(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される開閉体の操作装置では、例えば、製品サイズが大きいブラインドはその分だけ操作荷重がかかるため、急激な操作を行うと非常に大きな引っ張り力がボールチェーンにかかる。このように、通常の操作においても非常に大きな引っ張り力がボールチェーンにかかると、第一の連結部材と第二の連結部材が不用意に外れてしまうという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、開閉体の製品サイズによらず居住者の安全性を確保することができる開閉体の操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、吊り下げられた遮蔽材を開閉操作するためのループ状の操作コードと、前記遮蔽材を開閉する駆動部に駆動力を伝達可能なループ状の駆動コードと、前記駆動コードの下端が巻回される上側プーリを有する上側ケースと、前記操作コードの上端が巻回される下側プーリを有する下側ケースと、前記上側ケースと前記下側ケースとを係合により連結する係合手段と、を備え、前記下側ケースからループ状に垂下する前記操作コードのいずれか片側に荷重が掛かったときは、前記下側プーリの回転が前記上側プーリに伝達され、前記下側ケースからループ状に垂下する前記操作コードの両側に荷重が掛かったときは、前記係合手段の係合が解除されて、前記上側ケースと前記下側ケースとが分離することを特徴とする、開閉体の操作装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、通常の操作においては、操作コードには下側ケースからループ状に垂下するいずれか片側にしか荷重がかからないため、大きな引っ張り力をかけても係合手段による係合は維持される。一方、居住者が操作コードに引っ掛かった場合などのように、下側ケースからループ状に垂下する操作コードの両側に荷重がかかった場合には、係合手段による係合が解除される。このように、通常操作では係合が維持され、非常時には係合が解除されるようにしたため、従来のようにフェイルセーフ機能における連結部材の嵌合力を、製品サイズに応じて厳密に設定する必要がなくなる。このため、製品サイズによらず安全性を確保できる。
【0009】
本発明には様々な応用が可能である、例えば、前記下側ケースには、前記操作コードと連動して作動する切換部材が設けられ、前記切換部材は、前記下側プーリからループ状に垂下する前記操作コードの両側いずれにも接触しており、前記切換部材は、前記操作コードによる押圧によって、前記係合手段の係合を解除するようにしてもよい。
【0010】
これにより、切換部材は操作コードによる押圧によって係合手段の係合を解除できるが、通常操作時は下側ケースからループ状に垂下する操作コードのいずれか片側からの押圧しか作用しないため、通常操作において過剰な操作荷重をかけても係合を維持できる。一方、下側ケースからループ状に垂下する操作コードの両側に荷重がかかると切換部材に両側からの押圧が作用するため、係合手段による係合が確実に解除される。
【0011】
また、前記切換部材は、前記操作コードと前記下側プーリの間に設けられるようにしてもよい。これにより、切換部材は操作コードによって下側プーリに接近する方向に押圧された場合に係合手段の係合を解除することができる。
【0012】
さらに、前記切換部材は、前記操作コードよりも外周側に設けられるようにしてもよい。これにより、切換部材は操作コードによって下側プーリから遠ざかる方向に押圧された場合に係合手段の係合を解除することができる。
【0013】
また、本発明の第2の観点によれば、吊り下げられた遮蔽材を開閉操作可能なループ状の操作コードと、前記遮蔽材を開閉する駆動部に駆動力を伝達可能なループ状の駆動コードと、前記駆動コードの下端が巻回される上側プーリを有する上側ケースと、前記操作コードの上端が巻回される下側プーリと、前記下側プーリを移動可能に支持する下側ケースと、前記上側ケースと前記下側ケースとを係合により連結する係合手段と、を備え、前記下側ケースからループ状に垂下する前記操作コードのいずれか片側に荷重が掛かったときは、前記下側プーリの回転が前記上側プーリに伝達され、前記下側ケースからループ状に垂下する前記操作コードの操作によって、前記下側プーリに下方への荷重がかかると、前記下側プーリが移動して前記係合手段の係合が解除され、前記上側ケースと前記下側ケースとが分離することを特徴とする、開閉体の操作装置が提供される。
【0014】
かかる構成によれば、通常の操作においては、下側プーリには回転方向の力のみ作用するため、大きな引っ張り力をかけても係合手段による係合は維持される。しかし、居住者が操作コードに引っ掛かる等、下側ケースからループ状に垂下する操作コードの両側に荷重が掛かった場合など、下側プーリに下方へ荷重がかかると、下側プーリが移動して、係合手段による係合が解除される。このように、通常操作では係合が維持され、非常時には係合が解除されるようにしたため、従来のようにフェイルセーフ機能における連結部材の嵌合力を、製品サイズに応じて厳密に設定する必要がなくなる。このため、製品サイズによらず安全性を確保できる。
【0015】
本発明において、前記下側ケースには、前記下側プーリと連動して作動する切換部材が設けられ、前記切換部材は、前記下側プーリに接触しており、前記切換部材は、前記下側プーリの移動によって押圧されて、前記係合手段の係合を解除するようにしてもよい。
【0016】
これにより、切換部材はプーリによる押圧によって係合手段の係合を解除できる。しかし、通常操作時は、下側ケースからループ状に垂下する操作コードのいずれか片側にしか荷重が掛からないため、プーリは移動しない。このため、通常操作において過剰な操作荷重をかけても係合手段の係合を維持できる。一方、下側ケースからループ状に垂下する操作コードの両側に荷重が掛かると、プーリが移動して切換部材を押圧するため、係合手段による係合が確実に解除される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、開閉体の製品サイズによらず居住者の安全性を確保することができる。なお、本発明のその他の効果は、本明細書及び図面の全体から明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る開閉体の操作装置100(以下、単に操作装置という。)は、吊下げられたスクリーンの開閉を操作するためのものである。まず、本実施形態に係る操作装置100を実施した開閉体であるブラインド10の全体構成について説明する。なお、ブラインド10の一例としてロールクリーンを例に挙げて説明する。
【0021】
図1は、ブラインド10の全体構成を示す斜視図である。ブラインド10は、
図1に示したように、図示していない窓枠等に固定されるフレーム20と、フレーム20に両端が回転可能に支持される巻取パイプ30と、巻取パイプ30に上端が連結され、巻取パイプ30の回転方向によって、巻取パイプ30に巻き取られたり、巻き解かれたりするスクリーン40と、フレーム20と巻取パイプ30の一方の端部との間に設けられ巻取パイプ30を回転駆動する駆動部50と、駆動部50を操作する操作装置100と、を備えて構成される。
【0022】
以上、本実施形態に係る操作装置100を実施したブラインド10の全体構成について説明した。以下では、本実施形態に特徴的な構成要素である操作装置100について説明する。
【0023】
(操作装置100)
まず、本実施形態の操作装置100の全体の構成について、
図1を参照しながら説明する。操作装置100は、スクリーン40を開閉操作可能なループ状の操作コード110と、駆動部50に駆動力を伝達するループ状の駆動コード120と、駆動コード120の下端が巻回される後述する上側プーリ141を有する上側ケース140と、操作コード110の上端が巻回される後述する下側プーリ151を有する下側ケース150と、上側ケース140に下側ケース150を係合する係合手段160とを主に備える。そして、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード110のいずれか一方側が操作されてコードの片側に荷重が掛かったときは、下側プーリ151の回転が上側プーリ141に伝達され、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード110の両側に荷重が掛かったときは、係合手段160の係合が解除されて、上側ケース140と下側ケース150とが分離するように構成される。
【0024】
以下では、操作装置100の各構成について、
図2を参照しながら説明する。
【0025】
(操作コード110)
操作コード110は、スクリーン40を開閉操作するものであり、ループ状のボールチェーンによって構成されている。操作コード110の上端は、上側プーリ141に巻回され、操作コード110の下端は下側プーリ150からループ状に垂下する。
【0026】
(駆動コード120)
駆動コード120は、駆動部50に駆動力を伝達するものであり、ループ状のボールチェーンによって構成されている。駆動コード120の上端は、駆動部50に巻回されており、下端は上側プーリ141に巻回されている。これにより、上側プーリ141の回転が駆動コード120を介して駆動部50に伝達される。
【0027】
(上側ケース140)
上側ケース140は、駆動コード120の下端が巻回される上側プーリ141を有し、正面視において上部の両端が傾斜した六角形の薄い箱型の形状をしている。上側ケース140の底部142の中央部と上部の両傾斜部には、底部開口部143と上部開口部144が形成されている。底部開口部143からは上側ケース140内に係合手段160が挿入され、上側ケース140内に挿入された係合手段160は底部142に係合する。これにより、上側ケース140に下側ケース150が係合する。また、上部開口部144には、ループ状の駆動コード120の両側がそれぞれ挿通する。
【0028】
上側ケース140の底部の両側端部には、上側ケース140と下側ケース150が連結されたときに、下側ケース150内に挿入されて下側ケース150の内壁に当接する突起145が設けられている。突起145は下側ケース150の両側の内壁に当接するため、係合手段160の一方だけが外れた場合に、下側ケース150が上側ケース140に対して傾くことを防止する。このため、係合手段160の一方だけが外れた場合に、下側ケース150が上側ケース140に対して傾くことがないため、上側ケース140と下側ケース150とが分離しない。よって、上側ケース140と下側ケース150の不用意な係合の解除が防止される。
【0029】
上側ケース140内には、上側プーリ141が配設されており、上側プーリ141を回転自在に支持する回転支持軸146が上側ケース140の前後方向に延びて上側ケース140に支持される。上側プーリ141の背面には上側ギア147が設けられる。
【0030】
(下側ケース150)
下側ケース150は、正面視において底部の両端が傾斜した六角形の薄い箱型の形状であり、上部全面と底部の傾斜部には、上部開口部152と底部開口部153が形成されている。上部開口部152から係合手段160と後述する中間ギア156が突出する。また、上側ケース140と下側ケース150が連結されたときに、上部開口部152から前述の突起145が下側ケース150内に挿入される。底部開口部153には、ループ状の駆動コード120の両側がそれぞれ挿通する。
【0031】
下側ケース150内には、下側プーリ151が配設されており、下側プーリ151を回転自在に支持する回転支持軸154が下側ケース150の前後方向に延びて下側ケース150に支持される。下側プーリ151の背面には下側ギア155が設けられる。また、下側ケース150内の上部付近には、中間ギア156が配設されており、中間ギア156を回転自在に支持する回転支持軸157が下側ケース150の前後方向に延びて下側ケース150に支持される。中間ギア156は、下側ギア155と常時かみ合っており、上側ケース140と下側ケース150が連結されたときには上側ギア147ともかみ合う。これにより、下側プーリ151の回転が上側プーリ141に伝達される。
【0032】
(係合手段160)
係合手段160は、
図2に示したように、上側ケース140の底部開口部143を挟んだ両側の底部142にそれぞれ係合するように左右2か所に設けられており、それぞれの係合手段160−1、160−2(係合手段160−1、160−2を総称するときは係合手段160という)は略L字状(又は略逆L字状)の形状をしている。係合手段160は操作コード110と連動して作動する切換部材161の先端に形成されている。
【0033】
切換部材161は、回転支持軸154を挟んで下側プーリ151の前後面を左右方向から包囲するように配置される左右対称の部材である。左右の切換部材161−1、161−2(切換部材161−1、161−2を総称するときは切換部材161という)は、バネ162−1、162−2(バネ162−1、162−2を総称するときはバネ162という)によって回転支持軸154にそれぞれ連結されている。
【0034】
バネ162は、係合手段160が上側ケース140の底部142に係合するように切換部材161を常時付勢している。切換部材161は、回転軸支持軸154よりも下方に配置される部分の側部に側壁161aが設けられており、側壁161aが下側プーリ151の側部を包囲して、操作コード110と下側プーリ151の間に配置されている。また、切換部材161の回転支持軸154よりも上方の部分は側部が開放されており、下側プーリ151に巻回された操作コード110は、切換部材161の開放された部分より切換部材161の外周側に垂下する。
【0035】
これにより、切換部材161の側壁161aは、下側プーリ151からループ状に垂下する操作コード110の両側いずれにも接触するようになっている。切換部材161は、操作コード110を操作したり、操作コード110に居住者が引っ掛かったりなどして、操作コード110に荷重が掛かると操作コード110に押圧される。これにより、切換部材161は、バネ162の弾性力に抗して下側プーリ151に接近する方向に移動し、係合手段160の係合を解除する。
【0036】
以上のように構成される上側ケース140、下側ケース150、係合手段160は、
図3(a)に示したように、上側ケース140と下側ケース150が連結されているときには、係合手段160が上側ケース140に係合するとともに、下側プーリ151の回転を中間ギア156を介して上側プーリ141に伝達する駆動ケース170を構成する。一方、駆動ケース170が分離したときには、
図3(b)に示したように、係合手段160と上側ケース140の係合が解除されるとともに、中間ギア156と上側ギア147が分離する。
【0037】
以上、本実施形態の操作装置100の構成について説明した。次に、本実施形態の操作装置100の作用について、
図4〜
図7を参照しつつ説明する。
【0038】
まず、通常のスクリーン40の開閉操作から説明する。なお、以下の説明において、一例として、スクリーン40を開く場合に操作コード110の一方側を操作し、閉じる場合に操作コード110の他方側を操作することとして説明する。ただし、この逆でもよいことは言うまでもない。
【0039】
スクリーン40を開く場合、
図4(a)に示したように、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード110の一方側(図中左側)を図中矢印aで示すように引き下げる。これにより、操作コード110の片側に荷重が掛かるため、操作コード110の一方側が下側プーリ151に接近する方向に移動する。このため、一方の切換部材161−1が操作コード110に押圧されて、図中矢印bで示すように、バネ162−1の弾性力に抗して下側プーリ151に接近していく。これによって、一方の係合手段160−1の係合が解除される。
【0040】
しかし、他方の係合手段160−2が係合しているため、上側ケース140と下側ケース150は分離しない。これにより、上側ギア147、中間ギア156及び下側ギア155は連結された状態を維持するので、操作コード110の操作による下側プーリ151の回転が、図中矢印cで示すように上側プーリ141に伝達されて、駆動コード120が図中矢印dで示すように、操作コード110の操作方向と同方向に移動する。よって、
図5に示したように、駆動部50が駆動して巻取パイプ30が回転し、スクリーン40が巻取パイプ30に巻き取られる。これにより、図中矢印eで示したように、スクリーン40が上昇して、開かれる。
【0041】
次に、スクリーン40を閉じる場合、
図4(b)に示したように、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード110の他方側(図中右側)を図中矢印fで示したように引き下げる。これにより、操作コード110の片側に荷重が掛かるため、操作コード110の他方側が下側プーリ151に接近する方向に移動する。このため、他方の切換部材161−2が操作コード110に押圧されて、図中矢印gで示したように、バネ162−2の弾性力に抗して下側プーリ151に接近していく。これによって、他方の係合手段160−2の係合が解除される。
【0042】
しかし、一方の係合手段160−1が係合しているため、上側ケース140と下側ケース150は分離しない。これにより、上側ギア147、中間ギア156及び下側ギア155は連結された状態を維持するので、操作コード110の操作による下側プーリ151の回転が、図中矢印hで示したように上側プーリ141に伝達されて、駆動コード120が図中矢印jで示したように、操作コード110と同方向に移動する。よって、駆動部50が駆動して巻取パイプ30が回転し、スクリーン40が巻取パイプ30から巻き解かれる。これにより、スクリーン40が下降して、閉じられる。
【0043】
このように、ブラインド10の通常の操作時には、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード110のどちらか片側にしか荷重が掛からないため、上側ケース140と下側ケース150が分離しない。このため、製品サイズが大きく、操作荷重が重いブラインド10でも不用意に上側ケース140と下側ケース150が分離することがない。よって、製品サイズにかかわらず、スクリーン40の開閉操作を行うことができる。
【0044】
次に、居住者が操作コード110に引っ掛かった場合の非常時の操作装置100の作用について説明する。以下の説明において、一例として、居住者が操作コード110に引っ掛かった場合を想定して説明するが、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード110の両側に荷重が掛かる場合であれば、物が引っ掛かったりした場合などでもよい。
【0045】
居住者が操作コード110に引っ掛かると、
図6(a)に示したように、図中矢印kで示したように、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード110の両側に荷重が掛かる。このため、操作コード110の両側が下側プーリ151に接近する方向に移動する。よって、両方の切換部材161−1、161−2が操作コード110に押圧されて、図中矢印mで示したように、バネ162−1、162−2の弾性力に抗して下側プーリ151に接近する。
【0046】
これにより、両方の係合手段160−1、160−2の係合が解除される。よって、
図6(b)に示したように、下側ケース150が操作コード110に引っ張られて上側ケース140から分離する。このように、居住者が操作コード110に引っ掛かった場合には、
図7に示したように、上側ケース140と下側ケース150が分離するため、居住者がけがをしたり、ブラインド10が破損したりするなどの事故を防止することができる。
【0047】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、通常の操作においては、操作コード110には下側ケース150からループ状に垂下するいずれか片側にしか荷重がかからないため、大きな引っ張り力をかけても係合手段160による係合は維持される。一方、居住者が操作コード110に引っ掛かった場合などのように、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード110の両側に荷重がかかった場合には、係合手段160による係合が解除される。このように、通常操作では係合が維持され、非常時には係合が解除されるため、従来のようにフェイルセーフ機能における連結部材の嵌合力を、製品サイズに応じて厳密に設定する必要がなくなる。よって、製品サイズによらず安全性を確保できる。
【0048】
なお、本実施形態の操作装置100では、一例として、中間ギア156を介して上側ギア147と下側ギア155を連結したが、これに限定されるものではなく、中間ギア156を設けないで、上側ギア147と下側ギア155を直接連結するようにしてもよい。これにより、操作コード110の操作方向と駆動コード120の移動方向は互いに逆方向になるが、部品点数が削減されて構造が簡単になるため、製造コストを抑えることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るブラインドの操作装置200の構成について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態に係るブラインドの操作装置を示す図であり、(a)は正面から見た断面図であり、(b)は側面から見た断面図である。なお、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0050】
本実施形態の操作装置200は、
図8に示したように、係合手段260の構成は、第1の実施形態の対応する構成と同じであるが、切換部材261の構成を第1の実施形態から変更したものである。また、本実施形態では、一例として操作装置200に中間ギアを設けず、上側ギア247と下側ギア255を直接連結するものとする。
【0051】
本実施形態の操作装置200の切換部材261−1、261−2(切換部材261−1、261−2を総称するときは切換部材261という)は、
図8に示したように、下側プーリ251の外周形状に沿った円弧状の板状の部材であり、操作コード210よりも外周側に設けられる。これにより、操作コード210は、荷重が掛かっていないときには、下側プーリ251から垂れ下がる部分が切換部材261の形状に沿って円弧形状を描き、切換部材261の下端から垂下する。
【0052】
切換部材261−1、261−2の下部はこれらと対面する下側ケース250の側部内面と、バネ262−1、262−2によって連結されている。バネ262−1、262−2は、切換部材261−1、261−2の下部を下側プーリ251に接近する方向に常時付勢している。これにより、切換部材261の先端に設けられている係合手段260が上側ケース240に係合するようになっている。
【0053】
切換部材261は、操作コード210のいずれか片側を操作したり、操作コード210に居住者が引っ掛かったりなどして、操作コード210の片側あるいは両側に荷重が掛かると操作コード210に押圧されて、切換部材261の下端がバネ262の弾性力に抗して下側プーリ251から遠ざかる方向に移動する。これにより、係合手段260が上側ケース240の中央方向に移動して、係合手段260の係合が解除される。
【0054】
以上、本実施形態の操作装置200の構成について説明した。次に、本実施形態の操作装置200の作用について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
【0055】
まず、通常のスクリーン40の開閉操作から説明する。なお、以下の説明において、一例として、スクリーン40を開く場合に操作コード210の一方側を操作し、閉じる場合に操作コード210の他方側を操作することとして説明する。ただし、第1の実施形態と同様に、この逆でもよいことは言うまでもない。
【0056】
スクリーン40を開く場合、
図9(a)に示したように、下側ケース250からループ状に垂下する操作コード210の一方側(図中左側)を図中矢印nで示すように引き下げる。これにより、操作コード210の片側に荷重が掛かるため、操作コード210が下側プーリ151から遠ざかる方向に移動する。このため、一方の切換部材261−1が操作コード210に押圧されて、バネ262−1の弾性力に抗して下側プーリ251から遠ざかっていく。
【0057】
これによって、図中矢印pで示したように、一方の係合手段260−1の係合が解除される。一方の係合手段260−1の係合が解除されても、他方の係合手段260−2が係合しているため、上側ケース240と下側ケース250は分離しない。これにより、上側ギア147と下側ギア155はかみ合った状態を維持するので、第1の実施形態と同様に、操作コード210の操作が巻取パイプ30に伝達される。よって、スクリーン40が巻取パイプ30に巻き取られて、スクリーン40が上昇し、開かれる。
【0058】
次に、スクリーン40を閉じる場合、
図9(b)に示したように、下側ケース150からループ状に垂下する操作コード210の他方側(図中右側)を図中矢印qで示したように引き下げる。これにより、操作コード210の片側に荷重が掛かるため、操作コード210が下側プーリ251から遠ざかる方向に移動する。このため、他方の切換部材261−2が操作コード210に押圧されて、バネ262−1の弾性力に抗して下側プーリ251から遠ざかっていく。
【0059】
これによって、図中矢印rで示したように、他方の係合手段260−2の係合が解除される。他方の係合手段260−2の係合が解除されても、一方の係合手段260−1が係合しているため、上側ケース240と下側ケース250は分離しない。これにより、上側ギア147と下側ギア155は連結された状態を維持するので、第1の実施形態と同様に、操作コード210の操作が巻取パイプ30に伝達される。よって、スクリーン40が巻取パイプ30から巻き解かれて、スクリーン40が下降し、閉じられる。
【0060】
このように、本実施形態においても、通常の操作時には、下側ケース250からループ状に垂下する操作コード210のどちらか片側にしか荷重が掛からないため、上側ケース240と下側ケース250は分離しない。このため、製品サイズが大きく、操作荷重が重いブラインドでも不用意に上側ケース240と下側ケース250が分離することがない。以上説明したように、本実施形態の操作装置200では、製品サイズにかかわらず、スクリーン40の開閉操作を行うことができる。
【0061】
次に、居住者が操作コード210に引っ掛かった場合の非常時の操作装置200の作用について説明する。以下の説明において、一例として、居住者が操作コード210に引っ掛かった場合を想定して説明するが、下側ケース250からループ状に垂下する操作コード210の両側に荷重が掛かる場合であれば、例えば、物が引っ掛かったりした場合などでもよい。
【0062】
居住者が操作コード210に引っ掛かると、
図10(a)に示したように、図中矢印sで示したように、下側ケース250からループ状に垂下する操作コード210の両側に荷重が掛かる。このため、操作コード210の両側が下側プーリ251から遠ざかる方向に移動する。よって、両方の切換部材261−1、261−2が操作コード210に押圧されて、下側プーリ151から遠ざかる。
【0063】
これにより、図中矢印tで示したように、両方の係合手段260−1、260−2の係合が解除される。よって、
図10(b)に示したように、下側ケース250が操作コード210に引っ張られて上側ケース240から分離する。このように、居住者が操作コード210に引っ掛かった場合には、上側ケース240と下側ケース250が分離するため、居住者がけがをしたり、ブラインド10が破損したりするなどの事故を防止することができる。
【0064】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、通常操作では係合手段260の係合が維持され、非常時には係合が解除されるため、従来のようにフェイルセーフ機能における連結部材の嵌合力を、製品サイズに応じて厳密に設定する必要がなくなる。よって、製品サイズによらず安全性を確保できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、中間ギアを介さず上側ギア247と下側ギア255を直接かみ合わせるようにしたことにより、部品点数が削減されて構造が簡単になる。これにより、操作装置200の製造コストを抑えることができる。ただし、本発明はこれに限定されず、第1の実施形態と同様に、中間ギアを介して上側ギア247と下側ギア255を連結するようにしてもよい。中間ギアを介して上側ギア247と下側ギア255を連結することにより、操作コード210の操作方向と駆動コード220の移動方向とを同方向にすることができる。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るブラインドの操作装置300の構成について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態に係るブラインドの操作装置300を示す図であり、(a)は正面から見た断面図であり、(b)は側面から見た断面図である。なお、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0067】
本実施形態の操作装置300は、
図11に示したように、係合手段360の構成は、第1の実施形態の対応する構成と同じであるが、切換部材361の構成を第1の実施形態から変更したものである。また、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、一例として操作装置300に中間ギアを設けず、上側ギア347と下側ギア355を直接連結したが、これに限定されず、第1の実施形態と同様に、中間ギアを介して上側ギア347と下側ギア355を連結するようにしてもよい。このように、中間ギアを介して上側ギア347と下側ギア355を連結することにより、操作コード310の操作方向と駆動コード320の移動方向とを同方向にすることができる。
【0068】
本実施形態の操作装置300の下側ケース350の前後面には、上端から下方に向かって回転支持軸354を通過して形成される長尺状の切欠き358が設けられている。切欠き358は、回転支持軸354の径寸法とほぼ同じ幅寸法を有しているが、長さ方向の一部において、幅寸法が狭くなった幅狭部358aが形成されている。幅狭部358aは回転支持軸354を支持しており、回転支持軸354が幅狭部358aに支持された状態で、下側ギア355と上側ギア347がかみ合うようになっている。
【0069】
幅狭部358aの外周は曲面であり、回転支持軸354に所定以上の力が掛かると、回転支持軸354が幅狭部358aを乗り越えて、切欠き部358の先端部358bまで移動できるようになっている。回転支持軸354が幅狭部358aを乗り越える所定以上の力の大きさとは、下側ケース350からループ状に垂下する操作コード310の両側に荷重が掛かったときに、下側プーリ351に掛かる力である。下側ギア355は、回転支持軸354が幅狭部358aに支持されているときは、上側ギア347とかみ合った状態が維持されるが、回転支持軸354が幅狭部358aを通過し、切欠き部358の先端まで移動すると、かみ合いが解除される。
【0070】
切換部材361−1、361−2(切換部材361−1、361−2を総称するときは切換部材361という)は、
図11に示したように、下側ギア355の外周形状に沿った円弧状の板状の部材であり、下側ギア355の左右の外周に接触して設けられる。切換部材361−1、361−2の上部はこれらと対面する下側ケース350の側部内面と、バネ362−1、362−2によって連結されている。バネ362−1、362−2(バネ362−1、362−2を総称するときはバネ362という)は、切換部材361−1、361−2の上部を下側ケース350の側部に接近させる方向(切換部材361−1、361−2の上部が互いに離間する方向)に常時付勢している。これにより、切換部材361の先端に設けられている係合手段360−1、360−2(係合手段360−1、360−2を総称するときは係合手段360という)が上側ケース340に係合するようになっている。
【0071】
切換部材361は、回転支持軸354が幅狭部358aを乗り越えて切欠き部358の下方に移動し、下側ギア355が下方に移動することによって、係合手段360を解除する。すなわち、下側ギア355が下方に移動することにより、下側ギア355によって切換部材361の下部が押圧される。これにより、切換部材361の下部が下側ケース350の側部に接近する方向に広がり、切換部材361の上部がバネ362の弾性力に抗して互いに接近する。よって、係合手段360の係合が解除される。
【0072】
以上、本実施形態の操作装置300の構成について説明した。次に、本実施形態の操作装置300の作用について、
図12〜
図14を参照しながら説明する。本実施形態の操作装置300は、第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なり、操作コード310に掛かる荷重によって切換部材361が作動する構成ではなく、通常のスクリーン40の開閉操作は、一般的なブラインドのスクリーンの開閉操作と同様である。よって、スクリーン40の開閉操作については説明を省略する。
【0073】
以下では、居住者が操作コード310に引っ掛かった場合の非常時の操作装置300の作用について説明する。以下の説明において、一例として、居住者が操作コード310に引っ掛かった場合を想定して説明するが、下側ケース350からループ状に垂下する操作コード310の両側に荷重が掛かる場合であれば、例えば、物が引っ掛かったりした場合などでもよい。
【0074】
居住者が操作コード310に引っ掛かると、
図12(a)、(b)に示したように、図中矢印uで示したように、下側ケース350からループ状に垂下する操作コード310の両側に荷重が掛かる。このため、操作コード310から下側プーリ351に引き下げる力が加わり、
図13(a)、(b)に示したように、回転支持軸354が幅狭部358aを乗り越えて切欠き部358の先端部358bまで移動する。よって、下側ギア355が下方に移動するため、下側ギア355によって切換部材361の下部が押圧されて、切換部材361の下部が下側ケース350の側部に接近する方向に広がる。よって、図中矢印vで示したように、切換部材361の上部がバネ362の弾性力に抗して互いに接近するため、係合手段160の係合が解除される。
【0075】
これにより、
図14(a)、(b)に示したように、下側ケース350が操作コード310に引っ張られて上側ケース340から分離する。このように、居住者が操作コード310に引っ掛かった場合には、駆動ケース170が分離するため、居住者がけがをしたり、ブラインドが破損したりするなどの事故を防止することができる。
【0076】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、通常操作では下側プーリ351に引き下げる力が加わらず、切換部材361が作動しないため、係合部材の係合が解除されることはない。そして、非常時には、下側プーリ351に引き下げる力が加わり、切換部材361が作動することによって、係合部材の係合が解除される。このため、従来のようにフェイルセーフ機能における連結部材の嵌合力を、製品サイズに応じて厳密に設定する必要がなくなり、製品サイズによらず安全性を確保できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、中間ギアを介さず上側ギア347と下側ギア355を直接連結するようにしたことにより、部品点数が削減されて構造が簡単になる。このため、操作装置300の製造コストを抑えることができる。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0079】
例えば、上記実施形態では、ロールスクリーン型のブラインドを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の開閉体の操作装置は、横型ブラインド、縦型ブラインド、プリーツスクリーン、オーニングなどブラインドのみならず、シャッター、映写スクリーン、開閉式ビニールハウスなど、操作装置の操作に基づいて開閉する開閉体に適用可能である。