(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383592
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】光送信装置、無線送信装置及び無線受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 10/2575 20130101AFI20180820BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
H04B10/2575
G02F1/01 Z
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-146288(P2014-146288)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-25395(P2016-25395A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年1月18日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人情報通信研究機構、「高い臨時設営性を持つ有無線両用通信技術の研究開発」副題「光ファイバ伝送とW帯無線伝送を柔軟に切替可能な通信方式を実現する要素デバイス及びシステム化技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】神谷 尚保
(72)【発明者】
【氏名】西村 公佐
(72)【発明者】
【氏名】大石 将之
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓仁
【審査官】
後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−245752(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0212974(US,A1)
【文献】
特開2005−130521(JP,A)
【文献】
特開2014−014027(JP,A)
【文献】
特開2007−173958(JP,A)
【文献】
特開2013−005316(JP,A)
【文献】
特開平5−48491(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/091532(WO,A1)
【文献】
Hiroyuki Toda 他,A Full-duplex WDM Millimeter-Wave-Band Radio-on-Fiber System Using A Supercontinuum Light Source,MWP 2005,2005年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
G02F 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1連続光と、前記第1連続光との周波数差がm×f、ここで、mは自然数、かつ、fは所定数、である第2連続光と、前記1連続光との周波数差がn×f、ここで、nはmとは異なる自然数、である第3連続光と、前記第2連続光との周波数差が|n−m|×fである第4連続光と、を生成する生成手段と、
前記第3連続光を送信情報に応じて変調して光変調信号を生成する変調手段と、
前記第1連続光、前記第2連続光、前記第4連続光及び前記光変調信号を合波して合波信号を生成する合波手段と、
前記合波信号を対向装置で光電変換させるために前記合波信号を前記対向装置に向けて送信する送信手段と、
を備えていることを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
mとnの差は1であることを特徴とする請求項1に記載の光送信装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
所定周波数の連続光を生成する光源と、
周波数fの正弦波を生成する発振手段と、
前記連続光及び前記周波数fの正弦波から、前記所定周波数を含み、周波数間隔がfの複数の連続光を生成するマルチトーン生成手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光送信装置。
【請求項4】
第1連続光と、前記第1連続光との周波数差がm×f、ここで、mは自然数、かつ、fは所定数、である第2連続光と、前記1連続光との周波数差がn×f、ここで、nはmとは異なる自然数、である第3連続光を変調した光変調信号と、前記第2連続光との周波数差が|n−m|×fである第4連続光と、を含む光信号を受信する無線送信装置であって、
前記光信号を光電変換して、周波数がm×fである第1トーン信号と、前記第1トーン信号との周波数差が|n−m|×fである第2トーン信号と、周波数がn×fである電気変調信号を含む電気信号を出力する変換手段と、
前記電気信号を無線信号として送信するアンテナと、
を備えていることを特徴とする無線送信装置。
【請求項5】
mとnの差は1であることを特徴とする請求項4に記載の無線送信装置。
【請求項6】
受信する前記光信号を前記変換手段に出力するか、前記無線送信装置の送信信号として出力するかを選択する選択手段をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載の無線送信装置。
【請求項7】
周波数がm×f、ここで、mは自然数、かつ、fは所定数、である第1トーン信号と、周波数がn×f、ここでnはmとは異なる自然数、である電気変調信号と、前記第1トーン信号との周波数差が|n−m|×fである第2トーン信号と、を含む無線信号を受信する無線受信装置であって、
前記無線信号を電気信号に変換するアンテナと、
前記第1トーン信号と前記電気変調信号を乗じて周波数が|n−m|×fの電気変調信号を出力する第1変換手段と、
前記第1トーン信号と前記第2トーン信号を乗じて周波数が|n−m|×fの第3トーン信号を出力する第2変換手段と、
前記第3トーン信号と前記第1変換手段が出力する電気変調信号を乗じてベースバンド信号を出力する第3変換手段と、
を備えていることを特徴とする無線受信装置。
【請求項8】
第1連続光と、前記第1連続光との周波数差がm×fである第2連続光と、前記1連続光との周波数差がn×fである第3連続光と、前記第2連続光との周波数差が|n−m|×fである第4連続光と、を生成する生成手段と、
前記第3連続光を前記ベースバンド信号で変調して光変調信号を生成する変調手段と、
前記第1連続光、前記第2連続光、前記第4連続光及び前記光変調信号を合波する合波手段と、
を備えていることを特徴とする請求項7に記載の無線受信装置。
【請求項9】
mとnの差は1であることを特徴とする請求項8に記載の無線受信装置。
【請求項10】
前記生成手段は、
所定周波数の連続光を生成する光源と、
前記連続光及び前記第3トーン信号から、前記所定周波数を含み、周波数間隔がfの複数の連続光を生成するマルチトーン生成手段と、
前記複数の連続光から前記1連続光、前記第2連続光、前記第3連続光及び前記第4連続光を取り出すフィルタ手段と、
を備えていることを特徴とする請求項9に記載の無線受信装置。
【請求項11】
受信する光信号と、前記合波手段が出力する光信号のいずれを前記無線受信装置の送信信号とするかを選択する選択手段をさらに備えていることを特徴とする請求項9又は10に記載の無線受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、RoF(Radio−over−Fiber)伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
RoF(Radio-over-Fiber)は、有線と無線のシームレスな通信を実現する技術であり、RoF伝送システム内の無線送信装置は、受信する光変調信号を光電変換して得た電気変調信号を無線信号として無線受信装置に送信する。
【0003】
非特許文献1及び非特許文献2並びに特許文献1及び特許文献2は、2つの異なる周波数の連続光を生成して使用するRoF伝送システム(以下、2トーン方式)を開示している。2トーン方式において、光送信装置は生成した2つの連続光の一方を送信情報で変調して光変調信号とし、他方の連続光をトーン信号として光変調信号と共に送信する。無線送信装置は、この光変調信号とトーン信号を光電変換して、その周波数差を周波数成分とする電気変調信号(ビート信号)を得る。
【0004】
非特許文献1は、2つの周波数の連続光を生成するために2つの光源を用いる構成を開示している。一方、1つの光源により2つの周波数の連続光を生成するため、特許文献1は、光周波数コム発生器を用いる構成を、非特許文献2及び特許文献2は、マッハツェンダ変調器(MZM)を用いる構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−245752号公報
【特許文献2】特開2012−037493号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A. Kanno et al., Carrier frequency offset compensation for 10−Gbaud QPSK RoF transmission at 90GHz with free−running optical LO signal", Microwave Symposium Digest (MTT),pp.1−3,2012年
【非特許文献2】X. Pang et al.,"A 15−meter Multi−Gigabit W−band Bidirectional Wireless Bridge in Fiber−Optic Access Networks"、Proc. of the 2013 IEEE Int'l. Topic. Meet. on Microw. Photon.(MWP2013),pp.37−40,2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2トーン方式において、無線送信装置は、光電変換で得た電気変調信号を無線信号として無線受信装置に送信し、無線受信装置は、受信した電気変調信号を局部発振器により周波数変換して中間周波数帯の信号(以下、IF信号)又はベースバンド信号を得る。ここで、2トーン方式において、無線受信装置における局部発振器は光送信装置で使用する発振器や光源とは同期しておらず、信号劣化の要因となり得る。
【0008】
本発明は、信号劣化を抑えることができるRoF伝送システムの光送信装置、無線送信装置及び無線受信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によると、光送信装置は、第1連続光と、前記第1連続光との周波数差がm×f、ここで、mは自然数、かつ、fは所定数、である第2連続光と、前記1連続光との周波数差がn×f、ここで、nはmとは異なる自然数、である第3連続光と、
前記第2連続光との周波数差が|n−m|×fである第4連続光と、を生成する生成手段と、前記第3連続光を送信情報に応じて変調して光変調信号を生成する変調手段と、前記第1連続光、前記第2連続光
、前記第4連続光及び前記光変調信号を合波
して合波信号を生成する合波手段と、
前記合波信号を対向装置で光電変換させるために前記合波信号を前記対向装置に向けて送信する送信手段と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面によると、第1連続光と、前記第1連続光との周波数差がm×f、ここで、mは自然数、かつ、fは所定数、である第2連続光と、前記1連続光との周波数差がn×f、ここで、nはmとは異なる自然数、である第3連続光を変調した光変調信号と、
前記第2連続光との周波数差が|n−m|×fである第4連続光と、を含む光信号を受信する無線送信装置は、前記光信号を光電変換して、周波数がm×fである第1トーン信号と、
前記第1トーン信号との周波数差が|n−m|×fである第2トーン信号と、周波数がn×fである電気変調信号を含む電気信号を出力する変換手段と、前記電気信号を無線信号として送信するアンテナと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の一側面によると、周波数がm×f、ここで、mは自然数、かつ、fは所定数、である第1トーン信号と、周波数がn×f、ここでnはmとは異なる自然数、である電気変調信号
と、前記第1トーン信号との周波数差が|n−m|×fである第2トーン信号と、を含む無線信号を受信する無線受信装置は、前記無線信号を電気信号に変換するアンテナと、前記第1トーン信号と前記電気変調信号を乗じて周波数が|n−m|×fの電気変調信号を出力する第1変換手段と、
前記第1トーン信号と前記第2トーン信号を乗じて周波数が|n−m|×fの第3トーン信号を出力する第2変換手段と、前記第3トーン信号と前記第1変換手段が出力する電気変調信号を乗じてベースバンド信号を出力する第3変換手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
RoF伝送システムにおいて信号劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】一実施形態による無線送信装置及び無線受信装置の構成図。
【
図4】一実施形態によるシステム内の信号を示す図。
【
図6】一実施形態によるシステム内の信号を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。また、以下の実施形態は例示であり本発明を実施形態の内容に限定するものではない。
【0015】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態によるRoF伝送システムの構成図である。光送信装置1は、3つの連続光を生成し、その内の1つを送信データで変調して光変調信号とし、残りの2つの連続光をトーン信号として光変調信号と共に無線送信装置2に送信する。無線送信装置2は、光送信装置1から受信する光信号を光電変換して得た電気変調信号とトーン信号を無線信号として無線受信装置3に送信する。無線受信装置3は、受信した電気変調信号の復調のため、或いは、受信した電気変調信号を下流側の他の装置に送信するため、受信した電気変調信号を、受信したトーン信号により中間周波数(IF)信号に周波数変換する。
【0016】
図2は、本実施形態による光送信装置1の構成図である。光源11は、所定周波数の連続光を生成し、発振器12は、周波数f1の正弦波を生成する。マルチトーン生成部13は、光源11が生成する連続光の周波数を含み、隣り合う周波数の間隔がf1となる複数の連続光(マルチトーン光)を生成する。マルチトーン光は、非特許文献2並びに特許文献1及び特許文献2に記載されている様に、光周波数コム発生器やMZMを用いることで生成できる。フィルタ部14は、複数の連続光の内、所定の周波数関係を有する3つの連続光を通過させ、残りの連続光を除去する。そして、3つの連続光の1つを変調部15に出力し、残りの2つの連続光を合波部16に出力する。なお、フィルタ部14は、アレイ導波路回折格子(AWG)や、光カプラと光バンドパスフィルタを併用することで実現できる。
【0017】
図4(A)は、フィルタ部14が取り出す3つの連続光の関係を示している。
図4(A)においてフィルタ部14は周波数fa、fb、fc(fa<fb<fc)の3つの連続光を取り出しているが、周波数faとfbとの周波数差はmf1(mは自然数)であり、周波数faとfcとの周波数差はnf1(nはmより大きい自然数)である。本例では、周波数fcの連続光を変調部15に出力し、周波数faとfbの連続光をトーン信号として合波部16に出力する。変調部15は、周波数fcの連続光を送信情報である送信データで変調して光変調信号を合波部16に出力する。合波部16は、変調部15からの中心周波数fcの光変調信号と、フィルタ部14から2つのトーン信号を合波して無線送信装置2に送信する。
図4(B)は、合波部16が無線送信装置2に送信する光信号のスペクトラムを示している。
【0018】
図3(A)は、本実施形態による無線送信装置2の構成図である。無線送信装置2の光電気変換部21は、例えば、フォトダイオードであり、光送信装置1から受信する
図4(B)に示す光信号を電気信号に変換する。ここで、フォトダイオードといった光電気変換部21による光電変換では、光信号に含まれる2つのトーン信号と1つの光変調信号との周波数差に応じた電気信号が得られるので、光電気変換部21が出力する電気信号は、
図4(C)に示す様に周波数mf1のトーン信号、つまり、無変調の信号と、中心周波数をnf1とする電気変調信号を含んでいる。なお、実際には中心周波数を(n−m)f1とする電気変調信号等も含まれるが、それらはフィルタ部22により除去する。例えば、f1=10GHzとし、n=10、m=9とすると、電気信号は、周波数が90GHzのトーン信号と、中心周波数が100GHzの電気変調信号を含んでいる。フィルタ部22は、
図4(C)に示す電気信号をアンテナ23に出力し、アンテナ23は、入力される電気信号を無線信号に変換して無線受信装置3に送信する。
【0019】
図3(B)は、本実施形態による無線受信装置3の構成図である。無線受信装置3のアンテナ33は、無線送信装置2から受信する無線信号を電気信号に変換して分離部31に出力する。なお、この電気信号は、
図4(C)に示す様に周波数mf1のトーン信号と、中心周波数をnf1とする電気変調信号を含んでいる。分離部31は、このトーン信号と、電気変調信号を取り出して、それぞれを乗算部32に出力する。乗算部32は、中心周波数nf1の電気変調信号を、周波数mf1のトーン信号で周波数変換し、
図4(D)に示す様に、中心周波数が(n−m)f1のIF信号を得る。例えば、f1=10GHzとし、n=10、m=9とすると、10GHzのIF信号を得る。
【0020】
以上の構成により、無線受信装置3における周波数変換のための正弦波を光送信装置1に同期させることができ、周波数安定度の高いIF信号を得ることができる。
【0021】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態では、無線受信装置3においてIF信号に変換していた。本実施形態ではベースバンド信号に変換する。本実施形態のシステム構成図は
図1と同じであり、光送信装置1の構成図も基本的には
図2に示す通りである。但し、本実施形態において、フィルタ部14は、4つの連続光を取り出して、その内の1つを変調部15に出力し、残りの3つの連続光をトーン信号として合波部16に出力する。従って、合波部16は、1つの光変調信号と3つのトーン信号を含む光信号を無線送信装置2に送信する。
【0022】
図6(A)は、本実施形態において光送信装置1が無線送信装置2に送信する光信号のスペクトラムを示している。本実施形態において、フィルタ部14は、周波数fa、fd、fb、fc(fa<fd<fb<fc)の4つの連続光を取り出し、変調部15は周波数fcの連続光を変調する。ここで、周波数faとfbとの周波数差はmf1(mは自然数)であり、周波数faとfcとの周波数差はnf1(nはmより大きい自然数)であり、周波数faとfdとの周波数差は(2m−n)f1である。言い換えると、周波数fdと周波数fbとの周波数差は(n−m)f1である。
【0023】
本実施形態による無線送信装置2の構成図は、
図3(A)と同様であり、光電気変換部21及びフィルタ部22により、
図6(A)の光信号は、
図6(B)に示す周波数成分を含む電気信号に変換される。
図6(B)において周波数(2m−n)f1のトーン信号は、周波数faと周波数fdのビート信号に対応し、周波数mf1のトーン信号は、周波数faと周波数fbのビート信号に対応する。なお、第一実施形態と同様に、例えば、周波数fbと周波数fdのビート信号といった不要な信号はフィルタ部22で除去する。
【0024】
図5は、本実施形態による無線受信装置3の構成図である。無線受信装置3のアンテナ33は、無線送信装置2から受信する無線信号を電気信号に変換して分離部31に出力する。なお、この電気信号は、
図6(B)に示す様に周波数(2m−n)f1及び周波数mf1の2つのトーン信号と、中心周波数をnf1とする電気変調信号を含んでいる。分離部31は、中心周波数nf1の電気変調信号を乗算部32に、周波数mf1のトーン信号を乗算部32及び34に、周波数(2m−n)f1のトーン信号を乗算部34に出力する。乗算部34は、周波数mf1のトーン信号と周波数(2m−n)f1のトーン信号を乗じて、周波数(n−m)f1のトーン信号を乗算部35に出力する。また、乗算部32は、中心周波数nf1の電気変調信号を、周波数mf1のトーン信号で周波数変換して、周波数(n−m)f1の電気変調信号(IF信号)を乗算部35に出力する。乗算部35は、IF信号を周波数(n−m)f1のトーン信号により周波数変換して、ベースバンド信号を得る。例えば、f1=10GHzとし、n=10、m=9とすると、無線送信装置2は、80GHz及び90GHzのトーン信号と、中心周波数が100GHzの電気変調信号を無線受信装置3に送信し、乗算部32は10GHzのIF信号を乗算部35に出力し、乗算部34は、10GHzのトーン信号を乗算部35に出力する。
【0025】
<第三実施形態>
本実施形態においては、RoF伝送技術を応用し、光伝送路の障害を無線により救済する。
図7は、本実施形態による伝送システムの構成図である。光送信装置1が送信した光信号を、通常時、無線送信装置2及び無線受信装置3は単にスルーし、光送信装置1が送信した光信号はそのまま光受信装置4が受信する。一方、無線送信装置2及び無線受信装置3との間の光伝送路に障害が生じると、無線送信装置2は、光送信装置1からの光信号を光電変換して電気信号とし、その後、この電気信号を無線信号に変換して無線受信装置3に送信する。無線受信装置3は、無線送信装置2から受信する無線信号を電気信号に変換し、変換後の電気信号で連続光を変調して光受信装置4に送信する。
【0026】
本実施形態による光送信装置1は、第二実施形態と同様である。但し、m=n−1とする。したがって、周波数faと周波数fdとの差は、(n−2)f1となり、周波数faと周波数fbとの差は、(n−1)f1となる。
図8は、本実施形態による無線送信装置2の構成図であり、
図3(A)に示す第二実施形態の無線送信装置2とは、切替部24が追加されている点で異なる。切替部24は、光送信装置1から受信する光信号を、光電気変換部21に出力するか、そのまま無線受信装置3に送信するかの選択を行う。つまり、通常時、切替部23は、光送信装置1から受信した光信号を単に無線受信装置3に送信する。一方、無線送信装置2と無線受信装置3との間の光伝送路が障害になると、切替部23は、受信した光信号を光電気変換部21に出力し、光電気変換部21は、
図6(B)に示す無線信号を無線受信装置3に送信する。なお、本実施形態においてはm=n−1であるため、無線送信装置2が送信する無線信号は、周波数(n−2)f1及び周波数(n−1)f1の2つのトーン信号と、中心周波数をnf1とする変調信号を含んでいる。
【0027】
図9は、本実施形態による無線受信装置3の構成図である。乗算部35がベースバンド信号を出力するまでの構成は、n=m−1とする以外は、
図5に示す第二実施形態と同様であるためその説明については省略する。なお、乗算部34は、トーン信号f1をマルチトーン生成部13に出力する。本実施形態の無線受信装置3は、光送信装置1と同様に、光源11と、マルチトーン生成部13と、フィルタ部14と、光変調部15と、合波部16と、を備えている。これら機能ブロックによる光信号の生成は、
図2の構成における発振器12が出力する周波数f1の正弦波を、乗算部34が出力する周波数f1のトーン信号と読み替え、
図2の送信データを、乗算部35が出力するベースバンド信号と読み替える以外は同様であるため、その説明を省略する。
【0028】
切替部36は、光受信装置4に送信する光信号を、無線送信装置2からの光信号とするか、合波部16が出力する光信号とするかを選択する。つまり、切替部36は、通常時、無線送信装置2から受信する光信号を、そのまま、光受信装置4に送信する。一方、無線送信装置2と無線受信装置3との間の光伝送路に障害が生じると、切替部36は、合波部16が出力する光信号を光受信装置4に送信する。
【0029】
なお、本実施形態においては、
図7に示す様に、無線送信装置2と無線受信装置3の組を1つだけ設けていたが、無線送信装置2と無線受信装置3との組を直列に複数設ける構成とすることができる。つまり、光伝送路を複数の区間に分割し、区間毎に無線送信装置2と無線受信装置3の組を対向させ、光伝送路を区間単位で救済する構成とすることもできる。
【0030】
また、上記各実施形態においては、n>mであったが、n<mとすることもできる。つまり、光変調を行う周波数については、生成する3又は4の連続光の内の最も低いものとすることもできる。したがって、上記各実施形態において、フィルタ部や乗算部が出力する電気信号の周波数の内、mとnの差で表されるものは、差の絶対値の周波数となる。さらに、生成する連続光の周波数の関係は、fa<fd<fb<fcであったが、各実施形態で示す周波数差であれば、光変調を行う周波数については、トーン信号とする連続光の間の周波数であっても良い。