(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記直交内部調整回路は、前記信号の前記中心周波数のウエーブサイクルの約1/4だけ分離したデジタル化点から2つの複素数を提供するように構成されている、請求項1に記載のFPGA回路。
前記トランスデューサ要素のアレイは、圧電トランスデューサ、圧電微細加工超音波トランスデューサ(PMUT)装置、容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)装置および光コヒーレンストモグラフィー(OCT)装置からなる群から選択された一つを備えている、請求項7に記載のシステム。
第1サブセットデータ点および第2サブセットデータ点をインターリーブすることは、事前に選択された位相により前記第2サブセットデータ点から分離した前記第1サブセットデータ点を選択することを含む、請求項12に記載の方法。
トランスデューサ間の選択された位相角により分離された前記複数のトランスデューサからの信号を収集することによりフレーバーを選択することをさらに含んでいる、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理を理解しやすくする目的で、図面に示した実施態様に言及し、特定の用語を用いて具体的に説明する。しかしながら、それらは本開示の範囲を限定するものではない。記載の装置、システムおよび方法に対するいずれの変更およびさらなる修正、ならびに本開示の原理のさらなる応用は、開示に関係する当業者により通常おこなわれているように、十分に想定され、本開示内に含まれる。特に、1つの実施態様に関して説明される特徴、構成要素および/または工程は、本開示の他の実施態様に関して説明される特徴、構成要素および/または工程と組み合わせることができる。しかしながら、簡潔とするために、これらの組み合わせの非常に多くの重複するところは、別個には説明しない。
【0012】
本明細書に開示されている実施態様によるIVUSソリッドステートカテーテルにおいて、複数の超音波トランスデューサが検出ヘッド付近に位置する。本明細書で開示されているソリッドステートカテーテルまたはソリッドステート患者インターフェースモジュール(PIM)は、撮像を容易にするためにトランスデューサを物理的に回転することを必要としないカテーテルまたはPIMとして理解される。さらに、ある実施態様によれば、ソリッドステートカテーテルまたはソリッドステートPIMなどのソリッドステートコンポーネントは、互いに独立して分離または交換できる部品のない、シングルピース製コンポーネントを備えていてもよい。検出ヘッドを、可撓性ドライブシャフトの先端付近のカテーテルの遠位端に配置する。ある実施態様によれば、ドライブシャフトは、意図する血管に挿入されるプラスチックシース内部に位置してもよい。プラスチックシースは、血管組織をカテーテル内のワイヤから保護し、超音波信号が自由に検出ヘッドから組織内に伝搬し、戻ることを可能とする。互いに隣接する超音波トランスデューサ群は、トランスデューサを互いに固定位相で刺激したときに合成開口を形成してもよい。合成開口は、検出ヘッドの側部に位置し、カテーテルの長尺軸から半径方向に外側に向いている。トランスデューサは、異なる焦点深度を有する超音波ビーム群を照射した各点での種々の組織構造から反射した戻りエコーを聞き取る。これにより、IVUS像におけるAスキャンが形成される。隣接するトランスデューサまたは開口群を順次選択することにより、検出ヘッドの全周をカバーして、カテーテル周囲のAスキャンを収集してもよい。したがって、方位方向において約360°検出ヘッドを包囲する血管組織をカバーする2D画像(Bスキャン)を、Aスキャンの収集から形成してもよい。
【0013】
Aスキャンにより、検出ヘッドの中心にある放射状線に沿った血管組織の一次元(1D)情報が得られる。最深焦点距離が検出ヘッドにおける合成開口により可能である限り、Aスキャンは検出素子から血管組織に延びる。IVUS撮像システムは、検出ヘッドの周囲の一連の数百または数千のAスキャンラインから、血管断面の二次元表示させる。画像を正確なものとするために、カテーテルの長尺軸から半径方向に延びている複数のAラインスキャンを使用して、連続2D表示をアセンブルする。これには、複雑なハードウエア管理が必要であり、データ処理速度およびバンド幅要件について大きな負担となる。例えば、ある実施態様によれば、512または1024以下のAスキャンを、血管組織のスムーズな2D画像を形成するために、検出ヘッドの周囲付近に使用してもよい。本明細書に開示されている画像再構成システムの実施態様によれば、減少したAスキャン数を使用して正確なIVUS画像を得てもよい。
【0014】
本明細書と一致するある実施態様によれば、ソリッドステートIVUSカテーテルから画像を生成するのに使用される合成開口再構成システムの構成が提供される。この構成によれば、効率的な画像再構成アルゴリズムが得られ、画像品質を犠牲にすることなくハードウエアの複雑性を減少できる。一般的に、本明細書に開示されている回路構成およびシステムは、「画像再構成」システムと称することができる。本明細書で開示されている画像再構成システムの複雑性の減少(および電力損)は、電流データ処理構成と比較して、16倍以上であることができる。この複雑性の減少により、画像再構成システムを本明細書で開示されているソリッドステートPIM内に配置するなどのシステム分割についての新たな可能性が高まる。
【0015】
図1は、本開示の実施態様によるIVUS撮像システム100を示す。ある実施態様によれば、IVUS撮像システム100は、複数の超音波トランスデューサを有する検出ヘッド150を備えた撮像システムである。検出ヘッド150における複数の超音波トランスデューサは、カテーテル102の長尺軸(
図1におけるZ軸)に集中して周囲に沿って配置されたトランスデューサ要素(例えば、16、32、64、96、128または他の好適な数)のアレイを形成してもよい。ある実施態様によれば、IVUS撮像システムは、ソリッドステートIVUSカテーテル102と、患者インターフェースモジュール(PIM)104と、IVUS制御システム106と、IVUS制御装置106により生成したIVUS画像を表示するモニター108とを備えている。ソリッドステートカテーテル102は、ある実施態様によれば、遠位端付近に検出ヘッド150を備えている。ある実施態様によれば、ソリッドステートカテーテル102の一部分は、検出ヘッド150を越えて延びて、ソリッドステートカテーテル102の先端を形成してもよい。PIM104は、適切なインターフェース仕様を実行して、ソリッドステートカテーテル102を支持する。ある実施態様によれば、PIM104は、一連の送信トリガー信号と制御波形を生成して検出ヘッド150における超音波トランスデューサの操作を調整する。
【0016】
本明細書に開示されている実施態様による画像再構成システムは、ソリッドステートPIM104に組み込むのに十分な程度にコンパクトである。したがって、ある実施態様によるIVUS撮像システム100は、複数の周辺装置をホスティングする「ハブ」として動作する汎用制御システム106を備えていてもよい。各周辺装置は、ソリッドステートPIM104などのそれ自体の特定用途向けインターフェースを取り付けて有していてもよい。周辺PIMは、2D再構成画像および/または他のデータを「ハブ」制御システム106に提供して、画像または他のデータを表示および/またはより詳細な画像/データ処理をおこなうようにしてもよい。
【0017】
本明細書に開示されている実施態様による再構成システムは、より高頻度で動作するトランスデューサのより大きなアレイを備えた検出ヘッド150を収容している。例えば、ある実施態様によれば、96〜128までのトランスデューサ要素を有するアレイを備えていてもよい。このようなトランスデューサ要素は、より多数のトランスデューサ要素により空間分解能を高め、IVUS画像品質を改善してもよい。さらに、本明細書に開示されている実施態様によれば、より高頻度で検出ヘッド150においてトランスデューサアレイを動作させることができる。
【0018】
検出ヘッド150におけるトランスデューサ要素のアレイは、超音波信号を、PIM104からトリガー信号を受信した後に意図する組織に送信する。また、検出ヘッド150における超音波トランスデューサは、組織から受信したエコー信号を、PIM104により処理される電気信号に変換する。また、PIM104は、高圧および低圧DC電源を供給して、IVUSソリッドステートカテーテル102の動作をサポートする。ある実施態様によれば、PIM104は、DC電圧を、検出ヘッド150においてトランスデューサを駆動する回路に供給する。
【0019】
また、
図1は、Z軸をソリッドステートカテーテル102の長手方向に沿って配向した3次元(3D)座標系XYZを示す。
図1に一致する座標軸を、本開示全体を通じて使用する。当業者には、座標軸の特定の選択は本開示と一致する実施態様を限定するものではないことが分かるであろう。
【0020】
制御システム「ハブ」を有するIVUSシステム100の実施態様によれば、複数のソリッドステートPIM104は、制御システム106において共通ハードウエアを共有してもよい。ある実施態様によれば、様式特異的ハードウエアは、周辺ソリッドステートPIM104に位置させてもよい。このようなシステム構成は、「ハブおよびスポーク」システムと称することができる。ある実施態様によれば、制御システム106は、ディスプレイ108および、種々の機器様式に共通のユーザーインターフェース要素を管理する。さらに、本明細書に開示されている画像再構成システムは、ある実施態様によれば、PIM104における各機器の様式に特異的である。本開示と一致する実施態様によれば、ソリッドステートPIM104からホスト制御システム106に直接、使用可能なデータ速度でデジタルフォーマットにおいて、再構成Aスキャンイメージデータを供給することができる。制御システム106において、Aスキャンイメージデータを、2D組織画像(例えば、断面画像)としてスキャン変換および表示する。
【0021】
図2は、本開示のある実施態様による、IVUS撮像システム100に使用される患者インターフェースモジュール(PIM)104の部分図である。
図2は、再構成フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路250を備えて、アナログ/デジタル変換器(ADC)回路216により提供されるデジタル信号から、コミュニケーションプロトコル回路218に画像再構成データを提供するPIM104をより詳細に示す。ある実施態様によれば、再構成システムは、再構成FPGA250に設けられる。FPGA250は、データおよびコマンドを保存する記憶回路と、保存されたデータを用いてコマンドを実施するプロセッサ回路と、ADC回路216から受信したデータとを備えている。ある実施態様によれば、FPGA250は、ADC回路216により提供されるデータを一時的に保存するためのバッファメモリを備え、一方、プロセッサ回路は異なるデータ部分に関連する操作を実施する。
【0022】
図2は、テレスコープ122に嵌合するコネクタ118によりソリッドステートPIM104に取り付けたシャフト114を示す。テレスコープ122は、ソリッドステートカテーテル102の長さを調整可能にしている。また、PIM104は、パルス送信器回路212を備えていて、複数のパルス信号223を検出ヘッド150におけるトランスデューサに提供する。検出ヘッド150におけるトランスデューサは、電気信号224を受信増幅回路214に送信する。電気信号224は、受信増幅器214により増幅される。ある実施態様によれば、電気信号224は、検出ヘッド150におけるトランスデューサにより検出される血管組織からのエコー応答を含むアナログ信号である。アナログ/デジタル変換器(ADC)216は増幅器214からの増幅信号をデジタル信号に変換し、その信号はPIM104からIVUS制御システム106に通信プロトコル回路218により転送される。
【0023】
クロック/タイミング回路200は、トランスミッタタイミング信号222をパルス送信器212に提供し、安定なシステムクロックを用いてデジタル化信号226をADC回路216に提供する。ある実施態様によれば、信号222および226は互いに同期している。したがって、ある実施態様によれば、トランスミッタタイミング信号222およびデジタル化信号226は同じ位相を有しているか、またはそれらの相対位相はやがてクロック/タイミング回路200の分解能内に固定される。ある実施態様によれば、クロック/タイミング回路200は、位相ロックループ(PLL)また周波数ロックループ(FLL)を備えており、互いの有理分数である周波数を有する信号222および226を生成する。
【0024】
本開示に一致する実施態様によれば、検出ヘッド150において異なる種類のトランスデューサ、例えば、従来のPZT装置、圧電微細加工超音波トランスデューサ(PMUT)装置、容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)装置および/またはそれらの組み合わせを備えることができる。ある実施態様によれば、クロック/タイミング回路200および再構成FPGA250は、血管内光学コヒレントトモグラフィ(OCT)撮像などの光学的手法を用いたPIM104の様式に含まれる。OCT撮像において、トランスデューサは、光ファイバー、フィルター要素、またはある種の他のスペクトル分散光学コンポーネントおよび光検出器を備えることができる。
【0025】
ある実施態様によれば、再構成FPGA250は、外部メモリを用いて収集したデータをPIM104に保存してもよい。再構成FPGA250のある実施態様によれば、再構成FPGA250に備えられたメモリ回路がデータ処理操作をおこなうのに十分なように、簡略化したデータ処理スキームを使用する。したがって、ある実施態様によれば、減少した外部リンク数を有するソリッドステートPIM104は、ソリッドステートIVUSカテーテル102を支持する。ある実施態様によれば、PIM104は、各々が中心周波数が約20MHz(1MHz=10
6Hz)、最大30MHzで動作する128以下のトランスデューサ要素を備えた検出ヘッド150を有するソリッドステートカテーテル102を支持する。
【0026】
ある実施態様によれば、PIM104における再構成FPGA250は、異なるAスキャンラインの間の補間操作を含むグレイスケールAスキャンを生成するように構成される。スキャン変換および表示は、IVUS制御システム106においておこなわれる。ある実施態様によれば、Aスキャンラインのグレイスケール演算により、複数の密集したAスキャンラインからのデータを結合する。Aスキャンラインにおけるデータ点の大きさを、アキュムレータおよび最小値フィルタリングと最大値フィルタリングを用いた中央値フィルタリングを用いて平均する。グレイスケール演算は、平均大きさ値の対数スケールを形成することを含む。グレイスケール演算で得られる対数値は、瓶に分布され、一定カラーレベルが各瓶に割り当てられ、Aスキャンにより形成された2D画像における各点について「グレイスケール」値を形成する。ある実施態様によれば、ネイティブベースバンドAスキャンデータはPIM104においておこなわれ、Aスキャン補間およびグレイスケール変換はIVUS制御システム106においておこなわれる。
【0027】
ある実施態様によれば、通信プロトコル回路218は、IVUS制御システム106に対して相対的に低帯域幅のリンクを使用する。例えば、ある実施態様によれば、通信プロトコル回路218とIVUS制御システム106との間で8〜12メガバイト/秒の通信帯域幅を使用する。PIM104とIVUS制御システム106との間のリンクについて低帯域幅を用いた実施態様は、「ハブおよびスポーク」システム構成に好適である。実際に、IVUS制御システム106における広帯域幅通信プロトコル回路は、多数のPIM104(各々が低通信帯域幅要件を有する)に対応することができる。
【0028】
図3は、ある実施態様による、検出ヘッド150および超音波ビームを生成するトランスデューサ要素151−1、151−2、151−3、151−4および151−5(まとめてトランスデューサ要素151と称する)のアレイの部分図を示す。ある実施態様によれば、超音波トランスデューサ151は、カテーテル102から放射状に外側に超音波ビーム320−1、320−2または320−3(まとめてビーム320と称する)を照射する合成開口を形成する。ある実施態様によれば、合成開口は、検出ヘッド150におけるトランスデューサ要素群を同時にトリガーするか、または同相でトリガーすることにより生成する。さらに、ある実施態様によれば、検出ヘッド150における合成開口は、トランスデューサ要素群を互いの間で特定の位相差でトリガーするときに超音波ビームを生成する。
【0029】
合成開口におけるトランスデューサ要素151の各々の間の位相差は、超音波ビームが事前に選択された焦点ゾーン310−1、310−2または310−3(まとめて焦点ゾーン310と称する)に集中するように選択される。
図3には3つの焦点ゾーン310が示されているが、当業者には、より多くの焦点ゾーン310を選択される各方向に使用できることが分かるであろう。ある実施態様によれば、各Aスキャンラインについて、10、16、20またはそれ以上の焦点ゾーンを使用してもよい。ある実施態様によれば、単一の焦点ゾーンまたは2つの焦点ゾーン310を使用してもよい。焦点ゾーン310を画定する合成開口におけるトランスデューサ要素151間の位相差は、好適遅延トリガー信号を各トランスデューサ151に供給することにより、電子的に生成してもよい。焦点ゾーン310を形成するために時間遅延させた電子的トリガーパルスの配置は、「電子レンズ」と称される。電子レンズはクロック/タイミング回路200およびパルス送信回路212に作成してもよい(
図2参照)。
【0030】
ある実施態様によれば、合成開口におけるトランスデューサ151間の位相差は、超音波ビームが半径方向を中心として所定の方位角φで生成されるように選択される。事前に選択した方向を、「フレーバー」と称することができる。例えば、半径方向は、要素151−3に対応する合成開口の中央部における検出ヘッド150の断面の曲率に対して垂直な方向として定義できる(
図1におけるX軸)。したがって、トランスデューサ151間の相対位相を調整して、超音波は半径方向330−1に沿って焦点ゾーン320に集めることができる。ある実施態様によれば、要素151間の相対位相を調整することにより、超音波ビームは、方位方向Δφ
2に沿った「フレーバー」330−2に沿って形成される。方位方向Δφ
2は、2つの隣接するトランスデューサ151間に形成される角度Δφ
3の実質的に半分の角度に対する。ある実施態様によれば、角度Δφ
3は0.1ラジアンであることができ、したがって、角度Δφ
2は約0.05ラジアンであることができる。半径方向330−1(Δφ=0)に沿ったAスキャンは、ベースバンドAスキャンと称することができる。
【0031】
本明細書に開示されている実施態様によれば、焦点およびフレーバー情報を保存するコンパクトで正確な方法が提供される。複数の焦点ゾーン310および複数のフレーバーに基づくスキームは、合成開口内の各トランスデューサ要素151についての保存位相情報に依存する。位相値は、場合によっては、Aスキャンに使用される異なる焦点ゾーンに沿って各フレーバーについて保存される。例えば、フレーバー330−1における要素151−1からの音響フロントと要素151−2からの音響フロントとの間の相対位相は、線330−1(X軸)に沿った点での検出ヘッド150からの距離fを中心とする焦点ゾーンについての値(x−f)
2に依存する。要素151−1からの音響フロントと要素151−2からの音響フロントとの間の相対位相は、フレーバー330−2について、(x’−f)
2値との関係でも異なる。ここでx’はX軸に対して角度Δφ
2をなす線に沿った検出ヘッド150からの距離である。
【0032】
ある実施態様によれば、Aスキャンにおいて使用される異なる焦点ゾーンに沿った各フレーバーについての位相値を保存することは、位相値の第1差を保存することにより簡略化される。このような実施態様によれば、位相の2つの値ごとに、単一数、すなわち、2つの連続する位相値の間の差が保存される。位相差は、ある実施において再構成FPGA250におけるアキュムレータレジスターに保存される。したがって、フレーバースキャンを画定する線に沿った各点での位相値は、初期位相値も保存されることを前提として、アキュムレータを用いて演算できる。
【0033】
ある実施態様によれば、位相値の第2差を使用することにより、保存がさらに簡略化される。そのような実施態様によれば、3つの位相値ごとに、単一数、すなわち、第1位相値、第2位相値および第3位相値との間の第2差を保存する。例えば、第2差は、第3位相値と第2位相値との間の差から、第2位相値と第1位相値との間の差を差し引くことにより得ることができる。したがって、フレーバースキャンを画定する線に沿った各点での位相値を、再構成FPGA250における2つのアキュムレータを用いて算出される。第1アキュムレータは位相値間の差を保存し、第2アキュムレータは第1アキュムレータにおける値の差を保存する。ある実施態様によれば、上記した第2差法により、約32キロバイトのメモリに保存される128のトランスデューサ要素を備えたセンサヘッドにおける4つの異なるフレーバーについての焦点マップを可能にする。ソリッドステートカテーテル102を中心として128(トランスデューサ)x4(フレーバー)=512Aスキャンラインを有するこのような実施態様によれば、視野全体を通して位相精度を1度、より向上させることができる。
【0034】
図4は、本開示のある実施態様によるトランスデューサ要素において受信された信号405を処理する4XDQS400法の部分図である。音響信号405は、受信増幅器214による増幅後の電圧値を表す(
図2参照)。
図4の縦軸における電圧値は、任意単位で示されている。
図4の横軸は時間(任意単位)を表す。信号405は、トランスデューサ要素が中心周波数Fcを中心とした周波数バンドを有する音響インパルスを生じた後、検出ヘッド150においてトランスデューサ要素により受信されたエコー信号であることができる。中心周波数Fcは、トランスデューサ要素の共鳴周波数であることができる。中心周波数Fcは、本明細書において開示されている画像再構成システムの性能を向上するように選択してよい。例えば、Fcは、20MHz以上、30MHz以下でよい。検出ヘッド150におけるトランスデューサ要素の周波数バンドは、Fcの約25%〜約50%でよい。例えば、Fcが20MHzである実施態様によれば、トランスデューサ要素の周波数バンドは、15MHz〜25MHzの周波数を含むことができる。
【0035】
また、
図4は、信号400の振幅を調節するエンベロープ450を示す。エンベロープ450は、ある実施態様によれば、血管組織において生じる音響インパルスに対する弾性応答から得られる。
図4におけるサンプリング法4XDQS400は、サンプリング点401および402を含む。サンプリング点401および402は、クロック/タイミング回路200により供給されるデジタル化信号226にしたがってADC回路216(
図2参照)により選択されるデジタル化点であることができる。ある実施態様によれば、サンプリング点401は、やがてサンプリング点402とインターリーブ、すなわち、サンプリング点401の各々よりサンプリング402が先行する。同様に、ある実施態様によれば、サンプリング点402の各々よりも、サンプリング点401が先行する。したがって、全てのサンプリング点の約1/2がサンプリング点401であり、全てのサンプリング点の約1/2がサンプリング点402である。さらにある実施態様によれば、サンプリング点401とサンプリング402のインターリーブは、ADC回路216により供給されるサンプリング点401および402を含むデジタル値を用いて、再構成FPGA250により実施される。
【0036】
最良の超音波再構成のフィデリティを得るために、ADC回路216は、エコー信号400から予測される最大周波数よりも高いサンプリング周波数Fsでサンプリング点401および402を選択する。ある実施態様によれば、Fsは、エコー信号405において予測される最大周波数の2倍以上であることができる。例えば、エコー信号400がFcのほぼ20MHzを中心としている実施態様によれば、サンプリング周波数Fsは80MHzでよい。より一般的には、トランスデューサが周波数Fcを中心とする狭帯域幅超音波スペクトルを生じる実施態様によれば、サンプリング周波数Fsは、ほぼ4×Fcとして選択できる。したがって、本開示に一致する実施態様によれば、方法4XDQS400は、インターリーブサンプリング点401とサンプリング点402を、サンプリング点401が多かれ少なかれ、信号400のピークと谷と重なり合い、サンプリング点402が多かれ少なかれ信号405のノード値(電圧ゼロ)と重なり合うように分離する。ある実施態様によれば、サンプリング点402は、クロック/タイミング回路200により供給されるデジタル化信号226において約90°の位相差だけサンプリング点401から遅れてもよい。
【0037】
ADC回路216により供給されるデジタル化点を、サンプリング点401および402にインターリーブすることにより、再構成FPGA250は、ADC回路216の周波数の約1/2で動作する。これにより、再構成FPGA250の負荷要件および処理能を減少する。例えば、Fcが約20MHzで選択され、Fsが約80MHzで選択されるとき、FPGA250は約40MHzの周波数Fiで動作できる。本開示と一致するFPGA250の実施態様によれば、FPGA250がADC回路216の周波数の1/2で動作するとともに、データの位相情報が失われることがなく、且つフィデリティが向上する利点が得られる。この理由は、サンプリング点401および402を組み合わせて直交法(I/Q)を使用して複素数値を形成するからである。例えば、点401a、401b、402aおよび402bを整理して2つの複素数c1およびc2とすることができる:
【数1】
(式中、V
401a、V
402a、V
401bおよびV
402bはそれぞれサンプリング点401a、401b、402aおよび402bに対応する電圧値である)。ある実施態様によれば、4XDQS400で、周波数Fcを包含する信号405の各サイクルについて複素対数(c1、c2)が得られる。例えば、複素数値c1およびc2は、周波数Fcを有する信号において、ピーク、谷および2つの連続するノードを持つことできる。
【0038】
ある実施態様によれば、方法4XDQS405を使用することにより、クロック/タイミング回路200におけるデジタル化信号226に対して全位相θを調整することにより周波数Fcでエコー信号400の位相を正確に求めることがきる。したがって、例えば、位相θを調整することにより、c1およびc2の実部Re(c1)およびRe(c2)の値を最大化することができるとともに、虚部Im(c1)およびIm(c2)の値も値θoについて最小化できる。したがって、θoは、周波数Fcでのエコー信号405の位相を決定する。十分に狭い帯域のトランスデューサについて、中心周波数Fcからわずかにはずれているエコー信号の位相も、θoにより求めることができる。
【0039】
したがって、場合によっては、方法4XDQS400による画像再構成のフィデリティは、典型的に高サンプリング周波数(例えば、80MHz)で動作するクロック/タイミング回路200の精度と同程度に良好であり、c1およびc2の実部および虚部の最大および最小を見いだす感度と同程度に良好である(式1および式2参照)。ある実施態様によれば、4XDQS400による信号再構成の精度は、クロック周期の何分の1かの位相シフトがc1およびc2の顕著な変化を生じることがあるので、クロック/タイミング回路200の80MHz周波数よりもはるかによい(式1および式2ならびに
図4参照)。したがって、40MHzでのみ動作する再構成FPGA250は、本開示に一致する実施態様によれば、約1ns以下の精度で超音波エコー信号を再現する。Fsが約80MHzである実施態様によれば、方法4XDQS400により、数ns、すなわち、約1nsのタイミング精度を得るために少なくとも200MHzで動作するADC回路を必要とするであろう従来のデジタル化スキームに対して少なくとも2倍向上する。ある実施態様によれば、方法4XDQS400は、
図5に関連して以下で詳細に説明する再構成FPGAによりおこなわれる。
【0040】
図5は、本開示のある実施態様による、画像再構成用再構成FPGA回路250の部分ブロック図を示す。再構成FPGA250は、I/Q内部調整回路510と、交差項バッファ回路520と、再構成エンジン回路530とを備えることができる。ある実施態様によれば、入力データ501は、周波数FsでADC回路にてサンプリングしたデジタルデータを含む。方法4XDQS400に一致するある実施態様によれば、周波数Fsは、上記したように、ほぼ4×Fcである。例えば、トランスデューサFcが約20MHzである実施態様において、入力信号501についてのFsは約80MHzである。出力データ502は、減少した周波数Fiでの値c1およびc2(上記式1および式2参照)などのインターリーブI/Q対を含む。例えば、ある実施態様によれば、Fiの値は、ほぼ1/2Fsでよい。概略80MHzであるFsについては、出力502は、概略40MHzで動作できる。
【0041】
ある実施態様によれば、I/Q内部調整回路510は、デジタル入力501を、値c1およびc2により形成される複素ベースバンドに変換する(式1および式2参照)。ある実施態様によれば、I/Q内部調整回路510は、方法4XDQS400をおこなって、上記で詳細に説明したように、複素データc1およびc2を提供する(
図4参照)。交差項バッファ回路520により、I/Q内部調整回路510により提供されるc1およびc2値の平均を求めるサポートのための2ラインまたは4ラインバッファが得られる。ある実施態様によれば、交差項バッファ回路520は、入力信号501の獲得と出力信号502における再構成との間のデータレートを調整するための「ピンポン」メモリとして使用される。
【0042】
再構成FPGA250は、交差項バッファ520によりバッファリングされ平均化されたI/Q調整データを処理する再構成エンジン530を備えている。再構成エンジン530は、各フレーバーが一連の共通の焦点パラメータを共有したI/Q対を、フレーバーにより処理する(例えば、上記したc1およびc2)(
図3参照)。
【0043】
図6は、ある実施態様による、デジタル信号処理のためのI/Q内部調整回路510の部分図である。調整回路510は、遅延回路610と、平均回路615と、オフセット減算回路620と、I/Q変換回路630と、補間回路640とを備えている。ADC回路216からのデジタルサンプルを含んでいる入力信号501を平均回路615により使用して、データについてのDCオフセットを算出する。Nサンプル点の総数は、一定のデータ処理サイクルについて、入力信号501から受信する。遅延回路610は、信号501から受信したNサンプル点の約1/2の遅延を導入する。例えば、ある実施態様によれば、データ点401は、複素数値c1およびc2の実部と虚部がやがて重なり合うように、データ点402に対して遅延できる(
図4ならびに式1および式2参照)。当業者は、サンプリング点の総数Nは限定されないことは分かるであろう。ある実施態様によれば、各Aスキャンライン当たりのサンプリング点数Nが1000であることができる。ある実施態様によれば、より多くのサンプリング点、例えば、N=1500以上のサンプリング点を使用してもよい。
【0044】
回路620は、データ点Nから、平均回路615により得られるDCオフセットを差し引く。その結果、周波数Fsで、サンプル625をI/Q変換回路630を転送する。I/Q変換回路630は、Fc波形のサイクルごとに複素対数c1およびc2を形成する。I/Q変換回路630は、ある実施において、式1および式2を使用して複素数c1およびc2を形成する。ある実施態様によれば、I/Q変換回路630は、4つの連続するサンプル625ごとに、第3および第4サンプルについての符号を変更し、第1および第3サンプルを「I」コンポーネント(例えば、
図4におけるサンプル401)とし、サンプル2および4を「Q」コンポーネント(例えば、
図4におけるサンプル402)とする。ある実施態様によれば、c1およびc2サンプルを、サンプリング周波数の概略1/2の周波数Fi、ほぼ1/2×Fsでインターリーブする。したがって、インターリーブサンプル635を、周波数Fiで補間回路640に移す。ある実施態様によれば、Fsが概略80MHzである用途では、Fiは概略40MHzでよい。
【0045】
補間回路640は、Fiよりも低いおよびFiよりも高い信号周波数を減衰するためのフィルターを備えている。また、補間回路は、「I」サンプル(例えば、サンプル401)と「Q」サンプル(例えば、サンプル402)との間の位相遅れを共通サンプル時間に適用する。ある実施態様によれば、補間回路640の出力は、I/Q対として形成されるインターリーブサンプル645である。インターリーブサンプル645は、複素数値c1およびc2(但し、c1値およびc2値の各々は、互いに同期する「I」コンポーネントと「Q」コンポーネントを含む)を含む。
【0046】
図7は、ある実施態様による、画像再構成のための再構成エンジン530の部分図である。再構成エンジン530は、回路520におけるバッファリング後にI/Q内部調整回路510からインターリーブI/Q対645を受信する。I/Q対645は、周波数Fiを有している。再構成エンジン530は、フレーバーにしたがって、I/Q対を、フレーバーブロック710−1、710−2〜710−K(まとめて、フレーバーブロック710)に分離する。フレーバー数Kは限定されず、異なる実施態様で、各合成開口当たり異なる数のフレーバーを使用してもよい。トランスデューサアレイの隣接するトランスデューサ間の使用されるフレーバー数Kは、場合によっては、IVUS撮像システムの望ましい分解能に依存する。ある実施態様によれば、Kは8以下でよい。ある実施態様によれば、Kは4またはさらに2であってもよい。各フレーバーブロック710におけるデータ処理およびコンポーネントは、
図8に関連して以下で詳細に説明する。
【0047】
図8は、ある実施態様によるフレーバーブロック710の部分図である。フレーバーブロック710は、インターリーブI/Q対645を受信し、焦点制御回路810からの情報を用いて、フレーバーブロック710はAスキャンラインモジュール820−1、820−2〜820−F(まとめてAスキャンラインモジュール820と称する)を再構成する。Aスキャンラインモジュール820は、検出ヘッド150付近で使用される合成開口の各々についてベースバンドAスキャンを再構成してもよい。ベースバンドAスキャンは、上記で詳細に説明したスキャンライン330−1としてもよい(
図3参照)。検出ヘッド150付近の全体2Dフレームを収集するのに使用される合成開口数Fは、64、128またはそれ以上であってもよい。ある実施態様によれば、合成開口は、検出ヘッド150付近に設けられたトランスデューサ要素151の各々に集中してもよい。このような実施態様によれば、ベースバンドAスキャンは、トランスデューサの各々について生成してもよい。したがって、64のトランスデューサ要素151を有する検出ヘッド150について、ベースバンドAスキャンの数F=64をおこなうことができる。同様に、128の要素を有する検出ヘッド150については、ベースバンドAスキャンライン数F=128を形成できる。
【0048】
焦点制御回路810は、Aスキャンモジュール820の各々により処理される焦点情報を保存する。ある実施態様によれば、焦点制御回路810は、ベースバンドAスキャンライン330−1に沿った各焦点ゾーン310についての位相差情報を保存する第1アキュムレータを備えている(
図3参照)。ある実施態様によれば、焦点制御回路810は、ベースバンドAスキャンライン330−1に沿った各焦点ゾーン310についての第2位相差情報を保存する第2アキュムレータを備えている。
【0049】
また、
図8は、フレーバー補間回路840における処理のためのAスキャンラインモジュール820の情報を保存するAスキャンラインバッファ回路830を示す。フレーバー補間回路840は、バッファ830により供給されるAスキャンライン間の値を補間して、フレーバーブロック710におけるフレーバーに対応する位置での信号値を得る。例えば、フレーバー補間回路840において算出されるフレーバーは、ベースバンドAスキャン330−1との角度がΔφ
2である、フレーバー330−2としてもよい(X軸に沿った、
図3参照)。ある実施態様によれば、フレーバー補間回路840は、ベースバンドAスキャン330−1に沿った位相を含む信号の第1値と、隣接するベースバンドAスキャンに沿った位相を含む信号の第2値を使用して、フレーバー330−2に沿った信号の値を得る。隣接するAスキャンは、ベースバンドAスキャンライン330−1との角度がΔφ
3である要素151−2に対応してよい(
図3参照)。
【0050】
上記したフレーバーブロック710を用いたある実施態様によれば、減少したフレーバーブロック数Kが、再構成エンジン530において必要である(
図7参照)。例えば、ある実施態様によれば、1つ(K=1)または2つ(K=2)のフレーバーブロックのみが使用される。このような実施態様では、4、8またはそれ以上のフレーバーを用いた例と比較して、再構成FPGA250において、メモリおよび算出リソースが4倍〜8倍減少する。したがって、方法4XDQS400と組み合わせてフレーバー補間回路840を用いた実施態様によれば(
図4参照)、正味8倍〜16倍の簡略化がなされる。上記の簡略化は、フレーバー補間によるライブスキャンの減少、および、上記で説明した方法4XDQS400の動作の頻度がほぼ2倍減少したことによる(
図4参照)。
【0051】
ある実施態様によれば、フレーバー補間回路840を使用して、8フレーバーを算出し、330−1および330−2などのAスキャンにより得られる2つのフレーバー補間する(
図3参照)。
【0052】
本開示に一致する再構成エンジンにおける「フレーバー」の一部または全ては、位相を含むベースバンドAスキャン間の単純な補間により生成できる。上記した
図3に関連して説明したように保存された位相情報は、I/Q対645(c1およびc2)において維持され、2D画像の正確な再構成が可能となる。ベースバンドAスキャン(位相を含む)を補間することにより、遅延和再構成プロセスの直線性が保持され、その結果、補間は、完全再構成スキャンライン間の中間Aスキャン(フレーバー)を正確に算出できる。ある実施態様によれば、ベースバンドAスキャンの空間サンプルを選択して正確な画像再構成をおこなう。
【0053】
スキャンライン間の補間(またはいくつかのスキャンラインについての空間フィルタリングでさえ)は、より多くのフレーバーを再構成エンジン530に付加するよりも単純である。複雑性の減少は、検出ヘッド150におけるアレイ要素151の数の増加ととともにより顕著となる。複数のフレーバーの再構成を除去することにより、IVUSシステム100のハードウエアおよび計算の複雑性を実質的に減少させることができる。これには、再構成エンジン530を収容するFPGA250についての電力消費が含まれる。
【0054】
ある実施態様によれば、4つのフレーバーを計算して64のベースバンドAスキャンから256ライン画像を得る。補間器840を用いて補間される各フレーバーは、データメモリ、焦点メモリおよびDSPハードウエアの面での再構成の要件を減少する。したがって、8つのフレーバーから1つのフレーバーに再構成エンジン530を減少すると、メモリが8倍節約でき、およびクロック速度または使用される処理チャンネル数が8倍減少する。
【0055】
フレーバー補間器840における補間ハードウエアは、エコー信号405から直接得られた「ネイティブ」Aスキャンのための再構成ハードウエアと比較してオーバーヘッドが小さい。例えば、2つのフレーバー(K=2、
図7参照)を用いた画像再構成の方法を方法4XDQS400によるデータ処理の2倍の簡略化(例えば、200MHz〜80MHzサンプル速度)と組み合わせると、既存の手法に対して複雑性が8倍減少する。
【0056】
ある実施態様によれば、フレーバー補間840では、IコンポーネントとQコンポーネント(
図4においてそれぞれサンプリング点401および402)の線形補間を使用する。ある実施態様によれば、フレーバー補間器840は、より正確であるが、実行するにはわずかにより複雑である大きさ/位相補間を使用する。あるこのような実施態様によれば、値c1およびc2(式1および式2参照)の大きさ(MAG)の補間およびそれらの位相(PHAS)を以下のようにして使用する:
【数2】
(式中、I=402aまたはI=−402b;およびQ=401aまたはQ=−401b(式1および式2参照)。)
【0057】
ある実施態様によれば、フレーバー補間器840では、小さなFIRフィルター(空間低パスフィルター)を使用して隣接するベースバンドAスキャン間のスムージングをおこなう。
【0058】
ある実施態様によれば、フレーバー補間器840は、1フレーバースキームについて、わずか24のデジタル信号処理(DSP)スライスおよび48のメモリブロックを用いて実行する。ある実施態様によれば、2フレーバースキームにおいて、48のDSPスライスと96のメモリブロックを使用する。ある実施態様によれば、クロック/タイミング回路200において、DSPスライス数とクロック速度との間の好ましいトレードオフが得られる(例えば、2つのフレーバーの選択について80のDSPスライス)。したがって、ある実施態様によれば、DSPスライスの増加とクロック速度の減少が得られる。
【0059】
本明細書に開示されている画像再構成の実施態様は、現在のハードウエアの改良の観点から望ましい。例えば、128要素のアレイは、検出ヘッド150における64アレイと比較してリソースが概略2倍である。クロック速度は、より高い周波数アレイについて、それに応じて増加する。本明細書に開示されている画像再構成についての構成では、128要素アレイに対しての全体の再構成エンジンは、単一のSpartan−6FPGA(最大180DSPスライスおよび268メモリブロック)またはシリーズ7ファミリー装置(Artix/Virtex)(適度なクロック速度(<100MHz)で動作する)に調度良い。
【0060】
隣接フレーバー(2つの要素間)は、互いに全く同じエコー信号(交差項)を線形結合して構成されている。隣接フレーバー間の主な差は、累積して合成フォーカススキャンラインを形成したときの種々のエコー信号に適用される複合加重にある。一つの再構成スキャンラインから次に移動すると、種々のエコーコンポーネントに加えられる加重および位相シフトのほとんどはほんの少量だけ異なる。したがって、ネイティブスキャンライン間の加重の補間により、一つのフレーバーから次へのスムーズに移行する。「ネイティブ」スキャンラインは、ベースバンドAスキャンラインまたはフレーバーを有するAスキャンラインであることができる。ネイティブスキャンラインは、トランスデューサ150にトリガーされたインパルスにより生成されるエコー信号を収集することにより得られる。
【0061】
ある実施態様によれば、検出ヘッド150は、開口幅が10波長であり、角度要素間隔が0.1ラジアンである。このような実施態様によれば、空間周波数帯域幅は、20波長(往復伝搬)である。典型的なアポディゼーション機能について、空間周波数応答のほとんどは、10波長によりカバーされ、空間周波数応答のほんのわずかの末端だけが全20波長空間帯域幅にまで広がっている。上記した実施態様によれば、たった0.1ラジアンの増分(アレイ要素間隔に対応する)で画像をサンプリングする1フレーバーは、まばらすぎて許容できる空間分解能を得ることができないことがある。したがって、0.05ラジアンだけ分離した2つのフレーバーなどのネイティブスキャンフレーバーが、画像アーチファクトを減少するために望ましいことがある。
【0062】
図9は、本開示の一部の実施態様により処理した音響信号の点広がり関数(PSF)のグラフ900である。曲線901は、回折限界音響画像のPSFを示す。曲線903は、フレーバー補間器840において線形補間を用いて得られた音響画像のPSFを示す。曲線902は、フレーバー補間器840における4点空間フィルタリングを用いて得られた音響画像のPSFを示す。グラフ900におけるPSFは、データのハニング重み付けおよび1つのフレーバーを用いて得られる。
【0063】
図9に示す実施態様によれば、画像品質は、線形補間(曲線903)または4点フィルタリング(曲線902)を用いた主ローブ幅(分解能)で低下してもよい。また、4点FIRフィルターでのサイドローブレベルの顕著な増加も認めることができる。これは、単一フレーバーでの再構成エンジン530の大幅な簡略化からのトレードオフによるものである。
【0064】
図10は、本開示のある実施態様により処理された音響信号についてのPSFのグラフ1000である。グラフ1000では、ハニング重り付けおよび2つのフレーバーを用いた画像再構成エンジン530についての結果が得られる。追加のフレーバーを再構成して、角度間隔が0.05ラジアンである要素間の画像に入れると、画像はよくサンプリングされ、補間または空間フィルタリングにより適切に真像を再構成することが観察される。曲線1003は、線形補間を用いた再構成エンジン530の結果を示す。曲線1002は、PSFについての4点空間フィルタリングを用いた再構成エンジン530の結果を示す。この場合、線形補間では、主ローブ幅が適度に増加し、一方、4点FIRフィルターでは、理論PSFと比較して、分解能がわずか5%低下する。いずれの補間法でもサイドローブの顕著な増加はない。
【0065】
図11は、本開示のある実施態様による画像再構成についての方法1100のフローチャートである。方法1100は、場合によっては、FPGA250に設けられたメモリ回路およびプロセッサ回路によりおこなわれる。ある実施態様によれば、方法1100は、FPGA250により部分的におこなわれ、ADC回路216およびクロック/タイミング回路200により部分的におこなわれる。さらに、ある実施態様によれば、方法1100は、制御システム106によりおこなわれる。
【0066】
工程1110では、複数のトランスデューサから信号を受信することが含まれる。工程1110において、複数のトランスデューサは、合成開口を形成していてもよい。工程1110では、受信した信号は、トランスデューサの共鳴周波数Fcを中心とした周波数帯域を有するエコー信号でよい。工程1120では、中心周波数Fcの少なくとも2倍のデジタル化周波数を有するアナログ/デジタル変換器における信号をサンプリングすることが含まれる。工程1120は、中心周波数Fcの約4倍のデジタル化周波数を有する信号を処理することを含んでいてもよい。工程1130では、複素対数におけるデータ点を整理することが含まれる。ある実施態様によれば、工程1130は、データ点をインターリーブして、90°位相遅れだけ互いに分離した2セットとすることを含む。
【0067】
工程1130では、受信した信号の位相は、2つのインターリーブデータセットにおける電圧値を測定することにより見いだすことができる。例えば、ある実施態様によれば、第1インターリーブデータセットの和を使用し、第2インターリーブデータセットの和を使用するとともに、全体のデータセットの位相を調整する。また、第1インターリーブデータセットの和を最大化する位相の値により、第2インターリーブデータセットの和を最小化してもよい。この値は、デジタル化周波数の値の約4分の1(1/4)の周波数で受信した音響エコー信号の位相でよい。ある実施態様によれば、複素対数は、上記した式1および式2で定義した複素数値c1およびc2である。
【0068】
工程1140では、アキュムレータを用いて複素データ点の位相を調整することが含まれる。工程1140は、複素データ点と関連する焦点ゾーンを見いだすこと、およびデータ点の位相を見いだすこと(フレーバー方向との関連で)を含む。また、工程1140は、組織点と、合成開口における各トランスデューサ要素との間の位相値を用いて各データ点についての交差項を定義することを含む。工程1150では、フレーバー間の複素データ点を補間することが含まれる。ある実施態様によれば、工程1150は、別個に複素データ点の実部と虚部について、線形補間を用いることを含む。ある実施態様によれば、工程1150は、非線形関数を用いて複素データ点の強度値と位相値を補間することを含む(式3および式4参照)。また、工程1150は、補間値を用いて血管組織の2D画像を形成する工程を含んでいてもよい。
【0069】
ある実施態様によれば、本明細書で開示されている4点FIR空間フィルターを用いた2フレーバー再構成エンジンを、8フレーバー再構成と比較して、認知できるような画像品質の低下がない画像再構成に使用する。方法4XDQS400と関連して少なくとも2倍の節減およびフレーバーにおいて4倍の減少(8から2に減少)を考慮すると、本明細書に開示されている構成により、複雑性が少なくとも8倍減少する。
図3に関連して上記で詳細に説明した、コンパクトフォーカスメモリスキームにより、第1および第2差法を用いて合成開口におけるトランスデューサ要素についての位相情報を保存することで、複雑性がさらに減少する。
【0070】
デジタル化法4XDQS400により、PIM104の設計および操作が簡略となる。ある実施態様によれば、方法4XDQS400により、データ獲得についての速度要件が2倍減少できる。これとフレーバー再構成の簡略化により、全体の画像再構成プロセスにおいて最大8倍の向上ができる。ある実施態様によれば、PIM104は、PIM内に複雑度が低い(および低電力)再構成エンジンを備えたソリッドステートPIMであり、Aスキャンを低帯域幅デジタルリンクにより制御システム106に直接供給する。ある実施態様によれば、グレイスケールデータについてのPIM104と制御システム106との間の伝送速度は、8メガバイト/秒である。このような実施態様によれば、スキャン変換は、制御システム106でおこなわれ、一方、フレーバー補間はPIM104でおこなわれる。ある実施態様によれば、再構成ベースバンドデータは、PIM104と制御システム106との間の12メガバイト/秒リンクで送られ、フレーバー補間およびグレイスケール変換は制御システム106でおこなわれる。
【0071】
上記した開示の実施態様は、典型例にすぎない。当業者には、具体的に開示されているものから種々の代替実施態様が分かるであろう。また、これらの代替実施態様は、本開示の範囲内である。開示自体、以下の請求の範囲によってのみ限定される。