特許第6383873号(P6383873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6383873-分子ふるいSSZ−102及びその合成 図000018
  • 特許6383873-分子ふるいSSZ−102及びその合成 図000019
  • 特許6383873-分子ふるいSSZ−102及びその合成 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383873
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】分子ふるいSSZ−102及びその合成
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20180820BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20180820BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20180820BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20180820BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20180820BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20180820BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   C01B39/48ZAB
   B01J29/70 Z
   B01J29/70 A
   B01D53/94 222
   B01D53/94 280
   B01J37/10
   B01J20/28 Z
   B01J20/30
   B01J20/18 A
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-521500(P2017-521500)
(86)(22)【出願日】2015年5月19日
(65)【公表番号】特表2017-537047(P2017-537047A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】US2015031527
(87)【国際公開番号】WO2016064451
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】14/523,761
(32)【優先日】2014年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/523,768
(32)【優先日】2014年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ダン
(72)【発明者】
【氏名】ゾーンズ、ステイシー イアン
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−541040(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/003502(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0101986(US,A1)
【文献】 特表2015−509478(JP,A)
【文献】 特表2012−522718(JP,A)
【文献】 特表2004−523455(JP,A)
【文献】 米国特許第04331643(US,A)
【文献】 特開平03−122009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ESV骨格トポロジーを有し、5〜12のSiO/Alモル比を有する結晶性分子ふるいであって、そのか焼形態で、以下の表に示されるようなX線回折パターンを有する、結晶性分子ふるい。
【請求項2】
5〜10のSiO/Alモル比を有する、請求項1に記載の分子ふるい。
【請求項3】
ESV骨格トポロジーを有し、合成したまま及びその無水状態で、モル比換算で、以下のような組成を有する、結晶性分子ふるいであって、

Qは、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンである、結晶性分子ふるい。
【請求項4】
前記分子ふるいは、合成したまま及びその無水状態で、モル比換算で、以下のような組成を有する、請求項3に記載の分子ふるい。
【請求項5】
ESV骨格トポロジーを有する結晶性分子ふるいを製造するための方法であって、
(a)以下の成分を混合することによって、反応混合物を得ること、
(1)ケイ素の少なくとも1つの供給源、
(2)アルミニウムの少なくとも1つの供給源、
(3)ナトリウムの少なくとも1つの供給源、
(4)水酸化物イオン、
(5)N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオン、及び
(6)水、
ならびに、
(b)前記反応混合物を、前記分子ふるいの結晶形成されるまで、加圧下での125℃から200℃までの温度を含む結晶化条件に供すること
を含む、上記方法。
【請求項6】
前記分子ふるいは、モル比換算で、以下を含む反応混合物から製造され、

は、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記分子ふるいは、モル比換算で、以下を含む反応混合物から製造され、

は、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンである、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ESV骨格トポロジーを有するSSZ−102と名付けられた新しい結晶性分子ふるい(molecular sieve:モレキュラーシーブ)、構造指向剤(structure directing agent)としてN,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンを使用してSSZ−102を調製するための方法、及びSSZ−102の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
分子ふるいは、商業的に重要なクラスの結晶性材料である。これらは、明確なX線回折パターンによって示される規則正しい細孔構造を有する明確な結晶構造を有する。結晶構造は、異なる種の特徴である空孔(cavities)及び細孔(pores)を定義する。
【0003】
分子ふるいは、国際ゼオライト協会構造委員会(Structure Commission of the International Zeolite Association)によって、ゼオライト命名法に関するIUPAC委員会(IUPAC Commission on Zeolite Nomenclature)の規則に従って分類される。この分類によれば、構造が確立されている骨格型のゼオライト及び他の結晶性微孔質の分子ふるいには、3文字コードが割り当てられ、それらは、「Atlas of Zeolite Framework Types」、Sixth Revised Edition,Elsevier,2007に記載されている。
【0004】
ERS−7は、4.7×3.5Åフリー寸法を有する8員環窓によって接続される17辺(4)「ピクニックバスケット」形のケージから成る構造を有する、単一結晶相のゼオライトである。ERS−7の骨格構造は、国際ゼオライト協会構造委員会によって、3文字コードESVが割り当てられている。
【0005】
イタリア特許第1270630号は、ゼオライトERS−7及び構造指向剤としてN,N−ジメチルピペリジニウムカチオンを使用したその合成を開示する。ERS−7は、15〜30のSiO/Alモル比を有すると報告されている。
【0006】
ESV骨格トポロジーを有し、5〜12のSiO/Alモル比を有する結晶性分子ふるいは、構造指向剤としてN,N′−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンカチオンを使用して調製され得ることがわかっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、「分子ふるいSSZ−102」または単に「SSZ−102」と称される、特有の特性を有する結晶性分子ふるいの一群に関する。SSZ−102は、国際ゼオライト協会によって「ESV」と名付けられた骨格トポロジーを有する。
【0008】
一態様において、ESV骨格トポロジーを有し、5〜12のSiO/Alモル比を有する結晶性分子ふるいが提供される。分子ふるいSSZ−102は、そのか焼形態で、表4のX線回折線を有する。
【0009】
別の態様において、結晶化条件下で、(1)ケイ素の少なくとも1つの供給源、(2)アルミニウムの少なくとも1つの供給源、(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1つの供給源、(4)水酸化物イオン、及び(5)構造指向剤としてN,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンを接触させることによって、ESV骨格トポロジーを有する結晶性分子ふるいを調製するための方法が提供される。
【0010】
さらに別の態様において、(a)(1)ケイ素の少なくとも1つの供給源、(2)アルミニウムの少なくとも1つの供給源、(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1つの供給源、(4)水酸化物イオン、(5)N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオン、(6)水を含有する、反応混合物を調製することと、(b)この反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することとによって、ESV骨格トポロジーを有する分子ふるいを調製するためのプロセスが提供される。
【0011】
またさらに別の態様において、ESV骨格トポロジーを有し、合成したまま及びその無水状態で、モル比換算で、以下のような組成を有する、結晶性分子ふるいが提供され、

ここで、Qは、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンであり、Mは、周期表の1族及び2族の元素から成る群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】例1で調製された合成したままの分子ふるいの粉末X線回折(XRD)パターンである。
図2】例1で調製された合成したままの分子ふるいの走査電子顕微鏡写真(SEM)の画像である。
図3】上部が例10で調製された、か焼されたSSZ−102であり、下部が例1で調製された、合成したままのSSZ−102である、2つのX線回折パターンの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
反応混合物
SSZ−102を調製する際に、結晶化テンプレートとしても既知の構造指向剤(「SDA」)として、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオン(「ジメチルDABCOジカチオン」)が使用される。この分子ふるいを製造するのに有用なSDAは、以下の構造(1)によって表される。
【化1】
【0014】
SDAジカチオンは、典型的には、分子ふるいの形成に悪影響を及ぼさない限りいずれのものであってもよいアニオンに結び付けられる。代表的なアニオンとしては、周期表の17族の元素(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、及びヨウ化物イオン)、水酸化物イオン、スルファートイオン、テトラフルオロボラートイオン、アセタートイオン、カルボキシラートイオン等が挙げられる。本明細書で使用される場合、周期表の族の番号付け体系は、Chem.Eng.News 63(5),26−27(1985)に記載の通りである。
【0015】
一般的に、分子ふるいSSZ−102は、(a)(1)ケイ素の少なくとも1つの供給源、(2)アルミニウムの少なくとも1つの供給源、(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1つの供給源、(4)水酸化物イオン、(5)N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオン、及び(6)水を含有する反応混合物を調製することと、(b)この反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することと、によって調製される。
【0016】
分子ふるいが形成される反応混合物の組成は、モル比換算で、以下の表1に特定され、

ここで、組成変数M及びQは、本明細書で上述された通りである。
【0017】
本明細書においてケイ素に有用な供給源は、ヒュームドシリカ、沈降シリカート、シリカヒドロゲル、ケイ酸、コロイダルシリカ、テトラアルキルオルトシリカート(例えば、テトラエチルオルトシリカート)、及びシリカ水酸化物を含む。
【0018】
アルミニウムに有用な供給源は、アルミニウムの酸化物、水酸化物、酢酸塩、シュウ酸塩、アンモニウム塩、及び硫酸塩を含む。酸化アルミニウムの典型的な供給源は、アルミン酸塩、アルミナ、ならびにAlCl、Al(SO、Al(OH)、カオリン粘土、及び他のゼオライト等のアルミニウム化合物を含む。アルミニウム酸化物の供給源の例は、ゼオライトYである。
【0019】
本明細書に記載された各実施形態について、分子ふるい反応混合物は、1つを超える供給源によって供給され得る。また、2つ以上の反応成分が、1つの供給源によって提供され得る。
【0020】
反応混合物は、バッチ式または連続的のいずれかで調製され得る。本明細書に記載される分子ふるいの結晶サイズ、形態(morphology)、及び結晶化時間は、反応混合物の性質及び合成条件によって異なり得る。
【0021】
結晶化及び合成後の処理
実際は、分子ふるいSSZ−102は、(a)本明細書に上述されたような反応混合物を調製し、(b)この反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することによって調製される。
【0022】
反応混合物は、分子ふるいが形成されるまで高められた温度で維持される。水熱結晶化は、通常、加圧下で、かつ通常、反応混合物が自発生圧力を受けるようにオートクレーブ中で、125℃〜200℃の温度で行われる。
【0023】
反応混合物は、結晶化ステップ中に、穏やかな撹拌(stirring)または撹拌(agitation)に供され得る。本明細書に記載の分子ふるいは、非晶質材料等の不純物、この分子ふるいとは一致しない骨格トポロジーを有する単位セル、及び/または他の不純物を含有し得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0024】
水熱結晶化ステップ中、分子ふるい結晶は、反応混合物から自発的に核形成され得る。種材料(seed material)としての分子ふるいの結晶の使用は、完全な結晶化が発生するのに必要な時間を減少させる点で有利であり得る。加えて、播種(seeding)は、何らかの望ましくない相よりも、分子ふるいの核形成及び/または形成を促進することによって得られる生成物の純度の増加をもたらし得る。種として使用されるとき、種結晶は、反応混合物のために使用されるケイ素の供給源の1〜10重量%の量で添加される。
【0025】
分子ふるいが形成されると、固体生成物は、濾過等の標準的な機械的技術によって、反応混合物から分離される。結晶は、水洗いされ、その後、乾燥されて、合成したままの分子ふるい結晶が得られる。乾燥ステップは、大気圧または減圧下で行われ得る。
【0026】
分子ふるいは、合成したまま使用され得るが、典型的には、熱処理(か焼)される。用語「合成したまま」は、SDAカチオンの除去前の、結晶化後のその形態の分子ふるいを言う。SDAカチオンは、熱処理(例えば、か焼)によって除去され得、好ましくは、酸化雰囲気(例えば、空気、0kPaより高い酸素分圧を有するガス)中で、分子ふるいからSDAを除去するのに十分な、当業者によって容易に決定可能な温度で除去され得る。SDAはまた、米国特許第6,960,327号に記載されるように、光分解技術(例えば、分子ふるいから有機物を選択的に除去するのに十分な条件下で、SDAを含有する分子ふるい生成物を、可視光より短い波長を有する光または電磁放射線に曝露すること)によっても除去され得る。
【0027】
その後、スチーム、空気、または不活性ガス中で、分子ふるいは、200℃〜800℃の範囲の温度で、1〜48時間以上の時間範囲の間、か焼され得る。通常、イオン交換または他の既知の方法によって、骨格外カチオン(例えば、Na)を除去し、それを水素、アンモニウム、または何らかの望ましい金属イオンと置換することが好ましい。
【0028】
形成された分子ふるいが、中間材料である場合、標的分子ふるいは、酸浸出または他の同様の脱アルミニウム方法によって、中間材料からより高いSi/Al比を有する標的材料の合成を可能にするように、合成後の技術を使用して達成され得る。
【0029】
本明細書に記載されたプロセスによって製造された分子ふるいは、種々の物理的形状に形成され得る。一般的に、分子ふるいは、粉末、顆粒、または2メッシュ(タイラー)スクリーンを通過し、かつ400メッシュ(タイラー)スクリーン上に保持されるのに十分な粒子サイズを有する押出成形物等の成形物の形態であり得る。有機バインダーを用いた押し出し等によって、触媒が成形される場合、分子ふるいは、乾燥前に押し出され得るか、あるいは、乾燥または部分的に乾燥され、その後、押し出され得る。
【0030】
分子ふるいは、有機転化プロセスに利用される温度及び他の条件に耐性のある他の材料で複合化され得る。そのようなマトリックス材料は、活性及び不活性材料ならびに合成または自然発生のゼオライトならびに粘土、シリカ、及び金属酸化物等の無機材料を含む。そのような材料及びそれらが使用され得る方法の例は、米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号に開示される。
【0031】
分子ふるいの特徴付け
本明細書に記載されるプロセスによって合成される分子ふるいは、合成したままかつその無水状態で、表2(モル比換算で)に記載されるような組成を有し、

ここで、組成変数Q及びMは、本明細書に上述される通りである。
【0032】
本明細書に開示されたプロセスによって製造された分子ふるいは、それらのXRDパターンによって特徴付けられる。表3の粉末XRDパターン線は、本開示に従って製造された合成したままのSSZ−102を表す。粉末XRDパターンにおける微量の変動は、格子定数の変化に起因して、特定の試料の骨格種のモル比が変動することから生じ得る。加えて、十分に小さい結晶は、ピークの形及び強度に影響し、顕著なピークの広幅化(broadening:ブロードニング)をもたらすことになる。粉末XRDパターンにおける微量の変動はまた、分子ふるいの調製において使用される有機化合物における変動からも生じ得る。か焼はまた、粉末XRDパターンにおける微量の移行も引き起こし得る。これらの微量の摂動にもかかわらず、基本的な結晶格子構造は、変化されず維持される。
【0033】
表4のX線回折線は、本開示に従って製造された、か焼されたSSZ−102を表す。
【0034】
本明細書に提示された粉末XRDパターンは、標準的な技術によって収集された。放射線は、CuKα放射線であった。ピーク高さ及び位置を、2θがブラッグ角である2θの関数として、ピークの相対強度から読み取り、記録された線に対応する面間隔dが計算され得る。
【0035】
SSZ−102を使用するプロセス
SSZ−102は、ガス分離のための吸着剤として有用である。SSZ−102はまた、含酸素添加剤(例えば、メタノール)をオレフィンに転化し、小さいアミンを製造するための触媒としても使用され得る。SSZ−102は、自動車の排出ガス等のガス流中の窒素酸化物を低減するために使用され得る。SSZ−102はまた、燃焼機関汚染制御システムにおけるコールドスタート時の炭化水素トラップとしても使用され得る。SSZ−102は、Cフラグメントを捕捉するために特に有用である。
【実施例】
【0036】
以下の例示的な実施例は、非限定的であるよう意図される。
【0037】
例1
0.45gの50%NaOH溶液、2.28gの脱イオン水、及び0.50gのCBV720Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=30)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、1.08gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、135℃で4日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0038】
結果として生じる分子ふるい生成物を、粉末XRD及びSEMによって分析した。結果として生じる粉末XRDパターンを図1に示し、生成物が、純粋なESV骨格型分子ふるいであることを示す。図2は、生成物のSEM画像であり、結晶の均一な領域を示す。
【0039】
生成物は、ICP元素分析によって測定した際、7.67のSiO/Alモル比を有した。
【0040】
例2
0.87gの50%NaOH溶液、6.87gの脱イオン水、及び1.00gのCBV720Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=30)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、2.18gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、150℃で4日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0041】
この調製の生成物は、粉末XRD分析によって純粋なESV骨格型分子ふるいであると同定された。
【0042】
生成物は、ICP元素分析によって測定した際、8.74のSiO/Alモル比を有した。
【0043】
例3
0.50gの50%NaOH溶液、4.50gの脱イオン水、及び0.50gのCBV720Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=30)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、1.10gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、135℃で4日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0044】
この調製の生成物は、粉末XRD分析によって純粋なESV骨格型分子ふるいであると同定された。
【0045】
生成物は、ICP元素分析によって測定した際、8.21のSiO/Alモル比を有した。
【0046】
例4
0.40gの50%NaOH溶液、1.05gの脱イオン水、及び0.51gのCBV720Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=30)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、1.09gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、135℃で4日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0047】
この調製の生成物は、粉末XRD分析によって純粋なESV骨格型分子ふるいであると同定された。
【0048】
生成物は、ICP元素分析によって測定した際、8.03のSiO/Alモル比を有した。
【0049】
例5
0.51gの50%NaOH溶液、2.25gの脱イオン水、及び0.50gのCBV720Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=30)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、1.09gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、135℃で4日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0050】
この調製の生成物は、粉末XRD分析によってESV骨格型分子ふるい及び少量のANA骨格型分子ふるいの混合物であると同定された。
【0051】
例6
1.90gの50%NaOH溶液、5.14gの脱イオン水、及び5.00gのLZ−210Y−ゼオライト粉末(SiO/Alモル比=13)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、14.89gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。最後に、6.11gの38.5%ケイ酸ナトリウム溶液を、混合物に添加し、ゲルを均一になるまで撹拌した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、150℃で6日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0052】
この調製の生成物は、粉末XRD分析によってESV骨格型分子ふるい及びANA骨格型分子ふるいの混合物であると同定された。
【0053】
例7
0.38gの50%NaOH溶液、2.02gの脱イオン水、及び0.51gのCBV720Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=30)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、1.45gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、135℃で4日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0054】
この調製の生成物は、粉末XRD分析によってESV骨格型分子ふるい及び少量のLEV骨格型分子ふるいの混合物であると同定された。
【0055】
例8
2.39gの50%NaOH溶液、6.78gの脱イオン水、及び4.00gのLZ−210Y−ゼオライト粉末(SiO/Alモル比=13)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、11.17gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。最後に、8.37gの38.5%ケイ酸ナトリウム溶液を、混合物に添加し、ゲルを均一になるまで撹拌した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、150℃で7日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0056】
この調製の生成物は、粉末XRD分析によってESV骨格型分子ふるい及びLEV骨格型分子ふるいの混合物であると同定された。
【0057】
例9
1.45gの50%NaOH溶液、2.46gの脱イオン水、及び0.49gの50%アルミニウム水酸化物溶液(Barcroft(商標)USP 0250)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。その後、5.55gの19%ジメチルDABCO水酸化物溶液を、混合物に添加した。最後に、6.00gのコロイダルシリカ(LUDOX(登録商標)AS−40)を、混合物に添加し、ゲルを均一になるまで撹拌した。その後、テフロンライナーを封じ、スチールParrオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、対流式オーブン内のスピットに置き、170℃で7日間加熱した。オートクレーブを取り外し、室温まで冷却させた。その後、固体を濾過によって回収し、脱イオン水で十分に洗浄し、95℃で乾燥した。
【0058】
この調製の生成物は、粉末XRD分析によってESV骨格型分子ふるい、ANA骨格型分子ふるい、及びMOR骨格型分子ふるいの混合物であると同定された。
【0059】
例10
SSZ−102のか焼
例1の合成したままの分子ふるい生成物を、空気流において1℃/分の速度で540℃まで加熱するマッフル炉内でか焼し、540℃で5時間保持し、冷却し、その後、粉末XRDによって分析した。
【0060】
図3は、上部が例10で調製されたか焼されたSSZ−102であり、下部が例1で調製された合成したままのSSZ−102である、2つのX線回折パターンの比較を示す。粉末XRDパターンは、材料が、有機SDAを除去するためにか焼された後も安定なままであることを意味する。
【0061】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的について、別途示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、百分率または比率、及び他の数値を表す全ての数は、全ての場合おいて、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、そうでないことが示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、得ようとする望ましい特性に応じて変化し得る近似値である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるような単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「前記(the)」は、明確かつ一義的に1つの参照対象に限定されない限り、複数の参照を含むことに留意されたい。本明細書で使用される場合、用語「含む(include)」及びその文法的変形は、リスト内の項目群の記述が、リストされた項目群に置換または追加され得る他の類似項目群を排除しないように、非限定的であるよう意図される。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、その用語に続いて明記される要素またはステップを含むことを意味するが、そのような要素またはステップは網羅的ではなく、実施形態は、他の要素またはステップを含み得る。
【0062】
別途明記されない限り、個々の成分または複数成分の混合物が選択され得る、要素、材料、または他の成分の属の記述は、リストされた成分群及びそれらの混合物の全ての可能な下位の属の組み合わせを含むよう意図される。
【0063】
特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが、特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構成要素を有する場合か、または特許請求の範囲の文字通りの文言と実質的でない相違を有する等価な構成要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。本明細書と矛盾しない限度において、本明細書で言及される全ての引用は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおりである。
[1].
ESV骨格トポロジーを有し、5〜12のSiO/Alモル比を有する結晶性分子ふるいであって、そのか焼形態で、実質的に以下の表に示されるようなX線回折パターンを有する、結晶性分子ふるい。

[2].
5〜10のSiO/Alモル比を有する、上記[1]項に記載の分子ふるい。
[3].
ESV骨格トポロジーを有し、合成したまま及びその無水状態で、モル比換算で、以下のような組成を有する、結晶性分子ふるいであって、

Qは、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンであり、Mは、周期表の1族及び2族の元素から成る群から選択される、結晶性分子ふるい。
[4].
前記分子ふるいは、合成したまま及びその無水状態で、モル比換算で、以下のような組成を有する、上記[3]項に記載の分子ふるい。

[5].
ESV骨格トポロジーを有する結晶性分子ふるいを調製するための方法であって、
(a)以下を含有する反応混合物を調製すること、
(1)ケイ素の少なくとも1つの供給源、
(2)アルミニウムの少なくとも1つの供給源、
(3)前記周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1つの供給源、
(4)水酸化物イオン、
(5)N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオン、及び
(6)水、
ならびに、
(b)前記反応混合物を、前記分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること
を含む、上記方法。
[6].
前記分子ふるいは、モル比換算で、以下を含む反応混合物から調製され、

Mは、周期表の1族及び2族の元素から成る群から選択され、Qは、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンである、上記[5]項に記載の方法。
[7].
前記分子ふるいは、モル比換算で、以下を含む反応混合物から調製され、

Mは、周期表の1族及び2族の元素から成る群から選択され、Qは、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンジカチオンである、上記[5]項に記載の方法。
図1
図2
図3