座面載置部11と背面部12の両者に渡り設けることもできる。
【0031】
座面載置部11及び背面部12の内部構造は、同じである。
即ち、内部構造は図示していないが、表地11f、12fと裏地11r、12rの周縁部を高周波溶着し、座面載置部11と背面部12の境界線部分13も同様に高周波溶着を行って形成し、座面載置部11及び背面部12の内部には、その裏面側に可撓性を有する紙製板状体のものから成る芯材と、この芯材と表地11f、12fとの間に配設したクッション材とから形成されている。
【0032】
本実施形態では、クッション材としては、2種類のものを重ね合わせて使用している。
即ち、表面側に配置する約14mm程度の低反発ウレタンフォームと、この低反発ウレタンフォームと芯材との間に配置される約9mm程度のPE(ポリエチレン)発砲体とを重ね合わせ内装している。
勿論、クッション材としては、1種類の、例えば低反発ウレタンフォームのみを使用することも自由である。
芯材としては、可撓性を有する紙製板材を使用しているが、PVC製の可撓性を有する合成樹脂製板材を使用することもできる。
【0033】
表地11f、12fは、PVC(ポリ塩化ビニル)を利用し、裏地11r、12rは、同じくPVCとナイロン生地との接合素材を用いて、PVCを内側にナイロン生地を外側(裏側表面)に接合したものを使用している。
これにより、表地11f、12fと裏地11r、12rとが都合よく高周波溶着されるのである。
【0034】
本実施形態では、表地として座面載置部と背面部との全体を含む1枚の連続形状のものを用い、同様に、裏地として上記PVCとナイロン生地の接合生地を座面載置部と背面部との全体を含む1枚の連続形状のものを用い、座面載置部及び背面部に内装する芯材とクッション材とを配置して、その周縁部及び境界線部分を高周波溶着すれば簡単に完成するのである。
【0035】
本実施形態においては、裏地11r、12rとしてPVCとナイロンとの接合生地を用いた理由は、裏地としてPVCを用いて製作すると、チャイルドシートの座面にはゴム製のクッション材が設けられており、このゴム製クッション材との接触による本発明のクッション材の裏面の劣化の恐れを考慮したからである。
【0036】
つまり発明に係るクッションの裏面がPVCにより形成されていると、このPVC素材がチャイルドシートのゴム製クッション材と接触して劣化を生じるという問題が残るのである。この問題を避けるために、本実施形態では、裏地11r、12rの外表面側にナイロン生地を配したのである。
【0037】
更に、本実施形態においては、表地11f、12f及び裏地11r、12rとして、略同一形状及び略同一サイズのものを使用し、内部に芯材とクッション材とを内装し、その周縁部及び境界線部分13を高周波溶着しており、これにより、
図1(B)の側面図から解る通り、溶着部14から表面F迄の厚みが、溶着部14から裏面R迄の厚みよりもやや厚く形成される。
【0038】
この理由は、表地素材はPVCから成り、適宜の柔軟性と伸縮性を有しているが、裏地素材は、PVCとナイロン生地との接合生地であるために、その柔軟性及び伸縮性は表地よりも劣るために、側面視において、前記溶着部から表面F迄の厚みが、その裏面R迄の厚みよりも少し厚く形成されるものと考えられる。
【0039】
この溶着部14から表面Fまでの厚みにより、次の
図2(B)で説明するが、境界線部分13で背面部12又は座面載置部11の表面同士を接合する方向に折曲しても、両者の表面同士が接合し難くなるのである。
つまり、両者の表面同士を接するように折り曲げても、その内部に内装されたクッション材と芯材の存在により、座面載置部11と背面部12とがその境界線部分13で反発するような作用を発揮するのである。
【0040】
これにより、チャイルドシートに載置・装備する際に、本発明に係るクッションがチャイルドシートの座面と背凭れ面とに極めて良好に適合することができるようになるのである。
即ち、チャイルドシートの座面に本発明に係るクッションを載置した際に、背面部12が前方に倒れ込んでしまわないように考慮したものなのである。
これにより、幼児を着席させる際に、背面部が前方に倒れ込まず、乗せ易いという効果が生じるのである。
【0041】
図2は、上記実施形態に係るクッションを折曲した状態、即ちチャイルドシートに載置・装備する状態を示しており、その(A)が斜視図、その(B)が側面図である。
本発明に係るクッション10をチャイルドシートに載置・装備すると、この図に示した状態となる。
即ち、座面載置部11と背面部12は、適宜角度をもって、つまり、90度よりもやや大きい角度で、チャイルドシートの座面と背凭れ面との角度に合致する角度をもってチャイルドシートに載置、装備されるのである。
【0042】
そして、境界線部分13の両端部分の背面部12側に切欠部15、15が設けられている。
この切欠部15の部分でチャイルドシートのシートベルトを挿通させることができるのである。
【0043】
図2(B)の側面図からよく解る通り、本発明に係るクッション10の背面部12をその平面状態から、起立させた状態を図示しているが、背面部12の表地12fの下端部12sが、座面載置部11の表地11fの境界線部分13の基端部11sに当接した状態となり、背面部12は、この状態から右方向に折曲させ難い状態となるのである。
これは、溶着部14から表地11f、12fが膨出した状態を有しているからである。
【0044】
このように、本発明においては、座面載置部11及び背面部12の構造が、その溶着部14の表面側に表地11、12が適宜膨出しているために、これら表地11、12の表面11f、12f同士が接合・密着しにくくなり、
図2(B)の状態を維持できることとなるのである。
【0045】
従って、本発明に係るクッション10は、
図2の(B)の形態を維持して、チャイルドシートの座面及び背凭れ面に適切に載置・装備されることとなるのである。
この実施形態においては、座面載置部11及び背面部12の厚みは、それぞれ20mmから32mmの間の範囲に設定している。
【0046】
尚、本実施形態に係るクッション10においては、溶着部14から表地11f、12f迄の厚みが溶着部14から裏地11r、12rまでの厚みよりも少し厚い状態となる。
このように裏地11r、12r迄の厚みが少し薄くなることにより、このクッション10を境界線部分13で折曲して二つ折りにする際に、この裏地11r、12r側がやや接合し易くなるものである。
【0047】
裏面側で二つ折りされたクッション10は、ゴムバンド等で括り付けることにより、小さく折り畳んで保管することができることとなるからである。
勿論、この溶着部14から表地11f、12f迄の厚みと、溶着部14から裏地11r、12r迄の厚みを同一に形成してもよいことは当然である。
【0048】
図3は、上記実施形態に係るクッションを自転車のチャイルドシートに装備した状態の説明図である。
この図に示したチャイルドシート30は、自転車の後部荷台に取り付けたものであって、中央部の座席部31は、硬質の合成樹脂製のもので、使用する幼児の腰部を収容できる大きさを有して、座面と背凭れ面と両側面から形成されている。
【0049】
この座席部31の前方には取手部32が設けられ、前記座席部31の前方の両側部からは下方に延長する足乗せ部33が設けられ、前記座席部31の背凭れ面の上端中央部からはヘッドレスト35が上下摺動自在に設けられている。
座席部31の座面と背凭れ面との境界部分には腰部シートベルト36、36が設けられ、背凭れ面の上端部からは肩部シートベルト37、37が設けられ、座席部31の前方から上方に延長する股部保持部38の端部に設けられたバックル39で相互に連結される5点支持のシートベルトが設けられている(シートベルト36、37の中間部から先端部分は図示省略している。)。
【0050】
本発明に係るクッション10は、図示した通り、座席部31に載置・装備されるのであるが、この際に、腰部シートベルト36、36は、クッション10の背面部12の下端両側に設けられた切欠部15、15(左側のものは図に現れていない。)の部分を挿通して表側に導出させることができる。
【0051】
この際に、前記腰部シートベルト36、36が座席部31の背面側にあるときは、図示した通り、クッション10の背面部12を座席部31の背凭れ面側に配置して装備する。
他方、前記シートベルト36、36が座席部31の座面側にあるときは、切欠部15、15が設けられた背面部12を座席部31の座面の側に配置して、つまり、逆にして載置・装備するのである。
【0052】
この
図3の状態で、クッション10は、境界線部分13で、表地11fと表地12fが相互に当接して、座面載置部11と背面部12とが平面状態になる方向に、つまり相互に拡開する方向に作用する(座面載置部11と背面部12の表面同士が離反する方向に作用する)ためと、座面載置部11は座席部31の背凭れ面と股部保持部38との間に嵌り込むため、極めて良好に本発明に係るクッション10がチャイルドシートの座席部31に装備・装着されるのである。
【0053】
また、座席部31の座面と背凭れ面にはゴム製クッション材が設けられているが、クッション10の裏地は、上記した通りナイロン生地にて形成されている関係上、クッション10の裏面が劣化する恐れも防止できるのである。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、以下の通り種々設計変更が可能である。
本発明に係るクッションは、座面載置部と背面部とからなり、両者の境界線部分で折曲自在に形成されたものであり、座面載置部と背面部の厚みを適宜厚く形成したものである。
これら座面載置部及び背面部の平面視形状は、適宜設計することができるが、チャイルドシートの座面の形状に適合するように形成すればよいものである。
【0055】
上記実施形態では、上記境界線部分と外周の周縁部は、表地及び裏地の当該部分を高周波溶着して形成しているが、その製造法に関しても自由に変更して行うことができる。
その表地の素材としては、PVCを用いたが、その他に、PVCとナイロン生地との接合素材、PVCとポリエステル生地の接合素材、或いは、PPE(ポリフェニレンエーテル)とナイロン生地の接合素材等々を用いることができる。
【0056】
要するに、表地としては、柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂製生地を用いるのが最適であるが、或いは、当該合成樹脂製生地と合成繊維製生地との接合生地を用いてもよいものである。
合成繊維製生地との接合生地を用いる場合には、裏地よりも柔軟性及び伸縮性の高いものを使用することが望ましい。
【0057】
他方、上記実施形態において裏地としては、PVCとナイロン生地との接合生地を使用したが、これ以外に、PVCとポリエステル生地との接合生地、PPEとナイロン生地との接合生地、更にはPVCのみ等々を用いることもできる。
即ち、合成樹脂製生地と合成繊維製生地との接合生地を用い、合成繊維製生地を裏面外側に配置して形成することが最適なものとなる。
【0058】
内部に配設する芯材の素材、クッション材の素材も適宜必要に応じて選択して使用することができ、上記実施形態のように、2種類の反発力の異なるクッション材を重ね合わせて内装してもよいし、その厚みも自由に設定することができる。
芯材も、可撓性を有する板状素材であればよく、その素材としては紙製又は合成樹脂製のものを使用することができる。
【0059】
尚、本発明に係るクッションにおいては、その座面載置部及び背面部は、基本的に同じ形状を有し、一方の側の境界線部分の両端部に切欠部を設けたものから成るが、座面載置部と背面部とは便宜的に名称を付与しているが、これを反対に設けても同じものとなる。
即ち、座面載置部をチャイルドシートの背凭れ面に、背面部をチャイルドシートの座面に載置・装備することもできるものである。
【0060】
以上、本発明においては、クッションの境界線部分の両端部に切欠部を設けて各種タイプのチャイルドシートのシートベルトを挿通させることができ、チャイルドシートに極めて簡単に良好に載置・装備することができ、その背面部が前に倒れ込むことのないクッションを提供することができた。