特許第6383539号(P6383539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383539
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20180820BHJP
【FI】
   H01L33/50
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-4031(P2014-4031)
(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-133403(P2015-133403A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】317016523
【氏名又は名称】アルパッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 治彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝佳
【審査官】 皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−199513(JP,A)
【文献】 特開2008−300580(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0224830(US,A1)
【文献】 特開2013−110199(JP,A)
【文献】 特表2010−532104(JP,A)
【文献】 特開昭62−022491(JP,A)
【文献】 特開2013−110154(JP,A)
【文献】 特開2013−110233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に設けられた発光部とを含む発光素子と、
前記発光素子を被覆する第1の膜と、
前記第1の膜上に設けられ、前記発光素子の光取出し面の少なくとも中心部の上方を部分的に被覆し、前記発光素子の前記光取出し面の端部の上方を被覆しない蛍光膜と、
前記蛍光膜上に設けられた透明部と、
前記発光素子の前記基板の側面を被覆し、かつ、前記第1の膜の下に設けられ、前記発光素子からの光を反射する反射膜と、
を備えた発光装置。
【請求項2】
前記第1の膜の屈折率は、前記透明部の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の膜の表面は、凸凹形状を含むことを特徴とする請求項1または請求項に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の膜の屈折率は、前記発光素子の前記光取出し面側において大きく、前記蛍光
膜に近づくに従って次第に小さくなっていくことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
支持基板と、
前記支持基板上に設けられた電極と、
前記支持基板上に設けられた発光素子と、
前記発光素子および前記電極を被覆する第1の膜と、
前記第1の膜上に設けられ、前記発光素子の光取出し面の少なくとも中心部の上方を部分的に被覆し、前記発光素子の前記光取出し面の端部の上方を被覆しない蛍光膜と、
前記蛍光膜上に設けられた透明部と、
を備え、
前記第1の膜において前記電極を被覆する部分の表面は凸凹形状を含んでおり、前記第1の膜と前記蛍光膜との界面は凸凹形状を含まないこと、を特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))が、照明または液晶表示装置のバックライト等に利用されている。照明またはバックライト等に用いられる白色光を得るために、青色光の一部を黄色光に変換する蛍光体が青色発光LEDに適用されることがある。この場合、LEDからの青色光と蛍光体に変換された黄色光とを混合することによって白色光が出力される。
【0003】
通常、蛍光体は、発光強度の高いLEDの中心付近の色度バランスあるいは強度バランスに基づいて調整される。しかし、LEDチップの端部においてLEDの黄色光の強度が比較的強くなり、青色光の強度が比較的弱くなる。このため、LEDチップの端部において、青色発光と黄色発光との色度バランスが崩れ、黄色光の強度が過剰に強くなる場合がある。このように色度バランスが崩れると、LEDからの光に色ムラが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2009/272996号明細書(特開2009−272634号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光強度または輝度を維持しつつ、色ムラの少ない発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一実施形態による発光装置は、基板と、前記基板上に設けられた発光部とを含む発光素子と、前記発光素子を被覆する第1の膜と、前記第1の膜上に設けられ、前記発光素子の光取出し面の少なくとも中心部の上方を部分的に被覆し、前記発光素子の前記光取出し面の端部の上方を被覆しない蛍光膜と、前記蛍光膜上に設けられた透明部と、前記発光素子の前記基板の側面を被覆し、かつ、前記第1の膜の下に設けられ、前記発光素子からの光を反射する反射膜と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に従ったLED100の構成の一例を示す断面図。
図2】発光面全体に蛍光体が設けられたLEDの色度変化を示すグラフ。
図3】発光面全体に蛍光体が設けられ、かつ、レンズに分散剤を含むLEDの色度変化を示すグラフ。
図4】第1の実施形態によるLED100の色度変化を示すグラフ。
図5】第2の実施形態に従ったLED200の構成の一例を示す断面図。
図6】第3の実施形態に従ったLED300の構成の一例を示す断面図。
図7】第4の実施形態に従ったLED400の構成の一例を示す断面図。
図8】第5の実施形態に従ったLED500の構成の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に従ったLED100の構成の一例を示す断面図である。LED100は、支持基板10と、電極20と、LEDチップ30と、中間膜40と、蛍光膜50と、レンズ60とを備えている。
【0009】
支持基板10は、例えば、セラミック等の絶縁材料、あるいは、金属等の導電材料を用いて形成されている。電極20は、支持基板10上に形成されており、LEDチップ30のいずれかの箇所と電気的に接続されている。例えば、電極20は、LEDチップ30の底面、あるいは、LEDチップ30の表面に設けられたパッドにワイヤを介して電気的に接続されている。
【0010】
発光素子としてのLEDチップ30は、電気エネルギーを光に変換する半導体デバイスである。LEDチップ30は、サファイア、Si、SiC等のチップ基板上にP型クラッド層とN型クラッド層との間に設けられた活性層(図示せず)を有する。LEDチップ30は、青色光を発光する発光素子である。LEDチップ30を発光させる場合、P型クラッド層とN型クラッド層とに電圧を印加し、活性層にホールおよび電子を注入する。活性層に注入されたホールおよび電子が再結合すると、活性層が光を放射する。光は、基板がシリコンの場合にはLEDチップ30の発光面(光取出し面)から放射され、基板がサファイアまたはSiCの場合にはLEDチップ30のチップ基板全体から放射される。
【0011】
第1の膜としての中間膜40は、LEDチップ30の表面および側面を被覆する。中間膜40は、LEDチップ30の表面全体を被覆しており、その表面の中心部だけでなく、端部も被覆している。また、中間膜40は、電極20の表面も被覆している。中間膜40の屈折率は、レンズ60の屈折率よりも大きく、LEDチップ30の表面部の屈折率よりも小さい。中間膜40は、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜等の材料を用いて形成されている。
【0012】
蛍光膜50は、中間膜40上に設けられており、LEDチップ30の上面(光取出し面)の中心部の上方を被覆している。一方、蛍光膜50は、LEDチップ30の端部の上方を被覆していない。即ち、蛍光膜50は、LEDチップ30の表面の面積(チップサイズ)よりも小さいサイズを有する。例えば、蛍光膜50は、チップサイズよりも数μm〜数10μmほど小さい。LEDチップ30の上面の上方から見た場合に、蛍光膜50の外縁は、LEDチップ30の外縁の内側にある。
【0013】
蛍光膜50は、LEDチップ30からの青色光の一部を黄色光に波長変換することができる材料からなり、例えば、Ce(セリウム)をドープしたYAG(イットニウムアルミニウムガーネット)等の蛍光体を分散させた樹脂を用いて形成されている。LEDチップ30からの青色光および蛍光膜50によって変換された黄色光の両者を混合することによって白色光が出力され得る。
【0014】
透明部としてのレンズ60は、蛍光膜50および中間膜40を被覆するように設けられており、凸レンズの形状(半球形状)を有する。レンズ60は、透明樹脂を用いて形成されている。レンズ60の材料は、蛍光膜50から蛍光体を除いた樹脂材と同じ材料でもよい。レンズ60には、発光素子からの光を分散させる分散剤を含まない。従って、レンズ60は、蛍光膜50または中間膜40からの光を減衰させることなく透過させる。レンズ60および蛍光膜50は、中間膜40よりも屈折率において小さい。従って、レンズ60および蛍光膜50は、LEDチップ30からの光をほとんど反射することなく空気中へ伝搬することができる。
【0015】
本実施形態によるLED100の製造方法は以下のとおりである。電極20の材料を支持基板10上に堆積する。次に、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、電極20の材料を加工する。次に、電極20上にボンディングペーストを塗布してその上にLEDチップ30を搭載する。次に、塗布あるいはスパッタ等を用いて中間膜40の材料(例えば、樹脂または誘電体)をLEDチップ30上に堆積する。尚、中間膜40は、LED100のパッケージの端まで設けられている必要はなく、レンズ60により集光可能な領域に設けられていればよい。次に、蛍光膜50の材料(例えば、蛍光体を混合した樹脂)をLEDチップ30の表面の中心部上方の中間膜40に部分的に塗布する。あるいは、蛍光膜50は、蛍光体を含む樹脂シートを適切なサイズにカットしてLEDチップ30の表面の中心部に貼り付けることによって形成してもよい。次に、レンズ6(中間膜40の屈折率よりも低屈折率の樹脂)を中間膜40および蛍光膜50上に形成する。これにより、本実施形態によるLED100が完成する。
【0016】
一般に、LEDの表面全体に蛍光膜を有し、レンズに分散剤が含まれていない場合、LEDの端部において、LEDの黄色光の強度は青色光の強度より強くなる。従って、LEDの発光面の中心部において、白色光を得るために青色発光と黄色発光との色度バランスを調整したとしても、LEDの発光面の端部において、色度バランスが崩れてしまう。例えば、図2は、発光面全体に蛍光体が設けられたLEDの色度変化を示すグラフである。尚、このLEDのレンズには、分散剤が含まれていない。図2のグラフにおいて、LEDの発光面に対して垂直方向(正面方向)が角度0度であり、その正面方向と成す角度が横軸に示されている。縦軸は、所謂、xy色度図の色度(Cx、Cy)を示す。Cxがx方向の色度を示し、Cyがy方向の色度を示す。ここで、白色光を得るための色度は、Cx=0.33、Cy=0.33とし、この値を基準値にしている。グラフでは、縦軸の原点(0)が基準値(Cx=0.33、Cy=0.33)である。
【0017】
図2に示すように、LEDの発光面の正面(0度)から見ると、青色光および黄色光の色度バランスが適切であり、白色光が得られていることが分かる。しかし、LEDの発光面の端部から見た場合、黄色光の色度が強く、光は黄色に見える。即ち、蛍光体が設けられていても、LEDの端部においてCxとCyとの差(あるいは基準値からの差)が大きく、LEDからの光に色ムラが発生していることが分かる。このようにLEDの端部において色ムラが発生する理由は次のとおりである。LEDの発光面を斜め方向から見た場合、LEDからの光は、蛍光体を斜めに通過するため、蛍光体の通過経路が比較的長くなる。従って、LEDの発光面の斜め方向に出力される光の多くが黄色に変換される。このため、LEDの発光面を斜め方向から見た場合、LEDからの光は黄色光の成分を多く含み、黄色味を帯びる。その結果、LEDの端部において色ムラが発生する。
【0018】
図3は、発光面全体に蛍光体が設けられ、かつ、レンズに分散剤(例えば、粒径が1nm〜5μmのTiO)を含むLEDの色度変化を示すグラフである。分散剤によって、LEDの正面からの光とLEDの端部からの光とが混合されるため、LEDの端部において色度のずれが比較的小さくなる。即ち、色度ムラが小さくなる。しかし、分散剤によって、LED全体の光強度または輝度が低下してしまう。尚、分散剤は、LEDからの青色光および黄色光を分散または混合することによって白色光にする。従って、分散剤は、色ムラを抑制することができる。
【0019】
図4は、第1の実施形態によるLED100の色度変化を示すグラフである。本実施形態によるLED100では、蛍光膜50がLED100の光取出し面の中心部を部分的に被覆している。これにより、LED100からの青色光の一部が蛍光膜50によって黄色光に変換される。従って、LED100を光取出し面の正面から見たときに、色度(Cx、Cy)の差はほとんど無く、ほぼ基準値(Cx=0.33、Cy=0.33)となっている。即ち、LED100からの光は白色光に見える。
【0020】
また、LEDチップ30と蛍光膜50との間には、中間膜40が介在している。中間膜40は、蛍光膜50およびレンズ60よりも高い屈折率を有する。従って、中間膜40から蛍光膜50への臨界角が比較的小さくLEDチップ30からの光は中間膜40と蛍光膜50との界面において反射しやすい。よって、LEDチップ30からの青色光の一部は、臨界角以上の角度で中間膜40と蛍光膜50との界面に入射し反射する。反射した青色光は、多重反射し、LEDチップ30の端へ導波される。蛍光膜50はLEDチップ30の端を被覆していないので、導波された青色光は、LEDチップ30の端からレンズ60へ取り出される。蛍光膜50を斜め方向に通過する光は、黄色光の成分を多く含むが、一方、中間膜40は、LEDチップ30の端へ青色光の一部を導波している。従って、中間膜40は、LEDチップ30の両端に青色光の成分を多く供給する。これにより、図4に示すように、LEDチップ30の端部においても、色度(Cx、Cy)は、基準値(Cx=0.33、Cy=0.33)に近くなる。即ち、本実施形態によれば、蛍光膜50をLEDチップ30の中心部に部分的に設け、かつ、中間膜40を蛍光膜50とLEDチップ30との間に設けることによって、LEDチップ30の端部に青色光の一部を伝播している。その結果、LED100は、LEDチップ30の中心部からだけでなく、その端部からも色度ずれの小さな白色光を出力することができ、全体としてムラの少ない均一な白色光を出力することができる。
【0021】
レンズ60に散乱剤を入れる必要が無くなり、光強度または輝度の低下を抑制することができる。即ち、本実施形態では、レンズ60が分散剤を含まない透明材料で形成されている。従って、LEDチップ30からの光の強度または輝度は、レンズ60においてさほど低下しない。また、蛍光膜50により長波長に変換された光成分(黄色光成分)は、LEDチップ30の活性層において再吸収されない。活性層のエネルギーバンドギャップが、大きいためエネルギーの小さい長波長光は吸収されないからである。
【0022】
尚、実験では、図3を参照して説明したLEDの光束に比較して、本実施形態によるLED100の光束は、約1.3倍増大した。よって、本実施形態によるLED100は、発光強度または輝度を維持しつつ、色ムラの少ない均一な白色光を出力することができる。
【0023】
LEDチップ30の発光部はレンズ60の中心部付近に配置される。これにより、光はレンズ60と空気との間の臨界角による全反射成分を抑制することができ、光取出し効率が改善される。それとともに、所望の配光特性となるように光のコントロールが可能となる。
【0024】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に従ったLED200の構成の一例を示す断面図である。LED200の中間膜40の表面は、LEDチップ30の両側において凸凹形状を有する。第2の実施形態によるLED200のその他の構成は、第1の実施形態によるLED100の対応する構成と同様でよい。LEDチップ30の両側において中間膜40の表面に凹凸形状があることによって、LED30の端部において光が散乱され、LEDチップ30の端から光をより容易に取り出すことができる。中間膜40の凹凸形状の大きさ(凹部の底と凸部の頂点との差)は、LEDチップ30から取り出す光波長(例えば、約450nm前後)と略等しいことが好ましい。これにより、所望の波長の光(例えば、青色光)を取出し易くなる。これは、光が中間膜40とレンズ60との界面において全反射することなく散乱されるため、その界面における臨界角という制約がなくなるからである。
【0025】
さらに、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様にLEDチップ30上に中間膜40および蛍光膜50を有するので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
尚、LEDチップ30の表面上にある中間膜40の表面も凹凸形状を有してよい。この場合、LEDチップ30の表面から光を取り出しやすくなる。
【0027】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に従ったLED300の構成の一例を示す断面図である。LED300の中間膜40は、屈折率の異なる複数の材料層41〜43を積層した多層膜である。材料層41の屈折率は、LEDチップ30の屈折率よりも小さい。材料層42の屈折率は、材料層41の屈折率よりも小さい。材料層43の屈折率は、材料層42の屈折率よりも小さく、かつ、蛍光膜50の屈折率よりも大きい。材料層41は、例えば、SiNx、ZrO、TiO等の高屈折率材料を用いて形成される。材料層42は、例えば、HFO、ZnO、Al等の中間屈折率材料を用いて形成される。材料層43は、例えば、SiO等の低屈折率材料を用いて形成されている。第3の実施形態によるLED300の他の構成は、第1の実施形態によるLED100の対応する構成と同様でよい。
【0028】
このように、第3の実施形態の中間膜40の屈折率は、LEDチップ30の光取出し面において大きく、かつ、蛍光膜50に近づくに従って次第に小さくなっていく。これにより、材料層41〜43において全反射が発生し難くなり、LEDチップ30からの光を効率良く取り出すことができる。
【0029】
LEDチップ30の端部からの弱い発光を効率良く取り出すことができるので、第3の実施形態によるLED300は、LEDチップ30の端部においてさらに色度ずれの小さい白色光を出力することができ、全体として均一なムラの少ない白色光を出力することができる。
【0030】
第3の実施形態は、第1の実施形態と同様にLEDチップ30上に中間膜40および蛍光膜50を有するので、第1の実施形態と同様の効果をさらに得ることができる。第3の実施形態は、第2の実施形態と組み合わせてもよい。これにより、第3の実施形態は、さらに第2の実施形態の効果をも得ることができる。
【0031】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態に従ったLED400の構成の一例を示す断面図である。LED400は、LEDチップ30の側面を被覆し、かつ、中間膜40の下に設けられた反射膜70をさらに備えている。即ち、第4の実施形態において、LEDチップ30の両側には、反射膜70が設けられている。反射膜70は、例えば、光を反射する白色の材料を含む樹脂でよい。第4の実施形態によるLED400の他の構成は、第1の実施形態によるLED100の対応する構成と同様でよい。
【0032】
尚、反射膜70は次のように形成され得る。例えば、LEDチップ30を電極20上に搭載後、反射膜70の材料(例えば、液体状の樹脂)を塗布し、その材料を硬化させる。液体はLEDチップ30の側面に溜まり易いので、反射膜70は図7に示すような形状で残置される。このようにして反射膜70は形成され得る。LED400のその他の構成要素の形成工程は、LED100の対応する形成工程と同様でよい。
【0033】
LEDチップ30の基板31が光を吸収する材料(例えば、シリコン)である場合、反射膜70は、光が基板31の側面から吸収されることを抑制することができる。また、反射膜70は、中間膜40内に導波された光をレンズ60方向へ効率的に反射することができる。これにより、光の損失を抑制することができ、光の取出し効率を改善することができる。さらに、第4の実施形態は、第1の実施形態と同様にLEDチップ30上に中間膜40および蛍光膜50を有するので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、発光部32は、基板31上に設けられた発光層と、発光層上に設けられ光をレンズ60側へ反射する反射層とを含む。
【0034】
第4の実施形態は、第2および/または第3の実施形態と組み合わせることができる。これにより、第4の実施形態は、第2および/または第3の実施形態の効果を得ることができる。
【0035】
(第5の実施形態)
図8は、第5の実施形態に従ったLED500の構成の一例を示す断面図である。第5の実施形態において、LED500の底面および上面は平坦に形成されている。従って、透明部61は、レンズ型を有さず、平坦な形状を有する。
【0036】
LED500の両端には、側壁反射部83が設けられている。側壁反射部83は、LED500の周縁を取り囲む。側壁反射部83、電極21、22および底部反射部82は、LEDチップ30、反射膜70、中間膜40、蛍光膜50および透明部61を収容する容器の機能を果たす。側壁反射部83および底部反射部82は、例えば、光を反射する白色の材料を含む樹脂でよい。従って、側壁反射部83および底部反射部82は、LEDチップ30からの光を反射する機能も有する。
【0037】
電極21、22は、LEDチップ30のパッドとワイヤを介して電気的に接続されており、あるいは、基板31と電気的に接続されている。
【0038】
次に、LED500の製造方法について説明する。まず、電極21、22の材料に底部反射部82および側壁反射部83を形成する。次に、電極21上にLEDチップ30を搭載する。これにより、側壁反射部83、電極21、22および底部反射部82により形成される容器内にLEDチップ30が配置されている状態となる。次に、側壁反射部83、電極21、22および底部反射部82により形成される容器内に、反射膜70の材料として液体の樹脂を滴下する。このとき、LEDチップ30と側壁反射部83との間に反射膜70の材料を適量滴下する。これにより、表面張力を利用して、図8に示すように、LEDチップ30と側壁反射部83との間に反射膜70が形成される。反射膜70の硬化後、中間膜40、蛍光膜50および透明部61を順番に形成する。透明部61の形成後、透明部61を略平坦化する。これにより、図8に示すLED500が完成する。
【0039】
第5の実施形態によるLED500は、第4の実施形態と同様に、LEDチップ30の側面を被覆し、かつ、中間膜40の下に設けられた反射膜70をさらに備えている。これにより、第5の実施形態は、第4の実施形態と同様に、LEDチップ30の基板31が光を吸収する材料(例えば、シリコン)である場合に、光が基板31の側面から吸収されることを抑制することができる。また、反射膜70、側壁反射部83および底部反射部82は、中間膜40内に導波された光を透明部61の方向へ効率的に反射することができる。
【0040】
さらに、第5の実施形態は、第1の実施形態と同様にLEDチップ30上に中間膜40および蛍光膜50を有するので、第1の実施形態と同様の効果を有することができる。
【0041】
第5の実施形態は、第2から第4の実施形態のいずれかと組み合わせることができる。これにより、第5の実施形態は、第2から第4の実施形態のいずれかの効果をも得ることができる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
100〜500…LED、10…支持基板、20…電極、30…LEDチップ、40…中間膜、50…蛍光膜、60…レンズ、70…反射膜、83…側壁反射部、21、22…電極、82…底部反射部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8