(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、
図1に示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
【0013】
<遊技機10の概要について>
本実施形態の遊技機10の概要について、
図5を用いて説明する。
なお、
図5は、遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
【0014】
遊技機10は、保留手段(第1特図乱数値取得部111または第2特図乱数値取得部112)と、大当り抽選手段(大当り抽選部131)と、大当り制御手段(大当り制御部133)と、を備える。
第1特図乱数値取得部111は、第1始動口57への遊技球の入賞を契機として取得される乱数値を保留する。また、第2特図乱数値取得部112は、第2始動口59への遊技球の入賞を契機として取得される乱数値を保留する。なお、以下の説明において第1特図乱数値取得部111に保留される乱数値を「乱数値M1」、第2特図乱数値取得部112に保留される乱数値を「乱数値M2」と称する。
大当り抽選部131は、図柄変動ゲーム(特別図柄変動ゲーム)が開始される際に第1特図乱数値取得部111に保留されている乱数値M1または第2特図乱数値取得部112に保留されている乱数値M2を用いて、乱数値M1・乱数値M2ごとに大当りの当否抽選を行う。
大当り制御部133は、大当り抽選部131による当否抽選に当選した場合には、特別図柄変動ゲームの終了後に大当り遊技を実行させる。
【0015】
また、遊技機10は、特定領域切替手段(特定領域切替制御部185)と、検知手段(カウントスイッチSW7)と、状態制御手段(遊技状態制御部140)と、第一事前判定手段(第一事前判定部121)と、示唆演出制御手段(示唆演出制御部222)と、を備える。
特定領域切替制御部185は、大当り制御部133によって実行される大当り遊技の実行中において、特定領域に対する遊技球の入球が容易となる第一状態と、特定領域に対する遊技球の入球が困難となる第二状態と、を切り替える。
カウントスイッチSW7は、特定領域に対する遊技球の入球を検知する。
遊技状態制御部140は、カウントスイッチSW7による検知を契機として、大当り抽選部131による当否抽選に当選する確率が通常遊技状態より高確率な高確遊技状態に移行させる。
第一事前判定部121は、第1特図乱数値取得部111または第2特図乱数値取得部112に保留されている乱数値が高確遊技状態における当否抽選にて当選するか否かを、当該乱数値が大当り抽選部131による当否抽選に用いられる前に判定する。
示唆演出制御部222は、第一事前判定部121による判定結果が肯定される場合、当該判定結果を遊技者に示唆する示唆演出を、実行期間の少なくとも一部にて第一状態で実行される大当り遊技に当否抽選で当選してから特定領域に対する遊技球の入球が検知されるまでの間にて実行させ得る。
【0016】
上記のような構成を有しているので、遊技機10は、大当り抽選に当選してから特定領域に対する遊技球の入球が検知されるまでの期間において、高確遊技状態への移行を条件として次回以降の大当り遊技に当選できる旨を示唆する。
従来の遊技機では、高確遊技状態に移行された以降にこのような示唆演出をしていたため、高確遊技状態の移行前に実行される演出等に対して遊技者の関心は低下しがちだった。
本実施形態の遊技機10では、高確遊技状態に移行する前にも示唆演出を行うので、上記のような関心の低下を防止し、さらなる興趣喚起を実現することができる。
【0017】
ここで「乱数値」とは、無秩序でかつ全体として出現頻度が等しい数の系列を指す。本実施形態の遊技機10が稼働しているときに自機内部で常に乱数が生成されており、当該乱数は用いて種々の抽選処理に用いられている。乱数の生成方式については、専用ICにより生成する方式(ハードウェア方式)、専用のプログラムにより生成する方式(ソフトウェア方式)、あるいはこれらの組み合わせによって生成する方式がある。本実施形態では既述の大当り判定用乱数を含めて数種の乱数を用いるが、これらの生成は上に上げた方式のいずれを用いても構わない。
【0018】
ここで「保留されている乱数値を用いる」とは、一時的に格納されている乱数値を処理することをいう。当該処理は、受動的処理(例えば、他の機能部から読み出される)であってもよいし、能動的処理(例えば、他の機能部に対して出力する)であってもよい。
実施例においては、主制御部100にて、CPU(大当り抽選部131)がRAM(第1特図乱数値取得部111または第2特図乱数値取得部112)に一時格納された乱数値を読み出すことをいう。
【0019】
ここで「図柄変動ゲーム」とは、特別図柄変動ゲームのことであり、特別図柄表示装置91を変動表示させてから停止表示させるまでに実行される一連の処理のことをいう。
【0020】
ここで「特定領域」とは、遊技者による操作ハンドル31の操作によって発射された遊技球が遊技機10から排出されるまでに通過しうる領域(空間)の一部であって、カウントスイッチSW7によって遊技球の入球が検知された場合に遊技状態の移行の契機となる領域をいう。
本実施形態における「特定領域」は、具体的には、大入賞口56の奧方に位置する連通路58に含まれる通過経路58bである。ここで述べた「特定領域」は実施例の一つであり、「特定領域」は遊技機10の何処に配置されてもよい。
【0021】
ここで「第一状態」とは、遊技球が入球可能な程度に特定領域が物理的に開放されている状態をいう。また、「第二状態」とは、第一状態ではない状態をいう。従って、極めて短い時間に限って開放されているだけで実質的に遊技球の入球が不可能である状態、または特定領域の入口を遊技球より小さく空けており実質的に遊技球の入球が不可能である状態については、本明細書では「第二状態」として説明する。
【0022】
ここで「当否抽選に当選する旨を遊技者に示唆する示唆演出」とは、遊技機の内部処理において次回以降(その示唆演出の契機となった当否抽選より後)に実行される大当り抽選部131による当否抽選で当選する可能性があることを、遊技者が認識可能な態様で示すことをいう。
【0023】
ここで「第一事前判定部121による判定結果を遊技者に示唆する示唆演出」とは、高確遊技状態に移行すれば大当り抽選に当選する可能性があることを、遊技者が認識可能な態様で示す演出をいう。
本実施形態における示唆演出は、特に、遊技者が所定の操作方法を適切に実行する限りにおいて、その示唆演出より後に実行される大当り抽選に当選することが確定する場合に実行されることが望ましい。なお、「所定の操作方法を適切に実行する」とは、本実施形態に則していえば、特定領域への入球が容易になる状態(第一状態)である期間において、遊技者がある程度(特定領域に入球する程度)の数量の遊技球を、大入賞口56に転動する方向に発射(右打ち)することをいう。
【0024】
<遊技機10の構造について>
図1〜
図6を用いて遊技機10の構造について説明する。
図1は、遊技機10の正面図である。
図2は、遊技機10内に設置される遊技盤50を示す図である。
図3は、遊技機10内に配設される図柄表示装置90を示す図である。
図4は、大入賞口56の奧方に位置する連通路58を示す図である。
図4(a)は、振分部材68が通過経路58aから通過経路58cへと遊技球を振り分ける状態を示している。また、
図4(b)は、振分部材68が通過経路58aから通過経路58bへと遊技球を振り分ける状態を示している。
図5は、遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
図6は、遊技機10の払出制御構成を示す機能ブロック図である。
【0025】
本実施形態の遊技機10は、いわゆるパチンコ遊技機であり、多数の遊技釘(図示せず)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、遊技領域50aと称す)に遊技球を発射し、遊技球が特定の入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られる遊技を行うものである。
【0026】
遊技機10は、
図1または
図2に示すように、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15の開口前面側に遊技盤50を着脱可能に保持する中枠(図示せず)と、遊技盤50(中枠)の前面側を覆うよう構成された前枠20と、を備える。
【0027】
前枠20は、ヒンジ機構21により左端側を回動自在に支持され、中枠に対して開閉可能となっている。なお、前枠20は、シリンダ錠23により施錠・解錠が可能となっている。
前枠20は、遊技領域50aを覆うように配置された透明部材25を備え、透明部材25によって遊技領域50aおよび遊技盤50を透視保護している。
前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿27および下球受け皿29を備え、上球受け皿27と下球受け皿29は上下に離間して前枠20と一体的に設けられている。
前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備え、操作ハンドル31の回動操作によって、上球受け皿27に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0028】
前枠20の上枠部32の左側と右側にそれぞれ一対のスピーカ33(33a、33b)が配設されている。また、前枠20の上枠部32と左右側枠部34、36は光透過性のカバーにより形成されており、その内部にはそれぞれ照明装置35(35a、35b、35c)が配設されている。スピーカ33や照明装置35は、遊技中に発生する演出やエラー報知等と連動して音声出力または点灯若しくは消灯することができる。
前枠20は、上球受け皿27の前方部にボタン37が配設されている。ボタン37は、遊技中に発生する演出を切り替えるまたは遊技者が遊技機10に関わる種々の情報を得るために行う遊技者の操作を受け付けることができる。
【0029】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構39が設けられている。この球抜き機構39を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示せず)が開口して、該底面口から遊技球が自然落下して排出される。
【0030】
演出表示装置80は、遊技盤50の略中央に配設されている。演出表示装置80は、演出図柄の変動を含む各種の演出を表示することができる。ここで演出図柄とは、遊技機10における遊技の興趣をより高めるために、演出表示装置80に表示される図柄であり、具体的には数字や絵柄またはそれらの組み合わせから構成されている。
一般的に、遊技機10の遊技者は演出表示装置80に表示される演出図柄の変動演出により当該遊技の興趣を喚起されており、演出表示装置80は遊技者にとって視認しやすい位置に配置されている。
演出表示装置80としては、一般的には液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を採用し得る。
【0031】
演出表示装置80は、その表示領域の略中央に演出図柄が表示され、さらに当該演出図柄の左側および右側にもそれぞれ演出図柄が表示される。すなわち、演出表示装置80には、「左」「中」「右」にそれぞれ演出図柄が表示され、表示された演出図柄が一または複数の列をなしている。これらの演出図柄が上下方向あるいは左右方向にスクロールすることにより、演出図柄が演出表示装置80の表示領域に変動表示される。
【0032】
図柄表示装置90は、演出表示装置80の右下側など、演出表示装置80よりも遊技者が視認しにくい位置に配設される。また、図柄表示装置90の表示領域は、演出表示装置80の表示領域よりも小さい面積になっている。
図柄表示装置90は、複数のランプが配列されている。本実施形態で図柄表示装置90に用いられるランプとは、発光ダイオード(以下、LEDと称す)である。図柄表示装置90は、発光するLEDの配列によって種々の情報を示し、特別図柄表示装置91と普通図柄表示装置92とを含んでいる。
【0033】
特別図柄表示装置91は複数個(例:16個)のLEDの発光パターンにより特別図柄変動ゲームの抽選結果(特別図柄)を表示する。より詳細に言えば、本実施形態の特別図柄表示装置91は、第1特別図柄表示制御部151によって制御される第1特別図柄表示装置91aと、第2特別図柄表示制御部152によって制御される第2特別図柄表示装置91bと、を含んでいる。
図3に示すように、第1特別図柄表示装置91aは、特別図柄表示装置91を構成するLED16個のうち左側の8個から構成される。また、第2特別図柄表示装置91bは、特別図柄表示装置91を構成するLED16個のうち右側の8個から構成される。
【0034】
普通図柄表示装置92は特別図柄表示装置91より少ない数(例:2個)のLEDの発光パターンにより普通図柄変動ゲームの抽選結果(普通図柄)を表示する。
【0035】
なお、
図3に示すように、図柄表示装置90は、特別図柄表示装置91または普通図柄表示装置92の表示に用いられないLEDも含んでおり、特別図柄変動ゲームまたは普通図柄変動ゲームの抽選結果の他にも、保留されている乱数値の数や大当り遊技のラウンド回数等の情報も表示しうる。
【0036】
ここで特別図柄とは、特別図柄表示装置91に表示するために選択されうるデータ群、あるいは特別図柄表示装置91に表示されうる図柄(特別図柄表示装置91におけるLEDの発光パターン)をいう。なお、以下、特別図柄のことを「特図」と略して表記する場合がある。また、ここで特別図柄変動ゲームとは、特別電動役物65や特別電動役物66(いわゆるアタッカー)を開放させるための抽選結果(大当りの当否抽選結果)を示すために、特別図柄表示装置91を変動表示させた後に特定の特別図柄を停止表示させることをいう。本明細書において、特別図柄変動ゲームの実行とは、特別図柄表示装置91における特別図柄変動ゲームの表示(変動表示および停止表示)をいう場合と、当該表示のために行われる一連の内部処理の実行をいう場合とがある。
【0037】
ここで普通図柄とは、普通図柄表示装置92に表示するために選択されうるデータ群、あるいは普通図柄表示装置92に表示されうる図柄(普通図柄表示装置92におけるLEDの発光パターン)をいう。なお、以下、普通図柄のことを「普図」と略して表記する場合がある。また、ここで普通図柄変動ゲームとは、普通電動役物61(いわゆる電動チューリップ)を開放させるための抽選結果(普通図柄当りの当否抽選結果)を示すために、普通図柄表示装置92を変動表示させた後に特定の普通図柄を停止表示させることをいう。本明細書において、普通図柄変動ゲームの実行とは、普通図柄表示装置92における普通図柄変動ゲームの表示(変動表示および停止表示)をいう場合と、当該表示のために行われる一連の内部処理の実行をいう場合とがある。
【0038】
本実施形態において、図柄表示装置90に配列される複数のランプはLEDとするが、ランプの種別はこれに限定されるものではない。そして、当該ランプの配置についても
図3に図示するものに限らず、多様な配置を採用しうる。
【0039】
遊技盤50の前面には、多数の遊技釘(図示せず)や風車52、装飾部材といった障害物が配置されていることにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが画成されている。また、遊技領域50aの左側および上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51および内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央から視て内レール53より外側に位置している。
ここで風車52とは、遊技球の落下の方向に変化を与えるための機構で、くぎ状のものをいう。
【0040】
遊技機10は操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出しの強弱をつけることが可能になっている。また、より弱く打ち出された遊技球が転動する第1流路X(いわゆる左打ち)、より強く打ち出された遊技球が転動する第2流路Y(いわゆる右打ち)、のいずれか一方を遊技球が転動するように各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0041】
遊技領域50aには、各種の入賞口(例えば大入賞口55等)が配設され、各入賞口の後方には入球した遊技球を検知する各種スイッチ(例えばカウントスイッチSW4等)が配設されている。なお、以下の説明において入賞とは、遊技球が特定の入賞口に入球することをいう。
本実施形態においては、上記の各種スイッチは遊技者が視認できない位置に配置されており、
図1および
図2においては図示しない。
【0042】
図2には、主要な入賞口として、大入賞口55、大入賞口56、第1始動口57、第2始動口59、作動ゲート63、普通入賞口67(67a、67b、67c)を図示する。ここで図示する入賞口は一例であり、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0043】
第1始動口57は、遊技領域50aの中央下部(演出表示装置80の下方)に配置されており、一般的に「ヘソ」と呼ばれる。
第1始動口57の後方には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW1が配置されている。
第1始動口57に入球した遊技球をカウントスイッチSW1で検知することにより、特別図柄変動ゲームを始動させる始動条件と、予め定めた数の遊技球を賞球として払い出す払出条件と、が付与される。
本実施形態において、遊技領域50aは、遊技球が第2流路Yから転動したときよりも、遊技球が第1流路Xから転動したときに、第1始動口57に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、第1始動口57は、遊技領域50aの左側を主とする第1流路Xに設けられている。
【0044】
第2始動口59は、遊技領域50aの右側(演出表示装置80の右下側)に配置されており、第2始動口59には普通電動役物61が付設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球への入球が容易である開放状態または入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する開閉部材であり、アクチュエータAC1の作動により当該開放状態または当該閉鎖状態のいずれかに遷移する。なお、普通電動役物61の制御については、後に詳述する。
第2始動口59の後方には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW2が配置されている。第2始動口59に入球した遊技球をカウントスイッチSW2で検知することにより、特別図柄変動ゲームの始動条件と、賞球の払出条件と、が付与される。
本実施形態において、遊技領域50aは、遊技球が第1流路Xから転動したときよりも、遊技球が第2流路Yから転動したときに、第2始動口59に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、第2始動口59は、遊技領域50aの右側を主とする第2流路Yに設けられている。
【0045】
作動ゲート63は、第2始動口59の上方(演出表示装置80の右側)に配置されている。作動ゲート63の後方には、通過した遊技球を検知するカウントスイッチSW3が配設されている。作動ゲート63は、入球した遊技球をカウントスイッチSW3で検知することにより、普通図柄変動ゲームの始動条件が付与され得る。
なお、本実施形態の遊技機10においては、
図6にカウントスイッチSW3が図示されていないことから明らかであるように、カウントスイッチSW3の検知は賞球の払出条件に含まれていない。すなわち、本実施形態の作動ゲート63に遊技球が入球しても賞球はゼロである。
また、作動ゲート63は通過した遊技球が通過後再び遊技領域50aを転動する、いわゆるゲートタイプの入賞口であってもよい。この場合において、作動ゲート63を通過することも、本明細書では「入球」と称す。
【0046】
大入賞口55は、第2始動口59の左下側(演出表示装置80の下側)に配置されている。大入賞口55の開口部は、アクチュエータAC2の作動により開閉動作を行う特別電動役物65が配置されている。なお、以下の説明において特別電動役物65のことを「通常アタッカー」と称する場合がある。
大入賞口55の後方には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW4が配置されている。カウントスイッチSW4が大入賞口55に入球した遊技球を検知することにより、賞球の払出条件が付与される。
【0047】
大入賞口56は、第2始動口59の下方(演出表示装置80の右下側)に配置されている。大入賞口56の開口部は、アクチュエータAC3の作動により開閉動作を行う特別電動役物66が配置されている。なお、以下の説明において特別電動役物66のことを「Vアタッカー」と称する場合がある。
大入賞口56の後方には連通路58が設けられており、連通路58には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW6、カウントスイッチSW7が配置されている。なお、
図4(a)または
図4(b)における上段の白抜き矢印は、大入賞口56から流下してきた遊技球が連通路58(通過経路58a)を通過する方向を示している。
カウントスイッチSW6が大入賞口56に入球した遊技球を検知することにより、賞球の払出条件が付与される。
【0048】
大入賞口55は、特別図柄変動ゲームで当選して行われる大当り遊技中には特別電動役物65の開動作によって開放されて遊技球の入球が許容される。また、大入賞口56は、特別図柄変動ゲームで当選して行われる大当り遊技中には特別電動役物66の開動作によって開放されて遊技球の入球が許容される。なお、特別電動役物65または特別電動役物66は、第1始動口57への入球および第2始動口59への入球のいずれに起因する大当り遊技においても開動作しうるように構成されている。
また、第1始動口57への入球および第2始動口59への入球のいずれに起因する大当り遊技が行われる場合にも、遊技者は賞球を獲得できる機会が大幅に増大しうる。なお、本実施形態において、遊技球が第2流路Yから転動するときには、第1流路Xから転動するときよりも、大入賞口55または大入賞口56に入球しやすくなるように各種障害物が配置されている。
【0049】
連通路58には振分部材68が設けられている。振分部材68は、通過する遊技球を複数の通過経路(通過経路58bまたは通過経路58c)のいずれかに振り分ける。
より詳細には、振分部材68の位置によって、
図4(a)に示す状態と
図4(b)に示す状態とを切り替える。
図4(a)の状態においては、連通路58(大入賞口56)に入球した遊技球は、振分部材68によって通過経路58bへの流下が規制されて、通過経路58cへと流下するように振り分けられる。また、
図4(b)の状態においては、連通路58(大入賞口56)に入球した遊技球は、振分部材68によって通過経路58cへの流下が規制されて、通過経路58bへと流下するように振り分けられる。
振分部材68は、特定領域切替制御部185によって制御されるアクチュエータAC4の作動に応じて動作し、その位置が切り替えられる。
【0050】
なお、本実施形態においては、通過経路58bに設置されているカウントスイッチSW7による遊技球の検知を契機として、その時に行われている大当り遊技の終了後に確変状態(高確率遊技状態)が特典として付与される。すなわち、当選確率制御部141が、遊技球が特定の通過経路(通過経路58b)を通過することを契機として遊技者にとって有利な特典として確変状態を付与する。
なお、当選確率制御部141の機能については、後に詳述する。
【0051】
連通路58(通過経路58bまたは通過経路58c)から排出された遊技球は、遊技機10の外部に設置されている貯留タンク(図示せず)に蓄えられる。当該貯留タンクについては詳細な説明は省略する。
なお、
図4(a)または
図4(b)における下段の白抜き矢印は、遊技球が連通路58(通過経路58bまたは通過経路58c)から排出される方向を示している。
【0052】
ここで確変状態とは、大当り抽選部131による大当りの当否抽選の当選確率が通常遊技状態より高確率になることをいい、これまで述べてきた高確遊技状態と同義である。
確変状態の方式は、一般的にループ方式・ST方式・転落抽選方式の三種類に大別される。
ループ方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行し、少なくとも次回大当りまで継続する確変をいう。
ST方式の確変とは、"スペシャルタイム確変"あるいは"回数切り確変"等とも称され、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行した後、所定回数の特別図柄変動ゲームのうちに大当り抽選に当選しない場合に、通常遊技状態に移行する確変をいう。
転落抽選方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変に移行した後に行われる特別図柄変動ゲームにおいて確変状態から通常遊技状態へ転落するか否かを抽選(転落抽選)し、転落抽選に当選した場合に通常遊技状態へ移行する確変をいう。
なお、本実施形態における遊技機10はST方式の確変を実行するものとして説明するが、他の確変方式を有している遊技機に本発明を適用してもよい。
【0053】
また、以下の説明において変短状態とは、(i)普通電動役物61の開放抽選の当選確率が通常遊技状態より高確率になる、(ii)普通電動役物61の一回当たりの開放時間が通常遊技状態より延長される、(iii)普通電動役物61の開放抽選の当選に応じて普通電動役物61が開放される回数が通常遊技状態より増加される、(iv)普通図柄表示装置92における一回あたりの変動表示時間が短縮される、の少なくとも一つが行われることをいう。本実施形態において変短状態が付与された場合には、上記の四つのいずれも実行されるものとする。
なお、上記の(ii)および(iii)の少なくとも一つが行われることを"電チューサポート"または"電サポ"と称する。
【0054】
普通入賞口67(67a、67b、67c)は、演出表示装置80の左下部に配置されている。普通入賞口67の後方には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW5が配置されている。普通入賞口67に入球した遊技球をカウントスイッチSW5で検知することにより、賞球の払出条件が付与され得る。
なお、本実施形態においては三つの普通入賞口67a、67b、67cに対して一つのカウントスイッチSW5が設けられている実施例で説明したが、個別にセンサ(カウントスイッチ)を設けてもよい。このとき、それぞれのセンサによって賞球の払出条件が異なってもよく、同一であってもよい。
【0055】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。上述した各入賞口に入球しなかった遊技球(作動ゲート63がゲートタイプである場合には、作動ゲート63を通過して他の入賞口に入賞しなかった遊技球を含む)はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
【0056】
<遊技機10の制御構成について>
続いて、
図5から
図8を用いて遊技機10の制御構成について説明する。
図5は、遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
図6は、遊技機10の払出制御構成を示す機能ブロック図である。
図7は、第1始動口57への入球に起因して大当り図柄が選択された場合に用いられる大当り遊技制御テーブルである。
図8は、第2始動口59への入球に起因して大当り図柄が選択された場合に用いられる大当り遊技制御テーブルである。
【0057】
なお、
図5または
図6で図示される各機能は本実施形態の遊技機10を説明する上で必要な機能を挙げたものであり、ここに図示しない機能を遊技機10に追加してもよい。また、遊技機10はここに図示する機能の全部を必ずしも備えなくてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で一部の機能が省かれても良い。
【0058】
遊技機10は、基板(図示せず)を自機の内部に備えており、
図5または
図6に図示している機能を含む種々の機能を基板と当該基板に電気的に接続している機能部品との処理によって実現している。より具体的には当該基板は、制御動作を所定の手順で実行するCPU(図示せず)と、当該CPUの制御プログラムを格納するROM(図示せず)と、必要なデータの書き込みおよび読み出しができるRAM(図示せず)を備えている。当該CPUが当該ROMから読み出した制御プログラムを実行し、RAMに種々のデータを書き込みまたは読み出すことによって種々の機能を実現することができる。
なお、
図5または
図6に図示している各種機能は、一の基板のみで実現できる機能、複数の基板の間で種々のデータ授受を行うことにより実現できる機能、基板と当該基板に非搭載の機能部品とが電気的に接続していることにより実現できる機能等が混在している。これらの各種機能を実現するためのハードウェア構成は幾通りも存在しうるものであって、必ずしも一つに限定されない。
【0059】
主制御部100は、遊技を統括的に制御し、遊技に関連する演出等について他の構成要素(例えば演出制御部220)に指令を伝送する。主制御部100は、遊技の結果に影響を及ぼし、または及ぼす虞がある機能を有する基板、いわゆる主基板として機能する構成要素である。
図5に示すように、主制御部100は多数の機能を有し、これらの機能が互いに接続している構成となっているが、ここに図示している構成は一例であって、必ずしもこれに限るものではない。
【0060】
主制御部100が備える主な機能としては、特図抽選制御部130、普図抽選制御部170、遊技状態制御部140、図柄表示制御部150、変動パターン決定部114等が挙げられる。
特図抽選制御部130は、特別図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する機能または大当り遊技を管理する機能を有している。
普図抽選制御部170は、普通図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する機能または当り遊技を管理する機能を有している。
遊技状態制御部140は、確変状態の有無や変短状態の有無を管理し、これらの付与や解除(通常遊技状態への移行)を制御する機能を有している。
図柄表示制御部150は、特別図柄変動ゲームの結果として選択された特別図柄、または普通図柄変動ゲームの結果として選択された普通図柄、を図柄表示装置90に表示させる機能を有している
変動パターン決定部114は、特別図柄変動ゲームに関連して行われる表示演出(リーチ演出や先読み演出等)の決定に用いられる変動パターンを、選択された特別図柄に起因して決定し、決定された変動パターンを演出制御部220(リーチ演出制御部221)に伝達する。
【0061】
また、遊技機10は、主制御部100が備える機能の他に、演出制御部220、払出制御部230等を備えている。
演出制御部220は、遊技機10によって行われる遊技(特別図柄変動ゲームや大当り遊技等)に関連する演出を制御する機能を有している。
払出制御部230は、各入賞口への入賞の特典として付与される賞球の払い出しを制御する機能を有している。
【0062】
前段および前々段にて列挙した各機能について、以下ではより詳細に説明する。
【0063】
<大当り抽選と特図保留について>
主制御部100は、第1特図乱数値取得部111と、第2特図乱数値取得部112と、特図保留制御部120と、を備える。
【0064】
第1特図乱数値取得部111は、第1始動口57に遊技球が入賞して取得された乱数値M1を保留しておく。第2特図乱数値取得部112は、第2始動口59に遊技球が入賞して取得された乱数値M2を保留しておく。
大当り抽選部131は、第2特図乱数値取得部112に乱数値M2が保留されている場合、第1特図乱数値取得部111に乱数値M1が保留されているか否かに関わらず、第2特図乱数値取得部112に保留された乱数値M2に基づいて当否抽選を行うことができる。
【0065】
より具体的には、第1特図乱数値取得部111は、カウントスイッチSW1によって第1始動口57の入賞が検知されると乱数値M1を取得し、専用の記憶領域に格納(保留)する。第1特図乱数値取得部111が保留可能な乱数値の上限数は予め定められており、本実施形態において当該上限数は4個とする。
第2特図乱数値取得部112は、カウントスイッチSW2によって第2始動口59の入賞が検知されると乱数値M2を取得し、専用の記憶領域に格納(保留)する。第2特図乱数値取得部112が保留可能な乱数値の上限数は予め定められており、本実施形態において当該上限数は4個とする。
【0066】
第1特図乱数値取得部111または第2特図乱数値取得部112(保留手段)は、第2始動口59(一の始動口)の入賞を契機として取得される乱数値M2(一の乱数値)と、第1始動口57(一の始動口とは異なる他の始動口)の入賞を契機として取得される乱数値M1(他の乱数値)と、を分別して保留する。すなわち、第1特図乱数値取得部111と第2特図乱数値取得部112とは、異なる記憶領域に乱数値M1または乱数値M2を保留する。
後述する大当り抽選部131(大当り抽選手段)は、乱数値M1と乱数値M2とが共に保留されている場合、乱数値M2を先に用いるように構成されている。
【0067】
前段の構成は、本実施形態においては特図保留制御部120による制御で実現している。特図保留制御部120は、特図抽選制御部130が特別図柄変動ゲームに係る制御または大当り遊技に係る制御を行っていないとき、所定の周期で第1特図乱数値取得部111に保留されている乱数値M1または第2特図乱数値取得部112によって保留されている乱数値M2を読み出す。第1特図乱数値取得部111と第2特図乱数値取得部112が共に一つ以上の乱数値M1または乱数値M2を保留している場合については、特図保留制御部120は第2特図乱数値取得部112によって保留されている乱数値M2を優先的に読み出すことができる。
従って、大当り抽選部131は、第1特図乱数値取得部111に保留されている乱数値M1より、第2特図乱数値取得部112に保留されている乱数値M2を優先的に処理することになる。
【0068】
また、特図保留制御部120は第1特図乱数値取得部111または第2特図乱数値取得部112に保留格納されている乱数値の数をそれぞれについて監視している。また、特図保留制御部120は、監視している乱数値の数を、図柄表示装置90に表示させるように図柄表示制御部150に指令を出してもよいし、演出表示装置80に表示させるように演出制御部220に指令を出してもよい。
【0069】
特図保留制御部120は、第一事前判定部121と第二事前判定部122とを含んでいる。
第一事前判定部121は、第1特図乱数値取得部111または第2特図乱数値取得部112によって保留されている乱数値M1・乱数値M2が確変状態(高確遊技状態)にて大当り抽選部131の当否抽選に当選するか否かを、当該乱数値が大当り抽選部131による当否抽選に用いられる前に判定する。
第二事前判定部122は、第1特図乱数値取得部111または第2特図乱数値取得部112(保留手段)によって保留されている乱数値M1・乱数値M2が通常遊技状態にて大当り抽選部131の当否抽選に当選するか否かを、当該乱数値が大当り抽選部131による当否抽選に用いられる前に判定する。
【0070】
なお、以下の説明において第一事前判定部121または第二事前判定部122の判定対象となる乱数値は、原則として乱数値M1または乱数値M2の双方を対象として説明する。従って、第一事前判定部121または第二事前判定部122が「保留されている乱数値を判定する」と記載しており「乱数値」に付番を振っていない場合は、当該「乱数値」は原則として乱数値M1または乱数値M2の双方を意味する。
【0071】
第一事前判定部121または第二事前判定部122による判定は、より詳細には、大当り抽選部131による当否抽選が行われる際に参照される抽選テーブル(図示せず)またはそれに相当するデータテーブルを用いて実行される。
【0072】
本実施形態では、通常遊技状態にて参照される抽選テーブルに含まれる乱数値(すなわち通常遊技状態にて当選する乱数値)は、確変状態にて参照される抽選テーブルに含まれる乱数値(すなわち高確遊技状態にて当選する乱数値)に包含される構成になっている。従って、通常遊技状態にて当選する乱数値は、必ず確変状態でも当選する。
なお、ここで述べた態様は一例であり、他の態様も採りうる。例えば、通常遊技状態にて当選する乱数値と、確変状態にて当選する乱数値と、が部分的に一致する構成になっていてもよいし、完全不一致である構成になっていてもよい。
【0073】
第一事前判定部121または第二事前判定部122による判定処理は、以下の二とおりのいずれかの態様を採りうる。本実施形態ではいずれを採ってもよい。
(i)乱数値M1または乱数値M2が取得される度に判定処理を実行して、判定結果を乱数値と対応付けて格納(保留)する。
(ii)示唆演出を実行しうるタイミングにて判定処理を実行し、その実行時までに保留されている乱数値M1または乱数値M2をまとめて判定する。
【0074】
<大当り抽選と大当り遊技について>
特図抽選制御部130は大当り抽選と大当り遊技を司る機能であり、大当り抽選部131と特図選択部132と大当り制御部133とを有している。
【0075】
大当り抽選部131は、第1始動口57または第2始動口59への遊技球の入賞を契機として取得された乱数値M1、M2を用いて大当りの当否抽選を行う。なお、大当り抽選部131によって行われる抽選の当選確率は、通常遊技状態であるときは確変状態であるときより低くなっており、確変状態であるときは通常遊技状態であるときより高くなっている。
ここで「入賞を契機として所定の処理を行う」とは、入賞を検知することを一つの条件として、その後に当該所定の処理が実行されうることをいう。すなわち、入賞が検知されたとしても、必ずしも当該所定の処理が実行されなくてもよい。例えば、第1特図乱数値取得部111に保留されている乱数値M1の数が上限を超えた場合にカウントスイッチSW1によって検知された入賞、あるいは第2特図乱数値取得部112に保留されている乱数値M2の数が上限を超えた場合にカウントスイッチSW2によって検知された入賞は、特別図柄変動ゲームの始動条件にならない。
【0076】
特図選択部132(図柄選択手段)は、大当り抽選部131(大当り抽選手段)による当否抽選の結果に基づいて特別図柄(図柄)を選択する。
特図選択部132(図柄選択手段)によって選択された特別図柄(図柄)は、後述する第1特別図柄表示制御部151または第2特別図柄表示制御部152によって、特別図柄変動ゲーム(図柄変動ゲーム)の実行中に第1特別図柄表示装置91aまたは第2特別図柄表示装置91bに表示される。
ここでいう選択とは、当否抽選に用いられた乱数値M1と、予め用意されている特別図柄の種類が同数であって"選択"をせずに一意に"決定"される場合も含む。
【0077】
本実施形態における大当り遊技は、大当り制御部133により制御される。
まず、大当り抽選部131による当否抽選で大当りに当選し、特別図柄表示装置91に表示される特別図柄変動ゲームで特図選択部132により選択された大当り図柄が停止表示された後(特別図柄変動ゲームが終了した後)、大当り遊技は開始される。
なお、大当り遊技が開始される前に、大当り制御部133は特図保留制御部120等に指令を出し、大当り抽選に関する処理を、大当り遊技中については一時停止させる旨の指令を出す。
【0078】
大当り遊技が開始されると、大当り制御部133は演出制御部220に大当り遊技の開始を示すオープニング演出に関する指令を出す。演出制御部220は大当り制御部133の指令に従い所定時間(オープニング時間)にわたってオープニング演出を実行する。
オープニング演出の終了後には、大入賞口55または大入賞口56が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定回数(ラウンド回数)を上限として複数回行われる。1回のラウンド遊技は、大入賞口55または大入賞口56の開閉が所定回数(例えば1回)行われる迄であり、1回のラウンド遊技中に大入賞口55または大入賞口56に規定個数(例えば13個)の遊技球が入賞する迄の間、または規定時間(ラウンド遊技時間)が経過するまでの間、開放される。ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。
【0079】
ラウンド遊技の終了後には、大入賞口55または大入賞口56が所定の時間(インターバル時間)だけ閉鎖され、次のラウンド遊技の開始と共に再び大入賞口55または大入賞口56が開放される。
【0080】
大当り制御部133は、大入賞口55または大入賞口56を開放させるために、ラウンド回数・ラウンド遊技時間・Vアタッカー開放ラウンド等を制御情報として含む指令を特別電役制御部190に伝送する。ここで「Vアタッカー開放ラウンド」とは、特別電動役物66(Vアタッカー)を開放させるラウンドを規定するための制御情報である。なお、本実施形態においては、「Vアタッカー開放ラウンド」で示すラウンドを除いては、特別電動役物65(通常アタッカー)を開放させる態様を採る。
【0081】
特別電動役物66を開放させる所定のラウンド(Vアタッカー開放ラウンドで規定されるラウンド)では、アクチュエータAC4が作動し、振分部材68が予め定められた一定の動作を行う。ここで「一定の動作」とは、振分部材68が、規定のラウンドが実行されている期間の少なくとも一部にて特定領域(通過経路58b)に遊技球を振り分けうるように動作することをいう。より詳細には、大当り制御部133が特定領域切替制御部185を介してアクチュエータAC4を作動させることによって振分部材68の停止位置を切り替え、通過経路58bまたは通過経路58cのいずれか一方に遊技球を振り分ける。
なお、「一定の動作」において通過経路58bが開放される(遊技球を通過経路58bに振り分ける)回数は、一回であってもよいし、複数回であってもよい。
【0082】
通過経路58bの中途にはカウントスイッチSW7が配設されており、カウントスイッチSW7の検知は確変状態付与の契機となる。すなわち、Vアタッカー開放ラウンドで規定されるラウンドにおいて確変状態が付与されうる。
【0083】
特別電役制御部190は、大当り制御部133から受けた指令に従って、アクチュエータAC2またはアクチュエータAC3を作動させて特別電動役物65(通常アタッカー)または特別電動役物66(Vアタッカー)を開放させる。また、特別電役制御部190は、特別電動役物65または特別電動役物66を開放させている間、1回のラウンド遊技中に大入賞口55または大入賞口56に入賞した遊技球の個数をカウントスイッチSW4またはカウントスイッチSW6の検知に基づいて監視している。そして、特別電役制御部190は、監視している入賞した遊技球が上限数に達したとき、アクチュエータAC2またはアクチュエータAC3を作動させて特別電動役物65または特別電動役物66を閉鎖させる。
【0084】
大当り制御部133は、演出制御部220にラウンド遊技中に係る演出に関する指令を出す。演出制御部220は大当り制御部133の指令に従ってラウンド演出を実行する。
規定のラウンド回数が終了すると、大当り制御部133は演出制御部220に大当り遊技の終了を示すエンディング演出に関する指令を出す。演出制御部220は大当り制御部133の指令に従い所定時間(エンディング時間)にわたってエンディング演出を実行し、大当り遊技は終了される。
なお、本実施形態の大当り遊技においては、遊技球が第2流路Yを転動する方が大入賞口55または大入賞口56に入賞し易いため、いわゆる右打ちの方が遊技者にとって有利である。
【0085】
より詳細に、本実施形態における大当り遊技の制御(大当り制御部133)について説明する。大当り制御部133は、大当り抽選部131による当否抽選の結果が大当りであるときに特図選択部132により選択された特別図柄(大当り図柄)と、専用の記憶領域に格納している大当り遊技制御テーブル(
図7または
図8参照)とを比較して、選択された大当り図柄に対応している大当り遊技制御パターンを参照し、当該大当り遊技制御パターンに従って種々の機能および機構を制御する。
【0086】
図7は、第1始動口57への入球(カウントスイッチSW1による検知)に起因して大当り図柄が選択された場合に用いられる大当り遊技制御テーブルである。また、
図8は、第2始動口59への入球(カウントスイッチSW2による検知)に起因して大当り図柄が選択された場合に用いられる大当り遊技制御テーブルである。
図7または
図8に示すように、各大当り遊技制御パターンには、ラウンド回数、オープニング時間(図示では"OP時間")、ラウンド遊技時間、Vアタッカー開放ラウンド、エンディング時間(図示では"ED時間")、大当り後の変短回数が含まれる。ここで挙げている各項目は一例であり、大当り遊技制御パターンとして含まれる情報として、これらの一部が欠落していてもよいし、ここに挙げていない項目が含まれていてもよい。
【0087】
図7に示すとおり、第1始動口57の入球に起因する大当り当選については、8ラウンドまたは4ラウンドの大当り遊技が行われる。第1始動口57の入球に起因する大当り当選に対して特別図柄は200通りに設けられており、特別図柄群A(1)または特別図柄群B(2〜155)が選択された場合には8ラウンドの大当り遊技が付与され、特別図柄群C(156〜200)が選択された場合には4ラウンドの大当り遊技が付与される。
また、
図8に示すとおり、第2始動口59の入球に起因する大当り当選については、16ラウンド、12ラウンド、8ラウンドまたは4ラウンドの大当り遊技が行われる。第2始動口59の入球に起因する大当り当選に対して特別図柄は200通りに設けられている。特別図柄群a(1〜20)が選択された場合には16ラウンドの大当り遊技が付与され、特別図柄群b(21〜30)が選択された場合には12ラウンドの大当り遊技が付与される。また、特別図柄群c(31〜50)が選択された場合には8ラウンドの大当り遊技が付与され、特別図柄群d(51〜200)が選択された場合には4ラウンドの大当り遊技が付与される。
上記のように各特別図柄に対してラウンド回数が振り分けられているので、第1始動口57への入球に起因する大当り遊技に当選している場合にも、第2始動口59への入球に起因する大当り遊技に当選している場合にも、4ラウンドが選択されやすい。
【0088】
また、
図7または
図8に示すとおり、本実施形態における各特別図柄群に対応している大当り遊技は、すべてVアタッカー開放ラウンドが4ラウンドである点について共通している。一方で、4ラウンドの開放時間については、各特別図柄群によって差異が設けられている。
【0089】
例えば、特別図柄群Aでは4ラウンドに割り当てられているラウンド遊技時間が25秒であるが、特別図柄群Bまたは特別図柄群Cでは4ラウンドに割り当てられているラウンド遊技時間が0.04秒である。
特別電動役物66が開放される時間が25秒である場合、その時間が十分に長いため大入賞口56への入球は容易であり、この場合は既述の「第一状態」に相当する。従って、特別図柄群Aに対応している大当り遊技における4ラウンドのラウンド遊技中において、特別電動役物66(大入賞口56)に転動する打ち方(本実施形態では右打ち)で遊技球が打ち出される限りにおいて、特定領域への遊技球の入球は容易であり、確変状態が付与される確率が高い。
一方で、特別電動役物66が開放される時間が0.04秒である場合、その時間が極めて短いために大入賞口56への入球は困難であり、この場合は既述の「第二状態」に相当する。従って、特別図柄群Bまたは特別図柄群Cに対応している大当り遊技の実行中には、特定領域への遊技球の入球は困難であり、実質的には確変状態は付与されない。
図7に示すとおり、特別図柄群Aが選択される確率は1/200と極めて低いので、第1始動口57に起因する大当り遊技を経て確変状態が付与される確率はほとんどない(低い)。
【0090】
前段で述べたことを換言すると、本実施形態における第1始動口57への入球に起因して特図選択部132(図柄選択手段)によって選択される特別図柄(図柄)には、以下の二通りの特別図柄が含まれている。
(i)特別電動役物66の開放時間が25秒である(実行期間の少なくとも一部にて第一状態で実行される)大当り遊技に対応している特別図柄(一の図柄)
(ii)特別電動役物66の開放時間が0.04秒である(実行期間の全体にわたって第二状態が維持される)大当り遊技に対応している特別図柄(他の図柄)
【0091】
特別図柄群a、特別図柄群b、特別図柄群cまたは特別図柄群dでは、いずれも4ラウンドに割り当てられているラウンド遊技時間が25秒である。
すなわち、第2始動口59への入球に起因して当選するいずれの大当り遊技においても、4ラウンドのラウンド遊技中において右打ちで遊技球が打ち出される場合には、特定領域への遊技球の入球は容易であり、確変状態が付与される確率が高い。
【0092】
前段で述べたことを換言すると、本実施形態における第2始動口59への入球に起因して特図選択部132によって選択される特別図柄は、特別電動役物66の開放時間が25秒である(実行期間の少なくとも一部にて第一状態で実行される)大当り遊技に対応している特別図柄のみである。
【0093】
上記のように、第1始動口57への入球に起因して当選する大当り遊技と、第2始動口59への入球に起因して当選する大当り遊技と、では確変状態が付与される確率が実質的に異なるように構成されており、この点が遊技機10の遊技性の特徴の一つになっている。
【0094】
なお、特別電動役物66が開放される時間が0.04秒である場合、特定領域への入球(カウントスイッチSW7の検知)が困難である他に、大入賞口56への入球(カウントスイッチSW6の検知)も困難であるため、カウントスイッチSW6の検知に応じた賞球の払出を受けることも実質的にはできない。
また、特別電動役物65が開放される時間が0.04秒である場合、大入賞口55への入球(カウントスイッチSW4の検知)も困難であるため、カウントスイッチSW4の検知に応じた賞球の払出を受けることも実質的にはできない。
このように、特別電動役物66の開放時間が0.04秒であるラウンドが含まれるほど、その大当り遊技にて付与される賞球の払出数の期待値が低下する。例えば、特別図柄群Aに対応する大当り遊技では8ラウンド中に特別電動役物66の開放時間が0.04秒であるラウンドが3ラウンド含まれているので、実質的に5ラウンドの大当り遊技に相当する賞球の払出しか受けられない。
【0095】
<遊技状態制御について>
遊技状態制御部140は遊技状態を制御する機能であり、当選確率制御部141と変短制御部142とを有している。
【0096】
当選確率制御部141は、通常遊技状態または大当り抽選部131による当否抽選に当選する確率が通常遊技状態より高確率な確変状態(高確遊技状態)のいずれかに移行させる。
【0097】
当選確率制御部141は、大当り遊技中にカウントスイッチSW7による検知が行われた場合には、当選確率制御部141は当該検知を契機として確変状態を付与する。より詳細には、大入賞口56が開放されている大当り遊技の終了時に、当該大当り遊技の開始から終了までにカウントスイッチSW7による検知が発生したか否かを判定し、当該検知が発生した場合には、当選確率制御部141は確変状態を付与する。
変短制御部142は、大当り制御部133によって実行されるすべての大当り遊技の終了を契機として変短状態を付与する。
【0098】
当選確率制御部141は、特別図柄変動ゲームにおいて確変状態の終了条件が成立した場合、または確変状態にて実行される特別図柄変動ゲームにて大当り遊技に当選した場合には、確変状態から通常遊技状態へと移行させる。
ここで確変状態の終了条件とは、付与されている確変状態の方式によって異なる。本実施形態においてはST方式の確変を採用しており、確変状態に移行してから100回の特別図柄変動ゲームが行われることを、その確変状態の終了条件としている。
【0099】
変短制御部142は、すべての大当り遊技の終了時に通常遊技状態から変短状態へと移行させ、変短状態の終了条件が成立する特別図柄変動ゲームにおいて、変短状態から通常遊技状態へと移行させる。
本実施形態における変短状態は、変短状態に移行してから100回(
図7または
図8参照)の特別図柄変動ゲームが行われることを終了条件としている。本実施形態においては全ての大当り遊技の終了時に変短状態が付与されるので、各大当り遊技の終了時からその後に行われた特別図柄変動ゲームの回数が100回に達するまで変短状態が維持される。
【0100】
<当り抽選と当り遊技について>
遊技機10は、普図乱数値取得部113と普図保留制御部160を備える。
普図乱数値取得部113は、カウントスイッチSW3によって作動ゲート63の入賞が検知されると、乱数値M3を取得して専用の記憶領域に格納(保留)する。ここで乱数値M3は、当り抽選部171による抽選に用いられる乱数値である。普図乱数値取得部113が保留できる乱数値M3の上限数は予め定められており、本実施形態において当該上限数は4個とする。
普図保留制御部160は、普図抽選制御部170が普通図柄変動ゲームに係る制御または当り遊技に係る制御を行っていないとき、所定の周期で普図乱数値取得部113によって保留されている乱数値M3を読み出す。
【0101】
普図保留制御部160は普図乱数値取得部113に保留格納されている乱数値M3の数を監視している。また、普図保留制御部160は、監視している乱数値M3の数を、図柄表示装置90に表示させるように図柄表示制御部150に指令を出してもよいし、演出表示装置80に表示させるように演出制御部220に指令を出してもよい。
【0102】
遊技機10は、普図抽選制御部170と普通電役制御部180を備える。普図抽選制御部170は当り抽選と当り遊技を司る機能であり、当り抽選部171と普図選択部172と当り制御部173とを有する。
【0103】
当り抽選部171は、普図保留制御部160によって普図乱数値取得部113から読み出された乱数値M3を用いて、普通電動役物61を開放状態に遷移させるか否かの開放抽選を行う。なお、当り抽選部171によって行われる抽選の当選確率は、通常遊技状態であるときは変短状態であるときより低くなっており、変短状態であるときは通常遊技状態であるときより高くなっている。
【0104】
普図選択部172は、当り抽選部171による開放抽選の当否結果に基づいて普通図柄を選択し、選択された普通図柄を図柄表示制御部150(普図表示制御部153)に伝達して普通図柄表示装置92に表示させる。普通図柄表示装置92に対応している二つのLEDは一方が当り、一方がはずれに対応しており、普図表示制御部153は普図選択部172が選択した普通図柄に従っていずれか一方を発光させる。
なお、ここでいう選択とは、特図選択部132による選択と同様に、当り抽選部171による抽選に用いられた乱数値M3と、予め用意されている特別図柄の種類が同数であって"選択"をせずに一意に"決定"される場合も含まれる。
【0105】
当り制御部173は、当り抽選部171による当り抽選に当選したとき、普通電役制御部180に指令を伝達し、アクチュエータAC1を作動させて所定の開放条件で普通電動役物61を開放させる。
【0106】
普通電役制御部180は、開放状態をとる時間が大当り遊技の終了後に単位時間あたりで増加するように普通電動役物61を制御する。
なお、この段落において説明した普通電役制御部180の制御は、変短状態が付与されたときに普通電動役物61を制御する態様を具体的に表したものである。すなわち、普通電役制御部180の制御は、変短制御部142による変短状態の付与に起因している。
【0107】
<演出制御について>
遊技機10は、演出表示装置80、照明装置35、スピーカ33を制御する演出制御部220を備える。また、演出制御部220は、リーチ演出制御部221と示唆演出制御部222とを含んでいる。
【0108】
演出制御部220は、特図選択部132によって選択された特別図柄、または変動パターン決定部114によって決定された変動パターン等に基づいて各種演出を実行する。また、演出制御部220は、ボタン37から受け付けた遊技者の操作に応じて演出を可変に切り替えてもよい。また、演出制御部220は、
図5では図示していないが、いわゆる演出ギミックを制御してもよい。
【0109】
変動パターン決定部114は、特図保留制御部120・特図抽選制御部130・遊技状態制御部140・普図保留制御部160・普図抽選制御部170と接続しており、これらの機能から信号(データ)を得ることにより、主制御部100による遊技制御に適った変動パターンを生成することができる。変動パターンには、演出図柄が変動表示を開始してから終了(停止表示)するまでの時間等が規定されている。
リーチ演出制御部221は、特図選択部132によって選択された特別図柄や変動パターン決定部114によって決定された変動パターンを用いて、いわゆるリーチ演出やそのリーチ演出に関連して実行される他の演出態様を決定し、決定された演出を演出表示装置80、照明装置35またはスピーカ33に実行させる。なお、本実施形態におけるリーチ演出制御部221は、特図選択部132によって選択された特別図柄を、変動パターン決定部114を介して取得している。
【0110】
示唆演出制御部222は、特図抽選制御部130と接続しており、大当り遊技に関連する処理と連動して示唆演出を実行しうる。このとき、示唆演出制御部222は、特図抽選制御部130を介して第一事前判定部121や第二事前判定部122の判定結果や、当選確率制御部141による確変状態の付与の有無等を含む制御信号(指令)を受け付けることができる。
なお、示唆演出については、後に改めて述べる。
【0111】
<払出制御について>
遊技機10は、上球受け皿27に連通している払出機構部70を制御し、上球受け皿27へ賞球を払い出すことができる払出制御部230を備える。より詳細には、主制御部100は、各入賞口スイッチによる入賞検知に応じて所定の賞球を払い出すように払出制御部230に対して指令を伝達する。そして、払出制御部230は、主制御部100から受け付けた指令に基づいて払出機構部70を制御する。なお、払出機構部70は中枠(図示せず)の後方に配設されており、前枠20が閉じた状態では視認することができない。
本実施形態において、具体的には、カウントスイッチSW1による検知で2個の賞球、カウントスイッチSW2による検知で2個の賞球、カウントスイッチSW4またはカウントスイッチSW6による検知で13個の賞球、カウントスイッチSW5による検知で7個の賞球と払出条件が予め設定されている。
なお、ここで挙げた賞球の払出条件は一例であり、実施の態様に合わせて適宜設定してもよい。
【0112】
<示唆演出について>
続いて、示唆演出について、主に
図5の機能ブロック図を用いて説明する。
既に述べたように、本実施形態における示唆演出は、確変状態(高確遊技状態)に移行すれば大当り抽選に当選する可能性があることを、遊技者が認識可能な態様で示す演出である。
【0113】
本実施形態における示唆演出は、特図抽選制御部130から受け付けた指令に応じた示唆演出制御部222によって実行される。すなわち、いわゆる主基板である主制御部100と、主基板外に構成される示唆演出制御部222との連携によって示唆演出を実現する。この態様は一例であって、示唆演出実行のために主制御部100の側で行われる処理と、その外側で行われる処理と、の分別は様々な態様を採りうる。
【0114】
示唆演出として遊技者に認識される演出態様(演出内容)についても様々な態様を採りうるが、代表的な例をここで列挙する。なお、示唆演出制御部222は、以下の例の複数を組み合わせて、示唆演出を実行させてもよい。もちろん、ここで列挙した演出態様は本発明の示唆演出を限定するものではない。
(i)示唆演出実行時に特有の表示がなされる(特有のキャラクターやアイコンが登場する、キャラクターが特有のアクションを行う、背景の色彩や図柄等が変化する、通常より長い時間にわたって実行される、多段階に発展する表示演出が通常とは異なる経路で発展する、画面が暗転する等)。
(ii)示唆演出実行時に特有の音声出力がなされる(BGMが変化する、特有のセリフを発する、特有の効果音が鳴る等)。
(iii)示唆演出実行時にギミックが動作する。
【0115】
本実施形態における示唆演出は、その実行条件や実行タイミングが従来とは異なる点が特徴の一つである。以下には、本実施形態における示唆演出または発展演出を実行しうる条件や、その実行タイミングについて説明する。
なお、以下の説明において示唆演出の実行される時間のことを示唆演出時間と称する場合がある。
【0116】
以下に列挙する実行条件や実行タイミングは、原則として確変状態(高確遊技状態)に移行すれば大当り抽選の当選が確定的である場合について述べている。ただし、ここで列挙する実行条件や実行タイミングを満足しなくても、満足するときと同内容の示唆演出を実行して、すなわち本来は当選が確定的ではないのにさも当選するかのような示唆演出(ガセ演出)を混在させて、示唆演出の信頼度の高低を調整してもよい。
ここで「示唆演出の信頼度」とは、示唆演出を経て確変状態が付与された場合に対して、大当り抽選部131の当否抽選に当選する確率をいう。一般的に、信頼度の高い演出と遊技者に認識される場合には、当該演出によって遊技者に与えられる興趣が高まる。
【0117】
本実施形態における示唆演出時間は、大当り制御部133によって大当り遊技が開始されてからカウントスイッチSW7によって特定領域への入球が検知されるまでの期間に含まれてもよく、カウントスイッチSW7によって特定領域への入球が検知されてから大当り遊技が終了するまでの期間に含まれてもよい。
また、本実施形態における示唆演出時間は、大当り遊技におけるオープニング時間、ラウンド遊技時間、各ラウンド遊技時間の合間(インターバル時間)、またはエンディング時間のいずれにおいて実行されてもよく、またこれらの複数に跨がってもよい。
なお、大当り遊技中にて、保留されている乱数値に起因して次回以降の大当りに当選することを「保留連大当り」と称することがあり、以下の説明でも用いる場合がある。
【0118】
保留連大当りに関する示唆演出は、実行期間の少なくとも一部にて第一状態で実行される(Vアタッカー開放ラウンドの時間が十分に長い)大当り遊技が開始されてから、特定領域に対する遊技球の入球が検知されるまでの間にて、示唆演出制御部222によって(示唆演出制御手段)実行されることが望ましい。
このような大当り遊技の場合、特に本実施形態のように大当り遊技を開始してからVアタッカー開放ラウンド(4ラウンド)が実行されるまでの時間が比較的長い場合には、そのラウンドまで実行されるラウンド遊技において遊技の興趣が低下しがちになる。そこで、このようなタイミングで本実施形態の示唆演出を実行させることによって、当該大当り遊技によって得られる興趣の向上を図ることができる。
【0119】
なお、ここで述べる示唆演出は、リーチ演出制御部221によって実行されるリーチ演出とは異なる演出として説明するが、これは一例である。
例えば、リーチ演出の一部に示唆演出が含まれてもよい。すなわち、大当り抽選部131による当否抽選に当選してから大当り制御部133によって大当り遊技が開始されるまでの期間に、示唆演出時間が含まれてもよい。
また、リーチ演出と大当り遊技中の演出に跨がって示唆演出が実行される変形例で実行されてもよい。すなわち、大当り抽選部131による当否抽選に当選してからカウントスイッチSW7によって特定領域への入球が検知されるまでの期間に、示唆演出時間が含まれてもよい。
【0120】
示唆演出制御部222は、第一事前判定部121による判定結果が肯定される場合、実行期間の少なくとも一部にて第一状態で実行される大当り遊技に当否抽選で当選してから特定領域に対する遊技球の入球が検知されるまでの期間にて実行させてもよい。
例えば、第一事前判定部121が第2始動口59への入球に起因して取得される乱数値M2を対象として判定を実行する場合、すべての大当り遊技が実行期間中に第一状態が含まれるので、乱数値M2が大当り抽選部131による当否抽選に当選した直後から第一状態の実行が含まれる大当り遊技の当選が確定する。従って、示唆演出制御部222は、本段落で述べた実行タイミングにて示唆演出を実行することができる。
【0121】
また、示唆演出制御部222(示唆演出制御手段)は、第一事前判定部121(第一事前判定手段)による判定結果が肯定される乱数値が保留されている場合には、「一の図柄」が選択されてから特定領域に対する遊技球の入球が検知されるまでの間にて示唆演出を実行させてもよい。なお、ここで「一の図柄」とは、既述のとおり、実行期間の少なくとも一部にて第一状態で実行される大当り遊技に対応する特別図柄をいう。
例えば、第一事前判定部121(第一事前判定手段)が第1始動口57への入球に起因して取得される乱数値M1を対象として判定を実行する場合、大当り抽選部131による当否抽選の当選に起因して「一の図柄」の選択をした直後から第一状態の実行が含まれる大当り遊技の当選が確定する。従って、示唆演出制御部222は、本段落で述べた期間にて示唆演出を実行することができる。
なお、本段落で述べた実行条件および実行タイミングで示唆演出制御部222が示唆演出を実行する場合には、第一事前判定部121は、「一の図柄」の選択を契機として「一の図柄」の選択の時点で保留されている乱数値M1を対象として判定を実行してもよい。これにより、第一事前判定部121による判定が「一の図柄」の選択時に限定できるので、第一事前判定部121または示唆演出制御部222に関する処理コストが低減する。
【0122】
また、第一事前判定部121(第一事前判定手段)による判定が肯定されて示唆演出が実行された後に、特定領域に対する遊技球の入球が検知される場合、示唆演出制御部222(示唆演出制御手段)は、実行している示唆演出を、当該検知より後に実行される大当り抽選部131の当否抽選に当選する旨を示唆する演出態様に変動させてもよい。
すなわち、本段落で述べた場合に、示唆演出制御部222は示唆演出の演出態様を発展させてもよい。これにより、遊技者に安心感と満足感を与え、その興趣を向上させることができる。
【0123】
ここで「当選する旨を示唆する」とは、遊技機の内部処理においてその示唆演出より後に実行される大当り抽選部131の当否抽選で当選する可能性があることを、遊技者が認識可能な態様で示すことをいう。
【0124】
また、ここで「演出態様を変動させる」とは、連続性を有しながら演出内容を変化させることをいう。
例えば、本実施形態に即していえば、カウントスイッチSW7の検知前は「保留連チャンス!」と演出表示装置80に表示し、当該検知後は「保留連確定!」と演出表示装置80に表示するような示唆演出の変化をいう。なお、ここでは演出表示装置80の表示変化の例を述べたが、これは一例であって他の態様も採りうる。
【0125】
また、第一事前判定部121(第一事前判定手段)による判定が肯定されて示唆演出が実行された後にて、特定領域に対する遊技球の入球が検知されない場合、示唆演出制御部222(示唆演出制御手段)は、第一状態から第二状態に切り替えられる時点より後に当該示唆演出を否定してもよい。換言すると、上記の場合には、Vアタッカー開放ラウンド(4ラウンド)が終了した時点、より正確には当該ラウンドにて
図4(b)から
図4(a)に示す状態に切り替えられた時点より後に、示唆演出制御部222は実行している示唆演出を否定してもよい。
すなわち、示唆演出を実行することによって向上させた遊技者の興趣を、当該示唆演出を否定することによって当該示唆演出の実行前より低下させる。このように遊技者の興趣の起伏を大きくすることによって、遊技全体としての演出性を高めることができる。
【0126】
ここで「示唆演出を否定する」とは、示唆演出にて遊技者に示唆した内容を打ち消すことをいう。例えば、本実施形態における示唆演出の否定には、以下の態様が含まれる。
(i)実行されていた示唆演出を終了させる。
(ii)ストーリー性を有する示唆演出を、悪い結果(バッドエンド)に導く。
また、「示唆演出を変動させる」態様には、「示唆演出を否定する」態様が含まれてもよい。
【0127】
また、第一事前判定部121(第一事前判定手段)による判定が否定され、第二事前判定部122(第二事前判定手段)による判定が肯定される場合であって、かつ特定領域に対する遊技球の入球が検知されないとき、示唆演出制御部222は次の処理を実行してもよい。すなわち、示唆演出制御部222(示唆演出制御手段)は、第一状態から第二状態に切り替えられた後に実行される当否抽選に当選する旨を、当該第二状態への切替から当該当否抽選までの間に示唆させてもよい。
換言すると、上記の場合には、Vアタッカー開放ラウンド(4ラウンド)が終了した時点、より正確には当該ラウンドにて
図4(b)から
図4(a)に示す状態に切り替えられた時点から、当該ラウンドが含まれる大当り遊技の終了直後の大当り抽選部131による当否抽選までの期間にて、示唆演出制御部222は当該当否抽選に当選する旨を示唆してもよい。
【0128】
前段で述べた場合は、確変状態へ移行されなかったものの、通常遊技状態で実行される特別図柄変動ゲームで保留連大当りが確定している場合である。このような場合に大当り抽選部131による当否抽選に当選する旨を示唆させることによって、確変状態の付与がなかったことで低下した遊技者の興趣を、再び向上させうる。
なお、前段で述べた示唆演出制御部222による示唆は、例えば、上記の実行タイミングで「保留連確定!」と演出表示装置80に表示させるような示唆である。「保留連確定!」の前に何らかの示唆、例えば「保留連チャンス!」と表示してもよいし、表示しなくてもよい。すなわち、前段で述べた示唆演出制御部222による示唆は、ここまで述べてきた示唆演出と同じ態様を採ってもよいし、異なる態様を採ってもよい。
また、前段で述べた示唆演出制御部222による処理は、通常遊技状態で当選する乱数値に、高確遊技状態で当選する乱数値が包含される場合に実現可能である。
【0129】
また、第一事前判定部121(第一事前判定手段)による判定および第二事前判定部122(第二事前判定手段)による判定が共に肯定される場合であって、かつ特定領域に対する遊技球の入球が検知されないとき、示唆演出制御部222は次の処理を実行してもよい。すなわち、示唆演出制御部222(示唆演出制御手段)は、第一状態から第二状態に切り替えられる前に示唆演出を実行し、かつ当該第二状態への切替後に実行される当否抽選に当選する旨を示唆する態様に、当該第二状態への切替から当該当否抽選までの間に示唆演出を変動させてもよい。
換言すると、上記の場合には、Vアタッカー開放ラウンド(4ラウンド)が開始される前、より正確には当該ラウンドにて
図4(a)から
図4(b)に示す状態に切り替えられるより前に、演出制御部220は示唆演出を実行してもよい。また、この場合には、Vアタッカー開放ラウンド(4ラウンド)が終了した時点、より正確には当該ラウンドにて
図4(b)から
図4(a)に示す状態に切り替えられた時点より後に、示唆演出制御部222は実行している示唆演出を変動させてもよい。
【0130】
前段で述べた場合も、前述した場合と同様に、確変状態へ移行されなかったものの、通常遊技状態で実行される特別図柄変動ゲームで保留連大当りが確定している場合である。しかし、前段で述べた場合は、第一事前判定部121による判定が肯定されているので4ラウンドの開始前に示唆演出が実行されるので、これを変動させることによって、前述した場合と同等の効果を図っている。
【0131】
また、示唆演出制御部222(示唆演出制御手段)は、以下の(i)の場合と(ii)の場合と、によって異なる演出態様の示唆演出を実行させてもよい。
(i)第一事前判定部121(第一事前判定手段)による判定が肯定され、かつ第二事前判定部122(第二事前判定手段)による判定が否定される第一乱数値が、第二事前判定部122による判定が肯定される第二乱数値より先に大当り抽選部131(大当り抽選手段)に用いられるように保留されている場合(一の場合)
(ii)第一乱数値が第二乱数値より後に大当り抽選部131に用いられるように保留されている場合(他の場合)
【0132】
前段で述べた(i)の場合には、特定領域への入球検知を契機として保留連大当りが複数個(三連チャン以上)であることが確定する。また、(ii)の場合には、示唆演出が実行される大当り遊技において保留連大当りが複数個であることが確定しない。
従って、これらの場合を分けてそれぞれに適した示唆演出を実行することで、演出がより多彩になり、多様に遊技者の興趣を喚起させることができる。
なお、(i)の場合の方が、遊技者にとってより好ましい状況であり、(i)の場合の方が(ii)の場合より派手な(上位の)演出態様で示唆演出が実行されることが望ましい。
【0133】
なお、第一乱数値と第二乱数値の先後、すなわち大当り抽選部131によって用いられる乱数値の順番は、以下のように定められる。
大当り抽選部131は、先に保留された乱数値を先に処理すること(FirstIn,FirstOut)を原則とするが、第1始動口57の入賞に起因する乱数値M1と、第2始動口59の入賞に起因する乱数値M2と、が共に保留されている場合、後者の処理を優先して行う。従って、遊技球の入球の先後に関わらず、第一乱数値が乱数値M2(一の乱数値)であって、かつ第二乱数値が乱数値M1(他の乱数値)である場合には、前々段における(i)の場合(一の場合)に該当することがある。また、遊技球の入球の先後に関わらず、第二乱数値が乱数値M2であって、かつ第一乱数値が乱数値M1となる場合には、前々段における(ii)の場合(他の場合)になることがある。
【0134】
<特別図柄変動ゲームおよび大当り遊技の処理手順について>
本実施形態の遊技機10における特別図柄変動ゲームおよび大当り遊技の処理手順について、主に
図9〜
図13のフローチャートを用いて説明する。ただし、既に説明した
図2に図示される各部材や、
図5に含まれる各構成要素についても言及するので、適宜参照されたい。
【0135】
図9は、遊技の全体フローを図示するフローチャートである。
図10は、変動開始処理に関するフローチャートである。
図11は、特図変動処理に関するフローチャートである。
図12は、大当り処理に関するフローチャートである。
図13は、ST処理に関するフローチャートである。
なお、これらのフローチャートで図示される処理手順は、本発明の処理手順やその実行タイミングを限定するものではない。このため、本発明に関する処理を実施するときには、その複数の処理手順は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の処理の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
【0136】
図9に示す通り、遊技機10における遊技は、変動開始処理(ステップS100)、特図変動処理(ステップS200)、大当り処理(ステップS400)、およびST処理(ステップS500)を繰り返す。
【0137】
なお、
図9における各処理の順序は、各処理の冒頭処理の順序を示すに過ぎない。すなわち、前処理の全てが実行された後に後処理の実行が開始されてもよいし、前処理の中途で後処理の実行が開始されてもよい。ここで各処理の冒頭処理とは、
図10〜
図13における最初のステップにて行われる処理をいう。
【0138】
図9におけるステップS100の変動開始処理とは、
図10に示すステップS101からステップS109までの一連の処理をいう。
特別図柄変動ゲームは第1始動口57または第2始動口59への入賞を契機として開始されるが、より詳細には特図保留制御部120によって第1特図乱数値取得部111または第2特図乱数値取得部112に保留記憶されている乱数値M1または乱数値M2を読み出すことにより特別図柄変動ゲームは開始される(ステップS101)。
【0139】
続いて、確変状態である場合(ステップS102のYes)、大当り抽選部131は、S101で読み出した乱数値と、確変状態にて参照される抽選テーブル(図示せず)と、を用いて大当り抽選を行う(ステップS103)。
また、通常状態である場合(ステップS102のNo)、大当り抽選部131は、S101で読み出した乱数値と、通常遊技状態にて参照される抽選テーブル(図示せず)と、を用いて大当り抽選を行う(ステップS104)。
S103またはS104において実行された大当り抽選において当選した場合(ステップS105のYes)、特図選択部132は大当り図柄を選択する(ステップS106)。
一方で、S103またはS104において実行された大当り抽選において落選した場合(ステップS105のNo)、特図選択部132ははずれ図柄を選択する(ステップS107)。
【0140】
なお、
図9における大当たりか否かの判定処理(ステップS300)は、前段で説明した大当り抽選部131の当否抽選のことをいう。すなわち、ステップS300の判定結果は、ステップS105の判定結果と一致する。
【0141】
変動パターン決定部114は、ステップS105の当否結果および今回の特別図柄変動ゲームにおける遊技状態(確変・変短の有無や確変種別)に基づいて変動パターンを決定する(ステップS108)。
【0142】
ステップS108で決定された変動パターンを含んでいる指令を演出制御部220(リーチ演出制御部221または示唆演出制御部222)に伝達する(ステップS109)。なお、ステップS109にて伝達される指令の中には、変動パターンの他にも、第一事前判定部121や第二事前判定部122による判定結果や、大当り遊技の実行の有無を示す情報等が含まれており、示唆演出制御部222はこの指令に基づいて示唆演出を実行することができる。
また、ステップS106で選択された大当り図柄またはステップS107で決定されたはずれ図柄を特別図柄表示装置91に停止表示させる指令を図柄表示制御部150に伝達する(ステップS109)。
【0143】
図9におけるステップS200の特図変動処理とは、
図11に示すステップS201からステップS204までの一連の処理をいう。
図柄表示制御部150(第1特別図柄表示制御部151または第2特別図柄表示制御部152)は、S101で特図保留制御部120が保留されている乱数値を読み出すことを契機に特別図柄表示装置91の変動表示を開始させる(ステップS201)。
なお、特図保留制御部120は、特図抽選制御部130が特別図柄変動ゲームに係る制御または大当り遊技に係る制御を行っていないとき、遊技者が体感できないほど短い周期で保留されている乱数値を読み出している。従って、保留されている乱数値の数がゼロである場合には、各始動口の入賞と特別図柄変動ゲームの開始(特別図柄表示装置91の変動表示の開始)について、遊技者はほぼ同時であると体感できる。
【0144】
S201で変動表示を開始させた後、図柄表示制御部150は、所定の変動時間が経過するまでは変動表示を継続させる(ステップS202のNo)。また、図柄表示制御部150は、所定の変動時間が経過したとき(ステップS202のYes)、ステップS109にて特図選択部132から伝達された指令に応じて特別図柄表示装置91に特別図柄を停止表示させる(ステップS203)。
【0145】
S203で特別図柄表示装置91に特別図柄を停止表示させたことを契機として、図柄表示制御部150は、演出表示装置80に表示させている演出の変動(演出図柄の変動等)を停止させる指令を演出制御部220に伝達して(ステップS204)、特図変動処理に関する一連の処理は終了となる。
【0146】
図9におけるステップS400の大当り処理とは、
図12に示すステップS401からステップS412までの一連の処理をいう。当該大当り処理は、ステップS300(ステップS105)の判定が肯定されるときに実行される。
確変状態にて大当り抽選部131による当否抽選に当選している場合(ステップS401のYes)、大当り制御部133の指令により当選確率制御部141が高確率状態を通常遊技状態に移行させて(ステップS402)、オープニング演出が実行される(ステップS403)。
一方、通常遊技状態にて大当り抽選部131による当否抽選に当選している場合(ステップS401のNo)、そのままオープニング演出が実行される(ステップS403)。
【0147】
ステップS403の処理が終了した後は、特図選択部132によって選択された大当り図柄に起因して規定される回数のラウンド遊技が実行される。
ラウンド遊技が4ラウンド(Vアタッカー開放ラウンド)を除く他のラウンドである場合(ステップS404のNO)、通常アタッカー(特別電動役物65)が開放され、規定時間(ラウンド遊技時間)の経過または規定の入球検知に応じて通常アタッカーが閉鎖される(ステップS405)。
また、ラウンド遊技が4ラウンド(Vアタッカー開放ラウンド)である場合(ステップS404のYES)、Vアタッカー(特別電動役物66)が開放され、規定時間(ラウンド遊技時間)の経過または規定の入球検知に応じてVアタッカーが閉鎖される(ステップS406)。
【0148】
ステップS406の実行中に特定領域への入球が検知された場合(ステップS407のYES)、当選確率制御部141によって確変状態への移行条件(確変フラグ)を成立させる(ステップS408)。
また、ステップS406の実行中に特定領域への入球が検知されない場合(ステップS407のNO)、そのままそれ以降の処理が行われる。
【0149】
規定された回数のラウンド遊技が消化されるまで(ステップS409のNO)、ステップS404〜ステップS408の処理を繰り返し実行し、規定された回数の最終回のラウンド遊技が終了したとき(ステップS409のYES)、エンディング処理が実行される(ステップS410)。
このとき、ステップS408で確変フラグが成立しているとき(ステップS411のYES)、当選確率制御部141によって通常遊技状態から確変状態に移行されて(ステップS412)、大当り処理(ステップS400)が終了する。また、ステップS408で確変フラグが成立していないとき(ステップS411のNO)、そのまま通常遊技状態が維持されて、大当り処理(ステップS400)が終了する。
【0150】
なお、
図12では図示しないが、
図12に含まれるいずれの処理が実行されるタイミングにおいても、上述した各態様の示唆演出を実行する条件のいずれかを満足する場合には、各構成要素(大当り制御部133等)から示唆演出制御部222に指令伝達させて示唆演出を実行させてもよい。
すなわち、本実施形態における示唆演出は、大当り処理に含まれるいずれの処理とも並行して実行されうる。
【0151】
図13におけるステップS500のST処理とは、
図13に示すステップS501からステップS504までの一連の処理をいう。当該ST処理は、ステップS300(ステップS105)の判定が否定されるときに実行される。
その特別図柄変動ゲームにおいて確変状態にあれば(ステップS501のYes)、当選確率制御部141は専用の記憶領域に格納されているSTゲーム数:nから1を減算する(ステップS502)。
S502にて減算された結果、nの値がゼロとなった場合(ステップS503のYes)、当選確率制御部141は通常遊技状態に移行させる(ステップS504)。
【0152】
その特別図柄変動ゲームにおいて確変状態ではない(ステップS501のNo)、あるいはS502にて減算されても未だnの値がゼロにはならない場合(ステップS503のNo)、そのままST処理(ステップS500)を終了する。
【0153】
ここでSTゲーム数:nとは、当該特別図柄変動ゲームを含めて残りnゲーム後までに大当りに当選しない場合、通常状態に移行することを示す値であり、特別図柄変動ゲームを繰り返すことによって減算される。
【0154】
続いて、示唆演出制御部222による示唆演出処理について主に
図14を用いて説明する。
図14は、示唆演出処理に関するフローチャートである。ここで示唆演出処理とは、
図14に図示されるステップS602〜ステップS626の一連の処理をいう。
なお、
図14の説明は、第一事前判定部121による判定に起因して行われる示唆演出について、大当り遊技中に示唆パターンを決定する場合の処理を説明するものであって、上述した全ての示唆演出の態様に当てはまるものではない。
【0155】
示唆演出制御部222は、実行期間の少なくとも一部にて第一状態で実行される大当り遊技、すなわち特別図柄群A、a、b、c、dのいずれかに対応する大当り遊技が実行されている場合(ステップS602のYES)であって、第一事前判定部121による判定が肯定となる乱数値が保留されているとき(ステップS604のYES)、以下に説明するステップS606以降の処理を行う。
なお、ステップS602の判定またはステップS604の判定のいずれかが否定されるとき(ステップS602のNOまたはステップS604のNO)については、ステップS606以降の処理をいずれも実行しなくてよい。
【0156】
ステップS606では、実行中の大当り遊技において4ラウンドに達したか否かを判定する。この判定が肯定されるとき、すなわち当該大当り遊技にてオープニング演出を行っている、または第1ラウンドから第3ラウンドのいずれかのラウンド遊技を行っているとき(ステップS606のYES)、示唆パターンAに基づく示唆演出を実行しているか否かを判定する(ステップS608)。
ここで「示唆パターンA」とは、第一事前判定部121による判定結果を遊技者に示唆する示唆演出を実行する元になる示唆パターンである。なお、示唆パターンAに対応している示唆演出の演出態様は、一通りであってもよいし、複数通りであってもよい。
【0157】
ステップS608の判定時点において、示唆パターンAが実行されていないとき(ステップS608のNO)、示唆演出制御部222は示唆パターンAを決定して(ステップS610)、示唆演出を各出力手段に実行させる(ステップS612)。
また、ステップS608の判定時点において、示唆パターンAが実行されているとき(ステップS608のYES)、そのまま示唆演出処理を終えて、次に行われる示唆演出処理まで待機してよい。
【0158】
また、ステップS606の判定が否定されて(ステップS606のNO)、4ラウンドの実行中であるとき(ステップS614のYES)、示唆演出制御部222は、ステップS616以降の処理を行う。
ステップS616では、その大当り遊技(4ラウンドのラウンド遊技)にてカウントスイッチSW7が特定領域への遊技球の入球を検知したか否かを判定する。
ステップS616の判定が肯定される場合には(ステップS616のYES)、示唆演出制御部222は、ステップS618以降の処理を行う。
一方で、ステップS616の判定が否定される場合には(ステップS616のNO)、示唆演出制御部222は、上述のステップS608以降の処理を行う。
【0159】
ステップS618では、示唆パターンAに基づく示唆演出を実行しているか否かを判定し、これが肯定されるとき(ステップS618のYES)、演出制御部220は示唆パターンBを決定して(ステップS620)、これに基づく示唆演出を実行させる(ステップS612)。
また、ステップS618の判定が否定されるとき(ステップS618のNO)、そのまま示唆演出処理を終えて、次に行われる示唆演出処理まで待機してよい。
ここで「示唆パターンB」とは、示唆パターンAに基づく示唆演出を、当否抽選に当選する旨を示唆する演出態様に変動させるために用いられる示唆パターンである。
【0160】
また、ステップS606の判定が否定されて(ステップS606のNO)、かつ4ラウンドの実行中でもないとき(ステップS614のNO)、すなわち5ラウンド以降のラウンド遊技またはエンディング演出を実行しているとき、示唆演出制御部222は、ステップS622以降の処理を行う。
【0161】
ステップS622では、既に終了している4ラウンドのラウンド遊技にてカウントスイッチSW7が特定領域への遊技球の入球を検知したか否かを判定する。
ステップS622の判定が否定される場合(ステップS622のNO)であって、示唆パターンAに基づく示唆演出を実行しているとき(ステップS624のYES)、示唆演出制御部222は、実行中の当該示唆演出を否定する処理を行う(ステップS626)。
ステップS626における処理とは、より具体的には、当該示唆演出を否定するために用いられる他の示唆パターン(示唆パターンAとも示唆パターンBとも異なる示唆パターン)を決定して、示唆演出制御部222はこの他の示唆パターンに基づいて示唆演出を実行させる(ステップS612)。
【0162】
また、ステップS622の判定が肯定される場合には(ステップS622のYES)、示唆演出制御部222は、上述のステップS618以降の処理を行う。
【0163】
また、ステップS622の判定が否定される場合(ステップS622のNO)であって、示唆パターンAに基づく示唆演出を実行していないとき(ステップS624のNO)、そのまま示唆演出処理を終えて、次に行われる示唆演出処理まで待機してよい。
【0164】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
例えば、上述の実施形態については、特定領域への遊技球の入球が検知されることを契機として通常遊技状態から高確遊技状態に移行する遊技機で示唆演出を実行する旨を説明したが、他の方式で通常遊技状態から高確遊技状態に移行する遊技機にて本発明の示唆演出を実行してもよい。
また、上述の実施形態については、規定回数の特別図柄変動ゲームが実行されることによって高確遊技状態から通常遊技状態に移行する遊技機で示唆演出を実行する旨を説明したが、他の方式で高確遊技状態から通常遊技状態に移行する遊技機にて本発明の示唆演出を実行してもよい。
【0165】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)始動口への遊技球の入賞を契機として取得される乱数値を保留する保留手段と、図柄変動ゲームが開始される際に前記保留手段に保留されている前記乱数値を用いて、前記乱数値ごとに大当りの当否抽選を行う大当り抽選手段と、前記大当り抽選手段による前記当否抽選に当選した場合には、前記図柄変動ゲームの終了後に大当り遊技を実行させる大当り制御手段と、前記大当り制御手段によって実行される前記大当り遊技の実行中において、特定領域に対する前記遊技球の入球が容易となる第一状態と、前記特定領域に対する前記遊技球の入球が困難となる第二状態と、を切り替える特定領域切替手段と、前記特定領域に対する前記遊技球の入球を検知する検知手段と、前記検知手段による検知を契機として、前記当否抽選に当選する確率が通常遊技状態より高確率な高確遊技状態に移行させる状態制御手段と、前記保留手段に保留されている前記乱数値が前記高確遊技状態における前記当否抽選にて当選するか否かを、当該乱数値が前記大当り抽選手段による前記当否抽選に用いられる前に判定する第一事前判定手段と、前記第一事前判定手段による判定結果が肯定される場合、当該判定結果を遊技者に示唆する示唆演出を、実行期間の少なくとも一部にて前記第一状態で実行される前記大当り遊技に前記当否抽選で当選してから前記特定領域に対する前記遊技球の入球が検知されるまでの間にて実行させ得る示唆演出制御手段と、を備える遊技機。
(2)前記第一事前判定手段による判定が肯定されて前記示唆演出が実行された後に、前記特定領域に対する前記遊技球の入球が検知される場合、前記示唆演出制御手段は、実行している前記示唆演出を、当該検知より後に実行される前記当否抽選に当選する旨を示唆する演出態様に変動させる(1)に記載の遊技機。
(3)前記第一事前判定手段による判定が肯定されて前記示唆演出が実行された後にて、前記特定領域に対する前記遊技球の入球が検知されない場合、前記示唆演出制御手段は、前記第一状態から前記第二状態に切り替えられる時点より後に当該示唆演出を否定する(1)または(2)に記載の遊技機。
(4)前記保留手段に保留されている前記乱数値が前記通常遊技状態おける前記当否抽選にて当選するか否かを、当該乱数値が前記大当り抽選手段による前記当否抽選に用いられる前に判定する第二事前判定手段を備え、前記第一事前判定手段による判定が否定され、前記第二事前判定手段による判定が肯定される場合であって、かつ前記特定領域に対する前記遊技球の入球が検知されないとき、前記示唆演出制御手段は、前記第一状態から前記第二状態に切り替えられた後に実行される前記当否抽選に当選する旨を、当該第二状態への切替から当該当否抽選までの間に示唆させる(1)から(3)のいずれか一つに記載の遊技機。
(5)前記保留手段に保留されている前記乱数値が前記通常遊技状態おける前記当否抽選にて当選するか否かを、当該乱数値が前記大当り抽選手段による前記当否抽選に用いられる前に判定する第二事前判定手段を備え、前記第一事前判定手段による判定および前記第二事前判定手段による判定が共に肯定される場合であって、かつ前記特定領域に対する前記遊技球の入球が検知されないとき、前記示唆演出制御手段は、前記第一状態から前記第二状態に切り替えられる前に前記示唆演出を実行し、かつ当該第二状態への切替後に実行される前記当否抽選に当選する旨を示唆する演出態様に、当該第二状態への切替から当該当否抽選までの間に前記示唆演出を変動させる(1)から(4)のいずれか一つに記載の遊技機。
(6)前記示唆演出制御手段は、前記第一事前判定手段による判定が肯定され、かつ前記第二事前判定手段による判定が否定される第一乱数値が、前記第二事前判定手段による判定が肯定される第二乱数値より先に前記大当り抽選手段に用いられるように保留されている一の場合と、前記第一乱数値が前記第二乱数値より後に前記大当り抽選手段に用いられるように保留されている他の場合と、によって異なる演出態様の前記示唆演出を実行させる(4)または(5)に記載の遊技機。
(7)実行期間の少なくとも一部にて前記第一状態で実行される前記大当り遊技が開始されてから、前記特定領域に対する前記遊技球の入球が検知されるまでの間にて、前記示唆演出制御手段は前記示唆演出を実行させる(1)から(6)のいずれか一つに記載の遊技機。
【0166】
さらに、本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(a)前記保留手段は、一の前記始動口の入賞を契機として取得される一の前記乱数値と、前記一の始動口とは異なる他の前記始動口の入賞を契機として取得される他の前記乱数値と、を分別して保留し、前記大当り抽選手段は、前記一の乱数値と前記他の乱数値とが共に保留されている場合、前記一の乱数値を先に用いるように構成されており、前記一の場合では、前記第一乱数値が前記一の乱数値であって、かつ前記第二乱数値が前記他の乱数値であり、前記他の場合では、前記第二乱数値が前記一の乱数値であって、かつ前記第一乱数値が前記他の乱数値である(6)に記載の遊技機。
(b)前記大当り抽選手段による前記当否抽選の結果に基づいて図柄を選択する図柄選択手段と、前記図柄選択手段によって選択された前記図柄を前記図柄変動ゲームの実行中に表示させる図柄表示制御手段と、を備え、前記図柄選択手段によって選択される前記図柄には、実行期間の少なくとも一部にて前記第一状態で実行される前記大当り遊技に対応している一の前記図柄と、前記実行期間の全体にわたって前記第二状態が維持される前記大当り遊技に対応している他の前記図柄と、が含まれており、前記第一事前判定手段は、前記当否抽選の当選に起因する前記一の図柄の選択を契機として、当該一の図柄の選択の時点で保留されている前記乱数値を対象として判定を実行し、前記示唆演出制御手段は、前記第一事前判定手段による判定結果が肯定される前記乱数値が保留されている場合、前記一の図柄が選択されてから前記特定領域に対する前記遊技球の入球が検知されるまでの間にて前記示唆演出を実行させる(1)から(7)のいずれか一つに記載の遊技機。