(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、棒状包装飯塊8を縦置きしたときに、棒状飯塊7が包装シート1から垂れ落ちることを防止できるようにしたものである。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
本発明の包装シート1は、
図1に示すように、外フィルム2と内フィルム3との間に、シート状食品5を挟んで構成されたシート本体11、棒状飯塊7(
図4参照)の端面72,74を覆う被せフィルム4を熱溶着して構成される。なお、本実施形態においては、シート本体11は、外フィルム2、シート状食品5及び内フィルム3から構成しているが、シート状食品5が不要である場合には、外フィルム2のみとしてもよい。
【0018】
外フィルム2は、
図1に示すように矩形のフィルムを例示できる。外フィルム2は、長手方向に対して直交する幅方向に、外フィルム2を幅方向に沿って分断することのできる分断可能部21が形成されている。分断可能部21として、ミシン目の如き断続的な切条23を形成したもの、外フィルム2の内面(シート状食品5側)にカットテープを貼着や熱溶着したもの、幅方向に容易に切断できる方向性フィルムを用いたものなどを例示することができる。なお、分断可能部21として、ミシン目の如き断続的な切条23を採用する場合、
図1に示すように、切条23から湿気や異物が混入することを防ぐために、切条を覆う細幅のフィルム24を分断可能部21に沿って熱溶着等しておくことが望ましい。
【0019】
シート状食品5は、海苔を例示でき、その他、シート状に形成された昆布やおぼろ昆布、鯣など、薄手の食品であれば特に限定されるものではない。
【0020】
シート状食品5は、後述するとおり、外フィルム2と内フィルム3とを熱溶着35したときに、その熱溶着35よりも内側に配置される大きさに形成される。より具体的には、シート状食品5の幅は、棒状飯塊7の長さと略一致し、その長さは、少なくとも棒状飯塊7を一周する。図示の実施形態では、シート状食品5は10cmの幅である。
【0021】
内フィルム3は、矩形の2枚のフィルム片31,32から構成することができ、外フィルム2の分断可能部21の上で重なるように形成される。なお、内フィルムのフィルム片31,32どうしの重なり部分は単に重なっているだけでもよいし、簡単に剥離するようスポット的に熱溶着を施してもよい。また、内フィルム3は、1枚のフィルムから構成し、外フィルム2の分断可能部21と重なる位置にミシン目の如き断続的な切条を形成し、分断可能となったものであってもよい。なお、ミシン目の如き断続的な切条を採用する場合、切条から湿気や異物が混入することを防ぐために、切条を覆う細幅のフィルムを切条に沿って熱溶着等しておくことが望ましい
【0022】
本実施例では、内フィルム3を構成するフィルム片31,32は、外フィルム2の分断可能部21上で重なり部を有すると共に、重ねた状態でフィルム片31,32は、長さ方向の端縁が外フィルム2の端縁に略一致するよう形成している。
【0023】
被せフィルム4は、
図1乃至
図3に示すように、内フィルム3の側端縁よりも幅方向内側に熱溶着46され、内フィルム3から幅方向にはみ出したはみ出し部42,42を有している。はみ出し部42,42の先端は、折り曲げられて垂れ止め43,43を形成している。垂れ止め43の折り曲げ方向は内外の何れでも構わない。なお、図示では、はみ出し部42,42の両方に垂れ止め43,43を形成しているが、棒状包装飯塊8を縦置きにする向きが決まっている場合には、下側となるはみ出し部42にのみ垂れ止め43を形成すればよい。
【0024】
はみ出し部42,42は、棒状飯塊7を包装したときに、棒状飯塊7の端面72,74を覆い、垂れ止め43,43が、棒状飯塊7の周面73まで届く大きさとする。
【0025】
垂れ止め43は、
図1乃至
図4に示すように、はみ出し部42を折り曲げた後、重なった部分を熱溶着44し、環状に形成することが望ましい。これにより、垂れ止め43の内部に空気が入り、垂れ止め43に厚みを持たせることができる。熱溶着44は、空気の漏れを抑えるために線溶着とすることが好適であるが、1又は複数の点溶着であってもよい。また、熱溶着44に代えて、接着等しても構わない。
【0026】
被せフィルム4は、
図2及び
図3に示すように、棒状飯塊7への巻き始め端12となる内フィルム3のフィルム片31に予め熱溶着46,46により接合することができる。熱溶着46,46は、図示の例では線溶着であるが、1又は複数の点溶着であってもよい。
【0027】
予め内フィルム3と被せフィルム4を熱溶着46,46する場合、これらの間隔は、シート状食品5の幅や棒状飯塊7の長さよりも短くする。これは、外フィルム2と内フィルム3を次工程にて熱溶着35する際に、熱溶着46と熱溶着35が重ならないようにするためである。
【0028】
次工程において、被せフィルム4を熱溶着35によって外フィルム2及び内フィルム3と一体に熱溶着35する場合には、熱溶着46,46は省略できる。しかしながら、この場合であっても、予め被せフィルム4を内フィルム3に熱溶着46しておくことで、被せフィルム4を内フィルム3と一体に扱うことができる利点がある。
【0029】
図示の実施形態では、被せフィルム4は、1枚のフィルムから形成しているが、被せフィルム4は2枚のフィルムから構成することもできる。この場合、夫々の被せフィルム4は、はみ出し部42,42の先端に垂れ止め43が位置するように内フィルム3に熱溶着46すればよい。
【0030】
被せフィルム4を接合した内フィルム3(
図2)と、外フィルム2の内側にシート状食品5を載置し、
図3及び
図4に示すように、シート状食品5の周縁に沿って、外フィルム2と内フィルム3とを連続的に又は断続的に熱溶着35等により接合する。本実施形態においては、熱溶着35は、被せフィルム4にも施している。
【0031】
接合された外フィルム2の長手方向端部には、
図3に示すように、巻き始め端12とは逆側の巻き終わり端14に、包装後に包装シート1を止着するシール部材6が貼着される。シール部材6は、外フィルム2と対向する面に糊などの接着剤が塗布されており、外フィルム2の長手方向端部から一部がはみ出すように外フィルム2に貼着される。なお、シール部材6は、棒状飯塊7を包装した後に貼着するようにしてもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、
図3に示すように、シール部材6には、ミシン目の如き断続的な2条の切条64,64を形成し、これら切条64,64間の切取り部66を切り離して、シール部材6を分断できるようにしている。なお、切取り部66には接着剤を塗布しなくても構わない。
【0033】
棒状飯塊7は、白米の塊、具材78を巻いたもの、かやくご飯などを棒状に固めたものであり、図示の実施例では周面73を断面略円形としている。棒状飯塊7は、三角柱状や四角柱状、楕円柱状等であってもよい。
【0034】
上記構成の包装シート1により、棒状飯塊7は包装される。
【0035】
より詳細には、
図3に示すように、内フィルム3側を上向きにして、巻き始め端12側の端部近傍に棒状飯塊7を載せる。なお、被せフィルム4が内フィルム3を幅方向に横断するように形成されている場合には、被せフィルム4の上に棒状飯塊7を載せることとなる。
【0036】
次に、被せフィルム4は、
図3中矢印Bで示すように、はみ出し部42,42が、棒状飯塊7の端面72,74を覆い、先端の垂れ止め43,43が棒状飯塊7の周面73に被さるように折り返す。
【0037】
被せフィルム4は、棒状飯塊7の端面72,74よりも内側で内フィルム3のみに熱溶着46、すなわち、被せフィルム4に熱溶着35を施さない構成にすると、はみ出し部42,42は外フィルム2を引っ張ることはなく、また、被せフィルム4のはみ出し部42,42により棒状飯塊7の端面72,74を包んだときの皺を発生し難くすることができる。
【0038】
この後、包装シート1を棒状飯塊7の周面73に巻き付ける。包装シート1を棒状飯塊7に巻き付けた後、巻き終わり端14を包装シート1にシール部材6で止着する。
【0039】
上記によって、棒状飯塊7は、
図5及び
図6に示すように、包装シート1により包装されて、棒状包装飯塊8を得ることができる。
【0040】
得られた棒状包装飯塊8は、断面
図6に示すように、垂れ止め43,43が棒状飯塊7の周面73と巻き付けられた包装シート1(本実施形態では内フィルム3)によって挟まれた状態となる。垂れ止め43,43は、被せフィルム4を二重に構成しているから、はみ出し部42,42の他の部分よりも厚みを持っているから、棒状飯塊7と包装シート1との間でずれ難くできる。
【0041】
特に、垂れ止め43を熱溶着44により環状に形成した場合には、垂れ止め43の内部に空気が入り、さらに厚みを持たせることができるから、ずれ止めの効果がさらに高くなる。
【0042】
上記包装シート1によって包装された棒状包装飯塊8を、
図5及び
図6に示すように縦置きすると、棒状飯塊7は重力によって下方に移動しようとする。しかしながら、
図6に示すように、棒状飯塊7の端面(本実施形態では下側の端面72)は、被せフィルム4のはみ出し部42によって覆われており、はみ出し部42は、先端に形成された垂れ止め43が、棒状飯塊7と包装シート1との間にずれることなく挟まれている。このため、棒状飯塊7が下方に垂れてしまうことを防止できる。
【0043】
なお、被せフィルム4を内フィルム3に熱溶着35している場合には、棒状飯塊7の端面72,74近傍で被せフィルム4が浮いてしまうことがないので、棒状飯塊7は被せフィルム4から滑り難く、より効果的に棒状飯塊7の垂れを防止できる。
【0044】
棒状包装飯塊8を縦置きできることで、棒状包装飯塊8を手に取らずとも上から視認することで具材78を確認できる。また、縦置きできることで、陳列台と接触するのは、包装シート1の端縁だけとなる。従って、横置きで陳列する場合に比べて、陳列台との接触面積を小さくすることができ、また、陳列台が濡れていても、シート状食品5は、陳列台から離れているから、湿ってしまうこともなく、衛生面でもすぐれる。
【0045】
上記のように垂れ止め43を設けた本発明の棒状包装飯塊8と、垂れ止めの形成されてない包装シートを採用した棒状包装飯塊(比較例)を共に載置台に縦置きしたところ、比較例は数時間ではみ出し部が棒状飯塊7に押されてずれ始め、その後、棒状飯塊7は載置台に接触するまで垂れていた。
【0046】
一方、本発明の棒状包装飯塊8は、数日間縦置きしても棒状飯塊7は垂れることはなかった。従って、上記した効果を長期に亘って維持できる。
【0047】
上記棒状包装飯塊8の包装を解くには、まず、シール部材6の切取り部66の端部を摘んで引っ張り、シール部材6を分断する。そして、
図7に示すように、包装シート1を巻き終わり端14側から展開する。
【0048】
包装シート1を展開した後、巻き始め端12側の包装シート1を棒状飯塊7を掴むように外側から握り、
図8に示すように、巻き終わり端14側の包装シート1を図中矢印αで示すように引っ張ると、包装シート1は、巻き終わり端14側の既に分断された外フィルム2とこれに熱溶着35された内フィルム3のフィルム片32が一緒に引き出されて、シート状食品5の略半分が露出する。
【0049】
その次に、露出したシート状食品5の上に棒状飯塊7を転がし、シート状食品5の上から棒状飯塊7を掴みつつ、
図9中矢印βで示すように残りの外フィルム2と内フィルム3のフィルム片31を引っ張ることで、シート状食品5が完全に包装シート1から引き出される。その後、シート状食品5を棒状飯塊7に巻き付ければよい。棒状飯塊7は、垂れ止め43により垂れることなく維持されているから、シート状食品5を巻き付けるときにも、シート状食品5が棒状飯塊7に対してずれて巻き付けられることも防止できる。
【0050】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように介すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0051】
なお、上記実施形態における包装シート1の構成は一例であり、たとえば、分断可能部21の構成や位置、展開方法などは上記実施形態に限定されるものでないことは勿論である。
【0052】
また、外フィルム2、内フィルム3、被せフィルム4は、透明フィルム、着色フィルム、エンボス加工を施したフィルムなど種々選択することができる。