(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のフッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム、カーボンブラック、化合物(A)、及び、パーオキサイド架橋剤を含む。
【0025】
上記フッ素ゴムとしては、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)及び式(1):
CF
2=CF−R
fa (1)
(式中、R
faは−CF
3又は−OR
fb(R
fbは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物(例えばヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)など)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
【0026】
上記フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、又はフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、又は本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。これらの中でも、VdF系フッ素ゴム、TFE/Pr系フッ素ゴム、TFE/Pr/VdF系フッ素ゴムが、耐熱老化性、耐油性が良好な点からより好適である。
【0027】
上記VdF系フッ素ゴムは、VdF繰り返し単位の含有量が、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数に対し20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、45モル%以上が更に好ましく、50モル%以上が更により好ましく、55モル%以上が特に好ましく、60モル%以上が最も好ましい。VdF繰り返し単位の含有量はまた、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数に対し90モル%以下が好ましく、85モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましく、78モル%以下が更により好ましく、75モル%以下が特に好ましく、70モル%以下が最も好ましい。
【0028】
また、上記その他の共単量体に由来する繰り返し単位の含有量は、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数に対し10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上が更に好ましく、22モル%以上が更により好ましく、25モル%以上が特に好ましく、30モル%以上が最も好ましい。その他の共単量体に由来する繰り返し単位の含有量はまた、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数に対し80モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、55モル%以下が更に好ましく、50モル%以下が更により好ましく、45モル%以下が特に好ましく、40モル%以下が最も好ましい。
【0029】
そして、上記VdF系フッ素ゴムにおける共単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、TFE、HFP、PAVE、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテル、一般式(2)
CH
2=CFR
f (2)
(式中、R
fは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表される含フッ素単量体などのフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体、架橋性基(キュアサイト)を与える単量体、及び反応性乳化剤などが挙げられ、これらの単量体や化合物のなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)がより好ましく、特にPMVEが好ましい。
【0031】
また、上記PAVEとして、式:CF
2=CFOCF
2OR
fc
(式中、R
fcは炭素数1〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、又は、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である)で表されるパーフルオロビニルエーテルを用いてもよく、例えば、CF
2=CFOCF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2OCF
2CF
3、又は、CF
2=CFOCF
2OCF
2CF
2OCF
3を用いることが好ましい。
【0032】
上記式(2)で表される含フッ素単量体(2)としては、R
fが直鎖のフルオロアルキル基である単量体が好ましく、R
fが直鎖のパーフルオロアルキル基である単量体がより好ましい。R
fの炭素数は1〜6であることが好ましい。上記式(2)で表される含フッ素単量体(2)としては、CH
2=CFCF
3、CH
2=CFCF
2CF
3、CH
2=CFCF
2CF
2CF
3、CH
2=CFCF
2CF
2CF
2CF
3などが挙げられ、なかでも、CH
2=CFCF
3で示される2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンが好ましい。
【0033】
TFE/プロピレン(Pr)系フッ素ゴムとは、TFE45〜70モル%、プロピレン(Pr)55〜30モル%からなる含フッ素共重合体をいう。これら2成分に加えて、特定の第3成分(例えばPAVE)を0〜40モル%含んでいてもよい。
【0034】
エチレン(Et)/HFP系共重合体としては、Et/HFPの組成が、(35〜80)/(65〜20)(モル%)であることが好ましく、(40〜75)/(60〜25)(モル%)がより好ましい。
【0035】
Et/HFP/TFE系共重合体は、Et/HFP/TFEの組成が、(35〜75)/(25〜50)/(0〜15)(モル%)であることが好ましく、(45〜75)/(25〜45)/(0〜10)(モル%)がより好ましい。
【0036】
更に良好な引張破断伸びと低硬度とを実現できることから、上記フッ素ゴムは、VdF単位と、HFP単位、式(2)で表される含フッ素単量体(2)に基づく重合単位又はPAVE単位と、のみからなる2元共重合体であることが好ましい。すなわち、VdF/HFP共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体(2)の共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることが好ましい。
【0037】
また、上記フッ素ゴムは、VdF/HFP共重合体、VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることがより好ましく、VdF/HFP共重合体及びVdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることが特に好ましい。
【0038】
上記フッ素ゴムは、数平均分子量Mnが5000〜500000のものが好ましく、10000〜500000のものがより好ましく、20000〜500000のものが更に好ましい。
【0039】
また、例えばフッ素ゴム組成物の粘度を低くしたい場合などでは、更に他のフッ素ゴムをブレンドしてもよい。他のフッ素ゴムとしては、低分子量液状フッ素ゴム(数平均分子量1000以上)、数平均分子量が10000程度の低分子量フッ素ゴム、更には数平均分子量が100000〜200000程度のフッ素ゴムなどが挙げられる。
【0040】
加工性の観点から、上記フッ素ゴムは100℃におけるムーニー粘度が20〜200、更には30〜180の範囲にあることが好ましい。ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠して測定する。
【0041】
上記フッ素ゴムとして例示したものは主単量体の構成であり、例えば、本発明の効果を損なわない範囲で、過酸化物架橋可能な架橋性基を与える単量体を共重合したものを用いることもできる。
過酸化物架橋可能な架橋性基を与える単量体としては、製造法等に応じて適切に過酸化物架橋可能な架橋性基を導入できるものであればよく、例えばヨウ素原子を含む公知の重合性化合物、連鎖移動剤などが挙げられる。
【0042】
好ましい過酸化物架橋可能な架橋性基を与える単量体としては、
一般式(3):
CY
12=CY
2R
f2−X
1 (3)
(式中、Y
1、Y
2はフッ素原子、水素原子又は−CH
3;R
f2は1個以上のエーテル結合を有していてもよく、芳香環を有していてもよい、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基;X
1はヨウ素原子)
で示される化合物が挙げられる。具体的には、例えば、一般式(4):
CY
12=CY
2R
f3CHR
1−X
1 (4)
(式中、Y
1、Y
2、X
1は前記同様であり、R
f3は1個以上のエーテル結合を有していてもよく水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基、すなわち水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素オキシアルキレン基、又は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素ポリオキシアルキレン基;R
1は水素原子又はメチル基)で示されるヨウ素含有モノマー、一般式(5)〜(22):
CY
42=CY
4(CF
2)
n−X
1 (5)
(式中、Y
4は、同一又は異なり、水素原子又はフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF
2=CFCF
2R
f4−X
1 (6)
(式中、
【化1】
であり、nは0〜5の整数)
CF
2=CFCF
2(OCF(CF
3)CF
2)
m
(OCH
2CF
2CF
2)
nOCH
2CF
2−X
1 (7)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF
2=CFCF
2(OCH
2CF
2CF
2)
m
(OCF(CF
3)CF
2)
nOCF(CF
3)−X
1 (8)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF
2=CF(OCF
2CF(CF
3))
mO(CF
2)
n−X
1 (9)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CF
2=CF(OCF
2CF(CF
3))
m−X
1 (10)
(式中、mは1〜5の整数)
CF
2=CFOCF
2(CF(CF
3)OCF
2)
nCF(−X
1)CF
3 (11)
(式中、nは1〜4の整数)
CF
2=CFO(CF
2)
nOCF(CF
3)−X
1 (12)
(式中、nは2〜5の整数)
CF
2=CFO(CF
2)
n−(C
6H
4)−X
1 (13)
(式中、nは1〜6の整数)
CF
2=CF(OCF
2CF(CF
3))
nOCF
2CF(CF
3)−X
1 (14)
(式中、nは1〜2の整数)
CH
2=CFCF
2O(CF(CF
3)CF
2O)
nCF(CF
3)−X
1 (15)
(式中、nは0〜5の整数)
CF
2=CFO(CF
2CF(CF
3)O)
m(CF
2)
n−X
1 (16)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH
2=CFCF
2OCF(CF
3)OCF(CF
3)−X
1 (17)
CH
2=CFCF
2OCH
2CF
2−X
1 (18)
CF
2=CFO(CF
2CF(CF
3)O)
mCF
2CF(CF
3)−X
1 (19)
(式中、mは0以上の整数)
CF
2=CFOCF(CF
3)CF
2O(CF
2)
n−X
1 (20)
(式中、nは1以上の整数)
CF
2=CFOCF
2OCF
2CF(CF
3)OCF
2−X
1 (21)
CH
2=CH−(CF
2)
nX
1 (22)
(式中、nは2〜8の整数)
(一般式(5)〜(22)中、X
1は前記と同様)
で表されるヨウ素含有モノマーなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、又は任意に組み合わせて用いることができる。
【0043】
一般式(4)で示されるヨウ素含有モノマーとしては、一般式(23):
【化2】
(式中、mは1〜5の整数であり、nは0〜3の整数)
で表されるヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルが好ましく挙げられ、より具体的には、
【化3】
などが挙げられるが、これらの中でも、ICH
2CF
2CF
2OCF=CF
2が好ましい。
【0044】
一般式(5)で示されるヨウ素含有モノマーとしてより具体的には、ICF
2CF
2CF=CH
2、I(CF
2CF
2)
2CF=CH
2が好ましく挙げられる。
【0045】
一般式(9)で示されるヨウ素含有モノマーとしてより具体的には、I(CF
2CF
2)
2OCF=CF
2が好ましく挙げられる。
【0046】
一般式(22)で示されるヨウ素含有モノマーとしてより具体的には、CH
2=CHCF
2CF
2I、I(CF
2CF
2)
2CH=CH
2が好ましく挙げられる。
【0047】
上記フッ素ゴムは、架橋性の観点から、架橋点としてヨウ素原子及び/又は臭素原子を含むフッ素ゴムが好ましい。ヨウ素原子及び/又は臭素原子の含有量としては、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.01〜3質量%が特に好ましい。
【0048】
上記フッ素ゴム組成物は、窒素吸着比表面積(N
2SA)が25〜180m
2/gであるカーボンブラックを含む。
【0049】
上記カーボンブラックとしては、製造方法の違いから、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられ、用途の違いから、ゴム用カーボンブラック、カラー用カーボンブラック、導電性カーボンブラックとして市販されている全てのカーボンブラックが挙げられる。具体的には例えば、ゴム用カーボンブラックとしては、SAF−HS(N
2SA:142m
2/g、DBP:130ml/100g)、SAF(N
2SA:142m
2/g、DBP:115ml/100g)、N234(N
2SA:126m
2/g、DBP:125ml/100g)、ISAF(N
2SA:119m
2/g、DBP:114ml/100g)、ISAF−LS(N
2SA:106m
2/g、DBP:75ml/100g)、ISAF−HS(N
2SA:99m
2/g、DBP:129ml/100g)、N339(N
2SA:93m
2/g、DBP:119ml/100g)、HAF−LS(N
2SA:84m
2/g、DBP:75ml/100g)、HAF−HS(N
2SA:82m
2/g、DBP:126ml/100g)、HAF(N
2SA:79m
2/g、DBP:101ml/100g)、N351(N
2SA:74m
2/g、DBP:127ml/100g)、LI−HAF(N
2SA:74m
2/g、DBP:101ml/100g)、MAF−HS(N
2SA:56m
2/g、DBP:158ml/100g)、MAF(N
2SA:49m
2/g、DBP:133ml/100g)、FEF−HS(N
2SA:42m
2/g、DBP:160ml/100g)、FEF(N
2SA:42m
2/g、DBP:115ml/100g)、SRF−HS(N
2SA:32m
2/g、DBP:140ml/100g)、SRF−HS(N
2SA:29m
2/g、DBP:152ml/100g)、GPF(N
2SA:27m
2/g、DBP:87ml/100g)、SRF(N
2SA:27m
2/g、DBP:68ml/100g)など、カラー用カーボンブラックとしては、カーボンブラック便覧第3版(平成7年発行)の分類によるHCC、MCC、RCC、LCC、HCF、MCF、RCF、LCF、LFF、及び各種アセチレンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、SAF−HS、SAF、N234、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、N339、HAF−LS、HAF−HS、HAF、N351、LI−HAF、MAF−HSが好ましい。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。
【0050】
なかでも、カーボンブラックの好ましいものとしては、窒素吸着比表面積(N
2SA)が25〜180m
2/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであるカーボンブラックが挙げられる。
【0051】
窒素吸着比表面積(N
2SA)が小さすぎると、フッ素ゴム架橋物の引張破断伸びが低下する傾向にあり、この観点から、窒素吸着比表面積(N
2SA)は50m
2/g以上が好ましく、70m
2/g以上がより好ましく、90m
2/g以上が更に好ましく、110m
2/g以上が特に好ましい。上限は、一般的に入手しやすい観点から180m
2/gが好ましい。
【0052】
ジブチルフタレート(DBP)吸油量が小さすぎると、フッ素ゴム架橋物の引張破断伸びが低下する傾向にあり、この観点から、50ml/100g以上が好ましく、60ml/100g以上がより好ましく、80ml/100g以上が更に好ましく、100ml/100g以上が特に好ましい。上限は一般的に入手しやすい観点から、175ml/100g、更には170ml/100gが好ましい。
【0053】
上記フッ素ゴム組成物において、カーボンブラックの配合量は、フッ素ゴム100質量部に対して5〜65質量部が好ましい。カーボンブラックが多くなりすぎるとフッ素ゴム架橋物の硬度が上昇する傾向にあり、また、少なくなりすぎるとフッ素ゴム架橋物の引張破断伸びが低下する傾向にある。更に、物性バランスが良好な点から、フッ素ゴム100質量部に対して6質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、物性バランスが良好な点から55質量部以下がより好ましく、50質量部以下が更に好ましく、49質量部以下が更により好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
【0054】
上記フッ素ゴム組成物は、化合物(A)を含む。化合物(A)は、脂肪油及び脂肪族炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0055】
化合物(A)は、大気圧下での沸点が250℃以上であり、融点又は凝固点が15℃以下である。
【0056】
化合物(A)の大気圧下での沸点が上記の範囲内にあることにより、高温環境下においてもフッ素ゴム架橋物から化合物(A)が揮発しないため、優れた熱時伸びを持続することができる。化合物(A)の大気圧下での沸点は、280℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。上限は特に限定されず、700℃であってよい。但し、大気圧下で沸点が存在しない場合は、熱重量測定装置で空気雰囲気下、室温から加熱したときに、重量減少が10%に到達する温度を沸点と読み替えるものとする。
【0057】
化合物(A)の融点又は凝固点が上記の範囲内にあることにより、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得ることができる。化合物(A)の融点又は凝固点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。融点又は凝固点が高過ぎる化合物(A)を使用すると、フッ素ゴム架橋物の硬度を上昇させる要因となる。下限は特に限定されず、−100℃であってよい。
【0058】
化合物(A)の配合量は、上記フッ素ゴム100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。化合物(A)の配合量が上記の範囲内にあることにより、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得ることができる。化合物(A)の配合量は、より大きな引張破断伸びを示し、かつより低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得られることから、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、8質量部以上であることが特に好ましく、また、実用上充分な引張破断強度を有するフッ素ゴム架橋物を得る観点から、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましく、15質量部以下であることが特に好ましい。
【0059】
上記脂肪族炭化水素は、一般式(X):
C
mH
n (X)
(式中、mは整数、nは(2m+2)以下の偶数)
で表される化合物群から選択されるいずれか一種の化合物又は2種以上の化合物からなる混合物である。上記脂肪族炭化水素としては、飽和脂肪族炭化水素及び不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。具体的には例えば、飽和脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、ナフテンなど、不飽和脂肪族炭化水素としては、テルペン類などが挙げられる。これらの脂肪族炭化水素は単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。化学的に安定であることから、飽和脂肪族炭化水素に分類される1種以上の脂肪族炭化水素を用いることが好ましく、流動パラフィンを用いることがより好ましい。
【0060】
上記フッ素ゴム組成物は、大気圧下での沸点が250℃以上であり、融点又は凝固点が15℃以下である脂肪油を含むものであってよい。
【0061】
上記脂肪油の大気圧下での沸点が上記の範囲内にあることにより、高温環境下においてもフッ素ゴム架橋物から脂肪油が揮発しないため、優れた熱時伸びを持続することができる。上記脂肪油の大気圧下での沸点は、280℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。上限は特に限定されず、700℃であってよい。但し、大気圧下で沸点が存在しない場合は、熱重量測定装置で空気雰囲気下、室温から加熱したときに、重量減少が10%に到達する温度を沸点と読み替えるものとする。
【0062】
上記脂肪油の、融点又は凝固点が上記の範囲内にあることにより、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得ることができる。上記脂肪油の、融点又は凝固点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。 融点又は凝固点が高過ぎる脂肪油を使用すると、フッ素ゴム架橋物の硬度を上昇させる要因となる。下限は特に限定されず、−100℃であってよい。
【0063】
上記脂肪油は、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得る観点から、不乾性油、及び、半乾性油からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。不乾性油としては、ひまし油、菜種油、落花生油、オリーブ油等が挙げられる。半乾性油としては、大豆油、綿実油、コーン油、ひまわり油等が挙げられる。なかでも、上記脂肪油は、ひまし油、菜種油、落花生油、大豆油、及び、綿実油からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ひまし油であることが更に好ましい。
【0064】
上記脂肪油の配合量は、上記フッ素ゴム100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。上記脂肪油の配合量が上記の範囲内にあることにより、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得ることができる。上記脂肪油の配合量は、より大きな引張破断伸びを示し、かつより低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得られることから、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、8質量部以上であることが特に好ましく、また、実用上充分な引張破断強度を有するフッ素ゴム架橋物を得る観点から、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましく、15質量部以下であることが特に好ましい。
【0065】
上記フッ素ゴム組成物は、架橋剤としてパーオキサイド架橋剤を含む。
【0066】
上記パーオキサイド架橋剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る過酸化物であればよく、具体的には、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−m−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどの有機過酸化物を挙げることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
【0067】
上記パーオキサイド架橋剤の配合量は、フッ素ゴム100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜9質量部である。パーオキサイド架橋剤が、少なすぎると、フッ素ゴムの架橋が充分に進行しないおそれがあり、多すぎると、スコーチ(早期加硫)が発生するおそれがある。
【0068】
上記フッ素ゴム組成物は、更に、架橋促進剤を含むことが好ましい。架橋促進剤を含むことにより、更に大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得ることができる。
【0069】
上記架橋促進剤としては、二重結合を2個以上有する化合物であることが好ましい。二重結合を2個以上有する化合物は、パーオキサイド加硫が可能なもの、すなわち、パーオキシラジカルとポリマーラジカルとに対して反応活性を有するものであれば原則的に有効であって、特に種類は制限されないが、多価ビニル化合物、多価アリル化合物、多価(メタ)アクリル酸エステルなどを例示できる。好ましいものとしては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フッ素化トリアリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、エチレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタールアミド、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、亜燐酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどがあげられる。これらの中でも、より大きな引張破断伸びを示し、より硬度の低いフッ素ゴム架橋物が得られることから、トリアリルイソシアヌレートであることが好ましい。
【0070】
上記架橋促進剤の配合量は、フッ素ゴム100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜9質量部、特に好ましくは0.2〜8質量部である。上記架橋促進剤が、少なすぎると、フッ素ゴムの架橋が充分に進行しないおそれがあり、多すぎると、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるフッ素ゴム架橋物を得ることができないおそれがある。
【0071】
上記フッ素ゴム組成物は、更に、架橋促進剤として、低自己重合性架橋促進剤を含むことも好ましい。低自己重合性架橋促進剤は、架橋促進剤としてよく知られているトリアリルイソシアヌレート(TAIC)とは異なり、自己重合性が低い化合物をいう。
【0072】
低自己重合性架橋促進剤としては、例えば、
【化4】
で示されるトリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)、
【化5】
で示されるp−キノンジオキシム(p−quinonedioxime)、
【化6】
で示されるp,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム(p,p’−dibenzoylquinonedioxime)、
【化7】
で示されるマレイミド、
【化8】
で示されるN−フェニレンマレイミド、
【化9】
で示されるN,N’−フェニレンビスマレイミドなどがあげられる。
【0073】
好ましい低自己重合性架橋促進剤は、トリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)である。
【0074】
過酸化物架橋系で用いる架橋促進剤としてはまた、ビスオレフィンを用いることもできる。
【0075】
架橋促進剤として使用できるビスオレフィンとしては、例えば、式:
R
2R
3C=CR
4−Z−CR
5=CR
6R
7
(式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は同じか又は異なり、いずれもH、又は炭素数1〜5のアルキル基;Zは、線状(直鎖状)もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィンが挙げられる。
【0076】
Zは好ましくは炭素数4〜12のパーフルオロアルキレン基であり、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は好ましくは水素原子である。
【0077】
Zが(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である場合、
−(Q)
p−CF
2O−(CF
2CF
2O)
m−(CF
2O)
n−CF
2−(Q)
p−
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレン又はオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CH
2OCH
2−及び−CH
2O(CH
2CH
2O)
sCH
2−(s=1〜3)の中から選ばれる。
【0078】
好ましいビスオレフィンとしては、
CH
2=CH−(CF
2)
4−CH=CH
2、
CH
2=CH−(CF
2)
6−CH=CH
2、
式:CH
2=CH−Z
1−CH=CH
2
(式中、Z
1は−CH
2OCH
2−CF
2O−(CF
2CF
2O)
m−(CF
2O)
n−CF
2−CH
2OCH
2−(m/nは0.5))
などがあげられる。
【0079】
なかでも、CH
2=CH−(CF
2)
6−CH=CH
2で示される3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロ−1,9−デカジエンが好ましい。
【0080】
上記フッ素ゴム組成物には、必要に応じて通常のゴム配合物、例えば充填材、加工助剤、可塑剤、着色剤、粘着付与剤、接着助剤、受酸剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンなどの他の重合体などを本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
【0081】
充填材としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填材、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、シリカ、セライト、クレーなどが例示できる。また、受酸剤として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられ、これらの単独又は2種以上を適宜配合してもよい。これらは、後述する混練方法で、どの工程で添加するかは任意であるが、密閉式混練機やロール練り機でフッ素ゴムとカーボンブラックとを混練する際に添加するのが好ましい。
【0082】
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、界面活性剤、スルホン化合物、フッ素系助剤、有機アミン化合物などが例示できる。
【0083】
なかでも受酸剤は、フッ素ゴムとカーボンブラックとを密閉式混練機やロール練り機で混練する際に共存させることにより、補強性が向上する点から好ましい配合剤である。
【0084】
受酸剤としては、先述したもののうち、例えば、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、ハイドロタルサイトなどが、補強性の観点から好ましい。
【0085】
上記受酸剤の配合量は、フッ素ゴム100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。受酸剤が多くなりすぎると物性が低下する傾向にあり、また、少なくなりすぎると補強性が低下する傾向にある。更に好ましい配合量は、補強性の観点から、フッ素ゴム100質量部に対して0.1質量部以上であり、物性の観点と混練しやすさの観点から8質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0086】
上記フッ素ゴム組成物は、例えば密閉式混練機やロール練り機などを用いて製造できる。具体的には、いっそう良好な引張破断伸びと低硬度とを有する架橋物を与えるフッ素ゴム組成物が得られる点で、次の製造方法により製造することが好ましい。
【0087】
上記カーボンブラックと化合物(A)とを混合して混合物を得る工程(1)、密閉式混練機又はロール練り機により、最高温度が80〜220℃に達するまで、上記フッ素ゴムと上記混合物とを混練して、中間組成物(1)を得る工程(2−1)、50℃未満になるまで中間組成物(1)を冷却する工程(2−2)、及び、最高温度が130℃未満に達するまで、中間組成物(1)と上記パーオキサイド架橋剤とを混練して、フッ素ゴム組成物を得る工程(4)、を含む製造方法。
【0088】
上記製造方法において、工程(1)は重要な工程の一つである。特定のカーボンブラックと特定の化合物(A)とを予め混合してから、得られる混合物とフッ素ゴムとを混練することにより、化合物(A)が充分に分散したフッ素ゴム組成物が得られること、及び、該組成物から大きな引張破断伸びを示すだけでなく、硬度も充分に低いフッ素ゴム架橋物が得られることが本発明者らによって見出された。
また、特定のカーボンブラックと特定の化合物(A)とを予め混合してから、得られる混合物とフッ素ゴムとを混練することにより、非常に大きな引張破断伸びと極めて低い硬度とを有する新規な架橋物が得られることも、本発明者等によって見出された。この新規な架橋物については後述する。
フッ素ゴムに化合物(A)を直接添加して混練すると、化合物(A)をフッ素ゴム中に一様に分散させることができない。化合物(A)が一様に分散した中間組成物(1)では、化合物(A)が分散されていない中間組成物(1)に観察される独特の光沢が失われる。従って、化合物(A)が一様に分散したことは中間組成物(1)の表面の光沢等から目視で判断することができる。
上記製造方法においても、化合物(A)は、脂肪油及び脂肪族炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種であり、脂肪油であってよい。
【0089】
工程(2−1)は、最高温度が80〜220℃に達するまで、フッ素ゴムと上記混合物とを混練して、中間組成物(1)を得る工程である。工程(2−1)を経ることによって、良好な引張破断伸びと低硬度とを示すフッ素ゴム架橋物を与えるフッ素ゴム組成物を製造することができる。
【0090】
工程(2−1)における混練は、密閉式混練機又はロール練り機により実施する。工程(2−1)における混練は、高温での混練が可能である点で、密閉式混練機により実施することが好ましい。密閉式混練機としては、バンバリーミキサー等の接線式密閉式混練機、インターミックス等のかみ合い式密閉式混練機、加圧ニーダー、一軸混練機、二軸混練機などが挙げられる。
【0091】
密閉式混練機を使用する場合、ローターの平均剪断速度を20〜1000(1/秒)とすることが好ましく、50〜1000(1/秒)とすることがより好ましく、100〜1000(1/秒)とすることが更に好ましく、200〜1000(1/秒)とすることが更により好ましく、300〜1000(1/秒)とすることが特に好ましい。
【0092】
平均剪断速度(1/秒)は、つぎの式により算出される。
平均剪断速度(1/秒)=(π×D×R)/(60(秒)×c)
(式中、
D:ローター径又はロール径(cm)
R:回転速度(rpm)
c:チップクリアランス(cm。ローターとケーシングとの間隙の距離、又はロール同士の間隙の距離)
【0093】
また、工程(2−1)において、更に、加工助剤、受酸剤等を混練することも好ましい。
【0094】
工程(2−1)における混練は、混練中の混練物の最高温度が80〜220℃に達するまで行うものである。上記混練は、最高温度が120℃以上に達するまで行うことが好ましく、最高温度が200℃以下に達するまで行うことが好ましい。上記最高温度は、混練機から排出された直後の混練物の温度を測定することにより把握することができる。
【0095】
工程(2−2)は、工程(2−1)により得られた中間組成物(1)を50℃未満になるまで冷却する工程である。工程(2−1)において得られる中間組成物(1)は、温度が80〜220℃であるが、中間組成物(1)を充分に冷却してから工程(4)を実施することによって、良好な引張破断伸びと低硬度とを示すフッ素ゴム架橋物を与えるフッ素ゴム組成物を製造することができる。工程(2−2)は、中間組成物(1)全体が上述した範囲の温度になるように冷却することが好ましい。冷却温度の下限は特に限定されないが、10℃であってよい。
【0096】
工程(2−2)において、ロール練り機を使用して、中間組成物(1)を混練しながら冷却することも好ましい。
【0097】
工程(2−1)及び工程(2−2)は、任意の回数繰り返してもよい。繰り返す場合の工程(2−1)及び工程(2−2)において、最高温度が120〜220℃に達するまで中間組成物(1)を混練することが好ましく、最高温度が120〜140℃に達するまで中間組成物(1)を混練することがより好ましい。工程(2−1)及び工程(2−2)を繰り返す場合、混練を密閉式混練機により行なってもよいし、ロール練り機により行なってもよいが、密閉式混練機により行うことが好ましい。
【0098】
ロール練り機を使用する場合、ローターの平均剪断速度を20(1/秒)以上とすることが好ましく、50(1/秒)以上とすることがより好ましく、100(1/秒)以上とすることが更に好ましく、200(1/秒)以上とすることが更により好ましく、300(1/秒)以上とすることが特に好ましく、また、1000(1/秒)以下とすることが好ましい。
【0099】
上記製造方法は、密閉式混練機又はロール練り機、好ましくは密閉式混練機に、フッ素ゴムと上記混合物とを投入する工程を有することも好ましい。上記工程において、加工助剤、受酸剤等を投入してもよい。
【0100】
工程(2−1)は、中間組成物(1)を排出するまでの間に任意の添加剤を投入する工程を含んでもよい。該添加剤としては、1種又は2種以上を用いることができる。投入回数は1回でも複数回でもよい。2種以上の添加剤を投入する場合には、同時に投入してもよく、夫々別々の回に投入してもよい。また、1種の添加剤を複数回投入してもよい。「中間組成物(1)を排出するまでの間に任意の添加剤を投入する工程」としては、例えば、中間組成物(1)を排出するまでの間にカーボンブラックを投入する工程を挙げることができる。
【0101】
工程(2−1)及び工程(2−2)を繰り返す場合にも、各回の工程(2−1)は、上述した「中間組成物(1)を排出するまでの間に任意の添加剤を投入する工程」を含んでよい。例えば、2回目の工程(2−1)において、1回目の工程(2−1)で用いたカーボンブラックとは異なるカーボンブラックを更に投入してもよい。
【0102】
上記製造方法は、上記工程(2−2)、及び、後述する工程(4)との間に、最高温度が10℃以上80℃未満に達するまで、工程(2−2)で得られた冷却された中間組成物(1)を混練して、中間組成物(2)を得る工程(3−1)を含むことが好ましい。
【0103】
工程(3−1)は、工程(2−2)において充分に冷却された中間組成物(1)を、更に混練する工程であって、フッ素ゴム架橋物の引張破断伸びを改良し、硬度を低下させるために重要となる工程である。
【0104】
工程(3−1)における混練は、混練中の混練物の最高温度が10℃以上80℃未満に達するまで行うものである。混練中の混練物の最高温度が高すぎると、良好な引張破断伸びと低硬度とを示すフッ素ゴム架橋物を与えるフッ素ゴム組成物を得ることができないおそれがある。
【0105】
工程(3−1)は、工程(2−2)で得られた冷却された互いに異なる中間組成物(1)同士を混練する工程を含んでもよい。この場合の混練は、上記互いに異なる中間組成物(1)の混合物の最高温度が10℃以上80℃未満に達するまで行えばよい。
【0106】
上記製造方法は、工程(3−1)を実施した後、更に、工程(3−1)をm−1回(mは2以上の整数である)繰り返す工程(3−2)を含むことが好ましい。工程(3−1)を合計で2回以上実施することにより、良好な引張破断伸びと低硬度とを示すフッ素ゴム架橋物を与えるフッ素ゴム組成物を安定して製造することができる。工程(3−2)おける各混練の前には中間組成物(2)を冷却する工程を含むことも好ましい。
【0107】
工程(3−1)及び工程(3−2)における混練は、上述した密閉式混練機又はロール練り機で実施することができる。
【0108】
工程(3−1)及び工程(3−2)は、中間組成物(1)又は中間組成物(2)をロール練り機に投入して薄通しを行うことにより中間組成物(2)を混練する工程であることが好ましい。
【0109】
図1に薄通しによる混練の方法を概略的に示す。
図1(a)に示すように、中間組成物(1)又は中間組成物(2)を第1のロール11と第2のロール12とを備えるオープンロール10に投入する。第1のロール11と第2のロール12とは矢印の方向に異なる速度で回転している。投入された中間組成物(1)又は中間組成物(2)は、次に、
図1(b)に示すように、剪断力を受けながら第1のロール11と第2のロール12との間を通過することによりシート状に分出しされた後、
図1(c)に示すように、分出しされた中間組成物(2)が任意の箇所で巻き取られる。
【0110】
1回の薄通しでもフッ素ゴム架橋物の引張破断伸び等を向上させることができるが、更に優れた引張破断伸びを達成するために、上記薄通しを合計でm回(mは2以上の整数である)行うことが好ましい。上記mは5以上の整数であることが好ましく、10以上の整数であることがより好ましく、30以上の整数であることが更に好ましく、50以上の整数であることが更により好ましい。
【0111】
上記製造方法において、工程(4)は、最高温度が130℃未満に達するまで、工程(2−2)で得られた中間組成物(1)、又は、工程(3−1)又は工程(3−2)で得られた中間組成物(2)、及び、パーオキサイド架橋剤とを混練して、フッ素ゴム組成物を得る工程である。工程(4)は、フッ素ゴム架橋物の引張破断伸びを改良し、硬度を低下させるために重要となる工程である。
【0112】
工程(4)における混練は、混練中の混練物の最高温度が130℃未満であるほかは、上述した工程(2−1)と同じ条件であってよい。なかでも、ローターの平均剪断速度を20(1/秒)以上、好ましくは50(1/秒)以上としたロール練り機、密閉式混練機等を使用して混練することが好ましい。
【0113】
工程(4)において、更に架橋促進剤を混練することも好ましい。パーオキサイド架橋剤と架橋促進剤は同時に配合し混練してもよいし、まず架橋促進剤を配合混練し、ついでパーオキサイド架橋剤を配合混練してもよい。
【0114】
上記フッ素ゴム組成物を架橋することにより、フッ素ゴム架橋物を得ることができる。
【0115】
フッ素ゴム組成物の架橋法は、適宜選択すればよいが、例えば押出成形や巻蒸し成形などの成形方法、架橋缶などを用いた架橋方法といった通常の架橋法が採用される。また、架橋物の使用目的によって二次架橋が必要な場合は、更にオーブン架橋を施してもよい。
【0116】
上記フッ素ゴム架橋物は、170℃における引張破断伸びが500%以上であり、25℃における硬度が80以下であることが好ましい。170℃における引張破断伸びが500%以上であり、25℃における硬度が80以下である新規なフッ素ゴム架橋物も本発明の1つである。引張破断伸び及び硬度が上記の範囲内にあると、優れた熱時伸びを有しながら、フッ素ゴム架橋物が接触する他材に対する追随性にも優れるという効果を奏することができる。
【0117】
上記フッ素ゴム架橋物は、上記フッ素ゴム組成物から得られるものであることが好ましく、上述した製造方法により得られるものであることも好ましい。
【0118】
上記フッ素ゴム架橋物は、表面に潤滑剤が塗布されていてもよい。潤滑剤が塗布されていることで、摩擦係数が低下し、フッ素ゴム架橋物が動的環境下で他材と接触した際の、粘着や固着を抑制することができる。潤滑剤としては、例えば流動パラフィン、脂肪油、ナフテン、フッ素系オイル、シリコーン系オイル、イオン液体などの液体潤滑剤、グリース、ワセリンなどの半固体潤滑剤、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、タルク、マイカ、グラファイト、窒化ホウ素、窒化ケイ素、フッ化黒鉛、パラフィンワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルなどの固体潤滑剤が挙げられる。塗布方法としては、潤滑剤を直接塗布する方法、潤滑剤を水あるいは有機溶剤に分散あるいは溶解させて塗布する方法などが挙げられる。
【0119】
170℃における引張破断伸びは、600%以上であることがより好ましく、650%以上であることが更に好ましく、1000%以下であることが好ましく、800%以下であることがより好ましい。
【0120】
上記フッ素ゴム架橋物は、25℃における引張破断伸びが500%以上であることが好ましい。25℃における引張破断伸びは、700%以上であることがより好ましく、800%以上であることが更に好ましく、1500%以下であることが好ましく、1200%以下であることがより好ましい。
【0121】
上記引張破断伸びは次の方法により測定できる。(株)エー・アンド・ディ製の「テンシロン」RTG−1310、(株)東洋精機製作所製の「ストログラフ」TH−200Dを試験機として用いる。JIS−K6251に準じ、チャック間50mmに設定、引張速度500mm/min、6号ダンベルを用いて引張破断伸びを測定する。測定温度は、25℃、170℃とする。
【0122】
25℃における硬度は、78以下であることがより好ましく、76以下であることが更に好ましく、60以上であることが好ましく、65以上であることがより好ましい。
【0123】
上記硬度は、次の方法により測定できる。エクセル(株)製のデュロメーターRH101Aを試験機として用いる。JIS−K6253−3に準じ、測定温度25℃で、デュロメータ タイプAにて測定する(ピーク値)。
【0124】
上記フッ素ゴム架橋物は、170℃における動摩擦係数が2.2以下であることが好ましい。動摩擦係数が上記の範囲にあると、フッ素ゴム架橋物が動的環境下で他材と接触した際の、粘着や固着を抑制することができる。170℃における動摩擦係数は、より他材との粘着や固着を抑制できることから、2.0以下であることがより好ましく、1.8以下であることが更に好ましく、1.5以下であることが特に好ましい。
【0125】
上記動摩擦係数は、次の方法により測定できる。(株)レスカ製フリクションプレーヤーFPR2000を試験機として用いる。加重100g(Pinは、φ5mm材質SUJ2)、回転モード、回転数4.8rpm、回転半径10mmで測定を行い、測定開始より25秒後から50秒後までの摩擦係数測定値の平均値を、動摩擦係数とする。
【0126】
上記フッ素ゴム架橋物は、170℃において、1MPa以上、更には1.5MPa以上、特に2MPa以上、また30MPa以下、特に28MPa以下の引張破断強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
【0127】
上記引張破断強度は次の方法により測定できる。(株)エー・アンド・ディ製の「テンシロン」RTG−1310、(株)東洋精機製作所製の「ストログラフ」TH−200Dを試験機として用いる。JIS−K6251に準じ、チャック間50mmに設定、引張速度500mm/min、6号ダンベルを用いて引張破断強度を測定する。測定温度は、170℃とする。
【0128】
また、フッ素ゴム架橋物は、170℃において、3〜30kN/m、更には4kN/m以上、特に5kN/m以上、また29kN/m以下、特に28kN/m以下の引裂き強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
【0129】
上記引裂き強度は次の方法により測定できる。(株)エー・アンド・ディ製の「テンシロン」RTG−1310、(株)東洋精機製作所製の「ストログラフ」TH−200Dを試験機として用いる。JIS−K6251に準じ、チャック間50mmに設定、引張速度500mm/min、6号ダンベルを用いて引裂き強度を測定する。測定温度は、170℃とする。
【0130】
上記フッ素ゴム架橋物は、種々の用途に利用できるが、特にタイヤ加硫用ブラダーとして好適に利用できる。タイヤ加硫用ブラダーであるフッ素ゴム架橋物も本発明の一つである。
【0131】
上記フッ素ゴム組成物及び上記フッ素ゴム架橋物は、種々の用途に利用できるが、特に例えばつぎのような各種の用途に好適に使用できる。
【0132】
(1)ホース
ホースとしては、本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られるフッ素ゴム架橋物のみからなる単層構造のホースであってもよいし、他の層との積層構造の多層ホースであってもよい。また、ホースとしては、本発明のフッ素ゴム架橋物のみからなる単層構造ホースであってもよいし、他の層との積層構造の多層ホースであってもよい。
【0133】
単層構造のホースとしては、例えば排気ガスホース、EGRホース、ターボチャージャーホース、燃料ホース、ブレーキホース、オイルホースなどが例示できる。
【0134】
多層構造のホースとしても、例えば排気ガスホース、EGRホース、ターボチャージャーホース、燃料ホース、ブレーキホース、オイルホースなどが例示できる。
【0135】
ターボシステムはディーゼルエンジンに多く装備され、エンジンからの排気ガスをタービンに送って回転させることによりタービンに連結されているコンプレッサーを動かし、エンジンに供給する空気の圧縮比を高め、出力を向上させるシステムである。エンジンの排気ガスを利用し、かつ高出力を得るこのターボシステムは、エンジンの小型化、自動車の低燃費化及び排気ガスのクリーン化にも繋がる。
【0136】
ターボチャージャーホースは、圧縮空気をエンジンに送り込むためのホースとしてターボシステムに用いられている。狭いエンジンルームの空間を有効活用するためには、可撓性や柔軟性に優れたゴム製のホースが有利であり、典型的には、耐熱老化性や耐油性に優れたゴム(特にフッ素ゴム)層を内層とし、シリコーンゴムやアクリルゴムを外層とする多層構造のホースが採用されている。しかし、エンジンルームなどのエンジン周りは高温に曝されており、しかも振動も加えられる過酷な環境にあり、耐熱老化性だけでなく、高温時の機械特性が優れたものが必要になっている。
【0137】
ホースは、単層及び多層構造のゴム層として、本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られる架橋フッ素ゴム層又は本発明のフッ素ゴム架橋物からなる架橋フッ素ゴム層を用いることにより、これらの要求特性を高い水準で満たすものであり、優れた特性を有するターボチャージャーホースを提供することができる。
【0138】
ターボチャージャーホース以外の多層構造のホースにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、金属箔層などが挙げられる。
【0139】
他のゴムとしては、耐薬品性や柔軟性が特に要求される場合は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、EPDM及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるゴムが好ましく、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムからなることがより好ましい。
【0140】
また、熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂が好ましく、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0141】
また、多層構造のホースを作製する場合、必要に応じて表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、接着を可能とする処理方法であれば、その種類は特に制限されるものではなく、例えばプラズマ放電処理やコロナ放電処理等の放電処理、湿式法の金属ナトリウム/ナフタレン液処理などが挙げられる。また、表面処理としてプライマー処理も好適である。プライマー処理は常法に準じて行うことができる。プライマー処理を施す場合、表面処理を行っていないフッ素ゴムの表面を処理することもできるが、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、金属ナトリウム/ナフタレン液処理などを予め施したうえで、更にプライマー処理すると、より効果的である。
【0142】
本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られる架橋フッ素ゴム層又は本発明のフッ素ゴム架橋物からなる架橋フッ素ゴム層を有するホースには、金属管にホースを装着しやすいように、特に、室温における優れた柔軟性が要求される。また、ホースには、高温にさらされ、歪みが大きい箇所にはクラックが入るという課題がある。このような用途には、本発明のように、耐熱性に加え、高温引張物性及び引張耐久特性に優れた架橋物を与えるフッ素ゴム組成物又は本発明のフッ素ゴム架橋物を好適に用いることができ、クラックの発生を抑え、クラック進展を防止することができる。上記ホースは、上記フッ素ゴム組成物が、カーボンブラックをフッ素ゴム100質量部に対して5〜20質量部含有することによって、室温時の柔軟性(低硬度)、耐クラック性、耐クラック進展性に優れる。
【0143】
上記ホースは、以下に示す分野で好適に用いることができる。
【0144】
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体製造関連分野では、高温環境に曝されるCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置などのホースに用いることができる。
【0145】
自動車分野では、エンジンならびに自動変速機の周辺装置に用いることができ、ターボチャージャーホースのほか、EGRホース、排気ガスホース、燃料ホース、オイルホース、ブレーキホースなどとして用いることができる。
【0146】
そのほか、航空機分野、ロケット分野及び船舶分野、化学プラント分野、分析・理化学機分野、食品プラント機器分野、原子力プラント機器分野などのホースにも用いることができる。
【0147】
(2)シール材
石油掘削装置に使用されているシール材は、深い井戸の中に存在する圧力が突然開放されたときの急減圧によって破損するという課題がある。また、高温で硫化水素といったガスにさらされる環境下で使用される。石油・ガス産業の製造条件は、高温、高圧化になっており、本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られる架橋フッ素ゴム層を有するシール材には、このような耐急減圧性(RAPID GAS DECOMPRESSION RESISTANCE)に加えて、優れた耐熱性、耐薬品性が要求される。
このような用途には、本発明のように、耐熱性に加え、高温引張物性及び引張耐久特性に優れた架橋物を与えるフッ素ゴム組成物又は本発明のフッ素ゴム架橋物を好適に用いることができる。高温引張物性(引張破断強度、引張破断伸び)及び引張耐久特性に優れた架橋物は、高い耐減圧性を有し、シールの破損(破壊、割れ)を回避することができる。本発明のシール材は、上記フッ素ゴム組成物が、カーボンブラックをフッ素ゴム100質量部に対して10〜60質量部含有することによって、耐熱性、耐薬品性、及び高温高圧下における耐急減圧性に優れる。
【0148】
上記シール材としては、以下に示す分野で好適に用いることができる。
【0149】
例えば、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、滑剤・冷却系、燃料系、吸気・排気系;駆動系のトランスミッション系;シャーシのステアリング系;ブレーキ系;電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性・耐油性・燃料油耐性・エンジン冷却用不凍液耐性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型及び接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシールなど)などのシール材などが挙げられる。
【0150】
自動車用エンジンのエンジン本体に用いられるシール材としては、特に限定されないが、例えば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケット、Oリング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール材などが挙げられる。
【0151】
自動車用エンジンの主運動系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、例えば、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなどが挙げられる。
【0152】
自動車用エンジンの動弁系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、例えば、エンジンバルブのバルブステムオイルシール、バタフライバルブのバルブシートなどが挙げられる。
【0153】
自動車用エンジンの滑剤・冷却系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、例えば、エンジンオイルクーラーのシールガスケットなどが挙げられる。
【0154】
自動車用エンジン燃料系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、例えば、燃料ポンプのオイルシール、燃料タンクのフィラーシール、タンクパッキンなど、燃料チューブのコネクターOリングなど、燃料噴射装置のインジェクタークッションリング、インジェクターシールリング、インジェクターOリングなど、キャブレターのフランジガスケットなど、EGRのシール材などが挙げられる。
【0155】
自動車用エンジンの吸気・排気系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、例えば、マニホールドの吸気マニホールドパッキン、排気マニホールドパッキン、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージのタービンシャフトシールなどが挙げられる。
【0156】
自動車用のトランスミッション系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、例えば、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、Oリング、パッキンなど、オートマチックトランスミッションのOリング、パッキン類などが挙げられる。
【0157】
自動車用のブレーキ系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、例えば、オイルシール、Oリング、パッキンなど、マスターシリンダーのピストンカップ(ゴムカップ)など、キャリパーシール、ブーツ類などが挙げられる。
【0158】
自動車用の装備電装品に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、例えば、カーエアコンのOリング、パッキンなどが挙げられる。
【0159】
シール材としては、特にセンサー用シール材(ブッシュ)に適し、更には酸素センサー用シール材、酸化窒素センサー用シール材、酸化硫黄センサー用シール材などに適する。Oリングは角リングであってもよい。
【0160】
自動車分野以外の用途としては、特に限定されず、航空機分野、ロケット分野、船舶分野、油田掘削分野(例えばパッカーシール、MWD用シール、LWD用シール等)、プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野、現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野、分析・理化学機分野、食品プラント機器分野、原子力プラント機器分野、鉄板加工設備等の鉄鋼分野、一般工業分野、電気分野、燃料電池分野、電子部品分野、現場施工型の成形などの分野で広く用いることができる。
【0161】
例えば、船舶、航空機などの輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチーム又は耐候用のパッキン、Oリング、その他のシール材;油田掘削における同様のパッキン、Oリング、シール材;化学プラントにおける同様のパッキン、Oリング、シール材;食品プラント機器及び食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、Oリング、シール材;原子力プラント機器における同様のパッキン、Oリング、シール材;一般工業部品における同様のパッキン、Oリング、シール材などが挙げられる。
【0162】
(3)ベルト
苛酷な条件、例えば、高温、薬品(オイル)雰囲気下で使用される場合、プーリー部分での繰り返し伸張及び圧縮を受けるので、本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られる架橋フッ素ゴム層を有するベルト及びベルト部材には、耐熱性、耐薬品性に加え、高温での繰り返し引張及び圧縮特性が要求される。また、ベルトは波形桟及び横桟など複雑な形状をしており、成型金型から取り出す際に、裂けてしまうという課題がある。このような用途には、本発明のように、耐熱性、耐薬品性に加え、高温引張物性及び引張耐久特性に優れた架橋物を与えるフッ素ゴム組成物又は本発明のフッ素ゴム架橋物を好適に用いることができる。本発明のベルト及びベルト部材は、上記フッ素ゴム組成物が、カーボンブラックをフッ素ゴム100質量部に対して5〜60質量部含有することによって、耐熱性、耐薬品性、及び高温での繰り返し引張及び圧縮特性に優れる。
【0163】
上記フッ素ゴム架橋物は、以下に示すベルトに好適に用いることができる。
【0164】
動力伝達ベルト(平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、歯付きベルトなどを含む)や搬送用ベルト(コンベアベルト)のベルト材に用いることができる。また、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体製造関連分野では、高温環境に曝されるCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置などのベルト材に用いることができる。
【0165】
平ベルトとしては、例えば農業用機械、工作機械、工業用機械などのエンジン周りなど各種高温となる部位に使用される平ベルトが挙げられる。コンベアベルトとしては、例えば石炭、砕石、土砂、鉱石、木材チップなどのバラ物や粒状物を高温環境下で搬送するためのコンベアベルトや、高炉などの製鉄所などで使用されるコンベヤベルト、精密機器組立工場、食品工場などで、高温環境下に曝される用途におけるコンベアベルトが挙げられる。Vベルト及びVリブドベルトとしては、例えば農業用機械、一般機器(OA機器、印刷機械、業務用乾燥機など)、自動車用などのVベルト、Vリブドベルトが挙げられる。歯付きベルトとしては、例えば搬送ロボットの伝動ベルト、食品機械、工作機械の伝動ベルトなどの歯付きベルトが挙げられ、自動車用、OA機器、医療用、印刷機械などで使用される歯付きベルトが挙げられる。特に、自動車用歯付きベルトとしては、タイミングベルトが挙げられる。
【0166】
なお、多層構造のベルト材において、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、帆布、金属箔層などが挙げられる。
【0167】
他のゴムとしては、耐薬品性や柔軟性が特に要求される場合は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、EPDM及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるゴムが好ましく、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムからなることがより好ましい。
【0168】
また、熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂が好ましく、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0169】
また、多層構造のベルト材を作製する場合、必要に応じて表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、接着を可能とする処理方法であれば、その種類は特に制限されるものではなく、例えばプラズマ放電処理やコロナ放電処理等の放電処理、湿式法の金属ナトリウム/ナフタレン液処理などが挙げられる。また、表面処理としてプライマー処理も好適である。プライマー処理は常法に準じて行うことができる。プライマー処理を施す場合、表面処理を行っていないフッ素ゴムの表面を処理することもできるが、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、金属ナトリウム/ナフタレン液処理などを予め施したうえで、更にプライマー処理すると、より効果的である。
【0170】
(4)防振ゴム
上記フッ素ゴム架橋物は、防振ゴムにおける単層及び多層構造のゴム層として用いることにより、防振ゴムへの要求特性を高い水準で満たすものであり、優れた特性を有する自動車用防振ゴムを提供することができる。
【0171】
自動車用防振ゴム以外の多層構造の防振ゴムにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、金属箔層などが挙げられる。
【0172】
他のゴムとしては、耐薬品性や柔軟性が特に要求される場合は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、EPDM及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるゴムが好ましく、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムからなることがより好ましい。
【0173】
また、熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂が好ましく、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0174】
また、多層構造の防振ゴムを作製する場合、必要に応じて表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、接着を可能とする処理方法であれば、その種類は特に制限されるものではなく、例えばプラズマ放電処理やコロナ放電処理等の放電処理、湿式法の金属ナトリウム/ナフタレン液処理などが挙げられる。また、表面処理としてプライマー処理も好適である。プライマー処理は常法に準じて行うことができる。プライマー処理を施す場合、表面処理を行っていないフッ素ゴムの表面を処理することもできるが、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、金属ナトリウム/ナフタレン液処理などを予め施したうえで、更にプライマー処理すると、より効果的である。
【0175】
(5)ダイヤフラム
本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られる架橋フッ素ゴム層を有するダイヤフラムには、高温環境下での繰り返し耐屈曲性が要求される。このような用途には、本発明のように、耐熱性に加え、高温引張物性及び引張耐久特性に優れた架橋物を与えるフッ素ゴム組成物又は本発明のフッ素ゴム架橋物を好適に用いることができる。本発明のダイヤフラムは、上記フッ素ゴム組成物が、カーボンブラックをフッ素ゴム100質量部に対して5〜30質量部含有することによって、耐熱性、耐薬品性、及び室温のみならず高温繰り返し屈曲性に優れる。
【0176】
上記フッ素ゴム架橋物は、以下に示すダイヤフラムに好適に用いることができる。
【0177】
例えば、自動車エンジンの用途としては、耐熱性、耐酸化性、耐燃料性、低ガス透過性などが求められる、燃料系、排気系、ブレーキ系、駆動系、点火系などのダイヤフラムが挙げられる。
【0178】
自動車エンジンの燃料系に用いられるダイヤフラムとしては、例えば燃料ポンプ用ダイヤフラム、キャブレター用ダイヤフラム、プレッシャレギュレータ用ダイヤフラム、パルセーションダンパー用ダイヤフラム、ORVR用ダイヤフラム、キャニスター用ダイヤフラム、オートフューエルコック用ダイヤフラムなどが挙げられる。
【0179】
自動車エンジンの排気系に用いられるダイヤフラムとしては、例えばウェイストゲート用ダイヤフラム、アクチュエータ用ダイヤフラム、EGR用ダイヤフラムなどが挙げられる。
自動車エンジンのブレーキ系に用いられるダイヤフラムとしては、例えばエアーブレーキ用ダイヤフラムなどが挙げられる。
自動車エンジンの駆動系に用いられるダイヤフラムとしては、例えばオイルプレッシャー用ダイヤフラムなどが挙げられる。
自動車エンジンの点火系に用いられるダイヤフラムとしては、例えばディストリビューター用ダイヤフラムなどが挙げられる。
【0180】
自動車エンジン以外の用途としては、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐スチーム性、低ガス透過性などが求められる、一般ポンプ用ダイヤフラム、バルブ用ダイヤフラム、フィルタープレス用ダイヤフラム、ブロワー用ダイヤフラム、空調用機器用ダイヤフラム、制御機器用ダイヤフラム、給水用ダイヤフラム、給湯用の熱水を送液するポンプなどに用いられるダイヤフラム、高温蒸気用ダイヤフラム、半導体装置用ダイヤフラム(例えば製造工程などで使用される薬液移送用ダイヤフラム)、食品加工処理装置用ダイヤフラム、液体貯蔵タンク用ダイヤフラム、圧力スイッチ用ダイヤフラム、石油探索・石油掘削用途で用いられるダイヤフラム(例えば石油掘削ビットなどの潤滑油供給用ダイヤフラム)、ガス瞬間湯沸かし器やガスメーター等のガス器具用ダイヤフラム、アキュムレーター用ダイヤフラム、サスペンションなどの空気ばね用ダイヤフラム、船舶用のスクリューフィダー用ダイヤフラム、医療用の人工心臓用ダイヤフラムなどが挙げられる。
【0181】
(6)中空ゴム成形体
上記フッ素ゴム架橋物は、中空ゴム成形体にも好適に用いることができる。
上記中空ゴム成形体としては、ブラダー、蛇腹構造成形体、プライマーバルブ等を挙げることができる。
【0182】
(6−1)ブラダー
上記フッ素ゴム架橋物は、タイヤの加硫工程及び成型工程で使用されるブラダー(タイヤ製造用ブラダー)にも好適に用いることができる。
【0183】
一般に、タイヤの製造工程においては、タイヤの各構成部材を組み立てて生タイヤ(未加硫タイヤ)を成型する際に用いるタイヤ成型用ブラダーと、加硫時に最終的な製品タイヤ形状を付与するために用いるタイヤ加硫用ブラダーとの、大きく分けて2種類のブラダーが使用されている。
【0184】
上記フッ素ゴム架橋物は、タイヤ成型用ブラダー及びタイヤ加硫用ブラダーのいずれにも用いることができるが、特に、加熱条件下で繰り返し使用され、高い耐熱性や高温時の引張特性が要求されるタイヤ加硫用ブラダーに用いることが好ましい。
【0185】
(6−2)蛇腹構造成形体
蛇腹構造は、例えば、円筒の外周方向に山部又は谷部、若しくはその両方を有する構造であり、山部又は谷部の形状は、円弧を帯びる波形状でもよいし、三角波形状でもよい。
蛇腹構造成形体として、具体的には、例えば、フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイント等のジョイント部材、ブーツ、グロメットなどが挙げられる。
【0186】
ジョイント部材とは、配管及び配管設備に用いられる継ぎ手のことであり、配管系統から発生する振動、騒音の防止、温度変化、圧力変化による伸縮や変位の吸収、寸法変動の吸収や地震、地盤沈下による影響の緩和、防止などの用途に用いられる。
【0187】
フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイントは、例えば、造船配管用、ポンプやコンプレッサーなどの機械配管用、化学プラント配管用、電気配管用、土木・水道配管用、自動車用などとして好ましく用いることができる。
【0188】
ブーツは、例えば、等速ジョイントブーツ、ダストカバー、ラックアンドピニオンステアリングブーツ、ピンブーツ、ピストンブーツなどの自動車用ブーツ、農業機械用ブーツ、産業車両用ブーツ、建築機械用ブーツ、油圧機械用ブーツ、空圧機械用ブーツ、集中潤滑機用ブーツ、液体移送用ブーツ、消防用ブーツ、各種液化ガス移送用ブーツなどの各種産業用ブーツなどとして好ましく用いることができる。
【0189】
(6−3)プライマーバルブ
プライマーバルブは、エンジン始動が容易に行えるよう、あらかじめ、気化器(気化器のフロート室)へ燃料を送るためのポンプである。プライマーバルブは、例えば、円筒の外周方向に山部を一つ有するものであり、山部の形状は、円弧を帯びる波形状である。プライマーバルブの形状は、例えば、
図2で示される形状であり、通常、プライマーバルブ21は、吐出側(エンジン側)ホース23と吸入側(燃料タンク側)ホース24との間に配置される。
【0190】
上記プライマーバルブとしては、自動車用、船舶用、航空機用、建設機械用、農業機械用、鉱業機械用などのプライマーバルブが挙げられる。例えば、船舶用プライマーバルブとして特に有用である。
【0191】
(7)フッ素ゴム塗料組成物
本発明のフッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム塗料組成物にも適用可能である。上記フッ素ゴム塗料組成物から得られる塗膜は、高温時の引張物性及び耐久性(引張疲労特性)に優れるため、高温条件下でも破断しにくい。
【0192】
上記フッ素ゴム塗料組成物は、本発明のフッ素ゴム組成物が液状媒体に溶解又は分散されてなるものであることが好ましい。
【0193】
上記フッ素ゴム塗料組成物は、フッ素ゴム組成物を構成するための各成分を例えば上述した方法によって混練し、得られたフッ素ゴム組成物をケトン類、エステル類、エーテル類等の液状媒体に溶解又は分散させることにより調製することができる。
【0194】
上記フッ素ゴム塗料組成物は、金属、ガラス、樹脂、ゴム等からなる基材上に直接塗布してもよく、エポキシ塗料等によってプライマー層を形成した後、その上に塗布してもよい。更に、上記フッ素ゴム塗料組成物から得られる塗膜の上に他の塗膜(トップコート層)を形成してもよい。
【0195】
上記フッ素ゴム塗料組成物から得られる塗膜は、例えば、シート及びベルト;シーリング部材のシーラント;プレコートメタル;パッキンゴム、O−リング、ダイヤフラム、耐薬品性チューブ、薬栓、燃料ホース、バルブシール、化学プラント用ガスケット、エンジンガスケット;複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール)及び搬送ベルト等が挙げられる。上記エンジンガスケットとしては、例えば、自動車エンジン等のヘッドガスケット等に利用できる。
【0196】
(8)電線被覆材
上記フッ素ゴム組成物は、耐熱性及び柔軟性(可撓性)が求められる電線の絶縁被覆材や、電線における絶縁層の外周に設けられるシース層を形成するシース材にも好適に用いることができ、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与えることができる。
【0197】
上記絶縁被覆材又はシース材としては、特に耐熱性が要求される自動車や航空機、軍需車輌などの耐熱電線に用いられる絶縁被覆材又はシース材を挙げることができ、なかでも、内燃機関のトランスミッションオイル又はエンジンオイルに接触する環境で使用される被覆電線、又は自動車のオートマチックトランスミッション内又はエンジンのオイルパン内で使用される被覆電線の絶縁被覆材又はシース材として好適である。
【実施例】
【0198】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0199】
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
【0200】
(1)引張破断強度、引張破断伸び
試験機は、(株)エー・アンド・ディ製の「テンシロン」RTG−1310、(株)東洋精機製作所製の「ストログラフ」TH−200Dを用いた。JIS−K6251に準じ、チャック間50mmに設定、引張速度500mm/min、6号ダンベルを用いて引張破断強度、引張破断伸びを測定した。測定温度は、170℃とした。
(2)硬度
エクセル(株)製のデュロメーターRH101Aを試験機として用いた。JIS−K6253−3に準じ、測定温度25℃で、デュロメータ タイプAにて測定した(ピーク値)。
(3)動摩擦係数
(株)レスカ製のフリクションプレーヤーFPR2000を試験機として用いた。試験片の表面温度が170℃となるように温調し、加重100g(Pinは、φ5mm材質SUJ2)、回転モード、回転数4.8rpm、回転半径10mmで測定を行い、測定開始より25秒後から50秒後までの摩擦係数測定値の平均値を、動摩擦係数とした。
【0201】
実施例及び比較例では、次のフッ素ゴム、カーボンブラック、化合物(A)、パーオキサイド架橋剤、及びその他の配合剤を使用した。
【0202】
(フッ素ゴム)
G−801(ダイキン工業(株)製)
【0203】
(カーボンブラック)
ISAFカーボンブラック(N
2SA=115m
2/g、DBP吸油量=115ml/100g)
MTカーボンブラック(N
2SA=8m
2/g、DBP吸油量=43ml/100g)
【0204】
(化合物(A):脂肪油)
ひまし油(沸点=320℃(1atm)、凝固点=−22℃)
(化合物(A):脂肪族炭化水素)
流動パラフィン(沸点=360℃(1atm)、凝固点=−15℃)
【0205】
(パーオキサイド架橋剤)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
【0206】
(架橋促進剤)
トリアリルイソシアヌレート
トリメタリルイソシアヌレート
【0207】
(加工助剤)
ステアリン酸
【0208】
(受酸剤)
ハイドロタルサイト
【0209】
実施例1
カーボンブラック30質量部、ステアリン酸0.5質量部、ハイドロタルサイト1質量部及びひまし油10質量部を混合し、混合物(A)を調製した。加圧型ニーダーを用いて、ローターの平均剪断速度410(1/秒)の混練条件で、フッ素ゴム100質量部に上記混合物(A)を混練した。この混練物を25℃に温調した8インチオープンロールで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンド(B1)を得た。
【0210】
次に、8インチオープンロール(関西ロール(株)製)を用いて、フッ素ゴムプレコンパウンド(B1)141.5質量部、パーオキサイド架橋剤1質量部及びトリアリルイソシアヌレート0.5質量部を15分間混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(C1)を調製した。
【0211】
フッ素ゴムフルコンパウンド(C1)を170℃で30分間プレスして架橋し、厚さ2mmの架橋フッ素ゴムシートを作製した。このシートについて、170℃における引張破断強度、引張破断伸び測定及び25℃における硬度測定を行った。結果を表1に示す。また、170℃における動摩擦係数を測定したところ、1.3であった。
【0212】
実施例2
ひまし油の含有量を10質量部から5質量部に変えた他は実施例1と同様の条件で混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(C2)を調製した。実施例1と同様の条件で架橋フッ素ゴムシートを作製し、各種物性測定を行った。結果を表1に示す。また、170℃における動摩擦係数を測定したところ、2.1であった。
【0213】
実施例3及び4
成分及び量を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴムプレコンパウンド、フッ素ゴムフルコンパウンド及び架橋フッ素ゴムシートを作製した。結果を表1に示す。170℃における動摩擦係数は、それぞれ1.5及び2.1であった。
【0214】
比較例1
ひまし油を加えなかった他は実施例1と同様の条件で混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(C3)を調製した。実施例1と同様の条件で架橋フッ素ゴムシートを作製し、各種物性測定を行った。結果を表1に示す。また、170℃における動摩擦係数を測定したところ、2.4であった。
【0215】
比較例2
ひまし油を加えず、トリアリルイソシアヌレートの代わりにトリメタリルイソシアヌレートを用いた他は実施例1と同様の条件で混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(C4)を調製した。実施例1と同様の条件で架橋フッ素ゴムシートを作製し、各種物性測定を行った。結果を表1に示す。170℃における動摩擦係数は、2.5であった。
【0216】
比較例3及び4
成分及び量を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴムプレコンパウンド、フッ素ゴムフルコンパウンド及び架橋フッ素ゴムシートを作製した。結果を表1に示す。
【0217】
比較例5
成分及び量を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴムプレコンパウンド、フッ素ゴムフルコンパウンドを作製したが、アンダーキュアにより架橋フッ素ゴムシートを得ることができなかった。
【0218】
【表1】