(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第一の実施形態において、硬化性樹脂組成物は、(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムと、(B)硬化性樹脂とを含有する。
【0020】
以下、本発明の第一の実施形態に係る硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
【0021】
[(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウム]
本発明の第一の実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムを含有する。(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムは、α線量と不純物の硫黄含有量の条件を満たす市販のα線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムを用いてもよく、また、下記のような方法でα線量および不純物の硫黄含有量を低減して得ることができる。α線量が0.3cph/cm
2以下であれば、HAST耐性に優れた硬化性樹脂組成物を得ることができる。
なお、本発明の(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムを含む組成物を使用すると、特開2003−330169号公報に記載のようなウラン含有量が0.1ppb以下の高純度合成シリカを含む組成物を使用する場合と比較して、めっき処理時に硬化膜が白化しないという効果を奏する。
【0022】
α線量の低減方法としては、原料となる天然の鉱石を採取後に、α線放出量を測定して選別する工程を設ける方法が挙げられる。例えば、天然の鉱石を破砕して塊状破砕鉱を得た後、前記塊状破砕鉱のα線放出量を測定してα線量の少ない塊状破砕鉱を選別し、選別したα線放出量の少ない塊状破砕鉱を粉砕して粉鉱とし、前記粉鉱を浮遊選鉱して母岩および脈石を除去して精鉱とし、必要に応じて前記精鉱に対して、化学処理、pH調整、表面処理、中和処理、洗浄、乾燥処理、熱処理、粉砕処理等を施してα線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムを製造する方法が挙げられる。
【0023】
また、前記(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムは、不純物の硫黄含有量を低減させた硫酸バリウムであってもよい。不純物の硫黄含有量の低減方法としては、特に限定されず、例えば、硫酸バリウムの製造工程(洗浄工程や中和方法等)の調整、具体的には硫酸バリウムの製造工程における硫酸試薬の不使用、使用量の削減や残分の削除等が挙げられる。例えば、熱処理や化学処理を施したり、洗浄、焼成等の精製処理を施すことによって、不純物の硫黄含有量を低減することができる。また、表面処理の中和時に、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸等の硫酸以外の酸で処理することも挙げられる。また、硫酸バリウムのスラリーに水溶性の亜鉛塩を添加して硫酸バリウムの表面に亜鉛化合物を沈着させ、得られたスラリーをろ過、水洗、乾燥し、その後、必要に応じて粉砕機で粉砕して複合粒子を得る方法等も挙げられる。
【0024】
(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムの不純物の硫黄含有量は、10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましい。無機フィラーの不純物の硫黄含有量が前記範囲内であれば、HAST耐性により優れた硬化性組成物が得られる。
【0025】
(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムは、JISZ8729に規定される方法により外観色調を測定・表示したときに、CIE L*a*b*表色系におけるa値が−1.00〜1.00であることが好ましく、−1.00〜0.50であることがより好ましい。
【0026】
(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムは、pHが4.0〜9.0であることが好ましく、5.0〜9.0であることがより好ましく、7.5〜9.0であることが特に好ましい。
【0027】
(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムの平均一次粒径は、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.02〜1μmである。
【0028】
(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムは1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物における(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムの配合量は、固形分換算で、(B)硬化性樹脂100質量部に対し、40〜200質量部である。より好ましくは、固形分換算で、(B)硬化性樹脂100質量部に対し、40〜120質量部である。本発明の効果を損なわない範囲で、(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウム以外の硫酸バリウムを配合してもよく、硫酸バリウムの総量は、固形分換算で、硬化性樹脂組成物中に20〜40質量%であることが好ましい。
【0029】
[(B)硬化性樹脂]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(B)硬化性樹脂を含有する。本発明において用いられる(B)硬化性樹脂は、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂であり、これらの混合物であってもよい。
【0030】
光硬化性樹脂としては、活性エネルギー線照射により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、分子中に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく用いられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知慣用の感光性モノマーである光重合性オリゴマー、光重合性ビニルモノマー等を用いることができる。また、光硬化性樹脂として、後述するようなエチレン性不飽和結合を有するカルボキシル基含有樹脂等のポリマーを用いることができる。
【0031】
前記感光性モノマーとして、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する室温で液体、固体又は半固形の感光性(メタ)アクリレート化合物が使用できる。室温で液状の感光性(メタ)アクリレート化合物は、組成物の光反応性を上げる目的の他、組成物を各種の塗布方法に適した粘度に調整したり、アルカリ水溶液への溶解性を助ける役割も果たす。前記感光性モノマーの配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部(固形分として、以下同様)に対して10〜50質量部が好ましい。50質量部以下の場合、塗膜の指触乾燥性や塗膜の特性が良好となるため好ましい。
【0032】
前記感光性(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどの水酸基含有のアクリレート類;ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートなどの水溶性のアクリレート類;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能アルコールのアクリレートエステル類;トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA等の多官能アルコールもしくはビスフェノールA、ビフェノールなどの多官能フェノールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物のアクリレート類;上記水酸基含有アクリレートのイソシアネート変成物である多官能もしくは単官能ポリウレタンアクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル又はフェノールノボラックエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物であるエポキシアクリレート類、及び上記アクリレート類に対応するメタクリレート類などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0033】
熱硬化性樹脂としては、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。特に好適には、分子中に2個以上の環状エーテル基および環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)の少なくともいずれか一種を有する熱硬化性樹脂を用いる。熱硬化性樹脂を用いると耐熱性だけでなく、下地との密着性が向上することが確認されている。
【0034】
このような分子中に2個以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基若しくは環状チオエーテル基のいずれか一方または双方を2個以上有する化合物であり、例えば、分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂などが挙げられる。特に、本発明においては、エポキシ化合物およびオキセタン化合物を好適に用いることができ、これらは併用してもよい。
【0035】
多官能エポキシ化合物としては、例えば、三菱化学社製のエピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(いずれも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のエピコートYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、ADEKA社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(いずれも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のエピコート152、エピコート154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(いずれも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製のエピコート807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(いずれも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のエピコート604、東都化成社製のエポトートYH−434、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(いずれも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等(いずれも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(いずれも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(いずれも商品名)等のビキシレノール型若しくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のエピコート157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬社製のEPPN−501H(商品名)等のサルチルアルデヒド型エポキシ樹脂;三菱化学社製のエピコートYL−931等(いずれも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等(いずれも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製のブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製のZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学社製のESN−190、ESN−360、DIC社製のHP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製のHP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製のCP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらに、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えば、ダイセル化学工業社製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば、東都化成社製のYR−102、YR−450等)、日本化薬社製のNC3000等のビフェニル骨格含有エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
【0036】
多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0037】
分子中に2個以上の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂YL7000などが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0038】
熱硬化性樹脂の配合量は、前記分子中に複数の環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分の配合量は、前記感光性化合物やカルボキシル基含有感光性樹脂のカルボキシル基1当量に対して、好ましくは0.6〜2.5当量、より好ましくは、0.8〜2.0当量となる範囲が適当である。分子中に複数の環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分の配合量が0.6当量以上の場合、カルボキシル基が残りにくく、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが良好となる。一方、2.5当量以下の場合、低分子量の環状チオエーテル基が乾燥塗膜に残存しにくく、塗膜の強度などが良好となる。
【0039】
本発明の硬化性樹脂組成物を、アルカリ現像型の感光性樹脂組成物とするためには、カルボキシル基含有樹脂を含有することが好ましく、(B)硬化性樹脂の構造中にカルボキシル基を有しているものがより好ましく用いられる。また、芳香環を有していても、有していなくてもよい。
【0040】
[カルボキシル基含有樹脂]
カルボキシル基含有樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂であることが好ましいが、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂でもよい。
【0041】
カルボキシル基含有樹脂の例を下記するが、これらに限定されるものではない。
(1)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2)エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3)エポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸などの不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸などの多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物などの1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸などの不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物などのジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に、酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)ジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などのカルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(9)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレンなどの不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(10)オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などのジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどの1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)上述した(1)〜(10)のカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0042】
カルボキシル基含有樹脂としては、上記(1)〜(9)のカルボキシル基含有樹脂が好ましく、上記(4)、(5)のカルボキシル基含有樹脂がより好ましい。
【0043】
カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。アルカリ現像性樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であるとアルカリ現像が容易となり、一方、200mgKOH/g以下である正常なレジストパターンの描画が容易となるので好ましい。
【0044】
カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、1,500〜150,000、さらには1,500〜100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が1,500以上の場合、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良好で、現像時の膜減りを抑制し、解像度の低下を抑制できる。一方、重量平均分子量が150,000以下の場合、現像性が良好で、貯蔵安定性にも優れる。
【0045】
カルボキシル基含有樹脂の配合量は、全組成物中に好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜50質量%である。5〜50質量%の場合、塗膜強度が良好であり、また、組成物の粘性が適度で塗布性等が向上する。カルボキシル基含有樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
なお、(B)硬化性樹脂としてエポキシ樹脂とカルボキシル基含有樹脂とを併用する場合には、カルボキシル基含有樹脂に含まれるカルボキシル基の1当量に対し、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の当量が2.0以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以下である。これは、当量比が小さくなると、現像性が向上する傾向があるためである。
【0047】
[(C)光重合開始剤]
(C)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
【0048】
(C)光重合開始剤としては、特に限定されないが、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α―アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤からなる群より選択される1種以上の光重合開始剤を好適に用いることができる。
【0049】
(C)光重合開始剤の具体的な例としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。(D)光重合開始剤は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
(C)光重合開始剤の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して0.5〜25質量部が好ましい。
【0051】
本発明の第二の実施形態において、硬化性樹脂組成物は、(a−1)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウム(以下、単に「(a−1)硫酸バリウム」とも称する)、(a−2)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウム以外の無機フィラー(以下、単に「(a−2)硫酸バリウム以外の無機フィラー」とも称する)、(B)硬化性樹脂を含有する。(a−1)硫酸バリウムと(a−2)硫酸バリウム以外の無機フィラーを併用することによって、低α線含有量であり、パターン形状およびHAST耐性に優れた硬化性樹脂組成物が得られる。
【0052】
(B)硬化性樹脂、および、(C)光重合開始剤については、本発明の第一の実施形態に係る硬化性樹脂組成物と同じである。以下、(a−1)硫酸バリウムおよび(a−2)硫酸バリウム以外の無機フィラーについて説明する。
【0053】
[(a−1)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウム]
(a−1)硫酸バリウムは、ウランやトリウムなどの放射性物質を取り除いた硫酸バリウムである。(a−1)硫酸バリウムの製造方法の例としては、まず、重晶石原料鉱石を破砕して塊状破砕鉱とし、前記塊状破砕鉱のα線量を測定してα線量の少ない塊状破砕鉱を選別し、この選別されたα線放出量の少ない塊状破砕鉱を粉砕して粉鉱とする。前記粉鉱を浮遊選鉱して母岩および脈石を除去して精鉱とし、この精鉱をカーボンで還元焙焼して得た硫化バリウムの浸出溶液に過マンガン酸カリウムで脱鉄精製したボウ硝(硫酸ナトリウム)溶液を反応させ、得られた沈殿を濾過、水洗、乾燥して、硫酸バリウムを製造する方法が挙げられる。また、硫酸塩水溶液のかわりに硫酸を加え、得られた白色沈殿を濾過水洗してもよい。前記粉鉱を湿式で微粉砕し、水簸として微粉を集め、硫酸を少量加えて鉄分を除き水洗乾燥して粉砕して、硫酸バリウムを製造してもよい。硫酸バリウムの製造工程として、pH調整、表面処理、中和、濾過、洗浄、乾燥、粉砕工程等をさらに設けてもよい。(a−1)硫酸バリウムとして、α線量の条件を満たす市販のα線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムを用いてもよい。
【0054】
(a−1)硫酸バリウムの不純物の硫黄含有量は、10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましい。
【0055】
(a−1)硫酸バリウムは、pHが4.0〜9.0であることが好ましく、5.0〜9.0であることがより好ましく、7.5〜9.0であることがより好ましい。
【0056】
(a−1)硫酸バリウムの含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部中に10〜200質量部含有されるのが適当であり、好ましくは20〜100質量部である。
【0057】
(a−1)硫酸バリウムおよび(a−2)硫酸バリウム以外の無機フィラーの配合割合は、10:90〜70:30であることが好ましく、10:90〜50:50であることがより好ましく、10:90〜40:60であることがさらに好ましい。(a−1)硫酸バリウムおよび(a−2)硫酸バリウム以外の無機フィラーの配合割合が、上記範囲内であれば、パターンの形成性により優れた硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0058】
無機フィラーの総量は、固形分換算で、硬化性樹脂組成物中に20〜40質量%であることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、(a−1)硫酸バリウムおよび(a−2)硫酸バリウム以外の無機フィラーを配合してもよい。
【0059】
[(a−2)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウム以外の無機フィラー]
(a−2)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウム以外の無機フィラーは、α線量が前記範囲内であれば特に限定されず、公知慣用の無機フィラー、例えばシリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華等を用いることができる。シリカ、タルクであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、シリカは高純度合成シリカであることがさらに好ましい。
高純度合成シリカは、高純度化処理を行なってウランやトリウムなどの放射性物質を取り除いた高純度溶融シリカ粉である。これらの高純度合成シリカ粉の製造方法は、ケイ酸アルカリを中和、ゲル乾燥、粉砕後火炎溶融する方法、アルコキシシランを火炎分解する方法、四塩化ケイ素等の揮発性ケイ素化合物を気相加水分解する方法や、特開昭61−40811号に開示されているようなメタ珪酸ソーダを原料としてイオン交換処理して得られる湿式合成シリカを火炎溶融処理する方法などがある。
【0060】
前記したような無機フィラー、特にシリカに起因する半導体素子の誤動作を防ぐには、高純度合成シリカのウラン含有量は、1.0ppb以下である必要があり、0.6ppb以下であることが好ましい。
【0061】
高純度合成シリカの平均粒径は、硬化性樹脂組成物への分散性、印刷性、レジストパターンのパターン形状等の点から、10.0μm以下が適当であり、好ましくは5.0μm以下である。
【0062】
高純度合成シリカの含有量は、塗膜特性の維持、印刷性の維持のため、硬化性樹脂組成物100質量部中に5〜40質量部含有されるのが適当であり、好ましくは10〜30質量部である。高純度合成シリカの含有量が5質量部以上の場合、形成される硬化被膜が半導体などと接する面における歪みが発生しにくく、適切な印刷性が得られやすい。一方、40質量部以下の場合、組成物の印刷性が良好であり、また塗膜強度が良好となる。
【0063】
高純度合成シリカとしては、龍森社製のAdma Fine SOシリーズ、龍森社製のPURELEX DEPシリーズ、VLシリーズ、VLMシリーズ、電気化学工業社製のFRシリーズ、FBシリーズ、東燃石油化学社製のPP−7Bなどがあり、用途に応じた粒径、粒度分布のものを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
(硬化触媒)
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化触媒を含有してもよい。硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の有機酸ヒドラジド類;トリフェニルホスフィン等のリン化合物など、また市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT3503X、U−CAT3502X(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などがある。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂の硬化触媒、もしくはエポキシ基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、密着性付与剤としても機能するグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記硬化触媒と併用する。上記硬化触媒の配合量は通常の量的割合で充分であり、例えば、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15質量部の割合である。
【0065】
(有機溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、(B)硬化性樹脂等を溶解させ、また組成物を塗布方法に適した粘度に調整するために、有機溶剤を配合することができる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、有機溶剤の配合量は、塗布方法に応じた任意の量とすることができる。
【0066】
(その他の成分)
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じてフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤・レベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0067】
本発明の硬化性樹脂組成物は、液状として用いてもドライフィルム化して用いてもよい。液状として用いる場合は、(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムと(B)硬化性樹脂とを混合した1液型の硬化性樹脂組成物として用いてもよく、また、2液型以上の硬化性樹脂組成物として用いてもよい。2液型以上の場合、(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムと(B)硬化性樹脂は、同じ液に含有させてもよく、それぞれ別の液に含有させてもよい。
【0068】
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて希釈して塗布方法に適した粘度に調整し、これを例えば、回路形成されたプリント配線板にスクリーン印刷法、カーテンコート法、プレーコート法、ロールコート法等の方法により塗布し、例えば60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥させることにより、タックフリーの塗膜を形成できる。
【0069】
あるいは下記のように本発明の硬化性樹脂組成物をドライフィルム化し、回路形成されたプリント配線板にラミネートする。ドライフィルム化に際しては、本発明の硬化性樹脂組成物を適切な粘度に前記有機溶剤で希釈し、支持体フィルム上にフィルムコーター等で塗布・乾燥して作製することができる。塗布膜厚としては、乾燥後で、通常15〜80μm、好ましくは20〜60μmである。
【0070】
支持体に硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、ナイフコーター塗布、コンマコーター塗布、ダイコーター塗布、グラビアコーター塗布、ロールコータ塗布、スプレーコーター塗布等で行なうことができる。また、支持体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等のフィルムを用いることができる。
【0071】
支持体上に硬化性樹脂組成物を塗布した後、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。さらに、膜の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、膜の表面に剥離可能なカバーフィルムを積層することが望ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、カバーフィルムを剥離するときに膜と支持体との接着力よりも膜とカバーフィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
【0072】
その後、上記いずれかの方法で作製した塗膜を、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液により現像してレジストパターンを形成できる。熱硬化性成分を含有する場合には、活性エネルギー線を照射後加熱硬化、もしくは加熱硬化後活性エネルギー線を照射、又は、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化)させることにより、密着性、硬度、はんだ耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、電気絶縁性、耐電蝕性、パターン形状、耐めっき性、PCT耐性、及び耐吸湿性に優れた硬化被膜が形成される。特に、活性エネルギー線を照射後加熱硬化、もしくは加熱硬化後活性エネルギー線を照射する工程を取ることにより、未反応の感光基が反応し、耐電触性、耐めっき性、耐吸湿性に優れた硬化被膜を得ることができる。
【0073】
上記現像に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。また、光硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが適当である。その他、レーザー光線なども活性エネルギー線として利用できる。
【0074】
本発明の硬化性樹脂組成物は、α線量が0.03cph/cm
2以下であることが好ましく、0.02cph/cm
2以下であることがより好ましく、0.01cph/cm
2以下であることがさらに好ましい。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、固形分のα線量が0.03cph/cm
2以下であることが好ましく、0.02cph/cm
2以下であることがより好ましく、0.01cph/cm
2以下であることがさらに好ましい。
【0075】
本発明の硬化性樹脂組成物は、プリント配線板上に硬化被膜を形成するために好適に使用され、より好適には、永久被膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジスト、層間絶縁層、カバーレイ、アンダーフィルを形成するために、特に好適にはソルダーレジストを形成するために使用される。特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、高い信頼性が求められるファインピッチのプリント配線板、例えばBGA、CSP、TCP等のLSIパッケージ等のパッケージ基板に用いられるソルダーレジスト等の永久被膜の形成に好適に用いることができる。
【0076】
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、ソルダーレジストに要求される密着性、耐候性、耐無電解めっき性、電気特性、PCT耐性等に優れた硬化被膜を得ることができる。
【実施例】
【0077】
以下に実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0078】
[低α線量の硫酸バリウムの製造]
重晶石原料鉱石を破砕して最大粒径が0.05〜0.5mmの範囲内の大きさの塊状破砕鉱とし、前記塊状破砕鉱のα線量をガスフロータイプのα線測定器(低レベルα線測定装置LACS−4000;住友化学社製)を用いて測定し、α線量が1cph/cm
2以下の塊状破砕鉱を選別し、この選別されたα線放出量1cph/cm
2以下の塊状破砕鉱を粉砕して粉鉱とした。さらに、前記粉鉱を浮遊選鉱して母岩および脈石を除去して精鉱とし、この精鉱をコークス(α線の低いものを選択した)で還元焙焼して得た硫化バリウムの温水浸出溶液を得た。次いで、この硫酸バリウム水溶液と塩酸とを反応させ、塩化バリウムを作った後、過マンガン酸カリウムで脱鉄精製したボウ硝(硫酸ナトリウム)溶液を反応させ、得られた硫酸バリウムの沈殿を濾過、水洗、乾燥して、未反応の硫酸ナトリウム等の不純物を低減させた硫酸バリウムを製造した。得られた硫酸バリウムのα線量を前記ガスフロータイプのα線測定器を用いて測定し、その結果を表2に示した。
【0079】
尚、無機フィラー中のフィラーを構成しない硫黄の濃度(不純物の硫黄濃度)を10ppmに低減する場合は、その方法は特に限定されず、例えば、無機フィラーの製造工程(洗浄工程や中和方法等)の調整、具体的には無機フィラーの製造工程における硫酸試薬の不使用、使用量の削減や残分の削除等が挙げられる。また、表面処理の中和時に、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸等の硫酸以外の酸で処理することも挙げられる。
ここで無機フィラーが硫酸バリウムである場合、例えば、重晶石をコークスで還元焙焼して温水浸出させ硫化バリウム水溶液を得てから、この硫化バリウム水溶液と塩酸とを反応させ、塩化バリウムを作った後、過マンガン酸カリウムで脱鉄精製したボウ硝(硫酸ナトリウム)溶液を反応させ、得られた硫酸バリウムの沈殿をろ過、水洗、乾燥する方法が挙げられる。また、硫酸バリウムのスラリーに水溶性の亜鉛塩を添加して硫酸バリウムの表面に亜鉛化合物を沈着させ、得られたスラリーをろ過、水洗、乾燥し、その後、必要に応じて粉砕機で粉砕して複合粒子を得る方法等も挙げられる。
【0080】
[無機フィラーのα線量の分析方法]
無機フィラーのα線量は、面積4000cm
2の2π型ガスフロー比例計数器に無機フィラーを静置し、PR−10ガス(Ar90%、CH
410%)を流し、約2kVの直流電圧を印加した。この試料表面からのα線が検出器の測定領域に入射することにより、ガスがイオン化されパルス電流が流れ、電圧パルスに変換されり。この変換された電圧パルスがしきい値以上となった値をカウントすることによりα線を測定した。
【0081】
[無機フィラーの不純物の硫黄濃度の分析方法]
下記表1中に示す各無機フィラーについて、下記の方法で硫酸イオン量を測定した。各無機フィラーをそれぞれ0.25g量り取り、これを測定試料として測定炉に静置した。その後、前処理として、(株)三菱アナリテック製試料燃焼装置:AQF−2100H型を用いて、下記条件に従い、石英管燃焼法で各測定試料に燃焼処理を行い、発生したガスを吸収液に吸収させた。
1.燃焼条件(燃焼部)
500℃×10minで酸素/アルゴン(混合比4:3)、流量70ml/minの条件下で加熱を行った。
2.吸収液:0.01%過酸化水素水5ml(燃焼処理後、10mlにメスアップ)
【0082】
上記吸収液を、下記条件に従い、イオンクロマトグラフィー法で、硫酸イオン含有量を測定し、硫酸イオン濃度から硫黄濃度を算出した。
イオンクロマトグラフ:ICS−1100(Thermo Fisher Scientific(DIONEX)社製)
溶離液:2.7mM Na
2CO
3/0.3mM NaHCO
3
カラム:Ion Pac AS12A(Thermo Fisher Scientific(DIONEX)社製)
流量:1.5 ml/min
サプレッサー:AERS−500
注入量:100μl
【0083】
[カルボキシル基含有樹脂の合成]
合成例1
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業株式会社製、EPICLON N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6〕1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。
次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に、芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却し、感光性のカルボキシル基含有樹脂溶液(ワニスA−1と称する)を得た。
このようにして得られた樹脂溶液(ワニスA)の固形分は65%、固形分の酸価は89mgKOH/gであった。
【0084】
合成例2
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(昭和高分子社製、商品名「ショーノールCRG951」、OH当量:119.4)119.4g、水酸化カリウム1.19gおよびトルエン119.4gを仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。
次に、プロピレンオキシド63.8gを徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm
2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56gを添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0g、アクリル酸43.2g、メタンスルホン酸11.53g、メチルハイドロキノン0.18gおよびトルエン252.9gを、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6gの水が留出した。
その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35gで中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1gで置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5gおよびトリフェニルホスフィン1.22gを、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8gを徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、感光性のカルボキシル基含有樹脂溶液(ワニスBと称する)を得た。
このようにして得られた樹脂溶液(ワニスB)の固形分は71%、固形分の酸価は88mgKOH/gであった。
【0085】
(実施例1〜6および比較例1)
下記表1に示す種々の成分を表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
【0086】
[印刷性]
上記各実施例及び比較例の組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布した。印刷された基板を目視で、印刷性の評価を行なった。
○:印刷に問題なし。
△:一部にカスレ、はじきを発生している。
【0087】
上記各実施例及び比較例の組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で20分乾燥し、室温まで放冷する。なお、α線測定試料については同条件で2回印刷を行なった。この基板にネガフィルムを当て、露光量600mJ/cm
2の条件でパターン露光し、30℃の1wt%Na
2CO
3水溶液をスプレー圧2kg/cm
2の条件で60秒間現像を行ない、パターンを形成した。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化して評価基板を作製し、以下の試験に供した。
【0088】
[密着性]
上記の評価基板をJIS D 0202の試験法に従い碁盤目状にクロスカットを入れ、粘着テープによるピールテストを行ない、レジスト層の剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:全く剥がれが認められないもの
×:レジスト層に剥がれがあるもの
【0089】
[耐無電解めっき性]
上記の評価基板を市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行ない、テープピーリングにより、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、前記密着性の試験法に従い碁盤目状にクロスカットを入れ、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。また、レジスト層の外観を観察し、レジスト層の表面が白化するかどうかを評価した。判定基準は以下のとおりである。
(密着性)
○:全く剥がれが認められないもの
×:レジスト層に剥がれがあるもの
(耐白化性)
○:レジスト層の表面が白化しなかった
×:レジスト層の表面が白化した
【0090】
[PCT耐性]
上記の評価基板を、PCT装置(TABAI ESPEC HAST SYSTEM TPC−412MD)を用いて121℃、2気圧の条件で168時間処理し、硬化被膜の状態を評価した。
○:剥がれ、変色そして溶出なし。
×:剥がれ、変色そして溶出が見られる。
【0091】
[電気絶縁信頼性(HAST耐性)]
各実施例および比較例の硬化性組成物を、ライン/スペース=20/15μmのクシ型電極パターンが形成された基板上に乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分間乾燥し、室温まで放冷した。この基板に高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて最適露光量で露光した後、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.2MPaの条件で、60秒間現像を行い、パターンを得た。この基板を、150℃、60分でポストキュアを行い、硬化物パターンの形成された評価基板を得た後、絶縁信頼性(電極腐食性)の評価を行った。
評価方法は、このクシ型電極を130℃、85%R.H.の加温加湿条件下でDC5Vのバイアス電圧を印加し、絶縁劣化に至るまでの時間を測定した。ここで、電気抵抗値が1×106Ωを下回った時点で絶縁劣化と判定した。評価基準は以下のとおりである。結果を下記表3、4に示す。
○:絶縁劣化に至るまでの時間が100時間以上、100時間経過時にイオンマイグレーションの発生なし。
△:絶縁劣化に至るまでの時間が100時間以上、100時間経過時にイオンマイグレーションの発生した。
×:絶縁劣化に至るまでの時間が100時間未満。
【0092】
[硬化性組成物のα線量]
PETフィルム上に上記条件で硬化被膜を作成し、PETフィルムから硬化被膜を剥離し、以下の条件でα線量を測定した。
測定条件
装置:低レベルα線測定装置LACS−4000(住友化学社製)
印加電圧:1.9kV
計数ガス:PR−10ガス(Ar90%、CH410%)、100ml/min
試料面積:4000cm
2
全計数時間:99時間
計数効率:80%
下記表2に、それぞれのα線測定結果を載せた。
【0093】
【表1】
*1:上記で製造した低α線量の硫酸バリウム(α線量0.02cph/cm
2以下、不純物の硫黄含有量1.8ppm、平均一次粒径0.3μm)
*2:B−30(堺化学社製)(α線量0.38cph/cm
2、不純物の硫黄含有量14.32ppm、平均粒径0.3μm)
*3:SO−E5(龍森社製)(ウラン含有量0.3ppb以下、α線量0.01cph/cm
2以下、不純物の硫黄含有量10ppm以下、平均粒径1.6μm)
*4:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂のワニスA
*5:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂のワニスB
*6:イルガキュア907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASFジャパン社製)
*7:イルガキュアOXE−2(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム、BASFジャパン社製)
*8:EPPN−501H(サルチルアルデヒド型エポキシ樹脂、日本化薬社製)
*9:YX−4000(ビキシレノール型エポキシ樹脂、三菱化学社製)
*10:DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、日本化薬社製)
*11:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
【0094】
【表2】
【0095】
上記表中に示すように、無機フィラーとして、(A)α線量が0.3cph/cm
2以下の硫酸バリウムを配合した硬化性樹脂組成物を使用することによって、低α線含有量で、めっき処理時に白化せず、HAST耐性に優れた硬化物を得ることができることがわかる。