特許第6383907号(P6383907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383907
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】車輌位置計測装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20180827BHJP
   G01S 19/49 20100101ALI20180827BHJP
【FI】
   G01C21/28
   G01S19/49
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-139527(P2014-139527)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-17796(P2016-17796A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 秀夫
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−076389(JP,A)
【文献】 特開2010−019703(JP,A)
【文献】 特開平08−219799(JP,A)
【文献】 特開2000−186938(JP,A)
【文献】 特開平10−100925(JP,A)
【文献】 特開2006−209567(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0326922(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0254279(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36
G01S 19/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3軸角速度信号(1a)及び3軸加速度信号(1b)を出力するためのMEMS慣性センサ(1)と、前記MEMS慣性センサ(1)に接続され、位置出力(2a)と速度出力(2b)と方位出力(2c)とを出力するための慣性航法計算部(2)と、前記位置出力(2a)とGPSセンサ(10)からのGPS位置出力(10a)との誤差を算出するための第1減算部(3)と、前記速度出力(2b)とタイヤ速度センサ(11)からのタイヤ速度出力(11a)との誤差を算出するための第2減算部(4)と、前記方位出力(2c)とステアリング角センサ(12)からのステアリング角出力(12a)との誤差を算出するための第3減算部(5)と、前記各減算部(3〜5)からの各減算出力である差(3a,4a,5a)を入力し誤差推定を行うための誤差推定手段(20)と、を備え、
前記慣性航法計算部(2)からの各出力(2a〜2c)とGPSセンサ(10)とタイヤ速度センサ(11)とステアリング角センサ(10〜12)からの各出力(10a,11a,12a)とを第1、第2及び第3減算部(3,4,5)を介して減算して誤差を誤差推定手段(20)により推定して補正し、
前記誤差推定手段(20)からのタイヤ速度補正(Ts)を前記タイヤ速度出力(11a)に帰還入力し、前記誤差推定手段(20)からのステアリング角補正(S)を前記ステアリング角出力(12a)に帰還入力し、
前記誤差推定手段(20)でリアルタイムに推定した推定誤差(20a)を前記3軸角速度信号(1a)、前記3軸加速度信号(1b)及び前記慣性航法計算部(2)に入力することにより、全ての前記各センサ(10,11,12)の持つ誤差による計測精度以上の計測精度を得るように構成したことを特徴とする車輌位置計測装置。
【請求項2】
前記誤差推定手段(20)は、カルマンフィルタよりなり、位置補正、速度補正、姿勢補正、方位補正、慣性補正及び加速度補正を行うことを特徴とする請求項1記載の車輌位置計測装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の車輌位置計測装置は、車輌の自動運転に用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の車輌位置計測装置。
【請求項4】
3軸角速度信号(1a)及び3軸加速度信号(1b)を出力するためのMEMS慣性センサ(1)と、前記MEMS慣性センサ(1)に接続され、位置出力(2a)と速度出力(2b)と方位出力(2c)とを出力するための慣性航法計算部(2)と、前記位置出力(2a)とGPSセンサ(10)からのGPS位置出力(10a)との誤差を算出するための第1減算部(3)と、前記速度出力(2b)とタイヤ速度センサ(11)からのタイヤ速度出力(11a)との誤差を算出するための第2減算部(4)と、前記方位出力(2c)とステアリング角センサ(12)からのステアリング角出力(12a)との誤差を算出するための第3減算部(5)と、前記各減算部(3〜5)からの各減算出力である差(3a,4a,5a)を入力し誤差推定を行うための誤差推定手段(20)と、を用い、
前記慣性航法計算部(2)からの各出力(2a〜2c)とGPSセンサ(10)とタイヤ速度センサ(11)とステアリング角センサ(10〜12)からの各出力(10a,11a,12a)とを第1、第2及び第3減算部(3,4,5)を介して減算して誤差を誤差推定手段(20)により推定して補正し、
前記誤差推定手段(20)からのタイヤ速度補正(Ts)を前記タイヤ速度出力(11a)に帰還入力し、前記誤差推定手段(20)からのステアリング角補正(S)を前記ステアリング角出力(12a)に帰還入力し、
前記誤差推定手段(20)でリアルタイムに推定した推定誤差(20a)を前記3軸角速度信号(1a)、前記3軸加速度信号(1b)及び前記慣性航法計算部(2)に入力することにより、全ての前記各センサ(10,11,12)の持つ誤差による計測精度以上の計測精度を得るように構成したことを特徴とする車輌位置計測方法。
【請求項5】
前記誤差推定手段(20)は、カルマンフィルタよりなり、位置補正、速度補正、姿勢補正、方位補正、慣性補正及び加速度補正を行うことを特徴とする請求項4記載の車輌位置計測方法。
【請求項6】
請求項4及び請求項5に記載の車輌位置計測方法は、車輌の自動運転に用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の車輌位置計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌位置計測装置及び方法に関し、特に、少なくともGPSの出力とMEMS慣性センサの出力と速度出力とステアリング角出力を情報として、誤差推定手段による誤差推定により、精度よく自車の位置計測を行うための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の車上測位装置としては、特許文献1及び2に示されるように、二種類の測位装置が提案されている。
前述の特許文献1における測位装置においては、ドリフトの生じやすい回転角速度センサや誤差の大きい車速センサを用いても、精度のよい測位ができるようにするために、車輌の位置を検出する位置センサである車速センサ及び圧電振動ジャイロと、複数の衛星が発射する信号からそれぞれの衛星と車輌との相対位置を検出する衛星情報検出手段又は相対速度検出手段であるGPSと、位置センサ又は衛星情報検出手段の出力の少なくとも一方から車輌の絶対位置を測位する測位手段である測位ルーチンと、衛星からの情報に基づき位置センサの検出位置を補正するセンサ出力補正手段であるジャイロ補正ルーチンとを備えた構成である。
【0003】
また、前述の特許文献2における測位装置においては、精度をより正確にするために、車輌と地表との間の相対位置を測定する相対センサと、複数の衛星が発射する信号からそれぞれの衛星と車輌との相対位置を検出するGPSと、GPSの検出した複数の衛星の情報から測位可能であり、かつ測位の推定誤差が所定のレベルより小さい時、GPSの出力のみから車輌の絶対位置を測位し、それ以外のとき、GPSの出力と相対センサの出力、又は相対センサの出力のみから車輌の絶対位置を測位するステップを設けた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−14922号公報
【特許文献2】特開平8−14923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の車載用測位装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、特許文献1及び2の構成においては、最近の開発目標として脚光をあびている自動運転を念頭においたものではないため、ジャイロとしては圧電振動ジャイロを用い、各センサとしては単独で使っているために、各々センサの性以上の位置精度達成は困難であった。
また、前述の振動ジャイロは、温度等のドリフトが大きく、ドリフトの蓄積を避けることは困難であった。
また、前述の振動ジャイロを用いると、形状が大きく、かつ、高価であるため、車載用としては好適ではなかった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、少なくともGPSの出力とMEMS慣性センサの出力と速度信号出力とステアリング角出力を情報として誤差推定手段の推定により、精度よく自車の位置計測を行うようにした車輌位置計測装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による車輌位置計測装置は、3軸角速度信号及び3軸加速度信号を出力するためのMEMS慣性センサと、前記MEMS慣性センサに接続され、位置出力と速度出力と方位出力とを出力するための慣性航法計算部と、前記位置出力とGPSセンサからのGPS位置出力との誤差を算出するための第1減算部と、前記速度出力とタイヤ速度センサからのタイヤ速度出力との誤差を算出するための第2減算部と、前記方位出力とステアリング角センサからのステアリング角出力との誤差を算出するための第3減算部と、前記各減算部からの各減算出力である差を入力し誤差推定を行うための誤差推定手段と、を備え、前記慣性航法計算部からの各出力とGPSセンサとタイヤ速度センサとステアリング角センサからの各出力とを第1、第2及び第3減算部を介して減算して誤差を誤差推定手段により推定して補正し、前記誤差推定手段からのタイヤ速度補正を前記タイヤ速度出力に帰還入力し、前記誤差推定手段からのステアリング角補正を前記ステアリング角出力に帰還入力し、前記誤差推定手段でリアルタイムに推定した推定誤差を前記3軸角速度信号、前記3軸加速度信号及び前記慣性航法計算部に入力することにより、全ての前記各センサの持つ誤差による計測精度以上の計測精度を得るようにした構成であり、また、前記誤差推定手段は、カルマンフィルタよりなり、位置補正、速度補正、姿勢補正、方位補正、慣性補正及び加速度補正を行う構成であり、また、請求項1及び請求項2の車輌位置計測装置は、車輌の自動運転に用いられる構成であり、また、本発明による車輌位置計測方法は、3軸角速度信号及び3軸加速度信号を出力するためのMEMS慣性センサと、前記MEMS慣性センサに接続され、位置出力と速度出力と方位出力とを出力するための慣性航法計算部と、前記位置出力とGPSセンサからのGPS位置出力との誤差を算出するための第1減算部と、前記速度出力とタイヤ速度センサからのタイヤ速度出力との誤差を算出するための第2減算部と、前記方位出力とステアリング角センサからのステアリング角出力との誤差を算出するための第3減算部と、前記各減算部からの各減算出力である差を入力し誤差推定を行うための誤差推定手段と、を用い、前記慣性航法計算部からの各出力とGPSセンサとタイヤ速度センサとステアリング角センサからの各出力とを第1、第2及び第3減算部を介して減算して誤差を誤差推定手段により推定して補正し、前記誤差推定手段からのタイヤ速度補正を前記タイヤ速度出力に帰還入力し、前記誤差推定手段からのステアリング角補正を前記ステアリング角出力に帰還入力し、前記誤差推定手段でリアルタイムに推定した推定誤差を前記3軸角速度信号、前記3軸加速度信号及び前記慣性航法計算部に入力することにより、全ての前記各センサの持つ誤差による計測精度以上の計測精度を得るようにした方法であり、また、前記誤差推定手段は、カルマンフィルタよりなり、位置補正、速度補正、姿勢補正、方位補正、慣性補正及び加速度補正を行う方法であり、また、請求項1及び請求項2に記載の車輌位置計測方法は、車輌の自動運転に用いられる方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明による車輌位置計測装置及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、3軸角速度信号及び3軸加速度信号を出力するためのMEMS慣性センサと、前記MEMS慣性センサに接続され、位置出力と速度出力と方位出力とを出力するための慣性航法計算部と、前記位置出力とGPSセンサからのGPS位置出力との誤差を算出するための第1減算部と、前記速度出力とタイヤ速度センサからのタイヤ速度出力との誤差を算出するための第2減算部と、前記方位出力とステアリング角センサからのステアリング角出力との誤差を算出するための第3減算部と、前記各減算部からの各減算出力である差を入力し誤差推定を行うための誤差推定手段と、を備え、前記慣性航法計算部からの各出力とGPSセンサとタイヤ速度センサとステアリング角センサからの各出力とを第1、第2及び第3減算部を介して減算して誤差を誤差推定手段により推定して補正し、前記誤差推定手段からのタイヤ速度補正を前記タイヤ速度出力に帰還入力し、前記誤差推定手段からのステアリング角補正を前記ステアリング角出力に帰還入力し、前記誤差推定手段でリアルタイムに推定した推定誤差を前記3軸角速度信号、前記3軸加速度信号及び前記慣性航法計算部に入力することにより、全ての前記各センサの持つ誤差による計測精度以上の計測精度を得るようにしたことにより、車輌の位置精度が従来よりも大幅に向上し、車輌の自動運転を可能とするレベルの位置計測が可能となった。
また、前記誤差推定手段は、カルマンフィルタよりなり、位置補正、速度補正、姿勢補正、方位補正、慣性補正及び加速度補正を行うことにより、前述のような位置精度の向上を達成することができる。
また、請求項1及び請求項2に記載の車輌位置計測装置は、車輌の自動運転に用いられることにより、自動運転化実現に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による車輌位置計測装置及び方法を示すブロック図である。
図2図1のハード構成を示すブロック図である。
図3】本発明における各信号の出力項目と達成精度との関係を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、少なくともGPSの信号とMEMS慣性センサの信号と速度信号とステアリング角を情報として誤差推定手段による推定により、精度よく自車の位置計測を行うことで、特に、車輌の自動運転化に寄与することを可能とすることである。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による車輌位置計測装置及び方法の好適な実施の形態について説明する。
図1は本発明による車輌位置計測装置及び方法を示すブロック図であり、符号1で示されるものは、周知のMEMSによって構成されたMEMS慣性センサであり、このMEMS慣性センサ1は、3軸角速度信号1a及び3軸加速度信号1bを出力することができるように構成されている。
【0012】
前記3軸角速度信号1a及び3軸加速度信号1bは、慣性航法計算部2に入力され、前記慣性航法計算部2においては、前記3軸角速度信号1a及び前記3軸加速度信号1bに基づいて周知の姿勢・速度・位置が計算されるように構成されている。
前記慣性航法計算部2で得られた位置出力2a、速度出力2b及び方位出力2cは、第1減算部3、第3減算部4及び第3減算部5に各々入力されている。
【0013】
前記第1〜第3減算部3,4,5には、周知の準天頂のGPSセンサ10からのGPS位置出力10aと、車輌(図示せず)のタイヤの回転から速度を取るためのタイヤ速度センサ11からのタイヤ速度出力11aと、前記車輌のステアリングの曲げ角度を計測するためのステアリング角センサ12からのステアリング角出力12a(車輌のCANデータから得る)とが各々入力されており、前記第1〜第3減算部3,4,5では、前記各出力2a,2b及び2cと全ての前記各出力10a,11a及び12aとが、前記各減算部3〜5で減算処理されるように構成されている。
【0014】
前記各減算部3,4及び5で得られた各減算出力としての差3a,4a及び5aは、周知のカルマンフィルタ等からなる誤差推定手段20に入力され、この誤差推定手段20では、前述の差に基づいて、位置補正、速度補正、姿勢補正、方位補正、慣性補正、加速度補正、タイヤ速度補正Ts及びステアリング角補正Sを行うために、フィルタリングによって誤差推定をリアルタイムに行い、その誤差推定値20aが前述の3軸角速度信号1a、3軸加速度信号1b及び慣性航法計算部2の姿勢、速度及び位置の補正のために入力されている。また、前記タイヤ速度補正Ts及びステアリング角補正Sは、前記タイヤ速度出力11a及びステアリング角出力12aに帰還入力され、前記タイヤ速度出力11a及びステアリング角出力12aが補正されるように構成されている。
従って、前記各センサ10,11,12の持つ誤差による計測精度以上の計測精度を得ることができるように構成されている。
【0015】
従って、前述の図1の車輌位置計測装置30においては、前記MEMS慣性センサ1からの前記3軸角速度信号1a、前記3軸加速度信号1b及び前記慣性航法計算部2の姿勢・速度・位置は、前記誤差推定手段20からの誤差推定値20aに基づいてリアルタイムに補正されるため、前記慣性航法計算部2から取り出される姿勢・速度・位置における各出力信号である前記位置出力2a、速度出力2b及び方位出力2cの精度は常に帰還制御と同様に高精度に位置計測が制御されている。
【0016】
前述の図1の車輌位置計測装置30により計測される本発明による姿勢角、方位角、速度及び位置の達成精度は、図3で示されるように、準天頂GPS受信時と準天頂GPS受信不能時において、車輌の自動運転に用いることのできる位置計測を達成していることが明らかである。
【0017】
尚、前述の図1の車輌位置計測装置30は、全体のシステムを示すブロック図として示しているが、そのハードウェアは、実際には、図2に示される通りである。
すなわち、図2において、前記慣性航法計算部2からの各出力2a〜2cはA/D変換部2Aを介して誤差推定手段20及び各減算部2a〜2c等よりなるCPU20Aに入力され、このCPU20Aに対して図1のGPS位置出力10a、タイヤ速度出力11a及びステアリング角出力12aは、車輌全体の制御データ等を統括するためのCANデータ40としてCPU20Aに入力されている。
前記CPU20Aからは、出力データとして、常に、リアルタイムで誤差補正されている位置出力2a、速度出力2b、方位出力2c及び姿勢出力2dが出力されている。
【0018】
尚、本発明による車輌位置計測装置及び方法の要約とするところは、以下の通りである。
すなわち、3軸角速度信号1a及び3軸加速度信号1bを出力するためのMEMS慣性センサ1と、前記MEMS慣性センサ1に接続され、位置出力2aと速度出力2bと方位出力2cとを出力するための慣性航法計算部2と、前記位置出力2aとGPSセンサ10からのGPS位置出力10aとの誤差を算出するための第1減算部3と、前記速度出力2bとタイヤ速度センサ11からのタイヤ速度出力11aとの誤差を算出するための第2減算部4と、前記方位出力2cとステアリング角センサ12からのステアリング角出力12aとの誤差を算出するための第3減算部5と、前記各減算部3〜5からの各減算出力である差3a,4a,5aを入力し誤差推定を行うための誤差推定手段20と、を備え、前記慣性航法計算部2からの各出力2a〜2CとGPSセンサ10とタイヤ速度センサ11とステアリング角センサ10〜12からの各出力10a,11a,12aとを第1、第2及び第3減算部3,4,5を介して減算して誤差を誤差推定手段20により推定して補正し、
前記誤差推定手段20からのタイヤ速度補正Tsを前記タイヤ速度出力11aに帰還入力し、前記誤差推定手段20からのステアリング角補正Sを前記ステアリング角出力12aに帰還入力し、前記誤差推定手段20でリアルタイムに推定した推定誤差20aを前記3軸角速度信号1a、前記3軸加速度信号1b及び前記慣性航法計算部2に入力することにより、全ての前記各センサ10,11,12の持つ誤差による計測精度以上の計測精度を得るようにした構成と方法であり、また、前記誤差推定手段20は、カルマンフィルタよりなり、位置補正、速度補正、姿勢補正、方位補正、慣性補正及び加速度補正を行う構成と方法であり、また、請求項1及び請求項2に記載の車輌位置計測装置は、車輌の自動運転に用いられる構成と方法である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明による車輌位置計測装置及び方法は、少なくともGPSの出力とMEMS慣性センサの出力と速度出力とステアリング角出力を情報として、誤差推定手段による誤差推定により、精度よく自車の位置計測を行うことができ、高精度位置計測による車輌の自動運転化の実現が可能となることである。
【符号の説明】
【0020】
1 MEMS慣性センサ
1a 3軸角速度信号
1b 3軸加速度信号
2 慣性航法計算部
2a 位置出力
2b 速度出力
2c 方位出力
2A A/D変換部
3 第1減算部
3a〜5a 差(減算出力)
4 第2減算部
5 第3減算部
10 GPSセンサ
10a GPS位置出力
11 タイヤ速度センサ
11a タイヤ速度出力
12 ステアリング角センサ
12a ステアリング角出力
20 誤差推定手段
20a 誤差推定値
20A CPU
30 車輌位置計測装置
40 CANデータ
図1
図2
図3