(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態1を説明する。
図1及び
図2に第1の実施形態を示す。
【0011】
図1の圧縮装置1は主に圧縮機本体4と、圧縮機本体4を駆動するモータ3と、モータ3の回転数を制御するインバータ2と、圧縮した空気を貯める空気タンク5により構成されている。空気タンク5には、空気タンク5内部の圧力(吐出圧力)を検出する圧力センサ6が取り付けられている。また、モータ3の運転、停止、または回転数を制御するために、インバータ2には制御回路7が接続されている。圧縮機本体4で圧縮された圧縮空気は、空気タンク5を経由して、配管11を通って使用者の設備に供給される。
【0012】
圧縮空気を貯蓄するために、使用者の設備として外部空気タンク12が設けられる場合がある。外部空気タンク12は圧縮装置1の空気タンク5と配管11で接続されており、空気タンク5と外部空気タンク12は圧力が同じである。圧縮された空気はバルブ9と配管10を通って、機械設備に出力される。
【0013】
尚、空気タンク5または12は省略可能である。空気タンク5を省略する場合は、圧力センサ6は配管11またはタンク12における圧力(吐出圧力)の検出を行う。
【0014】
インバータ2は制御回路7から与えられる周波数目標値を受け、商用電源(例えば60Hz)を周波数目標値に変換し、モータ3へ供給することで、モータ3の回転数を制御する。これにより、モータ3により駆動される圧縮機本体4の吐出し空気量の調整が可能になる。ただし、圧縮機本体の特性により、回転速度は一定範囲内でのみ(例えば商用電源周波数の60%〜100%)制御可能である。
【0015】
操作パネル8は制御回路7に接続されており、使用者は操作パネル8上のボタンやスイッチで圧縮装置の運転、停止、または各種の設定を行うことができる。制御回路7は操作パネル8からの信号を受け取り、使用者の指令を実行する。
【0016】
制御回路7は圧力センサ6によって所定時間毎に測定した圧力値及び使用者により設定された空気タンク5の目標圧力Prefを記憶しており、これらの値に基づいてモータ3の回転速度を制御する。通常運転モードでの運転においては、制御回路7は、空気タンク5の圧力を予め決められた圧力目標値Prefに保持できるように、モータ回転速度の目標値を演算し、インバータ2を通じて、モータ3の回転速度を制御する。検出された圧力が圧力目標値Prefに対し所定の範囲内であれば(例えば:Pref±0.05MPa以内)、圧力目標値Prefに保持できるようにモータ3の回転速度を調整する。一方、検出された圧力が上記所定の範囲の上限を超えた場合(例えば:Pref+0.05MPa以上)は、最低回転速度で運転するようにする。また、検出された圧力が所定の範囲の下限に満たない場合は、最高回転速度で運転するように制御する。
【0017】
実施形態1による圧縮装置1は上述の如き構成を有するもので、次に、
図2〜
図3を参照して、圧縮装置1の圧力測定値P (t)を用いた制御について説明する。
【0018】
図2は、圧縮装置1の起動時において低速起動モードから通常運転モードに切替える制御フローを示す。
図3は、圧縮装置1を起動してから通常運転モードへ移行するまでの、圧力目標値Prefに対する圧力変化及び圧縮機の運転速度(運転モード)の変化を示す。
【0019】
ステップ1では、使用者が運転SWを押下し、圧縮装置1を起動させる。ステップ2では、起動後低速起動モードに移行し、圧縮機本体4は低い回転周波数で起動する(例えば最低回転周波数35Hz)。低速起動モードは、目標圧力値Prefや現在の圧力値に関わらず、圧縮機として運転可能である低速の回転周波数(騒音と圧縮効率のバランスを考慮した回転周波数、例えば35Hz)にて運転するモードである。高速の回転周波数の運転に比べ、騒音を低減することができる。インバータの性能上、起動してから目標周波数に達するまでに一定時間(例えば4秒)が必要となるため、ステップ3では起動から一定時間(例えば、4秒間)経過するまでは、次のステップに行かないようにする。一定時間(例えば、4秒)経過後には圧力の上昇勾配が安定するため、ステップ4に移る。ステップ4では、制御回路7が、圧力センサ6から得られる値を用いて、(式1)により圧力の上昇率Kを算出する。
【0020】
K = (P (t) - P (t-1))/Ts (式1)
ここで、K:圧力の上昇率、P(t):現在圧力値、P(t−1):1秒前の圧力値、Ts:1秒
ステップ5では、制御回路7において、計算された圧力の上昇率Kを予め決められた上昇率閾値Khより小さいか否かを判定する。「Yes」と判定した場合、ステップ6に移り、「No」と判定した場合は、空気タンク5に対する充填速度が十分であると判断されるため、低速運転を継続する。この場合は、一定時間後にステップ4に戻り、再度(式1)で圧力の上昇率Kを求め、再度ステップ5にて判定を行う。
【0021】
ステップ5では「Yes」と判定した場合は、圧力の上昇率Kは上昇率閾値Khより小さく、充填速度が十分ではないことを示すので、ステップ6では低速起動モードを解除し、通常運転モードに移る。最後に、ステップ7に移行し、リターンする。
【0022】
通常運転モード移行後すぐは、
図3に示すように、目標圧力値Prefに対し、所定の圧力範囲に満たさないため、一旦最高回転周波数で運転し、目標値Prefに近づくにつれ、圧力を目標値Prefに追従するようにモータ回転速度の調整を行う。
【0023】
実施形態1では、起動時に低速起動モードで運転することで、騒音が低減することが可能となる。使用者の設備のタンク容積が小さく、高速運転の必要性がない場合は、タンクへの充填完了まで始終低速起動モードで運転可能となる。一方、タンク容積が大きく、低速運転では空気充填が遅いと判断される場合は、自動的に通常運転モードに切替わるため、充填速度の点でも支障を生ずることは無い。
【0024】
なお、圧力上昇率Kの計算は一定周期(例えば1秒)で演算を行うことで、常に圧力上昇率を監視可能である。そのため、例えば、起動時のタンクへの空気充填途中において使用者が空気の使用を開始することで圧力の上昇が緩やかになったり、圧力下降した場合であっても、直ちに自動的に通常運転モードに切替えられる。
【0025】
以上のように、使用者設備の外部空気タンク12の容積によって、予め使用者側での設定を行わなくとも、低速運転するか通常運転するかを自動的に選択するため、タンクへの充填速度を確保しつつ、低騒音化を最大限行うことが可能となる。
【0026】
本実施形態では、例として、起動時の回転速度(周波数)を最低回転速度(周波数)としたが、圧縮機の特性によっては、最低回転速度での運転時の騒音が最も低いとは限らないため、騒音振動などの特性を考慮の上、起動時の回転速度(周波数)を設定すれば良い。
【0027】
また、操作パネル8で低速起動モードを有効または無効に設定することが可能である。低速起動モードを必要としない使用者は、ボタン操作で当該機能を無効にすれば、圧縮機起動時から通常運転モードにて運転を行うことができる。
【0028】
次に、本発明の実施形態2を示す。実施形態2では、前述した実施形態1と同様の構成の圧縮装置1を前提とするため、同一の構成要素に同一の符号を付し、同様の部分についてはその説明を省略するものとする。
【0029】
図4は、圧縮装置1の起動時において低速起動モードから通常運転モードに切替る制御フローを示す。
図5は、圧縮装置1を起動してから通常運転モードへ移行するまでの、圧力目標値Prefに対する圧力変化及び圧縮機の運転速度(運転モード)の変化を示す。
【0030】
ステップ1では、運転SWを押下し、圧縮装置1を起動させる。ステップ2では、低速起動モードに移行し、圧縮機本体4は低い回転周波数で起動する(例えば最低回転周波数35Hz)。インバータの性能上、起動してから目標周波数に達すのに一定時間(例えば4秒)が必要となるため、ステップ3では起動から一定時間(例えば、4秒)は次の処理に行かないようにする。一定時間(例えば、4秒)経過後、圧力の上昇勾配が安定するため、ステップ4に移る。ステップ4では、圧力の上昇率Kを前述の(式1)を用いて計算する。
【0031】
ステップ5では、制御回路7において、ステップ4で計算した上昇率Kを用いて、タンク圧力が0MPaから目標値Prefまで達するのに必要な予想充填時間Txを計算する。計算式は(式2)に示す。
【0032】
Tx =Pref/K (式2)
ステップ6では、制御回路7は、予想充填時間Txは予め設けられた閾値Thを越えるか否かを判定する。閾値Thは目標充填時間であり、使用者が予め操作パネル8で設定可能である。「No」と判定した場合は、低速運転モードを継続し、ステップ4に戻り、再度圧力の変化率を確認する。ステップ6で「Yes」と判定した場合、ステップ7に移行し、低速起動モードを解除し、通常運転モードに移行する。
【0033】
つまり、TxがThより大きい場合は、目標充填時間Th以内に充填完了できないことを示すので、通常運転モードに移行し、一旦最高回転周波数で運転し、目標値Prefに近づくにつれ、圧力を目標値Prefに追従するようにモータ回転速度の調整を行う。
【0034】
ステップ8でリターンする。圧縮装置1は上記のフローに従い、起動時に低速運転モードで運転し、途中から通常運転モードへの移行を行う。
【0035】
実施形態2では実施形態1と同様に起動時の低騒音と、タンクへの十分な空気充填速度の確保を両立させることができる。さらに、使用者が設定した目標充填時間を低速運転モードと通常運転モードとの切替えの閾値とするため、使用者の意思を圧縮装置1の制御に反映させることができる。
【0036】
次に、本発明の実施形態3を示す。実施形態3では、実施形態1と同様の構成の圧縮装置1を前提とするため、同一の構成要素に同一の符号を付し、同様の部分についてはその説明を省略するものとする。
図6は、圧縮装置1の起動時において低速起動モードから通常運転モードに切替る制御フローを示す。
図7は、圧縮装置1を起動してから通常運転モードへ移行するまでの、圧力目標値Prefに対する圧力変化及び圧縮機の運転速度(運転モード)の変化を示す。
【0037】
ステップ1では、運転SWを押下し、圧縮装置1を起動させる。次のステップ2では、低速起動モードに移行し、圧縮機本体4は低い回転周波数で起動する(例えば最低回転周波数35Hz)。ステップ3では起動から一定時間(例えば30秒)経過かまたは圧力目標値Pref以上になったかを判定する。「Yes」と判定した場合は、ステップ4に移り、低速起動モードを解除し、通常運転モードに戻る。「No」と判定した場合は、一定時間後(例えば1秒)に再度ステップ3に戻り、圧力と時間を確認する。
【0038】
圧縮装置1は
図6のフローに従い、起動時に低速運転モードで運転し、途中から通常運転モードへの移行を行う。
【0039】
実施形態3では圧縮機の起動から圧力目標値Prefに達しない限り、一定時間は、低速運転モードで運転を行うことが可能となる。他の実施形態と比較すると、運転モードの切替えを判断する方法がシンプルであり、実装が容易にできるというメリットもある。
【0040】
尚、ここでの圧力目標値は、所定の範囲(例えば:Pref±5%以内)に圧力が到達した場合においても圧力目標値Prefに到達したとしても良い。
【0041】
次に、本発明の実施形態4を示す。実施形態4では、実施形態1と同様の構成の圧縮装置1を前提とするため、同一の構成要素に同一の符号を付し、同様の部分についてはその説明を省略するものとする。
図8は、圧縮装置1の起動時において低速起動モードから通常運転モードに切替る制御フローを示す。
図9は、圧縮装置1を起動してから通常運転モードへ移行するまでの、圧力目標値Prefに対する圧力変化及び圧縮機の運転速度(運転モード)の変化を示す。
【0042】
ステップ1では、運転SWを押下し、圧縮装置1を起動させる。ステップ2では、低速起動モードに移行し、圧縮機本体4は低い回転周波数で起動する(例えば最低回転周波数35Hz)。インバータの性能上、起動してから目標周波数に達すのに一定時間(例えば4秒)が必要となるため、ステップ3では起動から一定時間(例えば4秒)以内に次の処理に行かないようにする。一定時間(例えば4秒)経過後には圧力の上昇勾配が安定するため、ステップ4に移る。ステップ4では、圧力の上昇率Kを前述の(式1)を用いて計算する。ステップ5では計算された圧力の上昇率Kを予め決められた上昇率閾値Khより小さいか否かを判定する。「No」と判定した場合、ステップ7に移り、「Yes」と判定した場合はステップ6に移る。ステップ6では、インバータ2に対する指令回転周波数Frefを下記の(式3)で計算し、変更する。
Fref = F(t) + Fn (Hz) (式3)
ここで、Fref:指令回転周波数、F(t):現在回転周波数、Fn:任意値(例えば5)
ステップ7では圧力センサ6で検出される現在圧力P(t)が目標圧力Pref以上であるかどうかを判定する。「No」と判定した場合は、一定時間後(例えば1秒後)にステップ4に戻り、再度圧力上昇率Kを計算する。「Yes」と判定した場合は、ステップ8に移り、通常運転モードに切替えた後、ステップ9でリターンする。
【0043】
尚、ここでの圧力目標値は、所定の範囲(例えば:Pref±5%以内)に圧力が到達した場合においても圧力目標値Prefに到達したとしても良い。
【0044】
圧縮装置1は上記の制御フローに従い、起動時に低速で運転し、途中から通常運転への移行を行う。
【0045】
実施形態4では実施形態1と同様に起動時の低騒音とタンクへの十分な空気充填速度を確保させることができる。実施形態1と比較し、実施形態4では圧力の上昇率Kを閾値Kh以上になるよう、少しずつ増速することが特徴である。これにより、低速起動モードから通常運転モードに移行する際に、徐々に最高回転に移行するため、必要以上の速さで充填することを防止することができ、また、最低回転速度から最高回転速度に急激に回転速度が上昇する際の騒音の変化による使用者の不快感を低減する効果がある。
【0046】
実施形態4では、必要以上に回転速度を上げないため、低騒音の運転時間が比較的長くなる。また、圧力目標値Prefで通常運転に切替えるため、最高回転速度で運転する必要も無く、よりスムーズな音で空気充填を完了することができる。
【0047】
次に、本発明の実施形態5を示す。実施形態5では、前述した実施形態1と同様の構成の圧縮装置1を前提とするため、同一の構成要素に同一の符号を付し、同様の部分についてはその説明を省略するものとする。
【0048】
図10は、圧縮装置1の起動時において低速起動モードから通常運転モードに切替る制御フローを示す。
図11は、圧縮装置1を起動してから通常運転モードへ移行するまでの、圧力目標値Prefに対する圧力変化及び圧縮機の運転速度(運転モード)の変化を示す。
【0049】
ステップ1では、運転SWを押下し、圧縮装置1を起動させる。ステップ2では、低速起動モードに移行し、圧縮機本体4は低い回転周波数で起動する(例えば35Hz)。インバータの性能上、起動してから目標周波数に達すのに一定時間(例えば4秒)が必要となるため、ステップ3では起動から一定時間(例えば、4秒)は次の処理に行かないようにする。一定時間(例えば、4秒)経過後、圧力の上昇勾配が安定するため、ステップ4に移る。ステップ4では、圧力の上昇率Kを前述の(式1)を用いて計算する。
【0050】
ステップ5では、制御回路7において、ステップ4で計算した上昇率Kを用いて、タンク圧力が0MPaから目標値Prefまで達するのに必要な予想充填時間Txを前述の(式2)を用いて計算する。
【0051】
ステップ6では、制御回路7は、予想充填時間Txは予め設けられた閾値Thを越えるか否かを判定する。閾値Thは目標充填時間であり、使用者が予め操作パネル8で設定可能である。「No」と判定した場合は、低速運転モードを継続し、低速運転モードを継続し、ステップ10に移行する。ステップ6で「Yes」と判定した場合、ステップ7に移行する。ステップ7では、指令回転周波数は(式4)で求められる。
【0052】
指令回転周波数Fref=F(t)×Tx/Th (式4)
ここで、F(t):現在の回転周波数、Tx:予想充填時間、Th:目標充填時間
次に、ステップ8では、計算した指令回転周波数Frefが最高回転周波数(Fmax)を超えるかどうかを判定する。「Yes」の場合は、ステップ9で指令周波数を最高回転周波数になるよう補正し、ステップ10に移行する。「No」の場合は、そのままステップ10に移行する。
【0053】
ステップ10で圧力は圧力目標値Pref以上であるか否かを判定する。「No」の場合は、一定時間後ステップ4に戻り、再度圧力の上昇を確認する。「Yes」の場合はステップ11に移り、圧力一定制御を行う。最後ステップ12でリターンする。
【0054】
ステップ10で圧力は圧力目標値Pref以上であるか否かを判定する。「No」の場合は、一定時間後ステップ4に戻り、再度圧力の上昇を確認する。「Yes」の場合はステップ11に移り、圧力一定制御を行う。最後ステップ12でリターンする。
【0055】
実施形態5では実施形態2と同様に起動時の低騒音とタンクへの十分な空気充填速度を確保することができる。実施形態2と比較し、実施形態5では目標充填時間に満たすように低速運転時の回転周波数を調整することが特徴である。これにより、低速起動モードから通常運転モードに移行する際に、最高回転速度以下の回転速度で運転するため、必要以上の速さで充填することを防止することができ、また、最低回転速度から最高回転速度に急激に回転速度が上昇する際の騒音の変化による使用者の不快感を低減する効果がある。また実施形態4と比べ、短時間で回転速度を最適に調整できる効果もある。
【0056】
実施形態5では、必要以上に回転速度を上げないため、低騒音の運転時間が比較的長くなる。また、圧力目標値Prefで通常運転に切替えるため、最高回転速度で運転する必要も無く、よりスムーズな音で空気充填を完了することができる。
次に、本発明の実施形態6を示す。実施形態6では、前述した実施形態1と同様の構成の圧縮装置1を前提とするため、同一の構成要素に同一の符号を付し、同様の部分についてはその説明を省略するものとする。
【0057】
図12は、圧縮装置1の起動時において低速起動モードから通常運転モードに切り替える制御フローを示す。
図13は、圧縮装置1を起動してから通常運転モードへ移行するまでの、圧力目標値Prefに対する圧力変化及び圧縮機の運転速度(運転モード)の変化を示す。
【0058】
ステップ1では、運転SWを押下し、圧縮装置1を起動させる。ステップ2では、低速起動モードに移行し、圧縮機本体4は低い回転周波数で起動する(例えば35Hz)。インバータの性能上、起動してから目標周波数に達すのに一定時間(例えば4秒)が必要となるため、ステップ3では起動から一定時間(例えば、4秒)は次の処理に行かないようにする。一定時間(例えば、4秒)経過後、圧力の上昇勾配が安定するため、ステップ4に移る。ステップ4では、圧力の上昇率Kを前述の(式1)を用いて計算する。
【0059】
ステップ5では、制御回路7は、圧力上昇率Kは予め設けられた目標値Kh未満であるか否かを判定する。「No」と判定した場合は、低速運転モードを継続し、ステップ9に移行する。ステップ5で「Yes」と判定した場合、ステップ6に移行する。ステップ6では、圧力上昇率が目標圧力上昇率になるように、モータへの指令回転周波数Frefを式5で求められる。
指令回転周波数Fref = F(t)×Kh/K (式5)
ここで、F(t):現在の回転周波数、Kh:圧力上昇率目標値
次に、ステップ7では、計算した指令回転周波数Frefが最高回転周波数(Fmax)を超えるかどうかを判定する。「Yes」の場合は、ステップ8で指令周波数を最高回転周波数になるよう補正し、ステップ9に移行する。「No」の場合は、そのままステップ9に移行する。
【0060】
ステップ9で圧力は圧力目標値Pref以上であるか否かを判定する。「No」の場合は、一定時間後ステップ4に戻り、再度圧力の上昇を確認する。「Yes」の場合はステップ10に移り、圧力一定制御を行う。最後ステップ11でリターンする。
【0061】
実施形態6では実施形態1と同様に起動時の低騒音とタンクへの十分な空気充填速度を確保することができる。実施形態1と比較し、実施形態6では圧力上昇率目標値に満たすように低速運転時の回転周波数を調整することが特徴である。これにより、低速起動モードから通常運転モードに移行する際に、最高回転速度以下の回転速度で運転するため、必要以上の速さで充填することを防止することができ、また、最低回転速度から最高回転速度に急激に回転速度が上昇する際の騒音の変化による使用者の不快感を低減する効果がある。また、実施形態5と比べ、計算がしやすいので、実装が簡単であるというメリットもある。
【0062】
また、実施形態6では、必要以上に回転速度を上げないため、低騒音の運転時間が比較的長くなる。また、圧力目標値Prefで通常運転に切り替えるため、最高回転速度で運転する必要も無く、よりスムーズな音で空気充填を完了することができる。