(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2ジェットエア噴出部は、前記薬液噴霧口が中央に配置され、かつ前記薬液噴霧口の周囲に円弧状のスリットが形成された固定板と、前記薬液噴霧口の軸心回りに回転可能であり、かつ前記エア噴出口が形成された可動板と、を有し、前記可動板を回転させると、前記エア噴出口の位置が前記軸心回りに移動する、請求項1に記載のエアシャワー装置。
前記可動板の中央から前記薬液噴霧口が薬液噴霧方向に突出し、前記可動板には、前記薬液噴霧口に対して前記エア噴出口とは反対側に位置する円弧状の案内溝が形成され、前記案内溝と、前記案内溝に挿通された前記可動板を前記固定板に支持するための可動板締結部材と、によって、前記可動板の回転角度範囲が規制される、請求項2に記載のエアシャワー装置。
前記筐体は、前記送風手段を収容する主筐体と、前記主筐体に向かい合って配置された副筐体と、前記主筐体および前記副筐体のそれぞれの上端を覆う上部筐体と、を含み、前記主筐体と、前記副筐体と、前記上部筐体と、前記主筐体と前記副筐体との間に配置された一対の扉と、によって、外部から閉鎖されたエアシャワー室が構成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のエアシャワー装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1〜
図10に基づき、本発明の第1実施形態にかかるエアシャワー装置A10について説明する。これらの図に示すエアシャワー装置A10は、ジェットエアにより人の身体や衣服などに付着した塵埃などを除去する機能に加え、除菌などの効果がある微粒子状の薬液を衣服などに噴霧する機能を有するものである。本実施形態にかかるエアシャワー装置A10は、筐体10、送風手段11、薬液供給ユニット12、制御盤13、複数のジェットエア噴出部2および一対の扉4を備えている。
【0017】
図1は、エアシャワー装置A10の平面図である。
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図である。
図3は、
図1のIII−III線に沿う断面図である。
図4は、エアシャワー装置A10の背面図である。
図5は、エアシャワー装置A10のパンカーパネル104の正面図である。
図6、
図9および
図10は、エアシャワー装置A10の第2ジェットエア噴出部30の正面図である。
図7は、
図6に示す第2ジェットエア噴出部30から後述する薬液噴霧口31および可動板34を取り外した図である。
図8は、
図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0018】
筐体10は、
図1〜
図4に示すように、エアシャワー装置A10の本体の骨格をなし、かつ一対の扉4とともにエアシャワー室ASRを構成している。筐体10は、主筐体101、副筐体102および上部筐体103を含む。本実施形態にかかる筐体10は、加工成形した鋼板からなる。
【0019】
主筐体101は、
図1、
図3および
図4に示すように、鉛直方向に沿って配置された部材であり、エアシャワー室ASRの一方の側部を構成している。主筐体101の内部は中空であり、該内部に送風手段11を収容している。エアシャワー室ASRに面した主筐体101の中央部に、主筐体101の表面の一部をなす部材であるパンカーパネル104が配置されている。
【0020】
副筐体102は、
図1、
図2および
図4に示すように、鉛直方向に沿って、かつ主筐体101に向かい合って配置された部材であり、エアシャワー室ASRの他方の側部を構成している。副筐体102の内部は中空である。エアシャワー室ASRに面した副筐体102の中央部に、副筐体102の表面の一部をなす部材であるパンカーパネル104が配置されている。
【0021】
上部筐体103は、
図1〜
図4に示すように、水平方向に沿って配置され、かつ主筐体101および副筐体102のそれぞれの上端を覆う部材であり、エアシャワー室ASRの天井部を構成している。上部筐体103の内部は中空であり、本実施形態においては、エアシャワー室ASRに面した上部筐体103の表面には、2つのジェットエア噴出部2(後述する第1ジェットエア噴出部20)が互いに離間して配置されている。筐体10においては、主筐体101、副筐体102および上部筐体103のそれぞれの内部が相互につながっている。なお、エアシャワー室ASRに面した上部筐体103には、照明装置が配置されていてもよい。
【0022】
パンカーパネル104は、
図2および
図3に示すように、エアシャワー室ASR内において、相互に向かい合って主筐体101および副筐体102のそれぞれに配置されている。パンカーパネル104は、たとえば加工成形された鋼板からなる。
図5に示すように、それぞれのパンカーパネル104には、互いに離間して形成された複数の開口部104aを有する。本実施形態にかかる複数の開口部104aは、いずれも円形状で、かつ直径が等しい。また、エアシャワー室ASRに面した主筐体101および副筐体102の表面には、
図2および
図3に示すように、複数の開口部104aを塞ぐように、複数のジェットエア噴出部2がそれぞれのパンカーパネル104に配置されている。複数のジェットエア噴出部2は、第1ジェットエア噴出部20および第2ジェットエア噴出部30が含まれるが、これらについては後に詳述する。
【0023】
送風手段11は、プレフィルタ111、送風機112およびメインフィルタ113を有する。プレフィルタ111は、
図3に示すように、エアシャワー室ASRに面し、かつパンカーパネル104よりも下方に位置するように主筐体101内に配置されたフィルタである。送風機112は、
図4に示すように、主筐体101内の下方に配置された、空気圧縮機能を備えた電動送風機である。メインフィルタ113は、
図1および
図4に示すように、主筐体101内の中央に配置された、プレフィルタ111よりも空気を高度に浄化するフィルタである。メインフィルタ113は、たとえばHEPAフィルタである。
【0024】
先述したとおり筐体10においては、主筐体101、副筐体102および上部筐体103のそれぞれの内部が相互につながっていることから、筐体10の内部は送風手段11によって空気が流通するダクトとなっている。送風機112が駆動すると、エアシャワー室ASR内の空気がプレフィルタ111に取り込まれ、送風機112およびメインフィルタ113を介して筐体10の内部全体を流通する。筐体10の内部を流通した空気は、複数のジェットエア噴出部2に供給される。そして、複数のジェットエア噴出部2からエアシャワー室ASR内に空気が噴出される。ゆえに、送風手段11は、エアシャワー装置A10における強制空気循環手段である。
【0025】
薬液供給ユニット12は、
図3に示すように、前室側DRの主筐体101の下方に露出して設けられている。薬液供給ユニット12は、薬液タンク121および薬液ポンプ122を有する。薬液タンク121は、エアシャワー室ASR内に噴霧される薬液を貯留する容器である。前記薬液は、除菌・消臭成分を含有する溶液であり、たとえば弱酸性を呈する次亜塩素酸水溶液である。薬液タンク121に貯留された前記薬液は、薬液ホース(図示略)を介して薬液ポンプ122へ流下する。本実施形態にかかる薬液ポンプ122は、高圧電動ポンプである。薬液ポンプ122から吐出された前記薬液は、筐体10に配置された薬液ホース(図示略)および
図8に示す薬液ホース36を介して、後述する第2ジェットエア噴出部30の薬液噴霧口31に供給される。
【0026】
制御盤13は、
図1および
図4に示すように、前室側DRの主筐体101の上方に露出して設けられた、エアシャワー装置A10の運転を制御するための各種スイッチや制御回路などを備えた箱形の部分である。複数のジェットエア噴出部2に供給される空気量や、後述する第2ジェットエア噴出部30の薬液噴霧口31に供給される薬液の圧力は、制御盤13によって制御される。また、本実施形態にかかるエアシャワー装置A10は、タイマによる運転時間制御方式を採り、送風機112および薬液ポンプ122の駆動時間も制御盤13によって制御される。
【0027】
第1ジェットエア噴出部20は、
図1〜
図3に示すように、エアシャワー室ASRに面した筐体10の表面に配置された複数のジェットエア噴出部2に含まれる部材である。第1ジェットエア噴出部20は、送風手段11から供給された空気をエアシャワー室ASR内に噴出するジェットエアノズルである。本実施形態にかかる第1ジェットエア噴出部20は、中央に円形状の開口を有した、いわゆるパンカールーバである。前記開口から、エア噴出方向Aに向かって空気が噴出される。また、本実施形態においては、第1ジェットエア噴出部20は、上部筐体103の表面と、それぞれのパンカーパネル104から複数選択された開口部104aとに複数配置されている。
【0028】
第2ジェットエア噴出部30は、
図2および
図3に示すように、第1ジェットエア噴出部20と同じく、エアシャワー室ASRに面した筐体10に配置された複数のジェットエア噴出部2に含まれる部材である。第2ジェットエア噴出部30は、薬液噴霧口31、エア噴出口32、固定板33、可動板34、電磁バルブ35、薬液ホース36、第1継手371および第2継手372を有する。本実施形態においては、第2ジェットエア噴出部30は、それぞれのパンカーパネル104から1つ選択された開口部104aに配置されている。なお、第2ジェットエア噴出部30は、1つのパンカーパネル104から複数選択した開口部104aや上部筐体103の表面に複数配置されていてもよい。
【0029】
薬液噴霧口31は、
図2、
図3および
図6に示すように、薬液供給ユニット12から供給された薬液を微粒子状にして、エアシャワー室ASR内に噴霧する部分である。薬液噴霧口31の中心から、
図1に示す薬液噴霧方向Mに向かって微粒子状の前記薬液が噴霧される。
図6および
図8に示すように、薬液噴霧口31は固定板33の中央に配置されている。また、固定板33の中央には固定板挿通孔331が形成され、主筐体101または副筐体102の内部に面した固定板33の中央部には円筒状のボス部336が形成されている。固定板挿通孔331およびボス部336は相互に連通している。薬液噴霧口31の首下部を、固定板挿通孔331側からボス部336に嵌合または螺合させることによって、薬液噴霧口31が固定板33に配置される。
【0030】
エア噴出口32は、
図2、
図3および
図6に示すように、薬液噴霧口31の周囲の一部を円弧状に取り囲み、かつ送風手段11から供給された空気をエアシャワー室ASRへ噴出する部分である。本実施形態にかかるエア噴出口32は、可動板34に形成された部分であり、かつエア噴出口32の形状は貫通溝である。エア噴出口32から、第1ジェットエア噴出部20と同様に、
図1に示すエア噴出方向Aに向かって空気が噴出される。
【0031】
固定板33は、
図6および
図7に示すように、ねじおよびナットやリベットなどから構成された固定板締結部材335によってパンカーパネル104に固定された円形状の部材である。本実施形態にかかる固定板33は、鋼板からなる。本実施形態にかかる固定板33には、先述した固定板挿通孔331およびボス部336に加え、スリット332、一対の可動板第1締結孔333および可動板第2締結孔334が形成されている。
【0032】
スリット332は、
図6および
図7に示すように、薬液噴霧口31の周囲に形成された円弧状の貫通溝である。本実施形態にかかるスリット332は、固定板挿通孔331を挟んだ
図7に示す上下両側に形成されている。
図8に示すように、第2ジェットエア噴出部30において、エア噴出口32とスリット332とが重なった部分から空気がエアシャワー室ASR内に噴出する。また、本実施形態においては、スリット332の固定板挿通孔331の中心からの半径は、エア噴出口32の固定板挿通孔331の中心からの半径に等しい。
【0033】
一対の可動板第1締結孔333および一対の可動板第2締結孔334は、
図7に示すように、ともに固定板33を貫通し、かつ可動板34を固定板33に支持する際に利用される孔である。一対の可動板第1締結孔333および一対の可動板第2締結孔334は、固定板挿通孔331を挟んだ
図7に示す左右両側に形成されている。本実施形態においては、一対の可動板第1締結孔333および一対の可動板第2締結孔334の直径はいずれも等しく、かつ固定板挿通孔331の直径よりも小とされている。また、固定板挿通孔331、一対の可動板第1締結孔333および一対の可動板第2締結孔334の中心は、いずれも直線N上に位置している。一対の可動板第1締結孔333および一対の可動板第2締結孔334のうち、一方の可動板第1締結孔333および可動板第2締結孔334は、それぞれ固定板33の周方向において一対のスリット332に挟まれている。この場合において、一対の可動板第1締結孔333の中心間距離は、一対の可動板第2締結孔334の中心間距離に等しい。
【0034】
可動板34は、
図6および
図8に示すように、中央に形成された可動板挿通孔341に薬液噴霧口31が貫通し、かつ固定板33に重なって取り付けられた円形状の部材である。したがって、可動板34の中央から薬液噴霧口31が薬液噴霧方向Mに突出している。本実施形態にかかる可動板34は、固定板33と同じく鋼板からなる。本実施形態においては、可動板34の直径は固定板33の直径よりも小であり、かつ可動板34の直径はパンカーパネル104の開口部104aの直径と略同一である。可動板挿通孔341の中心は固定板挿通孔331の中心に等しく、双方の中心は薬液噴霧口31の同一軸心上に位置している。可動板34には、エア噴出口32および可動板挿通孔341に加えて、薬液噴霧口31に対してエア噴出口32とは反対側に位置する円弧状の案内溝342が形成されている。エア噴出口32および案内溝342は、可動板挿通孔341の中心からの半径がそれぞれ一定であり、案内溝342の半径はエア噴出口32の半径よりも小である。本実施形態においては、エア噴出口32および案内溝342の中心角は、ともに120°である。また、エア噴出口32および案内溝342には、それぞれ可動板締結部材343が挿通され、可動板締結部材343によって可動板34は固定板33に支持される。本実施形態にかかる可動板締結部材343は、ねじおよびナットから構成されている。
【0035】
可動板34の固定板33への支持は、
図6に示すように、可動板挿通孔341に薬液噴霧口31を挿通させた後に、エア噴出口32および案内溝342にそれぞれ可動板締結部材343を挿通させ、さらに一対の可動板第1締結孔333にそれぞれ可動板締結部材343を挿通させて締結することによって行われる。この場合において、可動板締結部材343をそれぞれ緩めると、可動板34は薬液噴霧口31の軸心回りに回転可能となり、可動板34を回転させるとエア噴出口32の位置が前記軸心回りに移動する。このとき、案内溝342および可動板締結部材343によって、可動板34の回転角度範囲が規制される。回転角度範囲が規制されることによって、可動板34は
図6に示す回転角αの範囲内で回転することが可能である。本実施形態にかかる回転角αは120°である。
図9は、
図6に示す状態から可動板34を薬液噴霧口31側から視て、薬液噴霧口31の軸心回りに左に60°回転させたときの状態を示している。
図9に示すように、エア噴出口32はスリット332に沿って移動する。
【0036】
図10は、
図6に示す可動板34の支持状態に対して、可動板34を薬液噴霧口31の軸心回りに180°回転させて、可動板34を固定板33に支持させたときの状態を示している。このとき、一対の可動板第2締結孔334にそれぞれ可動板締結部材343それぞれ挿通させて締結することによって、可動板34が固定板33に支持される。この場合においても、可動板締結部材343をそれぞれ緩めることによって、可動板34は薬液噴霧口31の軸心回りに回転可能となり、可動板34を回転させるとエア噴出口32の位置が前記軸心回りに移動する。このとき、案内溝342および可動板締結部材343によって、可動板34の回転角度範囲が規制され、可動板34は
図9に示す回転角αの範囲内で回転することが可能である。この場合の回転角αは、
図6に示す状態と同じく120°である。このように、本実施形態においては、可動板34を固定板33に支持する際に、一対の可動板第1締結孔333または一対の可動板第2締結孔334を選択して利用することによって、エア噴出口32の位置を薬液噴霧口31の軸心回りに自在に移動させることができる。したがって、
図2および
図3に示すように、エア噴出口32の位置が薬液噴霧口31に対してパンカーパネル104の中央とは反対側となるように、それぞれ調整することができる。
【0037】
電磁バルブ35は、
図8に示すように、薬液噴霧口31から噴霧される薬液の流通経路を開閉する弁である。電磁バルブ35は、主筐体101または副筐体102の内部に収容されている。電磁バルブ35の内部にはソレノイドコイルが形成され、導通ケーブル351への通電によって前記弁が開閉する。導通ケーブル351への通電は、制御盤13によって制御される。電磁バルブ35は、ニップルである第1継手371を介してボス部336に接続されることによって、電磁バルブ35から薬液噴霧口31へ至るまでの前記薬液の流通経路が形成される。
【0038】
薬液ホース36は、薬液ポンプ122から吐出された薬液の流通経路を構成している。薬液ホース36は、電磁バルブ35と同じく、主筐体101または副筐体102の内部に収容されている。薬液ホース36は、エルボである第2継手372を介して電磁バルブ35に接続されている。
【0039】
一対の扉4は、
図1および
図4に示すように、前室側DRまたはクリーンルーム側CRに面した主筐体101と副筐体102との間にそれぞれ配置されている。本実施形態においては、主筐体101、副筐体102および上部筐体103を含む筐体10と、一対の扉4とによって、外部から閉鎖されたエアシャワー室ASRが構成されている。
【0040】
次に、エアシャワー装置A10の運転形態について説明する。最初に、吹き付け対象8である人は、前室側DRに取り付けられた扉4を開けてエアシャワー室ASR内に入室する。本実施形態においては、扉4を閉じたときにエアシャワー装置A10の運転が開始され、送風機112が駆動する。送風機112が駆動することによって、第1ジェットエア噴出部20およびエア噴出口32からエアシャワー室ASR内に空気が噴出される。送風機112が駆動してから一定時間経過後、薬液ポンプ122が駆動し、かつ電磁バルブ35の弁が開くことによって、薬液噴霧口31から薬液が噴霧される。薬液が一定時間噴霧された後、電磁バルブ35の弁が閉じ、かつ薬液ポンプ122が停止することにより薬液の噴霧が終了する。さらに一定時間経過後、送風機112が停止してエアシャワー装置A10の運転が終了する。最後に、吹き付け対象8は、クリーンルーム側CRに取り付けられた扉4を開けてエアシャワー室ASR内から退室する。
【0041】
次に、エアシャワー装置A10の作用効果について説明する。
【0042】
本実施形態にかかる微粒子状の薬液が噴霧される第2ジェットエア噴出部30は、薬液噴霧口31の周囲の一部を円弧状に取り囲み、かつ送風手段11から供給された空気を噴出するエア噴出口32を有する。このような構成とすることによって、薬液噴霧口31から噴霧された薬液が全周方向に拡散しようとすると、拡散方向の一部がエア噴出口32から噴出された空気の流束により規制される。また、エア噴出口32は、
図6に示すように、薬液噴霧口31を取り囲む可動板34の一部に形成された貫通溝であり、比較的簡易な構造である。したがって、比較的簡易な構造によって、薬液噴霧口31から噴霧された薬液の拡散を規制することが可能となる。
【0043】
また、第2ジェットエア噴出部30は、薬液噴霧口31が中央に配置され、かつ薬液噴霧口31の周囲に円弧状のスリット332が形成された固定板33と、薬液噴霧口31の軸心回りに回転可能であり、かつエア噴出口32が形成された可動板34とを有している。このような構成とすることによって、可動板34を回転させると、エア噴出口32の位置が前記軸心回りに移動する。したがって、薬液噴霧口31から噴霧された薬液の拡散を規制する方向を自在に調整することができる。
【0044】
可動板34の中央から薬液噴霧口31が薬液噴霧方向Mに突出し、可動板34には、薬液噴霧口31に対してエア噴出口32とは反対側に位置する円弧状の案内溝342が形成され、案内溝342と、案内溝342に挿通された可動板34を固定板33に支持するための可動板締結部材343とによって、可動板34の回転角度範囲が規制される。このような構成とすることによって、可動板34の中心に薬液噴霧口31が貫通されていても、可動板34を固定板33に支持し、かつエア噴出口32の位置を薬液噴霧口31の軸心回りに移動させることができる。
【0045】
エアシャワー装置A10においては、主筐体101、副筐体102および上部筐体103を含む筐体10と、主筐体101と副筐体102との間に配置された一対の扉4とによって、外部から閉鎖されたエアシャワー室ASRが構成されている。このような構成をとることによって、第1ジェットエア噴出部20から噴出された空気と、第2ジェットエア噴出部30から噴霧された薬液との混和がより促進されて、吹き付け対象8である人および衣服の全体にわたる除菌効果の向上を図ることができる。また、塵埃が混入した空気の流出を防止することができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
図11〜
図14に基づき、本発明の第2実施形態にかかるエアシャワー装置A20について説明する。
図11、
図13および
図14は、エアシャワー装置A20の第2ジェットエア噴出部30の正面図である。
図12は、
図11の部分断面図である。なお、これらの図において、先述したエアシャワー装置A20と同一、または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0047】
本実施形態のエアシャワー装置A20は、先述したエアシャワー装置A10に対して、第2ジェットエア噴出部30の固定板33および可動板34の構成が異なる。
【0048】
本実施形態にかかる固定板33には、
図11に示すように、一対の可動板第1締結孔333および一対の可動板第2締結孔334の代わりに、一対の可動板第3締結孔337が形成されている。一対の可動板第3締結孔337は、一対の可動板第1締結孔333および一対の可動板第2締結孔334と同様に、固定板33を貫通し、かつ可動板34を固定板33に支持する際に利用される孔である。一対の可動板第3締結孔337は、
図7に示す固定板33の周方向において、一対のスリット332に挟まれていない可動板第1締結孔333および可動板第2締結孔334と同一位置に形成されている。一対の可動板第3締結孔337の直径は、一対の可動板第1締結孔333および一対の可動板第2締結孔334に等しい。また、固定板挿通孔331の中心から一方の可動板第3締結孔337までの距離は、固定板挿通孔331の中心から他方の可動板第3締結孔337までの距離に等しい。なお、本実施形態にかかる固定板33に形成された、固定板挿通孔331、スリット332、固定板締結部材335およびボス部336のそれぞれの構成については、いずれも先述したエアシャワー装置A10の固定板33の構成と同一である。
【0049】
本実施形態にかかる可動板34は、エア噴出口32および案内溝342の構成が、先述したエアシャワー装置A10の可動板34の構成と異なる。本実施形態にかかるエア噴出口32の形状は、
図11および
図12に示すように、互いに離間し、かつ薬液噴霧方向Mに突出した円筒突起である。前記円筒突起部の中央は可動板34を含めて貫通し、前記円筒突起はスリット332に沿って形成されている。本実施形態においては、前記円筒突起の高さは、可動板34の板厚に等しい。前記円筒突起は、たとえば冷間塑性加工により可動板34を押し出すことで形成される。
【0050】
本実施形態にかかる案内溝342は、
図11に示すように、可動板挿通孔341とエア噴出口32との間に位置する可動板34の部分においても形成されている。よって、案内溝342は、可動板挿通孔341を挟んだ両側に一対形成されている。一対の案内溝342は、可動板挿通孔341の中心からの半径がともに同一であり、かつ中心角がともに120°である。また、可動板締結部材343は、一対の案内溝342のそれぞれに挿通されている。
【0051】
本実施形態にかかる可動板34の固定板33への支持は、
図11に示すように、可動板挿通孔341に薬液噴霧口31を挿通させた後に、一対の案内溝342にそれぞれ可動板締結部材343を挿通させ、さらに一対の可動板第3締結孔337にそれぞれ可動板締結部材343を挿通させて締結することによって行われる。この場合において、可動板締結部材343をそれぞれ緩めると、可動板34は薬液噴霧口31の軸心回りに回転可能となり、可動板34を回転させるとエア噴出口32の位置が前記軸心回りに移動する。このとき、一対の案内溝342および可動板締結部材343によって、可動板34の回転角度範囲が規制される。回転角度範囲が規制されることによって、可動板34は
図11に示す回転角αの範囲内で回転することが可能である。本実施形態にかかる回転角αは120°である。
図13は、
図11に示す状態から可動板34を薬液噴霧口31側から視て、薬液噴霧口31の軸心回りに左に60°回転させたときの状態を示している。
図13に示すように、エア噴出口32はスリット332に沿って移動する。
【0052】
図14は、
図10と同様に、
図11に示す可動板34の支持状態に対して、可動板34を薬液噴霧口31の軸心回りに180°回転させて、可動板締結部材343によって
図11と同じく可動板34を固定板33に支持させたときの状態を示している。この場合においても、可動板締結部材343をそれぞれ緩めることによって、可動板34は薬液噴霧口31の軸心回りに回転可能となり、可動板34を回転させるとエア噴出口32の位置が前記軸心回りに移動する。このとき、一対の案内溝342および可動板締結部材343によって、可動板34の回転角度範囲が規制され、可動板34は
図14に示す回転角αの範囲内で回転することが可能である。この場合の回転角αは、
図11に示す状態と同じく120°である。したがって、本実施形態においても、エア噴出口32の位置を薬液噴霧口31の軸心回りに自在に移動させることができる。
【0053】
本実施形態においても、薬液噴霧口31から噴霧された薬液が全周方向に拡散しようとすると、拡散方向の一部がエア噴出口32から噴出された空気の流束により規制される。また、エア噴出口32は、
図11および
図12に示すように、薬液噴霧口31を取り囲む可動板34の一部に形成された複数の円筒突起であり、比較的簡易な構造である。したがって、比較的簡易な構造によって、薬液噴霧口31から噴霧された薬液の拡散を規制することが可能となる。
【0054】
エア噴出口32の形状を、互いに離間し、かつ薬液噴霧方向Mに突出した複数の円筒突起とすることによって、エア噴出口32から噴出された空気の流束が密となる。よって、薬液噴霧口31から噴霧された薬液の拡散を規制する効果が、エアシャワー装置A10よりも大きくなる。
【0055】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。