(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383734
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】改善されたゼオライトおよびリンの相互作用によるZSM−5添加剤の活性向上
(51)【国際特許分類】
B01J 29/40 20060101AFI20180820BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20180820BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20180820BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20180820BHJP
B01J 37/10 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
B01J29/40 Z
B01J37/04 102
B01J37/00 F
B01J35/10 301A
B01J35/10 301J
B01J37/10
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-553923(P2015-553923)
(86)(22)【出願日】2014年1月23日
(65)【公表番号】特表2016-508438(P2016-508438A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】US2014012700
(87)【国際公開番号】WO2014116801
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2016年12月15日
(31)【優先権主張番号】61/755,509
(32)【優先日】2013年1月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,シンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,デヴィッド
【審査官】
森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−525185(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1465527(CN,A)
【文献】
特表2007−534485(JP,A)
【文献】
特表2001−517255(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0308455(US,A1)
【文献】
特開昭57−011927(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0241995(US,A1)
【文献】
米国特許第05888378(US,A)
【文献】
米国特許第04356338(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐損耗性触媒添加剤を生成するためのプロセスであって、中間孔径ゼオライトを、その中にリンを組み込むためにリン含有化合物と混合することと、前記リン混合ゼオライトを蒸気の存在下で650℃未満の温度で焼成することと、前記焼成されたリン混合ゼオライトをカオリンおよび液体状のリン含有化合物と混合して混合物を形成することと、前記混合物を、20〜200ミクロンのサイズを有する微粒子へ形成することと、を含み、前記微粒子が5〜25重量%のリンをP2O5として含有する、プロセス。
【請求項2】
前記焼成されたリン混合ゼオライトが、2つの水性スラリーの混合物として前記カオリンと組み合わせられる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記微粒子が、少なくとも25重量%の前記ゼオライトを含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
リン混合ゼオライトおよびカオリンの水性スラリーの前記混合物を、水性リン化合物と共に前記微粒子と接触させ、その後前記接触された混合物を噴霧乾燥し、前記水性リン化合物およびスラリー混合物の接触時間が20秒未満である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記中間孔ゼオライトがZSM−5である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記微粒子が10〜15重量%のリンをP2O5として含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
不活性成分が前記スラリーへ添加され、前記不活性成分が2.8g/cc超の密度を有する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記不活性成分が、50m2/g未満のBET表面積を有する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
反応性アルミナ種が前記スラリーへ添加され、前記反応性アルミナ種が50m2/g超のBET表面積を有する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応性アルミナが、140〜400m2/gのBET表面積を有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応性アルミナ種が遷移アルミナである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
前記液体状のリン含有化合物が、リン酸またはリン酸アンモニウムの水溶液である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記中間孔ゼオライトがZSM−5であり、前記微粒子が、25〜50重量%のZSM−5、10〜15重量%の、P2O5としてのリン、12〜25重量%のアルミナ、および20〜35重量%のカオリンを含む組成を有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
20〜200ミクロンのサイズを有する微粒子の形態の触媒添加剤であって、2重量%〜6重量%のリンをP2O5として含有する中間孔ゼオライトを含み、前記微粒子がカオリンを含む基質中に分散されたリンを更に含有し、前記微粒子が10〜15重量%の、P2O5としてのリン含有量、および20〜35重量%のカオリン含有量を有する、触媒添加剤。
【請求項15】
2.8g/cc超の密度を有する不活性成分、および50m2/g超のBET表面積を有する反応性アルミナ成分を更に含有する、請求項14に記載の触媒添加剤。
【請求項16】
前記中間孔ゼオライトがZSM−5である、請求項14に記載の触媒添加剤。
【請求項17】
前記中間孔ゼオライトが、少なくとも25重量%の量で存在する、請求項14に記載の触媒添加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FCC添加剤のための触媒組成物、ならびにC
3およびC
4オレフィン、すなわち軽質オレフィンの生成において高い効率性を有する、FCC添加剤を作製するプロセスに向けられるものである。
【背景技術】
【0002】
FCCの実践において、軽質オレフィンの選択性を増加する2つの方法がある。これらのうちの1つ目は反応温度を増大させることである。これは熱分解の寄与を増加させ、より軽質の生成物の形成の増加につながるであろう。例えば、FCC法の特定の形式である、いわゆるDCC(深接触分解)法において、より高い温度および増加した蒸気量が用いられる。しかしながら、熱分解は然程選択的ではなく、「湿性ガス」(H
2およびC
1−C
4生成物を含有する)中に、水素、メタン、エタン、エチレン等の比較的低価値の生成物を大量に生成する。湿性ガス圧縮は、多くの場合、精錬運転を制限する。
【0003】
第2の方法は、ゼオライトYを典型的に含有するFCC分解触媒へ、ZSM−5含有添加剤等のオレフィン選択性ゼオライト含有添加剤を添加することである。従来の添加剤は通常、一次分解生成物(例えば、ガソリンオレフィン)をC
3およびC
4オレフィンへ選択的に変換する、リン活性化ZSM−5を含有する。リンに対する活性または選択性の改善は、ZSM−5の有効性を増大することが知られている。
【0004】
カオリンおよび10〜25重量%のZSM−5を含有するFCC添加剤が、ガソリンオクタンの改善およびLPG収率の向上のために使用されてきた。希釈による単位活性損失を最小限にしながら、LPGを更に増大するためには、ZSM−5のレベルが25%超である添加剤が必要となる。残念ながら、25%超のZSM−5レベルを含有する微粒子添加剤中では、微粒子の耐損耗性が問題となる。
【0005】
カオリンが単独で、あるいはゼオライト系分子篩の粒子等の他の成分と共に粒子に形成され得、焼成されると更に硬化する、微粒子等の凝集体を形成し得ることは周知である。
【0006】
カオリンの水性スラリーが噴霧乾燥される様々なプロセスを実施する際、噴霧乾燥されるために十分に流動的である高固形分スラリーの形成を許容するため、噴霧乾燥の前にカオリンを分散させることが慣習的である。高固形分が経済的理由により好まれる。また、高固形分は、より強力に結合された粒子の形成を導く。水中にカオリンを分散するため、ナトリウム縮合リン酸塩、ケイ酸ナトリウム、ソーダ灰、ポリアクリル酸ナトリウム、およびこれらの混合物等の、従来型のアニオン性粘土分散剤が使用される。典型的に、カオリンの濃縮分散スラリーのpHは弱酸性から弱アルカリ性、例えば、6.0〜8.0であり、pH7が最適である。
【0007】
FCC法等の多くの触媒プロセスにおいて、粒子は耐損耗性を持ち、ならびに十分に多孔質でなければならない。一般的に、これらの性質のうちの一方は、他方の性質を犠牲にして達成される。例えば、所与の化学組成の粒子が著しく多孔質に配合されるとき、硬度は通常減少する。
【0008】
米国特許第5,190,902号、Demmelは、カオリンと共に噴霧乾燥法でリン酸(または他のリン酸塩化合物)の添加を活用して、後に焼成される噴霧乾燥された微粒子を生成する。幾つかの配合において、ゼオライト粒子は、噴霧乾燥器供給中に存在する。プロセスは2つの基本的な方法のうちの一方において実施される。一方の方法では、粘土粒子のスラリーは、リンの供給源と混合される前に、低pH、例えば1.0〜3.0にされ、噴霧乾燥される。他方の方法では、粘土スラリーは、リン酸塩含有化合物と混合する前に、高pHレベル(例えば14.0〜10.0)にされる。この特許の教示によれば、これらのpHの範囲の使用は、優れた耐損耗性を持つ粒子の生成のために必要である。
【0009】
共同譲渡された米国特許第5,521,133号は、噴霧乾燥焼成カオリンに基づく、改善された多孔質微粒子の形成を開示する。リン酸およびカオリンは、噴霧乾燥器の噴霧器に隣接する静的混合器への別個の流れに圧送される。リン酸は、分散した高固形分カオリンスラリーへ注入され、スラリーは噴霧乾燥器中で実質的に瞬時に液滴に噴霧される。その中で使用される「実質的に瞬時に」という用語は、約20秒未満の、好ましくは約10秒未満の時間を指す。この噴霧乾燥法は、噴霧乾燥器前の、望ましくないカオリンの凝結および凝集を排除する。
【0010】
噴霧乾燥器前のカオリンの凝結および凝集は、噴霧乾燥器供給における比較的大きな粘土粒子凝集体をもたらすであろう。これらの大きな凝集体の存在は、噴霧乾燥プロセスから生じる微粒子中における、不十分かつ不均一な、カオリン粒子の充填を引き起こす。微粒子中における不十分かつ不均一なカオリン粒子の充填は、微粒子中の、不十分な、粒子の粒子間結合につながる。これは、貧弱な耐損耗性を含む、貧弱な物理的性質に帰着する。
【0011】
対照的に、米国特許第5,521,133号のプロセスは、良好なカオリン粒子間結合ならびに優れた物理的および化学的特性を有する微粒子を提供する。例えば、特許取得済みのプロセスによって生成される微粒子は、高い耐損耗性を有する。加えて、この微粒子は、リン酸結合剤無しで噴霧乾燥され同じ温度へ焼成された、同じカオリンからの微粒子よりも、より高い多孔度を保持する。一般的に、多孔度の増加は耐損耗性の減少につながるため、この多孔度の増加は、より高い耐損耗性と相まって、驚くべきことである。十分な多孔度はまた、微粒子の物理的特性が活性ゼオライト系触媒成分を含有する微粒子のものに匹敵する必要があるため、重要であり、すなわち、非常に低いまたは非常に高い密度は望ましくない。
【0012】
米国特許第5,521,133号の原理を用いることにより調製された微粒子は、高い耐損耗性を有する触媒的に不活性な微粒子、活性分解成分(粘土スラリーへのゼオライトの添加による)、汚染物質バナジウムと優先的に反応する微粒子(MgO等の添加成分の有無に関わらず)、インサイチュゼオライトの成長のための微粒子(例えば、米国特許第4,493,902号、Brownらを参照されたい)、流動化添加剤および一酸化炭素燃焼添加剤のための触媒担体を含む、FCCにおける幾つかの用途を有する。
【0013】
上に言及されたように、FCCの石油化学プロセスによるプロピレン生成のために、触媒は、原油をガソリン等のより軽質の生成物へ分解するための塩基ゼオライトY触媒と、ガソリンオレフィンを分解するためのZSM−5触媒添加剤とから構成される。軽質オレフィンの生成を最大にするために、ZSM−5添加剤は、望ましくはガソリン範囲オレフィン分子に対する高い分解活性を有し、これはP分布およびZSM−5ゼオライトとの相互作用を、リンの前処理を通じて改善することにより達成され得る。
【0014】
Akzoによる米国特許第6,566,293号および国際公開第WO01/38460号は、亜リン酸含有化合物(≧10重量%のP
2O
5)でZSM−5を前処理し、その後150〜540℃で焼成するプロセスを開示する。P処理済ZSM−5は、10〜40%の触媒分解成分(Y)と組み合わされて、同一微粒子中にZSM−5およびYの両方を含有する二官能性触媒を形成する。
【0015】
PetroChinaによる中国特許第101537365号および中国特許第101837301号は、70〜200℃で10〜200分間、pH1〜10の水性P溶液によるP前処理によってゼオライト(ZSM−5、ベータ、Y)を修飾する水熱プロセス、それに次ぐ濾過、乾燥、および200〜800℃での0.5〜10時間の焼成について説明する。触媒は、10〜60%のP前処理ZSM−5(またはベータ)およびYと、10〜75重量%のカオリンと、10〜70%のアルミナとを組み合わせることにより調製される。
【0016】
Saudi Basic Industries Corpによる米国特許第7,507,685号、同第7,674,942号、同第7,662,737号、同第8,062,987号は、ゼオライトをリン化合物で処理して、P処理済ゼオライトを形成することにより調製されるゼオライト触媒について説明する。P処理済ゼオライトは、300℃以上の温度に加熱され、次いで無機酸化物結合剤と組み合わされてゼオライト−結合剤混合物を形成する。ゼオライト−結合剤混合物は、約400℃以上の温度に加熱されて、結合ゼオライト触媒を形成する。結合剤材料は、アルミナ含有材料である。
【0017】
Petrobrasによる米国特許第2007/0173399号は、FCC装置内での水熱非活性化に対してより耐性のあるゼオライトを獲得するためのプロセスを説明する。そのプロセスは以下のステップ、すなわち(1)低Na
2Oゼオライトを形成するステップ、(2)水蒸気(≦100%蒸気)の存在下、350℃〜550℃の間の範囲内の温度でゼオライトを処理して、ゼオライトに亜リン酸源を付着させ、その後乾燥させ、ゼオライト上のP
2O
5含有量が1%〜10重量%の間であるステップにより、特徴付けられる。実施例2に示される典型的な例は、ゼオライトがまず、変化する水蒸気含有量を持つオーブンを通る空気流中で焼成されることを指し示した。その後、蒸気焼成試料は、4時間の間80℃で、一リン酸アンモニウムの溶液で処理され、その後乾燥および焼成された。
【0018】
Exxonによる米国特許第6,080,303号は、小および中孔ゼオライト触媒の触媒活性を改善するためのプロセスを提供する。このプロセスは、ゼオライトを亜リン酸化合物で処理して、P処理済ゼオライトを形成するステップ、およびP処理済ゼオライトをAlPO4と組み合わせるステップを含む。任意に、P処理済ゼオライトは焼成される。
【0019】
Totalによる米国特許第2010/0256431号は、P修飾ゼオライトを用いる触媒オレフィン分解プロセスを提供し、ここでP修飾ゼオライトは、(1)ゼオライト(ZSM−5を含む)を選択するステップ、(2)400〜870℃の範囲の温度で、0.01〜200時間蒸気を当てるステップ、(3)有効に、ゼオライトからAlの相当な部分を除去し、少なくとも0.3重量%のPを導入する条件で、Pの供給源を含有する水性酸溶液で濾過するステップ、(4)液体から固体を分離するステップ、任意に、洗浄ステップ、あるいは任意の乾燥ステップまたは洗浄ステップが後に続く任意の乾燥ステップ、(4)焼成ステップを含むプロセスにより作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第5,190,902号
【特許文献2】米国特許第5,521,133号
【特許文献3】米国特許第4,493,902号
【特許文献4】米国特許第6,566,293号
【特許文献5】国際公開第WO01/38460号
【特許文献6】中国特許第101537365号
【特許文献7】中国特許第101837301号
【特許文献8】米国特許第7,507,685号
【特許文献9】米国特許第7,674,942号
【特許文献10】米国特許第7,662,737号
【特許文献11】米国特許第8,062,987号
【特許文献12】米国特許第2007/0173399号
【特許文献13】米国特許第6,080,303号
【特許文献14】米国特許第2010/0256431号
【発明の概要】
【0021】
本発明は、ZSM−5添加剤の触媒活性を改善するためのプロセスを提供し、このプロセスはZSM−5ゼオライトをリン化合物で処理して、リン処理済ゼオライトを形成するステップ、ならびにリン処理済ゼオライトをカオリンおよびリン化合物と組み合わせるステップを含む。リン処理済ゼオライトは、カオリンと組み合わせる前に、0〜100%の蒸気環境において650℃未満の温度で焼成される。ZSM−5添加剤は、分解触媒と組み合わされた場合、流動接触分解法によるプロピレンの生成にとって特に有用である。
【0022】
P処理済ZSM−5、カオリン、任意に反応性アルミナおよび高密度化合物は、スラリーへ形成され、このスラリーおよびリン化合物は噴霧乾燥器の前に一緒に混合されるか、あるいは噴霧乾燥器の噴霧器に隣接する静的混合物への別個の流れに圧送される。したがって、後者の場合、リン化合物は、分散した高固形分カオリンスラリーへ注入され、リン注入スラリーは噴霧乾燥器中で液滴に噴霧され、ここでリン化合物およびZSM−5/カオリンアルミナスラリーの接触時間は30秒未満である。本プロセスは、良好なカオリン粒子間結合ならびに優れた物理的および化学的特性を有する微粒子を提供する。更に、微粒子は少なくとも25重量%のZSM−5を含有し得、非反応性アルミナまたは他の高密度非反応性無機材料の添加により、高い耐損耗性を有し得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
FCC触媒は多くの場合、触媒的に活性な成分(ゼオライトYを含有する微粒子)および添加剤(ZSM−5等の、ゼオライトを伴う、または伴わない、低表面積を持つ高度に焼成されたカオリンから構成される微粒子)を含有する微粒子の混合物である。流動分解のプロセス中に、触媒成分は摩耗し、微塵を形成する。一般的に微塵の形成は望ましくないと考えられるが、2ミクロン未満の微塵が堆積物の不透明性の問題の重要な原因であり得るものの、2.6ミクロン未満の粒子(ミクロ微塵)が幾つかのFCC装置における運転上の問題につながり得るため、これら2.6ミクロン未満の粒子の形成は、特に望ましくないと考えられる。したがって、耐損耗性活性成分および添加剤の形成は、微塵の形成の低減において重要である。よって、ゼオライトYまたはZSM−5等の活性ゼオライトの、耐損耗性カオリン含有微粒子への添加が望ましい。
【0024】
ZSM−5等の活性触媒ゼオライトは、ゼオライト触媒の水性スラリーをカオリンスラリーと共に混合することにより、カオリンスラリーへ組み込まれ得る。ZSM−5が好まれるが、FCCにとって有用な他の形状選択性ゼオライトは公知であり、中間孔径(例えば、約4〜約7オングストロームの孔径)により特徴付けられる。ZSM−5の他に、ZSM−11もまた使用され得る。中間孔ZSMゼオライト触媒を調製する方法は当分野において公知である。本発明において、有機テンプレート化および非テンプレート化ZSM−5の両方が有用である。本発明に従って処理された有機テンプレート化ZSM−5は、プロピレン収率を改善することが確認されている。ZSM−5触媒は、好ましくは、10〜40重量%の固形分を含有する水性スラリー中で調製される。十分なZSM−5が提供されて、少なくとも25重量%の触媒活性成分を含有する微粒子をもたらす。少なくとも30重量%の量が好まれる。
【0025】
本発明に従って、ZSM−5ゼオライトは、カオリンスラリーと混合する前に、リン含有化合物(リン酸またはリン酸アンモニウム)で処理される。例えば、ZSM−5上の2〜10重量%の、好ましくは4〜6重量%のP
2O
5は、ZSM−5をリン化合物の溶液と混合することにより調製される。次いで、混合物を噴霧乾燥し、その後好ましくは蒸気存在下において、650℃以下で穏やかに焼成する。P処理済ZSM−5は、30〜45重量%の水性スラリーとされ、粒子の90%が3ミクロン未満になるまで媒体ミルに通される。耐損耗性ZSM−5添加剤は、P処理済ZSM−5スラリーを、60〜75%の固形分含有量を有するカオリンスラリー、ならびに好ましくは、アルファアルミナおよび分散されたベーマイトを含むアルミナの混合物と混合することにより調製される。このスラリー混合物は次いで、噴霧乾燥器に入る直前に、インラインミキサーを介してリン酸またはリン酸アンモニウム溶液(20〜30重量%濃度)を、リン酸およびカオリン/P−ZSM−5ゼオライト/アルミナの接触時間20秒未満で添加して、噴霧乾燥され得る。同様に、カオリン含有スラリーは噴霧乾燥前に、ZSM−5のスラリー、アルミナ、およびリン化合物と、数分間以上、十分に混合され得る。最終的なZSM−5添加剤は、25〜50重量%のZSM−5、10〜15重量%のP
2O
5、12〜25重量%のアルミナ、20〜35重量%のカオリンという典型的な組成を有する。
【0026】
P処理済ZSM−5スラリーをカオリンスラリーと混合する前に、反応性アルミナおよび他の高密度無機成分をP−ZSM−5スラリーへ添加することが好まれる。高密度成分は、不活性成分として特徴付けられ得、低BET表面積および高密度を有する。典型的に、触媒的スラリーへ添加される無機成分は、50m
2/g未満のBET表面積および2.8g/cc超の密度を有するであろう。好ましくは、高密度非反応性成分は、25m
2/g未満のBET表面積および3.0g/cc超の密度を有するであろう。最も好ましくは、高密度非反応性成分は、25m
2/g未満のBET表面積および3.5g/cc超の密度を有するであろう。密度により、固形材料の、20オングストローム超の直径を有する細孔を除く固形分または結晶密度が意味される。不活性成分の例としては、アルファ−アルミナ、例えばジルコニア、チタニア、ケイ酸ジルコニウム、ムライト等の無機酸化物またはケイ酸塩、炭化ケイ素等の金属炭化物、窒化ケイ素等の金属窒化物、および所望される低表面積および高密度を有する他の無機材料が挙げられる。典型的に、これらの材料は、固体状でP−ZSM−5含有スラリーへ添加され得る。不活性成分のレベルは、微粒子内の非反応性アルミナまたは他の非反応性成分の最終的なレベルが3〜25重量%、より典型的に約4〜10重量%の範囲の量となるようなレベルである。
【0027】
また、本発明の微粒子に添加されるのは、反応性アルミナ種である。これらの反応性アルミナ種は、P−ZSM−5スラリーへ添加され、50m
2/g超の総表面積(BET)を有することを特徴とする。好ましくは、約140〜400m
2/gの、より遥かに高表面積の反応性アルミナが使用され得る。これらの反応性アルミナは、典型的に、分散性ベーマイト(時に擬ベーマイトと呼ばれる)、ギブサイト、および他の遷移アルミナを含むベーマイトを含み得る。特に有用なのは、ギ酸または界面活性剤等の酸中の微粒子を形成する分散性ベーマイトである。したがって、分散性ベーマイトは、まず酸または界面活性剤の水溶液中に分散させた後、次いでP−ZSM−5触媒スラリーへ添加し得る。添加され得る反応性高表面積アルミナのレベルは、最終的な微粒子中に約2〜20重量%の反応性アルミナを提供するであろうレベルを含む。反応性アルミナの典型的な量は、4〜8重量%の範囲であろう。本発明の微粒子に添加され得、その一部を形成し得る、活性または不活性に関わらないアルミナの総重量は、少なくとも5重量%からの範囲であり、典型的に約8〜25重量%の範囲であろう。10%超の量の、カオリンまたはゼオライトのアルミナを含まない総アルミナ含有量、換言すれば添加された非反応性または反応性アルミナの形でのアルミナの量が、最も有用であることが確認され、約12〜20重量%の量も含まれる。
【0028】
リン酸は、好ましくは、水溶液として混合スラリーに添加される。したがって、リン酸濃度は5〜40重量%であり得、20〜30%の濃度が好まれる。申し分のない結果は、揮発物を含まない重量建てで表された、5〜25%のP
2O
5を分解する生成物を生成するために十分なリン酸を用いて達成された。10〜15%のP
2O
5を含有する微粒子生成物が典型的である。
【0029】
焼成は、標準的な実験室の高温オーブン中で実施し得る。代替的に、焼成は、回転炉または他の商業的規模の焼成炉で大規模に実施し得る。
【0030】
材料は、約150℃〜815℃の温度で焼成され、150℃〜680℃の範囲が好まれる。温度における時間は、焼成されている全体の塊が所望される焼成温度に到達するために十分な時間が提供されねばならないという点においてのみ重要である。したがって、サンプルが小さい場合は、適当な加熱は比較的短時間で達成され得る。
【0031】
FCC触媒(一次または添加剤)は、粉末(20〜200ミクロン)としてFCC法に添加され、一般的に供給物中に懸濁され、反応区域中で上方に推進される。比較的重い炭化水素の原料油、例えばガス油は触媒と混合されて、流動懸濁物を提供し、昇温で細長い反応器またはライザー中で分解されて、より軽い炭化水素生成物の混合物を提供する。ガス状反応生成物および消費触媒は、密閉された除去容器または除去器の上方部分内に配置された分離器、例えば、サイクロン装置中にライザーから放出され、反応生成物は生成物回収区域に運ばれ、消費触媒は除去器の下方部分内の濃厚触媒床に入る。消費触媒から同伴される炭化水素を除去した後、触媒は触媒再生装置へ運ばれる。流動化可能な触媒は、ライザーと再生器間を連続的に循環し、後者から前者へ熱を運ぶ働きをし、それにより吸熱性の分解反応の熱の需要を供給する。
【0032】
FCC主要カラムの頭上受容器からのガスは圧縮され、更なる処理、およびガソリンと軽オレフィンへの分離に導かれ、C
3およびC
4生成物のオレフィンは石油化学装置へ、またはアルキル化装置へ導かれて、1つ以上の低分子量オレフィン(通常プロピレンおよびブチレン)とイソパラフィン(通常イソ−ブタン)との反応により、オクタン価が高いガソリンを生成する。エチレンは類似の方式で回収され、追加的な石油化学装置へと処理されるであろう。
【0033】
FCC転化条件は約500℃〜約595℃、好ましくは約520℃〜約565℃、および最も好ましくは約530℃〜約550℃のライザー上部の温度、約3〜約12、好ましくは約4〜約11、および最も好ましくは約5〜約10の触媒/油の重量比、ならびに約0.5〜約15秒、好ましくは約1〜約10秒の触媒滞留時間を含む。
【0034】
本発明のZSM−5触媒は、好ましくは従来型の大孔分子篩成分を採用する分解プロセスへの添加剤として使用される。同様のことが分解プロセス以外のプロセスにも適用される。添加剤として使用されるとき、本発明の触媒は、典型的に総触媒インベントリの約0.1重量%および30重量%間の量で、より典型的に総量の約1重量%および15重量%間の量で存在する。分解触媒は有効径において約7オングストローム超の開孔を有する大孔材料である。従来型の大孔分子篩としては、ゼオライトX(米国特許第2,882,442号)、REX、ゼオライトY(米国特許第3,130,007号)、超安定Y(USY)(米国特許第3,449,070号)、希土類交換Y(REY)(米国特許第4,415,438号)、希土類交換USY(REUSY)、脱アルミニウム化Y(DeAl Y)(米国特許第3,442,792号および同第4,331,694号)、超疎水性Y(UHPY)(米国特許第4,401,556号)、ならびに/または脱アルミニウム化ケイ素強化ゼオライト、例えば、LZ−210(米国特許第4,678,765号)が挙げられる。好ましいものは、ゼオライトYのより高いシリカ形態である。ZSM−20(米国特許第3,972,983号)、ゼオライトベータ(米国特許第3,308,069号)、ゼオライトL(米国特許第3,216,789号および同第4,701,315号)、ならびにフォージャサイト、モルデナイト等の天然に存在するゼオライトもまた使用され得る(括弧内の上記の特許は全て参照により本明細書に組み込まれる)。これらの材料は、安定性を増加するために希土類での含浸またはイオン交換等の、従来型の処理に供され得る。近年の商業的慣行において、大部分の分解触媒は、これらの大孔分子篩を含有する。上に列記されたもののうちで好まれる分子篩はゼオライトY、より好ましくはREY、USY、またはREUSYである。BASF Corp.からのNaphthaMax(登録商標)触媒は、特に好適な大孔触媒である。これらのゼオライトを作製するための方法は当分野において公知である。
【0035】
他の大孔結晶分子ふるいとしては、柱状ケイ酸塩および/または粘土、例えばAlPO
4−5、AlPO
4−8、VPI−5等のアルミノリン酸塩、例えばSAPO−5、SAPO−37、SAPO−40、MCM−9等のシリコアルミノリン酸塩、ならびに他の金属アルミノリン酸塩が挙げられる。分子篩としての使用のためのメソ多孔質結晶材料は、MCM−41およびMCM−48を含む。これらは、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,310,440号、同第4,440,871号、同第4,554,143号、同第4,567,029号、同第4,666,875号、同第4,742,033号、同第4,880,611号、同第4,859,314号、同第4,791,083号、同第5,102,643号、および同第5,098,684号において様々に説明される。
【0036】
大孔分子篩触媒成分はまた、例えば耐損耗性、安定性、金属不動態化、およびコークス生成減少等の、リンまたはリン化合物に一般的に起因される任意の機能のために、リンまたはリン化合物を含み得る。
【0037】
実施例
比較例1
ZSM−5添加剤は、BASFの米国特許第7,547,813号の実施例1において説明されるものと類似の方法で調製された。SiO
2/Al
2O
3のモル比28を有するZSM−5を水でスラリー化し、90%の粒径を<3ミクロンへ粉砕して、固形分約30重量%のスラリーを得た。ZSM−5添加剤を、70重量%の含水カオリンスラリーを、30重量%のZSM−5スラリー、ならびにアルファアルミナおよび分散されたベーマイトを含むアルミナの混合物と混合することにより調製した。次いで、混合物を、噴霧乾燥器に入る直前にインラインミキサーを介してリン酸(28重量%)を添加し、噴霧乾燥した。リン酸およびカオリン/ZSM−5ゼオライト/アルミナの接触時間は、典型的に20秒未満である。次いで、添加剤を677℃で2時間焼成した。噴霧乾燥および焼成された添加剤は、表1において列挙される組成を有した。
【0038】
実施例1
この実施例の目的は、P処理済ZSM−5調製が、石油化学FCC法のための増加されたプロピレン収率を、ZSM−5添加剤に提供することを例証することである。
【0039】
SiO
2/Al
2O
3のモル比28を有するZSM−5上の、5.5重量%のP
2O
5を、ZSM−5をリン酸水溶液と混合することにより調製した。次いで、混合物を噴霧乾燥し、その後25%の蒸気存在下において、40分間593℃で穏やかに焼成した。P処理済ZSM−5は、30重量%の水性スラリーとされ、粒子の90%が3ミクロン未満になるまで媒体ミルに通された。ZSM−5添加剤を、P処理済ZSM−5を含水カオリン、ならびにアルファアルミナおよび分散されたベーマイトを含むアルミナの混合物と混合することにより調製した。次いで、このスラリー混合物を、噴霧乾燥器に入る直前に、インラインミキサーを介して28重量%のリン酸を、リン酸およびカオリン/P−ZSM−5ゼオライト/アルミナの接触時間が20秒未満で添加して、噴霧乾燥した。次いで、添加剤を677℃で2時間焼成した。最終的なZSM−5添加剤は、表1において列挙される組成(重量%)を有した。
【0041】
実施例2
上で説明された、噴霧乾燥されたZSM−5添加剤の触媒試験を、ACE(商標)流動床炭化水素分解反応器で、ガス油供給を用いて行った。触媒は76.5重量%のFCC塩基触媒および23.5重量%のZSM−5添加剤から構成された。試験前に、塩基触媒およびZSM−5添加剤の両方を、100%蒸気中816℃で15時間、別々に蒸気に当てた。70重量%の一定の転化率での結果を、重量%で表2において示す。この結果から、ZSM−5の追加的なP処理が、類似の組成を持つ添加剤のための活性およびプロピレン収率を向上させることが指し示された。
【0043】
比較例2
ZSM−5添加剤を、比較例1において説明されるものと類似の方法で調製した。噴霧乾燥および焼成された添加剤は、表3において列挙される組成を有した。
【0044】
実施例3
この実施例の目的は、小型結晶有機テンプレートおよびP処理済ZSM−5調製が、石油化学FCC法のための増加されたプロピレン収率を、ZSM−5添加剤に提供することを例証することである。
【0045】
SiO
2/Al
2O
3のモル比25を有するテンプレート化小型結晶ZSM−5上の、4.7重量%のP
2O
5を、リン酸二アンモニウムの水溶液を、有機テンプレートをまだ含有するZSM−5と混合することにより調製した。次いで、混合物を噴霧乾燥し、焼成した。焼成は、周囲温度から350℃へ1時間で徐々に上昇させ、その後350℃で1時間加熱し、次いで550℃へ1時間で徐々に上昇させ、その後550℃で2時間加熱することを含んだ。P処理済ZSM−5を、30重量%の水性スラリーとし、90%が3ミクロン未満になるまで媒体ミルに通した。ZSM−5添加剤を、P処理済ZSM−5を含水カオリン、ならびにアルファアルミナおよび分散されたベーマイトを含むアルミナの混合物と混合することにより調製した。次いで、このスラリー混合物を、噴霧乾燥器に入る直前に、インラインミキサーを介して28重量%のリン酸を、リン酸およびカオリン/P−ZSM−5ゼオライト/アルミナの接触時間が20秒未満で添加して、噴霧乾燥した。次いで、添加剤を677℃で2時間焼成した。最終的なZSM−5添加剤は、表3において列挙される組成(重量%)を有した。
【0047】
実施例4
上で説明された、噴霧乾燥されたZSM−5添加剤の触媒試験を、ACE(商標)流動床炭化水素分解反応器で、ガス油供給を用いて行った。触媒は85重量%のFCC塩基触媒、5重量%のZSM−5添加剤、および10%の不活性カオリン微粒子から構成された。試験前に、塩基触媒を100%蒸気中788℃で24時間、ならびにZSM−5添加剤を100%蒸気中816℃で15時間、蒸気非活性化した。75重量%の一定の転化率での結果を、重量%で表4において示す。この結果から、ZSM−5の追加的なP処理が、類似の組成を持つ添加剤のための活性およびプロピレン収率を向上させることが指し示された。
【0049】
比較例3
SiO
2/Al
2O
3のモル比28を有するZSM−5を水でスラリー化し、90%の粒径を<3ミクロンへ粉砕して、固形分約30重量%のスラリーを得た。ZSM−5添加剤を、70重量%の含水カオリンスラリーを、30重量%のZSM−5スラリー、ならびにアルファアルミナおよび分散されたベーマイトを含むアルミナの混合物と混合することにより調製した。この混合物を、噴霧乾燥前に、リン酸(28重量%)と十分に混合した。リン酸およびカオリン/ZSM−5ゼオライト/アルミナの接触時間は、混合効率に依存して、数分から1時間まで変化する。次いで、添加剤を677℃で2時間焼成した。噴霧乾燥および焼成された添加剤は、表5において列挙される組成を有した。
【0050】
実施例5Aおよび5B
これらの実施例の目的は、インラインのリン酸注入が無い、別のP処理済(リン酸またはリン酸二アンモニウムのいずれかによる)ZSM−5調製が、石油化学FCC法のための増加されたプロピレン収率を、ZSM−5添加剤に提供することを例証することである。
【0051】
SiO
2/Al
2O
3のモル比28を有するZSM−5ゼオライト上の、4.8および4.4重量%のP
2O
5を、リン酸水溶液またはリン酸二アンモニウム水溶液とそれぞれ混合することにより調製した。次いで、混合物を噴霧乾燥し、その後15%の蒸気存在下において、2時間500℃で穏やかに焼成した。P処理済ZSM−5を、30重量%の水性スラリーとし、90%が3ミクロン未満になるまで媒体ミルに通した。ZSM−5添加剤を、P処理済ZSM−5を含水カオリン、ならびにアルファアルミナおよび分散されたベーマイトを含むアルミナの混合物と混合することにより調製した。この混合物を、噴霧乾燥前に、リン酸(28重量%)と十分に混合した。リン酸およびカオリン/P−ZSM−5ゼオライト/アルミナの接触時間は、混合効率に依存して、数分から1時間まで変化する。次いで、添加剤を677℃で2時間焼成した。最終的なZSM−5添加剤は、表5において列挙される組成(重量%)を有した。
【0053】
実施例6
上で説明された、噴霧乾燥されたZSM−5添加剤の触媒試験を、ACE(商標)流動床炭化水素分解反応器で、ガス油供給を用いて行った。触媒は85重量%のFCC塩基触媒、5重量%のZSM−5添加剤、および10%の不活性カオリン微粒子から構成された。試験前に、塩基触媒を100%蒸気中788℃で24時間、ならびにZSM−5添加剤を100%蒸気中816℃で15時間、蒸気非活性化した。75重量%の一定の転化率での結果を、重量%で表6において示す。この結果から、ZSM−5の追加的なP処理が、類似の組成を持つ添加剤のための活性およびプロピレン収率を向上させることが指し示された。