特許第6383735号(P6383735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383735RSウイルスの抗ウイルス剤としてのキノキサリノンおよびジヒドロキノキサリノン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383735
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】RSウイルスの抗ウイルス剤としてのキノキサリノンおよびジヒドロキノキサリノン
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20180820BHJP
   C07D 403/06 20060101ALI20180820BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20180820BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20180820BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20180820BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   C07D401/14
   C07D403/06CSP
   C07D403/14
   C07D417/14
   C07D471/04 107E
   C07D471/04 120
   C07D519/00 311
   A61K31/498
   A61K31/4985
   A61K31/506
   A61K31/5377
   A61P31/14
【請求項の数】13
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2015-554164(P2015-554164)
(86)(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公表番号】特表2016-505062(P2016-505062A)
(43)【公表日】2016年2月18日
(86)【国際出願番号】EP2014051465
(87)【国際公開番号】WO2014114776
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2017年1月23日
(31)【優先権主張番号】13152915.8
(32)【優先日】2013年1月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・ユーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100162617
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ターリ,アブデラ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンケルス,ティム ヒューゴ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ラボワソン,ピエール ジャン−マリ ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ドゥマン,サミュエル ドミニク
【審査官】 新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/053344(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/080446(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/103306(WO,A1)
【文献】 特表2004−520387(JP,A)
【文献】 Combrink, Keith D 他,Respiratory syncytial virus fusion inhibitors. Part 6: An examination of the effect of structural variation of the benzimidazol-2-one heterocycle moiety,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2007年,17(17),4784-4790
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C07D
A61K
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

を満たす化合物またはそれらの立体化学的異性体もしくは互変異性体
[式中:
Xは、独立してCHまたはNであり;
Yは、NまたはN−Rであり;
は、NまたはC−Rであり;
は、NまたはC−Rであり;
は、H、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、−(CR−Rであり(ここで、nは整数3または4である)
は、H、C1〜アルキル、C〜Cシクロアルキル、CFおよびハロゲンからなる群から選択され;
は、H、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、H、ハロゲンアリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、任意に1個または複数のR10で置換され;
およびRは、各々独立して、H、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルから選択され;
は、H、ハロゲン、SO、C〜Cアルキル、CONR、COOR、OH、CN、F、CFH、CFHおよびCFからなる群から選択され;
10は、H、OH、CN、ハロゲン、CFH、CFH、CF、CONR、COOR、およびNR8、CF、CH、OCH、OCF、モルホリニルまたはハロゲンを含む群から選択された1個または複数の置換基で任意に置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択される];
または、それらの付加塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
が、ハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、−(CR−Rであり、ここで、RおよびRは、各々独立して、水素またはCHであり、nは、整数3または4であり、Rは、ハロゲン、CF、またはRがCHであるSOである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、H、ハロゲン、および1個または複数のR10で各々任意に置換された、フェニル、ピリジニル、チオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリルからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
10が、ハロゲン、およびNR8、CF、モルホリニルまたはハロゲンを含む群から選択される1個または複数の置換基で任意に置換されるC〜Cアルキルからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、各々1個のハロゲンで任意に置換されるフェニル、ピリジニル、チオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリルを含む群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が、1個または複数のFまたはSO−Meで任意に置換されるC1〜アルキルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、シクロプロピルまたはHである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
医薬として使用するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
薬学的に許容できるキャリアと、有効成分として、治療上有効量の請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物とを含む、医薬組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の医薬組成物の調製方法であって、前記方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、治療上有効量の請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物とを完全に混合する工程を含む方法。
【請求項12】
RSV複製を阻害するために薬剤として使用するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
RSV複製を阻害するための薬剤を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス活性を有するキノキサリノンおよびジヒドロキノキサリノン、具体的にはRSウイルス(RSV:respiratory syncytial virus)の複製の際に阻害活性を有するキノキサリノンおよびジヒドロキノキサリノンに関する。本発明は、さらに、これらのキノキサリノンおよびジヒドロキノキサリノン、これらの化合物を含む組成物、およびRSウイルス感染症の治療に使用される化合物の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトRSVまたはRSウイルスは、牛RSVと共にパラミクソウイルス(Paramyxoviridae)科、ニューモウイルス(pneumoviridae)亜科に属する大型のRNAウイルスである。ヒトRSVは、世界中の全年齢の人々において、様々な呼吸器疾患の原因となる。ヒトRSVは、幼児および小児期の下気道疾患の主因である。全幼児のうち半数を超える幼児が、生後1年以内にRSVに遭遇し、そしてほぼ全ての幼児が生後2年以内にRSVに遭遇する。幼児期の感染は、長年続く肺障害を誘引するこす可能性があり、晩年に慢性肺疾患(慢性喘鳴、喘息)の原因となることがある。年長児および成人は、RSV感染による(悪性の)風邪に罹ることが多い。高齢者においては、罹患率が再び増大し、RSVは、高齢者では肺炎発生に関連することが多く、結果として著しく高い死亡率となる。
【0003】
所与の部分群からのウイルスによる感染が、次の冬季に同一の部分群からのRSV単離株によるその後の感染を回避することはない。従って、2つの亜型、AとBのみが存在するにもかかわらず、RSVによる再感染が、多発する。
【0004】
現在のところ、3種の薬剤のみが、RSV感染に対しての使用に承認されている。1番目の薬剤は、リバビリン、ヌクレオシド類縁体であり、入院中の子供達における重篤なRSV感染症に対してエアロゾル治療を提供する。エアロゾルの投与経路、毒性(催奇形性のリスク)、コストおよび著しくばらつきがある効力により、その使用は、制限される。他の2種の薬剤、RespiGam(登録商標)(RSV−IG)およびSynagis(登録商標)(パリビズマブ)、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の免疫賦活剤は、予防用に使用されるように意図されている。両薬剤とも非常に高価であり、非経口投与を必要とする。
【0005】
安全でかつ有効なRSVワクチンを開発する他の試みは、これまでのところ全て失敗に終わっている。不活化ワクチンは、疾患を防御できず、実際には、その後の感染期間中に、疾患を増強させる場合もあった。弱毒性生ワクチンが、ある程度の成果を伴って試されている。RSV複製に対して有効で無毒でかつ投与し易い、薬剤が必要なことは明白である。経口投与され得る、RSV複製に対する薬剤を提供することは、特に好ましいだろう。
【0006】
ベンズイミダゾール抗ウイルス剤に関する文献は、国際公開第2012/080446号パンフレットである。ここにおける化合物は、抗RSV活性を有すると示されている。5−置換のベンズイミダゾール化合物の構造と活性の相関に関する、RSV阻害の点からの文献は、X.A.Wang et al.,Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 17(2007)4592−4598である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
抗ウイルス活性を有する新規の薬剤を提供することが望まれている。具体的には、RSV複製の阻害活性を有する新規の薬剤を提供することが望まれている。経口の抗ウイルス活性を有する化合物を見出すことがさらに望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つまたは複数の前述の要望によりうまく取り組むために、本発明は、一態様において、式I
【化1】

によって示される抗ウイルス性キノキサリノンおよびジヒドロキノキサリノン化合物またはそれらの立体化学的異性体もしくは互変異性体:
式中:
Xは、独立してCHまたはNであり;
Yは、NまたはN−Rであり;
は、NまたはC〜Rであり;
は、NまたはC〜Rであり;
は、H、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルの群から選択され;
は、−(CR−Rであり;
は、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、CFおよびハロゲンからなる群から選択され;
は、H、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、H、ハロゲンアリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、任意に1個または複数のR10
およびRは、各々独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルから選択され;
は、H、ハロゲン、SO、C〜Cアルキル、CONR、COOR、OH、CN、F、CFH、CFHおよびCFからなる群から選択され;
10は、H、OH、CN、ハロゲン、CFH、CFH、CF、CONR、COORおよびNR、CF、CH、OCH、OCF、モルホリニルまたはハロゲンを含む群から選択される1個または複数の置換基で任意に置換されるC〜Cアルキルからなる群から選択される];
または、その付加塩もしくは溶媒和物を掲示する。
【0009】
さらなる一態様において、本発明は、医薬としての使用のための式Iに基づく化合物に関する。
【0010】
別のさらなる一態様において、本発明は、薬学的に許容され得るキャリア、および活性成分として治療上有効量の式Iに基づく化合物を含む医薬組成物に関する。
【0011】
さらに別の一態様において、本発明は、本発明に基づく医薬組成物を調製するプロセスに関し、前記プロセスは、薬学的に許容され得るキャリアを治療上有効量の式Iに基づく化合物と完全に混合することを含む。
【0012】
尚さらなる一態様において、本発明は、
RSV複製を阻害するための薬剤として使用する式Iの化合物に関する。
【0013】
別の一態様において、本発明は、温血動物、好ましくはヒトにおいてRSV感染症の治療に使用するための前述の化合物に関する。さらに別の一態様において、本発明は、治療を必要とする被験体でのウイルスRSV感染症の治療法を提示し、その方法は、前記被験体に上に定義した有効量の化合物を投与することを含む。尚別の一態様において、本発明は、RSV感染症の治療において薬剤を製造するために、上に定義した化合物を使用することに関する。
【0014】
さらなる一態様において、本発明は、上に定義した化合物、および薬学的に許容され得る添加剤を含む医薬組成物に関する。
【0015】
尚さらなる一態様において、本発明は、上に定義した化合物を調製する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
式Iの分子は、従来技術を逸脱して、キノキサリノンまたはジヒドロキノキサリノン部を有する。本発明は、広義で、これらの化合物が、概して、興味深いRSV阻害活性を有するとする賢明な認識に基づく。
【0017】
本発明は、特別の実施形態に関して、および特定の実施例を参照して、さらに記載されるだろうが、本発明は、請求項によるのみ以外でそれらに限定されない。用語「comprising」が、本明細書および請求項で使用される場合、「comprising」は、他の要素も工程も排除しない。単数名詞を言及する際に不定冠詞または定冠詞(例えば「a」もしくは「an」、「the」)が用いられる場合、これには、特に明記しない限り、それらの複数形も含まれる。
【0018】
本明細書で使用される、C〜Cアルキルは、基または基の一部として、メチル、エチル、ピロピル、1−メチルエチル、ブチル、ペンチル、へキシル、2−メチルブチル等のような1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素ラジカルと定義する。
【0019】
〜C−アルコキシは、基または基の一部として、O−C〜Cアルキルラジカルを定義し、C1〜6アルキルは、独立して上述の意味を有する。
【0020】
〜Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを包含する。
【0021】
用語「アリール」は、フェニルを意味する。
【0022】
用語「ヘテロアリール」は、炭素原子、水素原子、並びに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1つまたは複数のヘテロ原子、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含む単環式または多環式芳香族環を意味する。本発明の目的において、ヘテロアリール基は、ある程度の芳香族の特徴を有することのみ必要とする。ヘテロアリール基の実例的な例には、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、(1,2,3,)−および(1,2,4)−トリアゾニル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリルおよびオキサゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、非置換であることも可能であり、または1つもしくは2個の好適な置換基で置換されることも可能である。ヘテロアリール基は、単環式環であるのが好ましく、ここで環は、2〜5個の炭素原子および1〜3個のヘテロ原子を含む。
【0023】
明細書全体で使用されるように、定義内には様々な複素環の異なる異性体が存在することに留意されたい。例えば、ピロリルは、1H−ピロリルまたは2H−ピロリルであってよい。
【0024】
本明細書で使用される用語−(CRは、CR部分群のn個の繰り返しと定義し、これらの部分群の各々は、独立して決定される。具体的には、nは、1〜6の整数である。
【0025】
用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを包含する。
【0026】
定義に使用されている任意の分子部のラジカルの位置は、化学的に安定である限り、このような部のどこでもよいことを留意されたい。
【0027】
変化するものとしての定義において用いるラジカルには、特に明記されない限り、可能な全ての異性体が含まれる。例えば、ペンチルには、1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルが含まれる。
【0028】
任意の変数が、任意の構成要素に複数回出現する場合、各定義は、独立している。
【0029】
以下に使用される場合は常に、用語「式(I)の化合物」、もしくは「本発明の化合物」または同様の用語は、一般式(I)の化合物、それらのプロドラッグ、N−酸化物、付加塩、第4級アミン、金属錯体および立体化学的異性体を含むことを意味する。
【0030】
式(I)の化合物のいくつかは、1つまたは複数のキラル中心を含有してもよく、また立体化学的異性体として存在してもよいことを理解されたい。
【0031】
前述の用語「立体化学的異性体」は、同一配列の結合によって結合している同一原子から構成されるが、異なる三次元構造を有する全ての可能な化合物と定義し、式(I)の化合物も、立体化学的異性体を有してもよい。
【0032】
特に言及または指示しない限り、化合物の化学名(chemical designation)は、前記化合物が所有し得る全ての可能な立体化学的異性体の混合物を包含する。前記混合物は、前記化合物の基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび/または鏡像異性体を含有してもよい。本発明の化合物の全ての立体化学的異性体は、その純粋な形態または互いの混合物の両方が本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0033】
本明細書に言及する化合物および中間体の純粋な立体異性体は、前記化合物または中間体の同一の基本分子構造の他の鏡像異性体またはジアステレオマー体を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性として純粋な」という表現は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(即ち、最小90%の1種の異性体と最大10%の他の可能な異性体)から100%までの立体異性体過剰率(即ち、100%の1種の異性体で他種の異性体を全く含まない)を有する化合物または中間体、さらに具体的には90%〜100%までの立体異性体過剰率を有する化合物または中間体、尚さらに具体的には、94%〜100%までの立体異性体過剰率、最も具体的には97%〜100%までの立体異性体過剰率を有する化合物または中間体に関する。「鏡像異性として純粋な」および「ジアステレオマーとして純粋な」という表現は、同様の方法で理解するべきであるが、それぞれ、該当の混合物の鏡像体過剰率、ジアステレオマー過剰率が考慮される。
【0034】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体は、当技術分野にて既知の手順を適用することにより得ることができる。例えば、鏡像異性体は、光学活性酸または塩基を用いたそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化によって、互いに分離することができる。光学活性酸の例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸である。別法として、鏡像異性体は、キラル固定相を用いたクロマトグラフ法によって分離することができる。前記純粋な立体化学的異性体は、反応が立体特異的に起こることを条件として、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体からも誘導することができる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、前記化合物は立体特異的な調製方法によって合成されるであろう。これらの方法は、鏡像異性として純粋な出発物質を使用するのが有利であろう。
【0035】
式(I)のジアステレオマーラセミ体は、従来の方法によって別々に得ることができる。有利に使用され得る適切な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0036】
式(I)の化合物のいくつかに関して、それらのプロドラッグ、N−酸化物、塩、溶媒和物、第4級アミン、または金属錯体およびそれらの調製に使用される中間体、立体化学的絶対配置は、実験で決定されなかった。当業者は、当技術分野で公知の方法(例えば、X線回折等)を用いて、このような化合物の絶対配置を決定できる。
【0037】
本発明はまた、本発明の化合物上に生じる原子の全ての同位体を含むものとする。同位体は、同一の原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。水素の同位体として、トリチウムおよび重水素が挙げられるが、一般的な例としてであってこれらに限定されない。炭素の同位体には、C−13およびC−14が挙げられる。
【0038】
治療用途には、式(I)の化合物の塩は、対イオンが薬学的に許容できるものである。しかし、薬学的に許容されない酸塩および塩基塩も、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製に用途がある場合がある。薬学的に許容されるか否かにかかわらず、全ての塩は、本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
前述および後述の薬学的に許容される酸付加塩および塩基付加塩は、式(I)の化合物が形成できる、治療活性を有する無毒の酸付加塩および塩基付加塩の形態を含むものとする。薬学的に許容される酸付加塩は、塩基形態をこのような適切な酸で処理することにより簡便に得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、および同様の酸等の無機酸;または例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(即ちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(即ちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(即ちヒドロキシルブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸、および同様の酸等の有機酸を含む。
【0040】
逆に、前記塩形態は、適切な塩基で処理することにより遊離塩基形態に変換することができる。
【0041】
酸性プロトンを含む式(I)の化合物はまた、適切な有機および無機塩基を用いた処理によって、それらの非毒性金属またはアミン付加塩形態に変換されてもよい。適切な塩基塩形態として、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、並びにアルギニン、リシン等のアミノ酸との塩が挙げられる。
【0042】
上述の用語「付加塩」は、溶媒和物も含み、式(I)の化合物およびそれらの塩も、形成できる。このような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラート等である。
【0043】
前述の用語「第4級アミン」は、式(I)の化合物が、式(I)の化合物の塩基性窒素と、例えば任意に置換されるハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化アリールアルキル(例えば、ヨウ化メチルもしくはヨウ化ベンジル)等の適切な4級化剤との反応により形成できる第4級アンモニウム塩と定義する。良好な脱離基を有する他の反応物(例、トリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキル、およびp−トルエンスルホン酸アルキル等)を使用してもよい。第4級アミンは、正に帯電した窒素を有する。
【0044】
薬学的に許容され得る対イオンとして、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセタートおよびアセタートが挙げられる。選択した対イオンは、イオン交換樹脂を使用して導入することができる。
【0045】
本発明の化合物のN−オキシドの形態は、1個またはいくつかの窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化される、式(I)の化合物を含むことを意味する。
【0046】
式(I)の化合物は、金属結合、キレート性、錯形成特性を有してもよく、従って、金属錯体しても金属キレートとしても存在してよいことを理解されたい。式(I)の化合物のこのような金属誘導体は、本発明の範囲内に含まれるように意図される。
【0047】
式(I)の化合物のいくつかは、互変異性体の形態でも存在し得る。このような形態は、上式中に明示されないが、本発明の範囲内に含まれるように意図される。
【0048】
本発明の化合物が、後述の式Iの左右部分に関して、様々な変性を示すことを理解されたい。
【0049】
本発明の全範囲から逸脱することなく、特定の実施形態は、以下にさらに詳細に考察される。
【0050】
本発明は、式Iを満たす化合物
【化2】

またはそれらの立体化学的異性体または互変異性体:[式中
Xは、独立してCHまたはNであり;
Yは、NまたはN−Rであり;
は、NまたはC−Rであり;
は、NまたはC−Rであり;
は、H、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルの群から選択され;
は、−(CR−Rであり;
は、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、CFおよびハロゲンからなる群から選択され;
は、H、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、H、ハロゲンアリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、任意に1個または複数のR10
およびRは、各々独立してH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルから選択され;
は、H、ハロゲン、SO、C〜Cアルキル、CONR、COOR、OH、CN、F、CFH、CFHおよびCFからなる群から選択され;
10は、H、OH、CN、ハロゲン、CFH、CFH、CF、CONR、COORおよびNR、CF、CH、OCH、OCF、モルホリニルまたはハロゲンを含む群から選択される1個または複数の置換基で任意に置換されるC〜Cアルキルからなる群から選択される];
またはそれらの付加塩もしくは溶媒和物に関する。
【0051】
好適な一実施形態は、Rがハロゲンである式Iの化合物を包含する。
【0052】
化合物のある部分群は、Rが任意に1個または複数のハロゲンまたはSOで置換されたC〜Cアルキルである式Iに基づく化合物に関連する。
【0053】
化合物の別の部分群は、Rが、−(CR−Rである式Iに基づく化合物に関し、ここで、RおよびRは、水素、またはCHから各々独立して選択され、nは整数3または4であり、およびRは、ハロゲン、CFまたはSO(ここで、RはCHである)である。
【0054】
本発明に基づく化合物の別の部分群は、式I(ここで、Rは、H、ハロゲン、および1個または複数のR10で各々任意に置換される、フェニル、ピリジニル、チオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリルからなる群から選択される)の化合物に関する。
【0055】
10が、ハロゲン、およびNR、CF、モルホリニルまたはハロゲンを含む群から選択される1個または複数の置換基で任意に置換されるC〜Cアルキルからなる群から選択されるのが好ましい。
【0056】
が、各々1個のハロゲンで任意に置換されるフェニル、ピリジニル、チオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリルを含む群から選択されるのが尚さらに好ましい。
【0057】
本発明に基づくさらに別の部分群において、Rは、1個または複数のFもしくはSO−Meで任意に置換されるC〜Cアルキルである。
【0058】
本発明に基づく化合物のさらなる部分群において、Rは、水素またはハロゲンであり、Rは、シクロプロピルまたはHである。
【0059】
好ましい部分群において、上述の限定のうち1つまたは複数が、組み合わせられている。
【0060】
式Iの化合物が好ましい:式中、
はハロゲンであり;
は、1個または複数のハロゲンまたはSOで任意に置換されるC〜Cアルキルであり;
は、−(CR−R(ここで、RおよびRは、各々独立して水素、またはCHから選択され、nは、整数3または4であり、およびRは、ハロゲン、CFまたはSO(Rは、CHである)である)であり;
は、−(CR−R(ここで、RおよびRは、水素であり、nは、整数4であり、Rは、フルオロまたはCFである)であり;
は、−(CR−R(ここで、RおよびRは、水素であり、nは整数4であり、およびRは、RがCHであるSOである)であり;
は、水素またはハロゲン、さらに好ましくは水素またはFであり;
は、シクロプロピルまたはHであり;
は、H、ハロゲン、およびフェニル、ピリジニル、チオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリルからなる群から選択され、各々1個または複数のR10で任意に置換されてもよい。
【0061】
本発明は、また、以下の化合物式I
【化3】

またはそれらの立体化学的異性体もしくは互変異性体:[式中、
Xは、独立してCHまたはNであり;
Yは、
【化4】

が二重結合を表す場合、Nであり、または
【化5】

が単結合を表す場合、N−Rであり;
は、NまたはC−Rであり;
は、NまたはC−Rであり;
は、ハロゲンであり;
は、−(CR−R(ここで、nは整数3または4である)であり;
は、Hおよびハロゲンからなる群から選択され;
は、C〜Cシクロアルキルであり;
は、H、ハロゲンアリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、1個もしくは2個の置換基R10任意に置換されてもよく;
およびRは、各々独立してH、またはC〜Cアルキルから選択され;
は、H、ハロゲン、SO、およびCFからなる群から選択され;
10は、H、CF、COOR、およびNRまたはモルホリニルを含む群から選択される1個の置換基で任意に置換されるC〜Cアルキルからなる群から選択され;
アリールは、フェニルであり;
ヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、またはチアゾリルから選択される];
または、それらの付加塩もしくは溶媒和物に関する。
【0062】
式Iの化合物は、以下に記載の方法により、有機化学の技術分野で公知の合成法、または当業者に既知の変性化および誘導体化を用いて、調製されることができる。本明細書で使用される出発物質は、市販されており、または当技術分野で公知の所定の方法(標準の参考文献に開示されているこれらの方法等)により、調製されてもよい。好ましい方法として、以下に記載される方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
以下の任意の合成順序の間に、関与しているいずれかの分子の感応基もしくは反応性基を保護することが、必要であることがありおよび/または望まれる場合がある。従来の保護基(例、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,John Wiley & Sons,1999(参照により本明細書に組み込まれている)に記載される保護基等)によって、これを達成できる。
【0064】
式Iの化合物、またはそれらの薬学的に許容され得る塩は、以下で本明細書において考察される反応スキームに従って、調製されることができる。特に明記しない限り、スキームにおける置換基は、上述の通りに定義される。生成物の単離および精製は、標準の手順により達成され、その手順は、当技術分野の化学者ならば既知である。
【0065】
全般的な合成スキーム
有機化学の技術分野で公知の合成法、または当業者に既知の変性化および誘導体化を用いて、式Iの化合物を以下に記載の方法で調製してよい。本明細書で使用される出発物質は、市販されており、または当技術分野で公知の所定の方法(標準の参考文献に開示されているこれらの方法等)により、調製されてもよい。好ましい方法として、以下に記載される方法が挙げられるが、これらに限定されない。以下の任意の合成順序の間に、関与しているいずれかの分子の感応基もしくは反応性基を保護することが、必要であることがありおよび/または望まれる場合がある。従来の保護基(例、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,John Wiley & Sons,1999(参照により本明細書に組み込まれている)に記載される保護基等)によって、これを達成できる。式Iの化合物、またはそれらの薬学的に許容され得る塩は、以下に本明細書において考察される反応スキームに従って、調製されることができる。特に明記しない限り、スキームにおける置換基は、上述の通りに定義される。生成物の単離および精製は、標準の手順により達成され、その手順は、通常技量の化学者ならば既知である。
【0066】
スキーム1は、式Iの化合物の調製方法を例証し、ここで、R〜R、XおよびYは、上述のように定義される。スキーム1に関して、式Iの化合物は、当技術分野で公知の方法(例、DMFまたはTHF等の好適な溶媒に溶かしたアザジイソプロピルジカルボキシラート(azadiisopropyldicarboxylate)とトリフェニルホスフィンを用いる光延反応等)において、2−ヒドロキシメチレンイミダゾピリジンII−aをキノキサリノンまたはジヒドロキノキサリノンIIIとカップリングすることにより、合成され得る。別法として、式Iの化合物は、塩基(例、DMFまたはTHF等の好適な溶媒に溶かした水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等)の存在下で、Z(Zは、ハロゲン化物、好ましくは塩素II−b、またはメシラートII−c等のスルホナートである)での置換により調製されてもよい。
スキーム1
【化6】
【0067】
化合物II−bおよびII−cの調製
アルコールII−aを塩化チオニルで処理することにより、2−クロロメチル中間体II−bが提供される。別法として、有機塩基(例、ジクロロメタン等の好適な溶媒に溶かしたトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等)の存在下でのメタンスルホニルクロリドとの反応により、アルコールII−aを中間体II−cに変換してもよい(スキーム2)。
スキーム2
【化7】
【0068】
化合物II−aの調製
式II−aの化合物は、市販されているか、またはスキーム3により例証される一般的な手順(これに限定されない)により調製され得るかのどちらかであり、式中、R、R、Xは、上述の通りに定義される。以下のスキーム3に関して、炭酸カリウム等の適切な塩基の存在下で、エタノールまたはジクロロメタン等の好適な溶媒中で、室温〜100℃の範囲の反応温度で、ハロヘテロアリールIV(ここで、Wは、ハロゲン化物、好ましくはフッ素である)を式Vの第1級アミンで処理して、式VIの化合物を得ることができる。十分に先例のある条件(例、Pd/C、または他の触媒等)を用いて、水素またはFe/EtOH/CaCl下で、ニトロ基を水素化して、式VIIのジアミンを得ることができる。別法として、十分に先例のある条件(例、Pd/C、または他の触媒等)を用いて、水素またはFe/EtOH/CaCl下で化合物VIIIのニトロ基を水素化して、式IXのジアミンを得て、それを好適な還元剤(例、塩化メチレン、DMFまたはTHF等の溶媒に溶かしたNaBH(OAc)、またはNa(CN)BH等)の存在下ほぼ室温で式Xのアルデヒドで処理することにより、式VIIの化合物を得ることができる。塩酸水溶液等の強酸の条件下、還流等の昇温で、ジアミンVIIをグリコール酸またはXIIIのようなエステルで処理することにより、イミダゾール環を形成して、式II−aのアルコールを得ることができる。別法として、酢酸の存在下メタノール等の好適な溶媒中でジアミンVIIを式XIIのジアルコキシアセタートと縮合して、アセタールII−eを得ることができる。塩酸のような酸で化合物II−eのアセタールを除去して、式II−fのアルデヒドを得ることができる。好適な還元剤(例、エタノールまたはTHF等の好適な溶媒中に溶かしたNaBHまたはLiAlHを用いて、得られた式II−fのアルデヒドをアルコールに還元して、式II−aの所望のアルコールを得ることができる。さらに、マイクロ波加熱を使用もしくは使用しないで昇温させて、ジアミンVIIをエタノール等の好適な溶媒に溶かした式XIのシュウ酸ジアルキルと環化して、式II−dのイミダゾールを生成できる。別法として、ジアミンVIIから出発する2工程の合成において、式II−dの化合物を調製してもよい。最初に、酸性媒体、好ましくは酢酸中25〜50℃の範囲の温度で、ジアミンVIIをアルキルトリハロアセトイミダート、好ましくはメチル2,2,2−トリクロロアセトイミダートと反応させて、式II−gの化合物を得てもよい。2番目に、式II−gの化合物とメタノール等の好適な溶媒中での炭酸金属塩、好ましくは炭酸ナトリウムとの反応により、式II−dの化合物を生じる。好適な還元剤(例、エタノールまたはTHF等の好適な溶媒に溶かしたNaBHまたはLiAlH等)を用いて、化合物II−dを続いて式II−aの所望のアルコールに還元できる。
スキーム3
【化8】
【0069】
タイプII−aの化合物を調製するための代替の経路をスキーム4に表す。最初に塩酸水溶液等の強酸の条件下、還流等の昇温で、ジアミンIXをグリコール酸アルキルまたはXIIIのようなエステルに結合させて、式XIVのアルコールを得てもよい。このアルコールは、PG(PGはトリチル(これに限定されない)等の保護基である)により、保護されて、結果として化合物XVとなり得る。このタイプの反応に好適な溶媒は、ジクロロメタンであるが、これに限定されない。塩基(例、DMFまたはTHF等の好適な溶媒に溶かした水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等)の存在下で、化合物XVを化合物XVIで処理(ここで、LGはハロゲン化物、好ましくは臭素またはスルホナート等の脱離基である)することにより、化合物II−hを得る。ジオキサン等の(これに限定されない)溶媒の存在下での塩酸等の酸の存在下で、化合物II−h中のPGを除去して、化合物II−aを得てもよい。
スキーム4
【化9】
【0070】
キノキサリノンおよびピリドピラジノンの合成をスキーム5に示す。スキーム5に示す手順を用いて、化合物IIIを合成することができる。パラジウムまたはプラチナ等の触媒の存在下、メタノール等の好適な溶媒中で水素を用いる触媒方式において、または濃塩酸が存在する下での塩化アンモニウムまたは塩化スズの存在下で鉄を用いる化学量論的方式において、式XXIIの市販のニトロアミノ化合物を式XXIIIのビス−アミノ化合物に還元できる。沸騰する溶媒(例、エタノールまたはイソプロパノール等)中で、式XXIIIの得られたジアミン化合物を式XXIVのアルキル2−オキソアセタート化合物と縮合することにより、式IIIの化合物キノキサリノンおよびピリドピラジノンを得る。
スキーム5
【化10】
【0071】
ジヒドロピリドピラジノンの合成をスキーム6に示す。エタノールまたはブタノール等の好適な溶媒中で、式XVIIのエステル化合物のW(ここで、Wはハロゲン化物、好ましくは臭素または塩素)を式XVIIのアミン化合物と置換することにより、式XIXの化合物を得る。トルエン等の好適な溶媒中で、炭酸セシウムまたは炭酸カリウム等の無機塩基の存在下で、式XIXの化合物と式XXの中間体のハロニトロ化合物(ここで、Xは、ハロゲン化物、好ましくはフッ素、またはアルコキシ基、好ましくはメトキシである)とを縮合して、化合物XXIを得る。塩化アンモニウムの存在下で鉄を用いる、または濃塩酸の存在下で塩化スズを用いる化学量論的方式において、ニトロ基の還元を行い、式IIIの環化化合物を得る。
スキーム6
【化11】
【0072】
式XXIVの化合物の調製
本発明に使用される出発物質XXIIは、市販されており、または当技術分野で公知の方法(例、ライサート(Reissert)合成またはフィッシャー合成等)(これに限定されない)により合成されることができ、このようなインドールとR−LG(ここで、LGはハロゲン化物、好ましくは臭素、またはスルホナート等の脱離基である)との塩基(例、DMFまたはTHF等の好適な溶媒に溶かされた水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等)の存在下での反応により、式XXIIIの化合物を得る(スキーム7)。THF、メタノールまたはエタノール等の好適な溶媒に溶かした金属水素化物(例、水素化アルミニウムリチウムまたは水素化ホウ素ナトリウム等)を用いて、式XXIIIのアルキルエステル化合物の、式XXIVのアルコールへの変換を実施した。
スキーム7
【化12】
【0073】
三価窒素をそのN−酸化物形態に変換するための当技術分野で既知の手順に従って、式(I)の化合物を対応するN−酸化物の形態に変換してもよい。前記N酸化反応は、一般的に、式(I)の出発物質を、適切な有機または無機過酸化物と反応させることによって実施されてよい。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物(例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム)を含み;適切な有機過酸化物は、ペルオキシ酸(例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換のベンゼンカルボペルオキソ酸(例えば、3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸)、ペルオキソアルカン酸(例えば、ペルオキソ酢酸)、アルキルヒドロペルオキシド(例えば、t.ブチルヒドロ−ペルオキシド)など)を含み得る。好適な溶媒は、例えば、水、低級アルコール(例えば、エタノール等)、炭化水素(例えば、トルエン)、ケトン(例えば、2−ブタノン)、ハロゲン化(炭化水素例えば、ジクロロメタン)、およびこのような溶媒の混合物である。
【0074】
式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体は、当技術分野において既知の手順を適用することにより得てもよい。ジアステレオマーは、選択的結晶化およびクロマトグラフィー法、例えば、向流分配、液体クロマトグラフィー等の物理的方法によって、分離されてもよい。
【0075】
前述の方法で調製される式(I)の化合物は、一般的に鏡像異性体のラセミ混合物であり、それらを当技術分野で既知の分割法に従って互いに分離することができる。十分に塩基性または酸性である式(I)のラセミ化合物は、それぞれ好適なキラル酸、キラル塩基との反応によって、対応するジアステレオマー塩の形態に変換されてもよい。その後、前記ジアステレオマー塩の形態は、例えば、選択的または分別結晶化により続いて分離され、アルカリまたは酸によりそれから鏡像異性体が遊離する。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代替の方法には、液体クロマトグラフィー、具体的にはキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーが含まれる。前記純粋な立体化学的異性体は、反応が立体特異的に起こることを条件として、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学異性体からも誘導されてもよい。好ましくは、特定の立体異性体が所望されるならば、前記化合物は、立体特異的な調製方法によって合成されるであろう。これらの方法は、鏡像異性として純粋な出発物質を使用するのが有利であろう。
【0076】
さらなる一態様において、本発明は、本明細書に特定される式(I)の治療上有効量の化合物、または本明細書に特定される式(I)の化合物の任意の部分群の化合物および薬学的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物に関する。本明細書における治療上有効量は、感染した被験体または感染するリスクのある被験体において、ウイルス感染症(具体的にはRSVウイルス感染症)に対して予防的に作用するのに十分な量、ウイルス感染症を安定化または低減するのに十分な量である。尚さらなる一態様において、本発明は、本明細書に特定される医薬組成物を調製するプロセスに関し、そのプロセスは、薬学的に許容され得るキャリアを、治療上有効量の、本明細書に特定される式(I)の化合物と、または本明細書に特定される式(I)の化合物の任意の部分群の化合物とを完全に混合することを含む。
【0077】
従って、本発明の化合物またはその任意の実施形態は、投与目的のために様々な医薬形態に処方されてもよい。適切な組成物として、薬剤の全身投与のために通常使用される全ての組成物を挙げてもよい。本発明の医薬組成物を調製するために、有効量の、活性成分としての特定の化合物、任意選択で付加塩形態または金属錯体を、薬学的に許容され得るキャリアと組み合わせて密な混合物とし、このキャリアは、投与に所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとり得る。これらの医薬組成物は、特に経口、直腸内、経皮投与、または非経口注射による投与に好適な単位剤形が望ましい。例えば、組成物を経口剤形に調製する際、縣濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤等の経口液体製剤の場合、例えば、水、グリコール、油、アルコール等の任意の通常の医薬媒体を使用することができ;または、散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合、澱粉、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、錠剤崩壊剤等の固体キャリアを使用してもよい。投与が容易であるため、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口単位剤形となり、その場合、固体医薬キャリアが当然採用される。非経腸組成物の場合、キャリアは、通常、少なくとも大部分が滅菌水を含むであろうが、例えば溶解性を補助するために他の成分を含む場合もある。例えば、キャリアが生理食塩水溶液、ブドウ糖溶液、または生理食塩水とブドウ糖溶液との混合物を含む注射液が調製されてもよい。注射縣濁液を調製してもよく、その場合、適切な液体キャリア、懸濁化剤等を使用してもよい。また、使用直前に液体形態の製剤に変換することを意図した固体形態の製剤も含まれる。経皮投与に好適な組成物においては、キャリアは、浸透促進剤および/または好適な湿潤剤を、任意選択的に、少ない割合で任意の性質の好適な添加剤と組み合わせて含み、これらの添加剤は、有意な有害作用を皮膚に及ぼすものではない。
【0078】
本発明の化合物はまた、この方法による投与のための当技術分野において採用される方法および製剤により、経口吸入または吹送によって投与されてもよい。従って、一般に、本発明の化合物は、溶液剤、懸濁剤または乾燥散剤の形態で肺に投与されてもよく、溶液剤が好ましい。経口吸入または吹送を介しての溶液剤、縣濁剤または乾燥散剤の送達のために開発されたいかなるシステムも、本発明の化合物の投与に適切である。
【0079】
従って、本発明はまた、吸入または吹送による経口投与に適応し、式(I)の化合物および薬学的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物を提供する。本発明の化合物は、噴霧またはエアロゾルにした用量において、溶液剤の吸入を介して投与されるのが好ましい。
【0080】
前述した医薬組成物を、投与を容易にし、投与量を均一にするために、単位剤形に製剤化することが特に有利である。本明細書で使用する単位剤形とは、単位投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬キャリアと共同して所望の治療効果を生じるよう計算された所定量の有効成分を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(分割錠剤または被覆錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、坐薬、粉末小包、オブラート剤(wafers)、注射用溶液または縣濁液等、および分離されたそれらの集まりである。
【0081】
式(I)の化合物は、抗ウイルス性を示す。本発明の化合物およびその方法を使用して治療可能なウイルス感染症として、オルトミクソウイルスおよびパラミクソウイルス、そして具体的には、ヒトおよび牛RSウイルス(RSV)によって引き起こされるこれらの感染症が挙げられる。本発明の化合物の多くは、さらに、RSVの変異型株に対して活性である。さらに、本発明の化合物の多くは、薬物動態的に有利な特徴を示し、生物学的利用能の観点から魅力的な特性を有しており、その特性として、許容できる半減期、AUC値およびピーク値、かつ不都合な事象(例、不十分な速やかな発現および組織保持等)の不在が挙げられる。
【0082】
本発明の化合物のRSVに対するin vitroでの抗ウイルス活性は、本明細書の実験部門に記載する試験において試験され、ウイルス産出量減少のアッセイにおいて実証され得る。本発明の化合物のRSVに対するin vitroでの抗ウイルス活性は、Wydeらによる(Antiviral Research(1998),38,31−42)に記載されるコトンラットを用いる試験モデルで実証され得る。
【0083】
式(I)の化合物またはそれらの任意の実施形態、それらのプロドラッグ、N−酸化物、付加塩、第4級アミン、金属錯体および立体化学的異性体が、ウイルス感染症、具体的にはRSV感染症を経験する個体の治療、およびこれらの感染症の予防に有用であるのは、それらの抗ウイルス性、具体的にはそれらの抗RSV特性によるものである。一般的に、本発明の化合物は、ウイルス、具体的にはRSウイルスに感染した温血動物の治療に有用であり得る。
【0084】
本発明の化合物またはそれらの任意の実施形態は、従って、医薬として使用され得る。前記の医薬としての使用または治療法は、ウイルス感染した被験体またはウイルス感染症に感染しやすい被験体に、ウイルス感染症(具体的にはRSV感染症)に伴う状況に対処するのに有効な量の全身投与を含む。
【0085】
本発明は、ウイルス感染症(具体的にはRSV感染症)の治療または予防用の薬剤の製造における本発明の化合物またはそれらのいずれかの実施形態の使用にも関する。
【0086】
本発明は、さらに、ウイルス(具体的にはRSV)に感染した温血動物、またはウイルス(具体的にはRSV)による感染のリスクのある温血動物を治療する方法に関し、前記方法は、本明細書に特定される式(I)の化合物の、または本明細書に特定される式(I)の化合物の任意の部分群の化合物の抗ウイルスに有効な量の投与を含む。
【0087】
一般に、抗ウイルス剤として有効な一日当たりの量は、0.01mg/kg〜500mg/kg体重、さらに好ましくは0.1mg/kg〜50mg/kg体重であろうと考えられる。必要な用量を2、3、4またはそれより多い副用量として、一日において適切な間隔で投与することが適切であり得る。前記副用量は、例えば、単位剤形当たり1〜1000mg、特に、5〜200mgの活性成分を含有する単位剤形として製剤化され得る。
【0088】
正確な投与量および投与頻度は、当業者に周知のように、使用される式(I)の特定の化合物、治療される特定の症状、治療される症状の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、障害の程度および全身健康状態、ならびにその個体が摂取している可能性がある他の医薬に依存する。さらに、前記有効な1日の量が、治療される被験体の応答に応じて、および/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、減少または増加されてもよいことが明らかである。従って、前述の有効1日量の範囲は、ガイドラインに過ぎない。
【0089】
また、別の抗ウイルス剤と式(I)の化合物の組み合わせも、医薬として使用できる。従って、本発明はまた、抗ウイルス治療での同時使用、別々の使用または逐次使用のための組み合わせ製剤として、(a)式(I)の化合物、および(b)別の抗ウイルス性化合物を含有する生成物に関する。薬学的に許容可能なキャリアと一緒に単一の製剤中に、種々の薬剤を組み合わせてもよい。例えば、本発明の化合物は、RSV感染症を治療または予防するために、インターフェロンベータまたは腫瘍壊死因子アルファと組み合わされてもよい。
【0090】
本発明は、下記に、以下の非限定の実施例に関して例証されるだろう。
【0091】
実験部門
中間体の合成:
エチル1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[4,3−b]ピラジン−3(4H)−オン4の合成
【化13】
【0092】
工程1:エチル2−(シクロプロピルアミノ)アセタート2の合成
エタノール(1500mL)に溶かした市販のシクロプロピルアミン(348.6g、6736.5ミリモル、4.5当量)を0℃で撹拌した。エチルブロモアセタート1(250g、1497ミリモル、1当量)を滴下した。混合物を20℃まで温めて、1時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタンに溶解させ、水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。170gの表題の中間体2を単離した(収率:79%)。
【0093】
工程2:エチル2−(シクロプロピル(3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)アセタート3の合成
市販の4−クロロ−3−ニトロピリジン(80g、504.6ミリモル、1当量)、エチル2−(シクロプロピルアミノ)アセタート2(75.9g、529.8ミリモル、1.05当量)およびトルエン(800mL)に溶かした炭酸セシウム(197.3g、605.5ミリモル、1.2当量)を12時間還流した。混合物を濾過した。溶媒を真空下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル:1/1)により精製した。50gの表題の中間体3を得た。(収率:37.4%)
【0094】
工程3:エチル1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[4,3−b]ピラジン−3(4H)−オン4の合成
THF(500mL)、メタノール(500mL)および水(500mL)中に入れた、中間体3(50g、188.5ミリモル、1当量)と、鉄(42.1g、754ミリモル、4当量)と、塩化アンモニウム(40.3g、754ミリモル、4当量)との混合物を100℃で3時間撹拌した。混合物を濾過した。有機溶媒を真空下で除去した。飽和NaHCO水溶液をpH=9になるまで加えた。混合物をCHClで抽出した(2000mL×5)。有機層を併せて塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をt−ブチルメチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥した。25.5gの表題の中間体4を得た。(収率:71.5%)
【0095】
7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン6および6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン7の合成
【化14】
【0096】
工程1:4−フルオロベンゼン−1,2−ジアミン5の合成
メタノール(1000mL)に溶かした市販の4−フルオロ−2−ニトロアニリン(50g、320ミリモル)の溶液を、触媒として50%のPd/C(10g)を用い、20℃(1気圧)で24時間水素化した。H(3当量)を付加した後、触媒を濾別して、濾液を溶媒留去した。黒色の粉末として49gの表題の中間体5を得た(収率純度80%)。
【0097】
工程2:7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン6および6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン7の合成
エタノール(500mL)に溶かした4−フルオロベンゼン−1,2−ジアミン5(49g、320ミリモル)の溶液を25℃で撹拌した。混合物を0℃まで冷却した。エチル2−オキソアセタート(24.48g、240ミリモル)を加えて、0.5時間0℃で撹拌した。混合物を撹拌し、3時間120℃で還流した。混合物を真空下で溶媒留去した。ジクロロメタン(500mL)を加え、混合物を0.5時間、25℃で撹拌した。沈殿物を濾別した。その固体をテトラヒドロフラン(300mL×2)で洗浄し、メタノール(300mL×2)で洗浄した。濾液を真空下で蒸発乾固した。残渣をメチルtーブチルエーテル(100mL)で洗浄した。中間体6と中間体7の(50/50)混合物5.8gを茶色の粉末として得た(収率11.24%)。
【0098】
ピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オン9およびピリド[4,3−b]ピラジン−2(1H)−オン10の合成
【化15】
【0099】
工程1:ピリジン−3,4−ジアミン8の合成
メタノール(500mL)とTHF(500mL)の混合物に溶かした市販の3−ニトロピリジン−4−アミン(50g、395ミリモル)を触媒として10%のPd/C(5g)を用いて、10℃(1気圧)で24時間水素化した。H(3当量)を付加した後、触媒を濾別して、濾液を溶媒留去した。38gの表題の中間体8を得た(収率97%)。
【0100】
工程2:ピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オン9およびピリド[4,3−b]ピラジン−2(1H)−オン10の合成
中間体ピリジン−3,4−ジアミン8(15g、137ミリモル)をエタノール(300mL)に溶解させた。エチル2−オキソアセタート(30g、150ミリモル)を10℃で加えた。混合物を撹拌し、120℃で3時間還流した。この反応混合物を室温まで冷却した。この固体をCHOH(2×100mL)で洗浄し、真空下で溶媒留去した。中間体9と中間体10の混合物(50/50)16gを単離した(収率40%)。
【0101】
ピラジノ[2,3−d]ピリダジン−2(1H)−オン14の合成
【化16】
【0102】
工程1:3,6−ジクロロ−5−ニトロピリダジン−4−アミン11の合成
濃HSO(60mL)に溶かした発煙HNO(12mL、290ミリモル、3.15当量)の溶液に0℃で、市販の3,6−ジクロロピリダジン−4−アミン(15g、92ミリモル、1当量)を滴下した。混合物を60℃で3時間撹拌した。反応混合物を砕氷中に注意深く注ぎ、NaOH水溶液でpH=7になるまで中和した。溶液をCHClで抽出し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去した。残渣をt−ブチルメチルエーテルで洗浄して、純粋な中間体11(8.5g、45%収率)を得た。
【0103】
工程2:ピリダジン−4,5−ジアミニウムクロリド12の合成
MeOH(1000mL)に溶かした中間体11(17g、81.7ミリモル、1当量)の混合物にPd/C(5%、5g)を加えた。溶液を25℃、H(50psi)雰囲気下で一晩撹拌した。触媒を珪藻土パッドで濾過した。溶媒を真空下で除去した。中間体12(15g、粗収率100%)を単離した。
【0104】
工程3:ピリダジン−4,5−ジアミン13の合成
MeOH(150mL)およびCHCl(150mL)中に中間体12(15g、82ミリモル、1当量)を溶かした混合物に、炭酸カリウム(22.6g、164ミリモル、2当量)を加えた。その溶液を室温で一晩撹拌した。溶液を濾過し、濾液を真空下で濃縮し、中間体13を単離した(9g、収率95%)。
【0105】
工程4:ピラジノ[2,3−d]ピリダジン−2(1H)−オン14の合成
EtOH(240mL)に溶かした中間体13(4.6g、41.8ミリモル、1当量)とエチル2−オキソアセタート(10.2g、50.1ミリモル、1.2当量、トルエン中50%)の混合物を80℃で一晩撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をCHCN中で3時間還流した後、濾過して純粋な中間体14(3.07g、収率49.7%)を得た。
【0106】
2−(クロロメチル)−5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール16の合成
【化17】

30mLのジクロロメタンに溶かしたアルコール溶液15(国際公開第2002/026228 A1号パンフレットに記載の手順に従って調製した)(363mg、1.414ミリモル)を10mLのジクロロメタンに溶かした塩化チオニル(336mg、2当量)の溶液に滴下した。反応混合物を45℃で1時間撹拌した。次に、それを真空下で濃縮して、HCl塩として所望の中間体16(440mg、99%)を得て、それを次の工程でそのまま使用した。
【実施例】
【0107】
7−ブロモ−1−{[5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾイミダゾール2−イル]メチル}キノキサリン−2(1H)−オンP1の合成
【化18】

2−(クロロメチル)−5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンズイミダール酸クロリド塩16(4g、13.5ミリモル)を100mLのDMFに室温で溶解させた。7−ブロモキノキサリン−2(1H)−オン(CAS82031−32−1)、(3.05g、13.5ミリモル、1当量)とCsCO(13g、40ミリモル、3当量)をその溶液に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。次に、反応混合物を水で希釈しジクロロメタンで抽出した。有機物を併せて、MgSOで乾燥させ、溶媒留去した。溶離液としてNHHCOの0.25%水溶液、そしてCHCN溶液を用いて、残渣を(RP Vydac Denali C18−10μm、200g、5cm)での分取高速液体クロマトグラフィー(分取HPLC)により精製した。溶媒留去して減圧乾燥させた後、3gの生成物P1(48%)を得た。
LCMS m/z=447(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δppm 1.70−1.91(m,4H)4.39(t,J=7.65Hz,2H)4.49(dt,J=47.18,5.27Hz,2H)5.70(s,2H)7.06(td,J=9.10,2.38Hz,1H)7.24−7.30(m,1H)7.43(dd,J=9.29,2.51Hz,1H)7.48(dd,J=8.53,2.01Hz,1H)7.73(d,J=8.53Hz,1H)8.35(s,1H)8.38(d,J=2.01Hz,1H)
【0108】
化合物P2〜P8を合成する一般的手順
【化19】

水/ジオキサン(1/1)に溶かした7−ブロモ−1−{[5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾイミダゾール2−イル]メチル}キノキサリン−2(1H)−オンP1(1当量)の溶液に、マグネチックスターラーを備える密閉したマイクロ波バイアル内のNaCO(2.2当量)、ボロン酸またはボロン酸エステル(1.5当量)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0.2当量)を加えた。100℃で30分間、反応にマイクロ波照射を施した。反応混合物を水で希釈して、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を併せてMgSOで乾燥させて、溶媒留去した。溶離液としてNHHCOの0.25%水溶液、そしてCHCN溶液を用いて、残渣を(RP Vydac Denali C18−10μm、200g、5cm)での分取HPLCにより精製して最終化合物(10〜30%の収率)を得た。
【0109】
1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−7−(4−(2−モルホリノエチル)フェニル)キノキサリン−2(1H)−オンP2
【化20】

LCMS m/z=558(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.71−1.84(m,4H)2.51−2.60(m,4H)2.63−2.70(m,2H)2.84−2.93(m,2H)3.72−3.82(m,4H)4.32−4.42(m,3H)4.51(t,J=5.40Hz,1H)5.85(s,2H)7.06(td,J=9.10,2.38Hz,1H)7.24−7.29(m,1H)7.35(d,J=8.28Hz,2H)7.45(dd,J=9.16,2.38Hz,1H)7.59(dd,J=8.41,1.63Hz,1H)7.66(d,J=8.03Hz,2H)7.90(d,J=8.28Hz,1H)8.34(s,1H)8.57(d,J=1.76Hz,1H)
【0110】
1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−7−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)キノキサリン−2(1H)−オンP3
【化21】

LCMS m/z=513(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.69−1.91(m,4H)4.34−4.44(m,3H)4.52(t,J=5.30Hz,1H)4.55−4.55(m,0H)5.85(s,2H)7.06(td,J=9.00,2.26Hz,1H)7.27−7.31(m,1H)7.45(dd,J=9.03,2.26Hz,1H)7.61(dd,J=8.28,1.76Hz,1H)7.77(br.d,J=8.30Hz,2H)7.85(br.d,J=8.30Hz,2H)7.95(d,J=8.28Hz,1H)8.38(s,1H)8.67(d,J=1.76Hz,1H)
【0111】
7−(2,4−ジメチルチアゾール−5−イル)−1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)キノキサリン−2(1H)−オンP4
【化22】

LCMS m/z
=480(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.71−1.84(m,4H)2.49(s,3H)2.72(s,3H)4.35−4.44(m,3H)4.52(t,J=5.27Hz,1H)5.78(s,2H)7.05(td,J=9.03,2.51Hz,1H)7.24−7.28(m,1H)7.37−7.42(m,2H)7.88(d,J=8.28Hz,1H)8.29(d,J=1.76Hz,1H)8.35(s,1H)
【0112】
1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−7−(1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オンP5
【化23】

LCMS m/z=517(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.72−1.89(m,4H)4.02(s,3H)4.36−4.49(m,3H)4.51−4.59(m,1H)5.77(s,2H)6.69(s,1H)7.07(td,J=9.00,2.51Hz,1H)7.26−7.31(m,1H)7.32(dd,J=9.03,2.51Hz,1H)7.43(dd,J=8.16,1.63Hz,1H)7.98(d,J=8.28Hz,1H)8.41(s,1H)8.43(d,J=1.51Hz,1H).
【0113】
1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−7−フェニルキノキサリン−2(1H)−オンP6
【化24】

LCMS m/z=445(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.67−1.84(m,4H)4.28−4.43(m,3H)4.45−4.55(m,1H)5.85(s,2H)7.05(td,J=9.30,2.51Hz,1H)7.25−7.28(m,1H)7.41−7.47(m,2H)7.48−7.54(m,2H)7.61(dd,J=8.53,2.01Hz,1H)7.69−7.76(m,2H)7.90(d,J=8.53Hz,1H)8.36(s,1H)8.58(d,J=1.76Hz,1H)
【0114】
7−(3−((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)−1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)キノキサリン−2(1H)−オンP7
【化25】

LCMS m/z=502(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.69−1.84(m,4H)2.31(s,6H)3.55(s,2H)4.29−4.43(m,3H)4.51(t,J=5.52Hz,1H)5.87(s,2H)7.07(td,J=9.00,2.76Hz,1H)7.24−7.29(m,1H)7.32−7.39(m,1H)7.45(t,J=7.65Hz,1H)7.49(dd,J=9.29,2.26Hz,1H)7.57−7.65(m,2H)7.71(br.s,1H)7.90(d,J=8.28Hz,1H)8.35(s,1H)8.60(d,J=1.76Hz,1H)
【0115】
1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−7−(ピリジン−4−イル)キノキサリン−2(1H)−オンP8
【化26】

LCMS m/z=446(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.72−1.85(m,4H)4.34−4.44(m,3H)4.50−4.55(m,1H)5.86(s,2H)7.07(td,J=9.30,2.26Hz,1H)7.27−7.30(m,1H)7.45(dd,J=9.16,2.38Hz,1H)7.62−7.68(m,3H)7.97(d,J=8.28Hz,1H)8.40(s,1H)8.71−8.79(m,3H)
【0116】
7−フルオロ−1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)キノキサリン−2(1H)−オンP9および6−フルオロ−1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)キノキサリン−2(1H)−オンP10の合成
【化27】

2−(クロロメチル)−5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンズイミダール酸クロリド塩16(1g、3.38ミリモル)を室温で100mLのDMFに溶解させた。7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン6と6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン7の混合物(666mg、4ミリモル、1.2当量)およびCsCO(3.3g、10ミリモル、3当量)をその溶液に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。次に、反応混合物を水で希釈して、ジクロロメタンで抽出した。有機物を併せて、MgSOで乾燥した。溶媒を除去し、溶離液としてNHHCOの0.25%水溶液、そしてCHCN溶液を用いて、残渣を(RP Vydac Denali C18−10μm、200g、5cm)での分取HPLCによりおよび超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により、精製して最終化合物P9(350mg、26%)およびP10(420mg、30%)を得た。
【0117】
7−フルオロ−1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)キノキサリン−2(1H)−オンP9
【化28】

LCMS m/z=387(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.69−1.85(m,2H),1.86−1.97(m,2H),4.38−4.49(m,3H),4.57(t,J=5.8Hz,1H),5.72(s,2H),7.06−7.15(m,1H),7.23−7.36(m,2H),7.59−7.70(m,2H),7.95(dd,J=8.9,6.1Hz,1H),8.30(s,1H)
【0118】
6−フルオロ−1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)キノキサリン−2(1H)−オンP10
【化29】

LCMS m/z=387(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.67−1.84(m,2H),1.85−1.95(m,2H),4.39−4.49(m,3H),4.57(t,J=5.8Hz,1H),5.73−5.82(m,2H),7.11(td,J=9.3,2.5Hz,1H),7.31(dd,J=9.8,2.3Hz,1H),7.55(td,J=8.8,3.0Hz,1H),7.64(dd,J=8.9,4.6Hz,1H),7.70−7.80(m,2H),8.41(s,1H)
【0119】
1−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)ピリド[3,4−b]ピラジン−2(1H)−オンP11
出発物質として中間体16およびピリド[4,3−b]ピラジン−2(1H)−オン10を用いて、化合物P9に類似した反応プロトコルにより化合物P11を調製した。
【化30】

LCMS m/z=370(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.70−1.87(m,2H),1.87−1.99(m,2H),4.37−4.51(m,3H),4.58(t,J=5.9Hz,1H),5.73(s,2H),7.12(td,J=9.3,2.5Hz,1H),7.31(dd,J=9.8,2.3Hz,1H),7.60−7.70(m,2H),8.42(s,1H),8.61(d,J=5.8Hz,1H),9.05(s,1H)
【0120】
1−シクロプロピル−4−((5−フルオロ−1−(4−フルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−1,2−ジヒドロピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オンP12
出発物質として中間体16およびエチル1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[4,3−b]ピラジン−3(4H)−オン4を用いて、化合物P9に類似した反応プロトコルにより化合物P12を調製した。
【化31】

LCMS m/z=412(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 0.66(m,J=3.6,1.6Hz,2H),0.94(m,J=6.5,1.8Hz,2H),1.67−1.84(m,2H),1.87(m,J=7.3Hz,2H),2.34−2.42(m,1H),4.04(s,2H),4.24−4.33(m,2H),4.42(t,J=5.6Hz,1H),4.53(t,J=5.5Hz,1H),5.42(s,2H),6.98−7.05(m,2H),7.22(dd,J=8.9,4.4Hz,1H),7.38(dd,J=9.4,2.4Hz,1H),8.16(d,J=5.3Hz,1H),8.62(s,1H)
【0121】
7−ブロモ−1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)キノキサリン−2(1H)−オンP13の合成
【化32】
【0122】
工程1:6−クロロピリジン−2,3−ジアミン17の合成
【化33】

酢酸エチル(450mL)とtert−ブタノール(50mL)の混合物に、6−クロロ−3−ニトロピリジン−2−アミン(CAS 27048−04−0)(15g、86.42ミリモル)、塩化第一スズ脱水物(CAS 10025−69−1)(97.5g、432.1ミリモル)を加えた。得られた混合物を60℃で1時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(1.63g、43.21ミリモル)を加え、混合物を60℃でさらに3時間撹拌した。混合物を冷却し、ロータリーエバポレーターでEtOAcを留去した。得られた残渣を水(350mL)で希釈し、炭酸カリウム水溶液を加えて、pH=9〜10に中和した。得られた混合物をEtOAc(3×250mL)で抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒留去した。EtOAc/ヘプタン1/1の混合液中で、残渣を72時間撹拌した。沈殿物を濾過し、真空中で2時間乾燥させた。緑色を帯びた粉末として中間体17を回収した(9.32g、75%)。
m/z=144(M+H)
【0123】
工程2:6−クロロ−N−イソペンチルピリジン−2,3−ジアミン18の合成
【化34】

中間体17(5g、34.82ミリモル)をジクロロメタン(200mL)に溶解させて、酢酸(20滴)および4−メチルペンタナール(3g、34.8ミリモル、CAS 1119−16−0)を加えた。得られた混合物を30分間撹拌した後、ナトリウムトリアセトキシ−ハイドロボラート(22.14g、104.5ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、ガスの発生が止むまで50%のNaCO溶液を滴下した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。ヘプタン/EtOAc7/3から純EtOAcを用いてカラムクロマトグラフィーにより、残渣を精製した。化合物18を白色固体として回収し、一晩、減圧乾燥させた(4.8g、65%)
m/z=214(M+H)
【0124】
工程3:(5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メタノール19の合成
【化35】

中間体18(4.8g、22.46ミリモル)と2−ヒドロキシ酢酸(4.27g、56.2ミリモル)の混合物を150℃で4時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させて、3Nの塩酸で注意深く処理した。得られた混合物をアンモニア水で塩基性にして、CHCl(300mL)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥して、蒸発乾固した。CHClからEtOAcまでを用いてシリカカラムクロマトグラフィーにより、残渣を精製した。生成物19を茶色固体として単離した(3.5g、61%)。
m/z=255(M+H)
【0125】
工程4:5−クロロ−2−(クロロメチル)−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン塩酸20の合成
【化36】

出発物質として中間体19を用いて、中間体16に類似した反応プロトコルにより中間体20を調製した。
【0126】
工程5:7−ブロモ−1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)キノキサリン−2(1H)−オンP13の合成
【化37】

出発物質として中間体20および7−ブロモキノキサリン−2(1H)−オン(CAS82031−32−1)を用いて、化合物P1に類似した反応プロトコルにより化合物P13を調製した。
LCMS m/z=460(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 0.92−1.15(m,6H),1.60(br.s.,2H),1.70−1.89(m,1H),4.40(br.s.,2H),5.68(br.s.,2H),7.16−7.35(m,1H),7.48(d,J=7.8Hz,1H),7.62(d,J=8.0Hz,1H),7.72(d,J=7.8Hz,1H),8.18(br.s.,1H),8.31(br.s.,1H).
【0127】
出発物質として化合物P13および種々のボロン酸を用いて、化合物P2に類似した反応プロトコルにより化合物P14〜P18を調製した。
【0128】
1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)−7−(ピリジン−4−イル)キノキサリン−2(1H)−オンP14
【化38】

LCMS m/z=459(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.01(d,J=6.53Hz,6H)1.47−1.58(m,2H)1.68−1.79(m,1H)4.30−4.53(m,2H)5.84(s,2H)7.16−7.31(m,2H)7.59−7.68(m,3H)7.97(d,J=8.28Hz,1H)8.37(s,1H)8.54(d,J=1.76Hz,1H)8.74−8.78(m,2H).
【0129】
1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)−7−(チオフェン−3−イル)キノキサリン−2(1H)−オンP15
【化39】

LCMS m/z=464(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 0.97(d,J=6.53Hz,6H)1.28−1.48(m,2H)1.63−1.78(m,1H)4.21−4.47(m,2H)5.87(s,2H)7.23(d,J=8.53Hz,1H)7.48(dd,J=5.14,2.89Hz,1H)7.58−7.63(m,3H)7.76(dd,J=3.01,1.51Hz,1H)7.86(d,J=8.28Hz,1H)8.32(s,1H)8.53(d,J=1.76Hz,1H)
【0130】
tert−ブチル2−(4−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)−3−オキソ−3,4−ジヒドロキノキサリン−6−イル)−1H−ピロール−1−カルボキシラートP16
【化40】

LCMS m/z=547(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.01(d,J=6.53Hz,6H)1.43(s,9H)1.48−1.55(m,2H)1.67−1.76(m,1H)4.35−4.44(m,2H)5.78(s,2H)6.29(t,J=3.26Hz,1H)6.40(dd,J=3.26,1.76Hz,1H)7.23(d,J=8.28Hz,1H)7.34−7.38(m,2H)7.61(d,J=8.28Hz,1H)7.83(d,J=8.28Hz,1H)8.11(d,J=1.51Hz,1H)8.33(s,1H)
【0131】
1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)−7−(ピリミジン−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オンP17
【化41】

LCMS m/z=460(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.04(d,J=6.53Hz,6H)1.55−1.67(m,2H)1.70−1.81(m,1H)4.40−4.51(m,2H)5.81(s,2H)7.24(d,J=8.28Hz,1H)7.59(dd,J=8.28,2.01Hz,1H)7.62(d,J=8.28Hz,1H)8.02(d,J=8.28Hz,1H)8.38(s,1H)8.40(d,J=1.76Hz,1H)9.10(s,2H)9.29(s,1H)
【0132】
1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)−7−(4−フルオロフェニル)キノキサリン−2(1H)−オンP18
【化42】

LCMS m/z=476(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.01(d,J=6.53Hz,6H)1.45−1.54(m,2H)1.67−1.77(m,1H)4.36−4.46(m,2H)5.85(s,2H)7.19−7.26(m,3H)7.57(dd,J=8.28,1.76Hz,1H)7.61(d,J=8.28Hz,1H)7.70−7.75(m,2H)7.92(d,J=8.28Hz,1H)8.34(s,1H)8.40(d,J=1.76Hz,1H).
【0133】
出発物質として中間体20および(7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン6と6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン7)との混合物を用いて、化合物P9およびP10に類似した反応プロトコルにより、化合物P19およびP20を調製した。
【0134】
1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)−7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP19
【化43】

LCMS m/z=400(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.01(d,J=6.8Hz,6H),1.50−1.60(m,2H),1.73(m,J=6.5Hz,1H),4.36−4.47(m,2H),5.70(s,2H),7.04−7.12(m,1H),7.23(d,J=8.3Hz,1H),7.62(d,J=8.3Hz,1H),7.82−7.90(m,2H),8.27(s,1H)
【0135】
1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)−6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP20
【化44】

LCMS m/z=400(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.00(d,J=6.8Hz,5H),1.44−1.54(m,2H),1.65−1.77(m,1H),4.37−4.46(m,2H),5.78(s,2H),7.24(d,J=8.3Hz,1H),7.35(m,J=1.5Hz,1H),7.56(dd,J=8.3,3.0Hz,1H),7.61(d,J=8.3Hz,1H),8.26(dd,J=9.4,4.6Hz,1H),8.37(s,1H)
【0136】
1−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)ピリド[4,3−b]ピラジン−2(1H)−オンP21
出発物質として中間体20およびピリド[4,3−b]ピラジン−2(1H)−オン10を用いて、化合物P9に類似した反応プロトコルにより、P21を調製した。
【化45】

LCMS m/z=483(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.00(d,J=5.5Hz,6H),1.64−1.84(m,3H),4.36−4.55(m,2H),5.79(s,2H),7.35(d,J=8.3Hz,1H),7.68(d,J=5.8Hz,1H),8.17(d,J=8.5Hz,1H),8.44(s,1H),8.63(d,J=5.8Hz,1H),9.07(s,1H)
【0137】
4−((5−クロロ−1−イソペンチル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オンP22
出発物質として中間体20およびエチル1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[4,3−b]ピラジン−3(4H)−オン4を用いて、化合物P9に類似した反応プロトコルにより、P22を調製した。
【化46】

LCMS m/z=424(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 0.66(m,J=3.5,1.8Hz,2H),0.94(m,J=6.5,1.5Hz,2H),1.01(d,J=6.5Hz,6H),1.61−1.76(m,3H),2.35−2.42(m,1H),4.03(s,2H),4.23−4.31(m,2H),5.41(s,2H),7.03(d,J=5.5Hz,1H),7.20(d,J=8.3Hz,1H),7.58(d,J=8.3Hz,1H),8.15(d,J=5.3Hz,1H),8.40(s,1H)
【0138】
4−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オンP23の合成
【化47】

中間体3−(メチルスルホニル)プロパン−1−アミンヒドロクロリド25の合成
【化48】
【0139】
工程1:3−(メチルスルホニル)プロパン−1−オール22の合成
3−(メチルチオ)プロパン−1−オール(200g、1900ミリモル、CAS 505−10−2)をCHCl(2000mL)に溶解させた。混合物を0℃まで冷却した。水に溶かしたm−CPBA85%(970g、5700ミリモル、CAS 937−14−4)を0〜5℃の温度を保ちながら一滴ずつ加えた。添加後、混合物を25℃まで温めて、15時間撹拌した。セライトパッドを介して、混合物を濾過した。フラッシュカラム(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=3:1そして次に酢酸エチル:メタノール=10:1)により、濾液を精製して、中間体22(75g、29%)を得た。
【0140】
工程2:1−ブロモ−3−(メチルスルホニル)プロパン23の合成
中間体22(75g、543ミリモル)をCHCl(750mL)に溶解させた。混合物を0℃まで冷却した。三臭化リン(53.6mL、570ミリモル)を0〜5℃の温度を保ちながら滴下した。添加後、混合物を25℃まで温めて、15時間撹拌した。混合物を氷水の中に注いだ。分離した有機層を塩水で洗浄し(2×500mL)、NaSOで乾燥して、濾過して、真空下で溶媒留去して、表題の化合物23(77g、71%)を得た。
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 2.25−2.40(m,2H)2.91(s,3H)3.1−3.2(m,2H)3.5−3.6(m,2H).
【0141】
工程3:N−(ジフェニルメチレン)−3−(メチルスルホニル)プロパン−アミン24の合成
中間体23(27g、134ミリモル)をCHCN(60mL)に溶解させた。ジフェニルメタンイミン(27g、148ミリモル)およびDIEA(19.6g、152ミリモル)を加えた。混合物を4時間還流した後、室温まで冷却した。混合物を25℃で50%の酢酸水溶液で中和した。水(80mL)を加えた。混合物を酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。有機層を併せて、塩水で洗浄して、NaSOで乾燥して、濾過し、真空下で溶媒留去した。残渣を石油エーテル(4×100mL)で洗浄した。混合物をメチルtert−ブチルエーテルで処理した。固体を回収して、石油エーテルで洗浄した。濾液を真空下で乾燥した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl:酢酸エチル1:0〜10:1)により精製した。白色固体として表題の化合物24を得た(34g、85%)。
【0142】
工程4:3−(メチルスルホニル)プロパン−1−アミンヒドロクロリド25の合成
中間体24(34g、113ミリモル)をジオキサン(600mL)に溶解させた。混合液を0〜5℃まで冷却し、4NのHCl/ジオキサンの溶液(120mL、480ミリモル)を滴下した。添加後、混合物を25℃まで温めて、15時間撹拌した。混合物を濾過した。固体を回収して、ジオキサンで洗浄した。黄色の粉末として表題の生成物25を得た(11.5g、50%)。
【0143】
工程5:4−ブロモ−N−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−2−ニトロアニリン27の合成
【化49】

4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロベンゼン26(7.6g、35ミリモル)と、3−(メチルスルホニル)プロパン−1−アミンヒドロクロリド25(6g、35ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(13.5g、105ミリモル)との混合物をエタノール(70mL)に溶解させて、14時間還流した。反応混合物を20℃まで冷却した。沈殿物を濾過し、エタノールで洗浄した。橙色粉末として11g(94%)の中間体27を得た。
LCMS m/z=337(M+H)
【0144】
工程6:4−ブロモ−N−(3−(メチルスルホニル)プロピル)ベンゼン−1,2−ジアミン28の合成
【化50】

中間体27(10g、29.7ミリモル)をメタノール(200mL)、EtOAc(200mL)およびTHF(200mL)に入れて、触媒としてRaney Ni(10g)を用いて、20℃(1気圧)で3時間、水素化した。H(3当量)を付加した後、触媒を濾別し、濾液を溶媒留去した。黒色固体として、10g(90%)の化合物28を得た。
LCMS m/z=307(M+H)
【0145】
工程7:5−ブロモ−2−(ジエトキシメチル)−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール29
【化51】

中間体28(10g、29.7ミリモル)とメチルジエトキシアセタート(9.2g、68.31ミリモル)を、エタノール(13.5g、38.5ミリモル)に溶かした24wt%のカリウムエタノラート中で撹拌し、一晩還流した。混合物を真空下で溶媒留去した。水(200mL)を加えた。酢酸を加えて、混合物を中和した。混合物を酢酸エチルで抽出した(2×100mL)。有機層を併せて、飽和NaHCO、塩水で洗浄して、NaSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去して、暗色の油として12.3g(90%)の化合物29を得た。
LCMS m/z=419(M+H)
【0146】
工程8:(5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノール30の合成
【化52】

THF(100mL)に中間体29(12.3g、29.3ミリモル)を入れて、0.5時間、20℃で撹拌して、溶解させた。濃HCl(21mL)とHO(42mL)を加えた。混合物を6時間還流した後、−10℃まで冷却した。CHOH(50mL)を加えた後、NaBH(24g、629ミリモル)を注意深く添加した。混合物を0.5時間、10℃で撹拌し、真空下で濃縮した。水(200mL)を加えた。混合物を酢酸エチルで抽出した(2×100mL)。有機層を併せて、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄し(2×5mL)、真空下で乾燥した。オフホワイトの固体として、6.8g(60%)の中間体30を得た。
LCMS m/z=347(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.20(dq,J=7.8,7.5Hz,2H),2.98(s,3H),3.16−3.24(m,2H),4.42(t,J=7.4Hz,2H),4.73(d,J=6.0Hz,2 H),5.73(t,J=5.8Hz,1H),7.42(dd,J=8.7,1.9Hz,1H),7.63(d,J=8.5Hz,1H),7.79−7.83(m,1H)
【0147】
工程9:5−ブロモ−2−(クロロメチル)−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールヒドロクロリド31の合成
【化53】

30mLのジクロロメタンにアルコール30(363mg、1.414ミリモル)を溶かした溶液に、10mLのジクロロメタンに塩化チオニル(336mg、2当量)を溶かした溶液を滴下した。反応混合物を1時間45℃で撹拌した。次に、それを真空下で濃縮して、HCl塩として所望の中間体31(440mg、99%)を得て、それを次の工程でそのまま使用した。
【0148】
工程10:4−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オンP23の合成
【化54】

5−ブロモ−2−(クロロメチル)−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−H−ベンズイミダゾール酸クロリド塩31(500mg、1.2ミリモル)を20mLのDMFに室温で溶解させた。1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロピリド[3,4−b]ピラジン−3(2H)−オン4(235mg、1.2ミリモル、1当量)およびCsCO(1.2g、3.7ミリモル、3当量)をその溶液に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。次に、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機物を併せてMgSOで乾燥させ、溶媒留去し、溶離液としてNHHCOの0.25%水溶液、およびCHCN溶液を用いて(RP Vydac Denali C18−10μm、200g、5cm)での分取HPLCにより精製した。溶媒留去して減圧下で乾燥させた後、4−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オンP23(184mg、28%)を得た。
LCMS m/z=518(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.52−0.73(m,2H)0.81−0.96(m,2H)2.19(quin,J=7.47Hz,2H)2.42−2.48(m,1H)3.00(s,3H)3.19−3.29(m,2H)4.05(s,2H)4.46(t,J=7.40Hz,2H)5.44(s,2H)7.09(d,J=5.27Hz,1H)7.41(dd,J=8.53,1.76Hz,1H)7.63(d,J=8.53Hz,1H)7.77(d,J=2.01Hz,1H)8.07(d,J=5.52Hz,1H)8.21(s,1H)
【0149】
1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP24および1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP25の合成
【化55】

5−ブロモ−2−(クロロメチル)−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−ベンズイミダゾール酸クロリド塩31(300mg、0.75ミリモル)を20mLのDMFに室温で溶解させた。7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン6と6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン7との混合物(比率:1/1)(123mg、0.75ミリモル、1当量)およびCsCO(13g、40ミリモル、3当量)をその溶液に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。次に、反応混合物を水で希釈して、酢酸エチルで抽出した。有機物を併せて、MgSO4で乾燥させ、溶媒留去した。得られた残渣を、溶離液としてNHHCOの0.25%水溶液、そしてCHCN溶液を用いて(RP Vydac Denali C18−10μm、200g、5cm)での分取HPLCにより精製した。溶媒留去して減圧下で乾燥させた後、44mgのP24(12%)および44mg(12%)のP25を別々に得た。
【0150】
1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP24
LCMS m/z=493(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 2.27−2.40(m,2H)3.00(s,3H)3.16(t,J=6.90Hz,2H)4.50−4.63(m,2H)5.68(s,2H)7.11(dd,J=2.51,1.00Hz,1H)7.29(d,J=8.78Hz,1H)7.42(dd,J=8.78,1.76Hz,1H)7.82−7.91(m,3H)8.28(s,1H)
【0151】
1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP25
LCMS m/z=493(M+H)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ ppm 2.22−2.39(m,2H)2.99(s,3H)3.16(t,J=7.03Hz,2H)4.51−4.64(m,2H)5.73(s,2H)7.29(d,J=8.78Hz,1H)7.34−7.45(m,2H)7.60(dd,J=8.41,2.89Hz,1H)7.87(d,J=1.76Hz,1H)8.14(dd,J=9.41,4.64Hz,1H)8.37(s,1H)
【0152】
4−((5−クロロ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オンP26の合成
【化56】

出発物質として中間体32およびエチル1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[4,3−b]ピラジン−3(4H)−オン4を用いて、化合物P23に類似した反応プロトコルにより、化合物P26を調製した。
LCMS m/z=475(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.59−0.68(m,2H),0.84−0.93(m,2H),2.13−2.25(m,2H),2.43−2.48(m,1H),3.01(s,3H),3.21−3.28(m,2H),4.05(s,2H),4.47(t,J=7.4Hz,2H),5.44(s,2H),7.10(d,J=5.5Hz,1H),7.30(dd,J=8.5,2.0Hz,1H),7.63(d,J=2.0Hz,1H),7.67(d,J=8.5Hz,1H),8.07(d,J=5.5Hz,1H),8.22(s,1H)
【0153】
4−((5−クロロ−1−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[3,4−b]ピラジン−3(4H)−オンP27の合成
【化57】

出発物質として中間体33およびエチル1−シクロプロピル−1,2−ジヒドロピリド[4,3−b]ピラジン−3(4H)−オン4を用いて、化合物P23に類似した反応プロトコルにより、化合物P27を調製した。
LCMS m/z=464(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.56−0.65(m,2H),0.84−0.94(m,2H),1.97(t,J=7.8Hz,2H),2.31−2.45(m,3H),4.04(s,2H),4.41(t,J=7.5Hz,2H),5.44(s,2H),7.10(d,J=5.5Hz,1H),7.29(dd,J=8.5,2.0Hz,1H),7.63(d,J=1.8Hz,1H),7.68(d,J=8.5Hz,1H),8.07(d,J=5.5Hz,1H),8.23(s,1H)
【0154】
1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メチル)−7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP28および1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メチル)−6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP29の合成
【0155】
工程1:エチル5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−カルボキシラートP34の合成
【化58】

エチル5−ブロモ−1H−インドール−2−カルボキシラート(CAS16732−70−0)(2.3g、8.6ミリモル)をDMF(50mL)に溶解させた。混合物を室温で撹拌した後、鉱油(0.52g、12.8ミリモル)に溶かした水素化ナトリウム60%縣濁液を加えた。得られた混合物を室温で1時間撹拌した後、1−ブロモ−3−(メチルスルホニル)プロパン23(2.6g、12.8ミリモル)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩撹拌した。混合物を氷/水溶液中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮して、茶色の粗オイルを得た。ジクロロメタン/メタノールを用いてカラムクロマトグラフィーにより、原油を精製して、白色固体として表題の中間体34(3.2g、96%)を得た。
m/z=389(M+H)
【0156】
工程2:(5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メタノール35の合成
【化59】

THF(100mL)に溶かした中間体34(3.2g、8.24ミリモル)の溶液に、室温で水素化アルミニウムリチウム(2MのTHF溶液、5.2mL、10.4ミリモル)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩撹拌した。酢酸エチルおよびエタノールを加えて、反応混合物を急冷させた。得られた混合物を氷/水溶液に注いだ後、セライト上で濾過した。水層を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。有機抽出物を併せて、塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。溶離液としてジクロロメタン/メタノールを用いてカラムクロマトグラフィーにより、残渣を精製した。白色固体として中間体35を回収した(2.5g、88%)。
m/z=347(M+H)
【0157】
工程3:1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メチル)−7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP28および1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メチル)−6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP29の合成
【化60】

中間体35(1g、2.7ミリモル)、トリフェニルホスフィン(0.87g、3.3ミリモル)および中間体6と中間体7の混合物(0.546g、3.3ミリモル)をドライTHF(100mL)中で撹拌した溶液に、DIAD(94%、0.8mL、4.16ミリモル)を室温で滴下した。反応混合物を一晩撹拌した。反応が終了した後、混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチル/ヘプタンで溶出した後、酢酸エチルで溶離してカラムクロマトグラフィーにより精製し、異性体の混合物をSFCにより分離した。
【0158】
1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メチル)−7−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP28
【化61】

LCMS m/z=493(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δppm 2.18(quin,J=7.6Hz,2H),3.02(s,3H),3.23 −3.29(m,2H),4.45(t,J=7.6Hz,2H),5.64(s,2H),5.91(s,1H),7.26(dd,J=8.7,2.0Hz,1H),7.29(td,J=8.6,2.6Hz,1H),7.51(dd,J=10.9,2.6Hz,1H),7.54(d,J=8.8Hz,1H),7.75(d,J=1.9Hz,1H),7.97(dd,J=8.9,6.1Hz,1H),8.32(s,1H)
【0159】
1−((5−ブロモ−1−(3−(メチルスルホニル)プロピル)−1H−インドール−2−イル)メチル)−6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンP29
【化62】

LCMS m/z=493(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 2.18(quin,J=7.6Hz,2H),3.03(s,3H),3.23−3.29(m,2H),4.46(t,J=7.6Hz,2H),5.68(s,2H),5.91(s,1H),7.26(dd,J=8.7,2.0Hz,1H),7.50−7.54(m,1H),7.54(d,J=8.8Hz,1H),7.56(d,J=1.8Hz,1H),7.59(dd,J=9.4,4.8Hz,1H),7.77(dd,J=8.9,2.9Hz,1H),8.42(s,1H)
【0160】
抗ウイルス活性
黒色96ウェルのクリアボトムのマイクロタイタープレート(Corning,Amsterdam,The Netherlands)に、特注生産したロボット系を用いて、最終体積が50μlの培地[フェノールレッドを含有しないRPMI培地、10%のFBS、0.04%のゲンタマイシン(50mg/mL)および0.5%のDMSO]中の4倍希釈液の一連の化合物の充填を2重反復試験で行った。次に、マルチドロップディスペンサー(Thermo Scientific,Erembodegem,Belgium)を用いて、培地に入れた100μlのHeLa細胞縣濁液(5×10細胞/mL)を各々のウェルに添加した後、培地に入れた50μlのrgRSV224(MOI=0.02)ウイルスを添加した。rgRSV224ウイルスは、付加GFP遺伝子(Hallakら、2000年)を含む改変ウイルスであり、NIH(Bethesda,MD,USA)からの導入品であった。培地、ウイルス感染および偽感染の対照は、各試験に含まれる。37℃で5%のCO雰囲気において細胞をインキュベートした。MSMレーザ顕微鏡(Tibotec,Beerse,Belgium)により、細胞でのGFP発現を測定することにより、ウイルス暴露3日後のウイルスの複製を定量した。GFP発現に対する50%の阻害濃度として、EC50を定義した。並行して、化合物を3日間、一連の白色96ウェルのマイクロタイタープレート(Corning)においてインキュベートし、ATPliteキット(PerkinElmer,Zaventem,Belgium)を用いて、製造者の使用説明書に従って、細胞のATP量を測定することにより、HeLa細胞中の化合物の細胞毒性を決定した。CC50細胞毒性に対する50%濃度と定義した。
【0161】
【表1】
【0162】
【表2】
【0163】
【表3】
【0164】
【表4】
【0165】
【表5】
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 式I
【化63】

を満たす化合物またはそれらの立体化学的異性体もしくは互変異性体
[式中:
Xは、独立してCHまたはNであり;
Yは、NまたはN−Rであり;
は、NまたはC−Rであり;
は、NまたはC−Rであり;
は、H、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、−(CR−Rであり;
は、H、C1〜アルキル、C〜Cシクロアルキル、CFおよびハロゲンからなる群から選択され;
は、H、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、H、ハロゲンアリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、任意に1個または複数のR10で置換され;
およびRは、各々独立して、H、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルから選択され;
は、H、ハロゲン、SO、C〜Cアルキル、CONR、COOR、OH、CN、F、CFH、CFHおよびCFからなる群から選択され;
10は、H、OH、CN、ハロゲン、CFH、CFH、CF、CONR、COOR、およびNR8、CF、CH、OCH、OCF、モルホリニルまたはハロゲンを含む群から選択された1個または複数の置換基で任意に置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択される];
または、それらの付加塩もしくは溶媒和物。
[2] Rが、ハロゲンである、[1]に記載の化合物。
[3] Rが、−(CR−Rであり、ここで、RおよびRは、各々独立して、水素またはCHであり、nは、整数3または4であり、Rは、ハロゲン、CF、またはRがCHであるSOである、[1]または[2]に記載の化合物。
[4] Rが、H、ハロゲン、および1個または複数のR10で各々任意に置換された、フェニル、ピリジニル、チオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリルからなる群から選択される、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物。
[5] R10が、ハロゲン、およびNR8、CF、モルホリニルまたはハロゲンを含む群から選択される1個または複数の置換基で任意に置換されるC〜Cアルキルからなる群から選択される、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物。
[6] Rが、各々1個のハロゲンで任意に置換されるフェニル、ピリジニル、チオフェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリルを含む群から選択される、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物。
[7] Rが、1個または複数のFまたはSO−Meで任意に置換されるC1〜アルキルである、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
[8] Rが、シクロプロピルまたはHである、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物。
[9] 医薬として使用するための、[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物。
[10] 薬学的に許容できるキャリアと、有効成分として、治療上有効量の[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物とを含む、医薬組成物。
[11] [10]に記載の医薬組成物の調製方法であって、前記方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、治療上有効量の[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物とを完全に混合する工程を含む方法。
[12] RSV複製を阻害するために薬剤として使用するための、[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物。
[13] RSV複製を阻害するための薬剤を製造するための、[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物の使用。