特許第6383798号(P6383798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383798一の機能性塗布具と一の非機能性塗布具とを備えた化粧品塗布具システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383798
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】一の機能性塗布具と一の非機能性塗布具とを備えた化粧品塗布具システム
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20180820BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20180820BHJP
   B65D 51/32 20060101ALI20180820BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A45D34/00 510A
   A45D34/04 515Z
   B65D51/32 100
   B65D51/24 100
   B65D51/24 200
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-556708(P2016-556708)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公表番号】特表2017-507733(P2017-507733A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】US2015020062
(87)【国際公開番号】WO2015138662
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2016年10月11日
(31)【優先権主張番号】14/207,784
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(72)【発明者】
【氏名】コルベリーニ,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ブイクス,エルヴェ エフ.
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 カナダ国特許出願公開第01158602(CA,A1)
【文献】 米国特許第07374356(US,B2)
【文献】 米国特許第02065800(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0018688(US,A1)
【文献】 特開2005−052371(JP,A)
【文献】 特開2011−172676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00
A45D 34/04
B65D 51/24
B65D 51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品製品を保持することが可能な一つだけの容器(2)と、
前記容器(2)を封止および開封するように前記容器(2)に係合することが可能な閉鎖部材(3)と、
互いに外見上同一および同軸であり、前記閉鎖部材(3)から反対の方向に延びる一つの機能性の第1の塗布具ヘッド(4)および一つの非機能性の第2の塗布具ヘッド(6)と、
前記第2の塗布具ヘッド(6)を取り囲む保護キャップ(7)と、を備え、
前記機能性の第1の塗布具ヘッド(4)は、前記容器(2)内の前記化粧品製品に浸漬されるように構成され、
前記保護キャップは、前記閉鎖部材(3)に恒久的に取り付けられて前記第2の塗布具ヘッドを非機能性とし、
前記第2の塗布具ヘッド(6)は、前記保護キャップ(7)を通して常時視認可能である化粧品塗布具システム(1)。
【請求項2】
前記保護キャップ(7)は、全体が透明である、請求項1に記載の化粧品塗布具システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品塗布具システムに関する。詳細には、本発明は、浸漬型の化粧品塗布具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
「棒状」の塗布具とは、持手部付きの近位端部と、製品塗布表面への製品の送達を助けるように適合された遠位自由端部とを有する、延在するロッドまたは軸を意味する。延在するロッドは、自由端部が製品容器の底部に到達することを可能にする。延在するロッドは、塗布具ヘッドと塗布具のハンドルとの間に間隔を提供することによって、製品の塗布および化粧を容易にもする。この間隔は、睫毛へのマスカラの塗布にとって特に必要である。この定義には、綿棒を含むことができるが、脱脂綿は含まない。なぜなら、脱脂綿は、近位端部および遠位端部を有する延在するロッドまたは軸を有していないからである。
【0003】
「浸漬型」の塗布具とは、製品の容器内において浸漬されて容器から製品を取り出すように適合された遠位端部を有する棒状の塗布具を意味する。従来のマスカラ塗布具は、この説明に当てはまる。この説明に当てはまらない塗布具の例には、製品が一体型の容器から塗布具ヘッドを通って塗布具の表面上へ流されるものが含まれる。
【0004】
二つの棒状の塗布具を有する浸漬型の化粧品塗布具システムが知られている。たとえば、各塗布具に一つずつ二つの製品容器を有する塗布具システムが存在し、これらの容器は、多くの場合、端部と端部が結合されまたは横に並べて結合される。米国特許第4,886,080号および米国特許第2,691,184号は、塗布具ヘッドが互い対向しているシステムについて記載している。米国特許第3,690,777号、米国特許第6,612,764号、米国特許第6,682,242号、米国特許出願公開第2002/0018688号、ドイツ国特許第3923731号、およびカナダ国特許第1,158,602号は、塗布具ヘッドが互いから離れる方を向いているシステムについて記載している。塗布具ヘッドが同じ方向を向いているシステムは、米国特許第5,509,742号および米国特許第D287,168号に記載されている。
【0005】
二つの棒状の塗布具を有するが、一つだけの製品容器と容器内への一つだけの入口を有する塗布具システムも存在する。米国特許第2,829,655号、米国特許第5,970,990号、米国特許第2,902,041号、および米国特許第3,073,320号は、棒状の塗布具の一つが製品容器内において浸漬されることを意図しないシステムについて記載している。多くの場合、この塗布具は、実際には、コームまたは他の付属道具などの化粧道具である。棒状の塗布具はどちらも、容器を封止する同じ閉鎖部材に取り付けることができ、容器に入らない塗布具には取外し可能なキャップが設けられる。
【0006】
二つの棒状の塗布具を有するが、どちらの塗布具も製品容器内において一切浸漬されない塗布具システムも存在する。いずれの製品も、容器から塗布具ヘッドを通って塗布具表面上へ流され(たとえば、米国特許第3,592,202号、米国特許第D286,163号、米国特許第D295,878号、および米国特許第3,688,450号)、または塗布具システム内に製品が存在しない(すなわち、米国特許第5,056,179号)。
【0007】
上記の参照文献に記載されているすべての塗布具システムでは、すべての塗布具ヘッドが機能性である。それらのほとんどすべてにおいて、塗布具ヘッドは互いに異なる。米国特許第D295,878号では、塗布具ヘッドは同一のように見えるが、明らかに異なる製品(すなわち、異なる色のインク)を分配する。
【0008】
化粧品の販売業者は、製品に付属する塗布具のタイプを潜在顧客に示したいと考えることがある。しかし、商業環境において製品容器が流通のために封止されているときなど、塗布具ヘッドが製品容器内において浸漬されているときは、塗布具ヘッドを視認できない。この問題を避ける一つの方法は、製品容器を一時的な閉鎖部材またはシールで封止し、次いで透明の外装内に容器および塗布具を横に並べて包装することである。ここでの問題は、マスカラ管などの比較的小さく洗練された設計が、かさばったプラスチックの外箱に置き換えられることである。プラスチックの外箱は、商品のコストを大幅に増大させる。また、塗布具ヘッドが製品内において浸漬された後は、塗布具ヘッドは再び視認できなくなる。たとえば、いくつかのマスカラ製品を所有している女性であれば、各製品の中にどの塗布具が入っているかを覚えられない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、一つは機能性であるが、常時視認可能とは限らず、一つは不機能性であるが常時視認可能な、二つの同一または実質上同一の塗布具を有する化粧品塗布具システムを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、完全に組み立てた状態で流通および販売することができ、それでもなお消費者が購入しようとしている塗布具ヘッドのタイプを視認可能にする化粧品塗布具システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一部の従来技術の塗布具システムと同様に、本発明の塗布具システムは、製品を保持しているまたは製品を保持することが可能な一つの容器と、容器から製品を取り出すために製品容器内で浸漬されることが必要な遠位自由端部を有する一つの棒状の塗布具と、製品容器内で浸漬されないことが意図される一つの棒状の塗布具とを有する。一部の従来技術と同様に、塗布具はどちらも同じ閉鎖部材に取り付けられ、製品容器内において浸漬されることが意図されない塗布具用にキャップが提供される。しかし、従来技術とは異なり、本塗布具システムは、二つの同一または実質上同一の塗布具を有する。好ましい実施形態では、製品容器内において浸漬されることが意図されない塗布具に対してキャップが設けられる。より好ましくは、このキャップは恒久的に取り付けられていることで、その塗布具を非機能性にする。好ましくは、取外し不能なキャップの少なくとも一部分は透明であり、肉眼でも非機能性塗布具を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による棒状の浸漬型塗布具の第1の実施形態の図である。
図2】製品容器に組み付けられた状態で示す図1の塗布具の断面図である。
図3】本発明による棒状の浸漬型塗布具の第2の実施形態の図である。
図4】製品容器に組み付けられた状態で示す図3の塗布具の断面図である。
図5】製品容器に完全に組み付けられたときの本発明の塗布具システムの様々な実施形態の図である。
図6】製品容器に完全に組み付けられたときの本発明の塗布具システムの様々な実施形態の図である。
図7】製品容器に完全に組み付けられたときの本発明の塗布具システムの様々な実施形態の図である。
図8】製品容器に完全に組み付けられたときの本発明の塗布具システムの様々な実施形態の図である。
図9】製品容器に完全に組み付けられたときの本発明の塗布具システムの様々な実施形態の図である。
図10図9の塗布具システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図の全体にわたって、重複した参照番号は、本発明の様々な実施形態における同じ特徴を示す。
【0014】
図1および図2の実施形態を参照すると、塗布具システム(1)は、化粧品製品(図10の「P」)を保持することが可能な一つだけの容器(2)を備える。容器の開端部(2a)は、閉鎖部材(3)などによって封止および開封されるように適合される。この閉鎖部材は、容器のねじ山付きネック(2b)に係合するように設計されたねじ山(3b)を備える。閉鎖部材の内面(3d)から棒(3a)または延在するロッドが垂下している。棒(3a)は、閉鎖部材が容器のネックに係合されると容器内へ下方に延びる遠位自由端部(3c)を有する。棒の遠位端部は、容器から製品を取り出し、製品塗布表面への製品の送達を助けるように適合された第1の塗布具ヘッド(4)を支持する。たとえば、第1の塗布具ヘッドは、マスカラブラシとして実施することができる。その場合、睫毛に化粧するのに有用であることが知られているあらゆるタイプの塗布具ヘッドも、本発明での使用に適しているであろう。マスカラブラシヘッドのいくつかの例を、図1図3、および図5から9に示す。第1の塗布具ヘッド(4)の一部分(4b)を、棒(3a)の遠位端部(3c)内へ挿入することができ(図2および図4に示す)、または第1の塗布具ヘッドは、棒の遠位端部の上に嵌るスリーブ(4c)として実施することができる(図10に示す)。いずれの場合も、棒の長さは、閉鎖部材(3)が容器のネック(2b)に係合されたときに塗布具ヘッドが容器の底部(2c)に到達することが可能になるような長さである。
【0015】
当技術分野で一般に行われるように、容器(2)の開端部(2a)は、ワイパ要素(5)に嵌め込むことができる。ワイパ要素(5)の機能は、第1の塗布具ヘッド(4)の毛(4a)から余分な製品を取り除くことである。
【0016】
閉鎖部材(3)の外面(3e)からは、第2の塗布具ヘッド(6)が突出している。概して、第2の塗布具ヘッドは第1の塗布具ヘッド(4)と同軸であるが、第1の塗布具ヘッド(4)から離れる方を向いている。第2の塗布具ヘッドは、閉鎖部材の外面(3e)から立ち上がる短い軸(3f)を介して閉鎖部材に取り付けることができる。好ましくは、短い軸は、第2の塗布具ヘッドを不機能性にするのに十分なほど短い。たとえば、第2の塗布具ヘッドの延びが短いということは、第2の塗布具ヘッドが容器(2)の開端部(2a)内へ挿入された場合でも、第2の塗布具ヘッドが容器内の製品に到達することができないことを意味する。また、閉鎖部材(3)を越える第2の塗布具ヘッドの延びが比較的短いと、閉鎖部材(3)が邪魔になるため、第2の塗布具ヘッドが睫毛の化粧に使用されるのを妨げる。したがって、本発明の重要な特徴は、第2の塗布具ヘッド(6)が製品塗布具として非機能性であるということである。それでもなお、第2の塗布具ヘッドは目的を有しているのである。閉鎖部材(3)が容器のネック(2b)に係合されたとき、第1の塗布具ヘッドは容器内において浸漬されて視認できないが、第2の塗布具ヘッドは常時視認可能に維持することができる。
【0017】
第2の塗布具ヘッド(6)は、第2の塗布具ヘッドを取り囲むキャップによって保護することができる。好ましくは、これが実際に行われる。さらに、第2の塗布具ヘッドは機能しないため、保護キャップを通常の手段によって取り外すことができないことが好ましいであろう。たとえば、接着剤、溶接、スナップ取付具、圧縮などの任意の適した恒久的な手段によって閉鎖部材(3)に強固に連結される取外し不能なキャップ(7)を設けることができる。第2の塗布具ヘッドを視認可能に維持するために、取外し不能なキャップ(7)の少なくとも一部分は透明にするべきである。透明部分は、切抜き(図8参照)または透明材料(図1図3図5図6図7図9参照)とすることができる。好ましい透明材料は、少なくとも80%の光透過率を有し、第2の塗布具ヘッドの見え方がぼんやりしないようになっている。好ましくは、キャップ全体が透明材料である。透明材料部分は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(すなわち、アクリルガラス)、ブチレート(セルロースアセテートブチレート)、ポリカーボネート、ABS、耐衝撃性スチレン、PETG(グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート)などのプラスチックから作られる。また、第2の塗布具ヘッドを遮られずに見えるようにする一つ以上の切抜き(7a)が設けられる場合、取外し不能なキャップの非中空部分を不透明とすることができる(図8に示す)。キャップは、図1図5図6、および図7に示すように、閉鎖部材の側面を覆うように嵌め込むことができ、またはキャップは、図3図8、および図9に示すように、閉鎖部材の上に配置することができる。キャップ(7)および閉鎖部材(3)の組合せは、第1の塗布具ヘッド(4)を操作するための持手部になる。
【0018】
本発明の好ましい塗布具システムでは、第2の塗布具ヘッド(6)は、第1の塗布具ヘッド(4)と同一または実質上同一である。「実質上同一」とは、取外し不能なキャップ(7)の下から見たとき、使用者は第1および第2の塗布具ヘッドの違いを区別することができないことを意味する。たとえば、第2の塗布具ヘッドは、使用者には視認できない何らかの内部構造、寸法、または材料に関して第1の塗布具ヘッドとは異なる可能性があるが、外側では二つの塗布具ヘッドは通常は区別することができない。
【0019】
本発明の一つの利益は、図5から9に示すように、閉鎖された(または完全に組み立てられた)構成において、使用者は、依然として購入しようとしている塗布具ヘッドのタイプを視認することができ、機能性の塗布具ヘッドを容器とは別に包装する必要はないことである。塗布具ヘッドを成形する現況技術は、かさばったプラスチック外箱の包装ではなく第2の(使用不能な)塗布具ヘッドを提供する方が有利に安価になるところまで、コストを低減させた。
【0020】
別の利益は、塗布具システムの寿命全体にわたって塗布具ヘッドを視認することができ、いくつかの類似の製品を所有している女性は、本発明によって塗布具ヘッドを常に識別することが可能になることである。
【0021】
図3から10は、本発明の塗布具システムにおいて様々なタイプの塗布具ヘッドを使用することができることを明示している。本発明は図示の塗布具ヘッドに限定されるものではないことは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10