(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被クリーニング材の表面に接触しつつ回転して被クリーニング材との間に静電気を発生させながら該被クリーニング材に対して相対移動することによって前記被クリーニング材の表面に付着している異物を前記静電気によって吸着除去するクリーニングローラであって、
少なくとも前記被クリーニング材に接するローラ表面部が熱可塑性ポリウレタン組成物によって形成されており、該ローラ表面部には平均突出高さが0.2μm以上1.0μm以下の複数の微小突起が形成され、該微小突起は、突起間の平均距離が5μm以上36μm以下となるように前記ローラ表面部に形成されていることを特徴とするクリーニングローラ。
前記ローラ表面部が、球状粒子を含む熱可塑性ポリウレタン組成物によって形成され、該球状粒子によって前記微小突起が形成されている請求項1記載のクリーニングローラ。
前記球状粒子は、メラミン樹脂製で平均粒子径が2.5μm以上4.5μm以下であり、該平均粒子径の標準偏差を平均粒子径の値で除した変動係数(CV値)が3.5%以上4.5%以下である請求項2記載のクリーニングローラ。
前記ローラ表面部が、分子構造の少なくとも一部にパーフロロアルキル構造を有する有機フッ素化合物を含む熱可塑性ポリウレタン組成物によって形成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載のクリーニングローラ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面に基づき説明する。
まず、クリーニングローラを備えたクリーニング装置について被クリーニング材が長尺帯状のシートである場合を例にして説明する。
【0014】
図1は、クリーニング装置によって塵埃などの異物を静電気を利用して除去する様子を示した説明図である。
図1に示すように、クリーニング装置1は、被クリーニング材たる樹脂製のシートSをその長手方向に向けて搬送する搬送経路を有し、該搬送経路にクリーニングローラ11を配している。
前記クリーニングローラ11は、シートSの一方の表面S1(以下、「第1面S1」ともいう)に接触するようにクリーニング装置1に配されており、シートSの移動によって共回りするようにクリーニング装置1に配されている。
そして、前記クリーニングローラ11は、シートSに接触しつつ回転してシートSとの間に静電気を発生させながらシートに対して相対移動べくクリーニング装置1に配されている。
【0015】
前記クリーニング装置1は、シートに対して相対移動するクリーニングローラ11(帯電体)を備え、このクリーニングローラ11によってシートSの第1面S1に付着する塵埃などの異物Tを静電気を利用して取り除くものである。
【0016】
前記クリーニングローラ11は、芯金11aと該芯金11aの外周側に設けられた弾性体層11bとを備え、該弾性体層11bが内外2層構造となっている。
【0017】
なお、前記芯金11a(芯棒)は、導電性に優れた部材からなり、その体積抵抗率が1×10
7Ω・cm以下であることが好ましい。
内外2層構造の前記弾性体層11bの内、前記芯金11aの外周に接する内層部11b1は、当該内層部11b1の外周に接する外層部11b2よりも低硬度あるいは略同一の硬度とされる。
また、内層部11b1の電気特性としては、外層部11b2よりも低抵抗であることが好ましく、芯棒11aよりは高抵抗であることが好ましい。
該内層部11b1は、表面抵抗が1×10
10〜1×10
12Ω/□程度であることが好ましく、本実施形態においては、例えば、カーボンブラックなどの導電材を含むポリエステル系ポリウレタンといった導電性エラストマーによって構成されることが好ましい。
【0018】
前記弾性体層11bの内、内層部11b1の外周に接し、且つ、クリーニングローラ11のローラ表面部を形成する外層部11b2は、シートSとの間に発生させる電位に大きく影響を与える部分であり、シートSとの良好な接触状態を確保する上において所定の硬度を有するエラストマーによって所定の厚みとなるように形成されることが好ましい。
【0019】
この外層部11b2は、通常、2〜500μmの平均厚みとされ、好ましくは5〜50μmの平均厚みとされる。
外層部11b2は、JIS−A硬度が50°以上100°以下であることが好ましく、55°以上100°以下であることがより好ましく、65°以上100°以下であることが特に好ましい。
また、前記のように外層部11b2は、内層部11b1よりも高抵抗であることが好ましく、10
8Ω/□以上の表面抵抗率を有することが好ましく、10
10Ω/□以上の表面抵抗率を有することがより好ましく、10
11Ω/□以上の表面抵抗率を有することが特に好ましい。
【0020】
この外層部11b2は、異物に対して良好な電気的吸着力を発揮する一方でシートSとの間には過度な電気的吸引力を発揮させないようにすることが好ましい。
この点について
図2を参照しつつ説明する。
図1に例示のような長尺帯状のシートに対して連続的にクリーニングローラを接触させるような場合と違って、例えば、
図2に示されているようにベルトコンベヤBCの上に載置されて搬送される短いシート片S’に対してクリーニングローラ11’を当接させて前記シート片S’に付着している異物T’を除去する場合、クリーニングローラ11’の外層部11b2’とシート片S’との間に強い静電気的な吸引力が発生すると、
図2下側に図示したようにクリーニングローラ11’にシート片S’が巻き付いてしまうおそれがある。
このようなトラブルを回避するために、単にシート片S’に対する帯電電位を低下させたのでは、クリーニングローラ11’が異物T’を吸着除去する働きをも低下させるおそれを有する。
【0021】
そこで、本実施形態のクリーニングローラ11は、一般的な被クリーニング材に対して適度な電位を発生させるのに有利な熱可塑性ポリウレタン組成物によって外層部11b2を形成させているとともに当該外層部11b2に平均突出高さが0.2μm以上1.0μm以下の複数の微小突起を形成させている。
この微小突起は、平均突出高さが0.3μm以上0.8μm以下であることが好ましく平均突出高さにおける標準偏差(σ)が0.3μm以下であることが好ましい。
該標準偏差(σ)は、0.25μm以下であることがより好ましい。
また、本実施形態のクリーニングローラ11は、突起間の平均距離が5μm以上36μm以下となるように前記微小突起が形成されている。
この突起間の平均距離は、7.5μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0022】
上記のように前記外層部11b2は、平滑な外表面の所々から前記微小突起を突出させており、しかも、該微小突起が適度な間隔を保って適度な高さで平滑面から突出している。
本実施形態のクリーニングローラ11は、外層部11b2が上記のような状態となって備えられていることで、前記外表面が前記シートSの第1面S1に密着してシートSが巻き付くことが抑制される。
【0023】
なお、前記外層部11b2を形成する熱可塑性ポリウレタン組成物は、ベースポリマーとなる熱可塑性ポリウレタンがポリカーボネート系のポリウレタンであることが好ましい。
また、前記外層部11b2を形成する熱可塑性ポリウレタン組成物は、良好なる帯電性をクリーニングローラ11に発揮させる上において分子構造の少なくとも一部にパーフロロアルキル構造を有する有機フッ素化合物を含有することが好ましく、該有機フッ素化合物と前記熱可塑性ポリウレタンとを化学結合させていることが好ましい。
【0024】
前記熱可塑性ポリウレタンとともに外層部11b2を形成する有機フッ素化合物としては、例えば、フッ素系樹脂やフッ素系オリゴマーが挙げられ、フッ素系樹脂としては、パーフロロアルキル基がグラフトされたグラフト共重合体、パーフロロアルキルブロックを有するブロック共重合体が挙げられる。
【0025】
また、有機フッ素化合物を熱可塑性ポリウレタンに化学結合させるには、例えば、前記有機フッ素化合物としてイソシアネート基を有するものを採用し、該イソシアネート基を介して熱可塑性ポリウレタンのウレタン結合部分などに前記有機フッ素化合物を化学結合させればよい。
【0026】
なお、熱可塑性ポリウレタンと上記のような有機フッ素化合物とによって外層部11b2を形成する場合、異物除去を行うシートSや付着異物の材質にもよるが、これらの配合割合が所定の範囲内となるように調整されることが好ましい。
即ち、外層部11b2は、熱可塑性ポリウレタン100質量部に対する有機フッ素化合物の割合が、通常、50質量部以上100質量部以下とされ、前記割合が55質量部以上75質量部以下とされることが好ましい。
【0027】
このような外層部11b2を備えたクリーニングローラ11は、その外周面11sと前記シートSの第1面S1とが接触する位置において前記シートSとの間に電荷の授受を行い、当該接触位置を通過した後のシート表面に対して外周面11sとは逆の電位を発生させる機能を有する。
【0028】
このとき、クリーニングローラ11とシートSとの接触位置を通過した後の異物Tにも同じくクリーニングローラ11とは逆の電位が発生することになる。
そのため、クリーニングローラ11とシートSとの接触位置を通過した後の異物Tには、シートSからの電気的な斥力が作用するとともにクリーニングローラ11との間に電気的な引力が作用する。
本実施形態のクリーニングローラ11は、このようにして異物Tを外周面11sに付着させることでシートSのクリーニングを行うものである。
【0029】
そして、本実施形態のクリーニングローラ11は、前記のように表層部に微小突起が複数備えられていることで、シートSの巻き付きを抑制しつつもの異物Tを吸着除去することができる。
【0030】
この微小突起を形成させる具体的な方法としては、前記外層部11b2を形成させるための前記熱可塑性ポリウレタン組成物に前記微小突起の素となる粒子を含有させることが好ましい。
該粒子としては、定形のものであっても不定形のものであってもよいが、微小突起の突出形状を均一化させる上においては球状であることが好ましい。
このような球状粒子は、平均粒子径が2μm以上5μm以下であることが好ましく、平均粒子径が2.5μm以上4.5μm以下であることがより好ましい。
また、この球状粒子は、平均粒子径に係る標準偏差(σ)を平均粒子径の値で除した変動係数(CV値)が3.0%以上5.0%以下であることが好ましく、変動係数(CV値)が3.5%以上4.5%以下であることがより好ましい。
なお、ここで「平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱法によって求められる体積平均粒子径(Mv)を意味している。
【0031】
また、前記球状粒子は、熱可塑性ポリウレタンよりも硬質であることが好ましい。
しかし、ガラスビーズやセラミックスビーズのように過度に硬質なものを採用すると被クリーニング材を傷付けてしまうおそれがあることから、前記球状粒子は、樹脂製であることが好ましい。
該球状粒子を形成させるための硬質樹脂としては、例えば、メラミン樹脂やアクリル樹脂などが挙げられ、なかでも前記球状粒子は、メラミン樹脂製であることが好ましい。
さらに、メラミン樹脂製の球状粒子のなかでも、水性媒体中に5〜70nmの平均粒子径を有するコロイダルシリカを分散させた懸濁液中で、メラミン化合物とアルデヒド化合物を塩基性条件下で反応させて、水に可溶なメラミン系樹脂の初期縮合物の水溶液を生成させる工程、及び、該工程で得られた水溶液に酸触媒を加えて球状複合硬化メラミン樹脂粒子を析出させる工程とによって得られた球状メラミン樹脂粒子を用いることが好ましい。
このようにして得られたメラミン樹脂製球状粒子は、単に内部にシリカを含んでいるのみならず、前記シリカを表面濃化させている。
即ち、前記球状粒子は、その表層部におけるシリカの濃度が中心部よりも高く、無機物粒子に比べて低弾性でありながらも表面硬度については無機物粒子に近い値を示す。
このことから、シリカ含有メラミン樹脂は、前記熱可塑性ポリウレタン組成物に含有させる球状粒子として好適であるといえる。
【0032】
本実施形態のクリーニング装置1は、このようなクリーニングローラ11がシートSから取り除いた異物Tを当該クリーニングローラ11から除去する機構をさらに備えさせても良い。
このような機構の具体例を挙げると、例えば、外周面におけるタック性がクリーニングローラ11よりも高い粘着ローラを別途設け、該粘着ローラをクリーニングローラ11に当接させてクリーニングローラ11が除去した異物Tを粘着ローラに転写させるような機構が挙げられる。
【0033】
なお、このような場合、比較的大きな塵埃等は粘着ローラなどによってクリーニングローラから容易に除去されうるものの微細な塵埃は除去され難い。
そのため、クリーニングローラ11の外周面11sへの異物の蓄積は粘着ローラなどでは十分に抑制できないおそれがある。
【0034】
そのため、本実施形態のクリーニング装置1においては、クリーニングローラ11に対して定期的に洗浄処理を施すことが好ましい。
この洗浄処理に用いる洗浄剤は、クリーニングローラ11の異物吸着性能が洗浄前よりも大きく低下することを防止する上において、炭化水素系化合物をその主成分としたものを採用することが好ましい。
なお、炭化水素系化合物としては、例えば、常温・常圧(例えば、20℃・1気圧)において液状のものを用いることが好ましい。
常温・常圧において液状で、前記洗浄剤として好適な物質を挙げると、例えば、ノルマルペンタン、ノルマルへキサン、ノルマルヘプタンなどの直鎖状飽和炭化水素、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタンなどの分枝状飽和炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの環状飽和炭化水素が挙げられる。
また、炭化水素系化合物としては、石油ナフサなどの混合物であってもよい。
【0035】
これらの炭化水素系化合物が、クリーニングローラ用洗浄剤として好適であるのは、水やアルコールのような比較的大きな極性を有する洗浄剤でクリーニングローラを洗浄した場合、外層部11b2を構成しているポリマーの極性基が外周面11sにおいて活性化され、逆にパーフロロアルキル基などの極性の低い官能基がこれらの極性基に埋もれる形となってその作用を発揮できなくなるためではないかと考えられる。
即ち、炭化水素系化合物をクリーニングローラ用洗浄剤として用いることで、洗浄前後で異物吸着性能が変化することを抑制させ得る。
【0036】
上記のような作用をより顕著に発揮させ得る点においては、前記炭化水素系化合物として、石油ナフサとノルマルヘキサンとの内の少なくとも一方を用いることが好ましい。
前記洗浄剤は、石油ナフサ及びノルマルヘキサンの合計含有量を90質量%以上とすることが好ましく、95質量%以上とすることがより好ましく、98質量%以上とすることが特に好ましい。
【0037】
なお、ノルマルヘキサンは、クリーニングローラを洗浄した後の乾燥性において優れている。
その一方で、ノルマルヘキサンは、蒸発潜熱によって洗浄後のクリーニングローラの表面温度を低下させ、場合によってはクリーニングローラの表面に結露水を発生させるおそれを有する。
逆に、石油ナフサは、通常、クリーニングローラを洗浄した後にノルマルヘキサンのように素早く乾燥することを期待するのが難しいものの洗浄後のクリーニングローラを結露させるおそれは低い。
【0038】
このようなことから、本実施形態のクリーニングローラに利用する洗浄剤は、石油ナフサとノルマルヘキサンとを併用することが好ましい。
このとき、石油ナフサ及びノルマルヘキサンは、80:20〜20:80の質量比率となるように洗浄剤に含有させることが好ましい。
【0039】
なお、石油ナフサは、初留点が過度に低いものでは結露防止効果が十分に発揮されないおそれがあり、終点が過度に高いものでは洗浄後のクリーニングローラを乾燥させるのに手間がかかるおそれを有する。
このような点において、石油ナフサは初留点及び終点(JIS K2254:1998 常圧法)が何れも100℃以上200℃以下であることが好ましい。
【0040】
本実施形態のクリーニングローラは、上記のような洗浄剤を収容した槽に浸漬して洗浄する浸漬洗浄方法、ノズルのようなものを使って洗浄剤を吹き付けるスプレー洗浄方法、洗浄剤を含浸した布帛やスポンジで外周面を拭き取る拭き取り洗浄方法など各種の洗浄処理方法によって表面付着している異物を除去してクリーニング性能を向上させうる。
また、このような洗浄方法においては、洗浄剤を必要に応じて加熱状態、又は、冷却状態で用いるようにしてもよい。
即ち、本実施形態においては、常温・常圧において固形状や半固形状である炭化水素(例えば、ワックスなど)を加熱して液状とした上で洗浄剤として用いても良く、常温・常圧において揮発性の高い炭化水素を冷却状態にして洗浄剤として用い、洗浄中において洗浄剤が作業環境中に散逸されてしまうことを防止するようにしてもよい。
【0041】
そして、本実施形態の洗浄剤を用いてクリーニングローラを洗浄処理した際には、洗浄剤としてアルコールを使った場合などに比べて、クリーニングローラの外周面におけるフッ化物の存在割合の低下を生じ難い。
このような点からも本実施形態のクリーニングローラは、洗浄後に優れたクリーニング性能を発揮し易い。
【0042】
なお、本実施形態においては、クリーニング装置やクリーニングローラなどについて上記のような例示を行っているが、本発明のクリーニングローラは上記例示に何等限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(評価用クリーニングローラの作製:実施例1)
まず、導電性カーボンブラック(商品名「ケッチェンブラックEC300J」)を0.5質量%の濃度で含むポリエステルポリオールとTDI(トリレンジイソシアネート)とを混合してウレタン溶液を調整した。
内径約40mmの円柱状の空間を有する金型内に芯金を仕込み、この金型内に前記ウレタン溶液を注ぎ入れて該ウレタン溶液を熱硬化させることによって、芯金の外周に導電性を有するポリエステル系ポリウレタンを接着させ、該ポリエステル系ポリウレタンによって弾性体層の内層部を形成させた。
この内層部の外周面を研磨し、外径φ40mmの一次ローラを作製した。
なお、この内層部(ポリエステル系ポリウレタン)のJIS−A硬度は、30度であった。
【0045】
次いで、JIS−A硬度が80度の熱可塑性を有するポリカーボネート系ポリウレタン(日本ミラクトラン社製、商品名「E980」)をテトラヒドロフラン(THF)で溶解し、13.6質量%濃度の溶液を作製した。
この溶液400g、有機フッ素化合物(大日精化社製、末端にイソシアネート基を有するフッ素系共重合体樹脂、商品名「ダイアロマーFF121D」)26g、平均粒子径3.5μmの球状粒子(日産化学工業社製、メラミン樹脂粒子(シリカを中心部よりも表層部に多く含むメラミン樹脂粒子)、商品名「オプトビーズ3500M」)1.16g、及び、THF254gとを秤量し、これらを混合して外層部を形成させるためのコーティング液(粘度34mPa・s)を作製した。
前記一次ローラをこのコーティング液中に浸漬させた後に引き上げ、110℃のオーブン中で溶媒(THF)を揮発除去させるとともにフッ素系共重合体樹脂をイソシアネート基を介して熱可塑性ポリウレタンのウレタン結合部分に化学結合させ、前記コーティング液の乾燥被膜により弾性体層の外層部を形成させた。
こうして得られた評価用クリーニングローラを以下のように評価した。
【0046】
1)表面の顕微鏡観察による評価
株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡、商品名「VK−9510」にて400倍(接眼レンズ50倍)にて評価用クリーニングローラの表面部を測定した。
【0047】
(突起間平均距離)
レーザー顕微鏡で撮影した画像について、撮影画像(視野206.71μm角)中における任意の微小突起を選択し、その微小突起の中心とその微小突起に最も近い微小突起の中心との2点間距離をプロファイル測定モードで計測した。
同様に別の微小突起についても2点間距離を測定し、合計30点の微小突起について2点間距離を測定した。
そして、この30点の2点間距離の算術平均を突起間の平均距離とした。
【0048】
(平均突出高さ)
レーザー顕微鏡で撮影した画像について、撮影画像(視野206.71μm角)中における任意の微小突起を選択し、その微小突起の中心を横切る形で微小突起の断面曲線を求め、断面曲線を傾き補正した後、断面曲線を用いて基準面から微小突起の頂点までの高さをプロファイル測定モードで計測した。
これを合計10点の微小突起について実施し、算術平均値を微小突起の平均突出高さとした。
【0049】
2)タック力の評価
プローブ式タック試験器のプローブ先端に長さ76mm×幅25mmのスライドガラス製の専用治具を取り付け、評価用クリーニングローラの外周面とスライドガラス製治具とのタック力(kgf/76mm)を測定した。
【0050】
3)クリーニング性評価
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムの表面に繊維を散布したものを用意した。
なお、繊維は株式会社理仁製「綿繊維(繊維長さ50〜100μm)」を用い、PETフィルムは三菱樹脂株式会社製の商品名「ダイアホイルS100」を用いた。
これを、評価用クリーニングローラを装着した静電除塵装置(バンドー化学社製、商品名「MDEC」)に供給して異物除去率を求めた。
なお、異物除去率の算出は、静電除塵装置の通過前後におけるPETフィルム上の単位面積当たりの異物付着数、及び、繊維散布前のPETフィルム上の単位面積当たりの異物付着数を計測し、下記式にて算出した。
異物除去率=100−{(C−A)/(B−A)}×100(%)
A:繊維散布前のPETフィルム上の異物付着数
B:繊維散布後、静電除塵装置通過前のPETフィルム上の異物付着数
C:静電除塵装置通過後のPETフィルム上の異物付着数
【0051】
4)PETフィルムの巻き付き評価
厚み25μm、50μm、100μmの3種類のPETフィルムを用意し、これを、評価用クリーニングローラを装着した静電除塵装置(バンドー化学社製、商品名「MDEC」)に供給してPETフィルムの巻き付き有無を評価した。
なお、評価は、評価用クリーニングローラに1kgのニップ荷重を加えて実施した。
そして、PETフィルムの巻き付きが生じた場合は「×」判定とし、PETフィルムの巻き付きが生じなかった場合は「○」判定とした。
【0052】
5)PETフィルム帯電極性
PETフィルムに与える帯電電位を測定した。
帯電電位の測定は、厚み50μm、長さ120mm、幅100mmの大きさで、予めイオナイザーで除電処理したPETフィルムを用いて実施した。
具体的には、アースされた金属板上にPETフィルムを静置し、その上を自重約1000gの評価用クリーニングローラを手でころがした後、すみやかにPETフィルムを手で持ち上げ、評価用クリーニングローラを接触させた側の面の帯電電位を静電気測定器(シムコジャパン社製、型名「FMX−003」)にて測定した。
【0053】
なお、上記の評価に際しては、洗浄及び評価の一連の行為を23±3℃、55±10%RHに温湿度が管理された環境で行なった。
また、評価用クリーニングローラを転がす方向は長さ方向(120mmの辺に沿った方向)とした。
さらに、評価用クリーニングローラを転がす速度は約30mm/秒とし、速度ばらつきが生じないように極力注意した。
そして、評価結果については、下記表1に示すような多段階判定を行った。
【0054】
【表1】
【0055】
(実施例2〜4、比較例1〜4)
(実施例2)
コーティング液の球状粒子の量を1.16gに代えて2.24gにしたこと以外は実施例1と同様に評価用クリーニングローラを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
(実施例3)
コーティング液の球状粒子の量を1.16gに代えて4.58gにしたこと以外は実施例1と同様に評価用クリーニングローラを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
(実施例4)
コーティング液の球状粒子の量を1.16gに代えて0.23gにしたこと以外は実施例1と同様に評価用クリーニングローラを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
(比較例1)
コーティング液の球状粒子の量を1.16gに代えて7.17gにしたこと以外は実施例1と同様に評価用クリーニングローラを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
(比較例2)
コーティング液に球状粒子を全く含有させなかったこと以外は実施例1と同様に評価用クリーニングローラを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
(比較例3)
ポリカーボネート系ポリウレタンのTHF溶液の濃度を13.6質量%に代えて10質量%としたこと、該溶液330gに対し、有機フッ素化合物(大日精化社製、商品名「ダイアロマーFF121D」)21.4gを配合したこと、球状粒子に代えて酸化チタン粒子(石原産業社製、商品名「タイペークR680」、平均粒子径0.21μm)3.30g、及び、分散剤(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース」)0.33gを配合したこと、最終粘度調整のためのTHF量を254gではなく210gとしたコーティング液を用いたこと以外は実施例1と同様に評価用クリーニングローラを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
(比較例4)
球状粒子として、平均粒子径5.0μm、CV値が4%よりも大きな球状粒子(大東化成工業社製、商品名「PF−5 ナイロンSP−500」)を用いたこと以外は実施例1と同様に評価用クリーニングローラを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
これらの評価結果を実施例1の結果と併せて表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
上記のように比較例1は、外層部における球状粒子の添加量が多く、ローラ表面部における微細突起の平均突起高さが1.0μmを超える値(1.2μm)となっており、突起間の平均距離も5μmよりも短い値(4.7μm)となっている。
そのため、タック力が小さくPETフィルムの巻き付きは見られないものの異物除去率が低くなっている。
比較例2は、外層部に球状粒子が存在しておらず、ローラ表面には微小突起が形成されていない。
そのため、タック力が1.15kgfと大きく、25μm、50μm、100μmの全てのPETフィルムが評価用クリーニングローラに巻き付く結果となった。
比較例3は、外層部に含有させた粒子の大きさが小さく、ローラ表面には微小突起が形成されていない。
そのため、タック力が1.03kgfと比較的大きな値を示し、25μm、50μmのPETフィルムでは、評価用クリーニングローラへの巻き付きが生じて異物除去率を評価できない状況であった。
比較例4は、比較例1と同様に、ローラ表面部における微細突起の平均突起高さが1.0μmを超える値(1.44μm)となっており、突起間の平均距離は5μm以上36μm以下の範囲内(19.92μm)となっている。
そのため、タック力が小さくPETフィルムの巻き付きは見られないものの異物除去率が低くなっている。
一方で実施例においては、一部厚みの薄いPETフィルムが巻き付く状況が見られたもののタック力が十分小さく、ある程度以上の異物除去率が見込めるものであった。
【0058】
以上のことからも、本発明によれば異物吸着に際して被クリーニング材との間に作用する吸引力を従来のものに比べて低減しつつ優れた異物除去性能をクリーニングローラに発揮させ得ることがわかる。