特許第6383916号(P6383916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6383916-差動変圧器の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383916
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】差動変圧器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/12 20060101AFI20180827BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20180827BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01F41/12 C
   H01F41/12 B
   H01F41/04 B
   H01F30/10 J
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-216097(P2014-216097)
(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-86012(P2016-86012A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】原 康文
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−056315(JP,U)
【文献】 特開2001−141409(JP,A)
【文献】 特開2014−49708(JP,A)
【文献】 特開2008−153299(JP,A)
【文献】 特開2006−317283(JP,A)
【文献】 特開2008−300790(JP,A)
【文献】 特開2012−244072(JP,A)
【文献】 特開平11−121231(JP,A)
【文献】 特開2000−252150(JP,A)
【文献】 実開昭64−038517(JP,U)
【文献】 特開平10−214743(JP,A)
【文献】 実開昭54−180913(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/12
H01F 30/10
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状ボビンの外周に巻線を施すこと、
前記円筒状ボビンの外周に前記巻線を施した後に、前記巻線の外周に樹脂を盛ること、
前記巻線の外周に前記樹脂を盛った後に、前記円筒状ボビンを割型の内部空隙に配置して、前記樹脂を固化させることで前記円筒状ボビンの外周に前記巻線を固定する樹脂モールドを形成すること、及び
前記樹脂モールドを形成した後に、前記割型を分割して前記円筒状ボビンを前記割型から取り外し、該円筒状ボビンを外部ケースに挿入すること
を含むことを特徴とする差動変圧器の製造方法。
【請求項2】
前記円筒状ボビンの軸方向両端部には、前記円筒状ボビンと同軸に配置されるとともに前記円筒状ボビンよりも大径な端板が取り付けられており、
前記樹脂は、前記円筒状ボビンの軸方向に沿う前記端板間の空間を埋めるように、前記巻線の外周に盛られる
ことを特徴とする請求項1記載の差動変圧器の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の差動変圧器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状ボビンの外周に樹脂モールドを形成する差動変圧器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の差動変圧器としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、差動変圧器は、外周に巻線が施された円筒状ボビンを有している。円筒状ボビンの外周には、巻線を固定するように樹脂モールドが形成されている。円筒状ボビンは、円筒状ボビンの外周を囲む筒状の外部ケースに挿入されている。円筒状ボビンの内部にはプローブが挿入される。プローブが進退されることで巻線からの出力が変化される。
【0003】
このような差動変圧器は、以下のような方法で製造されている。すなわち、従来の差動変圧器の製造方法は、外周に巻線を施した円筒状ボビンを外部ケースに挿入した後に、円筒状ボビンを挿入した外部ケースの開口部から外部ケースの内部にポッティングにより樹脂を流し込み、外部ケースと円筒状ボビンとの間で樹脂モールドを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−300790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の差動変圧器の製造方法では、円筒状ボビンを挿入した外部ケースの開口部から外部ケースの内部にポッティングにより樹脂を流し込み、外部ケースと円筒状ボビンとの間で樹脂モールドを形成している。このような製造方法では、例えばエポキシ樹脂等の流動性が極めて少ない樹脂を用いることができない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、流動性が極めて少ない樹脂を用いて樹脂モールドを形成することができる差動変圧器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る差動変圧器の製造方法は、円筒状ボビンの外周に巻線を施すこと、円筒状ボビンの外周に巻線を施した後に、巻線の外周に樹脂を盛ること、巻線の外周に樹脂を盛った後に、円筒状ボビンを割型の内部空隙に配置して、樹脂を固化させることで円筒状ボビンの外周に巻線を固定する樹脂モールドを形成すること、及び樹脂モールドを形成した後に、割型を分割して円筒状ボビンを割型から取り外し、該円筒状ボビンを外部ケースに挿入することを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の差動変圧器の製造方法によれば、巻線の外周に樹脂を盛った後に、円筒状ボビンを割型の内部空隙に配置して、樹脂を固化させることで円筒状ボビンの外周に巻線を固定する樹脂モールドを形成するので、流動性が極めて少ない樹脂を用いて樹脂モールドを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態による差動変圧器の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態による差動変圧器の製造方法を示す説明図である。本実施の形態の差動変圧器の製造方法は、図1の(a)〜(d)に示す第1〜第4工程を含んでいる。まず、図1の(a)に示すように、円筒状ボビン1の外周に巻線2が施される。
【0011】
円筒状ボビン1の外周に巻線を施した後に、図1の(b)に示すように、巻線2の外周に樹脂3を盛る。樹脂3としては、流動性が極めて少ない樹脂(例えばエポキシ樹脂等)が用いられる。円筒状ボビン1の軸方向両端部には、円筒状ボビン1と同軸に配置されるとともに円筒状ボビン1よりも大径な端板10が取り付けられている。樹脂3は、円筒状ボビン1の軸方向に沿う端板10間の空間を埋めるように、巻線2の外周に盛られる。すなわち、巻線2の外周に盛られた樹脂3の外面が端板10の外面と同一面を構成するように、巻線2の外周に樹脂3が盛られる。
【0012】
巻線2の外周に樹脂3を盛った後に、図1の(c)に示すように、円筒状ボビン1を割型4の内部空隙40に配置して、樹脂3を固化させることで円筒状ボビン1の外周に巻線2を固定する樹脂モールド5を形成する。割型4とは、分割可能な型であり、複数の型材41が組み合わされたものである。図示しないが、型材41の凹部に円筒状ボビン1を配置した後に、他の型材41を組み合わせることで、円筒状ボビン1を割型4の内部空隙40に配置することができる。端板10は、円筒状ボビン1の外周と内部空隙40の壁面40aとの間に樹脂3が存在できる空間を確保するように、円筒状ボビン1が内部空隙40に配置された際に内部空隙40の壁面40aに当接される。
【0013】
樹脂モールド5が形成された後に、割型4が分割されて円筒状ボビン1が割型4から取り外される。そして、図1の(d)に示すように、樹脂モールド5が形成された円筒状ボビン1が外部ケース6に挿入される。
【0014】
このような差動変圧器の製造方法では、巻線2の外周に樹脂3を盛った後に、円筒状ボビン1を割型4の内部空隙40に配置して、樹脂3を固化させることで円筒状ボビン1の外周に巻線2を固定する樹脂モールド5を形成するので、流動性が極めて少ない樹脂を用いて樹脂モールド5を形成することができる。
【0015】
また、円筒状ボビン1の軸方向に沿う端板10間の空間を埋めるように、巻線2の外周に樹脂3が盛られるので、樹脂3を盛る量及び位置を容易に特定することができ、作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0016】
1 円筒状ボビン
10 端板
2 巻線
3 樹脂
4 割型
40 内部空隙
5 樹脂モールド
6 外部ケース
図1