(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、
図1を用いて、本発明に係るコージェネレーションシステムの実施の一形態に係る給湯システム1について説明する。
なお、以下の説明では、比較的温度の低い水を「水」、比較的温度の高い水を「湯」と記載するが、水と湯は温度の違い以外に実質的な差異はない。
【0027】
給湯システム1は、需要家の元に設けられ、排熱等を利用して湯を沸かすと共に、給湯需要に応じて湯を供給するためのものである。ここで「需要家」とは、例えば住宅や種々の施設等、給湯需要のある全てのものを意味する。また「給湯需要」とは、例えば浴室等の、湯が使用される種々の設備を意味する。給湯システム1は、主として太陽熱温水システム10、第一上水管路20、接続管路30、燃料電池システム40、第二上水管路50、給湯管路60、排出管路70、排熱伝達機構80、パネル温度センサ90、貯湯タンク温度センサ100及び制御装置110を具備する。
【0028】
太陽熱温水システム10は、太陽熱を集熱して蓄えると共に、必要に応じて当該熱を供給するものである。太陽熱温水システム10は、主として集熱パネル11、太陽熱貯湯タンク12、第一熱交換器13及び第一管路14を具備する。
【0029】
集熱パネル11は、本発明に係る集熱器の実施の一形態である。集熱パネル11は、太陽光を受けて太陽熱を集熱するものである。集熱パネル11は、広い面で太陽光を受けることができるように、平板状に形成される。集熱パネル11は、日当たりの良い場所(例えば、住宅の屋根の上等)に設置される。
【0030】
太陽熱貯湯タンク12は、集熱パネル11で集熱された熱を蓄えるものである。太陽熱貯湯タンク12は、内部に水(湯)を貯溜することが可能な空間を有する箱状に形成される。太陽熱貯湯タンク12は、集熱パネル11からの熱によって温められた熱媒体(本実施形態においては、水(湯))を蓄えることによって、太陽熱を蓄えることができる。
【0031】
第一熱交換器13は、高温の流体(液体)から低温の流体(液体)へと熱を移動させるものである。第一熱交換器13は、太陽熱貯湯タンク12に設けられる。第一熱交換器13は、太陽熱貯湯タンク12内に貯溜された水と、当該第一熱交換器13を流通する不凍液と、の間で熱を移動(熱交換)させる。
【0032】
第一管路14は、本発明に係る太陽熱伝達管路の実施の一形態である。第一管路14は、集熱パネル11と第一熱交換器13との間で熱媒体(本実施形態においては、不凍液)を循環させるものである。第一管路14は、主として往管路14a及び復管路14bを具備する。
【0033】
往管路14aは、集熱パネル11と第一熱交換器13とを連通するものである。往管路14aの一端は、集熱パネル11(より詳細には、集熱パネル11の全面に亘るように(集熱パネル11内を循環するように)配置された配管の一端)に接続される。往管路14aの他端は、第一熱交換器13の一端に接続される。
【0034】
復管路14bは、集熱パネル11と第一熱交換器13とを連通するものである。復管路14bの一端は、集熱パネル11(より詳細には、集熱パネル11の全面に亘るように配置された前記配管の他端)に接続される。復管路14bの他端は、第一熱交換器13の他端に接続される。
【0035】
第一管路14、集熱パネル11及び第一熱交換器13の内部は不凍液で満たされている。また、第一管路14の中途部には図示しないポンプが設けられる。当該ポンプを駆動させることにより、不凍液を往管路14a、集熱パネル11、復管路14b及び第一熱交換器13の順に循環させることができる。
【0036】
第一上水管路20は、太陽熱貯湯タンク12へと上水を供給するものである。第一上水管路20の一端は、太陽熱貯湯タンク12の下部に接続される。太陽熱貯湯タンク12内の水(湯)が減少すると、当該減少した分だけ第一上水管路20から太陽熱貯湯タンク12内へと上水が供給される。
【0037】
接続管路30は、太陽熱貯湯タンク12内の湯を後述する燃料電池システム40の排熱貯湯タンク42へと供給するものである。接続管路30の一端は、太陽熱貯湯タンク12の上部に接続される。接続管路30の他端は、後述する混合三方弁51を介して排熱貯湯タンク42に接続される。
【0038】
燃料電池システム40は、燃料を用いて発電すると共に、当該発電の際に発生する熱(排熱)を蓄え、必要に応じて当該熱を供給するものである。燃料電池システム40は、主として発電ユニット41及び排熱貯湯タンク42を具備する。
【0039】
発電ユニット41は、本発明に係る発電装置の実施の一形態である。発電ユニット41は、水素等の燃料を用いて電力を取り出す(発電する)ものである。発電ユニット41の方式としては、例えばSOFC(固体酸化物形燃料電池)が用いられる。SOFC方式の発電ユニット41は、メンテナンスを行う場合を除き、通常は24時間連続して運転される。発電ユニット41によって発電された電力は、需要家の元に設けられた種々の電気負荷(電化製品等)に供給される。発電ユニット41が発電する際には、同時に排熱が発生する。
【0040】
排熱貯湯タンク42は、発電ユニット41の排熱を蓄えるものである。排熱貯湯タンク42は、内部に水(湯)を貯溜することが可能な空間を有する箱状に形成される。排熱貯湯タンク42は発電ユニット41に接続される。排熱貯湯タンク42は、発電ユニット41の排熱によって温められた熱媒体(本実施形態においては、水(湯))を蓄えることによって、当該排熱を蓄えることができる。また、排熱貯湯タンク42には図示しない補助熱源が設けられる。前記補助熱源は、燃料を用いて排熱貯湯タンク42内の水を沸かすことができる。
【0041】
排熱貯湯タンク42は、内部に貯溜された水を一旦発電ユニット41に供給する。発電ユニット41は、排熱貯湯タンク42から受け取った水を自らの排熱によって沸かし、再び排熱貯湯タンク42へと戻す。排熱貯湯タンク42は、発電ユニット41から受け取った湯(沸かされた水)を蓄えることによって、発電ユニット41の排熱を蓄えることができる。また、発電ユニット41の排熱だけでは十分な量の湯が得られない場合には、前記補助熱源を駆動させることで、燃料を用いて不足分の湯を沸かすことができる。
【0042】
第二上水管路50は、排熱貯湯タンク42へと上水を供給するものである。第二上水管路50の一端は、混合三方弁51を介して排熱貯湯タンク42の下部に接続される。
【0043】
混合三方弁51は、接続管路30、第二上水管路50及び排熱貯湯タンク42を互いに接続するものである。混合三方弁51は、接続管路30からの湯、及び第二上水管路50からの上水を、排熱貯湯タンク42へと供給する。より詳細には、排熱貯湯タンク42内の水(湯)が減少すると、当該減少した分だけ混合三方弁51を介して接続管路30及び第二上水管路50から排熱貯湯タンク42内へと湯及び上水が供給される。このように、接続管路30からの湯、及び第二上水管路50からの上水は、混合三方弁51において混合されて排熱貯湯タンク42へと供給される。
【0044】
給湯管路60は、排熱貯湯タンク42内の湯を給湯需要(例えば、浴室等)へと供給するものである。給湯管路60の一端は、排熱貯湯タンク42の上部に接続される。給湯管路60の他端は、給湯需要に接続される。
【0045】
排出管路70は、排熱貯湯タンク42内の湯を必要に応じて外部へと排出するものである。排出管路70の一端は、給湯管路60の中途部に接続される。排出管路70の他端は排水口に接続され、排出管路70を流通した湯は当該排水口から排水される。排出管路70の中途部には、制御弁71が設けられる。
【0046】
制御弁71は、排出管路70を介する湯の流通の可否を切り替えるものである。制御弁71は、排出管路70を開閉することができる。制御弁71によって排出管路70が開かれた場合にのみ、排熱貯湯タンク42内の湯は外部へと排出される。
【0047】
排熱伝達機構80は、排出管路70を流通する湯の熱を集熱パネル11へと供給し、当該集熱パネル11の温度を上昇させるものである。排熱伝達機構80は、主として第二熱交換器81、第二管路82、第一三方弁83及び第二三方弁84を具備する。
【0048】
第二熱交換器81は、本発明に係る熱交換器の実施の一形態である。第二熱交換器81は、高温の流体(液体)から低温の流体(液体)へと熱を移動させるものである。第二熱交換器81は、排出管路70の中途部に設けられる。第二熱交換器81は、排出管路70を流通する湯と、当該第二熱交換器81を流通する不凍液と、の間で熱を移動(熱交換)させる。
【0049】
第二管路82は、本発明に係る排熱伝達管路の実施の一形態である。第二管路82は、第二熱交換器81と第一管路14との間で熱媒体(本実施形態においては、不凍液)を循環させるものである。第二管路82は、主として往管路82a及び復管路82bを具備する。
【0050】
往管路82aは、第二熱交換器81と第一管路14の往管路14aとを連通するものである。往管路82aの一端は、第二熱交換器81の一端に接続される。往管路82aの他端は、第一三方弁83を介して第一管路14の往管路14aの中途部に接続される。
【0051】
復管路82bは、第二熱交換器81と第一管路14の復管路14bとを連通するものである。復管路82bの一端は、第二熱交換器81の他端に接続される。復管路82bの他端は、第二三方弁84を介して第一管路14の復管路14bの中途部に接続される。
【0052】
第一三方弁83は、本発明に係る切替機構の実施の一形態である。第一三方弁83は、第一管路14の往管路14aと第二管路82の往管路82aとを互いに接続するものである。第一三方弁83は、その状態を第一状態又は第二状態に切り替えることにより、往管路14a及び往管路82a内を流通する不凍液の流通経路を切り替えることができる。
【0053】
ここで第一三方弁83の「第一状態」とは、往管路14aの上流側(太陽熱貯湯タンク12側)と下流側(集熱パネル11側)とを連通すると共に、往管路14aと往管路82aとの連通を遮断する状態である。すなわち、当該第一状態では、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12とが連通されると共に、集熱パネル11と第二熱交換器81との連通が遮断される。
【0054】
また、第一三方弁83の「第二状態」とは、往管路14aの下流側と往管路82aとを連通すると共に、往管路14aの上流側と往管路14aの下流側及び往管路82aとの連通を遮断する状態である。すなわち、当該第二状態では、集熱パネル11と第二熱交換器81とが連通されると共に、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12との連通が遮断される。
【0055】
第二三方弁84は、本発明に係る切替機構の実施の一形態である。第二三方弁84は、第一管路14の復管路14bと第二管路82の復管路82bとを互いに接続するものである。第二三方弁84は、その状態を第一状態又は第二状態に切り替えることにより、復管路14b及び復管路82b内を流通する不凍液の流通経路を切り替えることができる。
【0056】
ここで第二三方弁84の「第一状態」とは、復管路14bの上流側(集熱パネル11側)と下流側(太陽熱貯湯タンク12側)とを連通すると共に、復管路14bと復管路82bとの連通を遮断する状態である。すなわち、当該第一状態では、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12とが連通されると共に、集熱パネル11と第二熱交換器81との連通が遮断される。
【0057】
また、第二三方弁84の「第二状態」とは、復管路14bの上流側と復管路82bとを連通すると共に、復管路14bの下流側と復管路14bの上流側及び復管路82bとの連通を遮断する状態である。すなわち、当該第二状態では、集熱パネル11と第二熱交換器81とが連通されると共に、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12との連通が遮断される。
【0058】
第二熱交換器81及び第二管路82の内部は、第一管路14と同様に不凍液で満たされている。また、第二管路82の中途部には図示しないポンプが設けられる。第一三方弁83及び第二三方弁84がそれぞれ第二状態に切り替えられるた状態で、当該ポンプを駆動させることにより、不凍液を往管路82a、往管路14a、集熱パネル11、復管路14b、復管路82b及び第二熱交換器81の順に循環させることができる。
【0059】
パネル温度センサ90は、本発明に係る集熱器温度検出手段の実施の一形態である。パネル温度センサ90は、集熱パネル11の温度を検出するものである。パネル温度センサ90は集熱パネル11に設けられ、当該集熱パネル11の表面(太陽光を受ける面)の温度を検出することができる。
【0060】
貯湯タンク温度センサ100は、本発明に係るタンク温度検出手段の実施の一形態である。貯湯タンク温度センサ100は、太陽熱貯湯タンク12内の温度を検出するものである。貯湯タンク温度センサ100は太陽熱貯湯タンク12内に設けられ、当該太陽熱貯湯タンク12内に貯溜された水(湯)の温度を検出することができる。
【0061】
制御装置110は、給湯システム1の動作を制御するものである。制御装置110は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、I/O等の入出力装置、並びにモニター等の表示装置等により構成される。制御装置110には、給湯システム1の動作を制御するための種々の情報やプログラム等が予め記憶される。
【0062】
制御装置110はパネル温度センサ90に接続され、集熱パネル11の温度に関する信号を受信することができる。
制御装置110は貯湯タンク温度センサ100に接続され、太陽熱貯湯タンク12内の温度に関する信号を受信することができる。
制御装置110は制御弁71に接続され、当該制御弁71の動作(開閉)を制御することができる。
制御装置110は第一三方弁83に接続され、当該第一三方弁83の動作(第一状態と第二状態の切り替え)を制御することができる。
制御装置110は第二三方弁84に接続され、当該第二三方弁84の動作(第一状態と第二状態の切り替え)を制御することができる。
【0063】
以下では、
図2を用いて、上述の如く構成された給湯システム1の基本的な動作について説明する。
【0064】
太陽熱温水システム10において、集熱パネル11に太陽光が照射されると、当該集熱パネル11は太陽熱を集熱し、内部の不凍液の温度を上昇させる。当該不凍液は、復管路14bを介して第一熱交換器13へと供給される。第一熱交換器13は、集熱パネル11から供給された高温の不凍液の熱を、太陽熱貯湯タンク12内に貯溜された水へと移動させる。これによって、太陽熱貯湯タンク12内の水が沸かされる。第一熱交換器13において熱を奪われた不凍液は、往管路14aを介して再び集熱パネル11へと供給される。このように、集熱パネル11と第一熱交換器13との間で不凍液を循環させることで、集熱パネル11からの熱を、水(湯)を熱媒体として太陽熱貯湯タンク12に蓄えることができる。
【0065】
燃料電池システム40において、発電ユニット41の運転(発電)と同時に発生する排熱によって排熱貯湯タンク42内の水が沸かされる。このように、水(湯)を熱媒体として、発電ユニット41からの排熱を排熱貯湯タンク42に蓄えることができる。浴室等の給湯需要で湯が使用される場合には、排熱貯湯タンク42内の湯が給湯管路60を介して給湯需要へと供給される。この際、給湯需要へと供給された湯と同量の水が混合三方弁51を介して排熱貯湯タンク42へと供給される。このようにして、排熱貯湯タンク42内は常に水(又は湯)で満たされることになる。混合三方弁51では、第二上水管路50を介して供給される上水と、接続管路30を介して太陽熱貯湯タンク12から供給される湯と、が混合される。これによって、排熱貯湯タンク42内の水(又は湯)の温度を出来る限り高い状態に維持することができる。
【0066】
また、接続管路30を介して太陽熱貯湯タンク12から排熱貯湯タンク42へと湯が供給されると、当該湯と同量の上水が第一上水管路20を介して太陽熱貯湯タンク12へと供給される。このようにして、太陽熱貯湯タンク12内は常に水(又は湯)で満たされることになる。
【0067】
以上の如く、給湯システム1では、集熱パネル11において集熱された太陽熱、及び発電ユニット41の排熱を利用して湯が沸かされ、当該湯を給湯需要へと供給することができる。
【0068】
ここで、上述の如く集熱パネル11において集熱された太陽熱を利用して太陽熱貯湯タンク12内の水を沸かす場合、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度よりも高くなっている必要がある。以下、具体的に説明する。
【0069】
図3には、ある一日における集熱パネル11に照射される太陽光の日射量と、集熱パネル11の温度の時間変化を示している。また
図3には、当該一日における日の出の時刻t1、及び集熱パネル11からの太陽熱の供給がない場合の太陽熱貯湯タンク12内の温度Ttを示している。なお、太陽熱貯湯タンク12内の温度Ttは時間変化するものであるが、
図3においては説明の便宜上一定として示している。
【0070】
太陽光が集熱パネル11に照射されることがない(日射量が0である)時間帯(日の出の時刻t1以前や、18時以降)においては、当該集熱パネル11の温度は大幅に低下する。集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度Ttよりも低い温度まで低下した状態で、集熱パネル11と第一熱交換器13との間で不凍液を循環させる(
図2参照)と、太陽熱貯湯タンク12内の熱を奪い、当該熱を集熱パネル11へと供給することになる。すなわち、太陽熱貯湯タンク12内の水に熱を与えて沸かすことができず、逆に当該水から熱を奪ってしまうため好ましくない。
【0071】
従って通常は、日の出の時刻t1以後(集熱パネル11に太陽光が照射されている状態)であっても、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度Tt以上になるまで(時刻t2)は、集熱パネル11と第一熱交換器13との間で不凍液を循環させることはない。
【0072】
このように、集熱パネル11に太陽光が照射されている状態であっても、当該集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度Tt未満である場合には、太陽熱を太陽熱貯湯タンク12へと蓄えることができない。
【0073】
一方、
図4には、
図3と同じ一日における排熱貯湯タンク42に蓄えられる熱量(貯湯熱量)と、給湯需要によって使用される熱量(使用熱量)の時間変化を示している。
【0074】
上述の如く発電ユニット41は通常24時間連続して運転される。また、給湯需要(例えば、浴室)で熱(湯)が使用される時間帯(
図4の例においては、21時前後)は概ね決まっている。このため、給湯需要で熱が使用される時間帯まで、発電ユニット41からの排熱によって貯湯熱量は時間の経過と共に増加する。
【0075】
しかし、排熱貯湯タンク42内に蓄えることができる熱量には限界があるため、貯湯熱量が一定の値(上限値)Hmに達した場合、給湯需要によって熱量が使用されるまでの間(
図4における時間W1)、排熱貯湯タンク42内の湯(すなわち、余った熱)は排出管路70を介して排出(排水)される。
【0076】
このように、発電ユニット41で排熱が発生しても、排熱貯湯タンク42の容量を超える排熱は蓄えることができす、無駄に排出されることになる。
【0077】
以上のことから本実施形態に係る給湯システム1では、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱を用いて、集熱パネル11の温度を太陽熱貯湯タンク12内の温度Tt以上まで速やかに上昇させることで、集熱パネル11で集熱された太陽熱を無駄なく太陽熱貯湯タンク12へと蓄え、エネルギー効率の向上を図る。以下では、当該給湯システム1の制御(以下、この制御を「プレヒート制御」と記す)について説明する。
【0078】
図5のステップS101において、制御装置110は、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態であるか否かを判定する。
ここで、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態とは、当該集熱パネル11に太陽光が照射されている状態を意味する。制御装置110は、パネル温度センサ90によって検出される集熱パネル11の温度の単位時間当たりの上昇量が、所定の閾値以上になった場合には、集熱パネル11に太陽光が照射している(すなわち、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能である)と判定することができる。
なお、集熱パネル11に太陽光が照射している状態としては、例えば夜が明けて日が照り始めた場合や、天気が曇りや雨等から晴れに変わった場合等が想定される。
【0079】
制御装置110は、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態であると判定した場合、ステップS102に移行する。
制御装置110は、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態ではないと判定した場合、ステップS101の処理を再度行う。
【0080】
ステップS102において、制御装置110は、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度未満であるか否かを判定する。
制御装置110は、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度未満であると判定した場合、ステップS103に移行する。
制御装置110は、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度以上であると判定した場合、ステップS101に移行する。
【0081】
ステップS103において、制御装置110は、集熱パネル11の温度と太陽熱貯湯タンク12内の温度から、集熱パネル11へと供給する必要がある熱量を算出する。
具体的には、太陽熱貯湯タンク12内の温度と集熱パネル11の温度との差、集熱パネル11と第二熱交換器81との間(
図6参照)を循環する不凍液の量、当該不凍液の比熱等から、集熱パネル11の温度を太陽熱貯湯タンク12内の温度以上に上昇させるために必要な熱量を算出する。制御装置110は、当該熱量から、排熱貯湯タンク42から排出する必要がある湯の量を算出することができる。
制御装置110は、当該ステップS103の処理を行った後、ステップS104に移行する。
【0082】
ステップS104において、制御装置110は、制御弁71、第一三方弁83及び第二三方弁84の動作を制御することにより、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱を集熱パネル11へと供給する。以下、具体的に説明する。
【0083】
図6に示すように、制御装置110は、制御弁71を開くことで排熱貯湯タンク42内の湯を排水する。同時に、制御装置110は、第一三方弁83及び第二三方弁84をそれぞれ第二状態に切り替える。
【0084】
この状態では、排熱貯湯タンク42内の湯は排出管路70を介して外部へと排出(排水)される。この際、第二熱交換器81は、排出管路70を流通する湯の熱を、当該第二熱交換器81内の不凍液へと移動させる。これによって高温となった不凍液は、往管路82a及び往管路14aを介して集熱パネル11へと供給される。集熱パネル11は、供給されてきた高温の不凍液からの熱によって温度が上昇する。集熱パネル11において熱を奪われた不凍液は、復管路14b及び復管路82bを介して再び第二熱交換器81へと供給される。このように、排熱貯湯タンク42内の湯を排出すると共に、集熱パネル11と第二熱交換器81との間で不凍液を循環させることで、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱を集熱パネル11へと供給することができる。
【0085】
制御装置110は、当該ステップS104の処理を行った後、ステップS105に移行する。
【0086】
ステップS105において、制御装置110は、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度以上であるか否かを判定する。
制御装置110は、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度以上であると判定した場合、ステップS106に移行する。
制御装置110は、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度未満であると判定した場合、ステップS104に移行する。
【0087】
ステップS106において、制御装置110は、制御弁71、第一三方弁83及び第二三方弁84の動作を制御することにより、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱の集熱パネル11への供給を停止する。以下、具体的に説明する。
【0088】
図2に示すように、制御装置110は、制御弁71を閉じることで排熱貯湯タンク42内の湯の排水を停止する。同時に、制御装置110は、第一三方弁83及び第二三方弁84をそれぞれ第一状態に切り替える。
【0089】
この状態では、上述の給湯システム1の基本的な動作と同様に、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12(第一熱交換器13)との間で不凍液を循環させることができる。この時点では、集熱パネル11の温度は太陽熱貯湯タンク12内の温度以上まで上昇しているため、集熱パネル11からの熱を太陽熱貯湯タンク12に蓄えることができる。
【0090】
制御装置110は、当該ステップS106の処理を行った後、ステップS101に移行する。
【0091】
このように、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態になった際に(ステップS101)、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度未満である場合には(ステップS102)、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱を集熱パネル11へと供給することができる(ステップS104)。
図3に示した例では、日の出の時刻t1から日射量が増加し、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態になっている。この日の出の時刻t1においては、集熱パネル11の温度は太陽熱貯湯タンク12内の温度Tt未満であるため、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱が集熱パネル11へと供給される。
【0092】
これによって、集熱パネル11の温度を太陽熱貯湯タンク12内の温度以上まで速やかに上昇させ(ステップS105)、当該集熱パネル11からの熱を太陽熱貯湯タンク12に蓄えることができるようになり(ステップS106)、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0093】
また、このように排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱を集熱パネル11へと供給することで、当該排熱貯湯タンク42に蓄えられる貯湯熱量が減少する。
図7に示した例では、日の出の時刻t1から、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度Tt以上になる時刻t2(
図3参照)までの間、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱が集熱パネル11へと供給されている。このため、プレヒート制御を行わない場合(
図4参照)に比べて、当該排熱貯湯タンク42の貯湯熱量が減少している。
【0094】
これによって、貯湯熱量が上限値Hmに達してから、給湯需要によって熱量が使用されるまでの間の時間W2が、プレヒート制御を行わない場合(
図4参照)に比べて短くなる。すなわち、排熱貯湯タンク42内の湯(すなわち、余った熱)が排出される時間が短くなり、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0095】
以上の如く、本実施形態に係る給湯システム1(コージェネレーションシステム)は、
太陽光を受けて太陽熱を集熱する集熱パネル11(集熱器)と、
集熱パネル11で集熱された熱を蓄える太陽熱貯湯タンク12と、
燃料を用いて発電する発電ユニット41(発電装置)と、
発電ユニット41の排熱を蓄える排熱貯湯タンク42と、
排熱貯湯タンク42内の湯(熱媒体)を排出する排出管路70と、
排出管路70を流通する湯の熱を集熱パネル11へと供給し、当該集熱パネル11の温度を上昇させる排熱伝達機構80と、
を具備するものである。
このように構成することにより、発電ユニット41の排熱を利用して、集熱パネル11の温度を上昇させることができる。これによって、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度よりも低い場合に当該集熱パネル11の温度を上昇させることで、速やかに太陽熱を蓄えることができる状態(すなわち、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度よりも高い状態)にすることができ、ひいてはエネルギー効率の向上を図ることができる。
また、集熱パネル11の温度を上昇させるための熱として、発電ユニット41の排熱を用いることにより、当該発電ユニット41の排熱の余剰分を利用することができ、よりエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0096】
また、排熱伝達機構80は、
排出管路70を流通する湯との間で熱交換可能な第二熱交換器81(熱交換器)と、
集熱パネル11と第二熱交換器81との間で不凍液を循環させる第二管路82(排熱伝達管路)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、簡素な構成でエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0097】
また、第二管路82は、
集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12との間で熱媒体を循環させる第一管路14(太陽熱伝達管路)に接続されることで、当該第一管路14を介して集熱パネル11に接続され、
排熱伝達機構80は、
第一管路14と第二管路82との接続部に設けられ、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12とを連通すると共に集熱パネル11と第二熱交換器81との連通を遮断する第一状態と、集熱パネル11と第二熱交換器81とを連通すると共に集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12との連通を遮断する第二状態と、を切り替える第一三方弁83及び第二三方弁84(切替機構)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、予め設けられた第一管路14を用いることで、簡素な構成でエネルギー効率の向上を図ることができる。
また、第二管路82からの熱媒体を集熱パネル11内で循環させるための配管等を別途設ける必要もない(第一管路14からの熱媒体を集熱パネル11内で循環させるための配管等を兼用できる)ため、より簡素な構成でエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0098】
また、給湯システム1は、
集熱パネル11の温度を検出するパネル温度センサ90(集熱器温度検出手段)と、
太陽熱貯湯タンク12内の温度を検出する貯湯タンク温度センサ100(タンク温度検出手段)と、
集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度未満である場合に、排出管路70を流通する湯の熱を集熱パネル11へと供給する制御装置110と、
を具備するものである。
このように構成することにより、必要な場合、すなわち集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度未満であり、太陽熱を蓄えることが出来ない場合にのみ集熱パネル11の温度を上昇させることができる。
【0099】
また、制御装置110は、
集熱パネル11が太陽熱を集熱可能である場合にのみ、排出管路70を流通する湯の熱を集熱パネル11へと供給するものである。
このように構成することにより、集熱パネル11が太陽熱を集熱することが可能となるタイミングに合わせて、当該集熱パネル11の温度を上昇させることができる。
【0100】
なお、本実施形態においては、熱媒体として水(湯)及び不凍液を用いる構成としたが、本発明に係る熱媒体はこれに限るものではなく、任意に選択して使用することが可能である。
【0101】
また、本実施形態においては、第二管路82は第一管路14の中途部に接続されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第二管路82は、第一管路14ではなく集熱パネル11に直接接続され、第二熱交換器81と集熱パネル11とを直接連通するものであっても良い。この場合、第一管路14及び第二管路82にそれぞれ熱媒体の流通の可否(開閉)を切り替える制御弁を設け、一方の制御弁が開かれた場合には他方の制御弁が閉じられる構成とすることが望ましい。
【0102】
また、本実施形態においては、太陽熱貯湯タンク12内に貯湯タンク温度センサ100を1つ設ける構成を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、太陽熱貯湯タンク12内に複数の貯湯タンク温度センサ100を設け、当該複数の貯湯タンク温度センサ100によって検出された温度の平均を、太陽熱貯湯タンク12内の温度とすることも可能である。また、貯湯タンク温度センサ100を太陽熱貯湯タンク12内の下部に設け、当該太陽熱貯湯タンク12内の下部(太陽熱貯湯タンク12の中でも特に温度の低い部分)の温度を用いてプレヒート制御することも可能である。
【0103】
また、本実施形態においては、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態であるか否か(すなわち、集熱パネル11に太陽光が照射しているか否か)を、集熱パネル11の温度の単位時間当たりの上昇量を用いて判定するものとしたが(
図5のステップS101参照)、本発明はこれに限るものではない。例えば、集熱パネル11に照射される太陽光の日射量を検出するセンサを用いて判定することも可能である。また、予め予測される日の出の時刻に、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能となるものと判定することも可能である。また、天気予報に基づいて、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能となる時刻(すなわち、天気が雨や曇り等から晴れに変わる時刻)を推定することも可能である。なお、この場合の日の出の時刻や天気予報は、インターネット等を介して常に最新の情報を取得する構成とすることも可能である。
【0104】
また、本実施形態においては、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態となった場合にのみ(
図5のステップS101参照)、排出管路70を流通する湯の熱を集熱パネル11へと供給する(ステップS104参照)ものとしたが、本発明はこれに限るものではない。
【0105】
例えば、制御装置110に、予め予測される日の出の時刻(すなわち、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能となると予測される時刻)を記憶させておく。そして、ステップS101において、現在時刻から、予測される日の出の時刻までの時間が所定時間(例えば、2時間)未満となったか否か、すなわち予測される日の出の時刻の2時間(所定時間)前になったか否かを判定する。現在時刻から日の出の時刻までの時間が2時間未満となった(2時間を切った)場合には、ステップS102に移行する。
【0106】
このように構成することで、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態となるタイミングよりも前に、予め集熱パネル11の温度を上昇させることができる。これによって、より速やかに太陽熱を蓄えることができる。
【0107】
また、本実施形態のステップS103(
図5参照)における算出結果(集熱パネル11へと供給する必要がある熱量)を、プレヒート制御に利用することが可能である。例えば、集熱パネル11へと供給する必要がある熱量が、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱量よりも大きい場合には、集熱パネル11への熱の供給(ステップS104参照)を行わないものとすることも可能である。これによって、排熱貯湯タンク42内に蓄えられた熱が不足するのを防止し、排熱貯湯タンク42に設けられた補助熱源の使用を出来る限り避けることができる。
【0108】
また、本発明に係る集熱器は、本実施形態に係る集熱パネル11に限るものではない。例えば、集熱器として、太陽熱を集熱すると同時に太陽光を受けて発電する太陽光発電装置を用いることも可能である。
【0109】
また、本発明に係る発電装置は、本実施形態に係る発電ユニット41(SOFC)に限るものではない。例えば、電気負荷の消費電力に関する情報を学習する機能(学習機能)を有し、学習された情報に基づいて発電計画を更新することが可能なPEFC(固体高分子形燃料電池)等、種々の方式の発電装置を用いることが可能である。