(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383783
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】インプラントの表面処理方法
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20180820BHJP
A61L 27/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
A61L27/00
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-511664(P2016-511664)
(86)(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公表番号】特表2016-522026(P2016-522026A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】KR2013008525
(87)【国際公開番号】WO2014178489
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2015年11月9日
【審判番号】不服2017-7593(P2017-7593/J1)
【審判請求日】2017年5月26日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0049617
(32)【優先日】2013年5月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514034113
【氏名又は名称】オステムインプラント カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハ ギョンウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョェ ギュオク
【合議体】
【審判長】
内藤 真徳
【審判官】
瀬戸 康平
【審判官】
関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−517729(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0292779(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/035947(WO,A1)
【文献】
特開2007−181515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61L27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性基含有有機物を含む表面処理用組成物をインプラントの表面に塗布する段階(塗布段階)と、
前記塗布された表面処理用組成物を乾燥する段階(乾燥段階)とを含み、
前記表面処理用組成物は、無機塩を含み、
前記表面処理用組成物のうち、前記無機塩の濃度は200mM以下であり、
前記無機塩は、前記乾燥段階において、前記表面処理用組成物が塗布された前記インプラントの表面全体を均一な速度で乾燥させて、
前記乾燥段階により、前記インプラントの表面に固形物質(前記親水性基含有有機物および前記無機塩)が残留する、インプラントの表面処理方法。
【請求項2】
前記塗布段階前に前記インプラントの表面を前処理する段階(前処理段階)をさらに含む、請求項1に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項3】
前記前処理段階は、サンドブラスト処理、リン酸カルシウムコーティング、UV処理、プラズマ処理、酸処理および塩基処理中の少なくとも一つの操作によって行われる、請求項2に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項4】
前記親水性基は、ヒドロキシル基(OH)、カルボキシル基(COOH)、アミノ基(NH2)およびスルホン酸基(−SO3H)からなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項1に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項5】
前記有機物は、糖類(saccharides)、蛋白質類(proteins)、酸類(acids)および生理的緩衝溶液(biologicalbuffer or good'sbuffer)からなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項1に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項6】
前記糖類は、グルコース、セルロース、アルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースサルフェート、カルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キチン、カルボキシメチルキチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の塩、アルギネート、アルギン酸、プロピレングリコールアルギネート、グリコーゲン、デキストラン、デキストランサルフェート、カードラン(curdlan)、ペクチン、プルラン、キサンタン、コンドロイチン(chondroitin)、コンドロイチンサルフェート類、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルキトサン、キトサン、ヘパリン、ヘパリンサルフェート、ヘパラン(heparan)、ヘパランサルフェート、デルマタンサルフェート、ケラタンサルフェート、カラギーナン、澱粉、アミロース、アミロベクチン、ポリ−N−グルコサミン、ポリマンヌロン酸(polymannuronic acid)、ポリグルクロン酸(polyglucuronic acid)、ポリグルロン酸(polyguluronicacid)および前記糖類の誘導体からなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項5に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項7】
前記蛋白質は、ゼラチン、プロトロンビン、トロンビン、フィブリノーゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、X因子、Xa因子、VII因子、VIIa因子、IX因子、IXa因子、XI因子、XIa因子、XII因子、XIIa因子、組織因子、バトロキソビン(batroxobin)、アンクロッド(ancrod)、エカリン(ecarin)、フォンヴィルブランド因子(von Willebrand Factor)、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、血小板表面糖蛋白質(platelet surface glycoproteins)、バソプレシン(vasopressin)、バソプレシンアナログ(vasopressin analogs)、エピネフリン(epinephrine)、セレクチン(selectin)、凝血促進性毒(procoagulant venom)、プラスミノーゲン活性化因子抑制剤(plasminogen activator inhibitor)、血小板活性化因子(plateletactivatingfactor)およびペプチドからなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項5に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項8】
前記酸類は、ピルビン酸(pyruvic acid)、乳酸(lactic acid)、システイン(cysteine)、グルタミン(glutamine)、チロシン(tyrosine)、ロイシン(leucine)、リシン(lysine)、バリン(valine)、イソロイシン(isoleucine)、スレオニン(threonine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、トリプトファン(tryptophan)、ヒスチジン(histidine)、アルギニン(arginine)、グリシン(グリシン)、セリン(serine)、プロリン(proline)、グルタミン酸(glutamic acid)、アスパラギン酸(aspartic acid)、アラニン(alanine)、メチオニン(methionine)およびアスパラギン(asparagine)からなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項5に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項9】
前記生理的緩衝溶液は、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、ADA(N−(カルバモイルメチル)イミノジ酢酸)、PIPES(1、4−ピペラジンジエタンスルホン酸)、ACES(2−(カルバモイルメチルアミノ)エタンスルホン酸)、MOPSO(3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、コールアミンクロライド(cholamine chloride)、MOPS(3−モルホリノプロパン−1−スルホン酸)、BES(N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、TES(2−[[1、3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]アミノ]エタンスルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸)、DIPSO(3−(N、N−ビス[2−ヒドロキシエチル]アミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、アセトアミドグリシン(acetamido glycine)、TAPSO(3−[[1、3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]アミノ]−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸)、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、HEPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−1−プロパンスルホン酸)、トリシン(N−(2−ヒドロキシ−1、1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)グリシン)、グリシンアミド(glycinamide)、ビシン(2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸)およびTAPS(3−[[1、3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]アミノ]プロパン−1−スルホン酸)からなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項5に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項10】
前記表面処理用組成物のうち前記有機物の濃度は2000mM以下である、請求項1に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項11】
前記無機塩は、金属塩化物、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属炭酸塩および金属硝酸塩からなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項1に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項12】
前記無機塩中の金属は、ナトリウム、カルシウム、カリウム、ストロンチウム、マンガンおよびマグネシウムからなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項11に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項13】
前記表面処理用組成物は水溶液の形態である、請求項1に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項14】
前記インプラントはチタンまたは、チタン合金を含む、請求項1に記載のインプラントの表面処理方法。
【請求項15】
前記乾燥段階は200℃以下の温度で行われる、請求項1に記載のインプラントの表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インプラントの表面処理方法が開示される。より詳細には、親水性基含有有機物を含む表面処理用組成物をインプラントの表面に塗布する段階を含む、インプラントの表面処理方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
生体に適用する歯科用インプラント施術の失敗率を減らし、骨との固定力を高めるための多くの方法がある。
【0003】
インプラントを螺旋状にデザインすることによって、前記インプラントを骨に機械的にしっかり固定させる方法が一般に用いられている。
【0004】
また、インプラントと骨の強い固定力のために、インプラントの表面にサンドブラスト処理と酸の食刻方法によりインプラントの表面に粗さ(roughness)を与えてインプラントの表面積を広げる方法も、多くのインプラント製造会社にて共通して適用する表面処理方法の一つである。
【0005】
このように、インプラント表面を機械的かつ物理的に骨と強く固定させる方法の他にも、インプラント表面に人体の骨と類似の無機物成分であるリン酸カルシウムをコーティングして骨がインプラントにさらに頑丈に結合できるようにする多様な方法も用いられている。
【0006】
インプラントに使われるチタンまたは、チタン合金は、前記のように様々な表面処理をしても、空気に露出するとともに汚染されて表面の活性を失われるようになる。チタンまたは、チタン合金の表面は、空気や水に晒されると周りの酸素と反応して次第に酸化する(非特許文献1)。
【0007】
インプラント施術の失敗率を減らし、インプラントと骨の安定的で強い固定力を得るための方法のうち、化学的方法としては、インプラント表面の汚れを防止するか、表面処理直後にインプラント表面が有する親水性特性(以下、「表面処理直後の親水性特性」という)を保持させる方法がある。一般に、表面処理直後の親水性特性は、インプラント表面が空気に露出して汚染され、持続的な酸化反応を経て次第に減少して、結局、前記表面は疏水性特性を有するようになる。表面処理直後の親水性特性を保持し、表面の汚れを防止するための方法として、特許文献1は、インプラントの表面処理段階から移植段階直前までのすべての過程を不活性気体の雰囲気下で行い、包装もまた水やイオン溶液を用いることによって、空気とインプラントとの接触を遮断する方法を用いている。前記方法のように、不活性気体の雰囲気にて生理溶液が入っているパックにインプラントを浸漬して密封させる方法は、前記インプラントが空気中に露出されて汚染されることは防止できるが、インプラント表面が生理溶液内の水と反応して次第に酸化されることによって、インプラント表面にエンボシング状の新しい酸化層が形成され、これによって製造直後のインプラント表面の初期品質と流通過程での品質とが、表面の構造と化学的特性の面で変化する問題がある(非特許文献2)。また、密閉包装が要されるので工程が複雑で処理費用が高く、取り扱いが容易でないこともある。
【0008】
特許文献2は、インプラント表面の親水性を長期間保持する方法として、塩含有水溶液を利用し、気体密封または、液体密封包装を適用してインプラントを保存する方法を開示している。特に、前記方法はインプラント表面の親水性を保持させるために、0.5M以上の高濃度無機塩水溶液を推奨している。しかしながら、体内の無機イオンのうち最も多く存在する塩化ナトリウム(NaCl)の場合、その濃度が0.9重量%であり、モル濃度に換算すると約0.15Mに過ぎない。したがって、0.5M以上の高濃度無機塩水溶液が適用されたインプラントは、体内で無機イオンの不均衡を招いて毒性を発現させる可能性があるということは関連業界の者であれば誰しもが予測できるものである。したがって、親水性保持のために、0.5M以上の高濃度無機塩水溶液を用いることは好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US6、702、855B1
【特許文献2】韓国特許出願第2009-7019196号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】H.P.Boehm、Acidic and Basic Properties of hydroxylated Metal Oxide Surfaces、Discussions Faraday Society、vol.52、1971、pp.264-275
【非特許文献2】EuropeanCells and Materials Vol.23.Suppl.1、 2012、page 25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一具現例は、親水性基含有有機物を含む表面処理用組成物をインプラントの表面に塗布する段階を含むインプラントの表面処理方法を提供する。
【0012】
本発明の他の具現例は、親水性基含有有機物および無機塩を含む表面処理用組成物をインプラントの表面に塗布する段階を含むインプラントの表面処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面は、親水性基含有有機物を含む表面処理用組成物をインプラントの表面に塗布する段階(塗布段階)および前記塗布された表面処理用組成物を乾燥する段階(乾燥段階)を含むインプラントの表面処理方法を提供する。
【0014】
前記塗布段階の前に前記インプラントの表面を前処理する段階(前処理段階)をさらに含むことができる。
【0015】
前記前処理段階は、サンドブラスト処理、リン酸カルシウムコーティング、UV処理、プラズマ処理、酸処理および塩基処理のうち少なくとも一つの操作によって行われる。
【0016】
前記親水性基は、ヒドロキシル基(OH)、カルボキシル基(COOH)、アミノ基(NH
2)およびスルホン酸基(−SO
3H)からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0017】
前記有機物は、糖類(saccharides)、蛋白質類(proteins)、酸類(acids)および生理的緩衝溶液(biological buffer orgood's buffer)からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0018】
前記糖類は、グルコース、セルロース、アルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースサルフェート、カルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キチン、カルボキシメチルキチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の塩、アルギネート、アルギン酸、プロピレングリコールアルギネート、グリコーゲン、デキストラン、デキストランサルフェート、カードラン(curdlan)、ペクチン、プルラン、キサンタン、コンドロイチン(chondroitin)、コンドロイチンサルフェート類、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルキトサン、キトサン、ヘパリン、ヘパリンサルフェート、ヘパラン(heparan)、ヘパランサルフェート、デルマタンサルフェート、ケラタンサルフェート、カラギーナン、澱粉、アミロース、アミロベクチン、ポリ-N-グルコサミン、ポリマンヌロン酸(polymannuronic acid)、ポリグルクロン酸(polyglucuronic acid)、ポリグルロン酸(polyguluronicacid)および前記糖類の誘導体からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0019】
前記蛋白質は、ゼラチン、プロトロンビン、トロンビン、フィブリノーゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、X因子、Xa因子、VII因子、VIIa因子、IX因子、IXa因子、XI因子、XIa因子、XII因子、XIIa因子、組織因子、バトロキソビン(batroxobin)、アンクロッド(ancrod)、エカリン(ecarin)、フォンヴィルブランド因子(von Willebrand Factor)、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、血小板表面糖蛋白質(platelet surface glycoproteins)、バソプレシン(vasopressin)、バソプレシンアナログ(vasopressin analogs)、エピネフリン(epinephrine)、セレクチン(selectin)、凝血促進性毒(procoagulant venom)、プラスミノーゲン活性化因子抑制剤(plasminogen activator inhibitor)、血小板活性化因子(plateletactivating factor)およびペプチドからなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0020】
前記酸類は、ピルビン酸(pyruvic acid)、乳酸(lactic acid)、システイン(cysteine)、グルタミン(glutamine)、チロシン(tyrosine)、ロイシン(leucine)、リシン(lysine)、バリン(valine)、イソロイシン(isoleucine)、スレオニン(threonine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、トリプトファン(tryptophan)、ヒスチジン(histidine)、アルギニン(arginine)、グリシン(グリシン)、セリン(serine)、プロリン(proline)、グルタミン酸(glutamic acid)、アスパラギン酸(aspartic acid)、アラニン(alanine)、メチオニン(methionine)およびアスパラギン(asparagine)からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0021】
前記生理的緩衝溶液は、MES(2‐(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、ADA(N‐(カルバモイルメチル)イミノジ酢酸)、PIPES(1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸)、ACES(2−(カルバモイルメチルアミノ)エタンスルホン酸)、MOPSO(3‐モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、コールアミンクロライド(cholamine chloride)、MOPS(3−モルホリノプロパン−1−スルホン酸)、BES(N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、TES(2−[[1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]アミノ]エタンスルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸)、DIPSO(3−(N,N−ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、アセトアミドグリシン(acetamido glycine)、TAPSO(3-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホン酸)、HEPPSO(N−(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、HEPPS(4-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-1-プロパンスルホン酸)、トリシン(N-(2-ヒドロキシ-1、1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)グリシン)、グリシンアミド(glycinamide)、ビシン(2-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸)およびTAPS(3-[[1、3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]プロパン-1-スルホン酸)からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0022】
前記表面処理用組成物のうち前記有機物の濃度は2,000mM以下であり得る。
【0023】
前記表面処理用組成物は、無機塩をさらに含むことができる。
【0024】
前記無機塩は、金属塩化物、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属炭酸塩および金属硝酸塩からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0025】
前記無機塩中の金属は、ナトリウム、カルシウム、カリウム、ストロンチウム、マンガンおよびマグネシウムからなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0026】
前記表面処理用組成物のうち、前記無機塩の濃度は200mM以下であり得る。
【0027】
前記表面処理用組成物は、水溶液の形態であり得る
前記インプラントはチタンまたは、チタン合金を含むことができる。
【0028】
前記乾燥段階は200℃以下の温度で行われる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一具現例によるインプラントの表面処理方法は、工程が簡単で、処理費用が低価で、取り扱いが容易であるとともに、一般包装によるインプラントの包装においても親水性特性の保持を可能にする。
【0030】
本発明の他の具現例によるインプラントの表面処理方法は、インプラントの表面に親水性を保持させる方法として、従来の密封方法とは異なり、密封包装をしなくてもインプラント表面の親水性を保持できる方法である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】前処理および後処理をすべて行ったインプラント(実施例1〜3)と前処理だけを行ったインプラント(比較例1)の色の差を示している写真。
【
図2】前処理および後処理をすべて行ったインプラント(実施例1〜3)と前処理だけを行ったインプラント(比較例1)の血液親和度を示している写真。
【
図3】インプラントの表面処理用組成物のうち、生理食塩水が含まれているかの可否およびグルコースの濃度によるインプラントの表面状態を示している写真。
【
図4】インプラントの表面処理用組成物のうち、HEPESおよび/または、生理食塩水が含まれているかの可否によるインプラントの表面状態を示している写真。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一具現例に係るインプラントの表面処理方法を詳細に説明する。
【0033】
本発明の一具現例に係るインプラントの表面処理方法は、親水性基含有有機物を含む表面処理用組成物をインプラントの表面に塗布する段階(塗布段階)(S10)、および前記塗布された表面処理用組成物を乾燥する段階(乾燥段階)(S20)を含む。
【0034】
前記塗布段階(S10)によって前記インプラントの表面が親水性を有するようになり、この親水性が長時間保持されるか、および/または前記インプラントの表面に後述する前処理段階(S1)により予め与えられた親水性が長時間保持できる。
【0035】
前記親水性基含有有機物(以下、単に「有機物」という)は、前記表面処理後、前記インプラントの表面に残留して歯槽骨などに移植された後まで前記インプラントの表面が親水性を保持するようにする役割を果たす。前記インプラントの表面が親水性を保持するようになると、前記表面は血液との親和性が高くなり、血液にその表面全体が十分に浸って前記表面上に新生組織が早く形成されることによって、前記インプラントが周辺組織と固く結合するようになる。
【0036】
前記親水性基はヒドロキシル基(OH)、カルボキシル基(COOH)、アミノ基(NH
2)およびスルホン酸基(−SO
3H)からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0037】
前記有機物は、血液注射または細胞培養に用いられる有機物でもよい。
【0038】
前記有機物は糖類(saccharides)、蛋白質類(proteins)、酸類(acids)および生理的緩衝溶液(biological buffer orgood's buffer)からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0039】
前記糖類は、グルコース、セルロース、アルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースサルフェート、カルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キチン、カルボキシメチルキチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の塩、アルギネート、アルギン酸、プロピレングリコールアルギネート、グリコーゲン、デキストラン、デキストランサルフェート、カードラン(curdlan)、ペクチン、プルラン、キサンタン、コンドロイチン(chondroitin)、コンドロイチンサルフェート類、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルキトサン、キトサン、ヘパリン、ヘパリンサルフェート、ヘパラン(heparan)、ヘパランサルフェート、デルマタンサルフェート、ケラタンサルフェート、カラギーナン、澱粉、アミロース、アミロベクチン、ポリ−N−グルコサミン、ポリマンヌロン酸(polymannuronic acid)、ポリグルクロン酸(polyglucuronicacid)、ポリグルロン酸(polyguluronic acid)および前記糖類の誘導体からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0040】
前記蛋白質は、ゼラチン、プロトロンビン、トロンビン、フィブリノーゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、X因子、Xa因子、VII因子、VIIa因子、IX因子、IXa因子、XI因子、XIa因子、XII因子、XIIa因子、組織因子、バトロキソビン(batroxobin)、アンクロッド(ancrod)、エカリン(ecarin)、フォンヴィルブランド因子(von Willebrand Factor)、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、血小板表面糖蛋白質(platelet surface glycoproteins)、バソプレシン(vasopressin)、バソプレシンアナログ(vasopressin analogs)、エピネフリン(epinephrine)、セレクチン(selectin)、凝血促進性毒(procoagulant venom)、プラスミノーゲン活性化因子抑制剤(plasminogen activator inhibitor)、血小板活性化因子(plateletactivating factor)およびペプチドからなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0041】
前記酸類は、ピルビン酸(pyruvic acid)、乳酸(lactic acid)、システイン(cysteine)、グルタミン(glutamine)、チロシン(tyrosine)、ロイシン(leucine)、リシン(lysine)、バリン(valine)、イソロイシン(isoleucine)、スレオニン(threonine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、トリプトファン(tryptophan)、ヒスチジン(histidine)、アルギニン(arginine)、グリシン(グリシン)、セリン(serine)、プロリン(proline)、グルタミン酸(glutamic acid)、アスパラギン酸(aspartic acid)、アラニン(alanine)、メチオニン(methionine)およびアスパラギン(asparagine)からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0042】
前記生理的緩衝溶液は、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、ADA(N−(カルバモイルメチル)イミノジ酢酸)、PIPES(1、4−ピペラジンジエタンスルホン酸)、ACES(2−(カルバモイルメチルアミノ)エタンスルホン酸)、MOPSO(3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、コールアミンクロライド(cholamine chloride)、MOPS(3−モルホリノプロパン−1−スルホン酸)、BES(N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、TES(2−[[1、3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]アミノ]エタンスルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸)、DIPSO(3−(N、N−ビス[2−ヒドロキシエチル]アミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、アセトアミドグリシン(acetamido glycine)、TAPSO(3−[[1、3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]アミノ]−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸)、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、HEPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−1−プロパンスルホン酸)、トリシン(N−(2−ヒドロキシ−1、1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)グリシン)、グリシンアミド(glycinamide)、ビシン(2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸)およびTAPS(3−[[1、3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]アミノ]プロパン−1−スルホン酸)からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0043】
前記表面処理用組成物のうち、前記有機物の濃度は、2,000mM以下であってよい。具体的に、前記表面処理用組成物のうち、前記有機物の濃度は、0mM超過〜2,000mM以下であってよい。前記表面処理用組成物のうち、前記有機物の濃度が2,000mM以下であると、前記表面処理用組成物がインプラントの表面に塗布された後、乾燥されやすくなり得る。
【0044】
前記表面処理用組成物は、無機塩をさらに含むことができる。
【0045】
前記無機塩は、前記乾燥段階(S20)で前記表面処理用組成物の乾燥を促進し、前記表面処理用組成物で塗布された前記インプラントの表面全体が均一速度で乾燥されるようにして、前記乾燥段階(S20)の後、前記インプラントの表面にシミができるのを防止する役割を果たす。
【0046】
前記無機塩は、生理溶液を構成する無機塩であり得る。
【0047】
前記無機塩は、金属塩化物、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属炭酸塩および金属硝酸塩からなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0048】
前記無機塩中の金属は、ナトリウム、カルシウム、カリウム、ストロンチウム、マンガンおよびマグネシウムからなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0049】
前記無機塩は塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、塩化マンガン、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸ストロンチウム、リン酸マンガン、リン酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マンガン、硝酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸マンガンおよび硫酸マグネシウムからなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0050】
前記表面処理用組成物のうち、前記無機塩の濃度は200mM以下であり得る。具体的に、前記表面処理用組成物のうち、前記無機塩の濃度は0mM超過〜200mM以下であり得る。前記表面処理用組成物のうち、前記無機塩の濃度が200mM以下であると、前記表面処理用組成物がインプラントの表面に塗布された後にも細胞毒性(cytotoxicity)を発現させないことができる。
【0051】
前記表面処理用組成物は、水溶液の形態であってよい。本明細書において、「水溶液の形態」とは、前記表面処理用組成物の構成成分のうち、少なくとも有機物および/または、無機塩が水に溶解した状態で存在することを意味する。
【0052】
一例として、前記表面処理用組成物は、10〜200mMの濃度を有するグルコース水溶液でもよい。
【0053】
他の例として、前記表面処理用組成物は5〜150mMの濃度を有するHEPES水溶液でもよい。
【0054】
前記インプラントはチタンまたは、チタン合金を含むことができる。
【0055】
前記乾燥段階(S20)によって前記インプラントの表面に塗布された前記表面処理用組成物中の溶媒(例えば、水)が除去され、前記インプラントの表面に固形物質(すなわち、有機物および/または、無機塩)が析出されて残留することになる。結果として、親水性の、乾燥した表面を有するインプラントを得ることができる。
【0056】
前記乾燥段階は200℃以下の温度において行われる。具体的に、前記乾燥段階(S20)は−50℃〜200℃以下の温度で行われる。前記乾燥段階(S20)の温度が200℃以下の温度で行われると、前記表面処理用組成物が有機物を含む場合、前記有機物の酸化が起きないようにできる。
【0057】
前記乾燥段階(S20)が零下の温度で凍結乾燥(−20℃)によって行われると、インプラント表面の親水性特性を保持することができる。
【0058】
例えば、前記乾燥段階(S20)は、15〜70℃の温度で20分〜4時間行われる。
【0059】
前記インプラントの表面処理方法は前記塗布段階(S10)の前に前記インプラントの表面を前処理する段階(前処理段階)(S1)をさらに含むことができる。
【0060】
前記前処理段階(S1)により、前記インプラントの表面が親水性を有するようになる。
【0061】
前記前処理段階(S1)は、サンドブラスト処理、リン酸カルシウムコーティング、UV処理、プラズマ処理、酸処理および塩基処理のうち少なくとも一つの操作によって行われる。
【0062】
前記表面処理方法によって表面処理されたインプラントは、密閉包装ではなく一般包装によっても、前記表面処理以降からインプラント施術後まで親水性表面を保持することができる。
【0063】
以下、実施例を挙げて本発明に対してさらに詳細に説明するが、本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
(実施例)
<実施例1〜3:インプラントの表面前処理および後処理>
先に、UV装置(アテク、AH−1700)を利用してチタンインプラント(自体製作)の表面にUVを1時間照射した(これを「前処理」という)。以後、下記表1の表面処理用組成物10μlを前記前処理されたインプラントの表面に塗布した後、前記表面処理用組成物で塗布されたインプラントを、25℃で20分、その後60℃で2時間乾燥した(これを「後処理」という)。
【0065】
<比較例1:インプラントの表面前処理>
UV装置(アテク、AH−1700)を利用してチタンインプラント(自体製作)の表面にUVを1時間照射して前記インプラントの表面を前処理した。しかし、前記前処理されたインプラントの表面に表面処理用組成物を塗布および乾燥する段階(すなわち、後処理段階)は省略した。
(評価例)
<評価例1:インプラント表面の色評価>
前記比較例1で前処理だけを行ったインプラントの表面写真と前記実施例1〜3で前処理と後処理をすべて行ったインプラントの表面写真を撮影して、その結果を
図1に示した。
【0066】
図1を参照すれば、実施例1〜3で前処理と後処理をすべて行ったインプラントの表面は、比較例1で前処理のみを行ったインプラントの表面と異なる色に変化したことが確認できる。このような結果から、実施例1〜3で前処理と後処理をすべて行ったインプラントの表面には固形物質(すなわち、親水性を有するグルコースおよび/または、生理食塩水由来の塩化ナトリウム)が残留することを確認することができる。
<評価例2:インプラント表面の血液親和度評価>
前記比較例1で前処理のみを行ったインプラントと前記実施例1〜3で前処理と後処理をすべて行ったインプラントを人体血液に浸漬して取り出した後、前記各インプラントの写真を撮影して、その結果を
図2に示した。
【0067】
図2を参照すれば、実施例1〜3で前処理と後処理をすべて行ったインプラントの表面は、比較例1で前処理のみを行ったインプラントの表面よりさらに広い部位が血液で濡れており、血液との親和性が優れていることが確認できる。
<評価例3:表面処理用組成物のシミ特性評価>
インプラントの表面処理用組成物のうち、生理食塩水が含まれているかの可否およびグルコースの濃度によるインプラントの表面状態を示している写真を撮影して、その結果を
図3に示した。ここで、生理食塩水が含まれていない表面処理用組成物の製造およびインプラントの表面処理は、実施例1と同じ方法(ただし、グルコースの濃度は変化する)で実施し、生理食塩水が含まれている表面処理用組成物の製造およびインプラントの表面処理は、実施例2と同じ方法(ただし、グルコースの濃度は変化する)で実施した。
【0068】
図3を参照すれば、生理食塩水が含まれていない表面処理用組成物を用いた場合、グルコースの濃度が低いと(25mM〜100mM)インプラントの上部表面と下部表面は暗い色調を有するが中間の部分は明るい色調を有する、帯状のシミが形成され、グルコースの濃度が高いと(200mM〜400mM)シミがなくインプラントの全体表面が暗い色を有するものと示された。
【0069】
また、
図3を参照すれば、生理食塩水が含まれた表面処理用組成物を用いた場合は、グルコースの濃度が低い場合と高い場合のいずれも(25mM〜400mM)、シミがなくインプラントの全体表面が暗い色を有するものと示された。
【0070】
前記結果から、生理食塩水(すなわち、塩化ナトリウム)が後処理段階後、インプラントの表面にシミが形成されることを防止することを確認することができる。
<評価例4:表面処理用組成物の乾燥特性評価>
インプラントの表面処理用組成物のうち、HEPESおよび/または、生理食塩水が含まれているかの可否によるインプラントの表面状態を示す写真を撮影して、その結果を
図4に示した。
図4の各場合に下記の表面処理用組成物を用いたことを除いては、実施例1〜3と同じ方法でそれぞれのチタンインプラントを前処理および後処理を施した。
【0071】
図4において、「生理食塩水のみ含む」とは、表面処理用組成物として0.9wt%の生理食塩水を用いたことを意味し、「HEPESのみ含む」とは、表面処理用組成物としてHEPES粉末を蒸溜水に溶解して調製した100mMの濃度を有するHEPES水溶液を用いたことを意味し、「生理食塩水とHEPESを含む」とは、表面処理用組成物として実施例3で調製された表面処理用組成物を用いたことを意味する。
【0072】
図4を参照すれば、表面処理用組成物として「生理食塩水」だけを用いた場合はインプラントの表面にシミが形成され、表面処理用組成物として「HEPES」だけを用いた場合にはインプラントの表面に未乾燥残留物が存在し、表面処理用組成物として「生理食塩水とHEPES」を用いた場合にはインプラントの表面にシミも形成されず、未乾燥残留物も存在しないものと示された。
【0073】
前記結果から、生理食塩水(すなわち、塩化ナトリウム)がインプラントの表面に塗布された表面処理用組成物の乾燥を促進させることが確認できる。
【0074】
本発明は、図面および実施例を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野の通常の知識を有した者であれば、これらから多様な変形および均等な他の実施例が可能であることは理解できることである。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付された特許請求範囲の技術的思想によって定められるべきである。