(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の電動工具であって、前記2箇所のバッテリ取り付け部に対して前記バッテリを前記スピンドルの軸線方向に移動させて取り付け、取り外し可能な構成とした電動工具。
請求項1又は2記載の電動工具であって、前記2箇所のバッテリ取り付け部に対してそれぞれバッテリをその長手方向を前記スピンドルの軸線方向に沿った上下方向に沿わせた縦向きで取り付け可能な電動工具。
請求項1〜3の何れか1項に記載した電動工具であって、前記2箇所のバッテリ取り付け部に対してそれぞれバッテリを前記モータ軸線に対して左右横並び状態で取り付け可能な電動工具。
請求項1記載の電動工具であって、前記コントローラ基板は前記スピンドルの軸線方向に沿って延在されており、該コントローラ基板を冷却する外気が前記吸気口から導入されて前方へ流れて前記電動モータの冷却がなされる構成とした電動工具。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の第1〜第9実施形態を
図1〜
図46に基づいて説明する。以下説明する第1〜第8実施形態では、手持ち式の電動工具1として、スピンドル軸線(出力軸線)がモータ軸線に交差する形態のアングルドリルを例示する。
図1〜
図4に示すようには第1実施形態の電動工具1は、本体ハウジング11内に駆動源として定格電圧36Vの電動モータ12を内装した工具本体部10と、工具本体部10の前部に結合したギヤヘッド部20と、工具本体部10の後部に設けた2箇所のバッテリ取り付け部30,30を備えている。両バッテリ取り付け部30,30には、それぞれバッテリ31が取り付けられている。工具本体部10の本体ハウジング11は使用者が把持しやすい太さの円筒形状を有している。これにより、工具本体部10は使用者が把持するグリップ部として機能する。使用者は、
図1〜
図4において右側に位置して工具本体部10を把持する。以下、この明細書で用いる部材や構成等の前後左右方向及び上下方向については使用者を基準として用いる。
図4に示すように電動モータ12の回転出力は、出力軸12aに取り付けた駆動ギヤ13と中間ギヤ14の噛み合いを経て駆動軸15に伝達される。
図4中符号12bはカーボンブラシを示している。駆動軸15の先端には駆動側のかさ歯車21が一体に設けられている。駆動側のかさ歯車21は、従動側のかさ歯車22に噛み合わされている。従動側のかさ歯車22は、スピンドル23に固定されている。スピンドル23は、軸受け24,25を介してギヤヘッドハウジング26に回転自在に支持されている。駆動側のかさ歯車21と従動側のかさ歯車22の噛み合いを経てスピンドル23の回転軸線(スピンドル軸線)は、電動モータ12の出力軸12aの回転軸線(モータ軸線)に対して直交している。スピンドル23の先端にはドリルビット等の先端刃具(図示省略)を取り付けるためのチャック27が一体に取り付けられている。チャック27の下部側はギヤヘッドハウジング26から下方へ突き出されている。電動モータ12の起動によりチャック27を介してスピンドル23に取り付けた先端刃具がスピンドル軸回りに回転して穴明け作業を行うことができる。アングルドリルと称されるこの電気工具1によれば、先端刃具の先端からギヤヘッド部20の上面までの高さ寸法Hがコンパクトであるので、図示上下方向の高さが狭小なスペースでの穴明け作業を効率よく行うことができる。
【0008】
本体ハウジング11の後部には概ね平板形状のバッテリベース32が一体に設けられている。第1実施形態の場合このバッテリベース32は主として左右方向に均等に張り出す状態に設けられている。このバッテリベース32は、以下説明するように2個のバッテリ31,31を取り付けるための取り付け台座部としての機能と、工具本体部10を把持した使用者の手の滑り止め機能を併せ持っている。また、このバッテリベース32には、主として電動モータ12の動作制御をするためのコントローラ基板Cが内装されている。
このバッテリベース32の後面に2箇所のバッテリ取り付け部30,30が設けられている。バッテリ取り付け部30,30の詳細が
図9に示されている。左右2箇所のバッテリ取り付け部30,30は相互に同一の構成を備えている。このバッテリ取り付け部30は、左右一対のレール部30a,30aを備えている。両レール部30a,30aは、上下方向に沿って相互に平行に配置されている。両レール部30a,30a間には、正負の接続端子30b,30cが配置されている。正負の接続端子30b,30cも上下に長く相互に平行に設けられている。また、このバッテリ取り付け部30の上部には、バッテリ31のロック爪部31eが嵌り込む係合凹部30dが設けられている。
図6〜
図8には1個のバッテリ31が示されている。上記左右2箇所のバッテリ取り付け部30,30には、それぞれ同じバッテリ31が取り付けられる。このバッテリ31は、長さX>幅Y>高さZの概ね直方体形状を有するバッテリケース内に複数本のバッテリセルを内装した出力電圧が18Vのリチウムイオンバッテリで、バッテリ取り付け部30から取り外して別途用意した充電器で充電することにより繰り返し使用することができる。
この18Vバッテリ31は、その上面に設けた左右一対のレール受け部31a,31aを介してスライドさせることによりバッテリ取り付け部30に対して取り付け、取り外し可能で、取り付け状態ではその上面をバッテリ取り付け部30に対して重ね合わせ状態に結合させた状態となるスライド取り付け形式のバッテリとなっている。
【0009】
図6及び
図7に示すようにこの18Vバッテリ31の上面には、上記した左右一対のレール受け部31a,31aと、正負の端子受け部31b,31cが配置されている。左右一対のレール受け部31a,31aは、当該バッテリ31単体で見ると前後方向(長手方向、取り付け状態では上下方向)に沿って相互に平行に設けられている。両端子受け部31b,31cは左右のレール受け部31a,31aの内側に沿って配置されている。両端子受け部31c,31c間であって、当該バッテリ31の上面ほぼ中央には、充電器に対して接続されるコネクタ31dが設けられている。このコネクタ31dを経て、当該バッテリ31と充電器との間で、充電時における各種の制御信号が送受信される。
バッテリ31の上面後部には、ロック爪部31eが設けられている。このロック爪部31eは、バッテリケース内に組み込まれたばねにより上方へ突き出す側に付勢されている。このロック爪部31eがバッテリ取り付け部30の係合凹部30d内に弾性的に嵌り込むことにより、当該バッテリ取り付け部30に対するバッテリ31の取り付け状態がロックされる。
図7及び
図8に示すようにバッテリ31の後面には、アンロックボタン31fが設けられている。このアンロックボタン31fはロック爪部31eと一体に設けられている。このため、このアンロックボタン31fを指先で押し下げ操作するとロック爪部31eがばね付勢力に抗して下方へ退避する。ロック爪部31eが下方のアンロック位置に退避して係合凹部30d内から抜き出されることにより、当該バッテリ31を取り外し方向にスライドさせてバッテリ取り付け部30から取り外すことができる。
【0010】
工具本体部10の下面には、大形のスイッチレバー16が設けられている。使用者が工具本体部10を把持した手の指先でこのスイッチレバー16を引き操作すると、スイッチロッド17aが上方へ押し込まれてメインスイッチ17がオンする。スイッチレバー16の上側には、電動モータ12の回転方向を切り換える正逆切り換えレバー18が配置されている。
メインスイッチ17がオンすると電源回路40が通電されて電動モータ12がオンする。
図10には、電源回路40が示されている。
図10に示すように左右のバッテリ取り付け部30,30に取り付けられた2個のバッテリ31,31は、電気的に直列に接続されている。従って、2個の18Vバッテリ31,31は、合計出力電圧36Vの電源として電源回路40に接続される。電源回路40には、主として電動モータ12の動作制御を行うためのコントローラ基板Cが組み込まれている。このコントローラ基板Cには、制御用のマイコン(マイクロプロセッサ)42とFET(スイッチング素子)43等が搭載されている。
このように駆動源としての定格36Vの電動モータ12は、出力電圧が18Vである2個のバッテリ31,31が直列に接続されて給電される合計電圧36Vの電源により駆動され、従って36V仕様の電動工具1が2個の18Vバッテリ31,31を電源として利用される。
本体ハウジング11の下面前部には、下方へ盛り上がる凸部19が設けられている。この凸部19には照明具(LED)19aが内装されている。この照明具19は、スイッチレバー16の引き操作により電動モータ12を起動させると同時に点灯し、スイッチレバー16の引き操作を解除して電動モータ12を停止させると同時に消灯する。この照明具19aにより、先端刃具周辺(加工部位)が明るく照らされて暗所における穴明け作業等を効率よく行うことができるようになっている。また、この凸部19によっても当該電動工具1を作業台上等に置いた際にスイッチレバー16の不用意なオン操作が防止される。
【0011】
以下説明する第1〜第8実施形態では、2個のバッテリ31,31の取り付け位置、取り付け姿勢(取り付け向き)及び取り付け方向(取り外し方向)について異なっており、工具本体部10及びギヤヘッド部20等の電動工具1としての基本的な構成については同様であるので同位の符号を用いてその説明を省略する。また、各図では取り付けたバッテリ31の前後左右上下のどの面が見えているのかを明確にするために、前面に(F)、後面に(B)、左側面に(L)、右側面に(R)、上面(取り付け面)に(U)、下面に(D)の各符号が付されている。これにより、各図において2個のバッテリ31,31の取り付け姿勢(向き)、取り付け、取り外し方向及び配置状態が明確になっている。
[第1実施形態(下縦向き姿勢と下縦向き姿勢、相互に左右で横並び)]
図1〜
図5に示すように、第1実施形態において、2個のバッテリ31,31は、それぞれ上下方向に長手方向(バッテリ単体で見ると前後方向)を沿わせた縦向きで、相互に左右方向に横並び状態で取り付けられている。両バッテリ31,31の取付け方向は、
図1,3中白抜き矢印で示すように下向きとなっている。バッテリ31,31は、それぞれその前面(F)を下向きにして左右のレール受け部31a,31aにバッテリ取付け部30のレール部30a,30aを進入させつつ下方へスライドさせて当該バッテリ取付け部30に取付けることができる。バッテリ31はバッテリ取付け部30aに対してスライド下降端に至ると、上記したようにロック爪部31eが係合凹部30d内に弾性的に嵌り込んで当該取り付け位置がロックされる。
第1実施形態では、両バッテリ31,31はその長手方向を上下方向に沿わせた縦向き姿勢で、かつ後面(B)をそれぞれ上方に向けた向きで取り付けられる。
取り付けたバッテリ31をバッテリ取り付け部30から取り外すには、指先でアンロックボタン31fを押し下げ操作してロック爪部31eを係合凹部30d内から退出させれば、上方へスライド可能となってバッテリ取り付け部30から取り外すことができる。
【0012】
[第2実施形態(上縦向き姿勢と上縦向き姿勢、相互に左右に横並び)]
図11〜
図14には、第2実施形態の電動工具2が示されている。第2実施形態では、2個のバッテリ31,31は、その取り付け方向が第1実施形態とは逆になっている。第2実施形態では、バッテリベース33に設けた2箇所のバッテリ取り付け部30,30に対してそれぞれバッテリ31をその前面(F)を上向きにして上方へスライドさせることにより取り付けられる。第2実施形態では、2個のバッテリ31,31は、その長手方向を上下方向に沿わせた縦向き姿勢で、かつその前面(F)を上方へ向けた上縦向き姿勢で、相互に左右横並び状態に取り付けられている。このため、第2実施形態では、工具本体部10の後部にバッテリベース33が左右側方へ張り出す状態に設けれている。このバッテリベース33の後面に、2箇所のバッテリ取り付け部30,30が第1実施形態(
図9に示す向き)とは上下逆向きに配置されている。これにより、2個のバッテリ31,31は、
図11,13,14に示すようにその取り付け方向は上向きになっており、取り付け状態ではその前面(F)が上方へ向けられている。この第2実施形態におけるバッテリベース33内にも、主として電動モータ12の動作制御を行うためのコントローラ基板Cが内装されている。
上記した第1及び第2実施形態によれば、2個のバッテリ31,31がその長手方向(長さX方向)を上下方向に沿わせて左右に横並び状態(幅Y×2個)に取り付けられる構成であるので、幅Y方向を上下方向に沿わせて左右に横並び状態(長さX×2個)に取り付ける構成に比して、当該取り付け状態の左右方向のコンパクト化を図ることができる。また、2個のバッテリ31,31を左右横並び状態で取り付ける構成であり、
図3及び
図13に示すように上下方向及び長手方向の取り付けスペースについては1個分のスペースで足りることから、上下方向(ドリルビットの軸方向)若しくは後方への狭小なスペースでの穴明け作業を効率よく行うことができる。
【0013】
[第3実施形態(下縦向き姿勢と上縦向き姿勢、相互に上下に縦並び)]
図15〜
図18には、第3実施形態の電動工具3が示されている。この第3実施形態の電動工具3では、2個のバッテリ31,31はそれぞれの長手方向を上下方向に沿わせた縦向きで、かつ相互に上下に縦並び状態で取り付けられている。第3実施形態では、工具本体部10の後部に設けたバッテリベース34が左右方向よりも上下方向に張り出す状態に設けられている。このバッテリベース34の後面上下に2箇所のバッテリ取り付け部30,30が配置されている。上側のバッテリ取り付け部30のバッテリ取り付け方向は下向き(
図9に示す向き)であり、下側のバッテリ取り付け部30のバッテリ取り付け方向は上向き(
図9に示す向きとは上下逆向き)になっている。このため、図中白抜き矢印で示すように上側のバッテリ31の取り付け方向は下向きであり、下側のバッテリ31の取り付け方向は上向きになっている。
図示するように上側のバッテリ取り付け部30に対して一方のバッテリ31がその前面(F)を下方へ向けた下縦向き姿勢で取り付けられ、下側のバッテリ取り付け部30に対して他方のバッテリ31がその前面(F)を上方へ向けた上縦向き姿勢で取り付けられており、しかも当該上下2個のバッテリ31,31はそれぞれの前面(F),(F)を相互に上下で向かい合わせた縦並び状態で取り付けられている。
この第3実施形態におけるバッテリベース34内にも、主として電動モータ12の動作制御を行うためのコントローラ基板Cが内装されている。
第3実施形態によれば、2個のバッテリ31,31がそれぞれその幅Y方向を左右方向にして上下に縦並び状態で取り付けられる構成であり、
図16に示すように左右方向の取り付けスペースについては1個分のスペースで足りることから、左右方向の狭小なスペースでの穴明け作業を効率よく行うことができる。
【0014】
[第4実施形態(上縦向き姿勢と上縦向き姿勢、相互に上面(U)向かい合わせ)]
図19〜
図22には、第4実施形態の電動工具4が示されている。第4実施形態では、2個のバッテリ31,31が左右で相互に向かい合う縦向き姿勢で取り付けられている。第4実施形態では、工具本体部10の後部にバッテリベース35が後方へ張り出す状態に設けられている。このバッテリベース35の左右両側部に沿ってバッテリ取り付け部30,30が配置されている。両バッテリ取り付け部30,30はバッテリ取り付け方向を上向きとする向き(
図9に示す向きとは上下逆向き)で配置されており、係合凹部30d,30dを下側に位置させた向きで配置されている。このため、図中白抜き矢印で示すように両バッテリ取り付け部30,30に対するバッテリ31,31の取り付け方向は上向きになっている。両バッテリ取り付け部30,30に対してバッテリ31,31を上方へスライドさせることより当該両バッテリ31,31をバッテリ取り付け部30,30に対して取り付けることができる。図示するように両バッテリ31,31は、その長手方向を上下方向に沿わせた縦向き姿勢で、かつその前面(F)を上方へ向けた上縦向き姿勢で取り付けられる。
また、左右2個のバッテリ31,31は、その上面(U),(U)を相互に向かい合わせた縦向き姿勢で取り付けられている。
[第5実施形態(上縦向き姿勢と下縦向き姿勢、相互に上面(U)向かい合わせ]
図23〜
図26には、第5実施形態の電動工具5が示されている。この第5実施形態では、2個のバッテリ31,31の取り付け方向が相互に逆になっている点で第4実施形態とは異なっている。工具本体部10の後部にバッテリベース36が第4実施形態と同じく後方へ張り出す状態に設けられている。このバッテリベース36の左右両側部に沿ってバッテリ取り付け部30,30が配置されている。左右のバッテリ取り付け部30,30は相互に上下逆向きに配置されている。このため、図中白抜き矢印で示すように左側のバッテリ31の取り付け方向は下向きであり、右側のバッテリ31の取り付け方向は上向きになっている。左側のバッテリ取り付け部30に取り付けられたバッテリ31は、その後面(B)を上方へ向けた下縦向き姿勢で取り付けられている。右側のバッテリ取り付け部30に取り付けられたバッテリ31はその前面(F)を上方へ向けた上縦向き姿勢で取り付けられている。しかも左右2個のバッテリ31,31は、その上面(U),(U)を相互に向かい合わせた縦向き姿勢で取り付けられている。
第4及び第5実施形態によれば、2個のバッテリ31,31をそれぞれその高さZ方向を左右方向に沿わせて相互に左右向かい合わせ状態に取り付ける構成であるので、上下方向、左右方向及び前後方向の取り付けスペースについてバランスよくコンパクトに取り付けることができる。
【0015】
[第6実施形態(前横向き姿勢、相互に左右で上面(U)向かい合わせ)]
図27〜
図30には、第6実施形態の電動工具6が示されている。第6実施形態では、工具本体部10の後部に設けたバッテリベース37の左右両側部にバッテリ取り付け部30,30がその取り付け、取り外し方向を当該工具本体部10の前後方向に沿わせた横向きに配置されている。このため、2個のバッテリ31,31は、その長手方向を工具本体部10の前後方向に沿わせ、かつその前面(F)を工具本体部10の前方へ向けた前横向き姿勢で取り付けられている。しかも、2個のバッテリ31,31は、その上面(U)を相互に向かい合わせた横向き姿勢で取り付けられている。
図中白抜き矢印で示すように左右2個のバッテリ31,31の取り付け方向は何れも前向きになっている。このため、左右のバッテリ取り付け部30,30に取り付けられた2個のバッテリ31,31は、何れもその後面(B)を後方へ向けた状態に取り付けられている。
第6実施形態によれば、2個のバッテリ31,31がその長手方向(長さX方向)を前後方向に沿わせて相互に左右向かい合わせ状態に取り付けられる構成であり、
図29に示すように上下方向の取り付けスペースとしては1個分の取り付けスペースで足りることから、上下方向の狭小なスペースでの穴明け作業を効率よく行うことができる。
【0016】
[第7実施形態(前横向き姿勢、相互に上下で上面(U)向かい合わせ)]
図31〜
図34には、第7実施形態の電動工具7が示されている。上記第6実施形態では、2個のバッテリ31,31がそれぞれ前横向き姿勢で上面(U),(U)を相互に向かい合わせた状態で左右に取り付けられる構成であるのに対して、第7実施形態では2個のバッテリ31,31が同じく前横向き姿勢で上面(U),(U)を相互に向かい合わせた状態に取り付けれるが、この2個のバッテリ31,31が上下に取り付けられる点で第6実施形態とは異なっている。
工具本体部10の後部に設けたバッテリベース38の上面と下面にそれぞれバッテリ取り付け部30が配置されている。両バッテリ取り付け部30,30は、第6実施形態と同じくバッテリ31の取り付け方向を前方とする向きに配置されている。従って第7実施形態は、第6実施形態におけるバッテリベース37をモータ軸線回りに90°だけ向きを変位させた構成に相当する。
2個のバッテリ31,31は、それぞれその長手方向を前後方向に沿わせた姿勢で図中白抜き矢印で示すように前方へスライドさせることにより、バッテリ取り付け部30に取り付けられる。このため、取り付け状態では、上下のバッテリ31,31の後面(B)が後方へ向けられた状態となる。
第7実施形態によれば、2個のバッテリ31,31がその長手方向(長さX方向)を前後方向に沿わせて相互に上下向かい合わせ状態に取り付けられる構成であり、
図32に示すように左右幅方向の取り付けスペースとしては1個分のスペースで足りることから、左右幅方向の狭小な作業スペースでの穴明け作業を効率よく行うことができる。
以上説明した第4〜第7実施形態におけるバッテリベース35〜38内にも、主として電動モータ12の動作制御を行うためのコントローラ基板Cが内装されている。第4〜第7実施形態におけるバッテリベース35〜38の後面には、
図31に示す第7実施形態で例示するように吸気口38a〜38aが設けられている。この吸気口38a〜38aから外気が導入される。導入された外気は、図中破線の矢印で示すように工具本体部10側に流れて電動モータ12の冷却がなされる。コントローラ基板Cはこのモータ冷却風の導入経路の途中に配置されており、これによりコントローラ基板Cも導入した外気によりを冷却されるようになっている。
【0017】
[第8実施形態(下縦向き姿勢と上縦向き姿勢、相互に左右で横並び)]
図35〜
図38には第8実施形態の電動工具8が示されている。第8実施形態は、第1実施形態と第2実施形態の中間の実施形態に相当するもので、2個のバッテリ31,31が何れもその長手方向(長さX方向)を上下方向に沿わせた縦向き姿勢で左右に横並び状態に取り付けられる構成であるが、その取り付け方向について、第1実施形態では2個とも下向きであり、第2実施形態では2個とも上向きであるのに対して第8実施形態では一方が上向きで、他方が下向きである構成となっている。
第8実施形態では、左右2個のバッテリ31,31のうち左側のバッテリ31が下方に向けてスライドさせることにより取り付けられる下縦向き姿勢に取り付けられ、右側のバッテリ31が上方に向けてスライドさせることにより取り付けられる上縦向き姿勢に取り付けられる。従って、図中白抜き矢印で示すように左側のバッテリ31の取り付け方向は下向きであり、右側のバッテリ31の取り付け方向は上向きになっている。このため、それぞれ取り付けた状態では、左側のバッテリ31の後面(B)と、右側のバッテリ31の前面(F)が上方へ向けられた状態となる。
工具本体部10の後部には、第1、第2実施形態と同じくバッテリベース39が左右両方向に張り出す状態に設けられている。このバッテリベース39の内部にも、主として電動モータ12の動作制御を行うためのコントローラ基板Cが内装されている。このバッテリベース39の後面に、2箇所のバッテリ取り付け部30,30が左右に横並び状態で配置されている。図示は省略したが左側のバッテリ取り付け部30はその係合凹部30dを上側にした向き(
図9に示す向き)に配置され、右側のバッテリ取り付け部30は左側とは反対に係合凹部30dを下側にした向きに配置されている。
第8実施形態によれば、第1及び第2実施形態と同じく、2個のバッテリ31,31がその長手方向(長さX方向)を上下方向に沿わせて左右に横並び状態(幅Y×2個)に取り付けられる構成であるので、幅Y方向を上下方向に沿わせた横向き姿勢で左右に横並び状態(長さX×2個)に取り付ける構成に比して、当該取り付け状態の左右方向のコンパクト化を図ることができる。また、第1及び第2実施形態と同じく2個のバッテリ31,31を左右横並び状態で取り付ける構成であり、
図37に示すように上下方向及び長手方向の取り付けスペースについては1個分のスペースで足りることから、上下方向(ドリルビットの軸方向)若しくは後方への狭小なスペースでの穴明け作業を効率よく行うことができる。
【0018】
[第9実施形態]
図39〜
図46には第9実施形態の電動工具9が示されている。第9実施形態の電動工具9は、工具本体部10の後部に傾動可能な脚部50を設け、この脚部50の後部に2個のバッテリ31,31を取り付けるためのバッテリベース32を設けた点で第1実施形態の電動工具1とは異なっている。工具本体部10及びギヤヘッド部20は第1実施形態と同様の構成を備えている。第1実施形態と同じ部材及び構成等については同位の符号を用いてその説明を省略する。
図41に示すように本体ハウジング11の後部には、支持凸部52が後方へ張り出す状態で一体に設けられている。この支持凸部52を介して脚部50が傾動可能に連結されている。脚部50の前部には、相互に平行な二股形状の連結縁部50a,50aが一体に設けられている。この連結縁部50a,50a間に支持凸部52を進入させた状態で、当該支持凸部52が連結縁部50a,50a間に設けた連結軸部50bを介して相対的に回動可能に結合されることにより、工具本体部10の後部に脚部50が上下に傾倒可能に結合されている。結合部の詳細が
図42,45,46に示されている。
支持凸部52の中央には、支持孔52bがその板厚方向(左右方向)に貫通して設けられている。この支持孔52b内に連結軸部50bが挿通されている。この連結軸部50bは、円筒形状を有しており、その内周側に締め込まれたねじ53を介して両連結縁部50a,50a間に跨った状態で両端支持されている。
支持凸部52の左右両側面には、それぞれ2個の鋼球52a,52aが保持されている。
図42に示すように左右両側面において、それぞれ2個の鋼球52a,52aは、同一円周上で相互に180°反対側の位置に保持されている。合計4個の鋼球52a〜52aは、当該支持凸部52の側面からはみ出した状態に保持されている。支持凸部52の左右両側面には、円環形状の係合板54がそれぞれ重ね合わせられている。両係合板54,54は、その板厚方向に適度な弾性を有する状態で連結縁部50a側に固定されている。
【0019】
両係合板54,54には、それぞれ4つの円形孔(第1〜第4係合孔54a〜54d)が同一円周上に沿って四等分位置に設けられている。片側4つの係合孔54a〜54dのうち相互に180°反対側に位置する2つの係合孔54a,54c(または、54b,54d)内に支持凸部52側の2つの鋼球52a,52aが嵌り込む。係合板54の弾性により各鋼球52aは相対的に係合孔54a〜54d内に弾性的に嵌り込む方向に付勢されている。
図39,41〜44は、工具本体部10に対して脚部50が真っ直ぐに位置する直立位置に保持された状態を示している。脚部50の工具本体部10に対する直立位置は、
図42に示すように4つの係合孔54a〜54dのうち、前上側の第1係合孔54aと後下側の第3係合孔54c内にそれぞれ鋼球52aが弾性的に嵌り込むことにより保持される。この時、前下側の第2係合孔54bと後上側の第4係合孔54d内は空になっている。
これに対して
図40に示すように工具本体部10に対して脚部50を上方(図示時計回り方向)へ90°回動させた屈曲位置に折り曲げると、当該脚部50と一体で両係合板54,54が同方向へ90°だけ回転する。
図42に示す状態から両係合板54,54が時計回り方向へ90°回転することにより、2つの鋼球52a,52aが後下側に移動した第2係合孔54bと前上側に移動した第4係合孔54d内に弾性的に嵌り込む。2つの鋼球52a,52aが第2、第4係合孔54b,54d内に弾性的に嵌り込むことにより、工具本体部10に対する脚部50の屈曲位置が保持される。
このように、第9実施形態の電動工具9は、工具本体部10の後部に脚部50を直立位置から屈曲位置に折り曲げ可能に備えている。この脚部50の後部に、第1実施形態と同じくバッテリベース32が主として左右側方へ張り出す状態に設けられている。このバッテリベース32の後面に、
図9に示すように2箇所のバッテリ取り付け部30,30が左右横並び状態に配置されている。この2箇所のバッテリ取り付け部30,30は、図示省略した配線により工具本体部10側と電気的に接続されている。この2箇所のバッテリ取り付け部30,30にそれぞれ18Vバッテリ31が取り付けられている。両18Vバッテリ31,31の取り付け方向は第1実施形態と同様、下向きになっている。取り付けられた両18Vバッテリ31,31は、直列に接続されて出力電圧36Vの電源として機能する。
また、
図44に示すように脚部50の後部には、前記各実施形態と同様電動モータ12の動作制御を行うためのコントローラ基板Cが内装されている。
このように構成した第9実施形態の電動工具9によれば、特に工具本体部10の後部に直立位置と屈曲位置との間に回動可能に脚部50を設け、この脚部50の後部に2個の18Vバッテリ31,31を取り付ける構成であるので、脚部50を屈曲位置に折り曲げておくことにより、当該電動工具9の前後方向(機長方向)の寸法を短くすることができ、これによりその収納スペースをコンパクトにすることができる。
また、脚部50を屈曲位置に折り曲げて機長方向をコンパクトにした状態で、同方向により狭小なスペース内に当該電動工具9を進入させて穴明け作業を行うことができ、この点で当該電動工具9の使い勝手及び作業性を一層高めることができる。
【0020】
以上説明した各実施形態によれば、充電可能な18Vバッテリを2個直列に接続して合計出力電圧36Vの電源として利用することができ、これにより定格電圧36Vの電動工具1〜8を利用することができる。このことから、専用かつ効果な出力電圧36Vのバッテリを用意することなく、既に所有している18Vバッテリ31を流用することにより、高出力の電気工具1〜8を利用することができ、この点でバッテリコストの低減を図りながら当該36V出力の電動工具1〜8を利用することができる。
以上説明した実施形態にはさらに変更を加えて実施することができる。例えば、工具本体部10の把持性を損なわない範囲で、2個のバッテリ31,31を当該工具本体部10の左右両側部やギヤヘッド部20の左右両側部に取り付け可能な構成とすることもできる。
また、18Vバッテリ31,31を2個の取り付ける構成を例示したが、3個以上取り付ける構成とすることができる。さらに、概ね直方体形を有するスライド取り付け形式(上面(U)の一面のみをバッテリ取り付け部30側に結合させて取り付ける形式)のリチウムイオンバッテリを例示したが、概ねスティック形を有する差し込み形式(奥部にバッテリ接続端子を配置したバッテリ孔内に差し込んで取り付ける形式)のリチウムイオンバッテリについて同様に適用することができ、またリチウムイオンバッテリに限らず、ニッケルカドミウムバッテリ等その他のバッテリについて同様に適用することができる。
また、2個の18Vバッテリ31,31を定格電圧36Vの電動モータ12の電源とする構成を例示したが、より定電圧のバッテリを複数個直列に接続してその合計個数分の出力電圧を定格電圧とする電動モータを動作させる構成としてもよい。
さらに、電動モータ12を定格電圧18Vに変更し、2個のバッテリ31,31を電気的に並列に接続させることにより、電源としての連続使用可能時間を大幅に長くすることができる。
また、電動工具としてアングルドリルと称される穴明け作業用の電気ドリルを例示したが、ねじ締め作業用のねじ締め機であってねじ締め付け方向の衝撃を付加するインパクト機構を内装したアングルインパクトねじ締め機(インパクトドライバ、インパクトレンチ)についても同様に適用することができる。