特許第6383908号(P6383908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383908
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】レゾルバのカバー構造の溶着方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 24/00 20060101AFI20180827BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20180827BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H02K24/00
   B29C65/08
   G01D5/20 110H
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-177822(P2014-177822)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-52228(P2016-52228A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】豊竹 克年
【審査官】 三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−214817(JP,A)
【文献】 特開2003−209946(JP,A)
【文献】 特開2007−038422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 24/00
B29C 65/08
G01D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で形成された第1輪状巻線カバー(8)が、樹脂で形成された第2輪状巻線カバー(7)の足部(7a)のカバー突起(8a)に対して、超音波加熱によって溶着されており、
前記超音波加熱としての溶着ホーン(21)が接触する前記第1輪状巻線カバー(8)の溶着部(11)は、前記第1輪状巻線カバー(8)から一体に突出し、断面山状をなす突起部(30)よりなるレゾルバのカバー構造の溶着方法において、前記突起部(30)の第1厚さ(T1)は、前記突起部(30)の近傍における前記カバー(8)の第2厚さ(T2)より大であり、前記突起部(30)上に前記溶着ホーン(21)を当接させると、前記溶着ホーン(21)の下面(21a)が1ヶ所のみの前記突起部(30)に当接し、前記溶着ホーン(21)が押されることにより、前記突起部(30)が溶融して平坦化され、前記第1輪状巻線カバー(8)にクラックが発生することなく前記カバー突起(8a)と前記足部(7a)とが溶着されることを特徴とするレゾルバのカバー構造の溶着方法。
【請求項2】
前記突起部(30)の近傍には、前記カバー(8)の第2厚さ(T2)よりも小の第3厚さ(T3)の薄肉領域(40)が形成され、前記突起部(30)の第1厚さ(T1)は、前記カバー(8)の第2厚さ(T2)よりも大であることを特徴とする請求項記載のレゾルバのカバー構造の溶着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバのカバー構造の溶着方法に関し、特に、カバーを相手方部材に溶着する場合、カバーにクラックを発生させないような構造として溶着するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレゾルバのカバー構造の溶着方法としては、例えば、特許文献1に開示されたレゾルバのステータカバー構造を図3から図7として挙げることができる。
まず、図3から図6の従来構成において、図3において符号1で示されるものはレゾルバステータであり、このレゾルバステータ1の内方に突出して形成された複数の磁極2には、第1、第2輪状絶縁板3,4を介してステータ巻線5が巻回されている。
【0003】
前記レゾルバステータ1の両面には、このステータ巻線5を覆うように第1、第2輪状巻線カバー7,8が設けられている。前記第1輪状巻線カバー7の周縁に形成された複数の第1突起7aは、前記レゾルバステータ1の前記ステータ巻線5の外側位置に設けられた複数の貫通孔10を貫通してレゾルバステータ1の面1aから突出している。
【0004】
前記第2輪状巻線カバー8の周縁には、前記各第1突起7aに対応した位置にこの第1突起7aよりも長さが短く形成された第2突起8aが形成され、各突起7aと8aは、図1で示されるように互いに接合され、接合面が超音波の加熱によって溶着された溶着部11によって一体となるように結合されている。従って、この溶着部11は前記面1aよりも軸方向にやや離れて位置している。尚、この第1、第2輪状巻線カバー7,8は、レゾルバステータ1の何れの面に対しても設けることができる。
【0005】
また、前述の溶着によるレゾルバステータのカバー構造においては、その溶着部分を拡大して示すと、図7に示される通りである。
すなわち、図7において符号8で示されるものは、断面で凹状をなすカバーであり、このカバー8は、例えば、レゾルバの第1輪状巻線カバーをなす樹脂成形品で構成されている。
前記カバー8の裏面8Aには、カバー突起8aが一体に形成され、このカバー突起8aは、断面で凹状をなす第2輪状巻線カバー7の足部からなる相手方部材7aと当接するように構成されている。
【0006】
前記相手方部材7aは、前述の図3から図6で示されるレゾルバの従来構成に示されるように、レゾルバにおいては、図5のように前記レゾルバステータ1のステータ巻線5の外側に形成されている貫通孔10を貫通して前記カバー突起8aに当接しており、前記カバー突起8aと前記相手方部材7aとが互いに当接する当接部20が後述の超音波加熱によって溶着するように構成されている。
【0007】
次に、図7の構成において、前記カバー8を相手方部材7aに溶着する場合、前記カバー8の表面8b、すなわち、前記カバー突起8aに対応する位置に、溶着ホーン21を当接させると、超音波によって加熱され、前記当接部20が互いに溶融し、冷却後に互いに一体接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−209946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のレゾルバのカバー構造溶着方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、図7におけるカバー8は、図6で示されるように、薄肉で全体にバランスの悪い形状が多いため、射出成形によって樹脂成形した場合、図7のように、部分的に肉厚が薄くなった形状となるソリ部8Bが発生することになり、このソリ部8Bの状態で溶着ホーン21を当接させると、この溶着ホーン21が2ヶ所に当接して溶着部11,11が発生し、中央のソリ部8Bには溶着ホーン21が当接不可能であるため、溶着の条件範囲が狭く、カバー8にクラックが発生しやすく、歩留まりが低下していた。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、カバーを相手方部材に溶着する場合、カバーにクラックを発生させないような構造として溶着するようにしたレゾルバのカバー構造の溶着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明によるレゾルバのカバー構造の溶着方法は、樹脂で形成された第1輪状巻線カバーが、前記樹脂で形成された第2輪状巻線カバーの足部のカバー突起に対して、超音波加熱によって溶着されており、前記超音波加熱としての溶着ホーンが接触する前記第1輪状巻線カバーの溶着部は、前記第1輪状巻線カバーから一体に突出し、断面山状をなす突起部よりなる方法において、前記突起部の第1厚さは、前記突起部の近傍における前記カバーの第2厚さより大であり、前記突起部上に前記溶着ホーンを当接させると、前記溶着ホーンの下面が1ヶ所のみの前記突起部に当接し、前記溶着ホーンが押されることにより、前記突起部が溶融して平坦化され、前記第1輪状巻線カバーにクラックが発生することなく前記カバー突起と前記足部とが溶着される方法であり、また、前記突起部の近傍には、前記カバーの第2厚さよりも小の第3厚さの薄肉領域が形成され、前記突起部の第1厚さは、前記カバーの第2厚さよりも大である方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるレゾルバのカバー構造の溶着方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、樹脂で形成されたカバーが樹脂で形成された相手方部材に対して、超音波加熱によって溶着されているレゾルバのカバー構造の溶着方法において、
前記超音波加熱としての溶着ホーンが接触する前記カバーの溶着部は、前記カバーから一体に突出する突起部よりなることにより、この1ヶ所のみの突起部を介して、かつ、溶着ホーンを介してエネルギーが集中的に入っていき、少しづつ突起部が溶融して少しずつ全体に溶着ホーンが当たり、クラックの発生を伴うことなく溶着が行われる。そのため、クラックが入りにくく、歩留まりも従来より向上できる。
また、前記突起部の第1厚さは、前記突起部の近傍における前記カバーの第2厚さより大であることにより、十分な高さの突起部を得ることができ、前述の効果を十分に得ることができる。
また、前記突起部の近傍には、前記カバーの第2厚さよりも小の第3厚さの薄肉領域が形成され、前記突起部の第1厚さは、前記カバーの第2厚さよりも大であることにより、溶着ホーンとの当接は1ヶ所のみとなり、前述と同様のクラックの起こりにくい溶着を得ることができる。
また、前記カバーは、レゾルバステータの第1輪状巻線カバーよりなり、前記相手方部材は、前記レゾルバステータの第2輪状巻線カバーの足部よりなることにより、クラックの発生を防止してレゾルバを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるレゾルバのカバー構造の溶着方法を示す説明図である。
図2図1の他の形態を示す説明図である。
図3】従来のレゾルバのレゾルバステータのカバー構造を示す断面図である。
図4図3の溶着部を示す拡大説明図である。
図5図3のレゾルバのレゾルバステータの外観を示す斜視図である。
図6図5の輪状ステータの分解斜視図である。
図7】従来のレゾルバステータのカバー構造の溶着方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によるレゾルバのカバー構造の溶着方法は、カバーを相手方部材に溶着する場合、カバーにクラックを発生させないような構造として溶着することである。
【実施例】
【0015】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバのカバー構造の溶着方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において符号8で示されるものは、断面で凹状をなすカバーであり、このカバー8は、例えば、レゾルバの第1輪状巻線カバーをなす樹脂成形品で構成した場合について述べるが、レゾルバ以外の一般製品を対象とすることもできる。
【0016】
前記カバー8の裏面8Aには、カバー突起8aが一体に形成され、このカバー突起8aは、断面で凹状をなす第2輪状巻線カバー7の足部からなる相手方部材7aと当接するように構成されている。
【0017】
前記相手方部材7aは、前述の図3から図6で示されるレゾルバの従来構成に示されているように、レゾルバにおいては、レゾルバステータ1のステータ巻線5の外側に形成されている貫通孔10を貫通して前記カバー突起8aに当接しており、前記カバー突起8aと前記相手方部材7aとが互いに当接する当接部20が後述の超音波加熱によって溶着するように構成されている。
【0018】
前記カバー8の表面8bにおける前記カバー突起8aに対応しかつ溶着ホーン21に対応する位置には、前記カバー8の表面8bから一体で上方に突出する突起部30が形成され、前記突起部30の第1厚さTは、前記突起部30の近傍における前記カバー8の第2厚さTよりも大であるように構成されている。
【0019】
次に、図1の構成において、前記カバー8を相手方部材7aに溶着する場合、前記カバー8の表面8bの前記突起部30上に溶着ホーン21を当接させると、溶着ホーン21の下面21aが1ヶ所のみの突起部30に当接し、この溶着ホーン21を押すことによりエネルギーが集中的に入っていき、断面山状をなすこの突起部30が溶融して平坦化し、少しずつ下面21a全体に前記表面8bが当たることにより、エネルギーが前記当接部20に伝播され、従来のようなクラックがカバー8に入ることなく、前記カバー突起8aと相手方部材7aとの溶着が行われる。
尚、前述の場合、前記カバー8の表面8bにおける突起部30は、溶着を必要とする個所の数(図5のように複数)だけあり、1ヶ所の溶着個所に対して1ヶ所のみの前記突起部30が形成されている。
【0020】
次に、図2に示される構成は、図1の突起部30の形状を変更した他の形態を示しており、図1と異なる部分のみ説明し、同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
すなわち、図2において、前記突起部30の近傍には、前記カバー8の第2厚さT2よりも小の第3厚さTで形成された輪状の薄肉領域40が形成されており、前記突起部30の第1厚さTは、前記カバー8の第2厚さTよりも大であるように構成されている。
尚、前記薄肉領域40は、前記突起部30の上方から平面として見た場合、この突起部30の周囲に輪状に形成されている。
【0021】
従って、前述の図2の構成において、前記突起部30の溶着部11上に溶着ホーン21を当接し、徐々に押圧すると、超音波による熱によって前記突起部30の形がくずれると共に、熱がカバー突起8aから相手方部材7aに伝播されて当接部20が溶着され、カバー8の突起部30が徐々につぶされ、薄肉領域40と共に全体がほぼ平坦状となるため、前記溶着ホーン21の下面21a全体がカバー8の表面8bに当接するため、カバー8にクラックが形成されることなく、前記当接部20の溶着を行うことができる。
尚、前述の構成では、レゾルバの各輪状巻線カバー7,8の溶着について述べたが、レゾルバに限ることなく、他の機器におけるカバーの溶着にも適用できるものである。
【0022】
尚、前述の本発明によるレゾルバのカバー構造の溶着方法の要旨とするところは、次の通りである。
すなわち、本発明によるレゾルバのカバー構造の溶着方法は、樹脂で形成された第1輪状巻線カバー8が、前記樹脂で形成された第2輪状巻線カバー7の足部7aのカバー突起8aに対して、超音波加熱によって溶着されており、前記超音波加熱としての溶着ホーン21が接触する前記第1輪状巻線カバー8の溶着部11は、前記第1輪状巻線カバー8から一体に突出し、断面山状をなす突起部30よりなるレゾルバのカバー構造の溶着方法において、前記突起部30の第1厚さTは、前記突起部30の近傍における前記カバー8の第2厚さTより大であり、前記突起部30上に前記溶着ホーン21を当接させると、前記溶着ホーン21の下面21aが1ヶ所のみの前記突起部30に当接し、前記溶着ホーン21が押されることにより、前記突起部30が溶融して平坦化され、前記第1輪状巻線カバー8にクラックが発生することなく前記カバー突起8aと前記足部7aとが溶着される。また、前記突起部30の近傍には、前記カバー8の第2厚さTよりも小の第3厚さTの薄肉領域40が形成され、前記突起部30の第1厚さTは、前記カバー8の第2厚さTよりも大である方法である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によるレゾルバのカバー構造の溶着方法は、カバーを相手方部材に溶着する場合、カバーにクラックを発生させないような構造として溶着し、溶着の歩留まりを向上させることである。
【符号の説明】
【0024】
1 レゾルバステータ
7 第2輪状巻線カバー
7a 相手方部材(第2輪状巻線カバーの足部)
8 カバー(第1輪状巻線カバー)
8a カバー突起
8b 表面
8A 裏面
8B ソリ部
11 溶着部
20 当接部
21 溶着ホーン
21a 下面
30 突起部
40 薄肉領域
第1厚さ
第2厚さ
第3厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7