【実施例】
【0009】
<1>前提条件。
H鋼など天井の梁に、折板屋根を取り付ける場合に、梁と折板屋根を直接ボルト固定するのではなく、
図4に示すように、梁aの上にタイトフレームbと称する凹凸が連続した帯板を溶接して、その上に折板屋根を取り付ける方法が一般である。
しかし本発明は
図1に示すように、タイトフレーム1を梁2に直接溶接するのではなく、梁2の上に梁2の長手方向に平行して断面が矩形の取付桁3を固定し、その取付桁3の上面にタイトフレーム1を溶接する構造を対象とするものであり、その際に使用する養生装置である。
取付桁3は鋼製の断面矩形の部材であるから、その上面には溶接面31を、両側には立面32を備えている。
一方梁2は、例えば断面がH字状の鋼材であり、その平滑な上面を、本発明の容器4の走行面21として使用する。
【0010】
<2>容器。
本発明の養生装置は、容器4と各種の車輪51、52、53とによって構成する。
容器4は、梁2の上に搭載して梁2の上面である走行面21を移動できる鋼製の箱体である。
その容器4は、底板41と両側の壁板43と一方の妻板42で構成し、上面と他方の妻板部分は開放して構成する。
底板41には、取付桁3が露出できる開口部44を備える。
したがって開口部44の幅は取付桁3の幅とほぼ等しく、長さは底板41の全長にわたって開口する。
容器4の一方に設けた妻板42は、その下部に取付桁3の断面とほぼ等しい切欠き45を形成し、取付桁3の上からかぶせることができるように構成する。
また、容器4の一方と対峙する妻側は、開放してあるが、底板41に設けた開口部44の幅を一定に保つために、両側の壁板43どうしを繋ぐ間隔保持材46を設ける。
【0011】
<3>車輪。
容器4の移動のために、容器4には3種類の車輪を取り付ける。
すなわち、底板41の下面には、梁2上面の走行面21を走行する梁上車輪51を、水平軸で取り付ける。
また底板41の下面には、取付桁3の側面である立面32を走行する側面車輪52を、鉛直軸で取り付ける。
また妻板42の外側には、取付桁3の上の溶接面31を走行する桁上車輪53を、水平軸で取り付ける。
各種の車輪は2組以上を設け、梁上車輪51では梁2上の走行面21を、桁上車輪53では取付桁3の溶接面31を走行して容器4の移動を行う。
さらに側面車輪52が、取付桁3の両側の立面32を滑動することで、容器4の走行方向を案内することができる。
【0012】
<4>養生方法。
前記の装置を使用して、容器4の底板41の開口部44から露出した取付桁3の溶接面31にタイトフレーム1を溶接するに際して発生する溶接火花養生をする方法を説明する。
梁上車輪51と、桁上車輪53を利用して、容器4を梁2の軸方向に移動させる。
この移動は、容器4が軽量であるから、作業員の人力によっても容易に行うことができる。
溶接個所を容器4の妻板42の近くに位置させて、開口部44から露出した取付桁3の溶接面31にタイトフレーム1を溶接する。
溶接の火花は、妻板42と両側の壁板43の上に飛散するだけで、その外部へ飛散することがなく、十分に養生をすることができる。
開口部44に露出する取付桁3に一定の距離だけタイトフレーム1の溶接が終わったら、再度容器4の側面車輪52で走行する方向を案内させつつ、梁上車輪51、桁上車輪53で梁2と取付桁3の上を走行させて次の溶接範囲に至る。