特許第6383991号(P6383991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383991医療用ラップフィルムセット及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6383991
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】医療用ラップフィルムセット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/10 20160101AFI20180827BHJP
【FI】
   A61B46/10
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-18885(P2018-18885)
(22)【出願日】2018年2月6日
【審査請求日】2018年2月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518043759
【氏名又は名称】ファ・シャープメディックデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178179
【弁理士】
【氏名又は名称】桐生 美津恵
(72)【発明者】
【氏名】上野 浩二
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−526630(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/012476(WO,A1)
【文献】 特開平09−002461(JP,A)
【文献】 特開昭59−115222(JP,A)
【文献】 高橋富男,放射線滅菌技術の現状と今後,食品と開発,日本,CMPジャパン株式会社,2004年 9月 1日,VOL.39 No.9,p.10-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00 − 90/98
B65D 5/72 、 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ラップフィルムセットの製造方法であって、
ラップフィルムを巻芯に巻き付けてラップフィルム巻体を製造する工程と、
前記ラップフィルム巻体を収納する収納箱であって、前面板、底面板、後面板及び2つの側面板を有する上面が開口した本体部と前記後面板の上端縁から前記本体部の上面開口部を覆う方向に延出した蓋面板とを有するとともに、前記蓋面板の前端縁から前記前面板を覆う方向に延出した掩蓋片とその先端縁に形成された切断歯とを有し、前記切断歯を挿入可能な溝が前記前面板の上端縁に沿って形成されるとともに、前記溝の後ろ側であって前記2つの側面板各々の前側上端部に前記掩蓋片の両端を挿入可能な切り欠き部が形成された収納箱を製造する工程と、
前記収納箱に前記ラップフィルム巻体を収納する工程と、
前記収納箱と該収納箱に収納されたラップフィルム巻体とを滅菌する工程と
を備えたことを特徴とする医療用ラップフィルムセットの製造方法。
【請求項2】
前記滅菌する工程においては、
放射線を前記収納箱に照射することにより、前記収納箱と該収納箱に収納されたラップフィルム巻体とを同時に滅菌することを特徴とする請求項1に記載の医療用ラップフィルムセットの製造方法。
【請求項3】
ラップフィルムが巻芯に巻き付けられたラップフィルム巻体と、
前記ラップフィルム巻体が収納された収納箱とを備え、
前記収納箱は、
前面板、底面板、後面板及び2つの側面板を有する上面が開口した本体部と、
前記後面板の上端縁から前記本体部の開口部を覆う方向に延出した蓋面板と、
前記蓋面板の前端縁から前記前面板を覆う方向に延出した掩蓋片と、
前記掩蓋片の先端縁に設けられた切断歯と、
前記前面板の上端縁に沿って設けられ前記切断歯を挿入可能な溝と
前記溝の後ろ側であって前記2つの側面板各々の前側上端部に設けられ前記掩蓋片の両端を挿入可能な切り欠き部と
を備えたことを特徴とする医療用ラップフィルムセット。
【請求項4】
前記ラップフィルムは、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるプラスチック樹脂のフィルムで形成されていることを特徴とする請求項3に記載の医療用ラップフィルムセット。
【請求項5】
前記ラップフィルム巻体及び収納箱は滅菌されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の医療用ラップフィルムセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ラップフィルムセット及びその製造方法に関し、特に医療機器の被覆に用いる医療用ラップフィルムセット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関においてX線装置等の医療機器を手術や検査に使用する際に、患者や医師が接触する可能性がある部位を滅菌カバーで覆うことが行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の滅菌カバーは、装着される医療機器の部位の形状に合わせてポリエステル樹脂フィルム等で形成され、複数箇所に予め両面テープの小片が貼り付けられている。当該減菌カバーの両面テープを医療機器の表面に予め取り付けておいた被着面に貼り付けることで、当該医療機器を滅菌カバーで被覆していた。また、ビニール袋の開口部に伸縮ゴムを取り付けた減菌カバーも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3120152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の滅菌カバーは、各医療機器の被覆対象となる部位の形状に合わせた専用のものを医療機関において用意する必要があり、コストがかかっていた。また、医療機器の表面に被着面を予め取り付ける必要があり、また、当該被着面に滅菌カバーの両面テープを貼り付けなければならず、手間がかかっていた。また、貼り付け方や両面テープの粘着力によっては減菌カバーが医療機器から剥がれ落ちる可能性があった。また、袋状の減菌カバーは、かぶせることはできるが、支柱等の棒状のものに巻きつけることができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、様々な形状の医療機器の被覆に汎用的に使用することができ、被覆のためのコストを削減することができる医療用ラップフィルムセット及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、被覆対象となる医療機器の部位の形状や大きさに応じて剥がれないように容易に被覆することができる医療用ラップフィルムセット及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、周囲にラップフィルムの粉塵を撒き散らすことなく使用することができる医療用ラップフィルムセット及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、容易に滅菌して製造することができる医療用ラップフィルムセット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的の少なくとも1つを達成するために、本発明に係る医療用ラップフィルムセットの製造方法は、
ラップフィルムを巻芯に巻き付けてラップフィルム巻体を製造する工程と、
前記ラップフィルム巻体を収納する収納箱であって、前面板、底面板、後面板及び2つの側面板を有する上面が開口した本体部と前記後面板の上端縁から前記本体部の上面開口部を覆う方向に延出した蓋面板とを有するとともに、前記蓋面板の前端縁から前記前面板を覆う方向に延出した掩蓋片とその先端縁に形成された切断歯とを有し、前記前面板の上端縁に沿って前記切断歯を挿入可能な溝が形成されるとともに、前記溝の後ろ側であって前記2つの側面板各々の前側上端部に前記掩蓋片の両端を挿入可能な切り欠き部が形成された収納箱を製造する工程と、
前記収納箱に前記ラップフィルム巻体を収納する工程と、
前記収納箱と該収納箱に収納されたラップフィルム巻体とを滅菌する工程と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、被覆対象となる医療機器の部位の大きさに合わせてラップフィルムを切断し、被覆対象となる医療機器の部位の形状に合わせて被覆可能な医療用ラップフィルムセットを製造することができる。医療用ラップフィルムセットは、様々な形状の医療機器の被覆に汎用的に使用することができ、医療機器を被覆するためのコストを削減することができる。
また、切断歯を挿入可能な溝を前面板の上端縁に沿って形成したため、周囲にラップフィルムの破片等の粉塵を撒き散らすことなく使用することができる。
また、最終工程において前記収納箱と該収納箱に収納されたラップフィルム巻体とを滅菌することができるため、容易に滅菌して製造することができる。
【0008】
上記発明において、前記滅菌する工程においては、
放射線を前記収納箱に照射することにより、前記収納箱と該収納箱に収納されたラップフィルム巻体とを同時に滅菌することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ラップフィルム巻体が収納された収納箱に放射線を照射することで、収納箱と該収納箱に収納されたラップフィルム巻体とを同時に短時間で効率的に減菌することができる。
【0010】
本発明に係る医療用ラップフィルムセットは、
ラップフィルムが巻芯に巻き付けられたラップフィルム巻体と、
前記ラップフィルム巻体が収納された収納箱とを備え、
前記収納箱は、
前面板、底面板、後面板及び2つの側面板を有する上面が開口した本体部と、
前記後面板の上端縁から前記本体部の開口部を覆う方向に延出した蓋面板と、
前記蓋面板の前端縁から前記前面板を覆う方向に延出した掩蓋片と、
前記掩蓋片の先端縁に設けられた切断歯と、
前記前面板の上端縁に沿って設けられ前記切断歯を挿入可能な溝と
前記溝の後ろ側であって前記2つの側面板各々の前側上端部に設けられ前記掩蓋片の両端を挿入可能な切り欠き部と
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ラップフィルム巻体からラップフィルムを引き出し、被覆対象となる医療機器の部位の大きさに合わせて被覆に必要なラップフィルムを切断歯で切断し、医療機器の形状に合わせて容易に剥がれないように当該ラップフィルムで覆うことができるため、様々な形状の医療機器の被覆に汎用的に使用することができ、被覆のためのコストを削減することができる。
また、収納箱に収納されたラップフィルム巻体から、ラップフィルムを溝を超えて引き出し、当該溝に掩蓋片の先端縁に設けられた切断歯を挿入することで、溝の上に位置するラップフィルムを容易に切断することができるとともに、周囲にラップフィルムの粉塵を撒き散らすことがなく、周囲の空気の清浄を保つことができる。
【0012】
上記発明において、前記ラップフィルムは、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるプラスチック樹脂のフィルムで形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、プラスチック樹脂のフィルムは、密着性が高く、引張弾性率が高く、耐熱性があるため、医療機器を安全・確実に被覆することができる。
【0014】
上記発明において、前記ラップフィルム巻体及び収納箱は滅菌されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、ラップフィルムを用いて医療用機器を衛生的に被覆し、当該医療機器を用いて衛生的に手術や検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る医療用ラップフィルムセットの斜視図である。
図2】同実施形態に係るラップフィルム巻体の斜視図である。
図3】ラップフィルムを切断する際の様子を収納箱の側面板側から見た模式図である。
図4】掩蓋片を溝の後ろ側に収容した状態を収納箱の側面板側から見た模式図である。
図5】同実施形態に係る医療用ラップフィルムセットの製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る医療用ラップフィルムセット1の斜視図である。同図に示すように、医療用ラップフィルムセット1は、筒状のラップフィルム巻体10と、当該ラップフィルム巻体10が収納される収納箱20と、を備えている。当該医療用ラップフィルムセット1は、手術や検査中に患者や医師が接触する可能性がある医療機器の部位、例えば、X線診断装置のフラットパネルディテクタや支柱を被覆するために使用される。
【0018】
当該医療用ラップフィルムセット1は放射線により予め滅菌されている。ここで、放射線による滅菌法は、放射線による被照射物の電離作用を利用した滅菌方法であり、エチレンオキシドを用いたガス滅菌と比較して被照射物への透過力が強い。このため、ラップフィルム巻体10の内部のように密閉された状態となっていても、また、ラップフィルム巻体10が収納箱20に収納された状態であっても、外部から放射線を照射することで、ラップフィルム巻体10の内部まで滅菌することができる。また、被照射物の温度上昇や品質劣化が少なく、ガス滅菌のように有害な残留物や副生成物などが残らないため滅菌後の後処理が不要であり、安全かつ確実に滅菌することができる。なお、放射線の種類にはγ線及び電子線があるが、短時間で処理でき、かつ、環境対策の必要がない電子線が好ましい。
【0019】
図2はラップフィルム巻体10の斜視図である。ラップフィルム巻体10は、円筒形状の巻芯11にラップフィルム12が巻きつけられたものである。本実施形態では、ラップフィルム12の幅は30cm〜50cm、長さは30m〜50mである。巻き芯11の長さは当該ラップフィルム12の幅よりも若干長くなっている。
【0020】
ラップフィルム12は、プラスチック樹脂で形成されている。プラスチック樹脂フィルムは、密着性及び引張弾性があるため、医療機器の被覆すべき部位の形状に合わせて密着させることができ、被覆した後に容易に剥がれることがないため、安全・確実に医療機器を被覆することができる。
【0021】
なお、プラスチック樹脂の中でも、引張弾性、密着性、耐熱性、引裂強さ(カットし易さ)及びバリア性(滅菌性)のあるポリメチルペンテン(PMP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はこれらの2以上の組合せを用いるのが好ましい。また、医療機器を当該ラップフィルム12で覆った状態でオートクレーブで高圧蒸気滅菌することがある場合には、これらの中でも高い耐熱性を有するポリメチルペンテン又はポリ塩化ビニリデンを用いるのが好ましい。
【0022】
なお、ラップフィルム12を形成する材料はプラスチック樹脂に限定されることはなく、引張弾性、密着性、耐熱性、引裂強さ(カットし易さ)及びバリア性(滅菌性)のある材料であればよい。
【0023】
収納箱20は、例えば、厚手のプラスチック樹脂で形成されている。収納箱20をプラスチック樹脂で形成することで、収納箱20の耐久性が高まり、内部に収納されたラップフィルム12を使い切った後にラップフィルム巻体10を交換して再度利用することができる。
【0024】
なお、収納箱20は、厚紙、或いは、プラスチック樹脂でコーティングされた厚紙で形成されていてもよい。この場合には、ラップフィルム12を使い終わった後に収納箱20を使い捨てにすることができる。
【0025】
図1に示すように、収納箱20は、前面板21、底面板22、後面板23及び2つの側面板24、24を有し、上面が開口した本体部201を備えている。本体部201の内部は、ラップフィルム巻体10が収納される直方体形状の収納室となっている。
【0026】
後面板23の上端縁231には、本体部201の開口部25を覆う方向に蓋面板26が連接している。蓋面板26の前端縁261からは前面板21を覆う方向に掩蓋片27が延出している。掩蓋片27の先端縁271には切断歯28が設けられている。切断歯28は掩蓋片27と同じ材料で連続的に形成してもよいし、金属で形成し掩蓋片27の先端縁271に取り付けてもよい。
【0027】
前面板21の上端縁211に沿って断面U字型の溝30が設けられている。当該溝30は、蓋面板26で開口部25を被覆した際に、切断歯28を挿入可能な位置に設けられている。このような溝30を設けることで、図3に示すように、収納箱20に収納されたラップフィルム巻体10からラップフィルム12を溝30を超えて本体部201の外部まで所望の長さだけ引き出した後、蓋面板26を開口部25を覆う方向に閉じて当該溝30に切断歯28を挿入することで、切断歯28が鋭利な鋸歯でない場合でも、溝30の上に位置するラップフィルム12を容易に切断することができる。また、ラップフィルム12を切断する際に飛び散るラップフィルム12の微小な断片は溝30に落ちるため、ラップフィルム12の微小な断片が収納室内や周囲に飛び散ることがなく、周囲の空気の清浄を保つことができる。なお、溝30の断面形状はU字型に限らず、V字型であっても、コの字型であってもよい。
【0028】
溝30の後ろ側であって2つの側面板24、24の前側上端部には、切り欠き部241、241が設けられている。使いかけの医療用ラップフィルムセット1を保管しておく際や切断歯28による切断作業が完了した時には、図4に示すように、掩蓋片27(及び切断歯28)の長手方向両端を切り欠き部241、241に挿入し、ラップフィルム12の先端部が動かないように掩蓋片27で押さえた状態で、掩蓋片27を溝30の後ろ側に収容しておくことができる。また、掩蓋片27を溝30の後ろ側に収容した状態で収納箱20をひっくり返すことで、溝30に溜まったラップフィルム12の微小な粉塵等を排出することができる。
【0029】
なお、切り欠き部241を設けない場合には、掩蓋片27及び切断歯28を溝30に挿入した状態で、使いかけの医療用ラップフィルムセット1を保管しておくことができる。
【0030】
このような医療用ラップフィルムセット1は、被覆すべき医療機器の部位の大きさに合わせてラップフィルム12を切断歯28で切断し、被覆すべき部位の形状に合わせて容易に剥がれないように被覆することができるため、様々な形状の医療機器の被覆に汎用的に使用することができ、医療機器被覆のためのコストを削減することができる。また、収納箱20に収納されたラップフィルム巻体10からラップフィルム12を溝30を超えて引き出し、当該溝30に掩蓋片27の先端縁271に設けられた切断歯28を挿入することで、溝30の上に位置するラップフィルム12を容易に切断することができるとともに、ラップフィルム12の粉塵が周囲に飛び散ることがなく、周囲の衛生状態を保つことができる。
【0031】
次に、図5に示す工程図を参照して、上記構成の医療用ラップフィルムセット1の製造方法を説明する。
【0032】
まず、プラスチック樹脂で形成したラップフィルム12を巻芯11に巻き付けて、ラップフィルム巻体10を形成する(工程S1)。
【0033】
次に、収納箱20を製造する(工程S2)。収納箱20をプラスチック樹脂で形成する場合には、収納箱20の形状をかたどった金型を用いて製造する。或いは、収納箱20の展開形状を平板状のプラスチック樹脂にかたどって当該展開形状の輪郭に沿って当該プラスチック樹脂を切断し、当該切断したプラスチック樹脂を組み立てて製造する。
【0034】
次に、工程S2で製造した収納箱20に、工程S1で形成したラップフィルム巻体10を収納する(工程S3)。
【0035】
次に、収納箱20に放射線を照射することにより、収納箱20と当該収納箱20に収納されたラップフィルム巻体10とを同時に滅菌する(工程S4)。なお、出荷用に、工程S3で作製した、ラップフィルム巻体10を収納した収納箱20を、複数個ダンボール箱に詰めた後に、当該ダンボール箱の外側から放射線を照射してもよい。放射線は透過力が強いため、ダンボール箱の外側から放射線を照射した場合であっても、ラップフィルム巻体10の内部まで確実に滅菌することができる。以上の工程により、医療用ラップフィルムセット1が完成する。
【0036】
なお、使いかけの医療用ラップフィルムセット1は、ラップフィルム巻体10のラップフィルム12のうち先端部の空気に触れている部分の菌濃度が上昇する可能性があるが、ラップフィルム12を切断する際に、当該先端部のラップフィルム12を切断して破棄し、空気に触れていなかった部分のラップフィルム12を引き出して切断して使用することで、使用するラップフィルム12の衛生状態を保つことができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。また、医療用ラップフィルムセット1は、医療機器のみならず、医療機関や介護施設で使用される備品等の被覆にも使用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 医療用ラップフィルムセット
10 ラップフィルム巻体
11 巻芯
12 ラップフィルム
20 収納箱
201 本体部
21 前面板
211 上端縁
22 底面板
23 後面板
231 上端縁
24 側面板
241 切り欠き部
25 開口部
26 蓋面板
261 前端縁
27 掩蓋片
271 先端縁
28 切断歯
29 収納室
30 溝
【要約】
【課題】様々な形状の医療機器の被覆に汎用的に使用することができ、被覆のためのコストを削減することができる医療用ラップフィルムセット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】医療用ラップフィルムセット1は、ラップフィルム12が巻芯に巻き付けられたラップフィルム巻体10と、ラップフィルム巻体10が収納された収納箱20とを備え、収納箱20は、前面板21、底面板22、後面板23及び側面板24を有する上面が開口した本体部201と、後面板23の上端縁231から本体部201の開口部25を覆う方向に延出した蓋面板26と、蓋面板26の前端縁261から前面板21を覆う方向に延出した掩蓋片27と、掩蓋片27の先端縁271に設けられた切断歯28と、前面板21の上端縁211に沿って設けられ切断歯28を挿入可能な溝30とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5