特許第6383600号(P6383600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383600
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】シリンダー錠
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20180820BHJP
   E05B 15/00 20060101ALI20180820BHJP
   E05B 17/18 20060101ALI20180820BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   E05B49/00 H
   E05B15/00 B
   E05B17/18 F
   E05B47/00 R
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-162794(P2014-162794)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-37796(P2016-37796A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】391020322
【氏名又は名称】東海理研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明広
(72)【発明者】
【氏名】梅村 正美
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−256773(JP,A)
【文献】 特開2009−041243(JP,A)
【文献】 米国特許第04947662(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵穴に挿入された接触式の電子キーのIDデータを読み取るデータ読み取り手段と、前記データ読み取り手段に接続し、前記データ読み取り手段が読み取った前記IDデータに基づいて認証を行い、認証が成功した場合に、解錠許可手段に解錠動作を許可させる制御手段と、を備えるシリンダー錠において、
前記データ読み取り手段が、前記鍵穴の外部に配置されていること、
前記鍵穴に前記電子キーが挿入されない場合に、前記電子キーと前記データ読み取り手段との接続を遮断する一方、前記鍵穴に前記電子キーが挿入される場合に、前記電子キーと前記データ読み取り手段を接続する接続制御手段を有すること、
前記接続制御手段は、前記鍵穴に前記電子キーが挿入されていない場合に、前記鍵穴に高電圧が印可されたときに、前記データ読み取り手段に前記高電圧を作用させないこと、
を特徴とするシリンダー錠。
【請求項2】
鍵穴に挿入された接触式の電子キーのIDデータを読み取るデータ読み取り手段と、前記データ読み取り手段に接続し、前記データ読み取り手段が読み取った前記IDデータに基づいて認証を行い、認証が成功した場合に、解錠許可手段に解錠動作を許可させる制御手段と、を備えるシリンダー錠において、
前記データ読み取り手段が、前記鍵穴の外部に配置されていること、
前記鍵穴に前記電子キーが挿入されない場合に、前記電子キーと前記データ読み取り手段との接続を遮断する一方、前記鍵穴に前記電子キーが挿入される場合に、前記電子キーと前記データ読み取り手段を接続する接続制御手段を有すること、
外筒と、
前記鍵穴を備え、前記外筒にスライド可能に保持される内筒と、を有すること、
前記接続制御手段は、
前記内筒に対して一体的に連結されるシャフトと、
前記シャフトに保持され、前記鍵穴に挿入された前記電子キーに接触する接触手段と、
前記鍵穴が開口する端面側に向かって前記内筒を付勢する付勢手段と、を有すること、
前記データ読み取り手段が、前記付勢手段に抗して前記内筒をスライドさせた場合に限り、前記接触手段に通信可能に接触するように、前記シャフトのスライド経路上に配置されていること、
を特徴とするシリンダー錠。
【請求項3】
請求項に記載するシリンダー錠において、
第1ユニットと第2ユニットに分割されていること、
前記第1ユニットが、前記外筒と、前記内筒とを有すること、
前記第2ユニットが、前記データ読み取り手段と、前記解錠許可手段と、前記制御手段を有すること、
を特徴とするシリンダー錠。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載するシリンダー錠において、
前記鍵穴の入り口を開閉するシャッターを有すること
を特徴とするシリンダー錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子キーに記憶されているIDデータに基づいて認証を行い、認証に成功した場合に、解錠を行うシリンダー錠に関する。
【背景技術】
【0002】
電子キーを用いたシリンダー錠は、セキュリティが高い等の理由で、玄関のドア等に取り付けられている。シリンダー錠は、電子キーが鍵穴に挿入されると、データ読み取り手段が電子キーに接触してIDデータを読み取る。シリンダー錠の制御手段は、ドアの使用権限を示す権限データを記憶しており、データ読み取り手段が読み取ったIDデータが権限データに一致する場合に、解錠を行う(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−238051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシリンダー錠は、データ読み取り手段が鍵穴内に配置されていた。そのため、データ読み取り手段は、スタンガン等により高電圧を印加されやすかった。制御手段は、データ読み取り手段に接続するため、データ読み取り手段に高電圧を印加されると、破壊されてしまっていた。制御手段が破壊されると、認証の有無にかかわらず、シリンダー錠を解錠できるようになるため、問題である。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、データ読み取り手段に高電圧を印加されて制御手段が破壊されることを防止できるシリンダー錠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の構成を有する。
(1)鍵穴に挿入された接触式の電子キーのIDデータを読み取るデータ読み取り手段と、前記データ読み取り手段に接続し、前記データ読み取り手段が読み取った前記IDデータに基づいて認証を行い、認証が成功した場合に、解錠許可手段に解錠動作を許可させる制御手段と、を備えるシリンダー錠において、前記データ読み取り手段が、前記鍵穴の外部に配置されていること、前記鍵穴に前記電子キーが挿入されない場合に、前記電子キーと前記データ読み取り手段との接続を遮断する一方、前記鍵穴に前記電子キーが挿入される場合に、前記電子キーと前記データ読み取り手段を接続する接続制御手段を有すること、前記接続制御手段は、前記鍵穴に前記電子キーが挿入されていない場合に、前記鍵穴に高電圧が印可されたときに、前記データ読み取り手段に前記高電圧を作用させないこと、を特徴とする。
【0007】
上記構成では、データ読み取り手段は、鍵穴の外部に配置され、鍵穴を介して直接接触できないようにされている。接触式の電子キーが鍵穴に挿入されると、接続制御手段が電子キーとデータ読み取り手段を接触させる。この場合、制御手段は、データ読み取り手段を介して電子キーのIDデータを入力して認証を行い、認証に成功した場合に、解錠許可手段に解錠を許可させる。これに対して、電子キーが鍵穴に挿入されていない場合には、接続制御手段がデータ読み取り手段と電子キーとの接続を遮断する。そのため、電子キーを鍵穴に挿入しない状態でスタンガン等により内筒や外筒に高電圧が印加されても、その高電圧はデータ読み取り手段に印加されない。これにより、制御手段は、データ読み取り手段を介して高電圧を印加されず、破壊されにくくなる。
【0008】
(2)(1)に記載の構成において、好ましくは、前記鍵穴の入り口を開閉するシャッターを有する。
【0009】
上記構成では、鍵穴の入り口をシャッターで閉鎖するので、スタンガン等を鍵穴に挿入して、高電圧を印加することが困難である。よって、上記構成によれば、データ読み取り手段に高電圧が印加され、制御手段が破壊されることを予防できる。
【0010】
(3)鍵穴に挿入された接触式の電子キーのIDデータを読み取るデータ読み取り手段と、前記データ読み取り手段に接続し、前記データ読み取り手段が読み取った前記IDデータに基づいて認証を行い、認証が成功した場合に、解錠許可手段に解錠動作を許可させる制御手段と、を備えるシリンダー錠において、前記データ読み取り手段が、前記鍵穴の外部に配置されていること、前記鍵穴に前記電子キーが挿入されない場合に、前記電子キーと前記データ読み取り手段との接続を遮断する一方、前記鍵穴に前記電子キーが挿入される場合に、前記電子キーと前記データ読み取り手段を接続する接続制御手段を有すること、好ましくは、外筒と、前記鍵穴を備え、前記外筒にスライド可能に保持される内筒と、を有すること、前記接続制御手段は、前記内筒に対して一体的に連結されるシャフトと、前記シャフトに保持され、前記鍵穴に挿入された前記電子キーに接触する接触手段と、前記鍵穴が開口する端面側に向かって前記内筒を付勢する付勢手段と、を有すること、前記データ読み取り手段が、前記付勢手段に抗して前記内筒をスライドさせた場合に限り、前記接触手段に通信可能に接触するように、前記シャフトのスライド経路上に配置されていること、を特徴とする。
【0011】
上記構成では、電子キーを鍵穴に挿入すると、電子キーが接触手段に接触する。電子キーを付勢手段に抗して押圧しない場合には、接触手段が、シャフトのスライド経路上に配置されたデータ読み取り手段に接触せず、電子キーとデータ読み取り手段との接続が遮断されている。その後、電子キーを付勢手段に抗して押圧し、内筒を外筒内でスライドさせると、シャフトが内筒と一体的にスライドする。接触手段は、シャフトに保持されているため、シャフトと一体的にスライドしてデータ読み取り手段に通信可能に接触する。これにより、電子キーとデータ読み取り手段が接続する。よって、上記構成によれば、使用者の力で電子キーとデータ読み取り手段を接続するので、消費電力を抑えつつ、高電圧がデータ読み取り手段に印加されることを簡単且つ安価に防止できる。
【0012】
(4)(3)に記載の構成において、好ましくは、第1ユニットと第2ユニットに分割されていること、前記第1ユニットが、前記外筒と、前記内筒と、前記接続制御手段を有すること、前記第2ユニットが、前記データ読み取り手段と、前記解錠許可手段と、前記制御手段を有すること、を特徴とする。
【0013】
上記構成では、シリンダー錠が第1ユニットと第2ユニットに分割されており、第1ユニットは、内筒と、外筒と、接続制御手段を有する一方、第2ユニットは、データ読み取り手段と、解錠許可手段と、制御手段を有するので、解錠動作に直接関連するものが第2ユニットにまとめられている。そのため、例えば、第2ユニットをドアの内側に配置し、第2ユニットをドアの外側に配置することにより、高電圧が制御手段に不正に印加されない。
【発明の効果】
【0014】
上記構成のシリンダー錠によれば、データ読み取り手段に高電圧を印加されて制御手段が破壊されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るシリンダー錠の断面図であって、解錠禁止状態を示す。
図2】本発明に係るシリンダー錠の断面図であって、解錠許可状態を示す。
図3図1のAA断面図である。
図4図1のBB断面図である。
図5】鍵穴が設けられた端面を示す図である。
図6】回転力伝達構造を示す外観斜視図である。
図7】電子キーの側面図である。
図8】ドアの外観斜視図である。
図9】シリンダー錠の取付構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係るシリンダー錠の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るシリンダー錠5の断面図であって、解錠禁止状態を示す。図2は、本発明に係るシリンダー錠5の断面図であって、解錠許可状態を示す。図3は、図1のAA断面図である。図4は、図1のBB断面図である。図5は、鍵穴22aが設けられた端面を示す図である。図6は、回転力伝達構造を示す外観斜視図である。図7は、電子キー4の側面図である。図8は、ドア1の外観斜視図である。図9は、シリンダー錠5の取付構造を説明する図である。
【0018】
図8に示すように、例えば、玄関のドア1には、図7に示す電子キー4を用いて、施錠と解錠を行う錠前2が取り付けられている。錠前2は、ドア枠のストライク(図示せず)へ向けてデッドボルト3を突出又は退避させることで、施錠と解錠を行う。デッドボルト3は、錠前2に内設された図示しない内部カムに連結している。本実施形態のシリンダー錠5は、錠前2に取り付けられている。シリンダー錠5は、鍵穴22aに挿入された電子キー4を回転させることで、錠前2の図示しない内部カムに回転力を付与してデッドボルト3を突出又は退避させる。
【0019】
電子キー4の構成を説明する。図7に示すように、電子キー4は、導電材料を枠形状に形成した第1端子部材4a(第1端子の一例)と、先端部が露出するように絶縁ホルダ4dを装着され、第1端子部材4aに絶縁された状態で取り付けられる第2端子部材4b(第2端子の一例)を備える。第1及び第2端子部材4a,4bの後端部は、絶縁材料からなる把持部材4eで覆われている。ICタグ4cは、把持部材4eに内蔵され、第1及び第2端子部材4a,4bに接続している。ICタグ4cは、固有のIDデータを記憶している。ICタグ4cは、LED4fに接続して、点灯状態を制御する。LED4fは、把持部材4eの外から視認できるようになっている。
【0020】
次に、シリンダー錠5の構成を説明する。図1及び図2に示すように、シリンダー錠5は、鍵穴22aを備える内筒22が外筒21に回転可能に保持されている。シリンダー錠5は、鍵穴22aの外部に配置されるデータ送受信手段69(データ読み取り手段の一例)と、鍵穴22aに電子キー4が挿入されない場合に、電子キー4とデータ送受信手段69との接続を遮断する一方、鍵穴22aに電子キー4が挿入される場合に、電子キー4とデータ送受信手段69を接続する接続制御手段50を有する。
【0021】
そして、シリンダー錠5は、解錠を許可する解錠許可手段51と、データ送受信手段69に接続し、データ送受信手段69が電子キー4から読み取ったIDデータに基づいて認証を行い、認証に成功した場合に、解錠許可手段51に解錠を許可させる制御手段70を備える。
【0022】
以下、シリンダー錠5の構成について、詳細に説明する。シリンダー錠5は、第1ユニット11と、第2ユニット12に分割され、既設のシリンダー錠と交換しやすくされている。
【0023】
第1ユニット11は、外筒21に内筒22が回転可能及び摺動可能に保持されている。外筒21は、前面側の開口部外周面に、化粧リング23が外筒21に螺設されている。外筒21は、前面側の開口部より少し奥側に段差部21aが設けられ、その段差部21aに内筒22のショルダー部22cが当接することにより、内筒22の前方(屋外側、図中左方向)への移動が制限される(以下、この場合に内筒22が配置される位置を「キー挿入位置」ともいう。)。また、外筒21は、背面側の開口部に後端プレート24が固定され、その後端プレート24に内筒22が当接することにより、内筒22の後方(屋内側、図中右方向)への移動が制限される(以下、この場合に内筒22が配置される位置を「押し込み位置」といもいう。)。
【0024】
第1ユニット11は、スライド軸48が内筒22に対して一体的に連結されている。スライド軸48の端部には、保持軸49が一体的に取り付けられている。よって、スライド軸48及び保持軸49は、内筒22と一体的に回転運動及びスライド運動を行う。尚、本実施形態では、スライド軸48と保持軸49により、「シャフト」が構成される。
【0025】
図1図3に示すように、内筒22は、電子キー4が挿入される鍵穴22aを備える。第1ユニット11は、鍵穴22aの内部に、電子キー4の第1端子部材4aに接触する第1鍵穴内部コンタクト部材38と、電子キー4の第2端子部材4bに当接する第2鍵穴内部コンタクト部材39が配置されている。一方、第1ユニット11は、鍵穴22aの外部に、第1鍵穴外部コンタクト部材46と、第2鍵穴外部コンタクト部材47が配置されている。第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47は、保持軸49の外周面に装着されている。
【0026】
図3に示すように、第1鍵穴内部コンタクト部材38は、絶縁材料で被覆された第1配線44を介して第1鍵穴外部コンタクト部材46に通信可能に接続されている。また、第2鍵穴内部コンタクト部材39は、絶縁材料で被覆された第2配線45を介して第2鍵穴外部コンタクト部材47に通信可能に接続されている。第1及び第2配線44,45は、スライド軸48及び保持軸49のスライドを阻害しないように、スライド軸48の中空部48aに配置されている。尚、本実施形態では、第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39、配線44,45、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47により、「シャフト」に保持され、鍵穴22aに挿入された電子キー4に接触する「接触手段」が構成されている。
【0027】
より詳しく内筒22について説明すると、図6に示すように、内筒22は、第1ホルダ31と、第2ホルダ32と、第3ホルダ33と、バックプレート34を連結ボルト35で連結することにより、一体化したものである。
【0028】
図1及び図2に示すように、鍵穴22aは、第1〜第3ホルダ31〜33に渡って形成されている。第2及び第3ホルダ32,33には、電子キー4の第2端子部材4bをガイドするガイド溝32a,33aが形成されている。第2鍵穴内部コンタクト部材39は、第3ホルダ33の一方のガイド溝33a内に配置され、第2端子部材4bに接触するようになっている。また、第1鍵穴内部コンタクト部材38は、第2鍵穴内部コンタクト部材39と90度の位相差をもつように、第3ホルダ33の内部に配置され、電子キー4の第1端子部材4aに接触するようになっている。
【0029】
よって、ガイド溝32a,33aに沿って電子キー4を鍵穴22aに挿入すると、必ず、第1及び第2端子部材4a,4bと第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39を接触させることができる。また、第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39は、鍵穴22aの奥の位置(入り口22bと反対側の位置)に配置されている。そのため、電圧を印加する装置を第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39に届くように鍵穴22aに入れにくく、第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39に外部から不正に電圧を印加されにくい。
【0030】
図3に示すように、第1ホルダ31は、一対のシャッター部材36,36(シャッターの一例)をシャッター軸37,37を介して回動可能に保持している。シャッター部材36,36は、シャッターばね40,40により付勢され、図3及び図5に示すように互いに当接している。そのため、鍵穴22aは、電子キー4以外のものをシャッター部材36,36を超えて挿入されにくい。シャッター部材36,36は、絶縁材料で形成され、電圧を印加されても、電流がシャッター部材36,36から第1ホルダ31へ流れない。
【0031】
図1図3に示すように、バックプレート34には、スライド軸48が連結され、内筒22とスライド軸48が一体的に動作するようにしている。
【0032】
このような第1ユニット11は、外筒21と化粧リング23と後端プレート24と第1ホルダ31とバックプレート34とスライド軸48が、機械的性質及び耐腐食性に優れた金属で形成されている。第2及び第3ホルダ32,33と保持軸49は、絶縁材料で形成されている。そのため、外部に露出している化粧リング23や外筒21、第1ホルダ31に電圧が印加されても、第2及び第3ホルダ32,33で絶縁されるので、第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39に電圧が印加されない。またこの場合、電流が化粧リング23や外筒21、第1ホルダ31からスライド軸48へ流れても、保持軸49で絶縁され、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47に流れない。よって、高電圧がデータ送受信手段69に印加されにくい。
【0033】
図1及び図2に示すように、第2ユニット12は、ハウジング62に、錠前2の内部カム(図示せず)に連結するギヤカム63が回転可能に保持されている。カム部材64は、円筒部64aがギヤカム63に装填されると共に、ハウジング62に内設されたシャフトソケット65の円筒部65aに保持され、軸線を中心に回転したり、軸線に沿って往復直線運動したりできるようになっている。
【0034】
第2ユニット12は、スライド軸48及び保持軸49が、ギヤカム63からカム部材64を介してシャフトソケット65に挿通され、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47がシャフトソケット65内に配置されるようになっている。尚、カム部材64とシャフトソケット65は、絶縁材料で形成され、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47との間で電流を流さないようにされている。
【0035】
第2ユニット12は、スライド軸48及び保持軸49を挟んで内筒22と反対側に、リセットレバー66が配置されている。リセットレバー66は、ハウジング62に固定された回転軸67に回動可能に保持されている。リセットばね68(付勢手段の一例)は、リセットレバー66を挟んで保持軸49と反対側に配置され、リセットレバー66、保持軸49、スライド軸48を介して内筒22を図中左方向へ常時付勢することにより、内筒22をキー挿入位置(図1参照)に自動的に移動させるようにしている。
【0036】
データ送受信手段69は、外筒21と内筒22を介して電圧を印加されないように、外筒21と内筒22から離れてシャフトソケット65に固設されている。データ送受信手段69は、リセットばね68に抗して内筒22を押し込み位置までスライドさせた場合に限り、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47に通信可能に接触するように、保持軸49のスライド経路上に配置されている。そのため、データ送受信手段69は、電子キー4を鍵穴22aに挿入しない場合には、第2鍵穴外部端子部材46,47に通信可能に接触せず、電子キー4との接続を遮断される。電子キー4を鍵穴22aに挿入して押圧した場合には、第2鍵穴外部端子部材46,47に通信可能に接触し、電子キー4に接続される。よって、本実施形態では、第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39、配線44,45、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47、スライド軸48と保持軸49とリセットばね68により、接続制御手段50が構成される。
【0037】
図1及び図2に示すように、解錠許可手段51は、ソレノイド71、スライドレバー74、スライドプレート75、スライドばね76、リンク部材77、カム部材64、ギヤカム63により構成されている。
【0038】
図6に示すように、カム部材64は、スライド軸48と一体的に回転するように、スライド軸48に対して連結されている。また、カム部材64は、スライド軸48に対してスライド可能に取り付けられている。カム部材64は、ギヤカム63に形成された十字形のカム溝63aに係合するように、十字形のカム64bが設けられている。そのため、カム64bとカム溝63aが係合する場合に、内筒22の回転力がスライド軸48、カム部材64を介してギヤカム63に伝達される。
【0039】
図6に示すように、カム部材64の外周面には、カム溝64cが環状に形成され、リンク部材77のカムピン77aが係合している。リンク部材77は、ハウジング62に揺動可能に保持されている。そのため、カム部材64は、リンク部材77が揺動することによって、スライド軸48に沿ってスライドし、カム64bをカム溝63aに係合させたり、カム64bとカム溝63aの係合状態を解除させたりする。
【0040】
図1及び図2図6に示すように、リンク部材77は、スライドプレート75が水平方向に往復直線運動することで、内筒22側又は内筒22と反対側へ向かって揺動する。スライドプレート75は、スライドばね76によって内筒22と反対側へ向かって常時付勢されている。スライドレバー74は、スライドプレート75を挟んでスライドばね76と反対側の位置において、回転軸67に回動可能に保持されている。スライドレバー74は、支軸73を介してソレノイド71のプランジャ72に連結され、プランジャ72の上下動に応じて支軸73を中心に回動する。
【0041】
図1に示すように、スライドレバー74は、ソレノイド71が通電されず、プランジャ72を突出させている場合には、スライドプレート75から離間する姿勢(以下「非押圧姿勢」ともいう。)になる。一方、図2に示すように、スライドレバー74は、ソレノイド71が通電され、プランジャ72を上方へ吸引すると、スライドプレート75に当接してスライドばね76に抗してスライドプレート75を内筒22側へ向かって押圧する姿勢(以下「押圧姿勢」ともいう。)になる。
【0042】
図1に示すように、スライドプレート75は、リンク部材77が貫き通される開口部75aが開設されている。スライドレバー74が非押圧姿勢で保持され、スライドプレート75がスライドばね76により内筒22と反対側へ付勢されている場合には、リンク部材77は、開口部75aの縁部により内筒22と反対側へ押圧され、揺動する。この場合、リンク部材77は、カム部材64をギヤカム63から離れる方向へ引っ張り、カム64bをカム溝63aに係合させない。この場合、内筒22を回転させても、カム部材64が空転し、ギヤカム63に回転力が付与されない。
【0043】
これに対して、図2に示すように、スライドレバー74が押圧姿勢で保持され、スライドプレート75がスライドばね76に抗して内筒22側へスライドした場合には、リンク部材77は、スライドプレート75の加圧部75cに押圧されて内筒22側へ揺動する。これにより、リンク部材77は、カム部材64をギヤカム63側へ引っ張り、カム64bをカム溝63aに係合させる。この場合、内筒22を回転させると、その回転力がスライド軸48、カム部材64、ギヤカム63に伝達され、施錠又は解錠を行うことが可能になる。
【0044】
ところで、シリンダー錠5は、回転軸67に回動可能に保持されるホールドレバー78を備える。ホールドレバー78は、スライドプレート75の保持突部75bの上方に配置されている。ホールドばね79は、ホールドレバー78をスライドプレート75側へ向かって付勢している。ホールドレバー78には、スライドプレート75の保持突部75bに係合可能な凹部78aが設けられている。
【0045】
ホールドレバー78は、リセットレバー66がリセットばね68に抗して押圧されない間は、リセットレバー66に回動を制限される。ホールドレバー78は、リセットレバー66がリセットばね68に抗して押圧されると、リセットレバー66による回動制限を解除される。リセットレバー66による回動制限が解除されても、ホールドレバー78は、保持突部75bが凹部78aの下方にくるまでは、保持突部75bに押し上げられて回動できない。一方、スライドプレート75が、保持突部75bを凹部78aの下方に配置するように移動すると、ホールドレバー78は、回動して、凹部78aを保持突部75bに係合させる。ホールドレバー78は、ホールドばね79に付勢されるため、ソレノイド71への通電が停止されても、スライドプレート75を保持し続けることが可能である。
【0046】
第2ユニット12は、内部構造が外部から見えないように化粧カバー61で覆われている。サムターン80は、回転軸80aが化粧カバー61に挿通されている。図4に示すように、回転軸80aの先端部は、多角形形状をなし、ハウジング62に回転可能に保持されたギヤ81に係合している。ギヤ81は、ギヤカム63に噛合している。そのため、サムターン80を回転させると、ギヤ81を介してギヤカム63が回転し、施錠又は解錠が行われる。
【0047】
続いて、シリンダー錠5の取付構造について説明する。図9に示すように、シリンダー錠5は、第1及び第2ユニット11,12がドア1に対して外側と内側から取り付けられる。第1及び第2ユニット11,12は、錠前2のケース2aに形成されたシリンダー錠取付孔2bに嵌合された状態で、ケース2aに形成された挿通穴2dから第1及び第2ユニット11,12に形成された保持孔11a,12aに保持ピン13を挿通することで、ケース2aに位置決めされた状態で保持される。
【0048】
保持ピン13は、ケース2aに固定されていないので、ケース2aから脱落する恐れがある。そこで、シリンダー錠5は、保持ピン13を覆うようにカバープレート14をケース2aに当接させ、固定ねじ15をカバープレート14の貫通孔14aに貫き通してケース2aのねじ孔2cに螺合させる。これにより、カバープレート14が、ケース2aに固定され、保持ピン13の脱落が防止される。尚、カバープレート14には、デッドボルト3を突出させるための窓14bが設けられている。化粧リング23は、案件毎に締め付け量が異なるので、第1及び第2ユニット11,12をドア1に取り付けた後に外筒21に螺合することが望ましい。
【0049】
本実施形態では、制御手段70は、乾電池を電源として駆動する。そのため、シリンダー錠5は、配線しなくても、ドア1に設置できる。尚、制御手段70は、周知のマイクロコンピュータであって、中央演算処理装置(CPU)やメモリ等を備える。制御手段70は、データ送受信手段69とソレノイド71に接続され、電気信号を送受信する。
【0050】
続いて、シリンダー錠5の動作について説明する。制御手段70は、メモリに記憶されている制御プログラムを実行することにより、シリンダー錠5による施錠又は解錠動作を制御する。
【0051】
使用者は、電子キー4を鍵穴22aに挿入し、第1及び第2端子部材4a,4bを第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39に接触させる。単に、電子キー4を介して内筒22をリセットばね68に抗して外筒21に押し込まない場合には、データ送受信手段69と第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47が通信可能に接触せず、電子キー4とデータ送受信手段69との接続が遮断される(図1参照)。この場合、制御手段70は、データ送受信手段69を介して電子キー4のIDデータを入力できないため、電子キー4を検出しない。よって、制御手段70は、待機状態を維持する。
【0052】
使用者が、鍵穴22aに差し込んだ電子キー4を、リセットばね68に抗して鍵穴22aに押し込むと、内筒22がスライド軸48及び保持軸49と一体的にスライドし、データ送受信手段69と第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47が通信可能に接触する。これにより、データ送受信手段69は、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47、第1及び第2配線44,45、第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39を介して電子キー4の第1及び第2端子部材4a,4bに通信可能に接続される。これにより、データ送受信手段69が、電子キー4のICタグ4cからIDデータを読み取る。制御手段70は、データ送受信手段69からIDデータを入力することで、電子キー4を検出する。
【0053】
制御手段70は、入力したIDデータを、メモリに記憶されている権限データに照合する。制御手段70は、IDデータが権限データに一致しない場合には、当該電子キー4が未登録のものであると判断する。この場合、制御手段70は、ソレノイド71に通電しない。そのため、ソレノイド71は、プランジャ72が下降しており、スライドレバー74がスライドプレート75から離間している。スライドプレート75は、スライドばね76により内筒22と反対側へ押圧されて移動している。リンク部材77は、スライドプレート75に押圧されて内筒22と反対側へ揺動し、カム部材64のカム64bをギヤカム63のカム溝63aに係合させない。よって、使用者は、無登録の電子キー4を鍵穴22aに押し込んで回転させても、内筒22とスライド軸48及び保持軸49とカム部材64が空転し、ギヤカム63を回転させないので、施錠又は解錠を行うことができない。
【0054】
尚、制御手段70は、電子キー4が未登録の場合、データ送受信手段69、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47、第1及び第2配線44,45、第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39、第1及び第2端子部材4a,4bを介してICタグ4cへ制御信号を送信し、電子キー4のLED4fを点滅させる。使用者は、LED4fの点滅状態を見て、当該電子キー4が未登録であるために施錠又は解錠出来ないことに気づく。
【0055】
これに対して、制御手段70は、IDデータが権限データに一致する場合には、当該電子キー4が登録されているものであると判断する。そこで、制御手段70は、ソレノイド71に通電する。
【0056】
ソレノイド71は、通電されると、プランジャ72を引き上げる。すると、スライドレバー74が、スライドばね76に抗してスライドプレート75を内筒22側へ押圧するように回動する。リンク部材77は、スライドプレート75に押圧されて内筒22側へ揺動し、カム部材64をギヤカム63側へ移動させる。これにより、カム64bとカム溝63aが係合する(図2参照)。
【0057】
ここで、ホールドレバー78は、リセットレバー66がリセットばね68に抗して押圧されるため、リセットレバー66による回動制限を解除される。カム64bとカム溝63aが係合するまで、スライドプレート75が内筒22側へ移動するまでの間、ホールドレバー78は、スライドプレート75の保持突部75bに当接して回動を制限される。カム64bとカム溝63aが係合するようにスライドプレート75が内筒22側へ十分に移動すると、保持突部75bがホールドレバー78の凹部78a下方に到達する。すると、ホールドレバー78は、ホールドばね79に付勢されて回動し、凹部78aを保持突部75bに係合させる(図2参照)。その後、ソレノイド71の通電を停止しても、ホールドレバー78は、ホールドばね79に付勢されて、スライドプレート75の保持突部75bを保持し続ける。よって、シリンダー錠5は、ソレノイド71に1回通電すれば、解錠許可状態を維持できるので、ソレノイド71への通電時間を短縮できる。シリンダー錠5は、乾電池を電源とするので、ソレノイド71への通電時間を短縮できれば、乾電池の交換頻度を減らすことが可能である。
【0058】
制御手段70は、ソレノイド71への通電の他、電子キー4のICタグ4cに制御信号を送信し、LED4fを連続点灯させる。使用者は、LED4fが連続点灯していることを確認したら、電子キー4を回転させる。
【0059】
電子キー4を回転させると、内筒22がスライド軸48及び保持軸49と一体的に回転する。スライド軸48には、カム部材64が一体的に回転するように連結されているので、カム部材64も回転する。この時点において、カム部材64は、カム64bをカム溝63aに係合させている。よって、ギヤカム63は、カム部材64から回転力を付与され、デッドボルト3を錠前2から突出又は退避させる。
【0060】
その後、電子キー4が鍵穴22aから抜かれると、内筒22がスライド軸48及び保持軸49とリセットレバー66を介してリセットばね68に付勢され、キー挿入位置へ向かってスライドする。すると、データ送受信手段69と第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47が通信可能に接触しなくなるので、制御手段70は、IDデータを入力できなくなる。これにより、制御手段70は、電子キー4を検出しなくなるので、ソレノイド71への通電を行っていた場合には、通電を停止して待機状態になる。
【0061】
電子キー4が鍵穴22aから抜かれ、リセットレバー66がリセットばね68に付勢されて回動すると、ホールドレバー78がホールドばね79に抗して回動し、凹部78aと保持突部75bとの係合を解除する。これにより、スライドプレート75が、スライドできる状態になる。
【0062】
その状態で、ソレノイド71への通電が停止されると、プランジャ72が下降し、スライドレバー74がスライドプレート75から離間する。スライドプレート75は、スライドばね76に付勢されて内筒22と反対側へ移動し、リンク部材77を内筒22と反対側へ揺動させる。すると、リンク部材77は、カム部材64を内筒22と反対側へ移動させ、カム64bとカム溝63aの係合を解除する。これにより、ギヤカム63が、カム部材64から回転力を付与されなくなり、施錠又は解錠できない状態になる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態のシリンダー錠5では、データ送受信手段69は、鍵穴22aの外部に配置され、鍵穴22aを介して直接接触できないようにされている。接触式の電子キー4が鍵穴22aに挿入されると、接続制御手段50が電子キー4とデータ送受信手段69を接触させる。この場合、制御手段70は、データ送受信手段69を介して電子キー4のIDデータを入力して認証を行い、認証に成功した場合に、解錠許可手段に解錠を許可させる。これに対して、電子キー4が鍵穴22aに挿入されていない場合には、接続制御手段50がデータ送受信手段69と電子キー4との接続を遮断する。そのため、電子キー4を鍵穴22aに挿入しない状態でスタンガン等により内筒22や外筒21に高電圧が印加されても、その高電圧はデータ送受信手段69に印加されない。これにより、制御手段70は、データ送受信手段69を介して高電圧を印加されず、破壊されにくくなる。
【0064】
本実施形態のシリンダー錠5では、鍵穴22aの入り口をシャッター部材36,36(シャッター)で閉鎖するので、スタンガン等を鍵穴22aに挿入して、高電圧を印加することが困難である。よって、本実施形態のシリンダー錠5によれば、データ送受信手段69に高電圧が印加され、制御手段70が破壊されることを予防できる。
【0065】
本実施形態のシリンダー錠5では、電子キー4を鍵穴22aに挿入すると、電子キー4が接触手段(第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39)に接触する。電子キー4をリセットばね68に抗して押圧しない場合には、接触手段(第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47)が、シャフト(保持軸49)のスライド経路上に配置されたデータ送受信手段69に接触せず、電子キー4とデータ送受信手段69との接続が遮断されている。その後、電子キー4をリセットばね68に抗して押圧し、内筒22を外筒21内でスライドさせると、シャフト(スライド軸48,保持軸49)が内筒22と一体的にスライドする。接触手段(第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47)は、シャフト(保持軸49)に保持されているため、シャフト(保持軸49)と一体的にスライドしてデータ送受信手段69に通信可能に接触する。これにより、電子キー4とデータ送受信手段69が接続する。よって、本実施形態のシリンダー錠5によれば、使用者の力で電子キー4とデータ送受信手段69を接続するので、消費電力を抑えつつ、高電圧がデータ送受信手段69に印加されることを簡単且つ安価に防止できる。
【0066】
本実施形態のシリンダー錠5は、第1ユニット11と第2ユニット12に分割されており、第1ユニット11は、内筒22と、外筒21と、接続制御手段50を有する一方、第2ユニット12は、データ送受信手段69と、解錠許可手段51と、制御手段70を有するので、解錠動作に直接関連するものが第2ユニット12にまとめられている。そのため、例えば、第2ユニット12をドア1の内側に配置し、第2ユニット12をドアの外側に配置することにより、高電圧が制御手段70に不正に印加されない。
【0067】
従って、本実施形態のシリンダー錠5によれば、データ送受信手段69に高電圧を印加されて制御手段70が破壊されることを防止できる。
【0068】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、シリンダー錠5を玄関のドア1に取り付けたが、ロッカーの扉等に設けても良い。
例えば、上記実施形態では、第2ユニット12に内設したリセットばね68により内筒22をリセットレバー66、保持軸49、スライド軸48を介して付勢したが、第1ユニット11内に内筒22を直接付勢するように付勢手段を設けても良い。
上記実施形態では、保持軸49に第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47を装着し、保持軸49を軸線方向に移動させることで、電子キー4とデータ送受信手段69の接続と遮断を切り換えるようにしたが、切換構造は、これに限定されるものでないことはいうまでもない。
上記実施形態では、第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材46,47をデータ送受信手段69に対して接触させたり、接触させないようにすることで、電子キー4とデータ送受信手段69を接続又は遮断したが、第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材38,39を内筒22に突出及び退避可能に設けたり、配線44,45に切換スイッチを設けるなどして、電子キー4とデータ送受信手段69の接続と遮断を制御しても良い。
【符号の説明】
【0069】
4 電子キー
5 シリンダー錠
11 第1ユニット
12 第2ユニット
21 外筒
22 内筒
22a 鍵穴
36 シャッター部材(シャッターの一例)
38、39 第1及び第2鍵穴内部コンタクト部材(接触手段の一例)
44,45 配線(接触手段の一例)
46,47 第1及び第2鍵穴外部コンタクト部材(接触手段の一例)
48 スライド軸(シャフトの一例)
49 保持軸(シャフトの一例)
50 接続制御手段
51 解錠許可手段
68 リセットばね(付勢手段の一例)
69 データ送受信手段(データ読み取り手段の一例)
70 制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9