(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
環状磁石を一体に備える内輪と、該内輪を軸回転自在に支持する外輪とを備える軸受装置における前記外輪の軸方向一端側開口部の内径部に装着されて、磁気センサと前記環状磁石との間に位置する状態で前記一端側開口部を前記内輪の軸方向一端側部及び前記環状磁石を非接触で覆うように封止する軸受用キャップであって、
前記外輪は、前記内径部に周溝を備え、
非磁性の金属製板材からなる円形のキャップ本体と、
前記キャップ本体の外周縁部に固着された弾性体製の環状シール部とを備え、
前記キャップ本体における前記外周縁部の径方向内側部分は圧入治具の被作用部とされ、該被作用部に前記圧入治具を作用させて当該軸受用キャップを前記内径部に装着させる際、前記キャップ本体の外周縁部は前記環状シール部と共に拡径して前記周溝内に嵌入され、これによって前記外輪に一体に装着されるよう構成され、
前記キャップ本体における前記被作用部の径方向内側部であって、前記環状磁石と前記磁気センサとの間に位置する部分は、環状円板部からなり、
前記被作用部における前記圧入治具が作用する面は、前記環状シール部を構成する弾性体が一体に固着されるも、前記環状円板部には当該弾性体が固着されておらず、
前記被作用部と前記環状円板部との間には、当該環状円板部と前記被作用部とを段差状に連接する連接部が介在し、且つ、当該連接部は前記圧入治具による圧入方向に沿って漸次径大化した形状とされていることを特徴とする軸受用キャップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたキャップは、金属材のみからなり、外輪に対する嵌合円筒部を求心方向に撓ませた状態で外輪の内径面に嵌合させ、嵌合円筒部の嵌合後の遠心方向への復元反力によって嵌合強度を高める例が記載されている。ところで、特許文献1のキャップは金属材のみからなるから、外輪との嵌合部は金属同士の嵌合となり、この金属嵌合部のシール機能を確保するには、キャップに高精度の加工が求められる。しかし、板金加工や絞り加工でこのような高精度な加工を行おうとすると、加工に時間と技量を要し、加工コストの高騰をきたすことにもなる。
また、特許文献2に開示されたキャップは、金属板製のキャップ本体と、その外周部に全周に亙り固定された弾性材製の円環状の係止部とを有し、外輪に装着された状態では、外輪の内径面に形成された係止溝に係止部が係止されるように構成されている。この場合、弾性材製の係止部が係止溝に弾性的に係止し、金属板製のキャップ本体は外輪に対して金属同士の嵌合を構成しない。そのため、金属同士の嵌合のみの場合に比べてシール性は確保されるが、キャップ本体が係止溝に嵌り込まないため、外輪に対する装着強度は強くなく、軸受空間の内圧の上昇等によって、外れる懸念があることは否めない。
【0006】
さらに、特許文献3に開示されたシール構造では、シールを外輪に取付ける際、芯金リングの外周縁及びこの部分に被着してある弾性部材が、取付治具の作用を受けて拡径し、外輪の内径面に形成された周溝内に没入するよう構成されている。これによって、シールが外輪に一体に固定される。このシール構造の場合、芯金リングの内周縁部は、弾性リップを介して内輪の外径面に弾性的に摺接する。そのため、芯金リングは摺接抵抗に対して変形しない程度の強度が必要とされ、自ずと厚みの大きな金属板材によって構成されることになる。そのため、これを特許文献1及び2に示すように、環状磁石と磁気センサとの間に位置する状態で設けられるキャップに適用しようとすると、環状磁石と磁気センサとのエアギャップが大となり、磁気センサによる磁気検出精度が低下することになる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、外輪に対する装着安定性及び密封性に優れ、しかも、環状磁石と磁気センサとの間のエアギャップを極力小さくすることができる軸受用キャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る軸受用キャップは、環状磁石を一体に備える内輪と、該内輪を軸回転自在に支持する外輪とを備える軸受装置における前記外輪の軸方向一端側開口部の内径部に装着されて、磁気センサと前記環状磁石との間に位置する状態で前記一端側開口部を
前記内輪の軸方向一端側部及び前記環状磁石を非接触で覆うように封止する軸受用キャップであって、前記外輪は、前記内径部に周溝を備え、非磁性の金属製板材からなる円形のキャップ本体と、前記キャップ本体の外周縁部に固着された弾性体製の環状シール部とを備え、前記キャップ本体における前記外周縁部の径方向内側部分は圧入治具の被作用部とされ、該被作用部に前記圧入治具を作用させて当該軸受用キャップを前記内径部に装着させる際、前記キャップ本体の外周縁部は前記環状シール部と共に拡径して前記周溝内に嵌入され、これによって前記外輪に一体に装着されるよう構成され、
前記キャップ本体における前記被作用部の径方向内側部であって、前記環状磁石と前記磁気センサとの間に位置する部分は、環状円板部からなり、前記被作用部における前記圧入治具が作用する面は、前記環状シール部を構成する弾性体が一体に固着されるも、前記環状円板部には当該弾性体が固着されておらず、前記被作用部と前記環状円板部との間には、当該環状円板部と前記被作用部とを段差状に連接する連接部が介在し、且つ、当該連接部は前記圧入治具による圧入方向に沿って漸次径大化した形状とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、軸受用キャップは、外輪の軸方向一端側開口部に装着されて当該開口部を封止するから、軸受における軌道輪を含む軸受空間が密封され、軸受空間内への泥水等の浸入や軸受空間内に充填される潤滑剤の漏出等が防止される。また、当該軸受用キャップは、内輪に一体に備えられる環状磁石と、磁気センサとの間に位置する状態で外輪に装着されるから、環状磁石に対する泥水や塵埃等のアタックが阻止され、これら泥水や塵埃等による環状磁石の傷つきが抑えられる。さらに、当該軸受用キャップの外輪に対する圧入治具による装着時には、キャップ本体の外周縁部は弾性体製の環状シール部と共に拡径して前記周溝内に嵌入されるから、装着部は金属同士の嵌合ではなく前記環状シール部を介した弾性的な密嵌状態となり、優れた密封性が確保される。しかも、キャップ本体の外周縁部は拡径して周溝に嵌入した状態とされるから、外周縁部が周溝に拘束され、安定した装着性が得られる。したがって、金属同士の嵌合のように、嵌合強度を確保するためキャップ本体の板厚を大きくする必要がなく、また、特許文献3のように、摺接抵抗を生じるような弾性リップを持たないため、摺接抵抗
による変形が生じないように板厚を大きくする必要もなく、可能な限りキャップ本体を板厚の小さな金属製板材で作製することができる。このように、キャップ本体の板厚を小さくすることにより、環状磁石と磁気センサとのエアギャップを小さくすることができ、加えて、金属製板材が非磁性であるから、回転検出精度の高い回転検出装置を構成することができる。
【0010】
また、キャップ本体における磁気センサによる磁気検出に関与する部分が、環状円板部からなるから、環状磁石の軸回転に伴う軸方向に沿った設計公差によるぶれを考慮した前記エアギャップの設計上の自由度が向上する。これによって、エアギャップを小さくすることができ、磁気センサによる回転検出精度をより高めることができる。
さらに、環状円板部と被作用部との間に段差状の連接部が介在していることにより、被作用部に圧入治具を作用させて、当該軸受用キャップを外輪に装着させる際、圧入に伴う応力が環状円板部におよび難く、環状円板部の波打ち等の変形の発生を抑えることができる。これによって、キャップ本体をより薄手の金属製板材で作製することができ、エアギャップをより小さくすることができる。
【0011】
本発明の軸受用キャップにおいて、前記被作用部は、前記圧入治具による圧入方向に沿って漸次径大化する円錐台形状部とされていても良い。
これによれば、被作用部が圧入治具による圧入方向に沿って漸次径大化する円錐台形状部とされているから、圧入治具による圧入力が被作用部を押し広げるように作用し、これにより前記外周縁部の径大化が円滑になされる。
【0012】
本発明の軸受用キャップにおいて、前記被作用部は、前記外周縁部から折り返された折返部とされ、当該折返部は、前記圧入治具による圧入作用を受けて、折り畳まれるように変形するものであっても良い。
これによれば、被作用部が、前記圧入治具による圧入作用を受けて、折り畳まれるように変形する折返部とされているから、この折り畳みによる変形に伴い、外周縁部の拡径が円滑になされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の軸受用キャップによれば、外輪に対する装着安定性及び密封性に優れ、しかも、環状磁石と磁気センサとの間のエアギャップを極力小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。先ず、
図1及び
図2を参照して、本発明に係る第一の実施形態の軸受用キャップが装着された軸受装置について説明する。
図1に示す軸受装置は、自動車の従動輪を回転自在に支持する軸受装置の一例としてのハブベアリングを示している。図例のハブベアリング(軸受装置)1は、車体(不図示)に固定される外輪2の内径部に2列の転動体(玉)3…を介して、ハブ輪4及び内輪部材(単に環状部材ということもある)5が軸Lの回りに回転自在に支持されている。ハブ輪4は、ハブフランジ41を有し、該ハブフランジ41に、不図示の従動輪(タイヤホイール)がボルト41aによって取付けられる。ハブ輪4と内輪部材5とにより回転部材としての内輪6が構成され、前記外輪2とこの内輪6との間に、前記転動体3…がリテーナ3aに保持された状態で介装されている。転動体3…の介装部分を含む外輪2と内輪6との間が軸受空間Sとされ、この軸受空間Sには、転動体3…の転動を円滑にするための潤滑剤(例えば、グリース)が充填される。
以下において、
図1の紙面左側を車輪側、右側を車体側と言う。
【0016】
前記軸受空間Sの車輪側端部(他端部)における外輪2と内輪6(ハブ輪4)との間には、軸シールタイプのシールリング7が、内輪6(ハブ輪4)に対して摺接可能に装着されている。また、内輪6(内輪部材5)の車体側端部(一端部)の外径面5aには、断面L形の金属製補強環8が、円筒部8aをして嵌合一体とされ、内輪6とともに軸Lの回りに回転可能とされ、回転部材の一部を構成している。補強環8の円筒部8aの一端部には該円筒部8aに垂直な円板部8bが連成され、該円板部8bは、外向鍔状に形成されるとともに、該円板部8bの車体側の板面に環状磁石9が固着されている。この環状磁石9としては、例えば、ゴム材或いは樹脂材(図例はゴム材)に磁性粉を混練して環状に成型し、その周方向に多数のN極及びS極を交互に着磁した環状多極磁石が用いられるが、焼結体からなる環状多極磁石も使用可能である。環状磁石9としては、周方向180°の範囲のそれぞれに、N極及びS極を着磁したものであっても良い。そして、前記外輪2の車体側開口部(軸方向一端側開口部)20の内径部21に形成された周溝22には、非磁性の金属製板材からなる軸受用キャップ10が、前記環状磁石9に近接し、かつ、この環状磁石9を覆うように装着されている。車体側(固定側)には磁気センサ30が、軸受用キャップ10を介して、環状磁石9に対峙するよう設置され、環状磁石9と磁気センサ30とにより、ハブ輪4に取付けられる車輪(従動輪)の回転検出装置31が構成される。
【0017】
図例の軸受用キャップ10は、非磁性の金属製板材(例えば、オーステナイト系ステンレス鋼板)からなる円形のキャップ本体11と、キャップ本体
11の外周縁部11aに固着された弾性体(図例ではゴム)製の環状シール部12とを備えている。キャップ本体11における外周縁部11aの径方向内側部分は、円環状の圧入治具40(
図3参照)の被作用部11bとされ、この被作用部11bの径方向内側部には、環状円板部11dが連接部11cを介して段差状に連接されている。また、環状円板部11dは、第2のテーパ状連接部11eを介して軸Lを中心とする円板部11fに連接されている。この環状円板部11dは、当該軸受用キャップ10が
図1に示すようにハブベアリング1に装着された状態では、この環状磁石9と磁気センサ30との間に位置するように設定される。また、被作用部11bは、当該軸受用キャップ10が
図1に示すようにハブベアリング1に装着された状態では、平ワッシャ状の環状体であるが、ハブベアリング1に装着される前の状態(製品としての軸受用キャップ10の状態)では、後記するように圧入治具40による前記
軸Lに平行な圧入方向(
図3の白抜矢印a参照)に沿って漸次径大化する円錐台形状(テーパ形状)とされている。前記環状シール部12は、連接部11c及び被作用部11bの車体側の面から、外周縁部11aを車輪側に回り込むようにキャップ本体11に固着され、この回り込み部分が厚肉のリップ部12aとされている。なお、環状シール部12は、外周縁部11aを回り込む部分にのみ固着されていても良い。
【0018】
前記のように構成される軸受用キャップ10をハブベアリング1に装着する要領を、
図3も参照して説明する。
図3は、軸受用キャップ10を外輪2に対して車体側開口部20に軸受空間S側(車輪側)に向け装着する過程であって、キャップ本体11の外周縁部11a及び環状シール部12のリップ部12aが、前記周溝22の車体側溝壁22aを通過した状態を示している。
図3において、軸受用キャップ10は略原形状であることを示している。そして、キャップ本体11の外周縁部11aの最大径d2は、周溝22の車体側溝壁22aの最小径d1より小さく、さらに、環状シール部12のリップ部12aの最大径d3は周溝22の車体側溝壁22aの最小内径d1より大で、溝底壁22bの内径d4より小とされている。軸受用キャップ10の被作用部11bに固着されている環状シール部12に圧入治具40を宛がい、当該圧入治具40を白抜矢印a方向に圧入操作させることによって、環状シール部12のリップ部12aが、車体側溝壁22aの車体側角部が面取されたテーパ状の外壁面22aaに当接し、その後、外壁面22aaの相対作用を受けて縮径方向に弾性変形して、車体側溝壁22aの最小径d1部を弾接しながら通過する。このとき、キャップ本体11の外周縁部11aの最大径d2は、周溝22の車体側溝壁22aの最小径d1より小とされているから、外周縁部11aがこの通過の障害とならず、リップ部12aと共に車体側溝壁22aの最小径d1部を通過する。この通過がなされると、
図3に示すように、リップ部12aが弾性復元して、車体側溝壁22aのテーパ状内壁面22abに沿って周溝22内に嵌り込んだ状態となる。
【0019】
周溝22の車輪側溝壁22cの内径d5は、外周縁部11aの最大径d2より小とされており、圧入治具40による圧入操作をさらに継続すると、リップ部12aが車輪側溝壁22cの内壁面22caに当接する。その後さらに、圧入操作を継続すると、車輪側溝壁22cの内径d5が外周縁部11aの最大径d2より小とされ、且つ、内壁面22caが圧入方向aに直交するよう形成されているので、被作用部11b及びリップ部12aが、車輪側溝壁22cの内壁面22caによって規制され、車輪側への変位が阻止される。このように被作用部11b及びリップ部12aが車輪側への変位が阻止された状態で、さらに圧入治具40による圧入操作を継続すると、圧入力の分力が被作用部11bの径大化方向に作用し、円錐台形状の被作用部11bの底角が小さくなって外周縁部11aが環状シール部12のリップ部12aと共に拡径して被作用部11bが変形する。そして、この拡径によって、
図2に示すように、リップ部12aが弾性変形を伴い周溝22の底壁部22bに圧接した状態で被作用部11bの外周縁部11bとリップ部12aが周溝22内に嵌入する。
図2の2点鎖線部は、リップ部12aの原形状を示している。これによって、軸受用キャップ10が、外輪2の車体側内径部21に安定的に装着され、外輪2の車体側開口部20が密封される。この装着部は、金属同士の嵌合ではなく、リップ部12aを介した弾性的な密嵌状態となり、優れた密封性が確保される。しかも、キャップ本体11の外周縁部11aは拡径して周溝22に嵌入した状態とされるから、外周縁部11aが周溝22に拘束され、安定した装着性が得られる。したがって、金属同士の嵌合のように、嵌合強度を確保するためにキャップ本体11の板厚を大きくする必要がない。
【0020】
前記のように軸受用キャップ10が装着された状態で
図1及び
図2に示すようなハブベアリング1が構成され、軸受用キャップ10の環状円板部11dを介して環状磁石9に対峙するよう車体側に磁気センサ30が設置される。これによって、車輪の回転検出装置が構成されると共に、環状磁石9に対する泥水や塵埃等のアタックが阻止され、これらによる環状磁石の傷つきが抑えられる。しかも、キャップ本体11の板厚を小さくすることができるから、環状磁石9と磁気センサ30とのエアギャップを小さくすることができ、加えて、キャップ本体11が非磁性の金属製板材製であるから、回転検出精度の高い回転検出装置を構成することができる。また、環状円板部11dと被作用部11bとの間に段差状の連接部11cが介在していることにより、圧入治具40による圧入操作の際、圧入に伴う応力が環状円板部11dにおよび難く、環状円板部11dの波打ち等の変形の発生を抑えることができる。これによって、キャップ本体11をより薄手の金属製板材で作製することができ、エアギャップをより小さくすることができる。特に、自動車用のハブベアリング1のような軸受装置の場合、稼働(内輪6の回転)中に軸受空間Sの内圧が高くなり、この内圧が軸受用キャップ10に対して車体側に作用するが、前記のように安定した装着性によって、この内圧の上昇によっても軸受用キャップ10が外れる懸念がない。
【0021】
なお、本実施形態の軸受用キャップ10において、被作用部11bに圧入治具40を宛がいながら圧入することによって、被作用部11bの拡径変形を伴い外輪2に装着するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、全体形状が本実施形態と同じキャップ本体11において、被作用部11bから連接部11cと環状円板部11dとの屈曲部までを被作用部とし、この屈曲部に圧入治具40を宛がって同様に圧入操作をし、屈曲部から外径側部分を拡径変形させて装着するようにしても良い。また、キャップ本体11を外径側のテーパ形状部と内径側の円形平板部とからなるものとし、このテーパ形状部又はテーパ形状部と円形平板部との屈曲部に圧入治具40を宛がって同様に圧入操作をし、外径側部分を拡径変形させて装着するようにしても良い。この場合は、円形平板部が、環状磁石9と磁気センサ30との間に位置することになる。
【0022】
図4及び
図5は、本発明に係る軸受用キャップの第二の実施形態を示している。本実施形態の軸受用キャップ10Aにおけるキャップ本体11では、圧入治具の被作用部11bが、キャップ本体11の外周縁部11aから折り返された折返部とされ、別言すれば、折返部の最外周部が外周縁部11aとされている。さらに詳しくは、被作用部11bは、連接部11cを介して前記と同様の環状円板部11dに連接される折返基部11baと、該折返基部11baの外径側から外周縁部11aを含む湾曲部11bbを経て車体側に折り返された折返部片11bcとからなる。そして、環状シール部12は、連接部11c及び被作用部11bの車体側の面(湾曲部11bbの内面も含む)から、湾曲部11bbの外面に沿い外周縁部11aを車輪側に回り込むようにキャップ本体11に固着され、この回り込み部分が厚肉のリップ部12aとされている。なお、環状シール部12は、前記と同様に、外周縁部11aを回り込む部分にのみ固着されていても良い。その他の構成は第一の実施形態と同様であるので、共通部分に同一の符号を付し、以下では一部その説明を省略する。
【0023】
前記のように構成される軸受用キャップ10Aをハブベアリング1に装着する要領を説明する。
図5は、軸受用キャップ10Aを外輪2の車体側開口部20に軸受空間S側(車輪側)に向け装着する過程であって、キャップ本体11の外周縁部11a及び環状シール部12のリップ部12aが、前記周溝22の車体側溝壁22aを通過した状態を示している。
図5において、軸受用キャップ10Aは原形状であることを示している。そして、キャップ本体11の外周縁部11aの最大径d2は、周溝22の車体側溝壁22aの最小径d1より小さく、さらに、環状シール部12のリップ部12aの最大径d3は周溝22の車体側溝壁22aの最小内径d1より大で、溝底壁22bの内径d4より小とされている。軸受用キャップ10Aの被作用部11bに固着されている環状シール部12に圧入治具40を宛がい、当該圧入治具40を白抜矢印a方向に圧入操作させることによって、環状シール部12のリップ部12aが車体側溝壁22aの車体側角部が面取されたテーパ状の外壁面22aaに当接し、その後、外壁面22aaの相対作用を受けて縮径方向に弾性変形して、車体側溝壁22aの最小径d1部を弾接しながら通過する。このとき、キャップ本体11の外周縁部11aの最大径d2は、周溝22の車体側溝壁22aの最小径d1より小とされているから、外周縁部11aがこの通過の障害とならず、リップ部12aと共に車体側溝壁22aの最小径d1部を通過する。この通過がなされると、
図5に示すように、リップ部12aが弾性復元して、車体側溝壁22aのテーパ状内壁面22abに沿って周溝22内に嵌り込んだ状態となる。
【0024】
周溝22の車輪側溝壁22cの内径d5は、外周縁部11aの最大径d2より小とされており、圧入治具40による圧入操作をさらに継続すると、リップ部12aが車輪側溝壁22cの内壁面22caに当接する。その後さらに、圧入操作を継続すると、車輪側溝壁22cの内径d5が外周縁部11aの最大径d2より小とされ、且つ、内壁面22caが圧入方向aに直交するよう形成されているので、被作用部11b及びリップ部12aが、車輪側溝壁22cの内壁面22caによって規制され、車輪側への変位が阻止される。このように被作用部11b及びリップ部12aが車輪側への変位が阻止された状態で、さらに圧入治具40による圧入操作を継続すると、被作用部11bの折返基部11baに対して折返部片11bcが折り畳まれるように変形する。この折り畳みによる変形は、湾曲部11bbの曲率半径を小さくするようになされ、これに伴い外周縁部11aは、周溝22の溝底部22bに向かって拡径する。そして、この外周縁部11aの拡径によって、リップ部12aが周溝22の溝底部22b及び車体側溝壁22aの内壁面22abに弾性変形を伴い弾接する。
図4における2点鎖線部はリップ部12aの原形状を示している。これによって、軸受用キャップ10Aが、外輪2の車体側内径部21に安定的に装着され、外輪2の車体側開口部20が密封される。この装着部は、前記と同様に金属同士の嵌合ではなく、リップ部12aを介した弾性的な密嵌状態となり、優れた密封性が確保される。しかも、キャップ本体11の外周縁部11aは拡径して周溝22に嵌入した状態とされるから、外周縁部11aが周溝22に拘束され、安定した装着性が得られる。したがって、金属同士の嵌合のように、嵌合強度を確保するためにキャップ本体11の板厚を大きくする必要がない。
【0025】
前記のように軸受用キャップ10Aが装着された状態で
図4に示すようなハブベアリング1が構成され、軸受用キャップ10Aの環状円板部11dを介して環状磁石9に対峙するよう車体側に磁気センサ30が設置される。これによって、車輪の回転検出装置が構成されると共に、環状磁石9に対する泥水や塵埃等のアタックが阻止され、これらによる環状磁石の傷つきが抑えられる。しかも、キャップ本体11の板厚を小さくすることができるから、環状磁石9と磁気センサ30とのエアギャップを小さくすることができ、加えて、キャップ本体11が前記と同様に非磁性の金属製板材製であるから、回転検出精度の高い回転検出装置を構成することができる。また、本実施形態においても、環状円板部11dと被作用部11bとの間に段差状の連接部11cが介在していることにより、圧入治具40による圧入操作の際、圧入に伴う応力が環状円板部11dにおよび難く、環状円板部11dの波打ち等の変形の発生を抑えることができる。これによって、キャップ本体11をより薄手の金属製板材で作製することができ、エアギャップをより小さくすることができる。また、本実施形態の軸受用キャップ10Aおいても、稼働中の軸受空間Sの内圧の上昇によって外れる懸念がない。
【0026】
図6及び
図7は、本発明に係る軸受用キャップの第三の実施形態を示す。本実施形態の軸受用キャップ10Bにおけるキャップ本体11では、圧入治具の被作用部11bが、キャップ本体11の外周縁部11aから折り返された折返部とされ、第二の実施形態と同様に、折返部の最外周部が外周縁部11aとされている。さらに詳しくは、被作用部11bは、
図7の原形に示すように、連接部11cを介して前記と同様の環状円板部11dに連接される折返基部11baと、該折返基部11baの外径側から外周縁部11aを含む円筒部11bdを経て車体側からさらに車輪側に折り返された円弧状の折返部片11beとからなる。そして、環状シール部12は、連接部11c及び被作用部11bの車体側の面(円筒部11bd及び折返部片11beの内面も含む)から、円筒部11bdの外面に沿い外周縁部11aを車輪側に回り込むようにキャップ本体11に固着され、この回り込み部分の一部が厚肉のリップ部12aとされている。この実施形態では、折返部片11beから円筒部11bdに及ぶスリット(不図示)を周方向に沿って適宜間隔毎に設けるようにしても良い。このようなスリットを設けることによって、環状シール部12の形成時に、円筒部11bd及び折返部片11beの内外面間に環状シール部12を効果的に行き渡らせることができる。また、後記するように、圧入治具40による圧入操作の際の、折返部片11be及び円筒部11bdのかしめを伴った拡径変形が生じやすくなる。さらに
、図例では、回り込み部分の一部を厚肉のリップ部12aとしているが、回り込み部を薄肉の被覆層の状態としても良い。
なお、環状シール部12は、前記と同様に、外周縁部11aを回り込む部分にのみ固着されていても良い。その他の構成は第一及び第二の実施形態と同様であるので、共通部分に同一の符号を付し、以下では一部その説明を省略する。
【0027】
前記のように構成される軸受用キャップ10Bをハブベアリング1に装着する要領を説明する。
図7は、軸受用キャップ10Bを外輪2の車体側開口部20に軸受空間S側(車輪側)に向け装着する過程であって、キャップ本体11の外周縁部11a及び環状シール部12のリップ部12aの一部が、前記周溝22の車体側溝壁22aを通過した状態を示している。
図7において、軸受用キャップ10Bは原形状であることを示している。そして、キャップ本体11の外周縁部11aの最大径d2は、周溝22の車体側溝壁22aの最小径d1より小さく、さらに、環状シール部12のリップ部12aの最大径d3は周溝22の車体側溝壁22aの最小内径d1より大で、溝底壁22bの内径d4より小とされている。軸受用キャップ10Bの被作用部11bに固着されている環状シール部12に圧入治具40を宛がい、当該圧入治具40を白抜矢印a方向に圧入操作させることによって、環状シール部12のリップ部12aが車体側溝壁22aの車体側角部が面取されたテーパ状の外壁面22aaに当接し、その後、外壁面22aaの相対作用を受けて縮径方向に弾性変形して、車体側溝壁22aの最小径d1部を弾接しながら通過する。このとき、キャップ本体11の外周縁部11aの最大径d2は、周溝22の車体側溝壁22aの最小径d1より小とされているから、外周縁部11aがこの通過の障害とならず、リップ部12aと共に車体側溝壁22aの最小径d1部を通過しようとする。ここで用いられる圧入治具40は、先端部の内径側が車輪側に突出した形状とされ、この突出部の外径側が車輪側に向け漸次縮径するテーパ面40aとされている。
【0028】
周溝22の車輪側溝壁22cの内径d5は、外周縁部11aの最大径d2より小とされており、圧入治具40による圧入操作をさらに継続すると、リップ部12aが車輪側溝壁22cの内壁面22caに当接する。その後さらに、圧入操作を継続すると、車輪側溝壁22cの内径d5が外周縁部11aの最大径d2より小とされ、且つ、内壁面22caが圧入方向aに直交するよう形成されているので、被作用部11b及びリップ部12aが、車輪側溝壁22cの内壁面22caによって規制され、車輪側への変位が阻止される。このように被作用部11b及びリップ部12aが車輪側への変位が阻止された状態で、さらに圧入治具40による圧入操作を継続すると、圧入治具40のテーパ部40aが、折返部片11beを外径側に押しやるように作用する。これに伴い、折返部片11beがこの部分を覆うリップ部12aと共に、周溝22内に没入される。この没入は、円筒部11bdの一部がかしめられ、折返基部11baの外径側に連続するように変形し、このかしめ変形に伴い外周縁部11aは、周溝22の溝底部22bに向かって拡径変位する。そして、この外周縁部11aの拡径によって、リップ部12aが周溝22の溝底部22b及び車体側溝壁22aの内壁面22abに弾性変形を伴い弾接する。これによって、軸受用キャップ10Bが、外輪2の車体側内径部21に安定的に装着され、外輪2の車体側開口部20が密封される。この装着部は、前記と同様に金属同士の嵌合ではなく、リップ部12aを介した弾性的な密嵌状態となり、優れた密封性が確保される。しかも、キャップ本体11の外周縁部11aは拡径して周溝22に嵌入した状態とされるから、外周縁部11aが周溝22に拘束され、安定した装着性が得られる。したがって、金属同士の嵌合のように、嵌合強度を確保するためにキャップ本体11の板厚を大きくする必要がない。
【0029】
前記のように軸受用キャップ10Bが装着された状態で
図6に示すようなハブベアリング1が構成され、軸受用キャップ10Bの環状円板部11dを介して環状磁石9に対峙するよう車体側に磁気センサ30が設置される。これによって、車輪の回転検出装置が構成されると共に、環状磁石9に対する泥水や塵埃等のアタックが阻止され、これらによる環状磁石の傷つきが抑えられる。しかも、キャップ本体11の板厚を小さくすることができるから、環状磁石9と磁気センサ30とのエアギャップを小さくすることができ、加えて、キャップ本体11が前記と同様に非磁性の金属製板材製であるから、回転検出精度の高い回転検出装置を構成することができる。また、本実施形態においても、環状円板部11dと被作用部11bとの間に段差状の連接部11cが介在していることにより、圧入治具40による圧入操作の際、圧入に伴う応力が環状円板部11dにおよび難く、環状円板部11dの波打ち等の変形の発生を抑えることができる。これによって、キャップ本体11をより薄手の金属製板材で作製することができ、エアギャップをより小さくすることができる。また、本実施形態の軸受用キャップ10Bおいても、稼働中の軸受空間Sの内圧の上昇によって外れる懸念がない。
【0030】
図8及び
図9は、本発明に係る軸受用キャップの第四の実施形態を示す。本実施形態の軸受用キャップ10Cにおけるキャップ本体11では、圧入治具の被作用部11bが、キャップ本体11の外周縁部11aから折り返された折返部とされ、第二の実施形態と同様に、折返部の最外周部が外周縁部11aとされている。さらに詳しくは、被作用部11bは、
図9の原形に示すように、連接部11cを介して前記と同様の環状円板部11dに連接される折返基部11baと、該折返基部11baの外径側から屈曲部11bfを経て車体側に鋭角に折り返された、後記するように外周縁部11aとなる部分を含むテーパ形状の折返部片11bgとからなる。そして、環状シール部12は、連接部11c及び被作用部11bの車体側の面(屈曲部11bf及び折返部片11bgの内面も含む)から、折返部片11bg及び屈曲部11bfの外面に沿い車輪側に回り込むようにキャップ本体11に固着され、この回り込み部分の一部が厚肉のリップ部12aとされている。この実施形態では、折返部片11bgから屈曲部11bfに及ぶスリット(不図示)を周方向に沿って適宜間隔毎に設けるようにしても良い。このようなスリットを設けることによって、環状シール部12の形成時に、円筒部11bd及び折返部片11beの内外面間に環状シール部12を効果的に行き渡らせることができる。また、後記するように、圧入治具40による圧入操作の際の、折返部片11bg及び屈曲部11bfのかしめを伴った拡径変形が生じやすくなる。さらに、図例では、回り込み部分の一部を厚肉のリップ部12aとしているが、この実施形態でも回り込み部を薄肉の被覆層の状態としても良い。
なお、環状シール部12は、前記と同様に、外周縁部11aを回り込む部分にのみ固着されていても良い。その他の構成は第一から第三の実施形態と同様であるので、共通部分に同一の符号を付し、以下では一部その説明を省略する。
【0031】
前記のように構成される軸受用キャップ10Cをハブベアリング1に装着する要領を説明する。
図9は、軸受用キャップ10Cを外輪2の車体側開口部20に軸受空間S側(車輪側)に向け装着する過程であって、キャップ本体11の外周縁部11a及び環状シール部12のリップ部12aの一部が、前記周溝22の車体側溝壁22aを通過した状態を示している。
図9において、軸受用キャップ10Bは原形状であることを示している。そして、キャップ本体11の屈曲部11bfの最大径d2は、周溝22の車体側溝壁22aの最小径d1より小さく、さらに、環状シール部12のリップ部12aの最大径d3は周溝22の車体側溝壁22aの最小内径d1よりやや大で、溝底壁22bの内径d4より小とされている。軸受用キャップ10Cの被作用部11bに固着されている環状シール部12に圧入治具40を宛がい、当該圧入治具40を白抜矢印a方向に圧入操作させることによって、環状シール部12のリップ部12aが車体側溝壁22aの車体側角部が面取されたテーパ状の外壁面22aaに当接し、その後、外壁面22aaの相対作用を受けて縮径方向に弾性変形して、車体側溝壁22aの最小径d1部を弾接しながら通過する。このとき、キャップ本体11の屈曲部11bfの最大径d2は、周溝22の車体側溝壁22aの最小径d1より小とされているから、屈曲部11bfがこの通過の障害とならず、リップ部12aと共に車体側溝壁22aの最小径d1部を通過しようとする。ここで用いられる圧入治具40は、第三の実施形態と同様に先端部の内径側が車輪側に突出した形状とされ、この突出部の外径側が車輪側に向け漸次縮径するテーパ面40aとされている。
【0032】
周溝22の車輪側溝壁22cの内径d5は、外周縁部11aの最大径d2より小とされており、圧入治具40による圧入操作をさらに継続すると、リップ部12aが車輪側溝壁22cの内壁面22caに当接する。その後さらに、圧入操作を継続すると、車輪側溝壁22cの内径d5が外周縁部11aの最大径d2より小とされ、且つ、内壁面22caが圧入方向aに直交するよう形成されているので、被作用部11b及びリップ部12aが、車輪側溝壁22cの内壁面22caによって規制され、車輪側への変位が阻止される。このように被作用部11b及びリップ部12aが車輪側への変位が阻止された状態で、さらに圧入治具40による圧入操作を継続すると、圧入治具40のテーパ部40aが、折返部片11bgを外径側に押しやるように作用する。これに伴い、折返部片11bgの一部がかしめられ、折返基部11baの外径側に連続するように変形し、この変形に伴い屈曲部11bfが原形位置より外径側に変位した位置に形成される。これにより外周縁部11aは、実質的に周溝22の溝底部22bに向かって拡径するように変位する。そして、この外周縁部11aの拡径変位によって、リップ部12aが周溝22の溝底部22b及び車体側溝壁22aの内壁面22abに弾性変形を伴い弾接する。これによって、軸受用キャップ10Cが、外輪2の車体側内径部21に安定的に装着され、外輪2の車体側開口部20が密封される。この装着部は、前記と同様に金属同士の嵌合ではなく、リップ部12aを介した弾性的な密嵌状態となり、優れた密封性が確保される。しかも、キャップ本体11の外周縁部11aは拡径して周溝22に嵌入した状態とされるから、外周縁部11aが周溝22に拘束され、安定した装着性が得られる。したがって、金属同士の嵌合のように、嵌合強度を確保するためにキャップ本体11の板厚を大きくする必要がない。
【0033】
前記のように軸受用キャップ10Cが装着された状態で
図8に示すようなハブベアリング1が構成され、軸受用キャップ10Cの環状円板部11dを介して環状磁石9に対峙するよう車体側に磁気センサ30が設置される。これによって、車輪の回転検出装置が構成されると共に、環状磁石9に対する泥水や塵埃等のアタックが阻止され、これらによる環状磁石の傷つきが抑えられる。しかも、キャップ本体11の板厚を小さくすることができるから、環状磁石9と磁気センサ30とのエアギャップを小さくすることができ、加えて、キャップ本体11が前記と同様に非磁性の金属製板材製であるから、回転検出精度の高い回転検出装置を構成することができる。また、本実施形態においても、環状円板部11dと被作用部11bとの間に段差状の連接部11cが介在していることにより、圧入治具40による圧入操作の際、圧入に伴う応力が環状円板部11dにおよび難く、環状円板部11dの波打ち等の変形の発生を抑えることができる。これによって、キャップ本体11をより薄手の金属製板材で作製することができ、エアギャップをより小さくすることができる。また、本実施形態の軸受用キャップ10Cおいても、稼働中の軸受空間Sの内圧の上昇によって外れる懸念がない。
【0034】
なお、前記実施形態において、キャップ本体11の形状は、上述のものに限定されず、圧入冶具40を作用させることによって、外周縁部11aを含む外径側部分が拡径変形して、環状シール部12と共に外輪2の周溝22に嵌入して、外輪2に一体に装着されるものであれば、キャップ本体11は他の形状のものであっても良い。また、本発明に係る軸受用キャップが適用される軸受装置としてハブベアリングを例示したがこれに限定されず、外輪の一端部側開口部が密封されることが必要とされる軸受装置であれば、他の軸受装置にも望ましく適用可能である。さらに、当該軸受用キャップを構成する環状シール部12も図例のものに限定されず、少なくともキャップ本体11の外周縁部11aに固着される部分を含むものであれば他の形状のものであっても良い。加えて、キャップ本体11を構成する非磁性の金属製板材としてオーステナイト系ステンレス鋼板を例示したが、他の非磁性の金属製板材によって構成するようにしても良い。