特許第6383883号(P6383883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383883メチルベンジルアルコールの酸化からプロピレンオキシドを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383883
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】メチルベンジルアルコールの酸化からプロピレンオキシドを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 301/12 20060101AFI20180820BHJP
   C07D 303/04 20060101ALI20180820BHJP
   B01J 29/89 20060101ALN20180820BHJP
   B01J 29/44 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
   C07D301/12
   C07D303/04
   !B01J29/89 Z
   !B01J29/44 Z
【請求項の数】15
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-551160(P2017-551160)
(86)(22)【出願日】2016年4月7日
(65)【公表番号】特表2018-513851(P2018-513851A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】US2016026468
(87)【国際公開番号】WO2016164595
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2017年11月6日
(31)【優先権主張番号】62/145,308
(32)【優先日】2015年4月9日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513074862
【氏名又は名称】ライオンデル ケミカル テクノロジー、エル.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヴ・エイ・ダン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・ダブリュ・レイション
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ・ナギー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・エイ・グレイ
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−009593(JP,A)
【文献】 特開2001−048872(JP,A)
【文献】 特表2013−511519(JP,A)
【文献】 特開2007−063256(JP,A)
【文献】 特表2004−525073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 301/00
C07D 303/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンオキシドの製造方法であって、
(a)アルファ−メチルベンジルアルコールを空気で酸化させて過酸化水素及びアセトフェノンを含む第1反応混合物を形成し;
(b)TiMWW触媒の存在下でプロピレンを前記第1反応混合物と反応させてプロピレンオキシドを含む第2反応混合物を形成し;
(c)前記第2反応混合物からプロピレンオキシドを分離して第3反応混合物を形成し;
(d)前記第3反応混合物を加熱して過酸化水素を分解することにより、第4反応混合物を形成し;
(e)前記第4反応混合物中、アセトフェノンを水素により水素化してアルファ−メチルベンジルアルコールを含む第5反応混合物を形成し;及び
(f)前記第5反応混合物からアルファ−メチルベンジルアルコールを分離し、前記アルファ−メチルベンジルアルコールを段階(a)へ返送させ
前記段階(b)では、さらに溶媒が使用され、当該溶媒はアルファ−メチルベンジルアルコール及びアセトフェノンまたはt−ブチルアルコールであり、前記段階(b)では、さらに緩衝剤の存在下におけるエポキシ化反応が行われ、当該緩衝剤はアンモニウムアセテート、アンモニウムホスフェート、またはアンモニウムジヒドロゲンホスフェートであることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
アルファ−メチルベンジルアルコール対段階(a)の空気中の酸素のモル比が1:1〜10:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階(a)の酸化反応が100℃〜160℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
iMWW触媒層状TiMWW触媒である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
段階(b)でプロピレン対過酸化水素のモル比が3:1〜10:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
段階(b)が20℃〜150℃の温度及び80psig〜800psigの圧力で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
段階(b)がアルファ−メチルベンジルアルコール対アセトフェノン対過酸化水素対水の96:1:2.9:0.1〜44:44:11.7:0.3の比率を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
段階(c)の分離が第2反応混合物からプロピレンオキシドを蒸留させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
段階(d)が150℃〜200℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
段階(e)でアセトフェノン対水素のモル比が1:4〜10:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
段階(e)で60℃〜100℃の温度及び250psig〜500psigの圧力で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
段階(f)の分離が第5反応混合物からアルファ−メチルベンジルアルコールを蒸留させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
塩基で第5反応混合物を洗浄することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
塩基が0.1重量%〜25重量%の濃度を有する水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水性溶液である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
水素化触媒の存在下でアルファ−メチルベンジルアルコールの分離後、第5反応混合物を水素と反応させて第6反応混合物を形成し、少なくとも第6反応混合物からのアルファ−メチルベンジルを段階(a)へ返送させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は2015年4月9日付で出願された米国仮出願62/145,308号に対する優先権の利益を主張し、特許協力条約に基づいて出願され、その全文は本願に参考として含まれる。
【0002】
本発明は、オレフィンのエポキシ化のための新規な方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プロピレンオキシドは無色の揮発性液体であり、大規模に産業的に製造される。この主要用途には、ポリウレタンプラスチックを作るのに用いるためのポリエステルポリオールの製造が含まれる。一般的に、プロピレンオキシドの製造のために三つの主要商業的工程がある。一番面の工程はクロロヒドリン技術を基盤とする(反応式1)。二番目はヒドロペルオキシドでプロピレンをエポキシ化させることを利用する。三番目はプロピレンをエポキシ化するために過酸化水素を利用する。
【0004】
反応式1. プロピレンオキシドに対するクロロヒドリン工程
【0005】
【化1】
【0006】
プロピレンのヒドロペルオキシドエポキシ化は、分離された以前の段階でそれぞれエチルベンゼンヒドロペルオキシドまたはtert−ブチルヒドロペルオキシドを生成するためにエチルベンゼンまたはイソブタンの空気酸化を必要とし、これはその後、触媒(例えば、可溶性モリブデン担持チタン)の存在下でプロピレンと反応してプロピレンオキシドと副産物としてアルファ−メチルベンゼンアルコール(1−エチルフェニルアルコールまたはMBA)及びt−ブチルアルコールをそれぞれ生成する(反応式2)。
【0007】
反応式2.プロピレンのヒドロペルオキシドエポキシ化
【0008】
【化2】
【0009】
クメンヒドロペルオキシドを通じたプロピレンの酸化は、住友(Sumitomo)化学により商業化された。この工程はまた、ヒドロペルオキシド系である。クメンヒドロペルオキシドは、分離段階で予備―生成され(クメンの自動酸化)、これは、エポキシ化から生成された副産物クミルアルコールが水素化分解を通してクメンに再転換されることを除き、前述のエチルベンゼン及びイソブタン酸化と同一である。
【0010】
反応式3.クメンPO工程
【0011】
【化3】
【0012】
過酸化水素を利用するにおいて、バスフ(BASF)及びダウ(Dow)化学は、2009年チタンシリケート触媒(TS1)を用いるメタノール溶液中の水性過酸化水素を利用してプロピレンを酸化させることにより、プロピレンオキシドを生成するための方法を開発した。
【0013】
1990年代に、副産物としてのアセトフェノンの形成を含む、アルファ−メチルベンジルアルコール(1−フェニルエチルアルコールまたはMBA)の酸化を通じたHの生成のための方法はLyondell化学会社により開発された。その当時は、過酸化水素でプロピレンをエポキシ化するにおいて優れた触媒が存在しなかった。その後、TS1がHを利用するプロピレンのエポキシ化のために効果的な触媒であることが明らかになったが、メタノール溶媒が効果的であることを必要とした。メタノールが小分子であるため、これはプロピレンオキシドと反応して、1−メトキシ−2−プロパノールまたは2−メトキシ−1−プロパノールのような、好ましくない開環副産物を生成する。また、殆どの場合に共溶媒として用いられる水もプロピレンオキシドと反応して副産物としてプロピレングリコールを生成する。両方の場合、開環副反応が発生するため、プロピレンオキシドの収率は減少する。
【発明の概要】
【0014】
本発明の一態様において、プロピレンオキシドを製造する方法であって、
(a)アルファ−メチルベンジルアルコールを空気で酸化させて過酸化水素及びアセトフェノンを含む第1反応混合物を形成し;
(b)触媒の存在下でプロピレンオキシドを前記第1反応混合物と反応させてプロピレンオキシ
ドを含む第2反応混合物を形成し;
(c)第2反応混合物からプロピレンを分離して前記第3反応混合物を形成し;
(d)前記第3反応混合物を加熱して過酸化水素を分解することにより、第4反応混合
物を形成し;
(e)前記第4反応混合物中、アセトフェノンを水素により水素化させてアルファ−メチルベンジルアルコールを含む第5反応混合物を形成し;及び
(f)前記第5反応混合物からアルファ−メチルベンジルアルコールを分離し、前記アルファ−メチルベンジルアルコールを段階(a)へ返送させることを含む方法を提供する。
【0015】
一部の実施形態において、段階(a)の空気中の酸素に対するアルファ−メチルベンジルアルコールのモル比は1:1〜10:1である。一部の実施形態において、段階(a)の酸化反応は100℃〜160℃の温度で行われる。一部の実施形態において、触媒はゼオライト触媒上のチタン担体である。一部の実施形態において、ゼオライト触媒上のチタン担体はTiMWW触媒または層状TiMWW触媒である。一部の実施形態において、段階(b)で過酸化水素対プロピレンのモル比は3:1〜10:1である。一部の実施形態において、段階(b)は20℃〜150℃の温度で行われる。一部の実施形態において、段階(b)は80psig(653kPa)〜800psig(5,617kPa)の圧力で行われる。一部の実施形態において、段階(b)は溶媒をさらに含む。一部の実施形態において、溶媒はアルファ−メチルベンジルアルコール及びアセトフェノンまたはt−ブチルアルコールである。一部の実施形態において、段階(b)はアルコール対ケトン対過酸化水素対水の96:1:2.9:0.1〜44:44:11.7:0.3の重量比を含む。一部の実施形態において、段階(b)は、さらに緩衝剤の存在下でエポキシ化反応を行うことを含む。一部の実施形態において、緩衝剤はアンモニウムアセテート、アンモニウムホスフェート、またはアンモニウムジヒドロゲンホスフェートである。一部の実施形態において、段階(c)の分離は第2反応混合物からプロピレンオキシドを蒸留させることを含む。一部の実施形態において、蒸留は40℃〜170℃の温度で行われる。一部の実施形態において、段階(d)は150℃〜200℃の温度で行われる。一部の実施形態において、段階(e)でアセトフェノン対水素の分子比は1:4〜10:1である。一部の実施形態において、段階(e)は60℃〜100℃の温度で行われる。一部の実施形態において、段階(e)は250psig(1,825kPa)〜500psig(3,548kPa)の圧力で行われる。一部の実施形態において、段階(f)の分離は第5反応混合物からアルファ−メチルベンジルアルコールを蒸留させることを含む。一部の実施形態において、蒸留は50℃〜150℃の温度で行われる。一部の実施形態において、方法はさらに塩基で第5反応混合物を洗浄することを含む。一部の実施形態において、塩基は0.1重量%〜25重量%の濃度を有する水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水性溶液である。一部の実施形態において、方法は、さらに水素化触媒の存在下でアルファ−メチルベンジルアルコールの分離後、第5反応混合物と水素を反応させて第6反応混合物を形成し、第6反応混合物から段階(a)へ少なくともアルファ−メチルベンジルアルコールを返送させることを含む。

【0016】
発明の他の目的、特徴及び長所は以下の詳細な説明により明らかになれる。しかし、たとえ特定の実施形態を示しているものの、添付の特許請求の範囲の精神及び観点内で様々な変化及び変更が、このような詳細な説明により本発明が属する技術分野における者には明らかとなれるため、詳細な説明及び特定の実施例は単なる例示的な目的として提供される。単に特定の化合物が一つの特定の一般式で記述されるということが、また他の一般式に属することができないことを意味するものでないということに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
下記の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の様態をさらに立証するために含まれる。本明細書に提示された実施形態は、詳細な説明と共に、これらの図面の中の一つを参考すればより容易に理解することができる。
【0018】
図1図1はエポキシ化工程の一般的な概要を提供する。付随的な段階は点線矢印を通じて図面に連結される。
図2図2は反応器セットアップのための例示的な工程の設置フローチャートを示す。
図3図3はTiMWW触媒(3D Ti−MWW)、非酸洗浄された層状TiMWW触媒(層状TiMWW−NAW)、及び酸で洗浄された層状TiMWW触媒(層状TiMWW−AW)を含むチタンMWW触媒のXRDスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一部の様態において、本発明は、空気を利用したアルコールの酸化により生成される酸化剤を用いてオレフィンを酸化させることを含むエポキシドの製造方法を提供し、それにより反応ループ(loop)でアルコールが再生され、その後、再利用される。本発明の一態様において、プロピレンオキシドの製造方法であって、
(a)アルファ−メチルベンジルアルコールを空気で酸化させて過酸化水素及びアセトフェノンを含む第1反応混合物を形成し;
(b)触媒の存在下でプロピレンを前記第1反応混合物と反応させてプロピレンオキシドを含む第2反応混合物を形成し;
(c)前記第2反応混合物からプロピレンを分離して第3反応混合物を形成し;
(d)前記第3反応混合物を加熱して過酸化水素を分解することにより、第4反応混合物を形成し;
(e)前記第4反応混合物中、アセトフェノンを水素を利用して水素化してアルファ−メチルベンジルアルコールを含む第5反応混合物を形成し;及び
(f)前記第5反応混合物からアルファ−メチルベンジルアルコールを分離し、前記アルファ−メチルベンジルアルコールを段階(a)へ返送させることを含む方法を提供する。
【0020】
一部の様態において、本発明は、本明細書に記述された一つ以上の段階に関する。一部の実施形態において、各段階は個別的に取られるか、または段階が共に取られて完全な工程を形成することができる。また、一部の実施形態において、本明細書に提供された方法は、一つ以上の追加段階、例えば、塩で第5反応混合物を洗浄するか、またはアルファ−メチルベンジルアルコールの分離後、第5反応混合物と水素及び水素化触媒を反応させて第6反応混合物を形成してビス−アルファ−メチルベンジルエーテルのような他の副産物を分解してより多くのアルファ−メチルベンジルアルコールを形成することをさらに含むことができる。一部の実施形態において、第6反応混合物は段階(a)の反応へ返送させる。
【0021】
完全な反応工程の非制限的な例に相応する実施形態は、図1に示される。一部の様態において、本発明は、スチレン及びメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)のような共産物(co−product)を除去し、bis−アルファ−メチルベンジルエーテル(BAMBE)のような副産物及びグリコールのような開環産物を最小化するエポキシドを製造する方法を提示する。一部の実施形態において、反応工程はまたメタノールのような追加溶媒を使用することなく行えるが、これは、より少ない反応副産物を生成する。
【0022】
I. 一般エポキシ化工程
一部の様態において、本発明はアルケンからエポキシドを製造する方法を提供する。一部の実施形態において、アルケンはプロピレンであり、生成されたエポキシドはプロピレンオキシドである。本方法は、図1に示したように説明される。一部の実施形態において、方法は施設で反応器方式に適用されることができる。他の実施形態において、方法は単一反応容器で適用されることができる。図2は、エポキシ化方法と共に使用するために適用され得るフローチャートにおいて可能な反応器方式の一例を示す。反応器Aで、空気がフィードライン(feed line)1を通じて導入されてアルファ−メチルベンジルアルコールを酸化させて過酸化水素及びアセトフェノンを形成する。Aからの反応混合物は2を通じて、フィードライン3を通じて導入された触媒及びアルケンを含む、エポキシ化反応器B内へ移動される。エポキシ化反応器Bからの生成物は4を通じて蒸留塔Cへ移動されるが、ここで、エポキシドが出口5を通じて反応から除去される。残余物質は6を通じて熱処理反応器Dへ移動されるが、ここで、非反応過酸化水素が熱的に分解される。反応混合物は7を通じて移動される。アルファ−メチルベンジルアルコール及びアセトフェノンアルコールは16を通じて水素化反応器E1へ添加される。水素ガスがフィードライン8を通じて反応器へ添加される。反応混合物の水素化の後、反応混合物を腐食性処理E2のために9を通じて移動される。腐食剤を添加し、水性洗浄剤が10を通じて反応器から除去される。反応混合物は、ライン11を通じて蒸留塔G内へ移動され、エチルベンゼンは分離されてライン17を通じて反応混合物へ供給されて、フィードライン7を通じて移動させる。アルファ−メチルベンジルアルコールは反応混合物から分離され、フィードライン13を通じて空気酸化反応器Aへ返送される。蒸留Gからの残余重質(heavy)物質はフィードライン12を通じて移動され、第2水素化反応器Hへ添加される。水素ガスがライン15を通じて反応器へ添加される。追加のアルファ−メチルベンジルアルコールを含む生成された混合物は14を通じて反応器から空気酸化反応器A内へ移動される。
【0023】
II. エポキシ化工程の段階の概要
A. 過酸化水素を形成するためのアルコールの酸化
本発明の一部の様態において、エポキシ化工程の第1段階は空気とアルコールを反応させてペルオキシドを生成させることを含む。一部の態様において、第1段階は、空気の存在下でアルファ−メチルベンジルアルコールを酸化させてアセトフェノン及び過酸化水素を形成する段階を含む。この非可逆的反応は反応式4に示す。
【0024】
反応式4:アルファ−メチルベンジルアルコールの酸化
【0025】
【化4】
【0026】
アルファ−メチルベンジルアルコールが1%未満の水、10ppm未満のフェノール及び約1%のエチルベンゼンを含むようにアルファ−メチルベンジルアルコールが反応器内の原料供給装置に提供されることができる。アルファ−メチルベンジルアルコールに対し、空気または他の酸素の供給源が一部の態様において反応器へ提供される。生成された過酸化水素の反応性のため、添加剤が反応混合物に添加されることができる。一部の様態において、添加剤は、ピロリン酸ナトリウム、他の金属ピロホスフェート、例えば、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸リチウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ベリリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウムまたはスズ酸塩、または他の塩基性キレート化剤であり得る。理論に拘束されることなく、添加剤の添加はまたH分解を減少させ、bis−アルファ−メチル−ベンジルエーテル(BAMBE)のような好ましくない副産物の生成を制限することにより、工程の選択率を改善させることができる。一部の様態において、アルコールの酸化は、特に特定の条件下で行われる。反応は約100℃〜約160℃の温度で反応を加熱させることを含む。一部の実施形態において、反応の温度は約120℃〜約140℃である。反応はまた約2psig〜150psig(115kPa〜1,135kPa)の反応を含む。一部の実施形態において、反応の圧力は約20psig〜100psig(240kPa〜790kPa)である。また、反応は約0.16hr−1〜約0.5hr−1の液体時空間速度(LHSV)を含むことができるか、または約2〜約6時間の液体滞留時間を有する。一部の実施形態において、LHSVは約0.25hr−1であるか、または液体滞留時間は約4時間である。最終的に、酸化中の空気は反応中に何度も添加されることができる。一部の実施形態において、空気は反応に1、2、3、4、5、6、7、または8回、あるいはこのような多くの異なる時点で添加されることができる。一部の実施形態において、空気は反応に2、3、または4回、あるいはこのような多くの異なる時点で添加されることができる。一部の実施形態において、空気は反応へ3回または3つの異なる時点で添加される。
【0027】
一部の様態において、酸化反応はアセトフェノン及び過酸化水素の生成をもたらす。一部の実施形態において、反応はアルファ−メチルベンジルアルコールをアセトフェノンに約10%〜約50%の転換率で転換させる。アルファ−メチルベンジルアルコールの転換は最終反応混合物からアルファ−メチルベンジルアルコールの消失により測定される。同様に、酸素の転換は反応混合物から酸素の消失により測定される。酸素転換の選択率は酸素の消費量と比較して生成された不純物に対して測定される。同様に、MBA選択率は、アルファ−メチルベンジルアルコールの消費量と比較して生成された不純物に対して測定される。一部の実施形態において、80%超過のアルファ−メチルベンジルアルコールがアセトフェノン及び過酸化水素に転換される。一部の実施形態において、95%超過のアルファ−メチルベンジルアルコールがアセトフェノン及び過酸化水素に転換される。空気中空気中酸素の転換は80%超過で発生する。一部の実施形態において、酸素の転換は90%超過である。一部の実施形態において、反応の副産物はフェノール及びbis−アルファ−メチルベンジルエーテル(BAMBE)を含む。一部の実施形態において、反応は2%未満のこれらの副産物の一つを生成する。一部の実施形態において、反応は約1%BAMBEを生成する。一部の実施形態において、反応は約1%未満のフェノールを生成する。一部の実施形態において、80%超過の酸素が過酸化水素に転換される。一部の実施形態において、残余酸素の約40%〜約80%が水に転換される。一部の実施形態において、銃酸素の約14%が水に転換される。
【0028】
エポキシ化段階で酸化剤は、イソプロパノールのようなアルコールの酸化を通じて生成可能な過酸化水素であることがまた想定される。過酸化水素はエポキシ化反応に添加される前に生成されることができ、または過酸化水素は原位置(in situ)で生成されることができる。一部の実施形態において、過酸化水素はまたアントラキノン工程を通じて、または水素及び酸素の直接的な変換により生成されて過酸化水素を形成することができる。一部の実施形態において、過酸化水素の濃度は水中で過酸化水素の約0.1重量%〜約90重量%である。特定の実施形態において、過酸化水素の濃度は約1〜10重量%過酸化水素である。 更なる実施形態において、過酸化水素は遷移金属触媒を利用して酸素及び水素供給源の反応を通じて生成される。一部の実施形態において、水素及び酸素供給源はそれぞれ水素分子及び酸素分子である。
【0029】
B. アルケンのエポキシ化
本発明の一部の様態において、反応の第2段階はアルケン及び触媒を利用してAから粗反応物を移動させてエポキシドを形成することを含む。一部の実施形態において、アルケンは2個〜30個の炭素原子を有するアルケンである。アルケンはまた、本明細書に記述されたように置換されることができる。一つ以上の二重結合を有するアルケンはまた、記述された方法で用いられることができる。一部の実施形態において、本方法はプロピレンをプロピレンオキシドに転換させることに関するものである。一部の非制限的な実施形態において、本発明のアルケンは、これに制限されるものではないが、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、またはデセンを含む。一部の実施形態において、相応するエポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、ヘプテンオキシド、オクテンオキシド、ノネンオキシドまたはデセンオキシドのように、それぞれこれらの反応に対して生成される。一部の様態において、反応混合物は非酸化アルコール、酸化アルコール及び酸化剤を含むことができる。一部の実施形態において、第1段階で存在するアルコールは、アルファ−メチルベンジルアルコール(1−フェニルエチルアルコール)、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール及び/またはtert−ブチルアルコールであり得る。さらに、反応混合物はまたアセトン、アセトフェノンまたはシクロヘキサンのようなケトンを含むことができる。エポキシ化反応は、液相、非臨界または超臨界の形態の液体CO、アルコール、エステル、エーテル、及びケトンを含む酸化した炭化水素、ニトリル、芳香族または脂肪族炭化水素、水及び/またはこれらの組み合わせ中で行われることができる。工程中に利用された特定の溶媒はニトリル、アルコール及びケトンを含むことができる。一部の実施形態において、エポキシ化反応は水及び有機溶媒の混合物を含む。また、アルファ−メチルベンジルアルコール(1−フェニルエチルアルコール)、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、アセトニトリル、グリム、ジメチルエチレングリコールエーテル、ジオキサン、トリオキサン、アセトフェノン、アセトン及び/またはシクロヘキサノンが本発明の一部の実施形態において溶媒として用いられる。追加の溶媒は、その全文が本明細書に参考として含まれる米国特許第8,124,555号に記述される。また、エポキシ化段階で用いられた酸化剤は、これに制限されるものではないが、メチルベンジルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、シクロヘキシルヒドロペルオキシド及びクミルヒドロペルオキシドのような過酸化水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及びアラルキルヒドロペルオキシドを含む。
【0030】
本発明の一部の様態において、エポキシ化反応はさらに触媒を含む。一部の実施形態において、触媒はチタンが固体担体上に含浸されたチタン触媒である。チタン触媒はTiMWWまたは層状TiMWWであって、ここで、チタンはアルミノシリケートMWWゼオライト内に含浸される。一部の実施形態において、TiMWW触媒は、図3に示したようなXRDスペクトルを有する。TiMWW触媒の製造方法は本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に知られている。一部の様態において、製造は、例えば、米国特許第6,759,540号;Wu,et al.,2001;及び米国特許第8,124,555号及び第8,440,846号に教示されている。チタンMWWゼオライト触媒は、主にチタン、シリコン及び酸素を含むが、触媒はまたホウ素及び/または少量の鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、銅または他の類似元素を含むことができる。TiMWWの型板への後処理は層状TiMWW−NAWを収得する。TiMWW−NAWは、またホウ酸のような結晶化剤の存在下でシリカ、テトラブチルオルトチタネート及び型板の水熱合成を通じて製造されることができる。がその後、層状Ti−MWW−AWが層状Ti−MWW−NAWのHNOまたはHSO溶液への還流により収得されることができる。ホウ素が触媒活性に有害であるため、触媒のこのような処理が追加のホウ素を除去するため層状TiMWW触媒の合成のための後処理方法がよく用いられる。
【0031】
このようなチタンMWWゼオライト触媒は実験式xTiO・(1−x)SiOを有することができるが、ここで、xは約0.0001〜約0.5の数字である。一部の実施形態において、xは約0.01〜約0.125である。他の実施形態において、Si:Tiの比率は約9.5:1〜約99:1の範囲である。一部の実施形態において、前記比率は約9.5:1〜約60:1であり得る。特定の実施形態において、チタンの豊富なMWW触媒が好ましいと想定される。
【0032】
本発明で記述されるエポキシ化工程は、粉末または大粒子の大きさの固体触媒を用いることができる。一部の実施形態において、ゼオライト触媒は粉末状であり得るが、またゼオライト触媒が噴霧乾燥されたり、ペレット化されたり、または押出される場合に用いられることができることが考慮される。さらに、ゼオライト触媒はまた触媒が特定の所定の形態に成形されるか、噴霧乾燥されるか、鋳造されるか、または押出される前にバインダーをさらに含むことができる。また、一部の実施形態において触媒は懸濁液または固定床(fixed−bed)の形態であり得る。
【0033】
他の実施形態において、層状TiMWW触媒がアルケンをエポキシ化するのに用いられる。層状TiMWW触媒は型板と共に用いられて触媒を製造することができる。一部の実施形態において使用可能な一部の鋳型剤は、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン及び/またはアダマンチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘプチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドまたはトリメチルアダマンチルアンモニウムヒドロキシドである。一部の実施形態において、鋳型剤はヘキサメチレンイミンまたはピペリジンである。一つの実施形態において、鋳型剤はピペリジンである。TiMWW触媒と鋳型剤の反応後、一部の実施形態において、触媒は酸で洗浄される。一部の様態において、触媒を洗浄可能な酸には、硝酸、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸または塩化アンモニウムが含まれる。一部の実施形態において、TiMWW触媒及び層状TiMWW触媒は図3に示したようなXRDスペクトルを有する。
【0034】
また、一部の実施形態において、反応混合物はさらに緩衝剤を含む。理論に拘束されることなく、緩衝剤の追加は触媒活性を増加させ、開環副産物を減少させるか、または触媒特異性を増加させることにおいてメリットがあると考えられる。一部の実施形態において、緩衝溶液のpHは約3〜約12である。更なる実施形態において、溶液のpHは約4〜約10であり、更なる実施形態において、pHは約5〜約9である。緩衝剤はカチオン及びアニオンで構成される。一部の様態において、カチオンには、アンモニウム、アルキルアンモニウム、例えば、テトラアルキルアンモニウムまたはピリジニウム塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が含まれる。緩衝剤内に使用可能なカチオンの一部の非制限的な例は、NH、NMe、NBu、Li、Na、K、Mg++、CsまたはCa++を含む。また、一部の実施形態において、アニオンは、ホスフェート、カルボナート、ビカルボナート、カルボキシレート、例えば、アセテート、フタレート、オキサレート、またはクエン酸塩、ボレート、ヒドロキシド、シリケートまたはアルミノシリケートを含む。緩衝剤の一部の潜在的な添加剤は、アンモニウムアセテート、アンモニウムベンゾエート、ソジウムアセテート、ソジウムベンゾエート、アンモニウムジヒドロゲンホスフェート、ソジウムジヒドロゲンホスフェート、ポタシウムアセテート、ポタシウムベンゾエートまたはポタシウムジヒドロゲンホスフェートを含む。一部の実施形態において、エポキシ化段階は、アンモニアまたはアンモニウムヒドロキシドを添加して反応のpHを平衡化させることを含む。一部の実施形態において、緩衝剤は約0.0001M〜約1Mの濃度で反応物内へ添加される。さらに実施形態において、緩衝剤は約0.0005M〜約0.3Mの濃度で反応物内へ添加される。
【0035】
一部の実施形態において、酸化剤とアルケンの反応は約1:100〜約100:1のアルケン対酸化剤のモル比で実施される。更なる実施形態において、モル比は、約1:20〜約20:1、約1:5〜約18:1、約1:1〜約15:1及び約3:1〜約10:1である。理論に拘束されることなく、少なくとも1当量の酸化剤がアルケンを酸化するのに要求されると考えられる。たとえ少なくとも1当量の酸化剤がアルケンと反応するのに要求されるが、一部の実施形態において、一つの物質の1当量以上が反応の収率を向上させるのに用いられる。また、一部の実施形態において、反応は平方インチ当たり約20〜約1200ポンドの圧力下で実施される。更なる実施形態において、反応の圧力は、平方インチ当たり約50〜約1000ポンド、平方インチ当たり約80ポンド〜平方インチ当たり約800ポンド、そして平方インチ当たり約100ポンド〜平方インチ当たり500ポンドである。また、反応の温度は、収率または選択率を改善するように調節される。一部の実施形態において、温度はおよそ周囲温度〜約250℃である。特定の実施形態において、温度は約20℃〜約150℃、約20℃〜約100℃、そして約50℃〜約80℃である。本発明の一部の実施形態において、アルコールとケトンは、無アルコールと約100%ケトン〜約100%アルコールと無ケトンの比率で提供される。一方、過酸化水素対水の重量比は、一部の実施形態において0.1:99.9対90:10である。一部の実施形態において、前記重量比は1:99〜10:90である。一部の実施形態において、Aにおいて酸化からのアルファ−メチルベンジルアルコール対アセトフェノン対過酸化水素対水の重量比は、96:1:2.9:0.1〜44:44:11.7:0.3及び約76:18.9:5:0.1〜54:36:9.7:0.3である。一部の実施形態において、本発明により記述された重量比は64:29:6.3:0.7である。
【0036】
本発明の一部の実施形態において、キャリアガスが用いられる。適切なキャリアガスは反応条件に対して不活性でなければならない。キャリアガスの一部の非制限的な例は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、他の希カス、窒素、二酸化炭素または1個〜8個の炭素原子を有するアルカンを含む。一部の実施形態において、キャリアガスは窒素または1個〜4個の炭素原子を有するアルカンを含む。一部の実施形態において、キャリアガスは2、3またはそれ以上の個別キャリアガスの混合物を含む。さらに、アルケンがプロピレンである場合、キャリアガスはプロパンであり、一部の実施形態において、キャリアガスの添加は特定の時点で調節されるか、添加されなければならない。
【0037】
本発明の一部の実施形態において、方法は反応容器の適切な選択によりバッチ式、連続式、または半連続式工程で用いられる。適切な反応容器は、これに制限されるものではないが、固定床、輸送層、流動層、攪拌スラリーまたはCSTR反応器を含む。
【0038】
一部の実施形態において、反応物質の添加の順序は生成物の高い効率及び選択率を達成することができる。方法の一部の実施形態において、触媒は、本発明のセクションAからの粗混合物に最初に添加される。一部の実施形態において、方法はその後、混合物にアルケンを添加することを含む。最終的に、一部の実施形態において、緩衝剤が反応混合物に付随的に添加される。一部の実施形態において、Aの粗混合物はまた混合物が反応物に添加される前に精製される。
【0039】
TiMWWはメタノールではない溶媒の中で効果的なエポキシ化触媒であることが明らかになった。触媒は、tert−ブタノール(TBA)、アルファ−メチルベンジルアルコールまたはアセトフェノンのような大分子溶媒の中で過酸化水素を利用したプロピレンのエポキシ化に対し、優れた活性及び選択率を有する。大分子溶媒が反応に対する溶媒として用いられる場合、さらに少なく、最少量の開環生成物が形成される。また、少量の緩衝剤の添加は触媒活性及び選択率をさらに改善させる。さらに、ピペリジンまたはピペリジン及び酸洗浄剤へのTiMWWの後処理を通じて製造された層状TiMWWはまた、これらの溶媒の中でプロピレンエポキシ化においてTiMWWに比べてより効果的であることを示している。
【0040】
C. エポキシドの分離
本発明の一部の様態において、反応の第3段階は反応混合物の他の成分からエポキシドを分離することを含む。他の実施形態において、エポキシドは、融点または溶解度のような物理的な特性に基づいて反応混合物から分離される。セクションBで生成されたプロピレンオキシドは蒸留の使用を通じて粗反応混合物から分離されることができる。一部の実施形態において、蒸留は約40℃〜約170℃の温度で行われる。
【0041】
D. ペルオキシドの熱分解
本発明の一部の様態において、反応の第4段階は熱を利用して形成されたペルオキシドを分解することを含む。一部の実施形態において、ペルオキシド分解の方法は熱を利用する。一部の実施形態において、ペルオキシドの分解は反応混合物を約100℃〜約250℃の温度で加熱することを含む。一部の実施形態において、温度は約170℃のように約150℃〜約200℃である。また、熱分解反応は約45分のように、約15分〜約2時間、約30分〜1時間の間持続される。最終的に、ペルオキシドの熱分解は、平方インチ当たり約130ポンドのように平方インチ当たり約50ポンド〜平方インチ当たり約300ポンド、平方インチ当たり約100ポンド〜平方インチ当たり約200ポンド及び平方インチ当たり約125〜約150ポンドの圧力で生じることができる。
【0042】
E. アルファ−メチルベンジルアルコールを形成するためのアセトフェノンの水素化
本発明の一部の様態において、反応の第5段階は、アセトフェノンを還元させてアルファ−メチルベンジルアルコールを形成するために反応混合物を水素化させることを含む。一部の実施形態において、水素化反応は水素化触媒を添加することを含む。潜在的な水素化反応触媒は、パラジウム(Pd)または銅(Cu)中心を有する遷移金属触媒を含むことができる。一部の特異的な遷移金属触媒は、KL7752、銅クロマイト、ニッケル、プラチナ、ルテニウム、ロジウム及びPOSMアセトフェノン水素化触媒を含む。理論に拘束されることなく、アセトフェノンの水素化に対してエチルベンゼンの添加は触媒の水素化活性の効能及び水素ガスの溶解度を改善することができる。さらに、アセトフェノンの水素化はまた反応の副産物を減少させる。一部の実施形態において、水素化の方法は、約85℃のように約50℃〜約120℃及び約70℃〜約100℃の温度で反応混合物を加熱することを含む。一部の実施形態において、水素化の方法は、平方インチ当たり335ポンドのように平方インチ当たり約200ポンド〜平方インチ当たり約500ポンド及び平方インチ当たり約250ポンド〜平方インチ当たり約350ポンドの圧力を含む。
【0043】
本発明の一部の様態において、水素化反応は、約12hr−1のように約10〜約15hr−1の時間当たりの重量空間速度(weighted hourly space velocity)を含む。時間当たりの重量空間速度は、アセトフェノンとアルファ−メチルベンジルアルコールを加えた質量流量を触媒の質量で除算して計算される。反応の間、アセトフェノンの転換は、反応混合物から除去されたアセトフェノンの量に基づいて、90%以上のように75%超過であり得る。アセトフェノンの水素化反応はさらに一部の実施形態において反応混合物にエチルベンゼンを追加することを含む。一部の実施形態において、反応は反応混合物に30%のエチルベンゼンを含むように反応混合物に1%〜約50%のエチルベンゼンを含めることを含む。
【0044】
F. 酸を除去するための水素化した物質の腐食性洗浄
本発明の一部の様態において、反応の第6段階は、反応混合物から酸性物質を除去するために腐食性洗浄剤で水素化物質を洗浄することを含む。腐食性洗浄の間、反応混合物から除去された酸性物質の一部は、酢酸、ギ酸、フェノール、エチルフェノールまたは他の酸性あるいはフェノール系化合物を含むことができる。一部の実施形態において、腐食性洗浄は、約60℃のように約周囲温度〜約100℃及び約40℃〜約80℃の温度で行われる。さらに、洗浄は、一部の様態において圧力下で行われる。一部の実施形態において、反応の圧力は、平方インチ当たり約150ポンドのように、平方インチ当たり約75ポンド〜平方インチ当たり約250ポンド及び平方インチ当たり約125ポンド〜平方インチ当たり約175ポンドである。さらに、理論に拘束されることがなく、酸性及びフェノール性化合物を効果的に除去するための有機物質(有機層)対腐食剤(水性層)の重量比は約4:1を含めて、約1:4〜約8:1及び約1:1〜約6:1であり得る。
【0045】
さらに、反応混合物から酸性物質を効果的に除去するのに必要な腐食性物質の濃度は多様であり得る。一部の実施形態において、腐食性物質の強度は約0.1%〜約5%及び約0.25%〜約1%である。特定の実施形態において、有機物質(有機層)中、エチルベンゼンの濃度は約45重量%である。理論に拘束されることがなく、約45%のエチルベンゼン濃度が二相(例えば、有機層/相及び水性層/相)の間の明確な分離を保障するために必要である。一部の実施形態において、過剰エチルベンゼンはアルコールがAへ返送される前に反応混合物から除去される。一部の実施形態において、エチルベンゼンは蒸留により反応物から除去される。最終の反応物質は100ppm未満のフェノールの濃度を含むことができる。一部の実施形態において、フェノールの濃度は、約10ppm未満のように50ppm未満である。この段階が反応器スケールアップで行われる場合、腐食性連結器は少なくとも4つの平衡ステージを含む逆流流れで行われる。一部の実施形態において、反応器は少なくとも4、5、6、7または8つの平衡ステージを含む。
【0046】
G. 反応混合物からアルファ−メチルベンジルアルコールの回収
本発明の一部の様態において、反応の第7段階は、他の重物質からアルファ−メチルベンジルアルコールを回収することを含む。一部の実施形態において、アルファ−メチルベンジルアルコールは蒸留を通じて反応混合物から回収される。一部の実施形態において、蒸留は約50℃〜約150℃の温度で行われる。
【0047】
H. BAMBEを除去するための重物質の水素化
一部の実施形態において、アルファ−メチルベンジルアルコール(1−フェニルエチルアルコール)の回収は、さらにbis−アルファ−メチルベンジルエーテル(BAMBE)のような蒸留後に残っている他の重物質をロジウム、ルテニウム、パラジウム、Encat 30NP、LK7752、炭素担体基盤パラジウム、アルミナまたは高分子担体を含むが、それらに制限されない水素化触媒と反応させることを含む。一部の実施形態において、反応は水素ガスを添加することを含む。反応はまた、80℃の周囲温度及び平方インチ当たり約1ポンド〜平方インチ当たり約500ポンドの圧力を含むことができる。一部の実施形態において、温度は、約50℃〜約60℃のように、約40℃〜約80℃である。一部の実施形態において、圧力は、平方インチ当たり約100ポンド〜平方インチ当たり約250ポンドを含めて、平方インチ当たり約50ポンド〜平方インチ当たり約300ポンドである。アルファ−メチルベンジルアルコール(1−フェニルエチルアルコール)へのアセトフェノンの転換及びアルファ−メチルベンジルアルコールの回収は、50%超過のように、約1%〜約100%であり得る。一部の実施形態において、転換は80%超過である。一部の実施形態において、水素化は、BAMBE(bis−アルファ−メチルベンジル)を除去するための追加反応を含むことができる。一部の実施形態において、前記反応はBAMBEを水素化させてアルファ−メチルベンジルアルコール及びエチルベンゼンを除去し、再構成する。
【0048】
I. Aへのアルファ−メチルベンジルアルコールの再利用
本発明の一部の様態において、反応は回収されたアルファ−メチルベンゼンアルコールを初期酸化物へ返送することを含む。
【0049】
III.プロセススケールアップ
上の方法は、本発明が属する技術分野における者によって適用されるような工程化学の原理及び技術を利用して、バッチ式または連続式の製造、パイロットまたは大規模生産のために、追加で変形され、最適化することができる。そのような原理及び技術は、例えば、本願に参考として含まれるPractical Process Research & Development(2012)で教示される。
【0050】
IV.定義
化学基という文脈で用いられる場合、「水素」は−Hを意味し;「ヒドロキシ」は−OHを意味し;「オキソ」は=Oを意味し;「カルボニル」は−C(=O)−を意味し;「カルボキシ」は−C(=O)OH(−COOHまたは−COHとも記載される)を意味し;「ハロ」は独立的に−F、−Cl、−Brまたは−Iを意味し;「アミノ」は−NHを意味する。化学基の文脈で用いられる場合、「カルボキシレート」は−C(=O)O−基(C(O)O−または−CO−とも記載される)を含み、分子全体の電荷が負である分子を意味すると、「ハライド」は単一負電荷を有するアニオンとして形成されるハロゲン原子を意味する。本出願で示した構造の原子上の任意の未定義された原子価は含蓄的にその原子に結合された水素原子を示す。
【0051】
化学式の文脈で、記号「−」は単結合を意味し、「=」は二重結合を意味し、「≡」は三重結合を意味する。記号
【0052】
【化5】
【0053】
は選択的結合を示し、これは存在する場合、単一または二重結合である。記号
【0054】
【化6】
【0055】
は単結合または二重結合を示す。したがって、例えば、
【0056】
【化7】
【0057】
このような環原子のいずれも一つ以上の二重結合の一部を構成しないということが本発明が属する技術分野における者に理解される。さらに、共有結合記号「−」は、一つまたは二つの不斉原子を連結する場合、任意の優先する立体化学を示さないということが注目される。代わりに、これは全ての立体異性体と同様に、その混合物を包括する。記号
【0058】
【化8】
【0059】
は、結合を垂直に横切って描かれる場合
【0060】
【化9】
【0061】
基の付着点を示す。付着点は、典型的に読者が付着点を明確に確認することを助けるために、さらに大きい基に対してこのような方式で確認されることが注目される。記号
【0062】
【化10】
【0063】
は、楔の厚い端部に付着された基が「ページの外」に存在する単結合を意味する。記号
【0064】
【化11】
【0065】
は、楔の厚い端部に付着された基が「ページの中」に存在する単結合を意味する。記号
【0066】
【化12】
【0067】
は、二重結合の周りの幾何学(例えば、EまたはZ)が定義されていない単結合を意味する。したがって、二つのオプションと同様に、その組み合わせが意図される。前述の結合秩序は結合により連結される原子の中で一つが金属原子(M)である場合には制限的ではない。そのような場合に、実際の結合は相当な多重結合及び/またはイオン特徴が含められることが理解される。したがって、特に指示のない限り、化学式M−C、M=C、
【0068】
【化13】
【0069】
は、それぞれ金属原子と炭素原子間の結合の任意の形態及び順序を意味する。
【0070】
下記の基及び類に対して、下記の括弧内の添字はさらに基/類を次の通り定義する:「(Cn)」は、基/類の中で炭素原子の正確な数(n)を定義する。「(C≦n)」は、対象の基に対して可能な限り小さい最小数と共に基/類の中で存在することができる炭素原子の最大数(n)を定義し、例えば、「アルケニル(C≦8)」または「アルケン(C≦8)」類中の炭素原子の最小数は2ということが理解される。例えば、「アルコキシ(C≦10)」は1個〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基を示す。(Cn−n’)は、基中の炭素原子の最小(n)及び最大数(n’)の両方を定義する。同様に、「アルキル(C2−10)」は2個〜10個の炭素原子を有するアルキル基を示す。
【0071】
本明細書で用いられる用語「飽和された」は、そのように変形された化合物または基が下記に記載されたものを除いては炭素−炭素二重及び炭素−炭素三重結合を有さないことを意味する。飽和された基の置換されたバージョンの場合には、一つ以上の炭素酸素二重結合または炭素窒素二重結合が存在することができる。そのような結合が存在する場合、その後ケト−エノール互変異性体またはイミン/エナミン互変異性体の一部として発生することができる炭素−炭素二重結合が排除されない。
【0072】
「置換された」という修飾語なしで用いられる用語「脂肪族」は、化合物/基が非環式または環式であるが、非芳香族の炭化水素化合物または基であることを意味する。脂肪族化合物/基において、炭素原子は、直鎖、分岐鎖または非芳香族環(脂環族)で共に連結されることができる。脂肪族化合物/基は、単結合により飽和されるか(即ち、連絡されたか)(アルカン/アルキル)、一つ以上の二重結合を伴うか(アルケン/アルケニル)、または一つ以上の三重結合(アルキン/アルキニル)を伴って不飽和されることができる。
【0073】
「置換された」という修飾語なしで用いられる用語「アルキル」は、付着点として炭素原子、線状または分岐状、シクロ、環式または非還式構造を有し、炭素と水素以外の他の原子のない1価の飽和脂肪族基を意味する。沿って、本明細書で用いられるように、シクロアルキルは、付着点を形成する炭素原子がまた一つ以上の非芳香族環構造の構成員であるアルキルの部分集合であり、ここで、シクロアルキル基は炭素及び水素のみからなる。本明細書で用いられるように、用語は、環または環システムに付着された一つ以上のアルキル基(炭素数の制限を許容)の存在を排除しない。−CH(Me)、−CHCH(Et)、−CHCHCH(n−Prまたはプロピル)、−CH(CH(i−Pr、Prまたはイソプロピル)、−CH(CH(シクロプロピル)、−CHCHCHCH(n−Bu)、−CH(CH)CHCH(sec−ブチル)、−CHCH(CH(イソブチル)、−C(CH(tert−ブチル、t−ブチル、t−BuまたはBu)、−CHC(CH(neo−ペンチル)、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘキシルメチル基はアルキル基の非制限的な例である。「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、用語「アルカンジイル」は、付着点として一つまたは二つの飽和炭素原子、線状または分岐状、シクロ、環式または非還式構造を有し、炭素−炭素二重または三重結合がなく、炭素と水素以外の他の原子のない2価の飽和脂肪族基を意味する。−CH−(メチレン)、−CHCH−、−CHC(CHCH−、−CHCHCH−及び
【0074】
【化14】
【0075】
基は、アルカンジイル基の非制限的な例である。アルケンジイル基は脂肪族である一方、一旦、両末端で連結されると、この基は芳香族構造を形成することから排除されないということが注目される。「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、用語「アルキリデン」は、R及びR’が独立的に水素、アルキル及びRとR’が共に少なくとも2つの炭素原子を有するアルカンジイルを示す、2価の基=CRR’を意味する。アルキリデン基の非制限的な例は=CH、=CH(CHCH)及び=C(CHを含む。「アルカン」は、一般的な化合物H−Rを意味し、ここで、Rは前記定義のようなアルキルである。任意のこれらの用語が「置換された」という修飾語と共に用いられる場合、一つ以上の水素原子は独立的に、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−OC(O)CHまたは−S(O)NHにより置換された。下記の基は、置換されたアルキル基の非制限的な例である:−CHOH、−CHCl、−CF、−CHCN、−CHC(O)OH、−CHC(O)OCH、−CHC(O)NH、−CHC(O)CH、−CHOCH、−CHOC(O)CH、−CHNH、−CHN(CH及び−CHCHCl。用語「ハロアルキル」は、置換されたアルキルの部分集合を意味し、ここで、一つ以上の水素原子はハロ基で置換されており、炭素、水素及びハロゲンを除いた他の原子は存在しない。−CHCl基はハロアルキルの非制限的な例である。用語「フルオロアルキル」は置換されたアルキルの部分集合を意味し、ここで、一つ以上の水素はフルオロ基で置換されており、炭素、水素及びフッ素を除く他の原子は存在しない。−CHF、−CF及び−CHCF基はフルオロアルキル基の非制限的な例である。
【0076】
「置換された」という修飾語なしで用いられる用語「アルケニル」は、付着点として炭素原子、線状または分岐状、シクロ、環式または非還元式構造、少なくとも一つの非芳香族炭素−炭素二重結合を有し、炭素−炭素三重結合がなく、炭素と水素以外の他の原子のない1価の不飽和脂肪族基を意味する。アルケニル基の非制限的な例は、−CH=CH(ビニール)、−CH=CHCH、−CH=CHCHCH、−CHCH=CH(アリル)、−CHCH=CHCH及び−CH=CHCH=CHを含む。「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、用語「アルケンジイル」は、付着点として二つの炭素原子、線状または分岐状、シクロ、環式または非還元式構造、少なくとも一つの非芳香族炭素−炭素二重結合を有し、炭素−炭素三重結合がなく、炭素と水素以外の他の原子のない2価の不飽和脂肪族基を意味する。−CH=CH−、−CH=C(CH)CH−、−CH=CHCH−及び
【0077】
【化15】
【0078】
基はアルケンジイル基の非制限的な例である。用語「アルケン」または「オレフィン」は同意語であり、式H−Rを有する化合物を意味し、ここで、Rはその用語が前記定義のようなアルケニルである。「末端アルケン」は、単に一つの炭素−炭素二重結合を有するアルケンを意味し、ここで、その結合は分子の一末端でビニール基を形成する。任意のこれらの用語が「置換された」という修飾語と共に用いられる場合、一つ以上の水素原子は独立的に−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−OC(O)CHまたは−S(O)NHにより置換された。−CH=CHF、−CH=CHCl及び−CH=CHBr基は置換されたアルケニル基の非制限的な例である。
【0079】
「置換された」という修飾語なしで用いられる用語「アリール」は、付着点として芳香族炭素原子を有する1価の不飽和芳香族基を意味し、前記炭素原子は、一つ以上の6員環の芳香族環構造の一部を形成することを有し、ここで、環原子は全部炭素であり、基は炭素と水素のみからなる。万一、一つ以上の環が存在する場合、環は融合されるか、非融合されることができる。本明細書で用いられるように、用語は、第1芳香族環または存在する任意の追加の芳香族環に付着された一つ以上のアルキルまたはアラルキル基(炭素数の制限を許容)の存在を排除しない。アリール基の非制限的な例は、フェニル(Ph)、メチルフェニル、(ジメチル)フェニル、−CCHCH(エチルフェニル)、ナフチル及びビフェニルから由来した1価の基を含む。「置換された」という修飾語なしで用いられる場合、用語「アレンジイル」は、付着点として二つの芳香族炭素原子を有する2価の芳香族基を意味し、前記炭素原子は、一つ以上の6員環の芳香族環構造の一部を形成し、ここで、環原子は全部炭素であり、ここで、1価の基は炭素と水素のみからなる。本明細書で用いられるように、用語は、第1芳香族環または存在する任意の追加の芳香族環に付着された一つ以上のアルキル、アリールまたはアラルキル基(炭素数の制限を許容)の存在を排除しない。一つ以上の環が存在する場合、環は融合されるか、非融合されることができる。非融合環は、下記の一つ以上を通じて連結されることができる:共有結合、アルカンジイルまたはアルケンジイル基(炭素数の制限を許容)。アレンジイル基の非制限的な例は下記を含む:
【0080】
【化16】
【0081】
「アレーン」は化合物H−Rを意味し、ここで、Rはその用語が前記定義のような用語としてアリールである。ベンゼン及びトルエンはアレーンの非制限的な例である。任意のこれらの用語が「置換された」という修飾語と共に用いられる場合、一つ以上の水素原子は、独立的に−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−OC(O)CHまたは−S(O)NHにより置換された。
【0082】
「置換された」という修飾語なしで用いられる用語「アラルキル」は、1価の基‐アルカンジイル−アリールを意味し、ここで、用語アルカンジイル及びアリールはそれぞれ前記提供された定義と一致する方式で用いられる。アラルキルの非制限的な例は、フェニルメチル(ベンジル、Bn)及び2−フェニル−エチルである。用語アラルキルが「置換された」という修飾語と共に用いられる場合、アルカンジイル及び/またはアリール基からの一つ以上の水素原子は、独立的に−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−OC(O)CHまたは−S(O)NHにより置換された。置換されたアラルキルの非制限的な例は、(3−クロロフェニル)−メチル及び2−クロロ−2−フェニル−エト−1−イルである。
【0083】
「置換された」という修飾語なしで用いられる用語「アラルケニル」は1価の基−アルケンジイル−アリールを意味し、ここで、用語アルケンジイル及びアリールはそれぞれ前記提供された定義と一致する方式で用いられる。アラルケニルの非制限的な例は、2−フェニルエーテル及び3,3−ジフェニル−プロプ−2−エニルである。用語「アラルケン」は化学式H−Rを有する化合物を意味し、Rはその用語が前記定義のようなアラルケニルである。「末端アラルケン」は単に一つの非芳香族炭素−炭素二重結合を有するアラルケンを意味し、ここで、その結合は、分子の一末端でビニール基を形成する。用語が「置換された」という修飾語と共に用いられる場合、アルカンジイル及び/またはアリールからの一つ以上の水素原子は独立的に−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−OCHCH、−C(O)CH、−N(CH、−C(O)NH、−OC(O)CHまたは−S(O)NHにより置換される。置換されたアラルケニルの非制限的な例は、(3−ニトロフェニル)−エテニル及び4−シアノ−4−フェニル−ブト−1−エニルである。
【0084】
特許請求の範囲及び/または明細書で用語「含む」と共に用いられる場合、冠詞(「a」または「an」)の使用は「一つ」を意味することができるが、また「一つ以上」、「少なくとも一つ」及び「一つまたは一つ超過」の意味と一致する。
【0085】
本出願の全般にわたって、用語「約」は、いずれか一つの値が装置の誤差の固有な変動を含むということを示すために用いられ、この方法は、被験者の間に存在する値または変動を決定するために用いられる。
【0086】
用語「含む」(comprise)、「有する」(have)及び「含まれる」(include)は開放型(open−ended)連結動詞である。「含む」(comprises)、「備える」(comprising)、「有する」(has)、「持つ」(having)、「含まれる」(includes)、「含めて」(including)のようなこれら動詞の一つ以上の任意の形態または時制も開放型である。例えば、一つ以上の段階を「含む」、「有する」または「含まれる」任意の方法は、その一つ以上の段階のみを有することに制限されず、他の記されていない段階を包括する。
【0087】
用語「エポキシド」は、単結合により連結された少なくとも一つの酸素原子と2つの炭素原子を含む三員環を意味する。「エポキシ化反応」は、分子上のエポキシドの生成を誘導する反応である。最も一般的なエポキシ化反応は、分子内にアルケンまたはアラルケン官能基がエポキシド基に転換されることに起因する。
【0088】
第1化合物の「異性体」は、それぞれの分子が第1化合物と同一の構成原子を含むが、これらの原子の配置が3次元で異なる別途の化合物である。
【0089】
「方法」は最終生成物、結果または結果を誘導する一連の一つ以上の段階を引き受ける。本明細書で用いられるように、単語「方法」は、単語「工程」と交換できるように用いられる。
【0090】
「ペルオキシド」は、2つの酸素原子の間に単共有結合を含み、各酸素はまた、これらの基が前記定義のような水素、アルキル、アリールまたはアラルキル基に結合され、1個〜30個の炭素原子を含む分子である。一部の実施形態において、ヒドロペルオキシドは、2つの酸素原子の間に単一共有結合を含む化合物であって、酸素原子の中で一つは水素原子に結合し、他の原子は前記定義のようなアルキル、アリールまたはアラルキル基に結合され、1個〜20個の炭素原子を含む。ヒドロペルオキシドの一部の非制限的な例は、エチルベンゼンヒドロペルオキシド、tert−アミルヒドロペルオキシド、シクロヘキシルヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドを含む。一般的に、2つの酸素原子の間にペルオキシド結合は不安定であり、簡単に分解されるか、または他の分子と反応する。ペルオキシドの一部の非制限的な例は、HO−OH(過酸化水素)、(CHCO−OH(tert−ブチルヒドロペルオキシド)及びCCHOHCHを含む。
【0091】
「ペルオキシド転換率」は、反応で消費されたペルオキシドの量の測定である。この測定は、与えられた反応の効率を比較し、所定の生成物の生成で用いられた試薬の量を測定するのに用いられることができる。
【0092】
「固体支持体」または「担体」は、基質または試薬と反応しない不活性物質に関するものである。一部の例において、固体支持体または担体は、高い表面積及び高い気孔性を有する他の非反応性物質またはシリカ、アルミナ、有機高分子であり得る。また、一部の実施形態において、固体支持体または担体は、その構造にわたって多数の気孔、空隙または他の間隙を含む。一部の実施形態において、シリカ粒子は粗密かつ密集した集団として凝集または共に連結される粒子を含むことができるか、または緩いニット型(knit)構造を含み、密集していない凝集体として簡単に崩壊される粒子を含むことができる。支持体または担体は、触媒的に活性原子または複合体に結合するために用いられることができる。一部の実施形態において、固体担体の主要部分は、シリコンジオキシド(SiO)及び無定形SiOである。一部の非制限的な例において、固体担体はシリカ化合物である。一部の非制限的な例において、固体担体は薄膜クロマトグラフィー(TLC)、カラムクロマトグラフィー、触媒担体または他の商業的な用途を含むが、これらに制限されない多様な目的のための商業的に購入可能なシリカ化合物である。一部の例において、固体担体はダビシル(Davisil)(登録種汚評)643多孔性物質のようなシリカゲルまたはゼオライトである。一部の実施形態において、固体担体は分子体のようなメソ多孔性シリカである。
【0093】
前記定義は、本明細書に参考として含まれる任意の参考文献における任意の相反する定義に優先する。しかし、特定の用語が定義されるという事実は、定義されない任意の用語が不明確であるということを示すものとして考慮されてはならない。
【実施例】
【0094】
下記の実施例は、特定の実施形態を立証するために含まれる。本明細書に提供される実施形態の実施において上手く作用されるように意図された下記実施例で開示された技術は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって理解されるべきであり、したがって、その実施のために好ましい方式が構成されるように考慮されることができる。下記の実施例で開示された技術は、添付された特許請求の範囲の内容の実施において上手く作用するように意図されたものであることが本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって理解されるべきである。しかしながら、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明に照らして、開示された特定の実施形態において様々な変化が可能であり、依然として本発明の思想と範疇を逸脱せず、同一または類似した結果を得ることができるということを理解すべきである。
【0095】
実施例1:アルコールのペルオキシドへの転換及びプロピレンオキシド転換
表1:H利用のペルオキシド転換率及び選択率
【0096】
【表1】
【0097】
表1に示すように、サンプル1で見られるように、メタノール等のような小分子溶媒を伴うエポキシ化触媒、TS−1は、中等の過酸化水素転換率を誘導したが、TS−1が緩衝剤と共に用いられる場合、H転換率が減少した(サンプル2対サンプル1比較)。さらに、巨大分子溶媒、アセトニトリル及びt−BuOHのような他の溶媒もメタノールに比べて過酸化水素転換率の減少を誘導した(サンプル3及び5対サンプル1)。最後に、2つの巨大分子溶媒が緩衝剤と共に用いられる場合、過酸化水素転換率水準の量はより減少した(サンプル4及び6対サンプル1及びサンプル3及び5)。
【0098】
一方で、エポキシ化触媒、TiMWWはTS−1触媒に類似した過酸化水素転換率を提供した(サンプル7対サンプル1)。さらに、1−フェニルエチルアルコール及びアセトフェノンを伴うTiMWWの使用は低減した過酸化水素転換率を誘導した(サンプル9対サンプル1)。一方で、t−ブチルアルコール及び水と共に、または1−フェニルエチルアルコール及びアセトフェノンと共に緩衝剤の存在中でのTiMWWの使用は、大幅に増加された過酸化水素転換率と同様に、プロピレンオキシドに対する過酸化水素選択率及び減少した開環副産物を誘導した(サンプル8、10及び11対サンプル7及び9)。
【0099】
表2:図2における特定成分ストリームの質量均衡(lb/hr)
【0100】
【表2-1】
【0101】
【表2-2】
【0102】
サンプル1:
100mLのParr反応器をメタノール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(40g)及びTS−1触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約20g〜23g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が50℃で30分間約300psig(2,170 kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0103】
サンプル2:
100mLのParr反応器をメタノール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(40g)及び0.5gの0.1Mアンモニウムアセテート溶液とTS−1触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約21g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が50℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0104】
サンプル3:
100mLのParr反応器をt−ブチルアルコール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(40g)及びTS−1触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約25g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が50℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0105】
サンプル4:
100mLのParr反応器をt−ブチルアルコール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(40g)及び0.5gの0.1Mアンモニウムジヒドロゲンホスフェート溶液とTS−1触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約22g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が50℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0106】
サンプル5:
100mLのParr反応器をアセトニトリル/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(40g)及びTS−1触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約22g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が50℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。結果を表1に示した。
【0107】
サンプル6:
100mLのParr反応器をアセトニトリル/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(40g)及び0.5gの0.1Mアンモニウムジヒドロゲンホスフェート溶液とTS−1触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約25g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が50℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0108】
サンプル7:
100mLのParr反応器をt−ブチルアルコール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(40g)及びTiMWW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約24g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が50℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0109】
サンプル8:
100mLのParr反応器をt−ブチルアルコール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(40g)及び0.5gの0.1Mアンモニウムジヒドロゲンホスフェート溶液とTiMWW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約24g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0110】
サンプル9:
100mLのParr反応器を1−フェニルエチルアルコール/アセトフェノン/30重量%過酸化水素の80:12:8重量%溶液(50g)及びTiMWW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約15g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0111】
サンプル10:
100mLのParr反応器を1−フェニルエチルアルコール/アセトフェノン/30重量%過酸化水素の80:12:8重量%溶液(50g)及び0.2gの0.1Mアンモニウムアセテート溶液とTiMWW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約15g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0112】
サンプル11:
100mLのParr反応器を1−フェニルエチルアルコール/アセトフェノン/30重量%過酸化水素の80:12:8重量%溶液(50g)及び0.2gの0.1Mアンモニウムアセテート溶液とTiMWW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約4.5g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表1に示した。
【0113】
実施例2:緩衝剤及び溶媒を伴うTiMWW触媒及び層状TiMWW触媒の使用
表3:ペルオキシド転換率に対する触媒及び緩衝剤の影響
【0114】
【表3】
【0115】
層状TiMWW−NAWの製造:
6.1gのTiMWW、15gのピペリジン及び35gの脱イオン水を含む密封された100mLのParr反応器を155℃で3日間加熱させた。続けて反応混合物を冷却させ、濾過し、脱イオン水で洗浄し(6×200mL)真空オーブンの中で130℃で16時間乾燥させて黄白色の固体(5.4g)を収得した。
【0116】
層状TiMWW−AWの製造:
75mLの2M硝酸の中の前記層状TiMWW−NAW触媒(1.5g)の混合物を110℃で還流させた。3時間後、反応混合物を冷却させ、濾過し、脱イオン水で洗浄し(6×200mL)、真空オーブンの中で130℃で16時間乾燥させて白色の固体(1.2g)を収得した。
【0117】
サンプル12:
100mLのParr反応器をt−ブチルアルコール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(50g)及びTiMWW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約15g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表3に示した。追加の実験で、サンプル12から記述されたようなペルオキシドのTiMWW/t−ブチルアルコール/水への転換は最大33%であることが観察された。
【0118】
サンプル13:
100mLのParr反応器をt−ブチルアルコール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(50g)及び層状TiMWW−NAW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約15g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表3に示した。
【0119】
サンプル14:
100mLのParr反応器をt−ブチルアルコール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(50g)及び層状TiMWW−AW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約15g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表3に示した。
【0120】
サンプル15:
100mLのParr反応器をt−ブチルアルコール/水/30重量%過酸化水素の70:23:7重量%溶液(50g)及び0.2gの0.1Mアンモニウムアセテートと層状TiMWW−AW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約15g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表3に示した。
【0121】
サンプル16:
100mLのParr反応器を1−フェニルエチルアルコール/アセトフェノン/30重量%過酸化水素の80:12:8重量%溶液(50g)及び層状TiMWW−NAW触媒(0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約15g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表3に示した。
【0122】
サンプル17:
100mLのParr反応器を1−フェニルエチルアルコール/アセトフェノン/30重量%過酸化水素の80:12:8重量%溶液(50g)及び層状TiMWW−AW触媒0.03g)で満たした。反応器を密封してプロピレン(約15g)で満たした。磁石で攪拌された反応混合物が70℃で30分間約300psig(2,170kPa)の反応器圧力で加熱され、続けて10℃まで冷却された。液体及び気相がガスクロマトグラフィーで分析された。その結果を表3に示した。
【0123】
TiMWW触媒は、t−ブチルアルコール中で中等のペルオキシド転換率、1−フェニルエチルアルコールの中でさらに低いペルオキシド転換率を生成することが示されている(それぞれサンプル12及びサンプル9)。本発明で記述されたような層状TiMWW触媒の使用はt−ブチルアルコール/水のにあって(サンプル13及び14をサンプル12と比較)、そして1−フェニルエチルアルコール/アセトフェノンの中で(サンプル16及び17をサンプル9と比較)増加されたペルオキシド転換率を提供した。類似するように、緩衝剤と共に用いられる場合、層状TiMWW触媒も優れたペルオキシド転換率を誘導した(例えば、99%以上;サンプル15参照)。
【0124】
実施例3:BAMBEを除去するための水素化
サンプル18:
エタノール(30g)中、活性化した炭素(5%)上に0.2gパラジウム及びBAMBE(0.23g)を含む50mLのParr反応器を10psig(115kPa)H2で加圧した。その後、反応混合物を2時間の間、周囲温度で攪拌した。反応を中止させ、0℃に冷却した後硝酸を利用して周囲圧力に減圧した。反応混合物を濾過し、濾過物をGCにより分析した。結果はBAMBEの生成物への54%転換率を示した。生成物EB:MBAのモル比は4:1である。
【0125】
サンプル19:
条件は、前記反応(サンプル18)と同一であったが、反応を10psig(170kPa)の代わりに100psig(790kPa)Hで満たした。さらに高いpsigのHにより、BAMBEの生成物への転換は100%であり、EB:MBAのモル比は50:1である。
【0126】
サンプル20:
エタノール(15g)中、BAMBE(0.23g)及び0.61gのKL7752(Criterionから商業的に購入可能)を含む50mLのParr反応器を500psig(3,550kPa)Hで加圧した。反応混合物を6時間の間、80℃で攪拌した。反応を中止し、0℃に冷却した後、窒素を利用して周囲圧力に減圧した。反応混合物を濾過し、濾過物をGCにより分析した。結果はBAMBEの生成物への18%転換を示した。生成物EB:MBAのモル比は1.1:1である。
【0127】
サンプル21:
エタノール(30g)中、活性化した炭素(5%)上に0.2gパラジウム及びBAMBE(0.22g)、アルファ−メチルベンジルアルコール(0.22g)、アセトフェノン(0.22g)を50mLのParr反応器を100psig(790kPa)Hで加圧した。その後、反応を2時間の間、周囲温度で攪拌した。反応を中止し、0℃に冷却した後、窒素を利用して周囲圧力に減圧した。反応混合物を濾過し、濾過物をGCにより分析した。結果はBAMBEの生成物への52%転換率を示した。
【0128】
サンプル22:
BAMBE(0.2g)、アルファ−メチルベンジルアルコール(17.46g)及びアセトフェノン(2.42g)を含む50mLのParr反応器を100psig(790kPa)Hで加圧した。その後、反応混合物を1時間の間、80℃で攪拌した。反応を中止し、0℃に冷却した後、窒素を利用して周囲圧力に減圧した。反応混合物を濾過し、濾過物をGCにより分析した。結果はBAMBEの生成物への12%転換率を示した。
【0129】
本明細書で開示され、請求された全ての化合物、錯体及び方法は、本発明の観点に照らして過度な実験なく作られて実施されることができる。化合物、錯体及び方法が好ましい実施形態面で開示されたが、添付の特許請求の範囲の概念、思想及び範囲から逸脱せず、化合物、錯体及び方法と同様に、本明細書に開示された方法の段階または段階の順序において変化が適用され得ることが本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明らかである。より具体的に、化学的に関連する特定の製剤が同一または類似した結果を導出することにより、本明細書に開示された製剤を代替可能なことが明らかである。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明白な全ての類似した代替物及び変形は、添付の特許請求の範囲の思想、範囲及び概念に含まれるものと見なす。
【0130】
参考文献
手続または本明細書に開示されたものを補充するための他の詳細事項を提供する下記の参考文献は、具体的に参考として本願に統合される。
− 米国特許第6,759,540号
− 米国特許第8,124,555号
− 米国特許第8,440,846号
− 日本国特開2011−111431号
− Anderson, N.G.,Practical Process Research & Development−A Guide For Organic Chemists,2nded.,Academic Press,New York, 2012.
− Lafond, et al., J. of Molecular Catalyst, 182−183:81−88, 2002.
− March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,2007.
− Wu, et al., “A Novel Titanosilicate with MWW Structure. I. Hydorthermal Synthesis, Elimination of Extraframework Titanium, and Characterizations,” J. Phys. Chem. B, 105(15):2897−2905, 2001.
図1
図2
図3