(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383909
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】航空機用レバー装置
(51)【国際特許分類】
B64C 13/04 20060101AFI20180827BHJP
B64C 13/16 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
B64C13/04
B64C13/16
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-244821(P2014-244821)
(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公開番号】特開2016-107698(P2016-107698A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】市瀬 俊光
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0300263(US,A1)
【文献】
特開2011−059934(JP,A)
【文献】
特開2004−243954(JP,A)
【文献】
特開2015−075848(JP,A)
【文献】
特開2013−132967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/04 〜 13/50
B64D 47/00 〜 47/08
G05G 1/00 〜 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に設けられたレバー(1)の下端(1a)にスリップクラッチ(2)を介して設けられた第1ギア(3)と、前記第1ギア(3)と噛合する第2ギア(4)と、前記第2ギア(4)の回転がベベルギア(5)を介して伝達され遊星歯車からなるギアボックス(6)と、前記ギアボックス(6)の入力ギア(6a)に接続された回転センサ(8)の入力軸(8a)と、前記入力ギア(6a)にアイドルギア(10)を介して噛合された出力ギア(9a)を有するモータ(9)とからなり、
前記レバー(1)の長手方向(1A)に対して、前記ベベルギア(5)の軸方向(5A)と前記モータ(9)及び前記回転センサ(8)の軸方向(8A)は平行である構成としたことを特徴とする航空機用レバー装置。
【請求項2】
前記ギアボックス(6)と前記回転センサ(8)とは、互いに直列接続され、前記回転センサ(8)と前記モータ(9)とは、支持板(7)を介して互いに並列配置されていることを特徴とする請求項1記載の航空機用レバー装置。
【請求項3】
前記レバー(1)は、前記モータ(9)が非駆動時には手動操作となると共に前記モータ(9)が駆動時には自動駆動となるように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の航空機用レバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用レバー装置に関し、特に、レバーの長さ方向に対して、ベベルギアとギアボックスと回転センサの各軸方向を平行配置とし、モータの取付位置を自在とするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレバー装置としては、図示していないが、一般に平歯車を使用してトルク伝達を行う構成が採用されており、レバー装置としては大型化していた。
また、特許文献1に示される船用推進装置においては、本発明で採用している構成要素であるスリップクラッチ、ベベルギア及びモータの組み合わせによる減速機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−132967号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の平歯車を組み合わせたレバー装置の構成の場合、多数の平歯車を組合わせているため、平面的に大型化し、例えば、航空機等の狭いスペースに取り付ける場合には、スペースを取り過ぎることになり、他の装置の取り付けにも悪影響を与えることになっていた。
また、従来の船用推進装置に採用されている前述の構成では、スリップクラッチ、ベベルギア及びモータの組み合わせの構成では、スクリュを駆動するためには適用できるが、全体形状はT字型をなしているため、例えば、航空機用として適用するには、スペース上、困難であった。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、レバーの長手方向に対して、ベベルギアとギアボックスと回転センサの各軸方向を平行配置とし、モータの取付位置を自在とするようにしたレバー装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるレバー装置は、回転自在に設けられたレバーの下端にスリップクラッチを介して設けられた第1ギアと、前記第1ギアと噛合する第2ギアと、前記第2ギアの回転がベベルギアを介して伝達され遊星歯車からなるギアボックスと、前記ギアボックスの入力ギアに接続された回転センサの入力軸と、前記入力ギアにアイドルギアを介して噛合された出力ギアを有するモータとからなり、前記レバーの長手方向に対して、前記ベベルギアの軸方向と前記モータ及び前記回転センサの軸方向は平行である構成であり、また、前記ギアボックスと前記回転センサとは、互いに直列接続され、前記回転センサと前記モータとは、支持板を介して互いに並列配置されている構成であり、また、前記レバーは、前記モータが非駆動時には手動操作となると共に前記モータが駆動時には自動駆動となるようにした構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明による航空機用レバー装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、回転自在に設けられたレバーの下端にスリップクラッチを介して設けられた第1ギアと、前記第1ギアと噛合する第2ギアと、前記第2ギアの回転がベベルギアを介して伝達され遊星歯車からなるギアボックスと、前記ギアボックスの入力ギアに接続された回転センサの入力軸と、前記入力ギアにアイドルギアを介して噛合された出力ギアを有するモータとからなり、前記レバーの長手方向に対して、前記ベベルギアの軸方向と前記モータ及び前記回転センサの軸方向は平行である構成としたことにより、レバー、ギアボックス、回転センサ及びモータは、概略でみてほぼ縦型に構成されているため、狭いスペースに取付けが容易となり、航空機への取付けも極めて容易となる。
また、前記ギアボックスと前記回転センサとは、互いに直列接続され、前記回転センサと前記モータとは、支持板を介して互いに並列配置されていることにより、モータは回転センサの入力軸の回りに自在に設けることができ、例えば、航空機における狭いスペース内に取付ける場合にモータの取付け位置の自由度を向上させることができる。
また、前記レバーは、前記モータが非駆動時には手動操作となると共に前記モータが駆動時には自動駆動となるように構成したことにより、手動と自動の両方ができるレバー装置でありながら、装置全体を縦型でかつ小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による航空機用レバー装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明による航空機用レバー装置は、レバーの長手方向に対して、ベベルギアとギアボックスとの回転センサの各軸方向を平行配置とし、モータの取付位置を自在とすることである。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明による航空機用レバー装置の好適な実施の形態について説明する。
図1において、符号1で示されるものは、長手形状のレバーであり、前記レバー1の下端1aにはスリップクラッチ2を介して第1ギア3が接続されている。
前記第1ギア3は、前記第1ギア3よりも小径の第2ギア4に直接噛合しており、前記第2ギア4はベベルギア5が直接噛合している。
【0011】
前記ベベルギア(5)は、周知の遊星歯車からなる減速機としてのギアボックス6の出力軸の作用を有している。
前記ギアボックス6の下方には、支持板7が配設されており、前記支持板7には、レゾルバ等の回転センサ8が固定して取付けられ、前記支持板7における前記回転センサ8の隣接位置にはモータ9が設けられている。
【0012】
前記ギアボックス6の入力ギア6aには、前記回転センサ8の入力軸8aが接続されており、前記入力ギア6aは、アイドルギア10を介して前記モータ9の出力ギア9aに噛合している。
前記レバー1の長手方向1Aに対して、前記ベベルギア5の軸方向5Aと前記モータ9及び前記回転センサ8の軸方向9A,8Aは平行となるように配設されている。
【0013】
前記ベベルギア5とギアボックス6及び前記回転センサ8とは、互いに直列接続されており、前記回転センサ8と前記モータ9とは、前記支持板7を介して互いに並列配置されている。
【0014】
次に、前述の状態で、前記モータ9を非動作状態として、前記レバー1を矢印Aの方向に回動させると、前記第1ギア3は前記第2ギア4が非回転状態すなわちロック状態であるため、レバー1と共に回転することはなく、スリップクラッチ2の許容する角度範囲のみ、回動可能となる。
従って、前記レバー1の回動範囲における回動が、図示しない、例えば、航空機のフラップ駆動部に伝達されて、フラップの上げ下げ動作を制御することができるように構成されている。
【0015】
また、前記レバー1を用いてフラップ等の動作を制御するのではなく、前記レバー1は操作しないで、前記モータ9を所定のプログラムによって駆動させると、前記モータ9の出力ギアaは、前記アイドルギア10、入力ギア6a、ギアボックス6、ベベルギア5、第2ギア4及び第1ギア3を介して前記レバー1が回動すると共に、図示しない前記フラップ駆動部に伝達されて、フラップの上げ下げ動作を制御することができる。
【0016】
従って、前述のように前記スリップクラッチ2は、前記レバー1を手動で回動させて他の部材を作動させる場合においては、クラッチオフ状態となって、前記レバー1のみが自在に往復回動できるように構成されている。
また、前記レバー1を手動ではなく自動で回動させる場合には、前記モータ9が回転し、この回転がベベルギア5を介して第2ギア4から第1ギア3に伝達されると、前記スリップクラッチ2はクラッチオン状態となり、前記第1ギア3の回転と共に前記レバー1が回動し、例えば、操縦者がレバー1の動きを直視することができる。
【0017】
尚、前述のモータ9を回転させて前記レバー1を自動駆動させる場合には、前記モータ9の回転数及び入力ギア6aの回転数は前記回転センサ8によって検出され、この回転数によって前記プログラムにより制御することによって、前記レバー1の自動駆動を行うことができる。
従って、本発明によるレバー装置においては、レバー1のみによる手動操作及びモータ9によるレバー1の自動駆動の何れも自在に行うことができる。
また、
図1においては、各部材を保持する筐体を省略しているが、実際には図示しない筐体内には内設されている。
【0018】
次に、前述の本発明によるレバー装置の要旨とするところは、以下の通りである。
すなわち、回転自在に設けられたレバー1の下端1aにスリップクラッチ2を介して設けられた第1ギア3と、前記第1ギア3と噛合する第2ギア4と、前記第2ギア4の回転がベベルギア5を介して伝達され遊星歯車からなるギアボックス6と、前記ギアボックス6の入力ギア6aに接続された回転センサ8の入力軸8aと、前記入力ギア6aにアイドルギア10を介して噛合された出力ギア9aを有するモータ9とからなり、前記レバー1の長手方向1Aに対して、前記ベベルギア5の軸方向5Aと前記モータ9及び前記回転センサ8の軸方向8Aは平行である構成としたことを特徴とする航空機用レバー装置であり、また、前記ギアボックス6と前記回転センサ8とは、互いに直列接続され、前記回転センサ8と前記モータ9とは、支持板7を介して互いに並列配置されていることを特徴とする請求項1記載の航空機用レバー装置であり、また、前記レバー1は、前記モータ9が非駆動時には手動操作となると共に前記モータ9が駆動時には自動駆動となることを特徴とする請求項1又は2記載の航空機用レバー装置である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明による航空機用レバー装置は、スリップクラッチを有するレバーがギアとベベルギアを介してギアボックスと回転センサ及びモータに連結されているため、レバー装置全体が直状体に構成され、航空機の狭いスペースにも容易に取付けることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 レバー
1a 下端
1A 長手方向
2 スリップクラッチ
3 第1ギア
4 第2ギア
5 ベベルギア
5A 軸方向
6 ギアボックス
6A 入力ギア
7 支持板
8 回転センサ
8a 入力軸
8A 軸方向
9 モータ
9a 出力ギア
10 アイドルギア