(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光束制御部材は、前記裏面において、前記光軸に対し、前記格子状の凸条または前記格子状の凹条より径方向の外側に、前記光軸に対して回転対称となるように形成された環状の溝をさらに有し、
前記環状の溝は、前記光軸側に配置された内側傾斜面と、前記光軸に対して前記内側傾斜面より外側に配置された外側傾斜面とを有し、
前記光軸を含む前記光束制御部材の断面において、前記光軸と前記外側傾斜面の断面を含む第2仮想直線とは、前記光軸方向について、前記裏面に対して前記外側傾斜面よりも遠い位置で交わる、
請求項1に記載の発光装置。
前記発光素子の外縁を構成する四辺の各一辺と、前記第1仮想直線とのなす角度のうち、小さい方の角度は、45°である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置。
前記裏面において、前記中心軸に対し、前記格子状の凸条または前記格子状の凹条より径方向の外側に、前記中心軸に対して回転対称となるように形成された環状の溝をさらに有し、
前記環状の溝は、前記中心軸側に配置された内側傾斜面と、前記光軸に対して前記内側傾斜面より外側に配置された外側傾斜面とを有し、
前記中心軸を含む断面において、前記中心軸と前記外側傾斜面の断面を含む第2仮想直線とは、前記発光素子の光軸方向について、前記裏面に対して前記外側傾斜面よりも遠い位置で交わる、
請求項6に記載の光束制御部材。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(発光装置の構成)
図1は、実施の形態1に係る発光装置100の断面図である。
【0015】
図1に示されるように、発光装置100は、発光素子パッケージ110と、発光素子パッケージ110から出射された光の配光を制御する光束制御部材120とを有する。なお、
図1では、光束制御部材120について断面を示すハッチングを省略している。
【0016】
発光素子パッケージ110は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。発光素子パッケージ110は、例えば、基板150上に配置される。発光素子パッケージ110は、パッケージ基板111および発光素子(ダイス)112を有する。パッケージ基板111の上面には、キャビティー113が形成されている。キャビティー113の内側面114は、反射面として機能する。パッケージ基板111の材料は、セラミックや樹脂などである。発光素子112は、キャビティー113の底面に配置されている。キャビティー113の底面に発光素子112が配置された状態で、キャビティー113内にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの封止樹脂を封入する。本実施の形態では、発光素子パッケージ110の平面視形状は、長方形である。
【0017】
図2A〜Eおよび
図3A、Bは、光束制御部材120の構成を示す図である。
図2Aは、光束制御部材120の平面図であり、
図2Bは、正面図であり、
図2Cは、背面図であり、
図2Dは、左側面図であり、
図2Eは、右側面図である。また、
図3Aは、光束制御部材120の底面図であり、
図3Bは、
図3Aの破線で囲まれた領域の拡大図である。
【0018】
図2A〜Eおよび
図3A、Bに示されるように、光束制御部材120は、凹部127の内面である入射面121と、裏面122と、出射面123とを有する。また、光束制御部材120は、出射面123外側に配置された鍔部124と、光束制御部材120を基板150に位置決めして固定するための脚部125と、脚部125の位置を示す突起126とを有していてもよい。光束制御部材120は、突起126を目印に脚部125を基板150に位置決めした状態で固定することにより基板150に実装される。このとき、光束制御部材120は、発光素子パッケージ110に対して、発光素子112の光軸LAが光束制御部材120の中心軸CAと一致するように基板150上に実装される(
図1参照)。本実施の形態では、発光素子パッケージ110が1つの場合について示しているが、発光素子パッケージ110は、1つの光束制御部材120に対して複数配置されていてもよい。発光素子パッケージ110が複数配置されている場合、光軸LAは、複数の発光素子パッケージ110からの立体的な光束の中心における光の進行方向をいう。
【0019】
光束制御部材120は、一体成形により形成されている。光束制御部材120の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であれば特に限定されない。たとえば、光束制御部材120の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0020】
凹部127は、光束制御部材120の裏側(発光素子パッケージ110側)の中央部に発光素子112の光軸LA(光束制御部材120の中心軸CA)と交わるように形成されている。凹部127の内面は、入射面121として機能する。入射面121は、発光素子パッケージ110から出射された光の大部分を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材120の内部に入射させる。入射面121は、光束制御部材120の中心軸CAと交わり、中心軸CAを回転軸として略回転対称(円対称)である。
【0021】
裏面122は、光束制御部材120の裏側に位置し、凹部127の開口縁部から径方向に延在する平面である。裏面122は、発光素子パッケージ110から出射された光のうち、入射面121で入射し、出射面123で反射した光の一部を拡散反射させる。また、裏面122は、光軸LAに対して大きい角度で発光素子パッケージ110から出射された光を拡散反射させる。本発明は、裏面122に特徴を有するため、裏面122の構成については、詳細に後述する。
【0022】
出射面123は、光束制御部材120の表側に、鍔部124から突出するように形成されている。出射面123は、光束制御部材120内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面123は、中心軸CAと交わり、中心軸CAを軸として回転対称(円対称)である。
【0023】
出射面123は、中心軸CAを中心とする所定範囲に位置する第1出射面123aと、第1出射面123aの周囲に連続して形成される第2出射面123bと、第2出射面123bと鍔部124とを接続する第3出射面123cとを有する(
図1参照)。第1出射面123aは、光軸方向に凸の滑らかな曲面である。第1出射面123aの形状は、球面の一部を切り取ったような凹形状である。第2出射面123bは、第1出射面123aの周囲に位置する、光軸方向に凸の滑らかな曲面である。第2出射面123bの形状は、円環状の凸形状である。第3出射面123cは、第2出射面123bの周囲に位置する曲面である。
図1に示される断面において、第3出射面123cの断面は、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
【0024】
次いで、
図3を参照して、裏面122について詳細に説明する。裏面122には、格子状の凸条130と、環状の溝140とが形成されている。
【0025】
図3A、Bに示すように、格子状の凸条130は、凹部127を取り囲むように配置されている。格子の単位構造の平面視形状は、特に限定されない。格子の単位構造の平面視形状の例には、三角形(三方格子)、正方形(正方格子)、六角形(六方格子)などが含まれる。本実施の形態では、格子の単位構造の平面視形状は、正方形(正方格子)である。格子状の凸条130は、複数の第1凸条133と、複数の第2凸条135とを有する。第1凸条133と、第2凸条135とは、同じ形状であるため、ここでは、第1凸条133について説明する。
【0026】
複数の第1凸条133は、裏面122において、それぞれ第1の方向に延在しており、かつ第1の方向に垂直な第2の方向に配列されている。第2の方向において隣接する第1凸条133間の間隔は特に限定されない。本実施の形態では、第2の方向において隣接する第1凸条133は、隙間なく配列されている。第1凸条133の延在する方向に直交する方向の断面形状は、第1凸条133に到達した光を拡散反射させることができれば、特に限定されない。第2の方向における第1凸条133の断面形状の例には、三角形状、頂部にR面取を施した三角形状、半円形状などが含まれる。本実施の形態では、第2の方向における第1凸条133の断面形状は、三角形状である。また、第1凸条133の第1稜線134は、直線である。なお、隣接する第1凸条133で構成される溝部をR形状にしてもよい。
【0027】
複数の第2凸条135は、裏面122において、それぞれ第2の方向に延在しており、かつ第1の方向に配列されている。このように、複数の第1凸条133および複数の第2凸条135は、第1稜線134と第2稜線136とが垂直となるように配置されている。よって、複数の第1凸条133および複数の第2凸条135に囲まれた部分には、複数の四角錐形状の凹部が形成される。
【0028】
格子状の凸条130は、射出成形に使用する金型加工が可能であり、かつ射出成形において当該金型の形状を適切に転写できる範囲で細かいことが好ましい。なお、格子状の凸条130の表面は、適度に粗面化されていることが好ましい。具体的には、JIS B 0601−2001に規定されるRz(最大高さ)が、10μm程度であれば、格子状の凸条130の効果を維持しつつ、適度な拡散効果を有する。このような粗面化の効果を得るためには、Rz(最大高さ)は、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
【0029】
格子状の凸条130が形成されている領域は、特に限定されない。格子状の凸条130は、裏面122の全面に形成されていなくてもよい。格子状の凸条130は、発光素子パッケージ110から光軸LAに対する出射角が大きい光が到達しやすい領域に形成されていればよい。
【0030】
格子状の凸条130の形成方法は、特に限定されない。格子状の凸条130は、光束制御部材120の一部として射出成形により一体成形してもよいし、光束制御部材120を成形した後にローレット加工などにより形成してもよい。
【0031】
環状の溝140は、裏面122において、光軸LAに対し、格子状の凸条130より外側に形成されている。環状の溝140は、入射面121で入射した光の一部であって、出射面123で内部反射し、裏面122に向かう光を側方方向(中心軸CAに対して径方向外側)に反射させる。中心軸CAを含む断面において、環状の溝140は、略V字状である。環状の溝140は、光軸LA(中心軸CA)側に配置された内側傾斜面141と、内側傾斜面141より外側に配置された外側傾斜面142とを有する。
【0032】
内側傾斜面141は、中心軸CA(光軸LA)を取り囲むように配置されている。中心軸CAを含む断面において、内側傾斜面141は、中心軸CAに沿って配置されている。
【0033】
外側傾斜面142には、複数の凸部143が形成されている。複数の凸部143は、それぞれ断面が略三角形状であり、かつ中心軸CAに対して回転対称(凸部143の数をnとしたときn回対称)となるように形成されている。各凸部143は、平面状の第1傾斜面144と、平面状の第2傾斜面145と、第1傾斜面144と第2傾斜面145との交線である第3稜線146とを有しており、全反射プリズムのように機能する。
図1に示されるように、光軸LAおよび第3稜線146を含む光束制御部材120の断面において、光軸LAと、第3稜線146を含む第3仮想直線L3とは、光軸方向について、裏面122に対して外側傾斜面142よりも遠い位置で交わる。すなわち、各凸部143は、裏側(発光素子パッケージ110側)よりも表側の方が中心軸CAに近づくように、中心軸CAに対し所定の角度(例えば60°)で傾斜している。ここで「光軸方向」とは、発光素子112から出射される光の進行方向をいう。
【0034】
前述のとおり、環状の溝140は、出射面123で反射し、裏面122に向かう光を側方方向(中心軸CAに対して径方向外側)に反射させる。このとき、環状の溝140に到達した光は、凸部143の第1傾斜面144および第2傾斜面145で順次反射して、側方方向に向かう光となる。環状の溝140で反射した光は、例えば鍔部124から出射される。
【0035】
環状の溝140の位置は特に限定されないが、出射面123で反射した光が多く到達する領域に形成されていることが好ましい。出射面123で反射した光の到達位置は、出射面123の形状など様々な要因により変化するため、光束制御部材120に応じて適宜設定される。
【0036】
なお、格子状の凸条130と環状の溝140との間に位置する平面状の裏面122の一部と、環状の溝140より径方向外側に位置する平面状の裏面122の他の一部との中心軸CA方向における位置は、特に限定されない。環状の溝140の内側の平面状の裏面122の一部と、環状の溝140の外側の平面状の裏面122の他の一部とは、中心軸CA方向において同じ位置であってもよいし、異なる位置であってもよい。本実施の形態では、これらは、中心軸CA方向において同じ位置(高さ)に配置されている。
【0037】
図4は、発光素子112の外縁を構成する四辺の各一辺と、格子状の凸条130の位置関係を説明するための図である。なお、
図4では、発光素子112、凹部127、第1稜線134および第2稜線136のみを平面視した様子を模式的に示している。
【0038】
図4に示されるように、発光素子パッケージ110および光束制御部材120は、発光素子パッケージ110の外縁を構成する四辺の各一辺と、格子状の凸条130の稜線(第1凸条133の第1稜線134および第2凸条135の第2稜線136)に平行な第1仮想直線L1とのなす角度のうち、小さい角度θ1が鋭角になるように配置されている。本実施の形態では、発光素子パッケージ110の外縁を構成する四辺の各一辺と、第1仮想直線L1とのなす角度のうち、小さい角度θ1が45°となるように、発光素子パッケージ110および光束制御部材120が配置されている。
【0039】
(効果)
以上のように本実施の形態に係る発光装置100は、発光素子パッケージ110の外縁を構成する四辺の各一辺と、格子状の凸条130の稜線(第1凸条133の第1稜線134および第2凸条135の第2稜線136)に平行な第1仮想直線L1とのなす角度のうち、小さい方の角度θ1が鋭角であるため、発光素子パッケージ110および光束制御部材120を近づけて配置する場合であっても、照度ムラの発生を抑制できる(
図17および
図18参照)。
【0040】
(変形例)
なお、
図5に示されるように、光束制御部材120’は、環状の溝140’に複数の凸部143が形成されていなくてもよい。この場合、光束制御部材120’の環状の溝140’は、内側傾斜面141および外側傾斜面142’を有する。内側傾斜面141は、実施の形態1の光束制御部材120の内側傾斜面141と同じである。外側傾斜面142’は、中心軸CA(光軸LA)を取り囲むように配置されている。中心軸CAを含む断面において、光軸LAと外側傾斜面142’の断面を含む仮想直線L2とは、光軸方向について、裏面122に対して外側傾斜面142’よりも遠い位置で交わる。
【0041】
また、
図6Aに示される第1凸条133および第2凸条135の延在方向にそれぞれ垂直な方向における断面形状は、頂部にR面取を施した三角形状であってもよい。この場合においても、
図6Bに示されるように、環状の溝140に複数の凸部143が形成されていなくてもよい。また、特に図示しないが、隣接する2つの第1凸条133および隣接する2つの第2凸条135により形成される四角錐形状の凹部の各辺も、R面取されていてもよい。
【0042】
また、特に図示しないが、裏面122には、格子状の凸条130に代えて格子状の凹条が形成されていてもよい。この場合、格子状の凹条は、複数の第1凹条と、複数の第2凹条とを有する。複数の第1凹条は、それぞれ第1の方向に延在しており、かつ裏面122において、第1の方向に垂直な第2の方向に配列されている。第2の方向における第1凹条の断面形状の例には、三角形状、頂部にR面取を施した三角形状、半円形状などが含まれる。また、第1凹条の谷線は、直線である。複数の第2凹条は、それぞれ第2の方向に延在しており、かつ第1の方向に配列されている。また、第1の方向における第2凹条の断面形状の例には、三角形状、頂部にR面取を施した三角形状、半円形状などが含まれる。また、発光素子パッケージ110の外縁を構成する四辺の各一辺と、格子状の凹条の谷線に平行な第1仮想直線L1とのなす角度のうち、小さい角度が鋭角になるように配置される。
【0043】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る発光装置は、光束制御部材220の裏面222に形成された格子状の凸条230の構成のみが実施の形態1に係る発光装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る発光装置100と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図7は、実施の形態2に係る光束制御部材220の断面図である。
図8Aは、光束制御部材220の底面図であり、
図8Bは、
図8Aに破線で囲まれた領域の拡大図である。なお、
図7では、光束制御部材220について断面を示すハッチングを省略している。
【0045】
図7および
図8A、Bに示されるように、実施の形態2に係る光束制御部材220の裏面222には、格子状の凸条230が形成されている。本実施の形態における格子の単位構造の平面視形状は、三角形(三方格子)である。格子状の凸条230は、複数の第3凸条233と、複数の第4凸条235と、複数の第5凸条237とを有する。なお、第3凸条233、第4凸条235および第5凸条237は、実施の形態1における第1凸条133および第2凸条135と同じ形態である。
【0046】
第3凸条233は、平面視したときに、発光素子112の外縁を構成する四辺の各一辺と平行でなく、当該各一辺に垂直でない方向に延在している。第4凸条235は、裏面222おいて、第3凸条233の延在方向に対して平面方向に60°回転させて配置されている。また、第5凸条237は、裏面222において、さらに同じ平面方向に60°回転させて配置されている。すなわち、第3凸条233の第4稜線234と、第4凸条235の第5稜線236とのなす角度のうち、小さい角度は60°であり、第4凸条の第5稜線236と、第5凸条237の第6稜線238とのなす角度のうち、小さい角度も60°である。よって、第3凸条233、第4凸条235および第5凸条237に囲まれた部分には、三角錐形状の凹部が形成される。
【0047】
図9は、発光素子112の外縁を構成する四辺の各一辺と、格子状の凸条230の位置関係を説明するための図である。なお、
図9では、発光素子112、凹部127、第4稜線234、第5稜線236および第6稜線238のみを平面視した様子を模式的に示している。
【0048】
図9に示されるように、実施の形態2においても、発光素子パッケージ110および光束制御部材220は、発光素子パッケージ110外縁の各一辺と、格子状の凸条230の稜線(第3凸条233の第4稜線234、第4凸条235の第5稜線236および第5凸条237の第6稜線238)に平行な第1仮想直線L1とのなす角度のうち、小さい角度θ1が鋭角になるように配置されている。
【0049】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置200は、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0050】
(変形例)
なお、
図10A、Bに示されるように、光束制御部材220’は、環状の溝140’に複数の凸部143が形成されていなくてもよい。この場合、光束制御部材220’の環状の溝140’は、内側傾斜面141および外側傾斜面142’を有する。内側傾斜面141は、実施の形態2の光束制御部材220の内側傾斜面141と同じである。外側傾斜面142’は、中心軸CA(光軸LA)を取り囲むように配置されている。中心軸CAを含む断面において、光軸LAと外側傾斜面142’の断面を含む仮想直線L2とは、光軸方向について、裏面222に対して外側傾斜面142’よりも遠い位置で交わる。
【0051】
また、
図11Aに示されるように、
図8Bに示した第3凸条233、第4凸条235および第5凸条237の延在方向に垂直な方向における断面形状は、頂部にR面取を施した三角形状であってもよい。また、特に図示しないが、裏面222に平行な三角錐形状の断面において、隣接する側面の断面は、R面取されていてもよい。この場合においても、
図11Bに示されるように、環状の溝140’に複数の凸部143が形成されていなくてもよい。
【0052】
また、特に図示しないが、裏面222には、格子状の凸条230に代えて格子状の凹条が形成されていてもよい。この場合、格子状の凹条は、複数の第1凹条と、複数の第2凹条と、複数の第3凹条とを有する。第3凹条の第4谷線と、第4凹条の第5谷線とのなす角度のうち、小さい角度は60°であり、第4凹条の第5谷線と、第5凹条の第6谷線とのなす角度のうち、小さい角度も60°である。各谷線に直交する方向における第1凹条、第2凹条および第3凹条の断面形状の例には、三角形状、頂部にR面取を施した三角形状、半円形状などが含まれる。また、第1凹条、第2凹条および第3凹条の谷線は、直線である。また、発光素子パッケージ110の外縁を構成する四辺の各一辺と、格子状の凹条の谷線に平行な第1仮想直線L1とのなす角度のうち、小さい角度が鋭角になるように配置されている。
【0053】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る発光装置は、光束制御部材320の裏面322に形成された格子状の凸条330の構成のみが実施の形態1に係る発光装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る発光装置100と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図12は、実施の形態3に係る光束制御部材300の断面図である。
図13Aは、光束制御部材320の底面図であり、
図13Bは、
図13Aに破線で囲まれた領域の拡大図である。なお、
図12では、光束制御部材320について断面を示すハッチングを省略している。
【0055】
図12および
図13A、Bに示されるように、実施の形態3に係る光束制御部材320の裏面322には、格子状の凸条330が形成されている。本実施の形態における格子の単位構造の平面視形状は、略四角形(対向する二辺が直線、他の対向する二辺が円弧)である。格子状の凸条330は、複数の第6凸条(環状凸部)333と、複数の第7凸条(放射状凸条)337とを有する。
【0056】
第6凸条333は、裏面322において、中心軸CAを取り囲むように、かつ同心円状となるように配置された環状の凸部である。第6凸条333は、第1環状面334、第2環状面335および第7稜線336を有する。第1環状面334は、中心軸CA側に配置されている。光軸LAを含む光束制御部材320の断面において、光軸LAと第1環状面334を含む仮想直線とは、光軸方向について、裏面322から離れた位置で交わる。第2環状面335は、第1環状面334の外側に配置されている。光軸LAを含む光束制御部材320の断面において、光軸LAと第2環状面335を含む仮想直線とは、光軸方向と反対側の方向において、裏面322に対して遠い位置で中心軸CA(光軸LA)と交わる。第7稜線336は、第1環状面334および第2環状面335の交線であり、裏面322を含む仮想平面上に配置されている。隣接する第6凸条333は、隙間なく配置されていてもよいし、所定の間隙を有するように配置されていてもよい。本実施の形態では、隣接する第6凸条333は、間隙なく配置されている。
【0057】
第7凸条337は、裏面322において、中心軸CAを中心として放射状に配置されている。第7凸条337の第8稜線338に直交する断面形状は、第7凸条337に到達した光を拡散させることができれば、特に限定されない。第7凸条337の周方向の断面形状の例には、三角形状、頂部にR面取を施した三角形状、半円形状などが含まれる。本実施の形態では、周方向における第7凸条337の断面形状は、三角形状である。また、本実施の形態では、中心軸CA側(凹部137の開口部近傍)の第7凸条337の断面積は、中心軸CAを中心とした径方向外側の第7凸条337の断面積より小さく形成されている。複数の第7凸条337は、同じ形状であってもよいし、それぞれ異なる形状であってもよい。本実施の形態では、複数の第7凸条337は、同じ形状である。第7凸条337の第8稜線338は、直線であり、裏面322を含む仮想平面上に配置されている。
【0058】
第7凸条337の数および配置は、特に限定されない。本実施の形態では、第7凸条337の数は、36個である。また、36個の第7凸条337は、周方向に均等に配置されている。なお、凹部127の開口部近傍における格子状の凸条330の表面におけるRz(最大高さ)は、10μm程度である。
【0059】
図14は、発光素子112の外縁を構成する四辺の各一辺と、格子状の凸条の位置関係を説明するための図である。なお、
図14では、発光素子112、凹部127、第7稜線336および第8稜線338のみを平面視した様子を模式的に示している。
【0060】
図14に示されるように、発光素子パッケージ110および光束制御部材320は、発光素子112の外縁を構成する四辺の各一辺と、格子状の凸条330の稜線(第6凸条333の第7稜線336および第7凸条337の第8稜線338)に平行な第1仮想直線L1とのなす角度のうち、小さい角度θ1が鋭角になるように配置されている。
【0061】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置は、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0062】
(変形例)
なお、
図15A、Bに示されるように、光束制御部材320’は、環状の溝140’に複数の凸部143が形成されていなくてもよい。この場合、光束制御部材320’の環状の溝140’は、内側傾斜面141および外側傾斜面142’を有する。内側傾斜面141は、実施の形態2と同じである。外側傾斜面142’は、中心軸CA(光軸LA)を取り囲むように配置されている。中心軸CAを含む断面において、光軸LA(中心軸CA)と外側傾斜面142’の断面を含む仮想直線L2とは、光軸方向について、外側傾斜面142’よりも遠い位置で交わる。
【0063】
また、
図16Aに示されるように、
図13Bに示した第6凸条333および第7凸条337の延在方向にそれぞれ垂直な方向における断面形状は、頂部にR面取を施した三角形状であってもよい。この場合においても、
図16Bに示されるように、環状の溝140’に複数の凸部143が形成されていなくてもよい。
【0064】
また、特に図示しないが、裏面322には、格子状の凸条330に代えて格子状の凹条が形成されていてもよい。この場合、格子状の凹条は、複数の第6凹条と、複数の第7凹条とを有する。第6凹条は、第1環状面、第2環状面および第7稜線を有していてもよい。第1環状面は、中心軸CA側に配置されている。光軸LAを含む光束制御部材320の断面において、光軸LA(中心軸CA)と第1環状面を含む仮想直線とは、光軸方向について、裏面322に対して出射面123より遠い位置で中心軸CA(光軸LA)と交わる。第2環状面は、第1環状面の外側に配置されている。光軸LAを含む光束制御部材320の断面において、光軸LAと第2環状面を含む仮想直線とは、光軸方向と反対側の方向において、裏面322から離れた位置で交わる。第7稜線336は、第1環状面および第2環状面の交線であり、裏面を含む仮想平面上に配置されている。第7凹条は、裏面において、中心軸CAを中心として放射状に配置されている。第7凸条337の周方向の断面形状は、三角形状であってもよい。また、本実施の形態では、中心軸CA側(凹部137の開口部近傍)の第7凹条の断面積は、中心軸CAを中心とした径方向外側の第7凹条の断面積より小さく形成されている。第7凹条の第8稜線は、直線であり、裏面322を含む仮想平面上に配置されている。
【0065】
[発光装置の照度分布]
次に、本実施の形態1〜3に係る発光装置における配光特性を調べた。具体的には、発光素子パッケージ110の発光面と平行になるように、空気層を介して発光素子パッケージ110上に配置された被照射面における照度を測定した。本測定では、基板150の表面と、被照射面(400mm×400mm)との距離は、19mmであり、光束制御部材の直径は、19mmとした。また、本測定では、発光素子パッケージ110および光束制御部材120、220、320は、それぞれ1個である。また、比較のため、最大高さ(Rz)が60μmであり、かつ発光素子112の外縁を構成する四辺の各一辺と、第1仮想直線L1とのなす角度が90°である光束制御部材420(比較例1の光束制御部材420ともいう)と、最大高さ(Rz)が10μmであり、かつ発光素子112の外縁を構成する四辺の各一辺と、第1仮想直線L1とのなす角度のうち、小さい角度が鋭角である光束制御部材520(比較例2の光束制御部材520ともいう)とについても被照射面における照度を測定した。
【0066】
図17A〜D、
図18A〜Dおよび
図19A、Bは、使用した光束制御部材と、測定結果を示すグラフである。
図17Aは、比較例1に係る光束制御部材420の底面図であり、
図17Bは、比較例2に係る光束制御部材420を用いた場合の測定結果であり、
図17Cは、比較例2に係る光束制御部材520の底面図であり、
図17Dは、比較例2に係る光束制御部材520を用いた場合の測定結果である。
図18Aは、実施の形態1に係る光束制御部材120の底面図であり、
図18Bは、実施の形態1に係る光束制御部材120を用いた場合の測定結果であり、
図18Cは、実施の形態2に係る光束制御部材220の底面図であり、
図18Dは、実施の形態2に係る光束制御部材220を用いた場合の測定結果である。
図19Aは、実施の形態3に係る光束制御部材320の底面図であり、
図19Bは、実施の形態3に係る光束制御部材320を用いた場合の測定結果である。
【0067】
なお、
図17B、
図17D、
図18B、
図18Dに示される照度分布は、被照射面における明暗を強調にするために補正した。ここで、当該補正方法について説明する。補正では、得られたデジタル画像の任意の画素について、当該任意の画素を中心とした所定範囲の画素の明るさの平均値を当該画素の明るさとした。当補正をデジタル画像のすべての画素に対して行った。このように、この補正を全ての画素に対し行うことで、デジタル画像の明暗をより明確にすることができる。
【0068】
図17A〜Dに示されるように、発光素子パッケージ110の外縁を構成する四辺の各一辺と、裏面122に形成された格子状の凸条の稜線に平行な仮想直線とのなす角度が平行であるか直交する比較例1、2に係る光束制御部材420、520を有する発光装置では、照度ムラが生じていた。特に、
図17Bに示されるように、
図17Aに示される比較例1に係る光束制御部材420を有する発光装置では、発光面の中心(
図19Bの中央部分)から40mm程度の位置に花弁様の照度ムラが生じていた。
【0069】
一方、
図18A〜Dおよび
図19A、Bに示されるように、発光素子パッケージ110の外縁を構成する四辺の各一辺と、裏面122、222、322に形成された格子状の凸条130、230、330の稜線に平行な仮想直線とのなす角度のうち、小さい角度が鋭角の実施の形態1〜3に係る光束制御部材120、220、320を有する発光装置では、照度ムラが抑制されていた。
【0070】
以上のように、実施の形態1〜3に係る光束制御部材120、220、320は、比較例1の光束制御部材420と比較して第1凸条133および第2凸条135(四角錐の凹部)が小さいため、比較例1の光束制御部材420における花弁様の照度ムラを発生させる光が生じにくい。また、実施の形態1〜3に係る光束制御部材120、220、320は、発光素子パッケージ110の外縁を構成する四辺の各一辺と、仮想直線とのなす角度のうち、小さい角度が鋭角になるように配置されているため、比較例1の光束制御部材420における花弁様の照度ムラを発生させる光が生じても、当該花弁様の照度ムラとなることがない。なお、光束制御部材内を伝播する光が到達し得る傾斜面を小さくできるため、格子状の凹条よりも格子状の凸条の方が内部反射を抑制でき、花弁様の照度ムラを発生させる光をより生じにくくすることができる。