特許第6383525号(P6383525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383525パターン形成方法、感光性熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルム及びフレキシブルプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383525
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】パターン形成方法、感光性熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルム及びフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20180820BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20180820BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20180820BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   G03F7/004 512
   H05K1/03 610N
   H05K1/03 670Z
   H05K3/28 F
   H05K3/28 D
   C08G73/10
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-107518(P2013-107518)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-228663(P2014-228663A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】310024066
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100161458
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 淳郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】宮部 英和
(72)【発明者】
【氏名】林 亮
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕
(72)【発明者】
【氏名】小池 直之
【審査官】 塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/007635(WO,A1)
【文献】 特開2010−191348(JP,A)
【文献】 特開2009−230076(JP,A)
【文献】 特開2011−242531(JP,A)
【文献】 特開2010−032743(JP,A)
【文献】 特開2011−197142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004 − 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂、光塩基発生剤、及び熱反応性化合物を含み、光重合性モノマーを含まない感光性熱硬化性樹脂組成物を用いるフレキシブルプリント配線板の絶縁膜のパターン形成方法であって、
前記イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂が、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物とジアミンや多価アミン及び/又はイソシアネート成分との反応物からなり、
前記熱反応性化合物が、前記アルカリ溶解性樹脂のアルカリ溶解性基と熱硬化反応が可能な官能基を有するものであり、
光照射にて前記光塩基発生剤を活性化して、この光照射部で発生した塩基性物質を触媒とし、加熱により前記アルカリ溶解性樹脂と前記熱反応性化合物を付加反応させて光照射部を硬化させた後、アルカリ現像により未照射部を除去することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方の絶縁膜の形成に用いられる請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
フレキシブルプリント配線板のカバーレイおよびソルダーレジストのうちの少なくともいずれか一方を形成するために用いられる請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法に用いられる、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂、光塩基発生剤、及び熱反応性化合物を含み、光重合性モノマーを含まない組成物であって、前記イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂が、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物とジアミンや多価アミン及び/又はイソシアネート成分との反応物からなり、前記熱反応性化合物が、前記アルカリ溶解性樹脂のアルカリ溶解性基と熱硬化反応が可能な官能基を有するものであることを特徴とする感光性熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
【請求項6】
請求項4に記載の感光性熱硬化性樹脂組成物、又は、請求項5に記載のドライフィルムの樹脂層からなる硬化物を有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルム及びフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末の普及による電子機器の小型薄型により、回路基板の小スペース化が必要となってきている。そのため、折り曲げて収納できるフレキシブルプリント配線板の用途が拡大し、かかるフレキシブルプリント配線板に対する信頼性もこれまで以上に高いものが求められている。
【0003】
これに対し現在、フレキシブルプリント配線板の絶縁信頼性を確保するための絶縁膜として、折り曲げ部(屈曲部)には、耐熱性および屈曲性などの機械的特性に優れたポリイミドをベースとしたカバーレイが用いられ(例えば、特許文献1参照)、実装部(非屈曲部)には、電気絶縁性やはんだ耐熱性などに優れ微細加工が可能な感光性樹脂組成物を用いた(例えば、特許文献2参照)、混載プロセスが広く採用されている。
【0004】
すなわち、耐熱性および屈曲性などの機械的特性に優れるポリイミドをベースとしたカバーレイでは、金型打ち抜きによる加工を必要とするため、微細配線には不向きである。そのため、微細配線が必要となるチップ実装部には、フォトリソグラフィーによる加工ができるアルカリ現像型の感光性樹脂組成物(ソルダーレジスト)を部分的に併用する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−263692号公報
【特許文献2】特開昭63−110224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、フレキシブルプリント配線板の製造工程では、カバーレイを貼り合わせる工程とソルダーレジストを形成する工程の混載プロセスを採用せざるを得なく、コストと作業性に劣るという問題があった。
【0007】
このような混載プロセスに対し、従来、ソルダーレジストとしての絶縁膜をフレキシブルプリント配線板のカバーレイとして適用する提案がなされている。しかしながら、かかるソルダーレジスト用の樹脂組成物では、カバーレイとしての耐衝撃性や屈曲性などの信頼性が不十分であり、折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)の一括形成プロセスの実用化には至っていない。また、ソルダーレジスト用の樹脂組成物では、アクリル系の光重合による硬化収縮も伴うため、フレキシブル配線板の反りなど寸法安定性にも課題があった。
【0008】
これに対し、アルカリ溶解性と機械特性が両立できる感光性ポリイミドとして従来、ポリイミド前駆体を利用し、パターニングした後に熱閉環する方法も提案されている。しかしながら、高温処理を必要とするなど配線板製造の作業性には課題が残り、依然として実用化には至っていない。また、カバーレイとしての絶縁膜をフレキシブルプリント配線板のソルダーレジストとして適用することも考えられるが、かかるカバーレイ用のフィルムでは、パターン形成に煩雑な工程を必要とし、またパンチングによる孔空けなどの加工精度が低いことや熱圧着時の樹脂の滲み出しにより、微細パターンの形成に対応しにくいという問題があった。
【0009】
そこで本発明の目的は、耐衝撃性や屈曲性などの信頼性と加工精度に優れ、かつ作業性に優れたフレキシブルプリント配線板用の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)の一括形成プロセスに適したフレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。さらに、本発明の目的は、その感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有するドライフィルム、その硬化物を保護膜、例えば、カバーレイまたはソルダーレジストとして有する、耐衝撃性や屈曲性などの信頼性に優れるフレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、以下の内容を要旨とする本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のフレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物は、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂、光塩基発生剤、及び熱反応性化合物を含むことを特徴とするものである。
ここで、本発明のフレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方に用いられることが好ましく、フレキシブルプリント配線板のカバーレイおよびソルダーレジストのうちの少なくともいずれか一方を形成するために用いられることが好ましい。
【0011】
本発明のドライフィルムは、上記フレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有することが好ましい。
【0012】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上述のフレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物、又は、上述のドライフィルムの樹脂層からなる硬化物を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐衝撃性や屈曲性などの信頼性と加工精度に優れ、かつ作業性に優れたフレキシブルプリント配線板用の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)の一括形成プロセスに適したフレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。
さらに、本発明によれば、フレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有するドライフィルム、その硬化物を保護膜、例えば、カバーレイまたはソルダーレジストとして有する、耐衝撃性や屈曲性などの信頼性に優れるフレキシブルプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のフレキシブルプリント配線板用の感光性熱硬化性樹脂組成物(以下、感光性熱硬化性樹脂組成物と略記する場合がある。)は、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂、光塩基発生剤、及び、熱反応性化合物を含むことを特徴とするものである。
本発明では、(1)イミド環が分子中に存在するアルカリ溶解性樹脂を用いること、(2)光塩基発生剤によってアルカリ溶解性樹脂と熱硬化性化合物を付加反応させることにより、加工精度に優れ、耐衝撃性及び耐屈曲性に優れた絶縁膜、特にカバーレイ及びソルダーレジストを一括して形成することができる。また、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物により、低そり性と耐熱性にも優れるカバーレイ及びソルダーレジストを得ることができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物の使用対象であるフレキシブルプリント配線板は、フレキシブル基材上に銅回路が形成されたものである。
感光性熱硬化性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線板の屈曲部及び非屈曲部のうちのいずれか一方に使用されればよいが、屈曲部と非屈曲部の両方に使用されることが好ましい。屈曲部とは、繰り返し折り曲げされ、屈曲性が要求される部分であり、非屈曲部とは、チップ実装部などの折り曲げされない部分である。
【0017】
[イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂]
本発明において、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、カルボキシル基や酸無水物基などのアルカリ溶解性基とイミド環を有するものである。このアルカリ溶解性樹脂へのイミド環の導入には公知慣用の手法を用いることができる。例えば、カルボン酸無水物成分とアミン成分及び/又はイソシアネート成分とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。イミド化は熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して製造することができる。
【0018】
ここで、カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0019】
テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’”,4,4’”−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3””,4,4””−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタンニ無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)などが挙げられる。
【0020】
トリカルボン酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物や核水添トリメリット酸無水物などが挙げられる。
【0021】
アミン成分としては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどのジアミン、脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミンを用いることができるが、これらのアミンに限定されるものではない。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0022】
ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン(PPD)、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミン、2,5−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸などのベンゼン核1つのジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン(o−トリジン)、2,2’−ジメチルベンジジン(m−トリジン)、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのベンゼン核2つのジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−(4−フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ(4−フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンなどのベンゼン核3つのジアミン、3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン核4つのジアミンなどの芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミンが挙げられ、脂肪族ポリエーテルアミンとしては、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコール系の多価アミン等が挙げられる。
【0023】
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート及びその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類及びその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
ジイソシアネートとして、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート及びその異性体、多量体、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシシレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、あるいは前記芳香族ジイソシアネートを水添した脂環式ジイソシアネート類及び異性体、もしくはその他汎用のジイソシアネート類が挙げられる。
【0024】
以上説明したようなイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂はアミド結合を有していてもよい。これはイソシアネートとカルボン酸を反応させて得られるアミド結合であってもよく、それ以外の反応によるものでもよい。さらにその他の付加および縮合からなる結合を有していてもよい。
【0025】
また、このアルカリ溶解性樹脂へのイミド環の導入には、公知慣用のカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有するアルカリ溶解性ポリマー、オリゴマー、モノマーを用いてもよく、例えばこれらの公知慣用のアルカリ溶解性樹脂類を単独でもしくは上記のカルボン酸無水物成分と組み合わせて、上記のアミン/イソシアネート類と反応させて得られる樹脂であってもよい。
【0026】
このようなアルカリ溶解性基とイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂の合成においては、公知慣用の有機溶剤を用いることができる。かかる有機溶媒としては、原料であるカルボン酸無水物類、アミン類、イソシアネート類と反応せず、かつこれら原料が溶解する溶媒であれば問題はなく、特にその構造は限定されない。具体的に例示すると、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、カプロラクタム等のラクタム溶媒、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノ−ル、4−クロロフェノ−ル、4−メトキシフェノール、2,6−ジメチルフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレアなどが挙げられる。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども添加して使用することができる。なかでも原料の溶解性が高いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒が好ましい。
【0027】
以上説明したようなカルボキシル基又は酸無水物基などのアルカリ溶解性基とイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、フォトリソグラフィー工程に対応するために、その酸価が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好適には60〜150mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が20mgKOH/g以上の場合、アルカリに対する溶解性が増加し、現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。また、この酸価が200mgKOH/g以下の場合には、後述する光照射後のPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。
【0028】
また、このアルカリ溶解性樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量1,000〜100,000が好ましく、さらに2,000〜50,000がより好ましい。
この分子量が1,000以上の場合、露光・PEB後に十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。また、分子量が100,000以下の場合、アルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。
【0029】
(光塩基発生剤)
本発明において光塩基発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、後述する熱反応性化合物の重合反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質として、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
光塩基発生剤として、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。なかでも、オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン化合物が好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
【0030】
その他の光塩基発生剤として、WPBG-018(商品名:9-anthrylmethylN,N’-diethylcarbamate),WPBG-027(商品名:(E)-1-[3-(2-hydroxyphenyl)-2-propenoyl]piperidine),WPBG-082(商品名:guanidinium2-(3-benzoylphenyl)propionate), WPBG-140 (商品名:1-(anthraquinon-2-yl)ethyl imidazolecarboxylate)等を使用することもできる。
【0031】
α―アミノアセトフェノン化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こり、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成する。α−アミノアセトフェノン化合物の具体例としては、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、商品名、BASFジャパン社製)や4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907、商品名、BASFジャパン社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379、商品名、BASFジャパン社製)などの市販の化合物またはその溶液を用いることができる。
【0032】
オキシムエステル化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物であればいずれをも使用することができる。かかるオキシムエステル化合物としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、アデカ社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、特許第4344400号公報に記載された、分子内に2個のオキシムエステル基を有する化合物も好適に用いることができる。
【0033】
その他、特開2004−359639号公報、特開2005−097141号公報、特開2005−220097号公報、特開2006−160634号公報、特開2008−094770号公報、特表2008−509967号公報、特表2009−040762号公報、特開2011−80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
【0034】
このような光塩基発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱硬化性樹脂組成物中の光塩基発生剤の配合量は、好ましくは熱反応性化合物100質量部に対して0.1〜40質量部であり、さらに好ましくは、0.1〜30質量部である。0.1質量部以上の場合、光照射部/未照射部の耐現像性のコントラストを良好に得ることができる。また、40質量部以下の場合、硬化物特性が向上する。
【0035】
(熱反応性化合物)
本発明において熱反応性化合物は、熱によって、アルカリ溶解性樹脂のアルカリ溶解性基と硬化反応が可能な官能基を有するものである。熱反応性化合物としては、例えば、環状(チオ)エーテル基を有する化合物が好ましく、エポキシ樹脂、多官能オキセタン化合物等が挙げられる。
【0036】
上記エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ化合物であってもよい。
【0037】
多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0038】
その他の液状2官能性エポキシ樹脂としては、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
なお、熱反応性化合物として、マレイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の化合物を配合してもよい。
【0040】
上記熱反応性化合物の配合量としては、アルカリ溶解性樹脂との当量比(カルボキシル基などのアルカリ溶解性基:エポキシ基などの熱反応性基)が1:0.1〜1:10であることが好ましい。このような配合比の範囲とすることにより、現像が良好となり、容易に微細パターンを形成できる。上記当量比は、1:0.2〜1:5であることがさらに好ましい。
【0041】
(高分子樹脂)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化物の可撓性、指触乾燥性の向上を目的に慣用公知の高分子樹脂を配合することができる。高分子樹脂としてはセルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂系ポリマー、ポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系バインダーポリマー、ブロック共重合体、エラストマー等が挙げられる。上記高分子樹脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0042】
(無機充填剤)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、無機充填剤を配合することができる。無機充填剤は、感光性熱硬化性樹脂組成物の硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させるために使用される。無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、無定形シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ノイブルグシリシャスアース等が挙げられる。上記無機充填剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0043】
(着色剤)
さらに、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄、白、黒などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。
【0044】
(有機溶剤)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、樹脂組成物の調製のためや、基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために、有機溶剤を使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0045】
(その他の任意成分)
本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、光重合性モノマー、メルカプト化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、上記の感光性熱硬化性樹脂組成物には、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
なお、光重合性モノマーの配合量は、アルカリ溶解性樹脂100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、0質量部である(含まない)ことが最も好ましい。
【0046】
〔ドライフィルム〕
本発明のドライフィルムは、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有する。
ドライフィルム化に際しては、例えば、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター等の公知の手法でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥し、キャリアフィルム上に樹脂層を形成する。
【0047】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。 キャリアフィルム上に樹脂層を形成した後、さらに、樹脂層の表面に剥離可能なカバーフィルムを積層してもよい。
【0048】
〔フレキシブルプリント配線板及びその製造方法〕
本発明のフレキシブルプリント配線板は、感光性熱硬化性樹脂組成物、又は、ドライフィルムの樹脂層からなる硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、フレキシブルプリント配線板上に感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する工程、パターン状に光を樹脂層に照射する工程、樹脂層を加熱する工程、及び、樹脂層をアルカリ現像して、カバーレイ及びソルダーレジストのうちの少なくともいずれか一方を形成する工程を含む。
【0049】
[樹脂層形成工程]
この工程では、フレキシブルプリント配線板上に感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を少なくとも一層形成する。
樹脂層の形成方法としては、塗布法と、ラミネート法が挙げられる。
塗布法の場合、スクリーン印刷等の方法により、感光性熱硬化性樹脂組成物をフレキシブルプリント配線板上に塗布し、乾燥することにより樹脂層を形成する。
ラミネート法の場合、まずは、感光性熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して樹脂層を有するドライフィルムを作成する。次に、ラミネーター等により樹脂層が、フレキシブルプリント配線板と接触するように貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥離する。
【0050】
また、樹脂層とフレキシブルプリント配線板の間には、他の層を介在させることができる。他の層は、アルカリ現像型感光性樹脂組成物からなることが好ましい。アルカリ現像型感光性樹脂組成物としては、公知の組成物を使用することができ、例えば、カバーレイ用又はソルダーレジスト用の公知の組成物を使用できる。このように他の層を含めた積層構造とすることにより、さらに耐衝撃性と屈曲性に優れた硬化物を得ることができる。
【0051】
[光照射工程]
この工程は、ネガ型のパターン状に光照射にて樹脂層に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化する。この工程では、光照射部で発生した塩基により、光塩基発生剤が不安定化し、塩基が化学的に増殖することにより、樹脂層の深部まで十分硬化できる。
【0052】
光照射機としては、直接描画装置、メタルハライドランプを搭載した光照射機などを用いることができる。パターン状の光照射用のマスクは、ネガ型のマスクである。
光照射に用いる活性エネルギー線としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるレーザー光又は散乱光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率よく光塩基発生剤を活性化させることができる。この範囲のレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーのいずれでもよい。また、その光照射量は膜厚等によって異なるが、一般には100〜1500mJ/cmとすることができる。
【0053】
[加熱工程]
この工程は、光照射後、樹脂層を加熱することにより光照射部を硬化する。この工程により、光照射工程で発生した塩基により深部まで硬化できる。加熱温度は、例えば、80〜140℃である。加熱時間は、例えば、10〜100分である。
本発明における感光性熱硬化性樹脂組成物の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシ樹脂の開環反応であるため、光ラジカル反応で硬化が進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。
【0054】
[現像工程]
現像工程は、アルカリ現像により、未照射部を除去して、ネガ型のパターン状の絶縁膜、特に、カバーレイ及びソルダーレジストを形成する。
現像方法としては、ディッピング等の公知の方法によることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液またはこれらの混合液を用いることができる。
なお、現像工程の後に、さらに、絶縁膜を光照射してもよい。また、例えば、150℃以上で加熱してもよい。
【0055】
次に、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物から本発明のフレキシブルプリント配線板を製造する方法の一例を図1の工程図に基づき説明する。なお、図1では、樹脂層が積層構造である場合を示すが、1層のみからなる場合でもよい。
【0056】
図1の積層工程は、樹脂層3と樹脂層4からなる積層構造体を、銅回路2が形成されたフレキシブルプリント配線基材1に形成する。
樹脂層3は、カルボキシル基含有樹脂などを含むアルカリ現像型の感光性樹脂組成物からなる。
樹脂層4は、樹脂層3上に形成され、1分子中に1個以上のイミド環と1個以上のカルボキシル基とを有するアルカリ溶解性樹脂、光塩基発生剤、及び熱反応性化合物を含む感光性熱硬化樹脂組成物からなる。
【0057】
図1の光照射工程は、樹脂層4上にマスク5を配置し、ネガ型のパターン状に光照射することにより、感光性熱硬化性樹脂組成物に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化する工程である。図1の加熱工程は、光照射工程の後、樹脂層を加熱することにより、光照射部を硬化する工程である。図1の現像工程は、アルカリ性水溶液によって現像することにより、未照射部が除去され、ネガ型のパターン層を形成する工程である。
【0058】
なお、図1の第2光照射工程は、必要に応じて、残った光塩基発生剤を活性化して塩基を発生させるための工程であり、熱硬化工程は、必要に応じて、パターン層を十分に熱硬化させるための工程である。
【実施例】
【0059】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。
【0060】
(実施例1〜4、比較例1)
<イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂の合成例>
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を12.5g、2,2’−ビス[4―(4―アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを8.2g、NMPを30g、γ−ブチロラクトンを30g、4,4’オキシジフタル酸無水物を27.9g、トリメリット酸無水物を3.8g加え、窒素雰囲気下、室温、100rpmで4時間撹拌した。次いでトルエンを20g加え、シリコン浴温度180℃、150rpmでトルエン及び水を留去しながら4時間撹拌してイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂溶液を得た。
【0061】
<感光性熱硬化性樹脂組成物の調製>
下記表1記載の配合に従って、実施例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、感光性熱硬化性樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り、質量部である。
【0062】
<下層の形成工程>
銅厚18μmで回路が形成されているフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前記前処理を行ったフレキシブルプリント配線板に、実施例1、2及び比較例1の感光性熱硬化性樹脂組成物を夫々表1に示すコーティング方法にて乾燥後で20μmになるようにコーティングを行った。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、下層を形成した。なお、実施例3,4では、下層の形成は行わなかった。
【0063】
<樹脂層の形成工程>
上記下層に実施例1及び2の感光性熱硬化性樹脂組成物を表1に示すコーティング方法にて乾燥後で10μmになるようにコーティングを行った。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂層を形成した。また、実施例3,4では上記表面処理後のフレキシブルプリント配線板に、実施例1と同様に樹脂層を形成した。なお、比較例1では、樹脂層の形成は行わなかった。
【0064】
<現像性(パターニング)、硬化特性評価>
実施例1,2では、上記で得られた下層と樹脂層を備えるフレキシブルプリント配線板に対して、ORC社HMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)にて表1に示す露光量でネガ型のパターン状に光照射した。次いで90℃で60分間加熱処理を行った。その後、30℃の、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液中に基材を浸漬して3分間現像を行い、現像性の可否を評価した。実施例3,4では、上記で得られた樹脂層を備えるフレキシブルプリント配線板に対して、実施例1と同様に、現像性の可否を評価した。比較例1では、上記で得られた下層を備えるフレキシブルプリント配線板に対して、実施例1と同様に、現像性の可否を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0065】
次いで熱風循環式乾燥炉を用いて150℃/60分間熱処理を行い、パターン状の硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜に対し、MIT試験(R=0.38mm/宇部興産(株)製ユーピレックス12.5μmの基材使用)及び表面硬度試験(鉛筆硬度試験)を実施し、屈曲性及び表面硬度(耐衝撃性)を評価した。得られた結果を下記の表1に示す。
【0066】
【表1】
*1酸価86mgKOH/g Mw:10000
*2ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量:380)(三菱化学(株)製)
*3オキシム型光重合開始剤(BASF社製)
*4ビスフェノールF型エポキシアクリレート(日本化薬(株)製)
*5トリメチロールプロパンEO 変性トリアクリレート(東亞合成(株)製)
*6ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量:900)(三菱化学(株)製)
*7ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量:500)(三菱化学(株)製)
*8アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤 (BASF社製)
【0067】
表1に示す評価結果から、実施例1〜4のフレキシブルプリント配線板は、比較例1のフレキシブルプリント配線板と同様に微細なパターン形成が可能で、屈曲性及び耐衝撃性(表面硬度)については大幅に優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0068】
1 フレキシブルプリント配線基材
2 銅回路
3 樹脂層
4 樹脂層
5 マスク
図1