(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aと
図1Bは本発明の基礎となる課題を示す。
図1Aでは第1周波数f
aのデータパスクロックの時間的推移ならびに各データパスクロックに属する蓄積部の状況、つまり蓄積部で蓄積された一部増分V
iの数を示し、
図1Bでは第2周波数f
sの要求周期の時間的推移ならびに各要求周期で読み出し又は要求した合計増分v
0を示す。一例として第1周波数f
aを3.4kHzに設定し、第2周波数f
sを800Hzに設定する。従って、要求周期はN=f
a/f
s=4.25のデータパスクロックからなる。
【0011】
データパスクロックの総数で蓄積するしかないので、データを全て完全に送信して4つのデータパスクロックで3回蓄積し、5つのデータパスクロックで1回蓄積しなければならない。つまり、合計増分v
0に含まれる一部増分v
iの数が4と5に変動する。このパターンが周期的に繰り返され、図示した事例ではこのパターンが4要求周期である。合計増分v
0に含まれる一部増分v
iの連続する数値4と5がこの処理で調整され、この2つの値の間で変化数が最大になる。
【0012】
この種のデータ要求と積分で起こりうる誤差の可能性は2種類に分類される。一方では合計増分v
0における一部増分viの取り込み具合を調整する積分誤差基準の誤差の可能性があり、他方では一要求周期での積分に対する合計増分v
0の対応具合を判断する差分誤差基準の誤差の可能性がある。
【0013】
図示の例では積分誤差基準が完全に満たされているが、差分誤差基準が十分満たされておらず、これが要求部でデータの付加ノイズと判断される。従って、本発明に係る方法によって積分誤差基準を満たしたままで差分誤差基準を改善する。
【0014】
本発明に係る方法の説明では次のような記号を導入する。
t
s 第2周波数f
sに属する公称時間増分
t
0(k) 今回要求された第1合計増分に属する時間増分
t
1(k) 前回の第1合計増分に属する時間増分
t
1r(k) 前回の第1合計増分に属する時間増分t
1(k)のうち前回の第2合計増分生成工程で処理されなかった残留部
v
0(k) 今回の第1合計増分要求工程で要求された第1合計増分
v
1(k) 前回の第1合計増分要求工程で要求された前回の第1合計増分
v
r(k) 前回の第2合計増分生成工程で使用し、今回の第2合計増分生成工程で訂正増分として考慮しなければならない外挿部
v
2(k) 前回の第1合計増分要求工程よりも前の工程で要求された前回の第1合計増分よりも前の第1合計増分;
t
2(k) 前回の第1合計増分よりも前の第1合計増分に属する時間増分;
t
2r(k) 前回の第1合計増分よりも前の第1合計増分に属する時間増分t
2(k)のうち前回の第2合計増分生成工程で処理されなかった残留部;
v(k) 公称時間増分t
sに適用した第2合計増分
【0015】
「増分」という表現を終了値と初期値とのデータ内容の差異の同義語として用いる。例えば、「合計増分」という表現はデータ内容の差異を表し、時間間隔の始まりでデータ内容の初期値を判断し、時間間隔の終わりでデータ内容の終了値を判断する。対応する時間間隔を合計増分に属する時間増分と呼ぶ。データ内容とは、例えば計測量であってもよい。
【0016】
例示形態のブロック図で本発明に係る方法を
図2に示す。方法開始後の第1工程S11で第1ユニットから第1値W(k)と共に第1合計増分v
0(k)が要求される。第1ユニットではパラメータの一部増分としても示されるデータをデータパス周波数とも呼ばれる第1周波数f
aで蓄積する。例えば、第1ユニットは第1周波数f
aで測定値を取り込み又は生成し、このような値を継続して蓄積部に蓄積するセンサであってもよい。蓄積された一部増分の総数によって第1合計増分v
0(k)が形成され、第1合計増分v
0(k)は第1ユニットにおいて現在の要求時間kに供給されたデータブロックのデータ内容、つまり蓄積された一部増分のデータ内容に対応する。データ蓄積によって蓄積間隔でデータ又は測定値の円滑化が可能になる。
【0017】
また、第1ユニットが第1合計増分v
0(k)に属する時間増分t
0(k)を示す第1値W(k)を生成する。例えば、第1値W(k)としての蓄積部の数は第1合計増分v
0(k)に含まれる一部増分の数を示してもよく、これによってデータパスクロックt
a=1/f
aの乗算で第1合計増分v
0(k)に属する時間増分t
0(k)を算出できる。第1値W(k)は第1合計増分v
0(k)に属する時間増分t
0(k)であってもよい。時間増分t
0(k)は蓄積間隔に対応し、蓄積間隔とは前回の第1合計増分要求工程に含まれた前回の一部増分を生成する時点と、今回の第1合計増分要求工程で要求された前回の一部増分を生成する時点との間の時間である。このように、蓄積間隔は必ずデータパスクロックt
aの整数倍である。
【0018】
第1合計増分v
0(k)を要求した後、第1ユニットの蓄積部の内容をゼロに設定する。更に、次の要求工程で第1値W(k+1)を判定するために第1値W(k)を定義する。例えば、蓄積部の係数値をゼロに設定してもよい。
【0019】
本発明に係る方法の第2工程S12では第1値W(k)を用いて第1合計増分v
0(k)から第2合計増分v(k)を生成し、第2合計増分は公称時間増分t
sに適用したデータブロックのデータ内容に対応する。公称時間増分t
sは積分区間に対応し、積分区間とは前回の第1合計増分要求工程を行う時点と、今回の第1合計増分要求工程を行う時点との間の時間である。このように、公称時間増分t
sはt
s=1/f
sの要求周期に対応し、f
sは第2ユニットが第1ユニットの蓄積データを要求する際の第2周波数である。第2周波数f
sと、よって公称時間増分t
sとは通常予め定められ一定であると推定されるが、t
sの具体的な値を判定し、この値をt
sの現在値として第2合計増分の算出時に考慮することも可能である。
【0020】
第3工程S13では生成した第2合計増分v(k)を第2ユニットに送信する。第2ユニットは、例えば第1ユニットが生成又は取り込んだデータを評価又は更に処理し、その後第2周波数f
sで第1ユニットからのデータを要求する評価ユニット又は更なる処理用のユニットであってもよい。
【0021】
図2に示すように、第2合計増分v(k)の生成ならびに第2合計増分v(k)の送信のための第1合計増分v
0(k)と第1値W(k)の要求工程を第2周波数f
sで繰り返し実行することができ、繰り返し毎に指標kを1ずつ増やす。
【0022】
本発明に係る方法によって、積分誤差基準を満たした状態で、第1周波数f
aと第2周波数f
s(f
a/f
s>1)との任意の関係の差分誤差基準を改善する。
【0023】
特にこれに該当する事例としては、第1周波数f
aが第2周波数f
sの整数倍に等しい場合である。
【0024】
本発明に係る方法の上記利点は、通常は一定の第1周波数f
aと第2周波数f
sとの周波数比f
a/f
sが一時的に限定的に変動する場合にも得られる。これは、例えば第1周波数f
a又は第2周波数f
sのジッタ、つまり変動を原因とする。
【0025】
図3にフローチャートとして示すのは、方法の第1実施形態に係る第2合計増分生成工程である。指標kをゼロに設定して方法を開始した後、工程S12でまず第1ユニットから第1合計増分v
0(k)と第1値W(k)が要求され、第1値W(k)が第1合計増分に属する時間増分t
0(k)に直接対応しない場合、W(k)から第1合計増分v
0(k)に属する時間増分t
0(k)を算出する。
【0026】
次に工程S22で指標kがゼロに等しいか否かを判断する。k=0の場合、工程S23で第2合計増分v(k)を生成するための初期値を次のように設定する:
【数1】
【0027】
次の工程S24で第2合計増分を次のように算出する:
【数2】
【0028】
ここで第1被加数は前回の積分区間からのおそらく未処理の残留部を表し、第2被加数は今回の積分区間からの最大部又は完成部ならびに次の未知の積分区間であり得る外挿を表し、最後の被加数又は減数はおそらく前回の第2合計増分生成工程で使われた今回の積分区間の外挿推定を考慮した訂正増分を示す。よって、第2合計増分は、おそらく前回の第2合計増分生成工程で未処理の残留部と、今回の第1合計増分要求工程で要求された第1合計増分の少なくとも一部と、おそらく次の工程に外挿された今回の合計増分の一部と、おそらく前回の第2合計増分生成工程で用いた外挿部の負数に対応する訂正増分との和に対応する。
【0029】
より詳しく説明するために、前回の第1合計増分に属する時間増分のうち前回の第2合計増分生成工程で処理されなかった残留部t
1r(k)と、今回要求された第1合計増分の時間増分t
0(k)との和に対する公称時間増分t
sの長さについてケースバイケースの分析を行う。
【0030】
t
1r(k)+t
0(k)<t
sの場合、次に要求される第1合計増分に対し第1合計増分v
0(k)を外挿する。この外挿は、次に要求される第1合計増分の値が今回要求された第1合計増分と同じであるという仮定に基づく。この外挿によって、今回要求された第1合計増分に属する時間増分t
0(k)を公称時間増分t
sの末尾まで引き伸ばし、結局t
1r(k)+t
0'(k)=t
sとなるようにする。ここでt
0'(k)は引き伸ばした時間増分t
0(k)である。
【0031】
第2合計増分の外挿部は次の第2合計増分生成工程の訂正増分に対応する。第1合計増分に属する全時間増分t
0(k)が第2合計増分v(k)の生成に寄与するので、次の第2合計増分生成工程では今回要求された第1合計増分の未処理残留部が現れない。
【0032】
t
1r(k)+t
0(k)≧t
sの場合、第1合計増分v
0(k)を補間する。この補間によって今回要求された第1合計増分に属する時間増分t
0(k)を公称時間増分t
sの末尾まで短くし、結局t
1r(k)+t
0'(k)=t
sとなるようにする。ここでt
0'(k)は短縮された時間増分t
0(k)である。
【0033】
よって、次の第2合計増分生成工程では今回要求された第1合計増分の未処理残留部が現れる。第2合計増分の外挿部がないので、次の第2合計増分生成工程で訂正増分を差し引く必要はない。
【0034】
説明したとおり、次の第2合計増分生成工程で使用する残留部t
1r(k)と次の第2合計増分生成工程で使用する訂正増分v
r(k)は2つの記載事例で異なる。よって、第2合計増分v(k)の算出する前後に工程S25で上述の公称時間増分t
sの長さについてケースバイケースで分析を行う。これによって工程S26又はS27で状態遷移、つまり次の第2合計増分生成工程で使用するv
r(k+1)とt
1r(k+1)の値を次のように判定する:
【数3】
【0035】
工程S28の各事例では次の2つの状態遷移、つまり次の第2合計増分生成工程で用いるt
1(k+1)とv
1(k+1)の値を次のように判定する:
【数4】
【0036】
本発明に係る方法が終了しない限り、工程S29で指標kを1だけ増やし工程S21からS29を繰り返し、全ての処理を第2周波数f
s、つまり要求周期毎に1回行う。
【0037】
実際のセンサデータを一部増分として使用した
図3に示す方法の模擬実験の結果、方法の過渡振動の後にジッタに影響された周波数f
sとf
aの積分誤差基準が第2合計増分によって満たされ、第1合計増分に関する差分誤差基準は相当改善した。方法で使用した外挿を原因とする期待値からの第2合計増分の偏移はセンサノイズより小さかった。
【0038】
本発明の第2実施形態に係る第2合計増分生成工程をフローチャートで
図4に示す。方法を開始して指標kをゼロに設定した後、工程S31でまず第1ユニットから第1合計増分v
0(k)と第1値W(k)が要求され、第1値W(k)が第1合計増分に属する時間増分t
0(k)に直接対応しない場合、第1合計増分v
0(k)に属する時間増分t
0(k)をW(k)から算出する。
【0039】
そして、工程S32で指標kがゼロに等しいか否かを判定する。k=0の場合、第2合計増分v(k)を生成する次のような初期値を工程S33で設定する:
【数5】
【0040】
次の工程S34で前回の第1合計増分よりも前の第1合計増分に属する時間増分のうち前回の第2合計増分生成工程で処理されなかった残留部t
2r(k)と、前回の第1合計増分に属する時間増分のうち前回の第2合計増分生成工程で処理されなかった残留部t
1r(k)との合計に対する公称時間増分t
sの長さに応じてケースバイケースの分析を行う。
【0041】
t
2r(k)+t
1r(k)<t
sの場合、第2合計増分を次のように工程S35で算出する:
【数6】
【0042】
よって、第2合計増分は、前回の第1合計増分よりも前の、つまり前回の積分区間よりも前の積分区間からの第1合計増分のうちおそらく未処理の残留部と、前回の第1合計増分のうち、つまり前回の積分区間からの完全に未処理の残留部と、今回の積分区間からの今回の第1合計増分の一部とからなる組み合わせである。前回の第1合計増分の全残留部が第2合計増分に寄与するので、次の第2合計増分生成工程で考慮しなければならない前回の第1合計増分の残留部はない。今回の第1合計増分の一部が既に第2合計増分に寄与するので、次の第2合計増分生成工程で考慮しなければならないのは今回の第1合計増分の残留部のみである。よって、次の第2合計増分生成工程用に次のような状態遷移結果を工程S35でも算出する:
【数7】
【0043】
t
2r(k)+t
1r(k)≧t
sの場合、第2合計増分を工程S36で次のように算出する:
【数8】
【0044】
よって、第2合計増分は、前回の第1合計増分よりも前の、つまり前回の積分区間よりも前の積分区間からの第1合計増分のうちおそらく未処理の残留部と、前回の第1合計増分、つまり前回の積分区間からからの大部分との組み合わせである。前回の第1合計増分の一部のみが第2合計増分に寄与するので、第1合計増分のうち前回分の残留部が残り、次の第2合計増分生成工程で考慮しなければならない。今回の第1合計増分から第2合計増分に寄与する部分がないので、次の第2合計増分生成工程で今回の第1合計増分を全て考慮しなければならない。よって、次の第2合計増分生成工程用に次のような状態遷移結果を工程S36でも算出する。
【数9】
【0045】
第2合計増分は通常、前回の第1合計増分要求工程よりも前の工程で要求された前回の合計増分よりも前の第1合計増分のうち、おそらく前回の第2合計増分生成工程よりも前の工程で処理されていない残留部と、前回の第1合計増分要求工程で要求された前回の合計増分の少なくとも一部と、おそらく今回の第1合計増分要求工程で要求された第1合計増分の一部との和である。よって、一要求周期の遅延が発生するのは、第1ユニットから第1合計増分を要求する工程と、要求された第1合計増分に対応する第2合計増分を送信する工程との間である。
【0046】
工程S37の各事例では次のような状態遷移、つまり次の第2合計増分生成工程で使用する値を判定する:
【数10】
【0047】
本発明に係る方法が終了しない限り、工程S38で指標kを1だけ増やして工程S31からS38を繰り返し、全ての処理を第2周波数f
sで、つまり要求周期毎に1回行う。
【0048】
実際のセンサデータを一部増分として使用した
図4に示す方法の模擬実験の結果、方法の過渡振動後に第2合計増分によって積分誤差基準が満たされると共に、ジッタに影響された周波数f
sとf
aの差分誤差基準も満たされた。
【0049】
よって、第1周波数f
a又は第2周波数f
sのジッタに対し堅牢なのは
図3に示す方法よりも
図4に示す方法であるが、第1合計増分と第1合計増分に対応する第2合計増分、つまり第1合計増分が少なくとも部分的に含まれる第2合計増分との間で一要求周期1/f
sの遅れがある。よって、
図4に示す方法はこのような遅延が重要ではない又は更にデータを処理してこのような遅延を考慮することができるデータ送信方法に特に好適である。
【0050】
図2に示す方法を実行するのに好適な装置100、ならびに概略形態の第1ユニット200と第2ユニット300を
図5に示す。
【0051】
第1ユニット200は、第1周波数f
aで生成される又は取り込まれるデータ又は一部増分を蓄積し、第1合計増分v
0(k)と、第1合計増分に属する時間増分t
0(k)、つまり蓄積間隔を表す第1値W(k)とを供給する蓄積部210を含む。第1ユニット200は、例えば第1周波数f
a、つまりデータパスクロックでデータ又は一部増分を生成するセンサであってもよく、この場合は更に別のユニット、例えば測定部および/又は処理部を備えてもよい。このようなセンサの例として回転速度センサ又は加速度センサ等がある。回転速度センサでは一部増分が一部角度増分を表す一方、加速度センサでは一部増分は一部速度増分である。あるいは、第1ユニット200の更に別のユニットからデータ又は一部増分を要求し、第1周波数f
aで蓄積部210にデータ又は一部増分を蓄積してもよい。
【0052】
本発明に係る装置100は、第1ユニット200から第2周波数f
sで第1合計増分v
0(k)と第1値W(k)とを要求又は受信するのに適した入力部110と、第1値W(k)を用いて第1合計増分v
0(k)から第2合計増分v(k)を生成するのに適したフィルタ120又は160と、第2周波数f
sで第2合計増分v(k)を第2ユニット300に送信するのに適した出力部150とを含む。
【0053】
第2ユニット300は第2周波数f
sで装置100が送信した第2合計増分を要求又は受信すると共に、第2合計増分を適宜評価、表示および/又は更に処理する評価・表示部又は別の任意の処理部であってもよい。
【0054】
装置100によって第1周波数f
aで生成されたデータを第2周波数f
sに同期化することができる。これによって、第1周波数f
aで生成されたデータを正確に第2周波数f
sの要求周期で表現することができる。特に、装置100によって積分誤差基準が満たされ、互いに独立した第1周波数f
aと第2周波数f
sの差分誤差基準の改善が可能になる。
【0055】
第1ユニット200と第2ユニット300との間に設ける装置100を分離ユニットとして
図5に示すが、装置100を第1ユニット200又は第2ユニット300に組み込むことも可能である。そして、入力部110又は出力部150は適宜省略可能である。
【0056】
図3について記載した本発明に係る方法の第1形態を実行するのに適してした本発明に係る装置100の第1形態を
図6に示す。
【0057】
上述の入力部110と出力部150に加え、本実施形態はフィルタ120、格納部145、およびクロック発生器146を含む。クロック発生器146は装置100の外部から開始又は終了信号を受信するよう構成され、第1ユニット200からの第1合計増分v
0(k)と第1値W(k)との要求ならびに指標kの設定を第2周波数f
sで制御する。第1ユニット200、第2ユニット300又はその他装置又はユーザが開始又は終了信号を供給してもよい。
【0058】
フィルタ120で第2合計増分v(k)を算出するのに必要なパラメータ用初期値を格納部145に格納し、開始信号の受信後にフィルタ120に初期値を供給する。また、第2周波数f
sを格納部145に格納してもよいが、第2周波数f
s又はそこから生じる公称時間増分t
sを第2ユニット300から直接供給してもよく、又は第2ユニット300から送られる信号によって判定してもよい。初期値ならびに公称時間増分を格納部145および/又は外部からフィルタ120に供給する。
【0059】
フィルタが、指標kの現在値を供給する計算器141を含む。クロック発生器146から開始信号を受信すると、計算器141で指標kをゼロに設定し、各周期でクロック発生器146が設定したように1ずつ増やす。指標kの値がゼロに等しい場合、以下に詳細を説明するフィルタの構成要素それぞれに対し計算器141が初期値、つまりt
1r(0)、t
0(0)、t
1(0)、v
1(0)、v
r(0)を供給する。
【0060】
装置100の異なる構成要素、例えば格納部145、クロック発生器146および/又は計算器141の機能を1つ又は複数の構成要素で実現することができる。更に、装置100にクロック発生器を含める必要がないように、第1合計増分と第1値を要求する周期ならびに指標kを増やす周期を外部、つまり装置100の外部から供給することもできる。
【0061】
要求した第1値W(k)から第1合計増分v
0(k)に属する時間増分t
0(k)を算出するのに適した演算部142をフィルタに含める。第1値W(k)が既に時間増分t
0(k)に対応する場合、演算部142を省略してもよい。
【0062】
第2合計増分v(k)ならびに状態遷移t
1(k+1)、v
1(k+1)、v
r(k+1)、t
1r(k+1)を算出するために、フィルタ120は更に加算器121〜123、インバータ124〜127、2位置素子128、スイッチング素子129、130、遅延部131〜134、乗算器135〜137および除算器138〜140を含む。2位置素子128の出力部が信号Sを供給し、t
1r(k)とt
0(k)との和に対する公称時間増分t
sの長さによってケースバイケースの分析を行うことを可能にする。t
1r(k)+t
0(k)<t
sの場合、信号Sは値S
1をとる一方、t
1r(k)+t
0(k)≧t
sの場合、信号Sは値S
2をとる。スイッチング素子129、130が各信号Sに従ったスイッチ位置になり、スイッチング素子の出力部が各事例に対応する値をとるようにする。遅延部131〜134は一時的な格納を表し、積分区間の一周期の時間遅延、つまりt
sの時間遅延で出力部に対し入力値を転送する。このように、遅延部の入力値を次の積分区間で供給して更に処理することができる。
【0063】
フィルタ120の各構成要素の正確な接続は
図6から推測することができる。これによってフィルタ120では式(6)、(7)、(8)又は(9)と(10)ならびに(11)と(12)に従って第2合計増分v(k)ならびに状態遷移t
1(k+1)、v
1(k+1)、v
r(k+1)、t
1r(k+1)を計算できる。
【0064】
図4について記載した本発明に係る方法の第2実施形を実行するのに適した本発明に係る装置100の第1実施形態を
図7に示す。
【0065】
上述の入力部110と出力部150の他に、本実施形態はフィルタ160、格納部145およびクロック発生器146を含む。格納部145とクロック発生器146については
図6に関する上記記載が該当する。
【0066】
フィルタは、指標kの現在値を供給する計算器186を含む。クロック発生器146から開始信号を受信すると、計算器186で指標kをゼロに設定し、各周期でクロック発生器146が設定したように1ずつ増やす。指標kの値がゼロに等しい場合、以下に詳細を説明するフィルタの構成要素それぞれに対し計算器186が初期値、つまりt
2r(0)、t
1r(0)、t
0(0)、t
2(0)、t
1(0)、v
1(0)、v
2(0)を供給する。
【0067】
装置100の異なる構成要素、例えば格納部145、クロック発生器146および/又は計算器186の機能を1つ又は複数の構成要素で実現することができ、あるいは
図6について説明したようにクロック発生器146を省略してもよい。
【0068】
同様に、
図6について説明したように、要求した第1値W(k)から第1合計増分v
0(k)に属する時間増分t
0(k)を算出するのに適した演算部187をフィルタ160に含めてもよい。第1値W(k)が既に時間増分t
0(k)に対応する場合、演算部187を省略してもよい。
【0069】
更に、第2合計増分v(k)ならびに状態遷移t
1(k+1)、t
2(k+1)、v
1(k+1)、v
2(k+1)、t
1r(k+1)、t
2r(k+1)を算出するために、フィルタ160は更に加算器161〜164、インバータ165〜168、2位置素子169、スイッチング素子170〜173、遅延部174〜179、乗算器180〜182および除算器183〜185を含む。2位置素子169の出力部が信号Sを供給し、t
1r(k)とt
2r(k)の和と比較して公称時間増分t
sの長さによってケースバイケースの分析を行うことを可能にする。t
1r(k)+t
2r(k)<t
sの場合、信号Sは値S
1をとる一方、t
1r(k)+t
2r(k)≧t
sの場合、信号Sは値S
2をとる。スイッチング素子170、173が各信号Sに従ったスイッチ位置となり、スイッチング素子の出力部が各事例に対応する値をとるようにする。遅延部174〜179は一時的な格納を表し、積分区間の一周期の時間遅延、つまりt
sの時間遅延で出力部に対し入力値を転送する。よって、次の積分区間では更に処理すべき遅延部の入力値が出力部にある。
【0070】
フィルタ160の各構成要素の正確な接続は
図7から推測することができる。これによってフィルタ160で式(20)又は(23)、(21)、(22)又は(24)、(25)ならびに(26)〜(29)に従って第2合計増分v(k)ならびに状態遷移t
1(k+1)、t
2(k+1)、v
1(k+1)、v
2(k+1)、t
1r(k+1)、t
2r(k+1)を計算できる。