(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本開示のさまざまな実施形態を示すために示すこれらの図面を参照すると、
図1には、航空機102または飛行機として構成された航空体100の上面図が示されている。航空機102は、チューブアンドウイング(tube−and−wing)型の航空機102または飛行機として示されており、航空機102は、航空機の構成要素114が、航空機102の前後軸106に関する左右対称構成130で配置されたベースライン構成132で示されている。航空機102は、ボディ104の前後軸106が、到来空気流ストリーム110の方向に対応する航空機102の前進飛行方向112に対して概ね平行な方向を向くような態様で配置されることがある。
【0018】
航空機102のボディ104は、胴体前端部172から胴体後端部174まで延びる胴体170を含むことがある。胴体後端部174は尾翼260を含むことがある。尾翼260は、1つもしくは複数の安定板268および/または1つもしくは複数の操縦翼面などの1つもしくは複数の尾翼面を含むことがある。例えば、尾翼260は、水平安定板268、1つまたは複数の垂直安定板262、ならびに航空機102の方向制御用の昇降舵(図示せず)および/または方向舵(図示せず)などの1つまたは複数の操縦翼面272を含むことがある。
図1の航空機102のベースライン構成132では、安定板268が、水平安定板268が同じステーション位置に配置され、互いに前後方向に概ね整列した左右対称構成130で配置されている。
【0019】
図1では、航空機102がさらに、ボディ104または胴体170から外側へ延びることがある1つまたは複数の突き出た空力面190を含むことがある。例えば、航空機102は、胴体170の両側に取り付けられていることがある一対の翼192を含むことがある。胴体170のそれぞれの側の翼192は、互いに実質的に同様に構成されていることがある。例えば、胴体170のそれぞれの側の翼192は一般に、同じ大きさ、形状、輪郭、翼形、翼幅、テーパ比、スイープ角(例えば前進角または後退角)および上反角または下反角を有する。後退翼/テーパ翼構成で示されているが、翼192は、スイープのない構成または前進翼構成で提供されることもある。さらに、翼192は、翼形(図示せず)または翼弦がそれぞれの翼192の半幅(semi−span)に沿って概ね一定である非テーパ翼構成で提供されることもある。
【0020】
本明細書に開示されたシステムおよび方法の実施形態では、翼192を高アスペクト比翼192として提供することができる。例えば、高アスペクト比翼192の翼幅(図示せず)と平均翼弦(図示せず)のアスペクト比は少なくとも2である。
図1および2に示した商業旅客機と同様の商業旅客機の一実施形態では、約2から10またはそれ以上のアスペクト比を有する高アスペクト比翼192が提供される。翼192はそれぞれ、翼付け根198、翼端202、前縁204および後縁206を有することがある。翼付け根198は、前縁204の最も前方の点と後縁206の最も後方の点の間に延びる付け根翼弦200を有する。本開示では、翼付け根198が、翼192と胴体170の交線に画定される。
図1の航空機102のベースライン構成132では、翼192が、翼192が同じステーション位置に配置された左右対称構成130で配置されている。
【0021】
図1では、航空機102がさらに、1つまたは複数の推進ユニット230を含むことがある。航空機102は、胴体170の両側の翼192に取り付けられた一対の推進ユニット230を有する双発配置で示されている。推進ユニット230は、胴体170の両側のほぼ同じ横方向位置に配置されることがある。一実施形態では、航空体100(すなわち航空機102)が、ボディ104の両側に同じ数のエンジンナセル232または推進ユニット230を含む。一対の推進ユニット230のそれぞれの推進ユニット230は、胴体170の両側の同じ横方向位置に配置されることがある。この点に関して、一対の推進ユニット230のそれぞれの推進ユニット230は、胴体170の両側の胴体170からほぼ同じ距離のところに取り付けられることがある。図示されていない一実施形態では、航空機102に、奇数個の推進ユニット230またはエンジンナセル232が含まれる。さらに、推進ユニット230は、翼192、胴体170および/または航空機102に含めることができる他の構造体(図示せず)の任意の位置に取り付けられることがあり、それにより、推進ユニット230は、
図1に示した位置に取り付けられることだけに限定されない。胴体170のそれぞれの側の推進ユニット230は一般に同様の構成を有するが、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、異なる推進ユニット構成を有する航空機102に対して使用することができる。
【0022】
図1では、推進ユニット230がそれぞれ、胴体(図示せず)と一体化されていることがあるエンジンナセル(図示せず)または推進ユニット(図示せず)から区別されるように、翼に取り付けられているように示されたエンジンナセル232または推進ユニット230を含むことがある。本明細書に開示されたどの実施形態でも、エンジンナセルは、胴体から外側へ延びるパイロンまたはマウントによって胴体に取り付ける(図示せず)ことができる。本明細書に開示された実施形態では、胴体170のそれぞれの側のエンジンナセル232が、実質的に同様のナセル直径、長さおよび構成を有することができる。
【0023】
それぞれのエンジンナセル232は一般に、推進ユニット230の外側幾何形状を画定する。さらに、エンジンナセル232はそれぞれエンジン入口238を有し、本開示では、エンジン入口238が、エンジンナセル232の最も前方の点および/またはエンジンナセル232の前面として画定される。本開示では、エンジンナセル232が、エンジン入口からエンジンノズル240まで延び、本開示では、エンジンノズル240が、エンジンナセル232の最も後方の点および/もしくはエンジンナセル232の後端部または推進ユニット230の最も後方の点として画定される。
図1の航空機102のベースライン構成132では、翼に取り付けられたエンジンナセル232が、エンジン入口238およびエンジンノズル240が一般に同じステーション位置に配置された左右対称構成130で配置されている。
【0024】
本開示の推進ユニット230は、エンジンナセル232を有するタービンエンジンの文脈で図示され説明されるが、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、ターボプロップエンジンまたは他のプロペラ駆動のエンジンを有する航空機102に対して使用することができ、さらに、ピストンエンジンまたは限定されない他の任意のタイプの推進ユニットを含むことができる。さらに、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、
図1に示されたチューブアンドウイング型の航空機102以外の航空機平面形を対象とすることができる。例えば、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、ブレンデッドウイング航空機(blended wing aircraft)、または遷音速飛行レジームで、遷音速飛行レジーム付近でもしくは遷音速飛行レジームよりも高速で飛行する任意のタイプの航空体100もしくは航空体/宇宙航空体を対象とすることができる。
【0025】
図1Aを参照すると、
図1に示された前方ステーション位置134で胴体170を横切る切断面140に沿って描かれた、航空機102のベースライン構成132の局所的な前後方向の断面積176の断面図が示されている。
図1Aの胴体断面積176は、到来空気流ストリーム110(
図1)を押しのける航空機断面積を表す。
【0026】
図1Bを参照すると、航空機102の中間ステーション位置136(
図1)の切断面140に沿って描かれた、航空機102のベースライン構成132の局所的な前後方向の断面積の断面図が示されている。
図1Bの断面積は、胴体170の断面積176および両方のエンジンナセル232の断面積242を含む。この点に関して、
図1Bは、従来のベースライン構成132の航空機102では、到来空気流ストリーム110(
図1)を押しのける断面積が急に増大することを示している。
【0027】
図1Cを参照すると、航空機102の後方ステーション位置138(
図1)の切断面140に沿って描かれた、航空機102のベースライン構成132の局所的な前後方向の断面積の断面図が示されている。
図1Cの断面積は、後方ステーション位置138における胴体170の断面積176、両方のエンジンナセル232の断面積242、および胴体170のそれぞれの側の翼192の断面積208を含む。
図1Cはさらに、中間ステーション位置136と後方ステーション位置138(
図1)の間の比較的に短い距離の間に断面積が急に増大することを示しており、この急な増大は、ベースライン構成132の航空機102が音速に近づいたときの造波抵抗の大幅な増大に対応することがある。
【0028】
図2を参照すると、互いから前後方向にオフセットされたエンジンナセル232を有する左右非対称構成150を有利に有する航空機102の上面図が示されている。
図2では、エンジンナセル232が、胴体170の反対側の後方ナセル236の前方に配置することができる前方ナセル234を含む。この点に関して、
図2のエンジンナセル232は、後述するエンジンオフセット距離だけ互いから前後方向にオフセットすることができる。エンジンナセル232を除き、
図2の航空機102のエンジンオフセット構成152は、翼192、水平安定板268およびその他の構成要素114などの突き出た空力面190に関する航空機102の残りの構成要素114の左右対称性に関して、
図1の航空機102のベースライン構成132と実質的に同様とすることができる。
【0029】
図2では、エンジンナセル232を、所定のオフセット距離244だけオフセットすることができる。図示の実施形態では、前方ナセル234と後方ナセル236が、胴体170の両側の概ね同じ横方向位置に配置されている。しかしながら、前方ナセル234の断面積249(すなわちクロスハッチングされて示された面積)がほぼ一定である少なくとも一部分が、後方ナセル236のエンジン入口238(すなわち前面)と前後方向に概ね整列するような態様で、前方ナセル234を配置することができる。例えば、前方ナセル234の断面積249がほぼ一定である前端部250の位置が後方ナセル236のエンジン入口238と概ね整列し、このことが、その航空機構成に対する最小造波抵抗に対応する最適なオフセット距離244を提供することがある。この点に関して、この航空機の断面積の変化率(例えば増大率または低減率)を左右対称の航空機の断面積の変化率と比較して最小化するオフセット距離244だけ、前方ナセル234と後方ナセル236を前後方向にオフセットすることができる。一実施形態では、前方ナセル234の非オフセット位置(図示せず)または元の対称位置の前方に前方ナセル234が配置される。同様に、後方ナセル236の非オフセット位置(図示せず)または元の対称位置の後方に後方ナセル236を配置することができる。しかしながら、前方ナセル234および後方ナセル236は、それらのナセルの対応するそれぞれの非オフセット位置に対する任意の位置に配置することができる。
【0030】
一実施形態では、物理的に実際的なオフセット距離と同じ程度のオフセット距離244だけエンジンナセル232がオフセットされる。例えば、非オフセット位置(すなわち前後方向に整列した位置)から、一方のエンジンナセル232のエンジン入口238が胴体170の反対側のエンジンナセル232のエンジンノズル240と整列するオフセット距離244までの範囲の任意の量だけ、エンジンナセル232をオフセットすることができる。より大きなエンジンオフセット距離244も可能である。一実施形態では、前方ナセル234の断面積249がほぼ一定である少なくとも一部分が後方ナセル236のエンジン入口と前後方向に概ね整列するように、エンジンナセル232が前後方向にオフセットされる。
図2では、断面積249がほぼ一定である部分がクロスハッチングされて示されており、断面積249がほぼ一定である部分は、エンジンナセル232の最大断面積の領域を含むことができる。この点に関して、エンジンナセル232の断面積249がほぼ一定である部分は、わずかに湾曲した外面(例えば凸面状の外面)を有することができ、必ずしも一定の外径または一定の断面形状だけに限定されない。
【0031】
図2に示された実施形態では、胴体170の一方の側の後方ナセル236のエンジン入口238(例えば前面)のステーション位置を、胴体170の反対側の前方ナセル234の断面積249がほぼ一定である後端部251と前後方向に概ね整列させることができる。図示されていない他の実施形態では、後方ナセル236の断面積249がほぼ一定である後端部251のステーション位置を、前方ナセル234のエンジンノズル240と前後方向に概ね整列させることができる。図示されていない他の実施形態では、胴体170の一方の側の前方ナセル234のエンジンノズル240を、胴体170の反対側の後方ナセル236のエンジン入口238と前後方向に概ね整列させることができる。有利には、断面積249がほぼ一定である前端部250および後端部251の上記の位置が航空機102の最小造波抵抗に対応することがある。
【0032】
図示されていない他の実施形態では、前方ナセル234の断面積が減少する領域が、後方ナセル236の断面積が増大する領域と少なくとも部分的に重なり合うような態様で、エンジンナセル232を前後方向にオフセットすることができる。エンジンナセル232の断面積が減少する領域は、そのナセルの断面積249がほぼ一定である後方に位置する部分を含むことができる。エンジンナセル232の断面積が増大する領域は、そのナセルの断面積249がほぼ一定である前方に位置する部分を含むことができる。胴体の一方の側のナセルの断面積が減少する領域を胴体の反対側のナセルの断面積が増大する領域と重ね合わせることによって、航空機102の断面積の変化率を、左右対称の(オフセットされていない)エンジンナセルを有する航空体と比較して最小化することができる。
【0033】
本明細書に開示されたどの左右非対称実施形態でも、胴体170の両側の一対の構成要素114(例えばエンジンナセル232、翼192、安定板268、操縦翼面272など)に対するオフセット距離を、航空機102の最小造波抵抗に対応する1つまたは複数のオフセット距離を計算する後述する方法によって解析的に決定することができる。あるいは、オフセット距離の量は、実験によって、または解析と実験とを組み合わせることによって決定することができる。
【0034】
図2のエンジンオフセット構成152は、航空機102の造波抵抗の増大を有利に最小化することができるさまざまな左右非対称構成150のうちの1つの構成を表す。本開示では、一対または数対の構成要素114を胴体170の両側にオフセット配置で取り付けることによって、航空体100の造波抵抗を有利に最小化することができる。例えば、後により詳細に説明するように、航空機102の一対の突き出た空力面190を前後方向にオフセットすることによって造波抵抗を最小化することができる。突き出た空力面190は、航空体100または航空機102のボディ104または胴体170から外側へ延びる任意の部材と定義することができる。
【0035】
本開示では、突き出た空力面190が、高アスペクト比翼192、水平安定板268、垂直安定板262、傾斜安定板(canted stabilizer)(図示せず)、先尾翼(図示せず)、操縦翼面272およびその他の突き出た空力面190を含むことができる。安定板は、航空機102または航空体100に方向安定性を提供する空力面と定義することができる。一実施形態では、安定板が、固定されたまたは非可動式の突き出た空力面190を含む。本開示では、突き出た空力面190がさらに、航空機102または航空体100の空力制御用または方向制御用などの操縦翼面272を含むことができ、一般に可動の操縦翼面272を含むことができる。例えば、操縦翼面272は、方向舵、昇降舵、エレボンもしくはラダーベーター(ruddervator)、またはさまざまな可動面のうちの任意の可動面を含むことができる。操縦翼面272は、安定板などの他の部材に1つの縁のところで蝶番式に結合されることがある。しかしながら、操縦翼面272は、航空体100または航空機102に別個の構成要素としてピボット回転可能に取り付けられることもある。例えば、操縦翼面272は、全可動昇降舵、方向舵または他の操縦翼面構成を含むことができる。本開示では、突き出た空力面190が、航空体100または航空機102の表面を通過する到来空気流ストリーム110に対して断面積の変化を提示する任意の部材、構造体、装置または構成要素を含むことができる。
【0036】
図2Aを参照すると、
図2の前方ステーション位置154の切断面140に沿って描かれた、航空機102のエンジンオフセット構成152の局所的な前後方向の断面積の断面図が示されている。
図2の前方ステーション位置154は、
図1の前方ステーション位置134と同じ位置に配置されている。
図2Aの断面積176は
図1Aと同じ断面積176を有する。
【0037】
図2Bを参照すると、航空機102の第1の中間ステーション位置156(
図2)の切断面140に沿って描かれた、エンジンオフセット構成152の局所的な前後方向の断面積の断面図が示されている。
図2Bの断面積は、胴体170の断面積176および一方のエンジンナセル232の断面積242を含む。この点に関して、
図2Bは、エンジンオフセット構成152の断面積の増大が、
図1Bに示されたベースライン構成132の断面積のより急な増大に比べて緩やかであることを示している。
【0038】
図2Cを参照すると、第2の中間ステーション位置157(
図2)の切断面140に沿って描かれた、エンジンオフセット構成152の局所的な前後方向の断面積の断面図が示されている。
図2Cの断面積は、胴体170の断面積176および両方のエンジンナセル232の断面積242を含み、
図1Bに示された
図1の航空機102のベースライン構成132の断面積と同様の大きさを有する。
図2Cはさらに、エンジンオフセット構成152の断面積の増大がベースライン構成132の断面積の急な増大に比べて緩やかであることを示している。
【0039】
図2Dを参照すると、航空機102の後方ステーション位置158(
図2)の切断面140に沿って描かれた、航空機102のエンジンオフセット構成152の局所的な前後方向の断面積の断面図が示されている。
図2の後方ステーション位置158は、
図1の後方ステーション位置138と同じ位置にあり、
図2Dの断面積176は
図1Cと同じ断面積176を有する。
図2Dの断面積は、後方ステーション位置158における胴体170の断面積、両方のエンジンナセル232の断面積242、および翼192の一部分の断面積208を含む。
【0040】
図2A〜2Dは、エンジンナセル232を前後方向にオフセットすることによって達成される、
図1A〜1Dに示されたベースライン構成132の断面積の急な増大に比べて緩やかな断面積の増大を示している。
図2A〜2Dには示されていないが、オフセットされたエンジンナセル232は、前後方向にオフセットされて、前後方向にオフセットされたエンジンナセル232の後端部に空気流ストリーム110が近づくにつれて緩やかに低減する断面積を提供することができる。理解されるように、航空機102の前後軸106に沿って断面積の分布がより緩やかに変化するため、エンジンナセル232を前後方向にオフセットすることによって、造波抵抗を最小化することができる。本明細書に開示されたどの実施形態においても、この断面積の分布の緩やかな変化は、航空体100または航空機102の断面積の緩やかな増大および/または断面積の緩やかな低減を含む。
【0041】
図3を参照すると、
図1のベースライン構成132(すなわち非オフセット構成)および
図2のエンジンオフセット構成152について、前後方向の断面積をステーション位置に対してプロットしたグラフが示されている。ステーション位置は、グラフの左側の前方胴体位置とグラフの右側の後方胴体位置の間のグラフの中間に位置する原点108の位置に対して相対的に示されている。
図3のグラフは、ベースライン構成132の比較的に低忠実度の解析、およびベースライン構成132の解析と同じ解析パラメータを使用したエンジンオフセット構成152の比較的に低忠実度の解析から作成したものである。
【0042】
図3には、ベースライン構成132(すなわち非オフセット構成)の面積分布のプロットが実線として示されている。エンジンオフセット構成152の面積分布のプロットは破線として示されており、ベースライン構成132の実線と重ね合わされている。エンジンオフセット構成152について見ると、プロットの破線は、第1の中間ステーション位置156で断面積の最初の増大を示し、この増大は、前方ナセル234(
図2)からの面積の寄与を表す。見て分かるとおり、エンジンオフセット構成152のこの最初の面積の増大は、ベースライン構成132の断面積の最初の増大よりも前(すなわち到来空気流ストリームに関して前)に起こる。この破線と実線の高さの違いはさらに、エンジンオフセット構成152の最大断面積がベースライン構成132の最大断面積よりも小さいことを示している。
【0043】
図4は、
図3の面積寄与の導関数のプロットを示し、この図は、ベースライン構成132およびエンジンオフセット構成152について、断面積の変化をステーション位置に対して示している。ベースライン構成132の面積分布の変化のプロットは実線として示されている。エンジンオフセット構成152の面積分布の変化のプロットは破線として示されている。
図4の破線は、エンジンオフセット構成152では、前方ナセル234(
図2)からの面積寄与と後方ナセル236(
図2)からの面積寄与の融合が比較的に均一であることを示しており、このことは、面積の最小増大率に有利に対応する。対照的に、
図4のプロットの同じ断面では、実線が、ベースライン構成132(
図1)の前後方向に整列したエンジンナセル232による面積寄与の(すなわち要素130における)急な増大を示している。さらに、実線の負のピークは、ベースライン構成132の前後方向に整列したエンジンナセル232による面積寄与の急な低減を示している。
【0044】
図5は、前後方向にオフセットされた翼192および/または前後方向にオフセットされた水平安定板268を含む前後方向にオフセットされた突き出た空力面190を有する左右非対称構成150の航空機102を示す。本開示では、上で指摘したとおり、突き出た空力面190が、ボディ104に取り付けられかつ/またはボディ104から外側へ延びもしくはボディ104から外側へ突き出た任意の部材を含む。
図5の航空機102は、限定されない任意の翼オフセット距離だけ互いからオフセットすることができる前方翼194および後方翼196を含む。航空機102はさらに、限定されない任意の距離だけ互いからオフセットすることができる安定板を含むことができる。例えば、航空機102は、前方安定板264と後方安定板266など、互いからオフセットすることができる一対の水平安定板268を含むことができる。図示されてはいないが、垂直安定板262または垂直尾翼を、水平安定板268に対して前後方向にオフセットすることもできる。オフセットされた翼192に加えて、左右非対称構成150の航空機102は、胴体の前端部に取り付けられた前後方向にオフセットされた先尾翼面(図示せず)、胴体の後端部に取り付けることができる前後方向にオフセットされたラダーベーター(図示せず)、または互いからオフセットすることができる他の尾翼構成(例えばV形尾翼、U形尾翼、T形尾翼など(図示せず))を含むことができる。前後方向にオフセットされた突き出た空力面190はさらに、ブレンデッドウイング航空機(図示せず)に取り付けることができる操縦翼面(図示せず)を含むことができる。
【0045】
図5では、上で指摘したとおり、前方翼194と後方翼196を任意の距離だけ互いから前後方向にオフセットすることができる。翼を前後方向にオフセットすることによってエンジンナセルも前後方向にオフセットされるように、胴体のそれぞれの側のエンジンナセル232は翼に対して同じ位置に取り付けることができる。しかしながら、この航空機は、前後方向にオフセットされた翼および翼に取り付けられたオフセットされていないエンジンナセル(図示せず)を有するように構成することができる。
図5では、前後方向にオフセットされた翼192は、3以下の比較的に低いアスペクト比を有することがある三角翼(図示せず)航空機に比べて一般に高い10以上のアスペクト比を有することができる。
【0046】
本明細書に開示されたどのオフセット構成でも、一組の構成要素(エンジンナセル232、突き出た空力面190など)の最大オフセット距離は航空体の構成に依存することがある。例えば、無人飛行体(unmanned aerial vehicle)(UAV)の翼オフセット距離は、商業ジェット旅客機の翼オフセット距離よりも短くすることができる。最大オフセット距離は、構造上、空力上および/または製造上の制約または他の制約によって決定されることがある。
図5では、前方翼194が、ほぼ、翼192のうちの一方の付け根翼弦200の長さの翼オフセット距離210だけ後方翼196からオフセットされて示されている。上で指摘したとおり、翼付け根198は、翼192と胴体170の交線の位置に画定されることがある。一実施形態では、翼192が、約1フィートと付け根翼弦200の長さの間のオフセット距離210だけを互いからオフセットされる。しかしながら、胴体170上の荷重伝達経路またはねじり荷重に起因する複雑化または空気力学に関する複雑化を最小化するため、一対のオフセットされた翼192のオフセット距離210を最小化することもできる。
【0047】
水平安定板268も、一方の水平安定板268の付け根翼弦200の長さに制限することができる安定板オフセット距離270だけ、前後方向にオフセットすることができる。しかしながら、上で指摘したとおり、水平安定板268は、限定されない任意の安定板オフセット距離270だけオフセットすることができる。本明細書に開示されたどの実施形態でも、胴体の一方の側の前方構成要素(例えば前方の突き出た空力面)の断面積が減少する領域が胴体の反対側の後方構成要素(例えば後方の突き出た空力面)の断面積が増大する領域と少なくとも部分的に重なり合うように、突き出た空力面190を互いから前後方向にオフセットすることができる。
【0048】
図6は、左右非対称構成150の航空機102の他の実施形態を示す。図示されているように、翼192は、胴体170の両側の同じステーション位置に翼192が配置されるような態様の左右対称とすることができる。航空機102の左右非対称性は、非対称に延長されたエンジンナセル232によって提供することができる。この点に関して、胴体170の一方の側のエンジンナセル232は前方ナセル延長部分246を含むことができる。前方ナセル延長部分246は、エンジンナセル232から前方へ延びまたは突き出ることができる。さらに、胴体170の反対側のエンジンナセル232は後方ナセル延長部分248を含むことができる。後方ナセル延長部分248は、エンジンナセル232から後方へ延びまたは突き出ることができる。航空機は、1つのエンジンナセル232上の前方ナセル延長部分246および/または1つのナセル上の後方ナセル延長部分248を含むことができる。しかしながら、航空機は、1つのエンジンナセル232上に、前方ナセル延長部分246と後方ナセル延長部分248の両方を備えることができる。
【0049】
図示されているように、前方ナセル延長部分246は、延長部分オフセット距離252だけオフセットすることができ、かつ/または後方ナセル延長部分248は、前方ナセル延長部分246の延長部分オフセット距離252とは異なっていてもよい延長部分オフセット距離252だけオフセットすることができる。
図6に示された実施形態は、少なくとも翼192およびエンジンナセル232の対称性に関して左右対称の構成を有する既存の航空機102に対する改造(retrofit)構成を表すことができる。前方ナセル延長部分246および/または後方ナセル延長部分248を追加することによって、既存の航空機102の造波抵抗特性を大幅に向上させることができる。
【0050】
図7Aは、ミサイルボディ282および前後方向に整列したミサイル翼284を有する左右対称構成130の巡航ミサイル280の一実施形態を示す。巡航ミサイル280は、遷音速域で飛行することができ、造波抵抗を最小化する本明細書に開示されたシステムおよび方法から利益を得ることができる、航空体100の代替実施形態を表す。
【0051】
図7Bは、オフセットされたミサイル翼284を有する左右非対称構成150の巡航ミサイル280を示す。ミサイル翼284は、ミサイル翼付け根286の付け根翼弦288の長さまでのミサイル翼オフセット距離290だけオフセットすることができるが、上で指摘したとおり、ミサイル翼286は、限定されない任意のミサイル翼オフセット距離290で提供することができる。有利には、オフセットされたミサイル翼284は、
図7Aに示された対称ミサイル280の構成に比べて穏やかなミサイル280の断面積分布の変化を提供することができる。上記のオフセット構成をロケット(図示せず)または打上げ用ロケットに対して使用することもできる。例えば、ロケットは、造波抵抗を最小化するためにオフセットすることができる安定ひれ(図示せず)を備えることがある。上記の任意のオフセット構成を宇宙航空体を含む他の航空体に対して使用して、大気中を移動している間の波抵抗を最小化することができる。
【0052】
図8Aは、軍用機102構成の一実施形態の上面図である。航空機102は、航空機102に左右対称構成130で取り付けられた、300A、300B、300Cおよび300Dとして識別される、同数の外部ストア300を有する。外部ストア300は、胴体170の両側の翼に2対取り付けられた燃料ポッド302として示されている。しかしながら、外部ストア300は、航空機102に切り離し可能に取り付けることができる任意のタイプのストア構成で提供することができる。例えば、外部ストア300は、限定はされないが、ミサイルおよび/または爆弾などの兵器、監視ポッド、または航空機102に切り離し可能に取り付けることができる他の任意のタイプの外部ストアを含むことができる。外部ストア300は、非対称荷重を最小化し、同時に
図2に示された前述のエンジンオフセット構成152と同様に航空機102の断面積の変化率を最小化するような方式で、航空機102から切り離すことができる。
【0053】
例えば、
図8B〜8Dは、断面積の変化を最小化するように外部ストア300を切り離す順序の一実施形態を示す。
図8Bは、
図8Bの左右非対称構成を効果的に提供するために、外部ストア300B、300Cおよび300Dを切り離す前に外部ストア300Aを切り離すことを示している。
図8Cは、外部ストア300Bおよび300Dを切り離す前に外部ストア300Cを切り離す切り離し順序の次の段階を示す。切り離し順序の
図8Cの段階は、航空機102のそれぞれの側から外部ストア300が等量(図示せず)切り離された配置と比較して、航空機102の断面積の変化率を最小化する配置を表すことがある。
【0054】
図8Dは、外部ストア300Bの前に外部ストア300Dを切り離す切り離し順序の次の段階を示す。外部ストア300Bは、示されてはいないが、外部ストア300のうち最後に切り離される外部ストアである。切り離し順序300A−300C−300D−300Bは、航空機の安定性と造波抵抗の低減に関する制御の問題との間の平衡を提供することができる。しかしながら、航空機102の断面積の変化率を最小化することによって造波抵抗を効果的に減少させることができる他の切り離し順序も可能である。例えば、切り離し可能な外部ストア300を4つ以上有する航空機(図示せず)に対しては、代替切り離し順序を、断面積の変化を最小化するように構成することができる。上記の方式のうちの1つまたは複数の方式で外部ストア300を切り離すことによって造波抵抗を最小化することができ、それによって航続距離を向上させ、かつ/または例えば遷音速域付近もしくは遷音速域で飛行するために対気速度性能を増強することができる。
【0055】
図8Eは、航空機102の断面積の変化率を最小化することができるように航空機102に外部ストア300が互い違いに装着または取り付けられた
図8Aの航空機の一実施形態を示す。外部ストア300A、300B、300Cおよび300Dが左右対称配置で取り付けられた
図8Aに示された配置とは対照的に、
図8Eは、左右オフセット配置または互い違い配置で取り付けられた外部ストアを示す。例えば、
図8Eでは、外部ストア300Aと外部ストア300Dを互いからストアオフセット304だけオフセットすることができる。同様に、外部ストア300Bと外部ストア300Cを互いからストアオフセット304だけオフセットすることができる。外部ストア300A−300Dおよび300B−300Cのオフセットは、航空機102の前後軸に沿った断面積の増大および低減を最小化することができ、それによって造波抵抗を有利に最小化することができる。
【0056】
図9は、航空体100の造波抵抗を最小化する方法400の一実施形態を示す流れ図である。この方法は、航空機102などの航空体100のボディ104を提供するステップ402を含むことができる。上で指摘したとおり、航空体100は、前進飛行方向112に対して概ね平行な方向を向いた前後軸106を有する。航空機102は、
図2に示された商業航空機102、
図8Bに示された軍用機102、
図7Bに示された巡航ミサイル280などのミサイル、または遷音速域もしくは遷音速域付近でまたは高マッハ数で飛行することができるさまざまな代替航空体100構成のうちの任意の1つの構成を含むことができる。
【0057】
図9の方法400のステップ404は、ボディ104の両側の少なくとも一対の構成要素114を前後方向にオフセットすることを含むことができる。しかしながら、本開示は、偶数の(例えば対の)構成要素をオフセットすることだけに限定されない。この点に関して、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、航空機の断面積の変化率を最小化するために、3つ以上の構成要素を互いに対してオフセットするなど、奇数個の構成要素をオフセットすることを含むことができる。上で指摘したとおり、オフセットすることができる構成要素114は、翼192(
図2)、水平安定板268(
図2)、垂直安定板262(
図2)、傾斜安定板(図示せず)、操縦翼面272(
図2)、または航空体100の胴体170もしくはボディ104から外側へ延びる他の任意の突き出た空力面190などの突き出た空力面190(
図2)を含むことができる。
【0058】
構成要素114はさらに、翼に取り付けることができ、前述のとおり胴体170の両側で前後方向にオフセットすることができるエンジンナセル232を含む推進ユニット230を含むことができる。一実施形態では、この方法が、ボディ104の両側に一対の翼192を左右対称(すなわちオフセットせずに)に取り付けること、ならびに
図2および/または上記の実施形態のうちの1つの実施形態に示されているように、一対のエンジンナセル232を前後方向にオフセットすることを含む。示されてはいないが、この方法は、前述のとおり、前方ナセルの断面積が減少する領域を後方ナセルの断面積が増大する領域と重ね合わせることを含むことができる。
【0059】
一実施形態では、航空体100の1つまたは複数の構成要素114に延長部分を追加してオフセット配置を達成することによって、既存の左右対称の航空体100が左右非対称の航空体100に転換される。例えば、
図6に示されているように、既存の航空機102または飛行機を改造して、胴体170の一方の側のエンジンナセル232に前方ナセル延長部分246を追加し、かつ/または胴体170の反対側のエンジンナセル232に後方ナセル延長部分248を追加することによって、左右対称を達成することができる。前述のとおり、前方ナセル延長部分246および/または後方ナセル延長部分248を延長部分オフセット距離252だけオフセットすることができる。理解されるように、既存の航空機102の別の構成要素114に別の延長構成を追加して、左右非対称を達成し、航空機102の前後軸106に沿った断面積の分布を改善することもできる。
【0060】
左右非対称は、左右対称の航空体100(例えば
図8Aの航空機)において、外部ストア300が航空機から切り離す方法によっても達成することができる。例えば、
図8A〜8Dに関して上で指摘したとおり、航空機(
図8B)の断面積の変化を最小化し、航空機の全構成抵抗(total configuration drag)を好ましく最小化することができる順序で外部ストア300を切り離すことによって、左右非対称を効果的に提供することができる。全構成抵抗は、有害抵抗(干渉抵抗を含む)、圧力抵抗および造波抵抗を含むことができる。
図8Eを参照すると、左右非対称は、造波抵抗を最小化することができる航空機102の断面積の変化を最小化する手段として、前述のようにストアオフセット304だけオフセットして外部ストア300を取り付けることによっても提供することができる。
【0061】
図9の方法400のステップ406は、構成要素を前後方向にオフセットしたことに応答して航空体または航空機の断面積の変化率を最小化することを含む。構成要素を前後方向にオフセットすると左右非対称構成が得られる。本明細書に開示されたどの実施形態でも、左右非対称は、全構成抵抗を最小化する方法で実現することができる。全構成抵抗を最小化することは、左右対称構成の造波抵抗に比べて造波抵抗を低減させることを含むことができる。しかしながら、全構成抵抗の最小化が、絶対的な最小値まで低減されていない可能性がある低減した造波抵抗に帰着することもある。
【0062】
造波抵抗を最小化するこの方法は、航空体100のボディ104の両側に取り付けられた一対の構成要素114間の最適オフセット距離を決定する手段として、航空体100の造波抵抗を推定することを含むことができる。この点に関して、最小造波抵抗は、構成要素114間の少なくとも1つの名目上のオフセットに対応する。航空体100の造波抵抗は、所与のマッハ数における航空体100の抵抗係数(drag coefficient)(C
D)によって表すことができる。航空体100の造波抵抗係数は、
図3に示されているように航空体の長さl
vにわたって航空体100の断面積分布S(x)を計算することによって推定することができる。この方法は、この面積分布に基づいて、断面積分布の変化率S’(x)を航空体の長さl
vにわたって計算することを含むことができる。
図4のグラフは、断面積分布の変化率S’(x)を航空体の長さl
vにわたってプロットしたものである。
図3に示されているように、航空体100の前端部と後端部の中間に位置する原点108を中心にして面積分布S(x)をプロットすることができる。下式によって面積分布S(x)をφの関数に変換することができる。
【数1】
【0063】
この方法は次いで、断面積分布S(x)のフーリエ級数展開を下式を使用して計算することを含むことができる。
【数2】
上式で、
【数3】
である。
【0064】
造波抵抗は、造波抵抗係数C
Dに対する以下の関係を使用して推定することができる。
【数4】
上式で、n
maxは、フーリエ級数の収束を与えるフーリエ項の量を表す。造波抵抗を推定する上記の方法は、R.Nelson他、「Some Examples of the Applications of the Transonic and Supersonic Area Rules to the Prediction of Wave Drag」、NASA Technical Note D−446(1960)およびR.Jones、「Theory of Wing−Body Drag at Supersonic Speeds」、NACA Technical Report 1284(1956)に記載されている。
【0065】
この方法はさらに、所与の航空機102構成に対して造波抵抗が最小化される少なくとも1つのオフセット距離が決定されるまで、オフセット距離を繰り返し調整し、その結果として変化した造波抵抗係数を、例えば上記の方法を使用して推定することを含むことができる。この点に関して、
図10のグラフの極小値216によって示されているように造波抵抗が最小化される2つ以上の位置を与えることができるある範囲のオフセット距離内で、エンジンナセル232などの航空機102の構成要素114をオフセットすることができる。
【0066】
図10は、航空機102のいくつかの左右非対称構成150について、造波抵抗係数/最小抵抗の抵抗係数比214を、最大オフセット距離の百分率であるオフセット距離212に対してプロットしたグラフである。これらの構成のそれぞれの構成に対する抵抗係数は、フーリエ項の量n
max=200を使用して計算した。これらの構成は、オフセットされた翼210、オフセットされたエンジン244およびオフセットされたナセル延長部分252を含み、それぞれの構成に対する抵抗係数比214は、最大オフセットの百分率であるオフセット距離212の関数としてプロットされている。航空機102のそれぞれ構成について、
図10は、少なくとも2つのオフセット距離212で極小値216を示す。
図10は、オフセットされた翼210の抵抗係数比214だけを最大オフセットの全長にわたってプロットしているが、オフセットされたエンジン244およびオフセットされたナセル延長部分252に対するプロットもオフセットされた翼210と同様であり、オフセットされた翼210と同様の位置に極小値を有することがある。
【0067】
図10では、それぞれの極小値216が、断面積分布の増大率を最小化するオフセット距離212(例えば百分率)を表す。例えば、エンジンオフセット構成152について言うと、抵抗係数比214の極小値216は、
図2に示されたオフセット配置に対応する最大オフセットの約20パーセントのオフセット距離212のところに出現する。
図10はさらに、前方ナセル234(
図2)の断面積が減少する領域が胴体170の反対側の後方ナセル236(
図2)の断面積が増大する領域と重なり合うエンジンオフセット実施形態(図示せず)に対応する約78パーセントのオフセット距離212とところに、抵抗係数比214の極小値216を示す。
【0068】
図10はさらに、全体に左右対称の航空機102については、前方ナセル延長部分246および/または後方ナセル延長部分248を追加することによって、左右非対称を達成し造波抵抗を低減させる費用効果の高い方法を提供することができることを示している。この点に関して、航空機102の構造荷重をあまり変化させずに既存の航空機102構成を改造することができる。有利には、ナセル延長部分は、既存の航空機102を比較的に小規模な再設計でより高速で飛行するように変更する手段となる。この点に関して、本明細書に開示されたさまざまな実施形態は、胴体の局所直径を変化させることなく、かつ遷音速飛行レジームに適合するように調整された翼形を使用することなしに、航空機102の構成要素114(例えば翼、エンジン、安定板、操縦翼面など)の前後方向の位置を調整して既存の断面積分布を改善する手段を提供する。
【0069】
当業者には、本開示の追加の変更および追加の改良が明らかであろう。したがって、本明細書に記載され図示された部分の特定の組合せは、本開示のある種の実施形態だけを表すことが意図されており、本開示の趣旨および範囲に含まれる代替実施形態または代替装置を限定する役目を果たすことは意図されていない。