(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放水台車と前記ホース台車は、前記放水現場まで走行するときに走行経路に指標を付け、前記ホース台車は、前記指標に基づいて前記給水現場まで走行することを特徴とする請求項7に記載のホース配索方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の消防システムにあっては、作業者がリモコン装置により放水ロボットを走行させることで発火部まで移動させており、このとき、ロール状に巻き取られたホースを消防自動車から繰出すこととなる。ところが、消防自動車から発火部までの道路は、直線道路に限るものではなく、曲がり角を有する道路の場合が多い。放水ロボットは、消防自動車から繰出されたホースを引きずりながら発火部まで移動するため、放水ロボットが曲がり角を曲がったとき、ホースが曲がり角に引っかかってしまい、ホースを円滑に移動することが困難となる。また、放水ロボットにロール状のホースを搭載し、放水ロボットが発火部まで移動するとき、ロール状に巻き取られたホースを繰出すことが考えられる。しかし、消防自動車から発火部までの道路距離は不明確であり、放水ロボットが発火部に到着したとき、放水ロボットに繰出していないホースが残っていると、ロール状にホース内には水を送り出すことができない。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、放水用のホースを給水設備から放水現場まで適正に配索することで遠隔で放水作業を行うことができる放水システム及びホース配索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の放水システムは、放水装置を有する放水台車と、一端部が前記放水装置に連結された放水用のホースを収納可能であると共に繰り出し可能なホース台車と、前記ホース台車を自走可能とするホース台車駆動装置と、前記放水台車と前記ホース台車とを連結可能であると共に連結解除可能な連結装置と、前記ホース台車駆動装置と前記連結装置を遠隔により操作可能な操作装置と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、放水台車とホース台車が給水現場から走行して放水現場まで移動し、連結装置により放水台車とホース台車との連結を解除し、放水台車を放水現場に配置したまま、ホース台車がホースを繰出しながら走行して給水現場まで戻る。そのため、ホース台車は、ホースを引きずることはなく、また、ホースが曲がり角に引っかかることもなく、ホースを円滑に配索することができる。また、給水現場から放水現場までの距離が不明確であっても、ホース台車に残った余分な長さのホースは、給水現場で弛ませればよく、ホースを給水設備に適正に連結することができる。その結果、放水用のホースを給水設備から放水現場まで適正に配索することで遠隔で放水作業を行うことができる。
【0009】
本発明の放水システムでは、前記放水台車を自走可能とする放水台車駆動装置が設けられ、前記放水台車は、前記連結装置により連結された前記ホース台車をけん引可能であることを特徴としている。
【0010】
従って、放水台車が自走してホース台車をけん引することから、放水台車とホース台車をそれぞれ自走可能とすることで、各台車に対応する機能を振り分けることで、一方の台車の構造の複雑化や大型化を抑制することができる。
【0011】
本発明の放水システムでは、前記ホース台車は、前記連結装置により連結された前記放水台車をけん引可能であることを特徴としている。
【0012】
従って、ホース台車が自走して放水台車をけん引することから、放水台車に自走設備を搭載する必要がなくなり、構造の簡素化及び低コスト化することができる。
【0013】
本発明の放水システムでは、前記放水台車または前記ホース台車は、走行経路に指標を配置する指標配置装置を有し、前記ホース台車は、前記指標を検出可能な指標検出装置を有することを特徴としている。
【0014】
従って、放水台車とホース台車が給水現場から放水現場まで移動するとき、指標配置装置により走行経路に指標を付けるため、ホース台車が給水現場まで戻るとき、指標検出装置により指標に基づいて給水現場まで適正に戻ることができる。
【0015】
本発明の放水システムでは、前記ホース台車は、前記ホース台車駆動装置により自走可能な主ホース台車と、前記主ホース台車によりけん引される副ホース台車を有することを特徴としている。
【0016】
従って、主ホース台車がけん引可能な副ホース台車を設けることで、給水現場から放水現場までの距離が長くなっても、ホースを適正に配索することができる。
【0017】
本発明の放水システムでは、前記ホースは、他端部を前記ホース台車から外して給水設備に連結可能であることを特徴としている。
【0018】
従って、ホースをホース台車から外して他端部を給水設備に連結することができることから、ホース台車に残った余分な長さのホースを給水現場で弛ませることができ、ホースを折ることなく適正に配索することができる。
【0019】
また、本発明のホース配索方法は、給水現場から放水台車とホース台車を連動して放水現場まで走行させる工程と、前記放水台車を前記放水現場に配置してホースを繰出しながら前記ホース台車を前記給水現場まで走行させる工程と、前記給水現場で前記ホースを前記ホース台車から外して給水設備に連結する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0020】
従って、ホース台車は、ホースを引きずることはなく、また、ホースが曲がり角に引っかかることもなく、ホースを円滑に配索することができる。また、給水現場から放水現場までの距離が不明確であっても、ホース台車に残った余分な長さのホースは、給水現場で弛ませればよく、ホースを給水設備に適正に連結することができる。その結果、放水用のホースを給水設備から放水現場まで適正に配索することで遠隔で放水作業を行うことができる。
【0021】
本発明のホース配索方法では、前記ホース台車は、前記給水現場から前記放水現場まで走行した経路と同じ経路を通って前記放水現場から前記給水現場に戻ることを特徴としている。
【0022】
従って、ホース台車が新たな走行経路を捜索する必要はなく、放水現場から給水現場に適正に戻ることができ、また、新たな走行経路を捜索するための機能を不要として、構造の簡素化を図ることができる。
【0023】
本発明のホース配索方法では、前記放水台車と前記ホース台車は、前記放水現場まで走行するときに走行経路に指標を付け、前記ホース台車は、前記指標に基づいて前記給水現場まで走行することを特徴としている。
【0024】
従って、簡単な構成でホース台車が給水現場まで戻ることができる。
【0025】
本発明のホース配索方法では、前記放水台車と前記ホース台車は、いずれか一方が他方をけん引して走行することを特徴としている。
【0026】
従って、放水台車とホース台車を適正に放水現場まで移動することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の放水システム及びホース配索方法によれば、放水台車とホース台車を放水現場まで走行させ、放水台車を放水現場に配置してホースを繰出しながらホース台車を給水現場まで戻し、ホースを給水設備に連結するので、放水用のホースを給水設備から放水現場まで適正に配索することで遠隔で放水作業を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る放水システム及びホース配索方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0030】
[第1実施形態]
図1から
図4は、第1実施形態の放水システムによるホース配索方法を表す概略図、
図5は、放水システムにおける放水台車を表す概略構成図、
図6は、放水システムにおけるホース台車を表す概略構成図である。
【0031】
第1実施形態の放水システムは、
図1、
図5及び
図6に示すように、放水台車11と、ホース台車12と、給水設備としてのポンプ車13と、放水台車11及びホース台車12を遠隔操作する操作装置14とを有している。
【0032】
放水台車11は、中空形状をなすフレーム21の下部に移動装置22が設けられることで移動可能となっている。この移動装置22は、フレーム21の下部に設けられた4個の走行車輪としての前輪23及び後輪24を有しており、前輪23及び後輪24は、フレーム21の内部に配置された電動モータを有する駆動装置(放水台車駆動装置)25により駆動回転可能となっている。なお、移動装置22は、前輪23及び後輪24に限らず、例えば、クローラであってもよい。また、前輪23は、操舵装置26が連結されており、操舵装置26により前輪23を操舵することで、放水台車11の走行方向を変更することができる。
【0033】
フレーム21は、内部に制御装置27が設けられている。制御装置27は、駆動装置25と操舵装置26を制御可能である。また、フレーム21は、内部にバッテリ(二次電池)28が設けられている。バッテリ28は、駆動装置25と制御装置27に接続され、電力を供給している。
【0034】
フレーム21は、上部に放水装置29が設けられている。放水装置29は、フレーム21に固定される放水台30と、放水台30に支持される放水銃31とを有しており、制御装置27により駆動制御可能となっている。即ち、制御装置27は、放水装置29の駆動部29aを駆動制御することで、放水銃31を上下及び左右に移動して向きを変えることができる。そして、放水装置29は、放水銃31に放水用のホース32の一端部が連結されている。
【0035】
フレーム21は、無線装置33が設けられており、無線装置33は、アンテナ34を有し、制御装置27に接続されている。また、放水台車11は、フレーム21にカメラ35、前方探知センサ36、GPSセンサ37が設けられており、制御装置27に接続されている。
【0036】
ホース台車12は、中空形状をなすフレーム41の下部に移動装置42が設けられることで移動可能となっている。この移動装置42は、フレーム41の下部に設けられた4個の走行車輪としての前輪43及び後輪44を有しており、前輪43及び後輪44は、フレーム41の内部に配置された電動モータを有する駆動装置(ホース台車駆動装置)45により駆動回転可能となっている。なお、移動装置42は、前輪43及び後輪44に限らず、例えば、クローラであってもよい。また、後輪44は、操舵装置46が連結されており、操舵装置46により後輪44を操舵することで、ホース台車12の走行方向を変更することができる。
【0037】
フレーム41は、内部に制御装置47が設けられている。制御装置47は、駆動装置45と操舵装置46を制御可能である。また、フレーム41は、内部にバッテリ(二次電池)48が設けられている。バッテリ48は、駆動装置45と制御装置47に接続され、電力を供給している。
【0038】
フレーム41は、上部にホース巻取装置49が設けられている。ホース巻取装置49は、フレーム41に固定されるホースブラケット50と、ホースブラケット50に回転自在に支持されるホース回転ドラム51とを有しており、制御装置47により駆動制御可能となっている。即ち、制御装置47は、ホース巻取装置49の駆動部49aを駆動制御することで、ホース回転ドラム51を巻取方向及び繰出方向に回転することができ、ホース32をロール状に巻き取り可能であると共に繰り出し可能である。そして、ホース巻取装置49は、放水用のホース32の他端部を巻き取って収納している。
【0039】
フレーム41は、無線装置53が設けられており、無線装置53は、アンテナ54を有し、制御装置47に接続されている。また、ホース台車12は、フレーム41に指標検出装置55が設けられており、制御装置47に接続されている。
【0040】
放水台車11とホース台車12は、連結装置61により連結可能であると共に連結解除可能となっている。放水台車11は、後部に連結金具62が設けられ、ホース台車12は、前部に連結金具63が設けられており、連結金具62,63は、連結装置61により連結されている。即ち、放水台車11とホース台車12は自走可能であり、放水台車11は、連結装置61により連結されたホース台車12をけん引可能であり、ホース台車12は、連結装置61が解除されて放水台車11から離脱した後に自走する。図示しないが、連結装置61は、ホース台車12の制御装置47により作動可能となっている。なお、連結装置61を放水台車11の制御装置27により作動可能としてもよく、また、放水台車11及びホース台車12の各制御装置27,47により作動可能としてもよい。
【0041】
ポンプ車13は、作業者が運転操作することで走行可能な車両であって、車体71の後部にタンク72を設けられて構成されている。
【0042】
操作装置14は、作業者により操作可能であり、制御装置81が接続されている。この制御装置81は、無線装置82が設けられており、無線装置82は、アンテナ83を有している。操作装置14は、制御装置81に操作指令を送ることで、その操作指令を無線装置82,33により放水台車11の制御装置27に出力可能であると共に、無線装置82,53によりホース台車12の制御装置47に出力可能である。即ち、操作装置14は、放水台車11、ホース台車12、連結装置61を遠隔により操作可能となっている。
【0043】
ここで、上述した放水台車11は、駆動装置25によりを自走することができ、連結装置61により連結されたホース台車12をけん引することができる。また、ホース台車12は、連結装置61により放水台車11との連結が解除されたとき、駆動装置45により自走することができる。更に、ホース32は、一端部が放水台車11の放水装置29に連結され、他端部がホース台車12のホース巻取装置49にロール状に巻き取られており、ホース巻取装置49から外したとき、ポンプ車13に連結することができる。
【0044】
ここで、第1実施形態の放水システムによるホース配索方法並びに消火方法について説明する。ここで、
図1に示すように、操作装置14や制御装置81は、管理エリアA1における管理棟などに配置されており、ポンプ車13は、給水エリア(給水現場)A2における所定の位置まで進入可能である。そして、放水台車11とホース台車12は、遠隔操作により給水エリアA2の建物Bを避けて道路を走行し、放水エリア(放水現場)A3まで移動する。放水エリアA3は、放水対象物Cがあり、例えば、高温雰囲気の火災現場、爆発などの危険性がある現場、放射線汚染区域である現場であり、作業者が近づくことが困難な現場である。
【0045】
第1実施形態のホース配索方法は、
図1に示すように、給水エリアA2から放水台車11とホース台車12を連動して放水エリアA3まで走行させる工程と、放水台車11を放水エリアA3に配置してホース32を繰出しながらホース台車12を給水エリアA2まで走行させる工程と、給水エリアA2でホース32をホース台車12から外してポンプ車13に連結する工程とを有している。
【0046】
このとき、ホース台車12は、給水エリアA2から放水エリアA3まで走行した経路と同じ経路を通って放水エリアA3から給水エリアA2に戻る。そして、放水台車11とホース台車12が放水エリアA2まで走行するとき、走行経路Rに指標を付け、ホース台車12がこの指標に基づいて給水エリアA2まで戻る。
【0047】
以下、ホース配索方法を具体的に説明する。放水台車11とホース台車12は、図示しない車両に搭載されて給水エリアA2まで移動し、ポンプ車13は、自走して給水エリアA2まで移動する。作業者は、管理エリアA1にて、遠隔操作により放水台車11とホース台車12の駆動を制御する。
【0048】
放水台車11は、連結装置61によりホース台車12が連結されており、ホース台車12をけん引可能となっている。作業者は、操作装置14により放水台車11を走行させることでホース台車12を追従させる。すると、放水台車11は、給水エリアA2の各建物Bを避けるようにして道路を走行し、放水エリアA3まで移動する。放水台車11が走行するとき、カメラ35は、前方を撮影して画像を取得し、前方探知センサ36は、前方の障害物を認識し、GPSセンサ37は、現在の走行位置を取得する。制御装置27は、前方の画像と前方の障害物と現在の走行位置を無線装置33,82により管理エリアA1の制御装置81に送る。作業者は、これらの情報に基づいて放水台車11の駆動装置25と操舵装置26を駆動制御する。
【0049】
図2に示すように、放水台車11とホース台車12が規制ラインL1を超えて放水エリアA3に到着すると、作業者は、操作装置14により放水台車11を停止して放水対象物Cに向けて配置し、連結装置61を作動して放水台車11とホース台車12との連結を解除する。そして、
図3に示すように、作業者は、操作装置14によりホース台車12を走行させ、規制ラインL1を超えて給水エリアA2まで戻すと共に、ホース32を繰り出して配索する。ホース台車12は、駆動装置45により所定の速度で走行すると共に、ホース巻取装置49により所定の速度で駆動装置45と同期してホース32を繰り出す。このとき、ホース台車12の走行速度とホース32の繰り出し速度を同速とすることで、ホース32は、引きずったり、弛んだりすることなく適正に配索される。
【0050】
また、放水台車11とホース台車12が給水エリアA2から放水エリアA3まで走行するとき、走行経路Rに指標を付け、ホース台車12がこの指標に基づいて放水エリアA3から給水エリアA2まで戻る。
図7は、走行経路に指標を付する概略図、
図8は、走行経路に指標を付する変形例を表す概略図である。
【0051】
図7に示すように、ホース台車12は、走行経路Rに指標を付けることが可能な指標配置装置56を有しており、所定の走行距離ごとにコーン(指標)101を配置することができる。また、ホース台車12は、コーン101を検出可能な指標検出装置55を有しており、走行経路Rに配置されたコーン101を検出することができる。そのため、放水台車11とホース台車12が給水エリアA2から放水エリアA3に移動するとき、指標配置装置56により所定の走行距離ごとにコーン101を配置し、ホース台車12が放水エリアA3から給水エリアA2に戻るとき、指標配置装置56がコーン101を検出して走行経路Rに沿って走行する。この場合、指標検出装置55は、光学的または電気的にコーン101を検出することができる。
【0052】
なお、指標は、ホース台車12が配置するコーン101に限定されるものではない。例えば、
図8に示すように、放水台車11が巻き取った電源コード102を繰り出し可能なコード巻取装置57を有しており、この電源コード102は、給水エリアA2に設置された電源部103に接続されている。そのため、放水台車や11とホース台車12が給水エリアA2から放水エリアA3に移動するとき、コード巻取装置57が電源コード102を繰り出していき、ホース台車12が放水エリアA3から給水エリアA2に戻るとき、指標配置装置56が電源コード102を検出して走行経路Rに沿って走行する。
【0053】
ホース台車12が給水エリアA2に戻り、ホース32が放水エリアA3と給水エリアA2との間に配索されると、
図4に示すように、給水エリアA2にて、作業者は、ホース台車12からホース32を外し、余剰部分をその周辺に弛ませた後、端部をポンプ車13に連結する。そして、作業者は、操作装置14により放水台車11の放水装置29を作動し、放水対象物Cに向けて放水を開始する。なお、ホース台車12やポンプ車13にホース接続装置を設けることで、ホース台車12からホース32を外すことなく、余剰部分を作って端部をポンプ車13に連結するようにしてもよい。
【0054】
なお、本実施例の放水システムは、1台のホース台車12を適用したが、この構成に限定されるものではない。
図9は、第1実施形態の放水システムの変形例を表す概略図、
図10は、変形例の放水システムの作用を表す概略図である。
【0055】
図9に示すように、放水台車11に対して、主ホース台車12Aと副ホース台車12Bが設けられている。主ホース台車12Aは、ホース台車12と同様に、ホース台車駆動装置(図示略)により自走可能であり、副ホース台車12Bは、主ホース台車12Aによりけん引可能となっている。そして、主ホース台車12Aは、ホース巻取装置49Aが搭載され、ホース32Aを巻取り可能であり、副ホース台車12Bは、ホース巻取装置49Bが搭載され、ホース32Bを巻取り可能である。この場合、ホース巻取装置49Bは、スイベルジョイント(図示略)を有し、ホース32Aとホース32Bを連結している。そして、放水台車11は、連結装置61Aにより副ホース台車12Bが連結され、副ホース台車12Bは、連結装置61Bにより主ホース台車12Aが連結されている。
【0056】
そのため、放水台車11と各ホース台車12A,12Bは、給水エリアA2から放水エリアA3に移動するとき、各連結装置61A,61Bにより連結された状態で走行することができる。一方、各ホース台車12A,12Bが放水エリアA3から給水エリアA2に戻るとき、まず、各ホース台車12A,12Bが連結装置61Bにより連結された状態で走行し、途中で連結装置61Bを解除し、主ホース台車12Aだけが給水エリアA1まで移動する。
【0057】
このように第1実施形態の放水システムにあっては、放水装置29を有する放水台車11と、一端部が放水装置29に連結された放水用のホース32をロール状に巻き取り可能であると共に繰り出し可能なホース台車12と、ホース台車12を自走可能とする駆動装置45と、放水台車11とホース台車12とを連結可能であると共に連結解除可能な連結装置61と、駆動装置45と連結装置61を遠隔により操作可能な操作装置14とを設けている。
【0058】
従って、放水台車11とホース台車12が給水エリアA2から走行して放水エリアA3まで移動し、連結装置61により放水台車11とホース台車12との連結を解除し、放水台車11を放水エリアA3に配置したまま、ホース台車12がホース32を繰出しながら走行して給水エリアA2まで戻る。そのため、ホース台車12は、ホース32を引きずることはなく、また、ホース32が曲がり角に引っかかることもなく、ホース32を円滑に配索することができる。また、給水エリアA2から放水エリアA3までの距離が不明確であっても、ホース台車12に残った余分な長さのホース32は、給水エリアA2で弛ませればよく、ホース32をポンプ車13に適正に連結することができる。その結果、放水用のホース32をポンプ車13から放水エリアA3まで適正に配索することで、遠隔で放水作業を行うことができる。
【0059】
第1実施形態の放水システムでは、放水台車11を自走可能とする駆動装置25を設け、放水台車11は、連結装置61により連結されたホース台車12をけん引可能としている。従って、放水台車11が自走してホース台車12をけん引可能であると共に、ホース台車12が自走可能であることから、各台車11,12に対応する機能を振り分けることで、一方の台車11,12の構造の複雑化や大型化を抑制することができる。
【0060】
第1実施形態の放水システムでは、ホース台車12に走行経路Rにコーン101を配置する指標配置装置56を設けると共に、コーン101を検出可能な指標検出装置55を設けている。従って、放水台車11とホース台車12が給水エリアA2から放水エリアA3まで移動するとき、指標配置装置56により走行経路Rにコーン101を配置するため、ホース台車12が給水エリアA2まで戻るとき、指標検出装置55によりコーン101を検出しながら給水エリアA2まで適正に戻ることができる。
【0061】
第1実施形態の放水システムでは、駆動装置45により自走可能な主ホース台車12Aと、主ホース台車12Aによりけん引される副ホース台車12Bとを設けている。従って、主ホース台車12Aがけん引可能な副ホース台車12Bを設けることで、給水エリアA2から放水エリアA3までの距離が長くなっても、ホース32A,32Bを適正に配索することができる。この場合、副ホース台車12Bは、1台に限定されるものではなく、必要に応じて複数台設けてもよい。
【0062】
第1実施形態の放水システムでは、ホース32をホース台車12から外して他端部をポンプ車13に連結可能としている。ホース32をホース台車12から外してポンプ車13に連結することができることから、ホース台車12に残った余分な長さのホース32を給水エリアA2で弛ませることができ、ホース32を折ることなく適正に配索することができる。
【0063】
また、第1実施形態のホース配索方法にあっては、給水エリアA2から放水台車11とホース台車12を連動して放水エリアA3まで走行させる工程と、放水台車11を放水エリアA3に配置してホース32を繰出しながらホース台車12を給水エリアA2まで走行させる工程と、給水エリアA2でホース32をホース台車12から外してポンプ車13に連結する工程とを設けている。
【0064】
従って、ホース台車12は、ホース32を引きずることはなく、また、ホース32が曲がり角に引っかかることもなく、ホース32を円滑に配索することができる。また、給水エリアA2から放水エリアA3までの距離が不明確であっても、ホース台車12に残った余分な長さのホース32は、給水エリアA2で弛ませればよく、ホース32をポンプ車13に適正に連結することができる。その結果、放水用のホース32をポンプ車13から放水エリアA3まで適正に配索することで、遠隔で放水作業を行うことができる。
【0065】
第1実施形態のホース配索方法では、ホース台車12は、給水エリアA2から放水エリアA3まで走行した経路と同じ経路を通って放水エリアA3から給水エリアA2に戻るようにしている。従って、ホース台車12が新たな走行経路を捜索する必要はなく、放水エリアA3から給水エリアA2に適正に戻ることができ、また、新たな走行経路を捜索するための機能を不要として、構造の簡素化を図ることができる。
【0066】
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態の放水システムにおけるホース台車を表す概略構成図、
図12は、放水システムにおける放水台車を表す概略構成図、
図13から
図15は、ホース配索方法を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
第2実施形態の放水システムは、
図11及び
図12に示すように、放水台車111と、ホース台車112と、給水設備としてのポンプ車と、放水台車111及びホース台車112を遠隔操作する操作装置とを有している。
【0068】
放水台車111は、フレーム21の下部に移動装置122が設けられることで移動可能となっている。この移動装置122は、フレーム21の下部に設けられた4個の走行車輪としての前輪23及び後輪24を有しており、前輪23及び後輪24は、転動可能となっている。フレーム21は、内部に制御装置27が設けられており、制御装置27は、バッテリ28が接続されている。
【0069】
フレーム21は、上部に放水装置29が設けられている。放水装置29は、フレーム21に固定される放水台30と、放水台30に支持される放水銃31とを有しており、制御装置27により駆動制御可能となっている。フレーム21は、無線装置33が設けられており、無線装置33は、アンテナ34を有し、制御装置27に接続されている。
【0070】
ホース台車112は、フレーム41の下部に移動装置42が設けられることで移動可能となっている。この移動装置42は、フレーム41の下部に設けられた4個の走行車輪としての前輪43及び後輪44を有しており、前輪43及び後輪44は、フレーム41の内部に配置された電動モータを有する駆動装置45により駆動回転可能となっている。フレーム41は、内部に制御装置47が設けられている。制御装置47は、駆動装置45と操舵装置46を制御可能である。また、フレーム41は、内部にバッテリ48が設けられている。バッテリ48は、駆動装置45と制御装置47に接続され、電力を供給している。
【0071】
フレーム41は、上部にホース巻取装置49が設けられている。ホース巻取装置49は、フレーム41に固定されるホースブラケット50と、ホースブラケット50に回転自在に支持されるホース回転ドラム51とを有しており、制御装置47により駆動制御可能となっている。そして、ホース巻取装置49は、放水用のホース32の他端部を巻き取って収容している。
【0072】
フレーム41は、無線装置53が設けられており、無線装置53は、アンテナ54を有し、制御装置47に接続されている。また、ホース台車112は、フレーム41にカメラ35、前方探知センサ36、GPSセンサ37が設けられており、制御装置47に接続されている。
【0073】
放水台車111とホース台車112は、連結装置61により連結可能であると共に連結解除可能となっている。ホース台車112は、後部に連結金具62が設けられ、放水台車111は、前部に連結金具63が設けられており、連結金具62,63は、連結装置61により連結されている。図示しないが、連結装置61は、ホース台車112の制御装置47により作動可能となっている。即ち、放水台車111は自走不能であり、ホース台車112は自走可能であり、ホース台車112は、連結装置61により連結された放水台車111をけん引可能となっている。
【0074】
なお、操作装置(図示略)は、第1実施形態と同様に、作業者により操作可能であり、放水台車111、ホース台車112、連結装置61を遠隔により操作可能となっている。
【0075】
そのため、作業者は、
図13に示すように、操作装置によりホース台車112を走行させることで放水台車111を追従させる。すると、ホース台車112は、給水エリアA2の各建物を避けるようにして道路を走行し、放水エリアA3まで移動する。
図14に示すように、ホース台車112と放水台車111が放水エリアA3に到着すると、作業者は、操作装置によりホース台車112を停止し、連結装置61を作動して放水台車111との連結を解除することで、この放水台車111を放水対象物Cに向けて配置する。そして、作業者は、操作装置によりホース台車112を走行させ、給水エリアA2まで戻すと共に、ホース32を繰り出して配索する。ホース台車112は、駆動装置45により所定の速度で走行すると共に、ホース巻取装置49により所定の速度で駆動装置45と同期してホース32を繰り出す。
【0076】
図15に示すように、ホース台車112が給水エリアA2に戻り、ホース32が放水エリアA3と給水エリアA2との間に配索されると、給水エリアA2にて、作業者は、ホース台車112からホース32を外し、余剰部分をその周辺に弛ませた後、端部をポンプ車13に連結する。そして、作業者は、操作装置により放水台車111の放水装置29を作動し、放水対象物Cに向けて放水を開始する。
【0077】
このように第2実施形態の放水システムにあっては、放水装置29を有する放水台車111と、一端部が放水装置29に連結された放水用のホース32をロール状に巻き取り可能であると共に繰り出し可能なホース台車112と、ホース台車112を自走可能とする駆動装置45と、放水台車111とホース台車112とを連結可能であると共に連結解除可能な連結装置61と、駆動装置45と連結装置61を遠隔により操作可能な操作装置とを設けている。
【0078】
従って、ホース台車112と放水台車111が給水エリアA2から走行して放水エリアA3まで移動し、連結装置61によりホース台車112と放水台車111との連結を解除し、放水台車111を放水エリアA3に配置したまま、ホース台車112がホース32を繰出しながら走行して給水エリアA2まで戻る。そのため、ホース台車112は、ホース32を引きずることはなく、また、ホース32が曲がり角に引っかかることもなく、ホース32を円滑に配索することができる。また、給水エリアA2から放水エリアA3までの距離が不明確であっても、ホース台車112に残った余分な長さのホース32は、給水エリアA2で弛ませればよく、ホース32をポンプ車13に適正に連結することができる。その結果、放水用のホース32をポンプ車13から放水エリアA3まで適正に配索することで、遠隔で放水作業を行うことができる。
【0079】
第2実施形態の放水システムでは、ホース台車112が連結装置61により連結された放水台車111をけん引可能としている。従って、ホース台車112が自走して放水台車111をけん引することから、放水台車111に自走設備を搭載する必要がなくなり、構造の簡素化及び低コスト化することができる。
【0080】
なお、上述した第1、第2実施形態にて、放水台車11,111とホース台車12,112は、バッテリ28,48を搭載したものとしたが、給水エリアA2に電源装置を設置し、電源ケーブルにより電力を供給するように構成してもよい。また、第1、第2実施形態にて、台車駆動方式は、電動モータに限定されるものではなく、防爆性を確保することができれば、液圧式モータやエンジンなどを採用してもよい。更に、通信も無線に限らず、有線としてもよく、この場合、ケーブルドラムで各種のケーブルを走行にあわせて巻出し繰り出しを行うようにする。
【0081】
また、上述した実施形態では、ホース台車12,112にホース32をロール状に巻き取り可能であると共に繰り出し可能なホース巻取装置49を設けたが、ホース32の収納方法は、この方法に限らず、例えば、折り畳んで収納可能であると共に繰り出し可能なホース収納装置を設けてもよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、ホース台車12に指標配置装置56と指標検出装置55を設け、放水台車11とホース台車12が給水エリアA2から放水エリアA3に移動するとき、コーン101(電源ケーブル102)を配置し、ホース台車12が放水エリアA3から給水エリアA2に戻るとき、コーン101を検出して走行経路Rに沿って走行するように構成したが、この構成に限定されるものではない。指標は、コーン101や電源ケーブル102に限らず、別の部材でもよい。また、指標としてのコーン101や電源ケーブル102を配置する以外に、例えば、地面に指標を書いたり(スプレーでのマーキング等)、埋め込んだりするようにしてもよい。更に、ホース台車12にGPSを搭載し、放水台車11とホース台車12が給水エリアA2から放水エリアA3に移動するときの経路を記憶し、ホース台車12が放水エリアA3から給水エリアA2に戻るとき、記憶した経路に沿って走行するようにしてもよい。