【文献】
ALBERTO GONZALES et al,"Simultaneous Measurement of Multichannel Acoustic Systems",Journal of Audio Engineering Society,米国,2004年 1月,Vol.52, No.1/2,p.26-42
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
再生デバイスの1つ又は複数のスピーカによって、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップを含む方法であって、
周期的キャリブレーションサウンドは、
キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、
第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数でスイープする第2の成分とを含む、方法。
第2の閾値周波数は、第1の閾値周波数よりも低い周波数であり、第2の閾値周波数と第1の閾値周波数との間の周波数を含む移行周波数範囲において第1の成分と第2の成分が重複する、請求項1又は2に記載の方法。
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、2〜4ヘルツの範囲内の周波数で周期的キャリブレーションサウンドを周期的に放出するステップを含む、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、周期的キャリブレーションサウンドを約0.375秒ごとに周期的に放出するステップを含む、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、周期的キャリブレーションサウンドを0.25秒から0.5秒の範囲内の周期で周期的に放出するステップを含む、請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面は、いくつかの例示的な実施形態を説明することを目的としているが、本発明が、図面に示した配置および手段に限定されるものではないことは理解される。
【0007】
I.概要
本発明の一態様によれば、方法が提供される。この方法は、再生デバイスの1つ又は複数のスピーカによって、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップを含む。周期的キャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数でノイズを含む第1の成分と、第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数でスイープする第2の成分とを含む。
【0008】
この方法は、キャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに指示するコマンドを制御デバイスから受信することに応答して、1つ又は複数のスピーカに周期的キャリブレーションサウンドを放出させるステップをさらに含んでもよい。
【0009】
第2の閾値周波数は、第1の閾値周波数よりも低い周波数であり、第2の閾値周波数と第1の閾値周波数との間の周波数を含む移行周波数範囲において第1の成分と第2の成分が重複してもよい。
【0010】
この方法は、1つ又は複数のスピーカに、キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数を少なくともカバーするノイズを生成させるステップと、1つ又は複数のスピーカに、第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数を少なくともカバーするスイープサインを生成させるステップと、1つ又は複数のスピーカに、クロスオーバフィルタ関数を適用することによって、スイープサインとノイズを結合して周期的キャリブレーションサウンドを作らせるステップと、をさらに含んでもよい。ここで、クロスオーバフィルタ関数は、第1の閾値周波数よりも低い周波数を含むノイズの一部と、第2の閾値周波数よりも高い周波数を含むスイープサインの一部とを結合するものである。
【0011】
この方法は、周期的キャリブレーションサウンドを制御デバイスから受信するステップをさらに含んでもよい。
【0012】
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、2〜4ヘルツの範囲内の周波数で周期的キャリブレーションサウンドを周期的に放出するステップを含んでもよい。
【0013】
第2の成分は、キャリブレーション周波数範囲の最大値から第2の閾値周波数までの周波数を降下することによって当該周波数をスイープしてもよい。
【0014】
第1の閾値周波数は、第2の閾値周波数と同じ閾値周波数であってもよい。
【0015】
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、周期的キャリブレーションサウンドを約0.375秒ごとに周期的に放出するステップを含んでもよい。
【0016】
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、周期的キャリブレーションサウンドを0.25秒から0.5秒の範囲内の周期で周期的に放出するステップを含んでもよい。
【0017】
別の態様では、再生デバイスが提供される。再生デバイスは、1つ又は複数のスピーカと、上述の方法を実行するように構成された制御システムとを備える。
【0018】
再生デバイスはさらに、制御デバイスからのコマンドおよび/又は周期的キャリブレーションサウンドのうちの少なくとも1つを制御デバイスから受信するように構成されたネットワークインタフェースを備えてもよい。
【0019】
別の態様では、非一時的コンピュータ読取り可能媒体が提供される。非一時的コンピュータ読取り可能媒体は、1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶している。当該命令は、制御デバイスに対して、キャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに指示するコマンドを制御デバイスから受信することに応答して、1つ又は複数のスピーカに周期的キャリブレーションサウンドを放出させるステップを実行させる。制御デバイスはさらに、上述した方法のいずれか1つを実行してもよい。制御デバイスはさらに、選択されると少なくとも1つの再生デバイスのキャリブレーションを開始するように選択可能な制御部が選択されたことを示す入力データを検出するステップと、入力データの検出に応じて、少なくとも1つの再生デバイスに対して、周期的キャリブレーションサウンドを放出するように指示するコマンドを送信するステップを実行してもよい。
【0020】
命令はさらに、制御デバイスに対して、入力データの検出に応じて、ネットワークインタフェースを介して再生デバイスにキャリブレーションサウンドを送信するステップを実行させてもよい。
【0021】
別の態様では、制御デバイスが提供される。制御デバイスは、上述の非一時的コンピュータ読取り可能媒体を含むことができる。
【0022】
本明細書に記載の実施形態は、とりわけ、メディア再生システムのキャリブレーションを容易にする技術を含む。本明細書で意図されるいくつかのキャリブレーション手順は、メディア再生システムの制御デバイスにより、メディア再生システムの1つ又は複数の再生デバイスによって放出された音波(例えば、1つ又は複数のキャリブレーションサウンド)を検出および分析するステップを含む。いくつかの例では、そのような制御デバイスは、分析およびキャリブレーションを容易にする特定のキャリブレーションサウンドを放出するように、1つ又は複数の再生デバイスに指示する。
【0023】
上述したように、例示的なキャリブレーション手順は、再生デバイスにより、制御デバイスによって検出および分析されるキャリブレーションサウンドを放出するステップを含む。いくつかの実施形態では、制御デバイスは、再生デバイスがキャリブレーションされるべき周波数範囲(すなわち、キャリブレーション範囲)にわたってキャリブレーションサウンドを分析することができる。したがって、再生デバイスによって放出される特定のキャリブレーションサウンドが、キャリブレーション周波数範囲をカバーする。キャリブレーション周波数範囲は、再生デバイスが発することができる周波数の範囲(例えば、15〜30000Hz)を含み、かつ、人間の聴力の範囲内にあると考えられる周波数(例えば、20〜20000Hz)を含んでもよい。そのような周波数の範囲をカバーするキャリブレーションサウンドを放出および検出することによって、その範囲を含む周波数応答を再生デバイスに対して決定することができる。そのような周波数応答は、再生デバイスがキャリブレーションサウンドを放出した環境を表すことができる。
【0024】
環境における音響は、環境内の場所によって異なることがある。このバリエーションのために、いくつかのキャリブレーション手順は、キャリブレーションされる再生デバイスを環境内に配置して再生デバイスが後で操作されることによって、改善することができる。その位置では、サウンドの再生が環境によって影響されるので、再生デバイスによって放出されるキャリブレーションサウンドにも影響が及ぶ可能性がある。キャリブレーション手順のセットアップ段階において、再生デバイスをこの位置に配置するステップを含んでもよい。
【0025】
いくつかの例示的なキャリブレーション手順は、環境における音響の可変性を把握するために、環境内の複数の物理的位置でキャリブレーションサウンドを検出するステップを含む。環境内の複数の点でキャリブレーションサウンドを検出するのを促進するために、いくつかのキャリブレーション手順は、移動するマイクを使用する。例えば、キャリブレーションサウンドを検出しているマイクは、キャリブレーションサウンドが放出されている間、環境の中を連続的に移動することができる。このような連続的な移動は、環境内の複数の物理的位置でのキャリブレーションサウンドの検出につながり、環境全体をより良く理解することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、再生デバイスは、キャリブレーション手順中にキャリブレーションサウンドを繰り返し放出することにより、キャリブレーションサウンドがそれぞれの繰り返しの中でキャリブレーション周波数範囲をカバーするようにしてもよい。移動するマイクを使用すると、環境内の異なる物理的位置でキャリブレーションサウンドの繰り返しが連続的に検出される。例えば、再生デバイスは周期的キャリブレーションサウンドを発することができる。キャリブレーションサウンドのそれぞれの期間が、環境内の異なる物理的位置で制御デバイスによって検出され、それによってその場所のサンプルを提供することができる。したがって、このようなキャリブレーションサウンドは、環境を空間平均化したキャリブレーションを促進することができる。
【0027】
例示的なキャリブレーションサウンドは、様々な波形を使用してキャリブレーション周波数範囲をカバーすることができる。いくつかの例示的なキャリブレーション手順は、それぞれの期間の間にキャリブレーション周波数範囲にわたって変化するノイズを用いてもよい(例えば、擬似乱数的周期的ノイズ)。しかしながら、マイクの動きによって生じる位相歪みによって、検出されるノイズ信号と放出されるノイズ信号とを相関させることが困難又は不可能になる可能性がある。その他の例示的なキャリブレーション手順は、所定のパターンで周波数範囲を上昇又は下降するスイープ信号を使用する(例えば、スイープサイン又はチャープ)。スイープ信号は、位相シフトが(ドップラーシフトとして)予測可能であるので、検出される信号を放出される信号と相関させるのを容易にする。しかしながら、低い周波数のときに、スイープ信号は、環境に存在するバックグラウンドノイズを克服するのに十分なエネルギーを確保しようとするとスピーカドライバに過負荷をかける可能性がある。
【0028】
本明細書で説明されるいくつかの例示的なキャリブレーション手順は、これらの問題に対抗し得るようなノイズとスイープ信号の両方を含むハイブリッドキャリブレーションサウンドを用いる。例えば、ハイブリッドキャリブレーションサウンドは、第1の閾値までの低周波数(例えば、50〜100Hzの範囲内の閾値)をカバーするノイズ成分を含む。そのようなノイズ成分は、再生デバイスによって、その再生デバイスのスピーカドライバに過負荷を与える危険性が低い典型的な背景雑音(例えば、静かな部屋の雑音)を克服するのに十分なエネルギーにて放出されてもよい。ハイブリッドキャリブレーションサウンドはまた、第2の閾値からキャリブレーション範囲の最高周波数(又はそれ以上)まで上昇又は降下するスイープ信号(例えば、スイープサイン)を含むことができる。スイープ信号のような予測可能な信号によれば、マイクの動きに起因する位相歪みを制御デバイスが逆転させるのを容易にすることができる。
【0029】
キャリブレーション周波数範囲の一部は人間に聞こえるため、キャリブレーションサウンドのいくつかの態様は、キャリブレーションサウンドが人間にとってより快適となるように設計してもよい。例えば、ハイブリッドキャリブレーションサウンドのいくつかの実施例は、ノイズ成分とスイープ成分が重なる移行周波数範囲を含む。これらの成分が重なっていると、2つのタイプのサウンドの移行が過酷であることに関連して不愉快なサウンドが生じることを避けることができる。キャリブレーションサウンドをより快適にするための別の手法として、キャリブレーションサウンドのスイープ部分をキャリブレーション範囲を(上昇するのではなく)降下する手法がある。上昇のスイープサインと降下のスイープサインのいずれもがキャリブレーションに有効な可能性はあるが、人間の外耳道の形状にとっては降下の信号が好ましく聞こえる場合がある。
【0030】
いくつかの状況において、キャリブレーション手順中に複数の再生デバイスがキャリブレーションされてもよい。例えば、例示的なキャリブレーション手順は、複数の再生デバイスによるグループをキャリブレーションすることができる。そのようなグループは、複数の再生デバイスを含むメディア再生システムのゾーンであってもよいし、おそらく、各ゾーンからのそれぞれの再生デバイスを含むゾーングループにグループ化されたメディア再生システムの複数のゾーンから形成されてもよい。そのようなグループは、物理的に同じ環境(例えば、家又はその他の建物の部屋)内に位置してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、キャリブレーション手順の特定の部分は同時に実行されてもよい。例えば、複数の再生デバイスがキャリブレーションサウンドを同時に発することができる。しかしながら、2つの再生デバイスがキャリブレーションサウンドの同じ部分を同時に放出すると、同時に放出されるキャリブレーションサウンドが互いに干渉することにより、制御デバイスが十分な品質の測定値を得ることを妨げる可能性がある。さらに、制御デバイスは、同じ周波数トーンを区別できないので、特定のキャリブレーショントーンをそのトーンを発した再生デバイスに相関させることができない場合がある。
【0032】
例示的な実施形態では、キャリブレーションサウンドは、そのような干渉を回避するために調整されてもよい。例えば、キャリブレーション周波数範囲をカバーするベースラインキャリブレーションサウンド(すなわち、単一の再生デバイスをキャリブレーションするために使用されるキャリブレーションサウンド)を、その持続時間がキャリブレーションされるチャンネルの数に比例するように引き延ばしてもよい。例えば、3つのチャネルのキャリブレーションの間に放出されたキャリブレーションサウンドは、ベースラインキャリブレーションサウンドの持続時間の3倍の持続時間と等しい。このような引き延ばしを行うことによって、チャネルのそれぞれの繰り返しが、周波数が重複することなくキャリブレーション周波数範囲をカバーするそれぞれのキャリブレーションサウンドを発するのに十分な時間を確保することができる。
【0033】
さらに、キャリブレーションサウンドを放出しているチャネルは、キャリブレーションサウンドをずらすために、互いにオフセット(すなわち、遅延)されてもよい。キャリブレーションサウンドをずらすことは、複数のチャネルがキャリブレーションサウンドの同じ部分を同時に出力するのを妨げる。上述のように、周波数が重複するキャリブレーションサウンドを放出することによって、2つの再生デバイスのそれぞれのキャリブレーションサウンドを検出する制御デバイスに干渉する可能性がある。
【0034】
例示的な技術は、ハイブリッドキャリブレーションサウンドを放出するステップを含むる。一態様では、方法が提供される。この方法は、ネットワークインタフェースを介して、キャリブレーションサウンドを放出させることを再生デバイスに指示するコマンドを受信するステップと、それに応答して、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを1つ又は複数のスピーカに放出させるステップとを含む。ここで、周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。
【0035】
別の態様では、デバイスが提供される。デバイスは、ネットワークインタフェースと、少なくとも1つのプロセッサと、データストレージと、データストレージに記憶されて少なくとも1つのプロセッサが動作を行うように実行可能なプログラム論理とを備える。当該動作には、ネットワークインタフェースを介して、キャリブレーションサウンドを放出させることを再生デバイスに指示するコマンドを受信するステップと、それに応答して、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを1つ又は複数のスピーカに放出させるステップとを含む。周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。
【0036】
さらに別の態様では、非一時的コンピュータ読取り可能メモリが提供される。非一時的コンピュータ読取り可能メモリは、コンピューティングデバイスが動作を実行するように実行可能な命令を記憶している。当該動作には、ネットワークインタフェースを介して、キャリブレーションサウンドを放出させることを再生デバイスに指示するコマンドを受信するステップと、それに応答して、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを1つ又は複数のスピーカに放出させるステップとを含む。周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。
【0037】
さらなる例示的な技術は、複数の再生デバイスによりキャリブレーションサウンドを放出するステップを含む。一態様では、方法が提供される。この方法は、複数の再生デバイスのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む。この方法はさらに、複数の再生デバイスのうちの第1の再生デバイスに、シーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し出すように命令するコマンドを送信するステップを含む。ここで、キャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数の範囲を循環するものであり、キャリブレーションサウンドの持続時間は、複数の再生デバイスの数に比例する。この方法はさらに、複数の再生デバイスのうちの更なる1つ又は複数の再生デバイスに、それぞれのシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し放出するように指示するそれぞれのコマンドを送信するステップを含む。ここで、当該コマンドは、放出されるキャリブレーションサウンドがシーケンス内の先行するキャリブレーションサウンドに対して遅延されるようにキャリブレーションサウンドの放出をずらすものである。この方法はさらに、放出されたキャリブレーションサウンドをマイクを介して検出するステップを含んでもよい。
【0038】
別の態様では、デバイスが提供される。デバイスは、ネットワークインタフェースと、少なくとも1つのプロセッサと、データストレージと、データストレージに記憶されて少なくとも1つのプロセッサが動作を実行するように実行可能なプログラム論理とを含む。当該動作は、複数の再生デバイスのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む。この動作はさらに、複数の再生デバイスのうちの第1の再生デバイスに、シーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し出すように命令するコマンドを送信するステップを含む。ここで、キャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数の範囲を循環するものであり、キャリブレーションサウンドの持続時間は、複数の再生デバイスの数に比例する。この動作はさらに、複数の再生デバイスのうちの更なる1つ又は複数の再生デバイスに、それぞれのシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し放出するように指示するそれぞれのコマンドを送信するステップを含む。ここで、当該コマンドは、放出されるキャリブレーションサウンドがシーケンス内の先行するキャリブレーションサウンドに対して遅延されるようにキャリブレーションサウンドの放出をずらすものである。この動作はさらに、放出されたキャリブレーションサウンドをマイクを介して検出するステップを含んでもよい。
【0039】
さらに別の態様では、非一時的コンピュータ読取り可能メモリが提供される。非一時的コンピュータ読取り可能メモリは、コンピューティングデバイスが動作を実行するように実行可能な命令を記憶している。当該動作は、複数の再生デバイスのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む。この動作はさらに、複数の再生デバイスのうちの第1の再生デバイスに、シーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し出すように命令するコマンドを送信するステップを含む。ここで、キャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数の範囲を循環するものであり、キャリブレーションサウンドの持続時間は、複数の再生デバイスの数に比例する。この動作はさらに、複数の再生デバイスのうちの更なる1つ又は複数の再生デバイスに、それぞれのシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し放出するように指示するそれぞれのコマンドを送信するステップを含む。ここで、当該コマンドは、放出されるキャリブレーションサウンドがシーケンス内の先行するキャリブレーションサウンドに対して遅延されるようにキャリブレーションサウンドの放出をずらすものである。この動作はさらに、放出されたキャリブレーションサウンドをマイクを介して検出するステップを含んでもよい。
【0040】
別の態様では、再生デバイスが提供される。再生デバイスは、1つ又は複数のスピーカと、ネットワークインタフェースと、1つ又は複数のプロセッサと、再生デバイスに動作を実行させるように1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するデータストレージとを備える。当該動作は、ネットワークインタフェースを介して、再生デバイスにキャリブレーションサウンドを放出させることを命令するコマンドを制御デバイスから受信するステップと、それに応答して、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを1つ又は複数のスピーカに放出させるステップとを含む。ここで、周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。
【0041】
第2の閾値周波数は、第1の閾値周波数よりも低い周波数であり、第2の閾値周波数と第1の閾値周波数との間の周波数を含む移行周波数範囲において第1の成分と第2の成分が重複してもよい。
【0042】
動作はさらに、キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数を少なくともカバーするノイズを生成するステップと、第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数を少なくともカバーするスイープサインを生成するステップと、クロスオーバフィルタ関数を適用することによって、スイープサインとノイズを結合して周期的キャリブレーションサウンドを作るステップと、をさらに含んでもよい。ここで、クロスオーバフィルタ関数は、(i)第1の閾値周波数よりも低い周波数を含むノイズの一部と、(ii)第2の閾値周波数よりも高い周波数を含むスイープサインの一部とを結合するものである。
【0043】
第1の閾値周波数は、第2の閾値周波数と同じ閾値周波数であってもよい。
【0044】
動作はさらに、ネットワークインタフェースを介して周期的キャリブレーションサウンドを制御デバイスから受信するステップをさらに含んでもよい。
【0045】
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、周期的キャリブレーションサウンドを約0.375秒ごとに周期的に放出するステップを含んでもよい。
【0046】
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、周期的キャリブレーションサウンドを0.25秒から0.5秒の範囲内の周期で周期的に放出するステップを含んでもよい。
【0047】
第2の成分は、キャリブレーション周波数範囲の最大値から第2の閾値周波数までの周波数を降下することによって当該周波数をスイープしてもよい。
【0048】
別の態様では、再生デバイスが提供される。再生デバイスは、1つ又は複数のスピーカと、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを1つ又は複数のスピーカに放出させる制御システムとを含む。ここで、周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。
【0049】
制御システムは、キャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに指示するコマンドを制御デバイスから受信することに応答して、1つ又は複数のスピーカに周期的キャリブレーションサウンドを放出させてもよい。
【0050】
第2の閾値周波数は、第1の閾値周波数よりも低い周波数であり、第2の閾値周波数と第1の閾値周波数との間の周波数を含む移行周波数範囲において第1の成分と第2の成分が重複してもよい。制御システムは、キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数を少なくともカバーするノイズを生成するステップと、第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数を少なくともカバーするスイープサインを生成するステップと、クロスオーバフィルタ関数を適用することによって、スイープサインとノイズを結合して周期的キャリブレーションサウンドを作るステップとを実行してもよい。ここで、クロスオーバフィルタ関数は、(i)第1の閾値周波数よりも低い周波数を含むノイズの一部と、(ii)第2の閾値周波数よりも高い周波数を含むスイープサインの一部とを結合するものである。
【0051】
動作はさらに、ネットワークインタフェースを介して制御デバイスから周期的キャリブレーションサウンドを受信するステップをさらに含んでもよい。
【0052】
周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップは、周期的キャリブレーションサウンドを2〜4ヘルツの範囲内の周波数で周期的に放出するステップを含んでもよい。
【0053】
第2の成分は、キャリブレーション周波数範囲の最大値から第2の閾値周波数までの周波数を降下することによって当該周波数をスイープしてもよい。
【0054】
別の態様では、非一時的コンピュータ読取り可能媒体が提供される。非一時的コンピュータ読取り可能媒体は、制御デバイスに動作を実行させるように1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶する。当該動作は、選択されると少なくとも1つの再生デバイスのキャリブレーションを開始するように選択可能な制御部が選択されたことを示す入力データを検出するステップと、入力データの検出に応じて、少なくとも1つの再生デバイスに対して、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを放出するように少なくとも1つの再生デバイスに指示するコマンドを送信するステップを実行してもよい。周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。当該動作はさらに、少なくとも1つの再生デバイスから放出されたキャリブレーションサウンドの少なくとも一部をマイクを介して検出するステップを実行してもよい。
【0055】
動作はさらに、選択可能な制御部が選択されたことを示す入力データを検出すると、ネットワークインタフェースを介して再生デバイスにキャリブレーションサウンドを送信するステップを実行してもよい。
【0056】
動作はさらに、キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数を少なくともカバーするノイズを生成するステップと、第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数を少なくともカバーするスイープサインを生成するステップと、クロスオーバフィルタ関数を適用することによって、スイープサインとノイズを結合して周期的キャリブレーションサウンドを作るステップと、を実行してもよい。ここで、クロスオーバフィルタ関数は、(i)第1の閾値周波数よりも低い周波数を含むノイズの一部と、(ii)第2の閾値周波数よりも高い周波数を含むスイープサインの一部とを結合するものである。
【0057】
第2の閾値周波数は、第1の閾値周波数よりも低い周波数であり、第2の閾値周波数と第1の閾値周波数との間の周波数を含む移行周波数範囲においてノイズ成分とスイープサイン成分が重複してもよい。
【0058】
第2の成分は、キャリブレーション周波数範囲の最大値から第2の閾値周波数までの周波数を降下するサインスイープであってもよい。
【0059】
本開示が多数のその他の実施形態を含むことは当業者に理解される。本明細書に記載されるいくつかの例は、「ユーザ」および/又は他のエンティティなどの所定のアクターによって実行される機能を参照するが、これは説明の目的に過ぎない。特許請求の範囲自体の言葉によって明示的に要求されない限り、そのような例示的なアクターによるアクションが要求されるものと解釈されるべきではない。
【0060】
II.動作環境の例
図1は、本明細書で開示されている1つ又は複数の実施形態で実施可能又は実装可能なメディア再生システム100の例示的な構成を示す。図示されるように、メディア再生システム100は、複数の部屋および空間、例えば、主寝室、オフィス、ダイニングルーム、およびリビングルームを有する例示的なホーム環境と関連付けられている。
図1の例に示されるように、メディア再生システム100は、再生デバイス102〜124、制御デバイス126および128、有線又は無線のネットワークルータ130を含む。
【0061】
更に、例示的なメディア再生システム100の異なる構成要素、および異なる構成要素がどのように作用してユーザにメディア体験を提供するかに関しての説明は、以下のセクションで述べられている。本明細書における説明は、概してメディア再生システム100を参照しているが、本明細書で述べられている技術は、
図1に示されるホーム環境の用途に限定されるものではない。例えば、本明細書で述べられている技術は、マルチゾーンオーディオが望まれる環境、例えば、レストラン、モール、又は空港のような商業的環境、スポーツ用多目的車(SUV)、バス又は車のような車両、船、若しくはボード、飛行機などの環境において有益である。
【0062】
a.例示的なゾーンプレーヤー
図2は、
図1のメディア再生システム100の再生デバイス102〜124の1つ又は複数を構成する例示的な再生デバイス200の機能ブロック図を示す。再生デバイス200は、プロセッサ202、ソフトウェアコンポーネント204、メモリ206、オーディオ処理コンポーネント208、オーディオアンプ210、スピーカ212、およびネットワークインタフェース214を含んでもよい。ネットワークインタフェース214は、無線インタフェース216および有線インタフェース218を含む。ある場合では、再生デバイス200は、スピーカ212を含まないが、再生デバイス200を外部スピーカに接続するためのスピーカインタフェースを含んでいてもよい。別の場合では、再生デバイス200は、スピーカ212もオーディオアンプ210も含まないが、再生デバイス200を外部オーディオアンプ又はオーディオビジュアルレシーバーに接続するためのオーディオインタフェースを含んでもよい。
【0063】
ある例では、プロセッサ202は、メモリ206に記憶された命令に基づいて、入力データを処理するように構成されたクロック駆動コンピュータコンポーネントであってもよい。メモリ206は、プロセッサ202によって実行可能な命令を記憶するように構成された非一時的なコンピュータ読取り可能記録媒体であってもよい。例えば、メモリ206は、ある機能を実行するためにプロセッサ202によって実行可能なソフトウェアコンポーネント204の1つ又は複数をロードすることができるデータストレージであってもよい。ある例では、機能は、再生デバイス200がオーディオソース又は別の再生デバイスからオーディオデータを読み出すステップを含んでもよい。別の例では、機能は、再生デバイス200がネットワーク上の別のデバイス又は再生デバイスにオーディオデータを送信するステップを含んでもよい。更に別の例では、機能は、マルチチャネルオーディオ環境を作るために、再生デバイス200と1つ又は複数の再生デバイスとをペアリングするステップを含んでもよい。
【0064】
ある機能は、再生デバイス200が、1つ又は複数の他の再生デバイスと、オーディオコンテンツの再生を同期するステップを含む。再生を同期している間、再生デバイス200によるオーディオコンテンツの再生と1つ又は複数の他の再生デバイスによる再生との間の遅延を、リスナーが気づかないことが好ましい。「複数の独立クロックデジタルデータ処理デバイス間の動作を同期するシステムおよび方法」と題する米国特許第8,234,395号が本明細書に参照として援用されており、それは再生デバイス間のオーディオ再生を同期することが述べられたより詳細な例を提供している。
【0065】
更に、メモリ206は、データを記憶するように構成されていてもよい。データは、例えば、1つ又は複数のゾーンおよび/又はゾーングループに一部として含まれる再生デバイス200などの再生デバイス200、再生デバイス200によりアクセス可能なオーディオソース、又は再生デバイス200(又は他の再生デバイス)と関連付け可能な再生キュー、に関連付けられている。データは、定期的に更新され、再生デバイス200の状態を示す1つ又は複数の状態変数として記憶されてもよい。また、メモリ206は、メディアシステムの他のデバイスの状態と関連付けられたデータを含んでもよく、デバイス間で随時共有することによって、1つ又は複数のデバイスが、システムと関連するほぼ直近のデータを有することができる。他の実施形態も可能である。
【0066】
オーディオ処理コンポーネント208は、1つ又は複数のデジタル−アナログ変換器(DAC)、オーディオ処理コンポーネント、オーディオ強化コンポーネント、又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等を含んでいてもよい。ある実施形態では、1つ又は複数のオーディオ処理コンポーネント208は、プロセッサ202のサブコンポーネントであってもよい。ある実施形態では、オーディオコンテンツが、オーディオ処理コンポーネント208によって処理および/又は意図的に変更されることによって、オーディオ信号を生成してもよい。生成されたオーディオ信号は、オーディオアンプ210に送信され、増幅され、スピーカ212を通じて再生される。特に、オーディオアンプ210は、1つ又は複数のスピーカ212を駆動できるレベルまでオーディオ信号を増幅するように構成されたデバイスを含んでもよい。スピーカ212は、独立した変換器(例えば、「ドライバ」)又は1つ又は複数のドライバを内包する筐体を含む完全なスピーカシステムを備えてもよい。スピーカ212に備えられたあるドライバは、例えば、サブウーファー(例えば、低周波用)、ミドルレンジドライバ(例えば、中間周波用)、および/又はツイーター(高周波用)を含んでもよい。ある場合では、1つ又は複数のスピーカ212のそれぞれの変換器は、オーディオアンプ210の対応する個々のオーディオアンプによって駆動されてもよい。再生デバイス200で再生するアナログ信号を生成することに加えて、オーディオ処理コンポーネント208は、オーディオコンテンツを処理し、そのオーディオコンテンツを1つ又は複数の他の再生デバイスに再生させるために送信する。
【0067】
再生デバイス200によって処理および/又は再生されるオーディオコンテンツは、外部ソース、例えば、オーディオライン−イン入力接続(例えば、オートディテクティング3.5mmオーディオラインイン接続)又はネットワークインタフェース214を介して、受信されてもよい。
【0068】
ネットワークインタフェース214は、データネットワーク上で再生デバイス200と1つ又は複数の他のデバイスとの間のデータフローを可能にするように構成されてもよい。このように、再生デバイス200は、再生デバイスと通信する1つ又は複数の他の再生デバイス、ローカルエリアネットワーク内のネットワークデバイス、又は例えば、インターネット等のワイドエリアネットワーク上のオーディオコンテンツソースから、データネットワークを介してオーディオコンテンツを受信するように構成されていてもよい。ある例では、再生デバイス200によって送信および受信されたオーディオコンテンツおよび他の信号は、インターネットプロトコル(IP)に基づくソースアドレスおよびIPに基づく宛先アドレスを含むデジタルパケットの形で送信されてもよい。そのような場合、ネットワークインタフェース214は、デジタルパケットデータを解析することによって、再生デバイス200宛てのデータを、再生デバイス200によって適切に受信して処理することができる。
【0069】
図示されるように、ネットワークインタフェース214は、無線インタフェース216と有線インタフェース218とを含んでもよい。無線インタフェース216は、再生デバイス200用のネットワークインタフェース機能を提供し、通信プロトコル(例えば、無線規格IEEE802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、802.11ac、802.15、4Gモバイル通信基準などを含む無線基準(規格)のいずれか)に基づいて、他のデバイス(例えば、再生デバイス200に関連付けられたデータネットワーク内の他の再生デバイス、スピーカ、レシーバー、ネットワークデバイス、制御デバイス)と無線通信してもよい。有線インタフェース218は、再生デバイス200用のネットワークインタフェース機能を提供し、通信プロトコル(例えば、IEEE802.3)に基づいて他のデバイスとの有線接続を介して通信してもよい。
図2に示されるネットワークインタフェース214は、無線インタフェース216と有線インタフェース218との両方を含んでいるが、ネットワークインタフェース214は、ある実施形態において、無線インタフェースのみか、又は有線インタフェースのみを含んでいてもよい。
【0070】
ある例では、再生デバイス200と他の再生デバイスとは、ペアにされて、オーディオコンテンツの2つの別々のオーディオコンポーネントを再生してもよい。例えば、再生デバイス200は、左チャネルオーディオコンポーネントを再生するように構成される一方、他の再生デバイスは、右チャネルオーディオコンポーネントを再生するように構成されてもよい。これにより、オーディオコンテンツのステレオ効果を生成するか、又は強化することができる。ペアにされた再生デバイス(「結合再生デバイス」とも言う)は、更に、他の再生デバイスと同期してオーディオコンテンツを再生してもよい。
【0071】
別の例では、再生デバイス200は、1つ又は複数の他の再生デバイスと音響的に統合され、単一の統合された再生デバイス(統合再生デバイス)を形成してもよい。統合再生デバイスは、統合されていない再生デバイス又はペアにされた再生デバイスと比べて、サウンドの処理や再現を異なるように構成することができる。なぜならば、統合再生デバイスは、オーディオコンテンツを再生するスピーカ追加することができるからである。例えば、再生デバイス200が、低周波レンジのオーディオコンテンツを再生するように設計されている場合(例えば、サブウーファー)、再生デバイス200は、全周波数レンジのオーディオコンテンツを再生するように設計された再生デバイスと統合されてもよい。この場合、全周波数レンジの再生デバイスは、低周波の再生デバイス200と統合されたとき、オーディオコンテンツの中高周波コンポーネントのみを再生するように構成されてもよい。一方で低周波レンジの再生デバイス200は、オーディオコンテンツの低周波コンポーネントを再生する。更に、統合再生デバイスは、単一の再生デバイス、又は更に他の統合再生デバイスとペアにされてもよい。
【0072】
例として、現在、ソノズ・インコーポレイテッドは、「PLAY:1」、「PLAY:3」、「PLAY:5」、「PLAYBAR」、「CONNECT:AMP」、「CONNECT」、および「SUB」を含む再生デバイスを販売提供している。他の過去、現在、および/又は将来のいずれの再生デバイスにおいても、追加的に又は代替的に本明細書で開示された実施例の再生デバイスに実装して使用することができる。更に、再生デバイスは、
図2に示された特定の例又は提供されるソノズ製品に限定されないことは理解される。例えば、再生デバイスは、有線又は無線のヘッドホンを含んでもよい。別の例では、再生デバイスは、パーソナルモバイルメディア再生デバイス用のドッキングステーションを含むか、又は、それらと対話してもよい。更に別の例では、再生デバイスは、別のデバイス又はコンポーネント、例えば、テレビ、照明器具、又は屋内又は屋外で使用するためのいくつかの他のデバイスと一体化されてもよい。
【0073】
b.例示的な再生ゾーン構成
図1のメディア再生システムに戻って、環境は、1つ又は複数の再生ゾーンを有しており、それぞれの再生ゾーンは1つ又は複数の再生デバイスを含んでいる。メディア再生システム100は、1つ又は複数の再生ゾーンで形成されており、後で1つ又は複数のゾーンが追加又は削除して、
図1に示す例示的な構成としてもよい。それぞれのゾーンは、異なる部屋又は空間、例えば、オフィス、浴室、主寝室、寝室、キッチン、ダイニングルーム、リビングルーム、および/又はバルコニーに基づく名前が与えられてもよい。ある場合では、単一の再生ゾーンは複数の部屋又は空間を含んでいてもよい。別の場合では、単一の部屋又は空間は、複数の再生ゾーンを含んでいてもよい。
【0074】
図1に示されるように、バルコニー、ダイニングルーム、キッチン、浴室、オフィス、および寝室のゾーンのそれぞれは、1つの再生デバイスを有する一方、リビングルームおよび主寝室のゾーンのそれぞれは、複数の再生デバイスを有する。リビングルームゾーンは、再生デバイス104、106、108、および110が、別々の再生デバイスとしてか、1つ又は複数の結合再生デバイスとしてか、1つ又は複数の統合再生デバイスとしてか、又はこれらのいずれかの組み合わせで、オーディオコンテンツを同期して再生するように構成されてもよい。同様に、主寝室の場合では、再生デバイス122および124が、別々の再生デバイスとしてか、結合再生デバイスとしてか、又は統合再生デバイスとして、オーディオコンテンツを同期して再生するように構成されてもよい。
【0075】
ある例では、
図1の環境における1つ又は複数の再生ゾーンは、それぞれ異なるオーディオコンテンツを再生している。例えば、ユーザは、バルコニーゾーンでグリルしながら、再生デバイス102によって再生されるヒップホップ音楽を聞くことができる。一方、別のユーザは、キッチンゾーンで食事を準備しながら、再生デバイス114によって再生されるクラシック音楽を聞くことができる。別の例では、再生ゾーンは、同じオーディオコンテンツを別の再生ゾーンと同期して再生してもよい。例えば、ユーザがオフィスゾーンにいる場合、オフィスゾーンの再生デバイス118が、バルコニーの再生デバイス102で再生されている音楽と同じ音楽を再生してもよい。そのような場合、再生デバイス102および118は、ロック音楽を同期して再生しているため、ユーザは、異なる再生ゾーン間を移動してもアウト−ラウドで再生されるオーディオコンテンツをシームレス(又は少なくともほぼシームレス)に楽しむことができる。再生ゾーン間の同期は、前述の米国特許第8,234,395号で述べられているような再生デバイス間の同期と同様の方法で行ってもよい。
【0076】
上述したように、メディア再生システム100のゾーン構成は、動的に変更してもよく、ある実施形態では、メディア再生システム100は、複数の構成をサポートする。例えば、ユーザが1つ又は複数の再生デバイスを、物理的にゾーンに移動させるか、又はゾーンから移動させる場合、メディア再生システム100は変更に対応するように再構成されてもよい。例えば、ユーザが再生デバイス102をバルコニーゾーンからオフィスゾーンに物理的に移動させる場合、オフィスゾーンは、再生デバイス118と再生デバイス102との両方を含んでもよい。必要に応じて、制御デバイス、例えば制御デバイス126と128とを介して、再生デバイス102が、ペアにされるか、又はオフィスゾーンにグループ化されるか、および/又はリネームされてもよい。一方、1つ又は複数の再生デバイスが、再生ゾーンを未だ設定していないホーム環境において、ある領域に移動させられた場合、新しい再生ゾーンがその領域に形成されてもよい。
【0077】
更に、メディア再生システム100の異なる再生ゾーンは、動的にゾーングループに組み合わされてもよいし、又は別々の再生ゾーンに分割されてもよい。例えば、ダイニングルームゾーンとキッチンゾーン114とがディナーパーティ用のゾーングループに組み合わされることによって、再生デバイス112と114とがオーディオコンテンツを同期して再生することができる。一方、あるユーザがテレビを見たい一方、他のユーザがリビングルーム空間の音楽を聞きたい場合、リビングルームゾーンが、再生デバイス104を含むテレビゾーンと、再生デバイス106、108および110を含むリスニングゾーンと、に分けられてもよい。
【0078】
c.例示的な制御デバイス
図3は、メディア再生システム100の制御デバイス126と128とうちの一方又は両方を構成する例示的な制御デバイス300の機能ブロック図を示す。制御デバイス300は、コントローラ300とも称される。図示されるように、制御デバイス300は、プロセッサ302、メモリ304、ネットワークインタフェース306、およびユーザインタフェース308を含んでもよい。ある例では、制御デバイス300は、メディア再生システム100専用の制御デバイスであってもよい。別の例では、制御デバイス300は、メディア再生システムコントローラアプリケーションソフトウェアをインストールされたネットワークデバイス、例えば、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、又は任意の他のスマートフォン、タブレットあるいはネットワークデバイス(例えば、PC又はMac(登録商標)などのネットワークコンピュータ)であってもよい。
【0079】
プロセッサ302は、メディア再生システム100のユーザアクセス、コントロール、および構成を可能にすることに関する機能を実行するように構成されてもよい。メモリ304は、プロセッサ302によって実行可能な命令を記憶し、それらの機能を実行するように構成されていてもよい。また、メモリ304は、メディア再生システムコントローラアプリケーションソフトウェアと、メディア再生システム100とユーザとに関連付けられた他のデータを記憶するように構成されていてもよい。
【0080】
ある例では、ネットワークインタフェース306は、工業規格(例えば、赤外線、無線、IEEE802.3などの有線規格、IEEE802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、802.11ac、802.15などの無線規格、4G通信規格など)に基づいてもよい。ネットワークインタフェース306においては、制御デバイス300がメディア再生システム100内の他のデバイスと通信するための手段を提供してもよい。ある例では、データおよび情報(例えば、状態変数)は、ネットワークインタフェース306を介して制御デバイス300と他のデバイスとの間で通信されてもよい。例えば、メディア再生システム100における再生ゾーンおよびゾーングループの構成は、制御デバイス300によって、再生デバイス又は別のネットワークデバイスから受信されてもよいし、あるいは制御デバイス300によって、ネットワークインタフェース306を介して別の再生デバイス又はネットワークデバイスに送信されてもよい。ある場合では、他のネットワークデバイスは、別の制御デバイスであってもよい。
【0081】
ボリュームコントロールおよびオーディオ再生コントロールなどの再生デバイス制御コマンドは、ネットワークインタフェース306を介して制御デバイス300から再生デバイスに通信されてもよい。上述したように、メディア再生システム100の構成の変更は、ユーザにより制御デバイス300を用いて行うことができる。構成の変更は、1つ又は複数の再生デバイスをゾーンに追加すること、1つ又は複数の再生デバイスをゾーンから取り除くこと、1つ又は複数のゾーンをゾーングループに追加すること、1つ又は複数のゾーンをゾーングループから取り除くこと、結合プレーヤー又は統合プレーヤーを形成すること、結合プレーヤー又は統合プレーヤーから1つ又は複数の再生デバイスに分けることなどを含んでもよい。このように、制御デバイス300は、コントローラと呼ばれてもよく、制御デバイス300は、メディア再生システムコントローラアプリケーションソフトウェアをインストールした専用のコントローラか、又はネットワークデバイスであってもよい。
【0082】
制御デバイス300のユーザインタフェース308は、
図4に示されるコントローラインタフェース400などのようなコントローラインタフェースを提供することによって、メディア再生システム100のユーザアクセスおよび制御を可能にするように構成されていてもよい。コントローラインタフェース400は、再生制御領域410、再生ゾーン領域420、再生ステータス領域430、再生キュー領域440、およびオーディオコンテンツソース領域450を含む。図示されるユーザインタフェース400は、
図3の制御デバイス300などのようなネットワークデバイス(および/又は
図1の制御デバイス126および128)を設けられたユーザインタフェースの単なる一例であって、ユーザによってメディア再生システム100などのようなメディア再生システムを制御するためにアクセスされるものである。あるいは、様々なフォーマット、スタイル、および対話型シーケンスを他のユーザのインタフェースを1つ又は複数のネットワークデバイスに実装し、メディア再生システムへ類似の制御アクセスを提供してもよい。
【0083】
再生制御領域410は、(例えば、タッチ又はカーソルを用いることで)選択可能なアイコンを含んでもよい。このアイコンによって、選択された再生ゾーン又はゾーングループ内の再生デバイスが、再生又は停止、早送り、巻き戻し、次にスキップ、前にスキップ、シャッフルモードのオン/オフ、リピートモードのオン/オフ、クロスフェードモードのオン/オフを行う。再生制御領域410は、別の選択可能なアイコンを含んでもよい。別の選択可能なアイコンは、イコライゼーション設定、再生ボリュームなど他の設定などを変更してもよい。
【0084】
再生ゾーン領域420は、メディア再生システム100内の再生ゾーンの表示を含んでもよい。ある実施形態では、再生ゾーンのグラフィック表示が選択可能であってもよい。追加の選択可能なアイコンを移動させることによって、メディア再生システム内の再生ゾーンを管理又は構成することができる。例えば、結合ゾーンの作成、ゾーングループの作成、ゾーングループの分割、およびゾーングループのリネームなど他の管理又は構成を行うことができる。
【0085】
例えば、図示されるように、「グループ」アイコンは、再生ゾーンのグラフィック表示のそれぞれに設けられてもよい。あるゾーンのグラフィック表示内の「グループ」アイコンは、メディア再生システム内の1つ又は複数のゾーンを選択して、あるゾーンとグループ化するオプションを出せるように選択可能であってもよい。一度グループ化すると、あるゾーンとグループ化されたゾーン内の再生デバイスは、あるゾーン内の再生デバイスと同期してオーディオコンテンツを再生するように構成される。同様に、「グループ」アイコンは、ゾーングループのグラフィック表示内に設けられてもよい。この場合、「グループ」アイコンは、ゾーングループ内の1つ又は複数のゾーンをゾーングループから取り除くために、ゾーングループ内の1つ又は複数のゾーンを選択から外すというオプションを出すように選択可能であってもよい。ユーザインタフェース400等のユーザインタフェースを介してゾーンをグループ化およびグループ解除するための他の対話をすることも可能であるし、実施することも可能である。再生ゾーン領域420内の再生ゾーンの表示は、再生ゾーン又はゾーングループ構成が変更されると、動的に更新されてもよい。
【0086】
再生ステータス領域430は、現在再生されているオーディオコンテンツ、前に再生されたオーディオコンテンツ、又は選択された再生ゾーン又はゾーングループ内で次に再生するように予定されているオーディオコンテンツ、のグラフィック表示を含んでもよい。選択可能な再生ゾーン又は再生グループは、ユーザインタフェース上で、例えば、再生ゾーン領域420および/又は再生ステータス領域430内で視覚的に区別されてもよい。グラフィック表示は、トラックタイトル、アーティスト名、アルバム名、アルバム年、トラックの長さ、およびメディア再生システムを、ユーザインタフェース400を介して制御するときに、ユーザにとって有益な他の関連情報を含んでいてもよい。
【0087】
再生キュー領域440は、選択された再生ゾーン又はゾーングループと関連付けられた再生キュー内のオーディオコンテンツのグラフィック表示を含んでもよい。ある実施形態では、それぞれの再生ゾーン又はゾーングループは、再生ゾーン又は再生グループによって再生される0以上のオーディオアイテムに対応する情報を含む再生キューと関連付けられていてもよい。例えば、再生キュー内のそれぞれのオーディオアイテムは、ユー・アール・アイ(URI)、ユー・アール・エル(URL)、又は再生ゾーン又はゾーングループ内の再生デバイスによって使用可能な他の識別子を含んでいてもよい。これらによって、ローカルオーディオコンテンツソース又はネットワークオーディオコンテンツソース、からオーディオアイテムを見つけ、および/又は取り出し、再生デバイスによって再生することができる。
【0088】
ある例では、プレイリストが再生キューに追加されてもよい。この場合、プレイリスト内のそれぞれのオーディオアイテムに対応する情報が再生キューに追加されてもよい。別の例では、再生キュー内のオーディオアイテムは、プレイリストとして保存されてもよい。更に別の例では、再生デバイスがストリーミングオーディオコンテンツ、例えば、再生時間を有することで連続して再生されないオーディオアイテムよりも、停止しない限り連続して再生されるインターネットラジオを再生し続けているとき、再生キューは、空であってもよいし、又は「未使用」であるが埋められていてもよい。別の実施形態では、再生キューは、インターネットラジオおよび/又は他のストリーミングオーディオコンテンツアイテムを含むことができ、且つ再生ゾーン又はゾーングループがそれらのアイテムを再生しているとき「未使用」とすることができる。他の例も可能である。
【0089】
再生ゾーン又はゾーングループが「グループ化される」か、又は「グループ解除」されるとき、影響を受ける再生ゾーン又はゾーングループに関連付けられた再生キューは、クリアされてもよいし、又は再び関連付けられてもよい。例えば、第1再生キューを含む第1再生ゾーンが、第2再生キューを含む第2再生ゾーンとグループ化された場合、形成されたゾーングループは、関連付けられた再生キューを有していてもよい。関連付けられた再生キューは、最初は空であるか、(例えば、第2再生ゾーンが第1再生ゾーンに追加された場合、)第1再生キューのオーディオアイテムを含むか、(例えば、第1再生ゾーンが第2再生ゾーンに追加された場合、)第2再生キューのオーディオアイテムを含むか、又は第1再生キューと第2再生キューとの両方のオーディオアイテムを組み合わせられる。その後、形成されたゾーングループがグループ解除された場合、グループ解除された第1再生ゾーンは、前の第1再生キューと再び関連付けられてもよいし、空の新しい再生キューと関連付けられてもよいし、あるいはゾーングループがグループ解除される前にゾーングループと関連付けられていた再生キューのオーディオアイテムを含む新しい再生キューと関連付けられてもよい。同様に、グループ解除された第2再生ゾーンは、前の第2再生キューと再び関連付けられてもよいし、空の新しい再生キューと関連付けられてもよいし、あるいはゾーングループがグループ解除される前にゾーングループと関連付けられていた再生キューのオーディオアイテムを含む新しい再生キューと関連付けられてもよい。その他の例も可能である。
【0090】
図4のユーザインタフェース400に戻って、再生キュー領域440内のオーディオコンテンツのグラフィック表示は、トラックタイトル、アーティスト名、トラックの長さ、および再生キュー内のオーディオコンテンツと関連付けられた他の関連情報を含んでいてもよい。ある例では、オーディオコンテンツのグラフィック表示は、追加の選択可能なアイコンを選択して移動させることができる。これにより、再生キューおよび/又は再生キューに表示されたオーディオコンテンツを管理および/又は操作することができる。例えば、表示されたオーディオコンテンツは、再生キューから取り除いてもよいし、再生キュー内の異なる位置に移動させてもよいし、すぐに再生させるか若しくは現在再生しているオーディオコンテンツの後に再生するように選択されてもよいし、あるいは他の動作を実行してもよい。再生ゾーン又はゾーングループに関連付けられた再生キューは、再生ゾーン又はゾーングループ内の1つ又は複数の再生デバイスのメモリ、再生ゾーン又はゾーングループに入っていない再生デバイスのメモリ、および/又は他の指定のデバイスのメモリに記憶されていてもよい。このような再生キューの再生には、1つ又は複数の再生デバイスによる当該再生キューのメディアアイテムの再生(おそらく連続再生又はランダム再生)が含まれてもよい。
【0091】
オーディオコンテンツソース領域450は、選択可能なオーディオコンテンツソースのグラフィック表示を含んでいてもよい。このオーディオコンテンツソースにおいては、オーディオコンテンツが選択された再生ゾーン又はゾーングループによって取り出され、再生されてもよい。オーディオコンテンツソースに関する説明は、以降のセクションを参照することができる。
【0092】
d.例示的なオーディオコンテンツソース
前回図示したように、ゾーン又はゾーングループ内の1つ又は複数の再生デバイスは、再生するオーディオコンテンツを、(例えば、オーディオコンテンツの対応するURI又はURLに基づいて、)複数の入手可能なオーディオコンテンツソースから取り出すように構成されていてもよい。ある例では、オーディオコンテンツは、再生デバイスによって、対応するオーディオコンテンツソース(例えば、ライン−イン接続)から直接取り出されてもよい。別の例では、オーディオコンテンツは、1つ又は複数の他の再生デバイス若しくはネットワークデバイスを介してネットワーク上の再生デバイスに提供されてもよい。
【0093】
例示的なオーディオコンテンツソースは、メディア再生システム内の1つ又は複数の再生デバイスのメモリを含んでもよい。メディア再生システムとしては、例えば、
図1のメディア再生システム100、1つ又は複数のネットワークデバイス上のローカルミュージックライブラリ(例えば、制御デバイス、ネットワーク対応のパーソナルコンピュータ、又はネットワーク接続ストレージ(NAS)など)、インターネット(例えば、クラウド)を介してオーディオコンテンツを提供するストリーミングオーディオサービス、あるいは再生デバイス又はネットワークデバイスのライン−イン入力接続を介してメディア再生システムに接続されるオーディオソース、他の可能なシステムであってもよい。
【0094】
ある実施形態では、オーディオコンテンツソースは、
図1のメディア再生システム100などのようなメディア再生システムに定期的に追加されてもよいし、定期的に取り除かれてもよい。ある例では、1つ又は複数のオーディオコンテンツソースが追加される、取り除かれる、又は更新される度に、オーディオアイテムのインデックス付けが行われてもよい。オーディオアイテムのインデックス付けは、ネットワーク上で共有される全てのフォルダ/ディレクトリ内の識別可能なオーディオアイテムをスキャンすることを含んでもよい。ここで、ネットワークは、メディア再生システム内の再生デバイスによってアクセス可能である。また、オーディオアイテムのインデックス付けは、メタデータ(例えば、タイトル、アーティスト、アルバム、トラックの長さなど)と他の関連情報とを含むオーディオコンテンツデータベースを作成すること、又は更新すること、を含んでもよい。他の関連情報とは、例えば、それぞれの識別可能なオーディオアイテムを見つけるためのURI又はURLを含んでもよい。オーディオコンテンツソースを管理し、且つ維持するための他の例も可能である。
【0095】
ここで、いくつかの例示的な実施例に移る。
図5、
図14、
図16に示す実施例500、1400、1600はそれぞれ、本明細書に開示された技術の例示的な実施形態を表す。これらの例示的な実施形態は、例えば、
図1のメディア再生システム100、
図2の再生デバイス200の1つ又は複数、あるいは
図3の制御デバイス300の1つ又は複数を含む動作環境内で実施することができる。さらに、メディア再生システムによって実行される例示として示される動作は、メディア再生システムの再生デバイス又は制御デバイスなどの任意の適切なデバイスによって実行される。実施例500、1400、1600は、
図5、
図14、
図16に示されるブロックのうちの1つ又は複数によって示されるような1つ又は複数の動作、機能、又はアクションを含んでもよい。ブロックは順番に図示されるが、これらのブロックは、並行しておよび/又は本明細書中に記載される順序とは異なる順序で行われてもよい。また、様々なブロックを更に少ない数のブロックへの統合、付加的なブロックへの分割、および/又は、所望の実施に基づいて除去してもよい。
【0096】
加えて、本明細書中に開示される実施例に関して、フローチャートは、本実施形態の1つの想定し得る実施例の機能および操作を示す。これに関して、各ブロックは、プロセスにおける特定の論理的な機能又はステップを実施するためにプロセッサによって実行可能な1つ又は複数の命令を含むモジュール、セグメント、又はプログラムコードの一部を表わしてもよい。プログラムコードは、例えば、ディスク又はハードドライブを含む記憶デバイスなどの任意のタイプのコンピュータ読取り可能媒体に記憶されてもよい。コンピュータ読取り可能媒体は、例えばレジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、および、ランダムアクセスメモリ(RAM)のような短時間データを記憶するコンピュータ読取り可能媒体などの非一時的なコンピュータ読取り可能媒体を含んでもよいまた、コンピュータ読取り可能媒体は、例えばリードオンリーメモリ(ROM)、光ディスク又は磁気ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)のような二次的な又は永続的な長期記憶装置などの非一時的な媒体を含んでもよい。また、コンピュータ読取り可能媒体は、任意の他の揮発性又は不揮発性記憶システムであってもよい。コンピュータ読取り可能媒体は、例えば、コンピュータ読取り可能記憶媒体又は有形記憶装置と見なされてもよい。更に、本明細書中に開示される実施例に関して、各ブロックは、プロセスにおける特定の論理的な機能を行うように配線される回路を表わしてもよい。
【0097】
III.再生デバイスにハイブリッドキャリブレーションサウンドを再生させることによって再生デバイスのキャリブレーションを促進する例示的な技術
上述したように、本明細書で説明する実施形態は、1つ又は複数の再生デバイスのキャリブレーションを促進することができる。
図5は、再生デバイスにハイブリッドキャリブレーションサウンドを再生させる例示的な実施例500を示す。
【0098】
a.少なくとも1つの再生デバイスのキャリブレーションを開始するトリガ条件の検出
実施例500は、少なくとも1つの再生デバイスのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む(ブロック502)。例えば、メディア再生システム100の制御デバイス126などの制御デバイスは、制御デバイス126に再生デバイス(例えば、再生デバイス102〜124のうちの1つ)のキャリブレーションを開始させるトリガ条件を検出することができる。あるいは、メディア再生システムの再生デバイスは、そのようなトリガ条件を検出してもよい(おそらく、そのトリガ条件のインジケーションを制御デバイスに中継する)。上述したように、再生デバイスのキャリブレーションには、所定の環境におけるスピーカの音響特性を改善しようとして、再生デバイスのスピーカ(すなわち、チャネル)の1つ又は複数の音響パラメータを調整するステップが含まれてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、トリガ条件の検出には、選択可能な制御部の選択を示す入力データを検出するステップが含まれる。制御デバイス126のような制御デバイスは、例えば、1つ又は複数の制御部を含むインタフェース(例えば、
図4の制御インタフェース400)を表示してもよく、当該制御部は選択されると、1つの再生デバイス又は複数の再生デバイスによるグループ(例えば、ゾーン)のキャリブレーションを開始する。
【0100】
このような制御を説明するために、
図6は、例示的な制御インタフェース602を表示している制御デバイス600(例えば、スマートフォン)を示す。制御インタフェース602はグラフィック領域604を含み、グラフィック領域604は、選択可能な制御606(開始)が準備できているときにタップするよう促す。選択されると、選択可能な制御部606は、キャリブレーション手順を開始する。図示されるように、選択可能な制御部606はボタンによる制御部である。一例としてボタンによる制御部が示されているが、他のタイプの制御部も考えられる。
【0101】
制御インタフェース602はグラフィカル領域608をさらに含み、グラフィカル領域608は、キャリブレーション手順をどのように支援するかを示すビデオを含んでいる。いくつかのキャリブレーション手順には、複数の物理的位置でキャリブレーションサウンドのサンプルを得るためにマイクを環境内で移動させるステップが含まれる。ユーザにマイクの移動を促すために、制御デバイスは、キャリブレーション中に実行されるべき1つ又は複数のステップを示すビデオ又はアニメーションを表示することができる。
【0102】
キャリブレーション中の制御デバイスの移動を図示するために、
図7は、
図1のメディア再生システム100を示す。
図7は経路700を示しており、経路700は、制御デバイス(例えば、制御デバイス126)がキャリブレーション中に移動した可能性のある経路である。上述したように、制御デバイスは、特にビデオ又はアニメーションのような様々な方法でこのような移動をどのように行うかを示すことができる。
【0103】
他の例では、トリガ条件の検出には、再生デバイスを異なる位置に移動させたことによって引き起こされた可能性がある再生デバイスの非キャリブレーション状態を再生デバイスが検出するステップが含まれる。再生デバイスは、例えば、動きに高感度な1つ又は複数のセンサ(例えば、加速度計)を介して物理的な動きを検出する。別の例として、再生デバイスは、例えば第1ゾーンを離れて第2ゾーンに移動する命令を制御デバイスから受信することによって、別のゾーンに移動(例えば、「キッチン」ゾーンから「リビング」ゾーン)したことを検出する。
【0104】
さらなる例では、トリガ条件の検出には、デバイスによるシステム内の新しい再生デバイス(例えば、制御デバイス又は再生デバイス)の検出が含まれる。そのような再生デバイスは環境に対してまだキャリブレーションされていない可能性がある。例えば、制御デバイスは、メディア再生システムのセットアップ手順の一部(例えば、1つ又は複数の再生デバイスをメディア再生システムに構成する手順)として新しい再生デバイスを検出することができる。その他の場合には、制御デバイスは、メディア再生システムを構成するリクエスト(例えば、付加的な再生デバイスによりメディア再生システムを構成するリクエスト)を示す入力データを検出することによって、新しい再生デバイスを検出してもよい。
【0105】
b.再生デバイスにキャリブレーションサウンドを鳴らすように指示する送信コマンド
図5に戻ると、ブロック504において、実施例500は、少なくとも1つの再生デバイスにキャリブレーションサウンドを放出するように命令するコマンドを送信するステップを含む。例えば、メディア再生システム100の制御デバイス126などの制御デバイスは、再生デバイス(例えば、再生デバイス102〜124のうちの1つ)にキャリブレーションサウンドを放出するようにするコマンドを送信する。制御デバイスは、ネットワークインタフェース(例えば、有線又は無線のネットワークインタフェース)を介してコマンドを送信することができる。再生デバイスは、おそらくネットワークインタフェースを介してそのようなコマンドを受信し、それに応答してキャリブレーションサウンドを放出することができる。
【0106】
放出されるキャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周波数を含んでもよい。上記のように、制御デバイスは、再生デバイスをキャリブレーションすべき周波数の範囲(すなわちキャリブレーション範囲)においてキャリブレーションサウンドを分析することができる。したがって、コマンドは、キャリブレーション周波数範囲をカバーするキャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに指示することができる。キャリブレーション周波数範囲は、再生デバイスが放出することができる周波数の範囲(例えば、15〜30000Hz)を含み、また、人間の聴力の範囲内にあると考えられる周波数を含んでもよい(例えば、20〜20000Hz)。そのような周波数の範囲をカバーするキャリブレーショントーンを放出することによって、その範囲を含む周波数応答が再生デバイスに対して決定されてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、再生デバイスは、キャリブレーション手順の間にキャリブレーションサウンドを繰り返し放出することができ、それぞれの繰り返しの間にキャリブレーションサウンドがキャリブレーション周波数範囲をカバーするようにしてもよい。移動するマイクを使用した場合、環境内の異なる物理的位置でキャリブレーションサウンドの繰り返しが検出され、それによって環境全体で間隔を空けた複数のサンプルが提供される。場合によっては、キャリブレーションサウンドは、各期間のいずれもがキャリブレーション周波数範囲をカバーするような周期的キャリブレーション信号であってもよい。
【0108】
周波数応答の決定を容易に行うために、キャリブレーションサウンドを各周波数で十分なエネルギーで放出することにより、背景ノイズを克服する必要がある。所定の周波数でエネルギーを増加させるためには、その周波数のトーンをより長い時間放出するようにしてもよい。しかしながら、キャリブレーションサウンドの期間を長くすることにより、キャリブレーション手順の空間分解能は、移動するマイクが各期間中にさらに移動するので(比較的一定の速度を仮定)、減少する。所定の周波数でエネルギーを増加させる別の技術として、再生デバイスがトーンの強度を増加させてもよい。しかしながら、その場合、短い時間で十分なエネルギーを放出しようとすると、再生デバイスのスピーカドライバが損傷する場合がある。
【0109】
いくつかの実施例では、これらの考察をバランスさせるために、再生デバイスに、約3/8秒の持続時間(例えば、1/4〜1秒の範囲の持続時間)の周期を有するキャリブレーションサウンドを放出するように指示することができる。言い換えれば、キャリブレーションサウンドは、2〜4Hzの周波数で繰り返すことができる。このような持続時間は、典型的な環境(例えば、静かな部屋)における背景ノイズを克服するために各周波数で十分なエネルギーのトーンを提供するのに十分に長く、かつ、空間分解能を許容範囲内(例えば、通常の歩行速度を仮定して数フィート以下)に維持するために十分に短いものであってもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、コマンドは、再生デバイスに、それぞれの波形を有する第1の成分と第2の成分を組み合わせたハイブリッドキャリブレーションサウンドを放出するように指示することができる。例えば、例示的なハイブリッドキャリブレーションサウンドは、特定の周波数にノイズを含む第1の成分と、他の周波数をスイープする第2の成分(例えば、スイープサイン)とを含む。ノイズ成分は、キャリブレーション周波数範囲の比較的低い周波数(例えば、10〜50Hz)をカバーし、その一方で、スイープ信号成分は同範囲におけるノイズ成分よりも高い周波数をカバーしてもよい(例えば、50Hzより大きい周波数)。このようなハイブリッドキャリブレーションサウンドは、それぞれ信号成分の利点を組み合わせることができる。
【0111】
スイープ信号(例えば、チャープ又はスイープサイン)は、時間とともに周波数が増加又は減少する波形である。ハイブリッドキャリブレーションサウンドの構成要素としてこのような波形を含めた場合、キャリブレーション周波数範囲(又はその一部)にわたって増加又は減少するスイープ信号を選択することができるので、キャリブレーション周波数範囲をカバーすることが容易になる。例えば、チャープは、当該チャープ内の各周波数を比較的短い時間期間にわたって放出し、いくつかの他の波形に対してキャリブレーション範囲をより効率的にカバーすることができる。
図8は、チャープの一例を示すグラフ800を示す。
図8に示すように、波形の周波数は時間とともに増加し(X軸上にプロット)、各周波数においてトーンが比較的短時間の間放出される。
【0112】
しかしながら、チャープ内の各周波数は比較的短い時間だけ放出されるので、チャープの振幅(又は音響強度)は、典型的なバックグラウンドノイズを克服するために低周波数では比較的高くなければならない。スピーカによっては、このような高強度のトーンをダメージを与えることなく出力することができない場合がある。さらに、そのような高強度トーンは、移動するマイクを含むキャリブレーション手順が予想されるため、再生デバイスの可聴範囲内で人間にとって不快である可能性がある。したがって、キャリブレーションサウンドのいくつかの実施形態には、比較的低い周波数(例えば、50Hz未満)に及ぶチャープが含まれない。代わりに、チャープ信号又はスイープ信号が、比較的低い閾値周波数(例えば、約50〜100Hzの周波数)とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をカバーする。キャリブレーション範囲の最大値は、キャリブレーションサウンドを放出するチャネルの物理的能力に対応することができ、20000Hz以上であってもよい。
【0113】
スイープ信号は、移動するマイクによって引き起こされる位相歪みの反転を促進することができる。上記のように、移動するマイクは位相歪みを引き起こし、これにより、検出されたキャリブレーションサウンドからの周波数応答の決定が妨げられる場合がある。しかしながら、スイープ信号では、各周波数の位相が(ドップラーシフトとして)予測可能である。この予測可能性によって、位相歪みの反転が促進され、検出されたキャリブレーションサウンドを、放出されたキャリブレーションサウンドに分析中に相関させることができる。このような相関を用いて、キャリブレーションサウンドに対する環境の影響を決定することができる。
【0114】
上述したように、スイープ信号は時間とともに周波数を増加又は減少させることができる。いくつかの実施形態では、制御デバイスは、キャリブレーション範囲(又はそれ以上)の最大値から閾値周波数(又はそれ以下)へ降下するチャープを放出するように再生デバイスに指示することができる。降下のチャープは、人間の外耳道の物理的形状との関係で、上昇のチャープよりもリスナーに好ましく聞こえる場合がある。いくつかの実施例では下降のスイープ信号を使用するが、上昇のスイープ信号もキャリブレーションに有効となる場合がある。
【0115】
上述のように、例示的なキャリブレーションサウンドは、スイープ信号成分に加えてノイズ成分を含む場合がある。ノイズとはランダム信号のことであり、場合によってはオクターブあたりのエネルギーが等しくなるようにフィルタリングされる。ノイズ成分が周期的である実施形態では、ハイブリッドキャリブレーションサウンドのノイズ成分は擬似乱数であると考えられる。キャリブレーションサウンドのノイズ成分は、キャリブレーションサウンドの実質的に全部の期間又は繰り返しの間で放出されてもよい。これにより、ノイズ成分によってカバーされる各周波数がより長い持続時間にわたって放出されることとなり、背景ノイズを克服するために典型的に必要とされる信号強度が減少する。
【0116】
さらに、ノイズ成分は、チャープ成分よりも小さい周波数範囲をカバーする場合があり、その場合、当該範囲内の各周波数での音エネルギーが増加する。上述のように、ノイズ成分は、周波数範囲の最小値と閾値周波数との間の周波数をカバーする場合がある(例えば、約50〜100Hzの周波数付近)。キャリブレーション範囲の最大値と同様に、キャリブレーション範囲の最小値は、キャリブレーションサウンドを放出するチャネルの物理的能力に対応してもよい(例えば、20Hz以下)。
【0117】
図9は、ブラウンノイズの一例を示すグラフ900を示す。ブラウンノイズは、ブラウン運動に基づくノイズの一種である。場合によっては、再生デバイスは、ノイズ成分にブラウンノイズを含むキャリブレーションサウンドを放出する。ブラウンノイズは、滝や豪雨と同様に「ソフト」な質感を持ち、一部のリスナーにとっては心地よい場合がある。いくつかの実施形態では、ブラウンノイズを使用してノイズ成分を作ることができるが、他の実施形態では、ピンクノイズ又はホワイトノイズなど、その他のタイプのノイズを使用してノイズ成分を作ることができる。
図9に示すように、例示的なブラウンノイズの強度は、1オクターブあたり6dB(Hz10倍ごとに20dB)減少している。
【0118】
ハイブリッドキャリブレーションサウンドのいくつかの実施例では、ノイズ成分とスイープ成分が重なる移行周波数範囲が含まれる。上記のように、いくつかの例では、制御デバイスは、第1の成分(例えば、ノイズ成分)と第2の成分(例えば、スイープ信号成分)とを含むキャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに指示することができる。第1の成分は、キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含み、第2の成分は、第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数を通じてスイープする。
【0119】
これらの信号をオーバーラップさせるために、第2の閾値周波数を、第1の閾値周波数よりも低い周波数としてもよい。そのような構成では、移行周波数範囲は、第2の閾値周波数と第1の閾値周波数との間の周波数を含む(例えば、50〜100Hz)。これらの成分を重ね合わせることによって、再生デバイスは、2つのタイプの音の間の移行が厳しいことに関連して不快な音を放出することを回避することができる。
【0120】
図10A、10Bは、キャリブレーション周波数範囲1000をカバーする例示的なハイブリッドキャリブレーション信号の成分を示す。
図10Aは、例示的なキャリブレーションサウンドの第1の成分1002A(すなわち、ノイズコンポーネント)と、第2の成分1004Aとを示す。成分1002Aは、キャリブレーション範囲1000の最小値1006Aから第1の閾値周波数1008Aまでの周波数をカバーする。成分1004Aは、第2の閾値1010Aからキャリブレーション周波数範囲1000の最大値までの周波数をカバーする。図示のように、閾値周波数1008Aと閾値周波数1010Aは同じ周波数である。
【0121】
図10Bは、その他の例示的なキャリブレーションサウンドの第1の成分1002B(すなわち、ノイズ成分)および第2の成分1004Bを示す。成分1002Bは、キャリブレーション範囲1000の最小値1008Bから第1の閾値周波数1008Aまでの周波数をカバーする。成分1004Aは、第2閾値周波数1010Bからキャリブレーション周波数範囲1000の最大値1012Bまでの周波数をカバーする。図示されているように、閾値周波数1010Bは、閾値周波数1008Bよりも低い周波数であり、これにより、成分1002Bと成分1004Bは、閾値周波数1010Bから閾値周波数1008Bまでの移行周波数範囲で重なる。
【0122】
図11は、フレーム1100として表される例示的なハイブリッドキャリブレーションサウンドの反復(例えば、周期又はサイクル)の一例を示す。フレーム1100は、スイープ信号成分1102およびノイズ成分1104を含む。スイープ信号成分1102は、下向きに傾斜した線として示されており、キャリブレーション範囲の周波数を通じて下降するスイープ信号を示す。ノイズ成分1104は、フレーム1100全体にわたる低周波のノイズを示す領域として示される。図示のように、スイープ信号成分1102およびノイズ成分は、移行周波数範囲において重複する。キャリブレーションサウンドの期間1106は、約3/8秒であり(例えば、1/4〜1/2秒の範囲)、実施例によっては単一チャネルのキャリブレーション周波数範囲をカバーするのに十分な時間である。
【0123】
図12は、例示的な周期的キャリブレーションサウンド1200を示す。ハイブリッドキャリブレーションサウンド1100の5回の反復(例えば、周期)が、フレーム1202、1204、1206、1208、1210として表される。それぞれの反復又はフレームにおける周期的キャリブレーションサウンド1200は、2つの成分(例えば、ノイズ成分とスイープ信号成分)を使用してキャリブレーション周波数範囲をカバーする。
【0124】
いくつかの実施形態では、キャリブレーションサウンドにスペクトル調整を適用して、キャリブレーションサウンドに所望の形状を与えるか、又はロールオフすることができ、これにより、スピーカドライバの過負荷を回避することができる。例えば、キャリブレーションサウンドは、1オクターブあたり3dB、又は1/fでロールオフするようにフィルタリングされる。このようなスペクトル調整は、スピーカドライバの過負荷を防止するための低周波の変化には適用されない可能性がある。
【0125】
いくつかの実施形態では、キャリブレーションサウンドを予め生成される。予め生成されたキャリブレーションサウンドは、制御デバイス、再生デバイス、又はサーバ(例えば、メディア再生システムにクラウドサービスを提供するサーバ)に記憶されてもよい。場合によっては、制御デバイス又はサーバは、予め生成されたキャリブレーションサウンドを、ネットワークインタフェースを介して再生デバイスに送ることができ、再生デバイスはそれ自体のネットワークインタフェースを介して当該キャリブレーションサウンドを取り出すことができる。あるいは、制御デバイスは、キャリブレーションサウンドのソースの指示(例えば、URI)を再生デバイスに送信することができ、再生デバイスはキャリブレーションサウンドを取得するために当該指示を使用することができる。
【0126】
あるいは、制御デバイス又は再生デバイスがキャリブレーションサウンドを生成してもよい。例えば、所定のキャリブレーション範囲に対して、制御デバイスは、少なくともキャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数をカバーするノイズと、少なくとも第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をカバーするスイープ信号とを生成する。制御デバイスは、クロスオーバフィルタ機能を適用することにより、スイープサインとノイズを組合わせて周期的キャリブレーションサウンドを作ることができる。クロスオーバフィルタ機能は、第1の閾値周波数よりも低い周波数を含む生成ノイズの一部と、第2の閾値周波数よりも高い周波数を含む生成スイープサインの一部とを組み合わせて、所望のキャリブレーションサウンドを得ることができる。キャリブレーションサウンドを生成するデバイスは、ハイブリッドキャリブレーションサウンドの成分を生成および/又は結合するアナログ回路および/又はデジタル信号プロセッサを有してもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、再生デバイスにキャリブレーションサウンドを鳴らすように命令するコマンドを送る前に、制御デバイスは、環境ノイズがキャリブレーション手順に影響を及ぼすほどに環境内の周囲ノイズが閾値レベルを超えているかどうかを判定する。閾値レベルは、静かな部屋と一致してもよい(例えば、30〜50dB)。周囲ノイズが閾値音圧レベルを超えている場合、制御デバイスは、キャリブレーション環境の周囲ノイズレベルを低下させる要求をグラフィカルインタフェースに表示させることができる。このような表示を提供する間、又は提供した後、制御デバイスは環境の音圧レベルを再試験して、環境の周囲ノイズが閾値レベル以下に低下したか否かを判定してもよい。制御デバイスが周囲音圧レベルをテストする場合を例示して説明したが、代替的な実施形態では、再生デバイスが環境内の周囲ノイズが閾値レベルを超えているかどうかを判定し、このステータス(又は環境の音圧レベル)を制御デバイスに送信する。
【0128】
再生デバイスにキャリブレーションサウンドを鳴らさせる命令は、キャリブレーション手順に影響を及ぼすパラメータを含む(又は別個の送信を伴う)ことができる。例えば、制御デバイスは、再生デバイスにマイクの種類(又はマイクの種類を示す制御デバイスの種類)の指示を送信してもよい。最終的にキャリブレーションサウンドを検出するために使用されるマイクは独自の応答を有する場合があり、当該応答はキャリブレーションサウンドがどのように知覚されるかに影響を及ぼす可能性がある。例えば、所定のマイクは、10Hzから22000Hzまでの間の周波数に高感度であり、この範囲外のキャリブレーションサウンドの任意の部分がマイクによって検出されないようになっている。別の例として、特定のマイクは特定の周波数に対して高感度又は低感度であり、これにより、特定の周波数が比較的大きく又は静かであるとマイクによって検出されるようになっている。マイクのこのような特性を相殺することによって、キャリブレーション手順を改善することができる。
【0129】
キャリブレーション手順に影響を及ぼす別のパラメータは、部屋の大きさである。再生デバイスは、部屋の大きさに比例するボリュームでキャリブレーションサウンドを放出するからである。例えば、キャリブレーション環境が比較的広い部屋であるという指示を受信すると、再生デバイスは、第1の音量レベル(比較的高い音圧レベル)でキャリブレーションサウンドを放出する。逆に、キャリブレーション環境が比較的小さい部屋であるという指示を受信すると、再生デバイスは、第1の音量レベルよりも低い音圧レベルである第2の音量レベルでキャリブレーションサウンドを放出する。音圧レベルが高ければ、キャリブレーションサウンドが広い環境を伝播するとともに、周囲ノイズに勝って検出できるほど十分な強度でマイクに反射して戻ってくることを促進することができる。
【0130】
キャリブレーションサウンドはまた、再生デバイスの種類に基づいてもよい。再生デバイスは、ある周波数では他の周波数よりも強く又は弱く音を出すことがある。例えば、トゥイーターを備えた再生デバイスは、トゥイーターがない再生デバイスよりも高い強度で高周波数を放出することができる。さらに、このような再生デバイスは、トゥイーターがない再生デバイスよりも高い周波数を出力できる場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、再生デバイスはキャリブレーションサウンドを調整して、特定の周波数における音の強さを増減させるか、又は再生デバイスのタイプ(およびその能力)に基づいて特定のキャリブレーション範囲を決定する。
【0131】
c.放出されたキャリブレーションサウンドを検出
図5に示すように、実施例500は、放出されたキャリブレーションサウンドを検出するステップを含む(ブロック506)。例えば、メディア再生システム100の制御デバイス126などの制御デバイスは、放出されたキャリブレーションサウンドの少なくとも一部をマイクを介して検出する。マイクがキャリブレーション環境全体にわたって動いていると仮定すると、制御デバイスは、当該環境内の異なる複数の物理的位置でキャリブレーションサウンドの反復を検出することができるため、環境全体をより良く理解することができる。
【0132】
例えば、
図7を参照すると、制御デバイス126は、経路700に沿った様々なポイント(例えば、ポイント702および/又はポイント704)で、再生デバイス(例えば、再生デバイス108)によって放出されたキャリブレーションサウンドを検出する。あるいは、制御デバイスは、キャリブレーション信号を経路に沿って記録してもよい。いくつかの実施形態では、再生デバイスは、経路に沿った異なる地点でキャリブレーション信号のインスタンスを記録するように、周期的キャリブレーション信号を再生する(又は、おそらく同じキャリブレーション信号を繰り返す)ことができる。このような記録を比較することで、環境内のある物理的位置から別の物理的位置で音響特性がどのように変化するかを示すことができる。これは、当該環境で再生デバイスに選択されるキャリブレーション設定に影響を及ぼす。
【0133】
制御デバイスがキャリブレーションサウンドを記録した後、キャリブレーションサウンドの記録を分析して、再生デバイスのキャリブレーション設定を決定することができる。いくつかの実施形態では、制御デバイスは、キャリブレーションサウンドそのものを分析する。あるいは、制御デバイスは、記録(又はその一部)を、別のコンピューティングシステム(おそらく、パーソナルコンピュータ又はサーバ(例えば、クラウドコンピューティングサービスを提供することに関与するサーバ)などのより多くの処理能力を有するコンピューティングシステム)に送信してもよい。
【0134】
図13は、検出されたキャリブレーションサウンドを分析する技術の実施例1300を示す。ブロック1302において、制御デバイスは、おそらく
図6のブロック506に関連して説明した技術を使用して、キャリブレーションサウンドを検出する。ブロック1304において、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、
図2に示される制御デバイス200のプロセッサ202)は、検出されたキャリブレーションサウンドを入力として受信する。ブロック1306において、1つ又は複数のプロセッサは、
図12のフレーム1202からフレーム1210のようなキャリブレーションサウンドのフレーム(例えば、期間)を識別する。上述のように、個々のフレームはキャリブレーションサウンドの繰り返しを含むことにより、キャリブレーション周波数範囲にわたる周波数をカバーする検出音を含む。
【0135】
ブロック1308において、1つ又は複数のプロセッサは、キャリブレーションサウンドを検出するために使用されるマイクの特性を補正する。このような補正を容易にするために、ブロック1310において、1つ又は複数のプロセッサは、マイクの周波数応答を示すマイク補正曲線を受信する。このような曲線を使用して、1つ又は複数のプロセッサは、検出されるキャリブレーションサウンドに対する特定のマイクの影響を相殺することができる。
【0136】
ブロック1312において、1つ又は複数のプロセッサは、各フレームにおける検出されたキャリブレーションサウンドのそれぞれが、対ノイズ比の閾値信号を満たすか否かを判定する。この閾値を満たさないキャリブレーションサウンドは、キャリブレーションサウンドのこれらのインスタンスの放出および検出を周囲ノイズが妨害していた可能性があるので、分析から除外されてもよい。
【0137】
ブロック1314において、1つ又は複数のプロセッサは、検出されたキャリブレーションサウンドの応答曲線を平均化する。上述したように、移動するマイクでは、キャリブレーションサウンドの繰り返しが環境内の異なる物理的位置で検出され、それによって環境全体にわたって間隔を置いた複数のサンプルが提供される。環境内の異なる位置から複数の応答曲線を平均化することによって、1つ又は複数のプロセッサは、全体として環境を示す応答を決定することができる。
【0138】
ブロック1316において、1つ又は複数のプロセッサは、目標キャリブレーションを受信することができる。いくつかの実施形態では、目標キャリブレーションは、フラットな応答であってもよい(すなわち、異なる周波数を等しく扱うキャリブレーション)。その他の実施形態では、目標キャリブレーションは特定の周波数を強調し、他の周波数を強調しない。例えば、目標キャリブレーションは、低音と高音の周波数を強調する場合もある。
【0139】
ブロック1318において、1つ又は複数のプロセッサは、平均化された応答と目標キャリブレーションとに基づいてオフセット曲線を生成する。特に、1つ又は複数のプロセッサは、環境の平均された応答をオフセットすることによって、目標キャリブレーションを達成するオフセット曲線を決定することができる。
【0140】
ブロック1320において、1つ又は複数のプロセッサは、キャリブレーションプロファイルを決定する。このようなキャリブレーションプロファイルは、キャリブレーションデバイスに環境の応答をオフセットさせるように再生デバイスに適用される1つ又は複数の係数を含んでもよい。ブロック1322において、キャリブレーションプロファイルは再生デバイスに送信され、再生デバイスはそれを採用することができる。
【0141】
このような記録を分析するためのさらなる例示的な技術は、「デバイス再生キャリブレーションのためのシステムおよび方法」と題された2012年6月28日に出願された米国特許出願第13/536,493号、「環境に基づくオーディオ設定」と題された2014年3月17日に出願された米国特許出願第14/216,306号、「再生デバイスキャリブレーション」と題された2014年9月9日に出願された米国特許出願第14/481,511号に記載されている。これらの内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0142】
IV.複数の再生デバイスのキャリブレーションを容易にする技術の例
上述したように、本明細書で説明する実施形態は、複数の再生デバイスに一連のキャリブレーションサウンドを放出させることによって、複数の再生デバイスのキャリブレーションを容易にすることができる。
図14は、複数の再生デバイスにキャリブレーションサウンドを連続して放出させる実施例1400を示す。
【0143】
a.複数の再生チャネルのキャリブレーションを開始するトリガ条件の検出
実施例1400は、複数の再生チャネルのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む(ブロック1402)。例えば、
図1に示す制御デバイス126などの制御デバイスは、制御デバイス126に2つ以上の再生チャネル(例えば、再生デバイス102〜124のうちの1つの再生デバイスにおける2つ以上のスピーカ、あるいは、再生デバイス102〜124のうちの2つ以上の再生デバイス)のキャリブレーションを開始させるトリガ条件を検出する。あるいは、メディア再生システム(例えば、メディア再生システム100)の再生デバイスは、そのようなトリガ条件を検出してもよい(さらに、そのトリガ条件の指示を制御デバイスに中継してもよい)。複数の再生デバイスのキャリブレーションは、複数の再生デバイスがそれぞれのシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを放出するステップを含んでもよい。これらの放出されたキャリブレーションサウンドを検出した後、検出されたキャリブレーションサウンドを分析して、キャリブレーション環境内のスピーカの音響特性を改善するために、再生デバイスのスピーカに関する1つ又は複数の音響パラメータのそれぞれをどのように調整できるかを決定する。
【0144】
上述のように、トリガ条件は、複数の再生チャネルのキャリブレーションを開始することができる。所定の再生デバイスは、複数のスピーカを含む場合がある。いくつかの実施形態では、これらの複数のチャネルは、それぞれのチャネルとして個別にキャリブレーションされてもよい。あるいは、再生デバイスの複数のスピーカを、1つのチャネルとして一緒にキャリブレーションすることができる。さらなるケースでは、2つ以上のスピーカで構成される複数のグループを、それぞれのチャネルとして一緒にキャリブレーションすることができる。例えば、サラウンドサウンドシステムでの使用を意図したサウンドバーなど、いくつかの再生デバイスは、サラウンドサウンドシステムのそれぞれのチャネルとして動作するように設計されたスピーカのグループを有する場合がある。スピーカの各グループが、1つの再生チャネルとしてキャリブレーションされてもよい(又は、各スピーカが個別のチャネルとして個別にキャリブレーションされてもよい)。
【0145】
いくつかの実施形態では、トリガ条件を検出するステップは、特定のゾーンのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む。例示的な動作環境に関連して上述したように、メディア再生システムの再生デバイスは、1つのゾーンに結合されてもよく、当該ゾーンでは再生デバイスは再生機能を実行する際に共同して動作する。例えば、2つの再生デバイスは、ステレオペアのそれぞれのチャネルとして結合ゾーンに結合されてもよい。あるいは、複数の再生デバイスを、サラウンドサウンドシステムのそれぞれのチャネルとしてゾーンに結合することができる。いくつかの例示的なトリガ条件によれば、ゾーンの再生デバイスに対するキャリブレーションを含むキャリブレーション手順が開始される。上述したように、様々な実施例において、複数のスピーカを有する再生デバイスがモノラル再生チャネルとして扱われてもよく、あるいは、各スピーカがそれ自体のチャネルとして扱われてもよい。
【0146】
さらなる実施形態では、トリガ条件を検出するステップは、特定のゾーングループのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む。1つ又は複数のそれぞれの再生デバイスを含む2つ以上のゾーンを、同期してメディアを再生するように構成された再生デバイスのゾーングループに結合することができる。ある場合には、トリガ条件は、そのようなゾーングループの一部である所定のデバイスのキャリブレーションを開始し、これにより、(所定のデバイスを含む)ゾーングループの再生デバイスのキャリブレーションを開始することができる。
【0147】
様々なタイプのトリガ条件は、複数の再生デバイスのキャリブレーションを開始する。いくつかの実施形態では、トリガ条件を検出するステップは、選択可能な制御部の選択を示す入力データを検出するステップを含む。例えば、制御デバイス126などの制御デバイスはインタフェース(例えば、
図6の制御インタフェース600)を表示してもよく、当該インタフェースは、選択されると1つの再生デバイス又は複数の再生デバイスによるグループ(例えば、ゾーン)のキャリブレーションを開始する1つ又は複数の制御部を含む。あるいは、トリガ条件を検出するステップは、再生デバイスがキャリブレーションできない状態になったことを検出されたステップを含む。この状態は、再生デバイスをキャリブレーション環境内の異なる位置に移動させることによって生じる可能性がある。例えば、例示的なトリガ条件は、複数の再生デバイスの1つ又は複数の物理的な動きが閾値の大きさを超えたことである。更なる例では、トリガ条件の検出は、新たな再生デバイスがシステムに追加される等、メディア再生システムの構成に関する変化をデバイス(例えば、制御デバイス又は再生デバイス)が検出するステップを含む。その他の例も可能である。
【0148】
b.再生デバイスにキャリブレーションサウンドを鳴らすように指示するコマンドの送信
図14を参照すると、実施例1400は、複数の再生デバイスにそれぞれのキャリブレーションサウンドを放出するように命令するコマンドを送信するステップを含む(ブロック1404)。例えば、メディア再生システム100の制御デバイス126などの制御デバイスが、2つ以上の再生デバイス(例えば、再生デバイス102〜124のうちの2つ以上)にキャリブレーションサウンドを放出させるそれぞれのコマンドを送信する。制御デバイスは、ネットワークインタフェース(例えば、有線又は無線のネットワークインタフェース)を介してコマンドを送信する。このようなコマンドを受信することに応じて、再生デバイスのそれぞれは、キャリブレーションサウンドを放出する。
【0149】
コマンドは、複数の再生デバイスに対してシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを放出するように指示する。このシーケンスは、再生デバイスがキャリブレーションサウンドを放出する順序を支配してもよい。例えば、コマンドは、第1の再生デバイスにシーケンスで最初にキャリブレーションサウンドを放出するよう指示し、第2の再生デバイスにシーケンスで2番目にキャリブレーションサウンドを放出するように指示し、第3の再生デバイスにシーケンスで3番目にキャリブレーションサウンドを放出するように指示し、これは、所定のキャリブレーション手順中にキャリブレーションされるべき所定の数の再生チャネルに対しても同様に適用される。
【0150】
いくつかの例示的な技術に関連して上述したように、キャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周波数を含むことができる。上述したように、いくつかの例示的なキャリブレーション周波数範囲は、所定の再生チャネルのスピーカが放出することができる周波数、又はキャリブレーション手順がチャネルをキャリブレーションすることを意図した周波数を含むことができる。例示的なキャリブレーション範囲は、一般に人間の聴力の範囲であると考えられる20〜20000Hzの範囲を含むことができる。キャリブレーションサウンドの例は、様々な波形を用いてこの範囲をカバーすることができる。例えば、上向き、下向き、又は振動するスイープサイン又はチャープトーンが、時間とともに周波数を変化させることによって、そのような周波数範囲をカバーすることができる。ランダムノイズ又は疑似ランダムノイズが、キャリブレーション周波数範囲をカバーすることがある。何らかの音楽コンポーネント(例えば、楽曲)が、キャリブレーション周波数範囲をカバーしてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、再生デバイスは、上述した例示的なハイブリッドキャリブレーションなどのハイブリッドキャリブレーションサウンドを放出する。例えば、再生デバイスのそれぞれが、ノイズ成分とスイープ信号成分とを含むキャリブレーションサウンドを放出する。ノイズ成分がキャリブレーション範囲の低周波数をカバーする一方で(例えば、キャリブレーション周波数範囲の最小値から第1の閾値までを含む範囲)、スイープ信号成分はキャリブレーション範囲の高い周波数をカバーする(例えば、ノイズ成分によってカバーされないキャリブレーションにおける高周波数)。場合によっては、ハイブリッドキャリブレーションサウンドの成分が移行周波数範囲で重なり合って、より好ましい音などの様々な利点を有する。
【0152】
あるいは、それぞれの再生デバイスが、それぞれの反復(又は期間)の中に2つ以上のサウンドを放出することができる。ハイブリッドキャリブレーションサウンドの成分と同様に、それぞれのサウンドがキャリブレーション周波数範囲の異なる部分をカバーしてもよい。例えば、第1のサウンドは、低周波ノイズ(例えば、ある閾値以下の周波数のノイズ)を含む。第2のサウンドは、第1のサウンドと組み合わせてキャリブレーション周波数範囲をカバーするように第1のサウンドよりも高い周波数を含む。第2のサウンドは、サインスイープ又はチャープトーン、又は恐らくは異なるタイプのノイズなど、様々な波形を使用して周波数範囲のより高い周波数をカバーすることができる。
【0153】
異なる波形を使用することは、キャリブレーションサウンドの各サイクル又は各繰り返しの最小持続時間に影響を及ぼす可能性がある。いくつかのキャリブレーション手順では、バックグラウンドノイズを克服するために、キャリブレーション範囲の各周波数で最低限の音エネルギーを放出する必要がある。均一な信号を用いて、キャリブレーション周波数範囲を規則的な方法で進むことにより、当該範囲をより迅速にカバーすることができる。例えば、スイープ信号は、各周波数において十分なエネルギーを放出するような速度で周波数を変化させることによって、キャリブレーション周波数範囲を効率的にカバーすることができる。対照的に、不均一な信号を用いた場合、いくつかの周波数で不十分なエネルギー(およびおそらく他の周波数では過剰なエネルギー)が放出される可能性がある。例えば、低音で重く高音で軽いヒップホップの歌は、特定の低音周波数を繰り返すことが多く、その周波数で余分なエネルギーが放出される一方で、高音周波数では十分なエネルギーが放出されない場合がある。このため、各周波数で十分なエネルギーをもってキャリブレーション周波数範囲をカバーするためには、より長い持続時間が必要となる。
【0154】
キャリブレーションサウンドの各サイクル又は各繰返しの持続時間が短いほど、キャリブレーション手順の空間分解能を向上させることができる。移動するマイクが実質的に一定の速度であると仮定すると、より短い周期を有するキャリブレーションサウンドを用いることで、キャリブレーション環境内でより近くにあるサンプルを取得できる(すなわち、空間分解能が向上する)。上述したように、単一の再生チャネルの場合、約3/8秒の長さのサウンドは、良好な空間分解能を維持しながら、各周波数で十分なエネルギーを有するキャリブレーション周波数範囲をカバーするのに十分な長さである。ただし、複数の再生チャネルをキャリブレーションする場合、各再生チャネルはキャリブレーション周波数範囲をカバーするキャリブレーションサウンドを放出する必要がある。キャリブレーションサウンドを連続的に放出するように複数の再生デバイスに指示した場合、キャリブレーションサウンドの全持続時間が、空間分解能が低下する地点まで増加する可能性がある。
【0155】
複数の再生チャネルをキャリブレーションするときに許容可能な空間分解能を維持するために、コマンドは、キャリブレーションサウンドを同時に放出するように複数の再生デバイスに指示することができる。連続的ではなく同時にキャリブレーションサウンドを放出することによって、サンプル間の時間(および距離)を許容可能な距離(例えば、1メートル未満)に保つことができる。しかしながら、同時に放出される信号は、同じ周波数が同時に放出される場合、互いに干渉することがある。例えば、2つの再生チャネルが1000Hzトーンを同時に放出する場合、各チャネルからのそれぞれの1000Hzトーンを独立して検出することができない可能性がある。
【0156】
干渉を回避するために、コマンドは、シーケンス内の連続的な再生チャネルのそれぞれがシーケンス内の前の再生チャネルに対する遅延の後にキャリブレーションサウンドを放出するように、キャリブレーションサウンドをずらすことを再生チャネルに指示することができる。各キャリブレーションサウンドの開始時刻をずらすことによって、各再生チャネルがキャリブレーション周波数範囲の異なる部分を出力することができるので、キャリブレーションサウンドの第1のサイクルは干渉を生じることなく完全に(又は部分的に)重なり合うことができる。ただし、キャリブレーションサウンドが繰り返されるため、連続するサイクルが先行するサイクルに干渉する可能性がある。この可能性を避けるために、キャリブレーションサウンドの各期間又は各繰り返しの持続時間が、キャリブレーションされる再生チャネルの数に比例して引き延ばされてもよい。
【0157】
例示のために、
図15は、再生チャネル1502、1504、1506、1508の例示的なキャリブレーション手順の間に放出されるハイブリッドキャリブレーションサウンドの例を示す。
図15のハイブリッドキャリブレーションサウンドは、
図11のハイブリッドキャリブレーションサウンド1100に基づいており、これは、単一の再生チャネルのキャリブレーションに使用される「ベースライン」トーンと考えることができる。周波数の重複を避けるために、ハイブリッドキャリブレーションサンプルは引き延ばされ、かつ、ずらされている。
【0158】
より詳細には、再生チャネル1502、1504、1506、1508は、互いのキャリブレーションサウンドの出力をずらしている。時間t_0において、再生チャネル1502は、キャリブレーションサウンドの放出を開始する。遅延の後、再生チャネル1504はキャリブレーションサウンドの放出を開始する。さらに別の遅延の後、再生チャネル1506がキャリブレーションサウンドを放出を開始する。同様に、再生チャネル1508は、再生チャネル1506に対する遅延の後に、キャリブレーションサウンドの放出を開始する。遅延量は、実施例によって変化させてもよい。この例では、各再生チャネルは、ベースライントーンの持続時間の半分(すなわち、3/8秒の1/2、又は3/16秒の1/2)だけキャリブレーションの出力を遅延させる。
図15に示すように、このような遅延を設けることで、時間の経過とともにキャリブレーションサウンドがずれて、周波数の重なりを防止するのに役立つ。
【0159】
図15のハイブリッドキャリブレーションサウンドは、ベースライントーン(すなわち、ハイブリッドキャリブレーションサウンド1100)の持続時間の4倍の持続時間を有するように引き延ばされている。この4倍の倍数は、キャリブレーションされる再生チャネルの数に等しい(すなわち、チャネル1502、1504、1506、1508)。ベースライントーンをチャネル数に比例して引き伸ばすことにより、各再生チャネルが周波数を重ねずにキャリブレーション周波数範囲をカバーするのに十分な時間を各フレームが有することができる。
図15に示すように、フレーム1510、1512、1514、1418、1520のそれぞれの間、チャネル1502、1504、1506、1508は、キャリブレーション周波数範囲をカバーするそれぞれのキャリブレーションサウンドを放出する。上述したように、ハイブリッドキャリブレーションサウンド1100は、閾値を上限とするキャリブレーション周波数範囲の周波数をカバーするノイズ成分と、閾値を下限とするキャリブレーション周波数範囲の周波数をカバーするスイープ信号成分とを含む(これらの成分は部分的に重なる可能性がある)。
【0160】
フレーム1510、1512、1514、1418、1520は、再生デバイスのいずれによってもスイープ信号が放出されない複数のガードバンド(例えば、ガードバンド1520)によって分離される。このガードバンドは、キャリブレーションサウンドの次の反復が始まる前に、放出されたキャリブレーションサウンドが環境を通って移動マイクに伝播する時間を確保する。この伝播時間を設けることにより、ガードバンドは、キャリブレーションを妨げる可能性がある周波数の重複を防止する。
【0161】
図15には、各再生チャネルによって放出されるキャリブレーションサウンドの5回の反復が例として示されている。例示的なキャリブレーション手順の間、キャリブレーションサウンドは、(キャリブレーションサウンドを検出しているマイクが動いていることを前提として)環境全体にわたってサンプルを生成するように複数回繰り返して放出されてもよい。例えば、例示的なキャリブレーション手順では、
図15に示されたキャリブレーションサウンドが30〜45秒のキャリブレーション期間にわたって繰り返され、それにより20〜30のサンプルを生成する(キャリブレーションサウンドは、ベースライン期間3/8秒に4チャネルを掛けた1.5秒の持続時間を有する前提)。繰り返しの回数およびキャリブレーションサウンドの持続時間は、実施例および再生チャネルの数によって変化する可能性があり、これによりキャリブレーション期間が変動する可能性がある。
【0162】
いくつかの実施形態では、再生デバイスによって放出されるキャリブレーションサウンドは、1つ又は複数の記録として記憶されてもよい。例えば、制御デバイスは、複数のチャネルを有する記録(例えば、サウンドファイル)を記憶してもよく、当該複数のチャネルのそれぞれはおそらく、キャリブレーションされるべき異なるチャネル(又は再生デバイス)に対するキャリブレーションサウンドを含む。いくつかの実施例では、各再生チャネルによって放出されるキャリブレーションサウンドは、マルチチャネルファイル(例えば、Oggファイル)の1つのチャネルとして記憶されてもよい。そのような記録をとることで、各再生チャネルによって放出されるキャリブレーションサウンドを予めずらすとともに、キャリブレーションされるべき再生チャネルの数に比例する持続時間までキャリブレーションサウンドを予め引き延ばすことができる。これにより、マルチチャネルの再生を複数の再生チャネル上で同期して開始することで、再生チャネルデバイスによって放出されるキャリブレーションサウンドは周波数が重複しない。
【0163】
場合によっては、メディア再生システムの再生デバイスは、キャリブレーションされるべき再生チャネルの数と同じ数のチャネルを有する記録にアクセスすることができない場合がある。例えば、再生デバイスは、1、2〜4又は8のチャネル(すなわち、2の累乗)の記録のみを有することができる。そのような実施形態では、キャリブレーションされるチャネルの数に基づいて特定の記録を選択することができる。例えば、3つのチャネルをキャリブレーションするために、チャネル数(3)を4つのチャネル記録まで切り上げられることがある。4つのチャネル記録であれば、3つの再生チャネルをキャリブレーションするのに十分なチャネルを有するためである。第4のチャネルは、3つの再生チャネルのキャリブレーションの間に未使用のままであってもよい。同様に、5つの再生チャネルをキャリブレーションするために、制御デバイスは、8チャネルの記録のそれぞれのチャネルを放出するように再生チャネルに指示することができる。
【0164】
そのような実施例では、複数のチャネルのあらゆる組み合わせのために記録をとる必要がないため、所定のメディア再生システムが維持する記録の数を減らすことができる。1、2〜4、および8のチャネルの記録が一例として説明されたが、記憶される記録のそれぞれのチャネル数は実施例によって変わることがある。例えば、3つのチャネル(例えば、サブウーファを有する2.1ステレオ)ゾーン又は6つのチャネル(例えば、5.1サラウンド)ゾーンをキャリブレーションすることが比較的一般的なキャリブレーション手順である場合には、3つおよび6つのチャネル記録を記憶するようにしてもよい。
【0165】
キャリブレーションサウンドを予め記憶する代わりに、キャリブレーション手順の一部として、キャリブレーションサウンドを混合又は生成してもよい。例えば、メディア再生システムのデバイス(例えば、再生デバイス又は制御デバイス)は、成分トーン(例えば、ノイズ信号成分およびスイープ信号成分)にアクセスし、クロスオーバフィルタ機能を使用して、あるいは、アナログフィルタ又はデジタル信号プロセッサを用いたその他の信号処理技術を使用してこれらの成分を組み合わせてもよい。場合によっては、デバイスは、複数のトーンをキャリブレーションサウンドとして混合する前に複数の成分トーンを生成することができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、キャリブレーションサウンドは、第1のデバイス(例えば、制御デバイス又はリモートサーバ)で生成および/又は記憶され、キャリブレーション中に1つ又は複数の再生チャネルによる再生のために再生デバイスに送信される。このような手法によれば、メディア再生システムが利用できるキャリブレーションサウンドの柔軟性を向上させることができる。さらに、この手法によれば、再生デバイスがキャリブレーションサウンドを記憶するのに十分な大きさのデータ容量を有する必要性を軽減することができる。さらに、別の可能な利点として、キャリブレーションサウンドを別のデバイスに記憶することで、キャリブレーションサウンドを新しい記録で更新することが容易になる。
【0167】
c.送信されたキャリブレーションサウンドの検出
図14において、実施例1400は、放出されたキャリブレーションサウンドを検出するステップを含む(ブロック1406)。例えば、メディア再生システム100の制御デバイス126などの制御デバイスは、発せられたキャリブレーションサウンドの少なくとも一部を、マイクを介して検出する。マイクがキャリブレーション環境全体にわたって動いていると仮定すると、制御デバイスは、環境内の異なる物理的位置でキャリブレーションサウンドの反復を検出することができる。
【0168】
個々の再生チャネルをキャリブレーションするために、制御デバイスは、検出したキャリブレーションサウンドの特定のインスタンスのそれぞれがどの再生チャネルによって放出されたかを判定することができる。検出したキャリブレーションサウンドのそれぞれを、当該キャリブレーションサウンドの特定のインスタンスを放出した再生チャネルに相関させた後、キャリブレーションサウンドの記録を分析し、再生デバイスのキャリブレーション設定を決定することができる。いくつかの実施形態では、キャリブレーションサウンドの分析は、制御デバイス又は遠隔サーバなどのデバイスによって、識別されたキャリブレーションサウンドから各再生チャネルのそれぞれの周波数応答を決定するステップを含む。そのような応答を決定した後、デバイスは、決定された周波数応答を所望の周波数応答(例えば、「フラット」な周波数応答)にイコライズするキャリブレーションパラメータを有するコマンドをデバイスに送信することによって、再生デバイスのそれぞれをキャリブレーションすることができる。
【0169】
いくつかの実施形態では、デバイスは、検出されたキャリブレーションサウンドを、キャリブレーションサウンドの検出順に識別することができる。上述したように、複数の再生デバイスにそれぞれのキャリブレーションサウンドを放出するように命令するコマンドは、キャリブレーションサウンドが発せられる順序を支配するシーケンスに従って複数の再生デバイスにキャリブレーションサウンドを放出するように指示することができる。シーケンスが制御デバイスに知られていると仮定すると、制御デバイスは、キャリブレーションサウンドが検出された順序によって、キャリブレーションサウンドの特定のインスタンスのそれぞれがどの再生チャネルによって放出されたかを決定することができる。
【0170】
実施例の中で、各再生チャネルによって放出されるキャリブレーションサウンドは、固有の「ノッチ」を含むことができる。このようなノッチは、特定の周波数における振幅の実質的な増加又は減少であってもよい。各再生チャネルは、異なる周波数のノッチを有するキャリブレーションサウンドを放出することができ、これはウォーターマークとして働くことができる。例えば、再生デバイスに送信されるコマンドは、第1の再生チャネルに、第1の周波数(例えば、1000Hz)のノッチを有するキャリブレーションサウンドを放出するよう指示し、第2の再生チャネルに、第2の周波数(例えば、5000Hz)のノッチを有するキャリブレーションサウンドを放出するように指示し、同様に、所定のキャリブレーション手順でキャリブレーションすべき所定の数の再生チャネルにも同様の指示を行う。第1の周波数でノッチを有するキャリブレーションサウンドを検出すると、デバイスは、そのキャリブレーションサウンドが第1の再生チャネルによって放出されたものとして識別することができる。同様に、検出したキャリブレーションサウンドの中に第2の周波数のノッチがある場合には、そのキャリブレーションサウンドが第2の再生チャネルによって放出されたものとして識別することができる。このような技術は、キャリブレーションサウンドが放出および検出された順序に基づくキャリブレーションサウンドの識別と組み合わせて使用することができ、識別の信頼性を向上させることができる。
【0171】
V.キャリブレーションサウンドを放出する技術の例
上述のように、本明細書で説明する実施形態は、1つ又は複数の再生デバイスのキャリブレーションを容易にすることができる。
図16は、例示的な実施形態による、再生デバイスがハイブリッドキャリブレーションサウンドを放出することに関与する実施例1600を示す。
【0172】
a.再生デバイスにキャリブレーションサウンドを鳴らすように指示するコマンドの受信
実施例1600は、キャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに命令するコマンドを受信するステップを含む(ブロック1602)。例えば、再生デバイス102〜124のうちの1つなどの再生デバイスは、当該再生デバイスにキャリブレーションサウンドを放出するように命令するコマンドを受信する。上述のように、そのようなコマンドは、制御デバイス(例えば、メディア再生システム100の制御デバイス126又は制御デバイス128)から送信されてもよい。再生デバイスは、ネットワークインタフェース(例えば、有線又は無線のネットワークインタフェース)を介してコマンドを受信することができる。
【0173】
コマンドは、再生デバイスに、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周波数を含むキャリブレーションサウンドを放出するように指示することができる。上記のように、制御デバイスは、再生デバイスがキャリブレーションされる周波数の範囲(すなわち、キャリブレーション範囲)にわたってキャリブレーションサウンドを分析することができる。したがって、コマンドは、キャリブレーション周波数範囲をカバーするキャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに指示することができる。キャリブレーション周波数範囲は、再生デバイスが放出することができる周波数の範囲(例えば、15〜30000Hz)を含み、かつ、人間の聴力の範囲内と考えられる周波数(例えば、20〜20000Hz)を含んでもよい。そのような周波数の範囲をカバーするキャリブレーショントーンを放出することによって、再生デバイスに対して、その範囲を含む周波数応答を決定することができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、再生デバイスは、それぞれの繰り返しの間にキャリブレーションサウンドがキャリブレーション周波数範囲をカバーするように、キャリブレーション手順の間にキャリブレーションサウンドを繰り返すことができる。移動するマイクを使用した場合、環境内の異なる物理的位置でキャリブレーションサウンドの繰り返しが検出されるため、これにより環境全体において間隔を空けた複数のサンプルが取得される。場合によっては、キャリブレーションサウンドは、それぞれの期間がキャリブレーション周波数範囲をカバーするような周期的キャリブレーション信号であってもよい。
【0175】
上述したように、このようなコマンドは、再生デバイスに、それぞれの波形を有する第1成分と第2成分とを組み合わせたハイブリッドキャリブレーションサウンドを放出するように指示することができる。例えば、例示的なハイブリッドキャリブレーションサウンドは、ある周波数のノイズを含む第1の成分と、他の周波数でスイープする第2の成分(例えば、スイープサイン)の2つの成分を含む。ノイズ成分はキャリブレーション周波数範囲のより低い周波数(例えば、10〜50Hz)をカバーする一方で、スイープ信号成分はその範囲のより高い周波数(例えば、50Hz以上)をカバーしてもよい。
【0176】
ハイブリッドキャリブレーションサウンドのいくつかの実施例は、ノイズ成分とスイープ成分が重なる移行周波数範囲を含む。上記のように、いくつかの例では、制御デバイスは、第1の成分(例えば、ノイズ成分)と第2の成分(例えば、スイープ信号成分)を含むキャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに指示することができる。第1の成分は、キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含み、第2の構成要素は、第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする。
【0177】
これらの信号を重ねるために、第2の閾値周波数は、第1の閾値周波数より低い周波数であってもよい。そのような構成では、移行周波数範囲は、第2の閾値周波数と第1の閾値周波数との間の周波数を含む(例えば、50〜100Hz)。これらの成分を重ね合わせることによって、再生デバイスは、2つのタイプの音の間の移行が厳しいことに関連して不快な音を放出することを回避することができる。
【0178】
いくつかの実施形態では、キャリブレーションサウンドを予め発生させることができる。そのように予め生成されたキャリブレーションサウンドは、制御デバイス、再生デバイス、又はサーバ(例えば、メディア再生システムにクラウドサービスを提供するサーバ)に記憶されてもよい。場合によっては、再生デバイスは、予め生成されたキャリブレーションサウンドを、ネットワークインタフェースを介して制御デバイスから受信することができる。あるいは、再生デバイスは、キャリブレーションサウンドのソースの指示(例えば、URI)を受信して、キャリブレーションサウンドを得るためにそれを使用することができる。
【0179】
あるいは、再生デバイスは、キャリブレーションサウンドを生成してもよい。例えば、所定のキャリブレーション範囲に対して、再生デバイスは、少なくともキャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数をカバーするノイズと、少なくとも第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をカバーするスイープサインを生成してもよい。再生デバイスは、クロスオーバーフィルタ機能を適用することによって、スイープサインとノイズを周期的キャリブレーションサウンドに結合することができる。クロスオーバフィルタ機能は、第1の閾値周波数よりも低い周波数を含む生成ノイズの一部と、第2の閾値周波数よりも高い周波数を含む生成スイープサインの一部とを組み合わせて、所望のキャリブレーションサウンドを得ることができる。再生デバイスは、ハイブリッドキャリブレーションサウンドの成分を生成および/又は結合するアナログ回路および/又はデジタル信号プロセッサを有してもよい。
【0180】
実施例の中には、コマンドは、再生デバイスに、1つ又は複数の追加の再生デバイスとともにシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを放出するように指示する。このシーケンスは、再生デバイスがキャリブレーションサウンドを放出する順序を支配してもよい。例えば、コマンドは、第1の再生デバイスにシーケンスで最初にキャリブレーションサウンドを放出するよう指示し、第2の再生デバイスにシーケンスで2番目にキャリブレーションサウンドを放出するように指示し、第3の再生デバイスにシーケンスで3番目にキャリブレーションサウンドを放出するように指示し、同様に、所定のキャリブレーション手順でキャリブレーションすべき所定の数の再生チャネルに対しても同様の指示が行う。
【0181】
上記のように、再生デバイスは複数のスピーカを含む場合がある。これらの複数のチャネルは、個々のチャネルとして個別にキャリブレーションすることができる。あるいは、再生デバイスの複数のスピーカを1つのチャネルとしてキャリブレーションすることもできる。さらなるケースでは、2つ以上のスピーカによる複数のグループをそれぞれのチャネルとして一緒にキャリブレーションすることができる。
【0182】
図13、
図14に関連して上述したように、コマンドは、シーケンス中の連続する再生チャネルのそれぞれがシーケンスにおける前の再生チャネルに対して遅延の後にキャリブレーションサウンドを放出するようにキャリブレーションサウンドをずらすことを、再生デバイスに対して命令することができる。各キャリブレーションサウンドの開始時刻をずらすことによって、任意のポイントにおいて各再生チャネルがキャリブレーション周波数範囲の異なる部分を出力することができるので、キャリブレーションサウンドの第1のサイクルは干渉を生じることなく完全に(又は部分的に)重なり合うことができる。しかしながら、キャリブレーションサウンドが繰り返されるため、連続するサイクルが先行するサイクルに干渉する可能性がある。この可能性を避けるために、キャリブレーションサウンドの各期間又は各繰り返しの持続時間が、キャリブレーションされる再生チャネルの数に比例して引き延ばされてもよい。
【0183】
b.キャリブレーションサウンドの放出
図16をさらに参照すると、実施例1600は、キャリブレーションサウンドを放出するステップを含む(ブロック1604)。例えば、再生デバイス(例えば、再生デバイス102〜124のうちの1つ)は、再生デバイスにキャリブレーションサウンドを放出させるコマンドの受信に応じて、キャリブレーションサウンドを放出する。上述のように、そのようなコマンドは、おそらく特定のシーケンスに従って、特定の特性を有する特定のキャリブレーションサウンドを放出するように再生デバイスに指示することができる。
【0184】
VI.結論
本明細書は、様々な例示のシステム、方法、装置、および製品などを開示しており、それらは、他のコンポーネントの中で、ハードウェア上で実行されるファームウェアおよび/又はソフトウェアを含む。そのような例は、単なる例示であり、限定されるものとみなすべきではないと理解される。例えば、これらのファームウェア、ハードウェア、および/又はソフトウェアの態様又はコンポーネントのいくつか又はすべてが、専らハードウェアに、専らソフトウェアに、専らファームウェアに、又はハードウェア、ソフトウェア、および/又はファームウェアの任意の組み合わせを実施することができることが意図されている。したがって、提供されているそれらの例は、それらのシステム、方法、装置、および/又は生産物を実施する唯一の方法ではない。
【0185】
例示的な技術は、ハイブリッドキャリブレーションサウンドを放出するステップを含む。一態様では、方法が提供される。この方法は、ネットワークインタフェースを介して、キャリブレーションサウンドを放出させることを再生デバイスに指示するコマンドを受信するステップと、それに応答して、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを1つ又は複数のスピーカに放出させるステップとを含む。ここで、周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。
【0186】
別の態様では、デバイスが提供される。デバイスは、ネットワークインタフェースと、少なくとも1つのプロセッサと、データストレージと、データストレージに記憶されて少なくとも1つのプロセッサが動作を行うように実行可能なプログラム論理とを備える。当該動作には、ネットワークインタフェースを介して、キャリブレーションサウンドを放出させることを再生デバイスに指示するコマンドを受信するステップと、それに応答して、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを1つ又は複数のスピーカに放出させるステップとを含む。周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。
【0187】
さらに別の態様では、非一時的コンピュータ読取り可能メモリが提供される。非一時的コンピュータ読取り可能メモリは、コンピューティングデバイスが動作を実行するように実行可能な命令を記憶している。当該動作には、ネットワークインタフェースを介して、キャリブレーションサウンドを放出させることを再生デバイスに指示するコマンドを受信するステップと、それに応答して、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを1つ又は複数のスピーカに放出させるステップとを含む。周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数をスイープする第2の成分とを含む。
【0188】
さらなる例示的な技術は、複数の再生デバイスによりキャリブレーションサウンドを放出するステップを含む。一態様では、方法が提供される。この方法は、複数の再生デバイスのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む。この方法はさらに、複数の再生デバイスのうちの第1の再生デバイスに、シーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し出すように命令するコマンドを送信するステップを含む。ここで、キャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数の範囲を循環するものであり、キャリブレーションサウンドの持続時間は、複数の再生デバイスの数に比例する。この方法はさらに、複数の再生デバイスのうちの更なる1つ又は複数の再生デバイスに、それぞれのシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し放出するように指示するそれぞれのコマンドを送信するステップを含む。ここで、当該コマンドは、放出されるキャリブレーションサウンドがシーケンス内の先行するキャリブレーションサウンドに対して遅延されるようにキャリブレーションサウンドの放出をずらすものである。この方法はさらに、放出されたキャリブレーションサウンドをマイクを介して検出するステップを含んでもよい。
【0189】
別の態様では、デバイスが提供される。デバイスは、ネットワークインタフェースと、少なくとも1つのプロセッサと、データストレージと、データストレージに記憶されて少なくとも1つのプロセッサが動作を実行するように実行可能なプログラム論理とを含む。当該動作は、複数の再生デバイスのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む。この動作はさらに、複数の再生デバイスのうちの第1の再生デバイスに、シーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し出すように命令するコマンドを送信するステップを含む。ここで、キャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数の範囲を循環するものであり、キャリブレーションサウンドの持続時間は、複数の再生デバイスの数に比例する。この動作はさらに、複数の再生デバイスのうちの更なる1つ又は複数の再生デバイスに、それぞれのシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し放出するように指示するそれぞれのコマンドを送信するステップを含む。ここで、当該コマンドは、放出されるキャリブレーションサウンドがシーケンス内の先行するキャリブレーションサウンドに対して遅延されるようにキャリブレーションサウンドの放出をずらすものである。この動作はさらに、放出されたキャリブレーションサウンドをマイクを介して検出するステップを含んでもよい。
【0190】
さらに別の態様では、非一時的コンピュータ読取り可能メモリが提供される。非一時的コンピュータ読取り可能メモリは、コンピューティングデバイスが動作を実行するように実行可能な命令を記憶している。当該動作は、複数の再生デバイスのキャリブレーションを開始するトリガ条件を検出するステップを含む。この動作はさらに、複数の再生デバイスのうちの第1の再生デバイスに、シーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し出すように命令するコマンドを送信するステップを含む。ここで、キャリブレーションサウンドは、キャリブレーション周波数の範囲を循環するものであり、キャリブレーションサウンドの持続時間は、複数の再生デバイスの数に比例する。この動作はさらに、複数の再生デバイスのうちの更なる1つ又は複数の再生デバイスに、それぞれのシーケンスに従ってキャリブレーションサウンドを繰り返し放出するように指示するそれぞれのコマンドを送信するステップを含む。ここで、当該コマンドは、放出されるキャリブレーションサウンドがシーケンス内の先行するキャリブレーションサウンドに対して遅延されるようにキャリブレーションサウンドの放出をずらすものである。この動作はさらに、放出されたキャリブレーションサウンドをマイクを介して検出するステップを含んでもよい。
【0191】
本明細書は、例示的な環境、システム、手順、ステップ、論理ブロック、処理、および他のシンボル表現に関して広く示されており、それらは直接又は間接的にネットワークに接続されるデータ処理デバイスの動作に類似するものである。これらの処理説明および表現は、一般的に当業者によって使用され、それらの仕事の内容を他の当業者に最も効率良く伝えることができる。多くの具体的な内容が、本開示を理解するために提供されている。しかしながら、当業者にとって、本開示の特定の実施形態が特定の、具体的な詳細なしに実施され得ることは理解される。他の例では、周知の方法、手順、コンポーネント、および回路が、実施形態を不必要に曖昧にすることを避けるため、詳細に説明していない。したがって、本開示の範囲は、上記した実施形態よりむしろ添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0192】
添付の特許請求の範囲のいずれかが単にソフトウェアおよび/又はファームウェアへの実装をカバーするように読み取ると、少なくとも1つの例における要素の1つ又は複数は、本明細書では、ソフトウェアおよび/又はファームウェアを記憶する有形の非一時的な記憶媒体、例えば、メモリ、DVD、CD、Blu−ray(登録商標)等を含むことが明確に定められている。
例示的な方法は、再生デバイスの1つ又は複数のスピーカによって、キャリブレーション周波数範囲をカバーする周期的キャリブレーションサウンドを放出するステップを含む方法である。周期的キャリブレーションサウンドは、(i)キャリブレーション周波数範囲の最小値と第1の閾値周波数との間の周波数のノイズを含む第1の成分と、(ii)第2の閾値周波数とキャリブレーション周波数範囲の最大値との間の周波数でスイープする第2の成分とを含む。