(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383759
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】果実支持体用支持具
(51)【国際特許分類】
A01G 9/12 20060101AFI20180820BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20180820BHJP
A01G 22/05 20180101ALI20180820BHJP
【FI】
A01G9/12 E
A01G9/02 103R
A01G1/00 301H
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-135290(P2016-135290)
(22)【出願日】2016年7月7日
(65)【公開番号】特開2018-160(P2018-160A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】原田 卓摩
【審査官】
坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−220942(JP,A)
【文献】
特表2003−520156(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0045786(US,A1)
【文献】
特開2007−283908(JP,A)
【文献】
特開2003−111522(JP,A)
【文献】
特開2005−287355(JP,A)
【文献】
特開2008−022797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/02
A01G 9/12
A01G 22/05
A47C 7/54
B25B 13/22
B25B 13/36
B25B 13/46
B66D 3/14
F16D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管材を組んで形成される架台上に設けられる栽培ベッドで栽培され、当該栽培ベッドの側方へ成長して垂れ下がる果実を、下方から支持するための果実支持体を、当該栽培ベッドの側部に支持するための支持具であって、
前記金属管材に固定される取り付け部材と、基端側において当該取り付け部材に枢軸周りに角度調整自在に枢支され栽培ベッドの側方へ延出して上面に前記果実支持体を支持する腕部材と、当該腕部材と前記取り付け部材との枢軸周りの相対回転を拘束又は許容する係脱操作部材と具備し、
前記取り付け部材は、前記金属管材への取り付け部と、軸受け部とを具備し、
前記腕部材は、前記取り付け部材の軸受け部と水平方向に対向する軸部と、当該軸部から延出する腕部とを具備し、
前記取り付け部材の軸受け部は、水平方向の軸挿通孔と、当該軸挿通孔の周りに形成される垂直の係合面とを具備し、
前記腕部材の軸部は、前記取り付け部材の軸挿通孔に軸周り相対回転及び軸方向相対移動自在に嵌合する軸筒部と、当該軸筒部の周りに形成され前記取り付け部材の垂直係合面に対面する垂直係合面とを具備し、
前記係脱操作部材は、前記軸筒部の先端側に固着されるばね受け部材と、当該ばね受け部材と前記軸受け部との間に介設されるように、一端が軸挿通孔の段部に係止され、他端がばね受け部材に係止され、当該軸受け部の垂直係合面と前記軸部の垂直係合面とを接合させる方向に付勢するばねとを具備し、
前記取り付け部材及び前記腕部材の垂直係合面は、それぞれ相互の枢軸周りの所定の相互回転角度毎に軸方向に係脱する複数の係合歯を具備し、
前記取り付け部材側から前記ばね受け部材をばね力に抗して押し込んで、前記係合歯の相互係合を解いた状態で、前記取り付け部材に対する前記腕部材の延出角度を調整自在に構成されることを特徴とする果実支持体用支持具。
【請求項2】
前記取り付け部材の取り付け部は、垂直に配置される前記金属管材の上端に差し込んで前記架台に固定するように前記軸受け部から垂直下方へ延出する差し込み脚部と、水平に配置される前記金属管材を把持して前記架台に固定するように 前記軸受け部の側部に形成される把持部とを具備し、
前記差し込み脚部又は前記把持部のいずれかにより前記架台に固定可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の果実支持体用支持具。
【請求項3】
前記架台を構成する垂直の金属管材を把持する管把持部と、把持状態における当該管把持部から水平に突出する円柱状接続突部とを具備する付加取り付け部材をさらに具備し、
前記取り付け部材の把持部は、前記付加取り付け部材の円柱状接続突部を把持可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載の果実支持体用支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台上に設けられる栽培ベッドで栽培されるイチゴなどの植物の結果枝が、栽培ベッドから垂れ下がらないように設けられる果実支持体を、栽培ベッドの側部に支持するための支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、架台上に設けられる栽培ベッドでイチゴなどの植物を栽培する高設栽培と称される栽培方法が知られている。高設栽培においては、結果枝が成長することにより栽培ベッドの側方へ垂れ下がる果実を、下方から支持して保護するためのネットやワイヤのような果実支持体が、栽培ベッドの側部に沿って敷設される。
この果実支持体を支持するための器具として、特許文献1に記載されたものが知られている。この器具は、全体が略L字型で、その一辺の基端部が架台へ取り付けられる取り付け部であり、他辺が果実支持体を上面で支持する緩やかな湾曲状の支持腕である。支持腕の両端部に、ピンを脱着するためのピン穴を備える。ピン穴にピンを差し止めて、張り渡された果実支持体を固定する。シートやネット等の果実支持体を破損無く、簡便且つ低コストで支持し、張り直し、張り具合の再調整を可能とする。
特許文献2には、栽培ベッドの側部に張設される玉乗せシートやネット、ワイヤ類を支持する玉受支持部材が記載されている。玉受支持部材は、湾曲膨出した上面と平坦な下面とを備えた断面下弦月形状の玉受部を備え、この玉受部の基端部に栽培ベッド支持部材に回動可能に取り付けできる取付把持部を備える。下面の中間部から斜め下方へ長さ調整可能な支持腕部が突出する(
図8参照)。支持腕部は、腕本体内に伸縮腕をスライド可能に嵌合して構成され、伸縮させることにより、玉受支持部材の傾斜角度を適宜調整する。日照角度や果実の成長度に合わせて玉受部の傾斜角度を調整し、果実の生育を促進させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−287355号公報
【特許文献2】特開2003−111522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2において、玉受支持部材を角度調整するための支持腕は、その先端を栽培ベッドのいずれかの部位に当接させる必要がある。ところが、栽培ベッドの構造は多種多様で、支持腕の先端を当接させる部位がない場合があるから、その適用範囲は限られる。
したがって、発明は、ネットやワイヤなどの果実支持体を支持するための支持具であって、小型で、構造が簡易であり、その延出角度の調整を栽培ベッドの構造に係わりなく容易、かつ確実に行えるものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の支持具1は、金属管材32を組んで形成される架台31上に設けられる栽培ベッド33に適用される果実支持体34を、当該栽培ベッド33の側部に支持するもので、取り付け部材2と、腕部材3と、係脱操作部材4とを具備する。取り付け部材2は、取り付け部5と軸受け部6とを具備し、取り付け部5において金属管材32に固定される。腕部材3は、基端側において取り付け部材2に枢軸周りに角度調整自在に枢支され、栽培ベッド33の側方へ延出して上面に果実支持体34を支持する。腕部材3は、取り付け部材2の軸受け部6と水平方向に対向する軸部9と、当該軸受け部6から延出する腕部10とを具備する。取り付け部材2の軸受け部6は、水平方向の軸挿通孔7と、当該軸挿通孔7の周りに形成される垂直の係合面8とを具備する。腕部材3の軸部9は、軸挿通孔7に軸周り相対回転及び軸方向相対移動自在に嵌合する軸筒部12と、当該軸筒部12の周りに形成され取り付け部材2の垂直係合面8に対面する垂直係合面11とを具備する。係脱操作部材4は、軸筒部12の先端側に固着されるばね受け部材14と、当該ばね受け部材14と軸受け部6との間に介設されるばね13とを具備する。ばね13は、軸受け部6の垂直係合面8と軸部9の垂直係合面11とを接合させる方向に取り付け部材2と腕部材3とを付勢する。取り付け部材2及び腕部材3の垂直係合面8,11は、それぞれ相互の枢軸周りの所定の相互回転角度毎に軸方向に係脱する複数の係合歯8a,11aを具備する。取り付け部材2側からばね受け部材14をばね力に抗して押し込んで、係合歯8a,11aの相互係合を解いた状態で、取り付け部材2に対する腕部材3の延出角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の支持具1は、取り付け部材2側からばね受け部材14をばね力に抗して押し込みつつ、取り付け部材2に対して腕部材3を回転させることで、容易に腕部材3の延出角度を調整できる。腕部材3は、取り付け部材2に支持され、他に栽培ベッド33等に支持する必要がない。したがって、支持具1は、栽培ベッド33の構造にかかわらず、広範な高設栽培構造に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】
図1の支持具の他の使用例を示す正面図である。
【
図6】本発明の支持具の他の実施形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図4、
図5に高設栽培構造の一例を示す。金属管材32を組んで形成される架台31上に、イチゴ等の植物Pが栽培される栽培ベッド33が支持される。架台31及び栽培ベッド33の具体的構造は、図示のものの他に種々存在する。栽培ベッド33の上部には、側方へ延出するように、果実支持体34が敷設される。図示する果実支持体34は、ネット状のものであるが、栽培ベッドの側部に沿って張設される複数の支持ワイヤからなるものも存在する。果実支持体34は、結果枝P1が成長することにより栽培ベッド33の側方へ垂れ下がる果実P2を、下方から支持して保護する。
【0009】
支持具1は、果実支持体34を栽培ベッド33の側部に支持するもので、取り付け部材2、腕部材3、係脱操作部材部材4を具備する。
【0010】
取り付け部材2は、合成樹脂製で、架台31を構成する金属管材32に固定される。
【0011】
腕部材3は、同様の合成樹脂製で、
図1に示すように、基端側において取り付け部材2に、垂直面に沿って回転自在に枢支される。腕部材3は、栽培ベッド33の側方へ延出し、上面に果実支持体34(
図4,5)を支持する。
【0012】
係脱操作部材部材4は、腕部材3と取り付け部材3とを相互係合させて拘束するが、操作時に相互係合を解いて相対回転を可能とする。
【0013】
図1において、取り付け部材2は、金属管材32への取り付け部5と、軸受け部6と具備する。取り付け部5は、差し込み脚部5aと把持部5bとを具備する。差し込み脚部5aは、
図4に示すように、架台31を構成する垂直の金属管材32aの上端へ嵌合させて固定される。把持部5bは、
図5に示すように、架台31を構成する水平の金属管材32bを把持して固定される。取り付け部5は、上端に開口する垂直の金属管材32aか、水平の金属管材32bのいずれかを有する架台構造に適用できるようになっている。差し込み脚部5aは、軸受け部6から一体に垂直下方へ延出する。把持部5bは、切欠円筒状で、軸受け部6の側部に張り出すように一体に形成される。
【0014】
取り付け部材2の軸受け部6は、水平方向の軸挿通孔7と、当該軸挿通孔7の周りに形成される垂直の係合面8とを具備する。軸挿通孔7は段付き孔である。係合面8は、軸挿通孔7の周りに放射状に形成される複数の係合歯8aを具備する。
【0015】
腕部材3は、取り付け部材2の軸受け部6と水平方向に対向する軸部9と、当該軸部9から延出する腕部10とを具備する。腕部10の上面には、果実支持体であるネット34や、ワイヤを係止するための複数の係止突起10aが形成される。軸部9は、取り付け部材2の垂直係合面8に対面する垂直係合面11と、垂直係合面11の中心から水平に突出する軸筒12を具備する。軸筒12は、軸挿通孔7の小径部に軸周り回転自在、軸方向に摺動自在に嵌合する。
【0016】
係脱操作部材部材4は、ばね13とばね受け部材14とを具備する。
図3に示すように、ばね13は、軸挿通孔7に嵌合された軸筒12の外周と軸挿通孔7の内周との間にはめ込まれ、一端が軸挿通孔7の段部に係止され、他端がばね受け部材14に係止される。ばね受け部材14は、ばね13に当接するワッシャ14aと、ワッシャ14を介して軸筒12に螺合固定されるボルト14bとを具備する。したがって、ばね13は、軸受け部6の垂直係合面8と軸部9の垂直係合面11とを接合させ、係合歯8a、11aを係合させる方向に、取り付け部材2と腕部材3とを付勢する。
【0017】
取り付け部材2側から、ばね受け部材14をばね力に抗して指で押し込むと、ばね受け部材14と共に腕部材3が取り付け部材2から離れる方向に押され、係合歯8a、11aの相互係合が解かれる。この状態で、腕部材3を回転させて、取り付け部材2に対する腕部材3の延出角度を調整する。腕部材3を所望の延出角度に配置して、ばね受け部材14から指を離せば、ばね力で、ばね受け部材14と腕部材3とが突き合わされ、係合歯8a、11aが係合し、腕部材3は、取り付け部材2に固定される。
【0018】
図6,7に示す他の実施形態においては、付加取り付け部材15をさらに具備する。付加取り付け部材15は、架台31を構成する垂直の金属管材32を把持する管把持部16と、把持状態において管把持部16から水平に突出する円柱状の接続突部17とを具備する。取り付け部材2の把持部5bは、付加取り付け部材15の円柱状接続突部17を把持可能に構成される。
【0019】
支持具1が、付加取り付け部材15をさらに具備すれば、例えば上端に開口を有しない垂直の金属管材32の適宜高さ位置に装着して使用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 支持具
2 取り付け部材
3 腕部材
4 係脱操作部材
5 取り付け部
6 軸受け部
7 軸挿通孔
8 係合面
8a 係合歯
9 軸部
10 腕部
11 係合面
11a 係合歯
12 軸筒
13 ばね
14 ばね受け部材
14a ワッシャ
14b ボルト
15 付加取り付け部材
16 管把持部
17 円柱状接続突起
31 架台
32 金属管材
33 栽培ベッド
34 果実支持体
P 植物
P1 結果枝
P2 果実